講談社文芸文庫の検索結果

  • 影について

    影について

    小説・文芸
    5.0
    1巻1,463円 (税込)
    空襲、焼け跡のバラック生活など、敗戦前後の厳しい状況、さらに複雑な家庭環境のなか、少年らしい健気さ、腕白さをもって過ごした前橋での日々。この少年期の<原風景>を基点に、映画館の看板書きの助手時代、画家への修業と上京、そして現在へと至る自伝的連作短篇。色、光、形、影など、画家としての本領を発揮した構成で、記憶のなかの小さな風景がドラマとして動き出し、飄逸な味わいを生む傑作集。
  • 萩原朔太郎

    萩原朔太郎

    小説・文芸
    -
    1巻1,463円 (税込)
    昭和2年、萩原朔太郎の知遇を得て以来、昭和17年の死まで、常にその周辺にあり、さらには歿後、三度におよぶ全集の編集に携わるなど、三好達治にとって、朔太郎は生涯にわたる師であった。格調高い名文によって、朔太郎との交遊を振り返り、その面影をしのびつつ、同時に、作品の形成過程を緻密に辿る。朔太郎の詩の核心が、批評の美によって浮き上がるまさにライフワークとしての、師へのオマージュ。
  • 新編 疾走するモーツァルト

    新編 疾走するモーツァルト

    ビジネス・実用
    -
    1巻1,463円 (税込)
    モーツァルトくらい、孤独と華麗、激情と蕩揺のあいだの距離の大きい音楽家はいなかった――。小林秀雄、河上徹太郎等、日本人のモーツァルト受容史を精緻に跡づけつつ、幼少期から今日迄その音楽を鍾愛し、聴き抜いたモーツァルティアン高橋英夫が、耳と心を研ぎ澄まし、変幻するモーツァルト像に迫る表題作に、「音楽的貴種流離譚」等モーツァルトをめぐるエッセイ14篇を加え新編とする。
  • もぐら随筆

    もぐら随筆

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,463円 (税込)
    小田原の生家の物置小屋で、陋巷の隠者としてもぐらのように暮らしながらも大切に守り通した文学への情念の炎。抹香町の私娼窟へ通い、彼女達に馴染み、哀歓を共にし、白昼の光りには見えない底辺に生きる人間の真実を綴った。60歳にして得た若い妻との生活への純真な喜びが溢れる紀行随筆。宇野浩二、中山義秀、水上勉ら師友をめぐる思い出の記。川崎文学晩年の達成を予感させる好随筆集。
  • 日本風景論

    日本風景論

    常に斬新な批評を展開する著者が“風景”と呼ぶ微妙な位相。村上春樹の小説を中心に「まさか」と「やれやれ」論、坂口安吾、田中角栄、北一輝に共通性を見る「新潟の三角形」、“ディスカバー・ジャパン”と国木田独歩、志賀重昂を対比する「武蔵野の消滅」ほか、三島由紀夫、深沢七郎、吉本ばなな、大島弓子等、時代をとりまく日本的文化現象に焦点をあてた独創の8篇。著者の批評の資質と方向を示す初期評論集。(講談社文庫)
  • 日本廻国記 一宮巡歴

    日本廻国記 一宮巡歴

    小説・文芸
    -
    1巻1,463円 (税込)
    1978年、〈中世の語り物〉への興味から発起し、9年の歳月をかけて巡歴した、全国68ヵ所の一宮参拝。土地に結びついた神秘と交感したいという著者は、地方色に富んだ風景にとけこみ、神社の結構や佇いを詳細に描写し、記紀や民間伝承文芸等の叙述をふまえて、地神・外来神など、祭神の関係をつづる。人々と祭神の関わりのなかに、日本文化の根底を見すえる傑作紀行。
  • 京伝店の烟草入れ 井上ひさし江戸小説集

    京伝店の烟草入れ 井上ひさし江戸小説集

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,463円 (税込)
    井上文学の原点ともいうべき虚実皮膜の9篇。権力の弾圧を首の皮一枚で躱し、強かに生きる戯作者達。洒落や地口で技巧の限りを尽くし庶民の悲哀と反骨精神を活写。単行本未収録の表題作等、才気横溢の精選集。
  • 東京の三十年

    東京の三十年

    小説・文芸
    -
    1巻1,463円 (税込)
    明治初年幼くして上州館林から上京、丁稚奉公から始まる苦しい文学修行を経て『蒲団』『田舎教師』などを著し、日本自然主義文学の代表的作家となった著者の文壇回想記。島崎藤村、柳田国男、国木田独歩等との交友、明治から大正への激動する時代の新思潮、生、死を縦横に捉えて、自然主義文学の盛衰、文壇の側面、数十年に亘る〈東京〉の風俗・文化・市街風景の変遷変貌を生き生きと描く。
  • 鳥獣戯話 小説平家

    鳥獣戯話 小説平家

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,463円 (税込)
    一等史料、正史とやらに隠蔽された人物たちを、周到な論理と、痛快・奔放な推理力を駆使して復権し、常に未来に向けての力強いメッセージとして語る、"本物のアバンギャルド"花田清輝の毎日出版文化賞受賞の『鳥獣戯話』、"平家作者考"とも言うべき異色の秀作『小説平家』を併録。
  • 樹影

    樹影

    小説・文芸
    4.5
    1巻1,463円 (税込)
    被爆地長崎。敗戦後3年目の夏、華僑の女柳慶子と画家麻田晋は出遭った。原爆病に脅かされる2人はいたわり合い、自らの生を確かめるように愛し合い、10数年の苦痛の果てに死んで行った。著者の故郷長崎の、酷く理不尽な痛みを深い怒りと哀惜をこめて強靱に描く。原爆を告発した不朽の名作。野間文芸賞受賞。
  • オモチャ箱 狂人遺書

    オモチャ箱 狂人遺書

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,463円 (税込)
    世間が顔をしかめる女たちが、安吾の前に頻出する。安吾はそれを"自然"だとし、その文学の中に析出する。安吾が析出した女たちは、40年の時空を超え、今、更に光を放ち、生き出し、動き出す。安吾が"予言者"であることを証明するかのように。敬愛する牧野信一の人と文学を語る秀作「オモチャ箱」、坂口安吾晩年の力作「狂人遺書」ほか8篇を収録。
  • 仮装人物

    仮装人物

    小説・文芸
    -
    1巻1,463円 (税込)
    仮装舞踏会で被せられたサンタクロオスの仮面の髯がマッチを摺るとめらめら燃えあがる、象徴的な小説の冒頭。妻を亡くした、著者を思わせる初老の作家稲村庸三は、"自己陶酔に似た"多情な気質の女、梢葉子の出現に心惹かれ、そして執拗な情痴の世界へとのめり込んでゆく。冷やかに己れのその愛欲体験を凝視する"別の自分"の眼。私小説の極致を示した昭和の名作。第1回菊池寛賞。
  • 澪標・落日の光景

    澪標・落日の光景

    小説・文芸
    -
    1巻1,463円 (税込)
    亡き妻への愛を吐露して哀切限りない「夢幻泡影」。読売文学賞受賞の名著、著者のヰ夕・セクスアリス「澪標」。夫婦ともにガン発病、迫り来る死とたたかう闘病生活の不思議な明るさと静寂感充ちる「落日の光景」「日を愛しむ」。愛する者の死。人生の不可思議。末期の眼。死へ向う透明な生。外村文学の鮮やかな達成4篇。
  • 白兎・苦いお茶・無門庵

    白兎・苦いお茶・無門庵

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,463円 (税込)
    敵の戦車に人間爆弾となって廃兵が飛び込む訓練を繰り返す。そんな理不尽きわまる敗けいくさ。夫たちが徴兵され、著者がいみじくも名付けた半後家たちとの置き去りにされた生活。“一年が百年にも感じられる”流謫の生活の中でも、市井に生き続ける“在野”の精神を飄々たる詩魂で支え、正に“人生の歌”を歌った木山捷平、中期・晩年の代表的短篇。
  • 白い屋形船・ブロンズの首

    白い屋形船・ブロンズの首

    小説・文芸
    -
    1巻1,463円 (税込)
    脳溢血で、右半身、下半身不随、言語障害に遭いながら、不撓不屈の文学への執念で歩んだ私小説の大道。読売文学賞「白い屋形船」、川端賞「ブロンズの首」ほか、懐かしく優しい、肉親・知友、そして“ふるさと”の風景。故郷の四万十川のように、人知らずとも、汚れず流れる文学への愛が、それのみが創造した美事な“清流”。
  • 大いなる日 司令の休暇

    大いなる日 司令の休暇

    小説・文芸
    5.0
    1巻1,463円 (税込)
    父をこよなく愛した幼、少年の日々。敗戦により海軍軍人であった父の失職の帰還。失意と家庭の不幸を耐えた父のストイシズム。人間の魂の高貴を平明、粉飾なき文体で描く秀作群。惜しまれて急逝した不朽の文学者魂・阿部昭の世界。
  • 蝸牛庵訪問記

    蝸牛庵訪問記

    小説・文芸
    4.7
    1巻1,463円 (税込)
    蝸牛庵・幸田露伴との若き日の出会いから、その凄絶、荘厳な終焉の日までの“日常”の比類なき記録。該博な知識、不羈の精神、巨大な文学空間を展開する“文豪”露伴の、慈父のごとき姿をあざやかに捉える、小林勇のエッセイ文学の名著『蝸牛庵訪問記』。
  • 女性作家が選ぶ太宰治

    女性作家が選ぶ太宰治

    「ほとんど奇跡のような成り立ち方をしている」(川上未映子選「古典風」)、「彼自身が、ひとつの作品」(桐野夏生選「思い出」)、「この甘やかさに浸らずにいられない」(松浦理英子選「秋風記」)――七人の女性作家がそれぞれの感性で選ぶ、未だかつてない太宰短篇選集。
  • 男性作家が選ぶ太宰治

    男性作家が選ぶ太宰治

    「この作品が自分は一番嫌いだ」(奥泉光選「道化の華」)、「不思議な明るさに包まれた怯えの百面相」(堀江敏幸選「富嶽百景」)、「『男性というものの秘密』を知っている作家」(松浦寿輝選「彼は昔の彼ならず」)――七人の男性作家がそれぞれの視点で選ぶ、他に類を見ない太宰短篇選集。
  • お供え

    お供え

    小説・文芸
    3.6
    1巻1,485円 (税込)
    毎朝、何者かに家の前の「カド」にお供えを置かれ、身に覚えのないまま神様に祀り上げられていく平凡な未亡人。山菜摘みで迷い込んだ死者たちの宴から帰れない女。平穏な日常生活が、ある一線を境にこの世ならぬ異界と交錯し、社会の規範も自我の輪郭さえも溶融した、人間存在の奥底に潜む極限の姿が浮かび上がる七作品。川端康成文学賞受賞。
  • 哀しき父 椎の若葉

    哀しき父 椎の若葉

    小説・文芸
    3.8
    1巻1,485円 (税込)
    「生活の破産、人間の破産、そこから僕の芸術生活が始まる」と記した葛西善蔵は、大正末期から昭和初年へかけての純文学の象徴であった。文学の為にはすべてを犠牲にする特異無類の生活態度で、哀愁と飄逸を漂わせた凄絶苛烈な作品を描いた。処女作「哀しき父」、出世作「子をつれて」、絶筆「忌明」のほか「馬糞石」「蠢く者」「湖畔手記」など代表作15篇。
  • 一色一生

    一色一生

    小説・文芸
    4.5
    1巻1,540円 (税込)
    染織家・志村ふくみは、数十年、さまざまな植物の花、実、葉、幹、根を染めてきた。それらの植物から染まる色は、単なる色ではなく、色の背後にある植物の生命が、色をとおして映し出されているのではないか。それは、人と言葉と表現行為と、根本的に共通する。芸術と人生と自然の原点に佇んで思いめぐらす深い思索とわがいのちの焔を、詩的に細やかに語るエッセイ集。
  • 考えるよろこび

    考えるよろこび

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,540円 (税込)
    江藤文学への最高の入門書。『漱石とその時代』執筆当時に行った、若き著者の知性とユーモア溢れる講演録。表題作の他「転換期の指導者像」「英語と私」など、全6編――アメリカから帰国し、名作『漱石とその時代』を準備中の、1968年から69年にかけて行われた若き日の6つの講演。現代における真の「英知」とは何か……歴史を探り、人物を語り、表現の謎に迫り、大学や国際化の意味を問う。軽妙なユーモアと明快な論理、臨場感あふれる語り口で、読者を一気に江藤文学の核心へといざなう。多くの復刊待望の応え、甦った歴史的名講演集。 ※本書は、講談社文庫『考えるよろこび』(1974年9月)を底本としました。
  • 金色の死

    金色の死

    小説・文芸
    3.5
    1巻1,540円 (税込)
    潜在的な<妻殺し>を断罪 江戸川乱歩の「パノラマ島綺譚」に影響を与えたとされる怪奇的幻想小説「金色の死」、私立探偵を名乗る見知らぬ男に突然呼びとめられ、妻の死の顛末を問われ、たたみ掛ける様にその死を糾弾する探偵と、追い込まれる主人公の恐怖の心理を絶妙に描いて、日本の探偵小説の濫觴といわれた「途上」、ほかに「人面疽」「小さな王国」「母を恋ふる記」「青い花」など谷崎の多彩な個性が発揮される大正期の作品群7篇。 清水良典 『小さな王国』のような政治小説も、探偵小説も、怪奇幻想小説も、足フェチ小説も、母恋い小説も、みんな谷崎文学という偉大な大樹の、大正期の枝に生った果実である。昭和に入って谷崎文学は急速に日本の伝統に近づき、大家として飛躍的な成長を遂げた。(中略)谷崎の大正期は、決して失われた時代ではない。むしろ作家谷崎が、全力を傾けて拡大と成長に努めた時代だったのであり、その土台が彼を「大谷崎」へと押し上げたのである。――<「解説」より>
  • 幼年 その他

    幼年 その他

    小説・文芸
    -
    1巻1,540円 (税込)
    「幼年」は、堀辰雄の『幼年時代』の影響の下に描かれ、福永武彦の「幼くして失った母」という原風景である。そして「母」は、はかなく淡い観念として、この作家に、美しくも深く悲しい旋律を奏でる。意識と無意識、現実と夢の境を行きつ戻りつ、ロマネスクな二重奏組曲。福永文学の輝ける魅力をたたえた、詩情豊かな10編の作品集。
  • 幕が下りてから

    幕が下りてから

    小説・文芸
    -
    1巻1,540円 (税込)
    「悪い仲間」「陰気な愉しみ」で芥川賞を受賞、「海辺の光景」で野間文芸賞、芸術選奨両賞を受賞した著者が、新たに挑戦した長篇秀作。敗戦による価値の混乱と青春の惑乱を共にした、一主人公の「やましさ」の根源を、底深く洗いただし、極めてモラリッシュな文学世界を創造した長篇。毎日出版文化賞受賞作品。
  • 愛国者たち

    愛国者たち

    小説・文芸
    -
    1巻1,540円 (税込)
    異能の私小説家の知られざる名作――昭和24年、日本訪問中のロシア皇太子ニコラスへの暗殺未遂事件=大津事件に関わった愛国者たち……。津田三蔵、畠山勇子、明治天皇、児島惟謙らを軸に、歴史の変動の渦中にあつ人間を見つめた表題作、ほか7篇。戦後日本の転換点に直面した異能の私小説作家が、自己の文学的葛藤と追究の痕跡を刻印した、独自の私小説風世界の魅力が横溢する作品集。平林たい子文学賞受賞作品。 ※本書は、『愛国者たち』(1973年11月、講談社刊)を底本としました。
  • 包む 現代日本のエッセイ

    包む 現代日本のエッセイ

    小説・文芸
    4.1
    1巻1,540円 (税込)
    季節と詩情が常に添う父・露伴の酒、その忘れられぬ興趣をなつかしむ「蜜柑の花まで」。命のもろさ、哀しさをさらりと綴る「鱸」、「紹介状」「包む」「結婚雑談」「歩く」「ち」「花」など、著者の細やかさと勁さが交錯する29篇。「何をお包みいたしましょう」。子供心にも浸みいったゆかしい言葉を思い出しつつ、包みきれない「わが心」を清々しく1冊に包む、珠玉のエッセイ集『包む』。
  • 祭りの場・ギヤマン ビードロ

    祭りの場・ギヤマン ビードロ

    小説・文芸
    4.1
    1巻1,540円 (税込)
    如何なれば膝ありてわれを接(うけ)しや──。長崎での原爆被爆の切実な体験を、叫ばず歌わず、強く抑制された内奥の祈りとして語り、痛切な衝撃と深甚な感銘をもたらす、林京子の代表的作品。群像新人賞・芥川賞受賞の「祭りの場」、「空罐」を冒頭に置く連作「ギヤマン ビードロ」を併録。
  • 珍饌会 露伴の食

    珍饌会 露伴の食

    小説・文芸
    -
    1巻1,540円 (税込)
    博覧強記の文豪が描く、奇奇妙妙の「食」尽くし。露伴とその周辺の好事家たちをモデルに描く抱腹絶倒の戯曲「珍饌会」、河豚を愛した文人たちの漢詩を読み解く「桃花と河豚」、故事来歴から料理法まで網羅した「鱸」など随筆六篇を収録。稀代の碩学・露伴の「食」をめぐる蘊蓄と諧謔を味わう名篇集。南條竹則・編。
  • 恋と日本文学と本居宣長・女の救はれ

    恋と日本文学と本居宣長・女の救はれ

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,540円 (税込)
    『忠臣藏とは何か』『日本文学史早わかり』と並ぶ、丸谷才一の古典評論三部作。中国文学から振り返って、『源氏物語』『新古今和歌集』という日本の文学作品を検証した孤立無援の本居宣長の思考を蘇らせ、さらにはその視点で近代日本文学をも明確に論じる。女系家族的な考えから日本文学を俯瞰した「女の救はれ」を併録した『恋と女の日本文学』を発表時の題に戻し刊行。
  • 小さな部屋・明日泣く

    小さな部屋・明日泣く

    小説・文芸
    4.7
    1巻1,540円 (税込)
    朽ちかけた貸部屋に我物顔に出入りする猫、鼠、虫たち。いつしか青年は、凄まじい〈部屋〉を自分と同じ細胞をもつ存在と感じ熱愛し始める――没後10年目に発見された色川武大名義の幻の処女作「小さな部屋」、名曲「アイル・クライ・トゥモロウ」そのままの流転の人生を辿る女を陰影深く描く「明日泣く」など12篇。戦後の巷を常に無頼として生きながら、文学への志を性根にすえて書いた色川武大の原質とその変貌を示す精選集。
  • 美しい墓地からの眺め

    美しい墓地からの眺め

    小説・文芸
    -
    1巻1,540円 (税込)
    戦時下、大病で富士山の見える故郷・小田原の下曽我に帰った著者は、自然界の小さな虫の生態にも人間の生命を感じ、自然との調和のなかにやすらぎを見出す。本書は、文学への出発時の芥川賞受賞作「暢気眼鏡」から、最晩年の作品「日の沈む場所」にいたる14作品を収録。これらをたどることで著者の人生、ひいては人が生きることへの発見、喜びと慰めを読みとることが出来る、珠玉の作品集。
  • 北京飯店旧館にて

    北京飯店旧館にて

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,540円 (税込)
    「きみは、人類という立場に立てますか?」日本占領下の北京で出会った中国の友は、謎の問いを残し戦地に消えた。またある友は、文化大革命で迫害を受け窮死。41年の歳月を経て、青春の地・北京に還った作家は、彼我を隔てる深い歴史の暗渠に立ち竦みつつ、その底になお輝きを放つ人間の真実を探してやまない。日中の狭間に生き、書いた中薗の深い想いが結晶した代表作。読売文学賞受賞作。
  • 生家へ

    生家へ

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,540円 (税込)
    生まれ育った生家へ、子どもの頃のままで帰りたい――戦時中、家の下に穴を掘り続けた退役軍人の父が、その後も無器用に居据っていたあの生家へ。世間になじめず、生きていることさえ恥ずかしく思う屈託した男が、生家に呪縛されながら、居場所を求めて放浪した青春の日々を、シュールレアリスム的な夢のイメージを交えながら回想する、連作11篇。虚実織り交ぜた独自の語りで、心弱き庶民の心情に迫った、戦後最後の無頼派の名作
  • 人と人影 現代日本のエッセイ

    人と人影 現代日本のエッセイ

    小説・文芸
    -
    1巻1,540円 (税込)
    《白雲なびく駿河台……》自作の明治大学校歌をきいて涙滂沱の老詩人・児玉花外の深い悲しみ。対局前、将棋を放念し無心の散策をする大山康晴名人。窓辺の風に微かな音色を奏でる、太宰治の形見の琴。人生の途上で巡り合った人々の、心に残る鮮烈な記憶と忘れ難いその風貌を、温もりある自在の筆で綴る。井伏鱒二の文学の精髄を伝える、36篇の珠玉の名随筆。
  • 丸本歌舞伎

    丸本歌舞伎

    小説・文芸
    4.5
    1巻1,540円 (税込)
    〈丸本歌舞伎〉という名称を創出し、研究と鑑賞を別扱いする従来の演劇学に異を唱え、義太夫狂言の神髄を衝き、戦後の歌舞伎批評の方向性を決定づけた、戸板氏の初期代表作で、今や古典的名著。「型とは何か」の追究から、歴代の演出家=俳優の才智・工夫を発見し、その魅力と真髄を明かしていく。「義経千本桜」など10作品を具体的に読み解く鑑賞編も圧巻。歌舞伎ファンのみならず広く演劇を志す者、必読の書。
  • 橇・豚群

    橇・豚群

    小説・文芸
    -
    1巻1,540円 (税込)
    昭和初期に隆盛したプロレタリア文学運動の潮流の中で、写実的な文章と複眼的想像力による傑作短篇を立て続けに発表して一躍脚光を浴びながらも、肺病による喀血から郷里・小豆島での療養生活を余儀なくされた黒島伝治。官憲の横暴に対する農民の知恵がドラマを生む「豚群」、戦争の悲惨さと裏腹の滑稽な現実を鮮やかに描いた「橇」、「渦巻ける烏の群」など時代を超えた輝きを放つ代表作集。
  • 如何なる星の下に

    如何なる星の下に

    小説・文芸
    3.3
    1巻1,540円 (税込)
    昭和十三年、自ら浅草に移り住み執筆をはじめた高見順。彼はぐうたらな空気と生存本能が交錯する刺激的な町をこよなく愛した。主人公である作家・倉橋の別れた妻への未練を通奏低音にして、少女に対する淡い「慕情」が謳い上げられるのだった。暗い時代へ突入する昭和初期、浅草に集う人々の一瞬の輝きを切り取り、伊藤整に「天才的」と賞賛された高見順の代表作にして傑作。
  • 山頭火随筆集

    山頭火随筆集

    小説・文芸
    4.8
    1巻1,540円 (税込)
    明治15年、近在屈指の大地主の長男として生まれ、9歳の時母自殺。以降徐々に家は没落、時代の傾斜と並ぶようにやがて不幸の淵に沈んでゆく。大正14年出家。大正15年4月、解くすべもない惑ひを背負うて、行乞流転の旅に出た。分け入っても分け入っても青い山(「俳句」大正15年)九州から東北まで漂泊托鉢。行乞生活を記録した句は数奇な生涯を凝縮。俳句、随筆、行乞記の3章でその真髄を纏める。
  • 蛇 愛の陰画

    蛇 愛の陰画

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,540円 (税込)
    午睡中、大蛇が口から入りこみ、腹中に居すわられてしまった男。彼を<被害者>に見たて、運動に利用しようとする組織。卓抜な発想と辛辣な批評精神で、当時の世相を切りとった「蛇」。性と悪の問題に真正面から挑んだ「蠍たち」――。1960年、「パルタイ」で衝撃的なデビューを果たした著者の、その後の5年間の初期作品7篇を精選。イメージの氾濫する<反リアリズム>の鮮やかさを示す1冊。
  • ファウスト(上)

    ファウスト

    小説・文芸
    4.3
    1~2巻1,540~1,870円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 (ファウスト)俺の喜びはただこの大地から生まれこの世の太陽だけが俺の悩みを照らすのだ。(メフィスト)それならためらうことはない。さあ契約だ。……地上にある限りの日々……人間がまだ見ぬものを見るのです。神ならぬ人間の身で世界のすべてを究めたい欲求に憑かれたファウストは、悪魔メフィスト―フェレスと契約を結ぶ。文豪ゲーテ畢生の対策が柴田翔の躍動する新訳で甦る。
  • 鮎の宿

    鮎の宿

    小説・文芸
    -
    1巻1,540円 (税込)
    志賀直哉門下の著者が師にまつわる様々な出来事を中心に綴った滋味溢れるエッセイ集。志賀の臨終を描いた「終焉の記」をはじめ、滝井孝作、尾崎一雄ら同門の作家や「白樺」同人の里見、梅原龍三郎のこと。志賀と前後して亡くなった三島由紀夫、川端康成、文壇仲間吉行淳之介、遠藤周作との交流、親しかった人々や食、旅をめぐる話などを清澄な文章で記した初期のエッセイ59篇。
  • 静かなノモンハン

    静かなノモンハン

    昭和14年5月、満蒙国境で始まった小競り合いは、関東軍、ソ蒙軍間の4ヵ月に亘る凄絶な戦闘に発展した。襲いかかる大戦車群に、徒手空拳の軽装備で対し、水さえない砂また砂の戦場に斃れた死者8千余。生還した3人の体験談をもとに戦場の実状と兵士達の生理と心理を克明に記録、抑制された描写が無告の兵士の悲しみを今に呼び返す。芸術選奨文部大臣賞、吉川英治文学賞受賞の戦争文学の傑作。
  • 折口信夫文芸論集

    折口信夫文芸論集

    釈迢空の別名を持ち、学者にして詩人、詩人にして学者という生涯を送った折口信夫は、古代から近代にいたる日本文化を貫く本質をとらえ、詩歌、小説、文学研究、民俗学研究と他の追随を許さない多岐にわたる業績を残した。源氏物語、隠者の文学、短歌の滅亡、近代文学など折口が関心を寄せた日本文学の諸相を多彩な切り口で整理し、批評家としての全体像に迫る画期的評論集。
  • 文学のプログラム

    文学のプログラム

    <書くこと>でいかに<戦争>と拮抗しうるのか――。小林秀雄、坂口安吾、保田與重郎の戦時下における著述を丹念に辿ることで、時局に追従する言説と彼らとの距離を明らかにし、保田の『万葉集の精神』を起点に、日本文を成立せしめた「訓読」というプログラムの分析へと遡行する。気鋭の批評家による<日本イデオロギー>の根底を撃つ画期的試み。群像新人文学賞受賞作を収めた第1評論集。
  • ソロモンの歌 一本の木

    ソロモンの歌 一本の木

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,540円 (税込)
    戦後日本の音楽批評をリードしてきた吉田秀和は、青春期に吉田一穂に私淑、中原中也との交遊や小林秀雄の影響を通してポエジーの精髄に触れた。音楽はもとより、文学や美術を論じた著作によって、豊饒なる批評精神を構築してきた著者が、幼児期から詩との出会いまでを綴り、その批評の原点を明かす表題作をはじめ珠玉の随想12篇を収録。巻末の荷風論は、日本近代の宿命を巡る鋭い洞察に満ちた文明論である。
  • 厄除け詩集

    厄除け詩集

    小説・文芸
    4.5
    1巻1,540円 (税込)
    そこはかとなきおかしみに幽愁を秘めた「なだれ」「つくだ煮の小魚」「歳末閑居」「寒夜母を思ふ」等の初期詩篇。"ハナニアラシノタトヘモアルゾ「サヨナラ」ダケガ人生ダ"の名訳で知られる「勧酒」、「復愁」「静夜思」「田舎春望」等闊達自在、有情に充ちた漢詩訳。深遠な詩魂溢れる「黒い蝶」「蟻地獄(コンコンの唄)」等、魅了してやまぬ井伏鱒二の詩精神。4部構成の『厄除け詩集』。
  • 静かな生活

    静かな生活

    小説・文芸
    3.9
    1巻1,540円 (税込)
    精神の危機を感じて外国滞在を決意した作家の父に、妻が同行する。残された3人の兄弟妹の日常。脳に障害を持った長男のイーヨーは"ある性的事件"に巻き込まれるが、女子大生の妹の機転でピンチを脱出、心の平穏が甦る。家族の絆とはなんだろうか――。〈妹〉の視点で綴られた「家としての日記」の顛末に、静謐なユーモアが漂う。大江文学の深い祈り。
  • 西行論

    西行論

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,540円 (税込)
    若年のある時、在俗の名門武士が不明の動機で出家遁世した。真言浄土の思想に動かされながら、同時代の捨て聖たちとは対照的な生きざまを辿り、詩歌を通じてしか、いっさいの思想を語らなかった――西行とは何ものであったか。豊潤な感性を強靱な論理で見事に展開する西行論。「僧形論」「武門論」「歌人論」の3部構成で西行の〈実像〉に鋭く迫る!
  • 暗室

    暗室

    小説・文芸
    3.9
    1巻1,540円 (税込)
    屋根裏部屋に隠されて暮す兄妹、腹を上にして池の底に横たわる150匹のメダカ――脈絡なく繋げられた不気味な挿話から、作家中田と女たちとの危うい日常生活が鮮明に浮かび上る。性の様々な構図と官能の世界を描いて、性の本質を解剖し、深層の孤独を抽出した吉行文学の真骨頂。「暗い部屋」の扉の向こうに在るものは……。
  • 抹香町 路傍

    抹香町 路傍

    小説・文芸
    3.9
    1巻1,540円 (税込)
    文学に憧れて家業の魚屋を放り出して上京するが、生活できずに故郷の小田原へと逃げ帰る。生家の海岸に近い物置小屋に住みこんで私娼窟へと通う、気ままながらの男女のしがらみを一種の哀感をもって描写、徳田秋声、宇野浩二に近づきを得、日本文学の一系譜を継承する。老年になって若い女と結婚した「ふっつ・とみうら」、「徳田秋声の周囲」なども収録。
  • 日和下駄 一名 東京散策記

    日和下駄 一名 東京散策記

    小説・文芸
    3.8
    1巻1,540円 (税込)
    「一名 東京散策記」の通り「江戸切図」を持った永井荷風が、思いのまま東京の裏町を歩き、横道に入り市中を散策する。「第一 日和下駄」「第二 淫祠」「第三 樹」「第四 地図」「第五 寺」「第六 水 附 渡船」「第七 路地」「第八 閑地」「第九 崖」「第十 坂」「第十一 夕陽 附 富士眺望」の11の章立てに、周囲を見る荷風の独特の視座が感じられる。消えゆく東京の町を記し、江戸の往時を偲ぶ荷風随筆の名作。
  • ボロ家の春秋

    ボロ家の春秋

    小説・文芸
    4.4
    1巻1,540円 (税込)
    「桜島」「日の果て」などの戦争小説の秀作をのこした梅崎春生のもう1つの作品系列、市井の日常を扱った作品群の中から、「蜆」「庭の眺め」「黄色い日日」「Sの背中」「ボロ家の春秋」「記憶」「凡人凡語」の計7篇を収録。諷刺、戯画、ユーモアをまじえた筆致で日常の根本をゆさぶる独特の作品世界。
  • 測量船

    測量船

    小説・文芸
    3.5
    1巻1,540円 (税込)
    太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。無限のイメージを喚起するわずか二行の詩「雪」他を収録の第1詩集『測量船』。「乳母車」「甃のうへ」「鳥語」「獅子」等、日本古典の詩風と西欧象徴詩風が混然と融合し、魅了する全92篇(「測量船拾遺」を含む)。新詩の可能性を追究する若き詩人・達治が"現代抒情詩"を展開させた画期的詩集。
  • どこか或る家 高橋たか子自選エッセイ集

    どこか或る家 高橋たか子自選エッセイ集

    小説・文芸
    5.0
    1巻1,562円 (税込)
    すべて素顔の私。私らしい文章40篇を厳選――小説の中に表われる作家の分身……。自身そのように小説を書いてきたけれど、それは、<私>という人間そのものでは、決してない。おさない頃の京都の記憶、日々の生活を楽しんだ鎌倉、親しい友との旅、出会い、そしてパリでの霊的体験……。書きつづってきた文章の中から、40篇を選び出してみた、ほんとうの<私>をわかっていただくために。 ◎高橋たか子「今、人生の最終段階にいる私は、私という者が大体どういう者であったかを、すくなくとも、すでに書いたエッセイをざっと並べる形において、わかっていただきたい、と思う。大体、と書いたが、全体は神のみぞ知る。<「著者から読者へ」より>
  • 対談・文学と人生

    対談・文学と人生

    小説・文芸
    -
    1巻1,562円 (税込)
    独自の創作理論を打ち立てた、二大巨人による実践的文学論。文学の<現在>はここから始まる――独自の文学世界を打ち立てた二大巨人=小島信夫&森敦による長篇対談。昭和20年代半ばからの知己である二人が、これまでの交遊を振り返りつつ、創作理論の<現在>を縦横に語り合う。悲劇と喜劇、内部と外部、小説におけるモデル問題、夢と幻想、演劇論など、多岐にわたるテーマを通して、二人の文学の根柢に迫る、スリリングでアットホームな試み。幻の未刊長篇対談、待望の文庫化。 ◎小島信夫「この対話は色々の問題をもってきて、互いに論じるというようなものとは大分ちがう。問題も材料も互い自身である。これは息苦しいものであるし、空を切ることもあるので、ときどき散歩をすることもある。ときには、自分自身をダマす必要もある。(略)今月、悲劇、喜劇という言葉が出現して、私は刺戟をうけた。まどろみかけた目がひらいた思いがした。(略)今回のような談話の中での文脈の中でおどり出たのだから、これは生きた言葉である。生きた言葉であるだけに、今後何度も俎上にのぼり、たのしまなければならない。」<「第四回・追記」より>
  • 暗夜遍歴

    暗夜遍歴

    小説・文芸
    -
    1巻1,562円 (税込)
    月子の父親が陥れられることによって登場した小田村大助。奪われるようにして小田村と結ばれた月子。政治と実業の世界の鬼であった小田村は、また、奔放な性を生き、女性遍歴を重ねていく。運命にもてあそばれた月子は、短歌に道を見出すことで、傷を癒し、自らを支えようとする。――息子・由雄の眼を通し、母・月子、父・大助の愛憎の劇を冷徹に描いた自伝的作品。亡き母への痛切なる鎮魂歌。
  • 田村俊子

    田村俊子

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,562円 (税込)
    明治17年、浅草・蔵前に生まれ、昭和20年、上海の路上に死んだ作家・田村俊子。みずからを信ずるままに、奔騰する愛を生き書いた先駆者・田村俊子に、深い愛惜とただならぬ共感を寄せる著者が、故人を知る人を尋ね、俊子の足跡を辿り、知られざる生涯を掘り起こした、決定版評伝。「田村俊子補遺」及び「田村俊子年譜」を付す、瀬戸内晴美の文学的デビュー作。第1回田村俊子賞受賞作品。
  • 常識的文学論

    常識的文学論

    小説・文芸
    -
    1巻1,562円 (税込)
    歴史小説、推理小説は「文学」に値するのか? ――大衆文化の隆盛とともに、文学の世界においても、大衆小説や中間小説が文壇の主流へと登場しつつあった1960年代初頭。こうした流れを、純文学にとってかわるものとして擁護する批評家の言も含め、歴史小説や推理小説の実体を根底的に批判した、ポレミックな文学論。<『蒼き狼』論争>となった井上靖への批判、深沢七郎の『風流夢譚』批判、松本清張批判など、スリリングな文芸時評16篇。 「昨年中から大衆文学、中間小説の文壇主流進出を認容する論調があった。現象自体は現代の大衆文化進展の一環であり、別に不思議もないが、われわれの伝統や世界文学史に基いた文学の理念をこわしてまでこれを擁護しようとする批評家が一部にあった。(略)私はそれらに対して、文学の原理を争うのではなく、諸君の礼拝している淫祠邪教の実体はこれなのだ、と摘発する方法によった。」(「序」より)
  • 鳴滝日記・道 岡部伊都子随筆集

    鳴滝日記・道 岡部伊都子随筆集

    小説・文芸
    -
    1巻1,562円 (税込)
    「美の巡礼者」岡部伊都子の京を巡る随想集。いとはん育ちの著者は、婚約者を戦争に送った慚愧を胸に戦後を生き、暮しの細部に宿る美、哀歓を美しい言葉で綴った。土地の精霊との交感から生まれた清々しい初期随筆集! ――ふしぎなめざめにうながされて……、凍てつく土中から虫たちが這い出すように、女ひとり、戦後をつよく生きる想いを綴る「四季採譜」。大阪のこいさん育ちの著者が生涯の地・京に移り住み、暮らしの中から紡ぎ出す美しい言葉で古都の魅力を語り尽す「鳴滝日記」。古の道、ふるさとの道、露地の道を行き交う人の運命を哀切に描く「道」など4篇。豊かな感性と強靭な志の1冊。
  • 上海・ミッシェルの口紅 林京子中国小説集

    上海・ミッシェルの口紅 林京子中国小説集

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,562円 (税込)
    戦争の影迫る上海の街で、四人姉妹の3番目の「私」は、中国の風俗と生活の中で、思春期の扉をあけ成長してゆく。鮮烈な記憶をたどる7篇の連作小説「ミッシェルの口紅」と、戦後36年ぶりに中国を再訪した旅行の記「上海」。長崎で被爆して「原爆」の語り部となる決意をした著者が、幼時を過ごしたもう一つの文学の原点=中国。
  • 月夜の記憶

    月夜の記憶

    小説・文芸
    5.0
    1巻1,562円 (税込)
    人間の根柢へ、文学の原理へ、深まりゆく作家精神の軌跡! 死を賭して受けた胸部手術、病室から見た月、隣室の線香の匂い、そして人間の業……。終戦からほどない、21歳の夏の一夜を描いた表題作をはじめ、人間の生と死を見据え、事実に肉迫する吉村昭の文学の原点を鮮やかに示す随筆集。自らの戦争体験、肉親の死、文学修業時代と愛する文学作品、旅と酒について、そして家族のことなど、ときに厳しく、ときにユーモラスに綴る。
  • 可能性としての「在日」

    可能性としての「在日」

    小説・文芸
    -
    1巻1,562円 (税込)
    在日2世作家として、少年期のサハリン越境の原体験をもとに、南北朝鮮の政治体制や日本のナショナリズム、さらにパレスチナ問題に対し、そのつど問題提起と行動をおこしてきた著者の、思想・文化・人間観が開示されている。21世紀を生きる「在日」の新しい可能性を追求した表題作ほか、単行本未収録の「韓国国籍取得の記」を含め、30余年の文学的営為を示す講演・エッセイを精選した。
  • 黙阿弥

    黙阿弥

    小説・文芸
    5.0
    1巻1,562円 (税込)
    黙阿弥の真の姿と心の奥の風景を描く曾孫からの鎮魂の評伝。 ――坪内逍遙に“明治の近松、我国のシェークスピア”と称された河竹黙阿弥。その78年の生涯を、秘蔵の原稿や手記をもとに、曾孫にあたる著者が心をこめて描いた評伝。幕末から明治への激動の時代を生きた黙阿弥の作者魂と、江戸作者の矜持。それは現代にも通じるひとつの「生」の記録でもある。 ※本書の初出は、「別冊文藝春秋」(1991年夏~1992年秋)に「孤影の人」という題で発表され、単行本は、文藝春秋より1993年2月に『黙阿弥』と改題され刊行しました。底本は、文春文庫『黙阿弥』(1996年)を使用し、著者により若干の訂正をいたしました。
  • 箱庭

    箱庭

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,562円 (税込)
    戦後20年、経済的にも物質的にも豊かになった日本社会。東京山の手を舞台に、一つの屋敷内に住む、父母、長男夫妻、次男夫妻の世代の異なる3カップルが繰り広げる悲喜劇。主人公の長男・木俣学と、弟・修の妻・百合子の情事をきっかけに、「箱庭のようにせまく、息苦しくそのくせ形だけはととのっている」家族が、ゆっくりと、静かに崩壊してゆく姿と、その荒涼とした心の風景を描く力作。幸福な「家族」の静かな崩壊を描く長篇小説。
  • 夜逃げ町長

    夜逃げ町長

    小説・文芸
    -
    1巻1,562円 (税込)
    出馬予定の県会議員選挙の前夜、町長が行方をくらました。地方の平和な田園風景の中にくりひろげられる滑稽な人間模様の数々! 事実に基づく題材を、鋭利で、しかも軽妙な文体で活写した、記録文学の傑作。他に不可抗力として著者を襲った「落第について」、「幻、夢、うつつ。」など8つの作品集。哄笑・傑作小説集。
  • 私の長崎地図

    私の長崎地図

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,562円 (税込)
    生まれ育った町を振り返りながら書き綴った「私の長崎地図」を中心に、筆者の長崎へ対する思いが溢れる小説、随筆を編纂した作品集。――生まれ故郷・長崎。しかし、そこは再訪するのに四半世紀の時を必要とした地でもあった。強い郷愁と訪れることへの不安が、町の色や海の香に彩られた過去から、現在に至る心の風景を紡ぎ出す。長崎を舞台にした「私の長崎地図」「歴訪」「色のない画」などの小説や随筆を精選したこの作品集は、『私の東京地図』と対をなす著者の魂の彷徨である。※本書は『佐多稲子全集』(講談社・昭和52年11月~昭和54年6月刊)、『小さい山と椿の花』(講談社・昭和62年10月刊)、『思うどち』(講談社・平成元年6月刊)を底本としました。
  • 未成年・桃 阿部昭短篇選

    未成年・桃 阿部昭短篇選

    小説・文芸
    5.0
    1巻1,562円 (税込)
    敗戦で失職した元海軍大佐の父。時代に背を向け不器用に生きた父と家族の「戦後」を、激情を内に秘めた簡潔な表現で描いた「未成年」(「父と子の連作」の一)。幼年期の記憶のヴェールに揺曳する一情景を、繊細な筆致で甦らせる「桃」。阿部文学の通奏低音である湘南の大自然と朽ちていく人の家を対比、早過ぎた晩年の心境を刻む「水にうつる雲」。澄明な文体と深いユーモアで人生の真実を描いた、短篇の名手の名篇10篇を精選。
  • 死の影の下に

    死の影の下に

    小説・文芸
    -
    1巻1,562円 (税込)
    無意識の記憶の突然の喚起をきっかけとして、主人公の城栄は、静岡県の田舎で伯母に育てられた牧歌的な日々の回想に誘いこまれる。早くも「喪失」の意味を知った少年は、伯母の死後、冒険的実業家の父親と暮らし始め、虚飾に満ちた社交界をつぶさに観察することになる。新しいヨーロッパ文学の方法をみごとに生かした、戦後文学に新たな地平を拓き、戦後文学を代表する、記念碑的長篇ロマン。
  • 現代詩人論

    現代詩人論

    小説・文芸
    -
    1巻1,562円 (税込)
    大正末期から戦後まで、混迷の時代の中で輝かしい光を放った詩人たち――西脇順三郎、金子光晴、中野重治、中原中也はじめ、「四季」の三好達治、立原道造、戦後「荒地派」の鮎川信夫、田村隆一さらに清岡卓行、谷川俊太郎に及ぶ、23人の魅力の源泉に迫る。「詩」と「批評」という二筋道を、一筋により合わせ得る道を自らの内に探求してきた著者の、刺激に満ちた詩人論。現代詩を語る上で、必読の詩人論が誕生した!
  • アメリカと私

    アメリカと私

    ビジネス・実用
    4.0
    1巻1,562円 (税込)
    著者20代最後の年、1962年より2年間のプリンストン滞在記。この間、公民権運動の高揚、キューバ危機、ケネディ暗殺など、激動期を迎えていたアメリカ社会の深部を見つめ、そこに横たわる自他の文化の異質性を身をもって体験する。アメリカという他者と向き合うことで、自らのアイデンティティの危機を乗り越え、その後の「国家」への関心、敗戦・占領期研究への契機ともなった、日本文化論の歴史的名著。
  • 濁った激流にかかる橋

    濁った激流にかかる橋

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,562円 (税込)
    激流によって分断された町の右岸と左岸。それをつなぐ唯一の異形の橋。かつての小川は氾濫をくり返し、川幅は百倍にもなり、唯一の橋は拡張に拡張を重ね、その全貌を把握できぬほどの複雑怪奇さを示す。そして右岸と左岸にはまったく気質の異なる人々が住む。この寓話的世界の不思議な住民たちの語る9つの物語。諧謔的かつ魔術的なリアリズムで現代の増殖する都市の構造を剔抉した読売文学賞受賞作。
  • 新東京文学散歩 漱石・一葉・荷風など

    新東京文学散歩 漱石・一葉・荷風など

    小説・文芸
    -
    1巻1,562円 (税込)
    東京をこよなく愛し、住んだ文人たち。近代文学の中心・東京は、先の戦争で焦土荒廃の地と化した。野田宇太郎は、消え失せたそこに文学者の影を求め東京を、やがて全国を「文学散歩」し始める。『新東京文学散歩 上野から麻布まで』の後篇を、戦後七十年を機に読者のもとに届けつつ、近代文学の香りと共に、改めて東京文学散歩へ誘う……。
  • 新東京文学散歩 上野から麻布まで

    新東京文学散歩 上野から麻布まで

    小説・文芸
    -
    1巻1,562円 (税込)
    「文学散歩」という言葉を創案したのは、野田宇太郎である。東京の文人の辿った跡を丹念に歩き尽くしたこの作品――東京は、近代文学史上に名を刻んだほとんどの文学者の私生活の場所でもあった……。近代文学の真実に触れる事、すなわち東京を知ることと考えた著者の、生涯をかけた仕事『新東京文学散歩』は、文学を愛する読者に献げた、文学案内の礎でもある。
  • 夜明けの家

    夜明けの家

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,562円 (税込)
    「老耄が人の自然なら、長年の死者が日々に生者となってもどるのも、老耄の自然ではないか。」――主人公の「私」が、未明の池の端での老人との出会いの記憶に、病、戦争、夢、近親者の死への想いを絡ませ、生死の境が緩む夜明けの幻想を語った表題作をはじめ、「祈りのように」「島の日」「不軽」「山の日」など「老い」を自覚した人間の脆さや哀しみと、深まる生への執着を「日常」の中に見据えた連作短篇集。
  • スミヤキストQの冒険

    スミヤキストQの冒険

    小説・文芸
    3.8
    1巻1,562円 (税込)
    そこは悪夢の島か、はたまたユートピアか。スミヤキ党員Qが工作のために潜り込んだ孤島の感化院の実態は、じつに常軌を逸したものだった。グロテスクな院長やドクトルに抗して、Qのドン・キホーテ的奮闘が始まる。乾いた風刺と奔放な比喩を駆使して、非日常の世界から日常の非条理を照射する。怖ろしくも愉しい長編小説。
  • 天安門

    天安門

    小説・文芸
    -
    1巻1,562円 (税込)
    アメリカ生まれの著者が、初めて訪れた中国。都市を離れて、中国の奥へ奥へ――そこには現代があった。国境、言語を越え、歴史を遡るアイデンティティの旅。自身に流れる血を通して、自己の存在を、「仮」と「真」の中で映し出そうとした衝撃の作品群。一人の越境者の魂の漂泊は、現代中国の真の姿を求める。伊藤整賞受賞作「仮の水」を含む、鮮烈の短篇五作。
  • わが美的洗脳 大岡昇平芸術エッセイ集

    わが美的洗脳 大岡昇平芸術エッセイ集

    小説・文芸
    -
    1巻1,562円 (税込)
    14歳、初めて聴いたベートーヴェン「第五」に一撃を喰らい、26歳、スタンダールの手引きで出合った「フィガロ」に震駭、熱烈なモーツァルティアンに。その音楽の魅力を音符にまで遡って究めんと50歳を過ぎてピアノと作曲法を学ぶ――。音楽は単なる趣味を超えて、その人生と文学に霊感を与え、更なる真摯な探求に彼を駆り立てた。音楽、映画、演劇等、芸術随想46篇に、武満徹、吉田秀和との対談を併録。
  • 成城だより 上

    成城だより

    小説・文芸
    -
    1~2巻1,562円 (税込)
    成城に越して来て11年、運動は駅まで15分の片道だけ。体力の衰えに抗しつつ、富永太郎全集に集中、中原中也「山羊の歌」の名の由来を追い、ニューミュージック、映画、テレビ、劇画、広汎な読書、文学賞選考会等、80年代前半の文化、文壇、世相を俎上に載せ、憤り、感動する。70歳にして若々しい好奇心と批評精神で「署名入り匿名批評」と話題を呼んだ日記体エッセイ。上下2巻。
  • 台風の眼

    台風の眼

    小説・文芸
    -
    1巻1,562円 (税込)
    悪性腫瘍の手術後、作家は最後になるかもしれない小説を書きはじめる。自分が確かに生きていたと思える、記憶に深く刻み込まれた情景をつなぎとめながら。世界というものをふいに感じた4歳の頃の東京・赤坂、小学時代を過ごした植民地・朝鮮の田舎町、京城の中学時代、焼け跡の中の旧制高校、特派員として赴いたソウル、そしてサイゴン。自伝と小説の間を往還するように描かれた、新しい試み。
  • 画家小出楢重の肖像

    画家小出楢重の肖像

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,562円 (税込)
    画家小出楢重は、大阪生れの洋画家である。しかし、絵だけでなく名随筆家でもあった。彼の代表作である『Nの家族』『帽子を冠れる肖像』『蔬菜静物』『横たわる裸身』から、最後の作品『枯木のある風景』まで、楢重の生涯を、そして彼が離れられなかった関西の土地と文化を、大阪育ちの作家が見事に描きあげた平林たい子賞受賞作。
  • 哈爾濱詩集 大陸の琴

    哈爾濱詩集 大陸の琴

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,562円 (税込)
    「きみは我が忘れもはてぬはるびんなりしか。はるびんよ……。昭和12年4月、旅行嫌いの犀星が、生涯でただ1度の海外(満洲)旅行に出かけた。「古き都」哈爾濱は、犀星の詩心を刺激し、後年『哈爾濱詩集』となる抒情詩の数々を産ませ、また、満洲で棄て子捜しをする男を中心に、船上で出逢った人々の荒唐無稽な人生を描いた小説『大陸の琴』を書かせた。本書は、随筆「駱駝行」他3篇を併録した<大陸もの>作品集。
  • 黄金伝説 雪のイヴ

    黄金伝説 雪のイヴ

    小説・文芸
    -
    1巻1,562円 (税込)
    常に時代と対峙し、辛辣な批判精神と強烈な抵抗精神で戦い続けた著者の、文学的出発期の作品「鬼火」「ある午後の風景」「長助の災難」「桑の木の話」。行方不明の女を捜し彷徨することで生を繋ぐ"わたし"が、娼婦となった女と再会――敗戦後の混乱を鋭く凝視し絶望を再生に転化させる新たな出発を示した「黄金伝説」、他に「無尽灯」「雅歌」「雪のイヴ」など収録10篇。
  • 高村光太郎

    高村光太郎

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,562円 (税込)
    敗戦後の岩手の山中に、己を閉塞させた高村光太郎。彼の留学体験に、父・光雲への背反、西洋文化の了解不可能性を探り、閉塞の〈実体〉を解明する。著者の文学的出発の始めに衝きあたった巨大なる対象――その生涯、芸術、思想を論じ、高村光太郎の思想的破綻を自ら全戦争体験をかけ強靱な論理で刳り出す初期の代表的作家論。
  • むらぎも

    むらぎも

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,562円 (税込)
    金沢の旧制高校から東京帝大に入学した片口安吉の〈新人会〉での活動を核に、豊潤な感性で描く精神の軌跡。時代の終焉を告げる天皇の死。合同印刷ストライキ。激動の予感を孕みながら展かれてゆくプロレタリア運動。流されるままに流れる〈心〉の襞の光と影。『梨の花』『歌のわかれ』に続く自伝的長篇小説。毎日出版文化賞受賞。
  • 野いばらの衣

    野いばらの衣

    小説・文芸
    -
    1巻1,595円 (税込)
    小児麻痺で左足が不自由なカメラマンの「わたし」=郡司。彼が高校時代、憎悪を爆発させた体操教師・木宮。その娘で、郡司の憧憬と愛の対象、体操選手・とし子。偏執的人形師・英三三夫。左手に障害のある超能力者・亜矢……。人体の極限の美を追求する者と障害のある者――「わたし」は常に計り知れない距離と対峙する。二つの極を軸に、肉体と精神の微妙な領域を、“「わたし」の視点”で捉えた渾身の長篇力作。
  • 天誅組

    天誅組

    小説・文芸
    -
    1巻1,617円 (税込)
    尊皇攘夷、公武合体、権謀術数が渦巻く激動の幕末の文久2年、土佐の山奥の若き庄屋・吉村虎太郎は、脱藩を敢行。翌年8月、「天誅組」を組織、挙兵。その秋、激烈なる死を遂げた。草莽の志士たちへの著者の深い共感が、歴史に埋もれた「もう一つの転換期のエネルギー」を鮮やかに捉える。史料の博渉、明晰なる解読で、維新の先駆者の真実を追跡。「物語体」も一部駆使した、創見溢れる「史伝体歴史小説」。
  • 持続する志 現代日本のエッセイ

    持続する志 現代日本のエッセイ

    小説・文芸
    3.8
    1巻1,617円 (税込)
    「被爆者の自己救済行動」「沖縄の戦後世代」他ヒロシマ、沖縄、核基地、憲法についての諸エッセイと、「安部公房案内」「中野重治の『梨の花』の文章」等戦後文学への豊かな考察を示す作家・作品論。全55篇。30代に入った著者は、己れの存在の根元に突きささる鋭い痛みの感覚をもって状況への誠実な発言を続ける。1960年代後半、『厳粛な綱渡り』後の第2エッセイ集。
  • 二葉亭四迷伝 ある先駆者の生涯

    二葉亭四迷伝 ある先駆者の生涯

    小説・文芸
    -
    1巻1,650円 (税込)
    明治の黎明期に、近代小説の先駆的な作品『浮雲』を書き、「言文一致体」を創出した文豪・二葉亭四迷の、46年の悲劇的な生涯を、全17章から成る緻密な文体で追う。最終章は、ロシアからの帰途の船上で客死する記述に終り、著者「あとがき」に、「これは彼の生活と時代を再現することを必ずしも目的としたのでなく、伝記の形をとった文学批評だ」とある。評伝文学の古典的名著。読売文学賞受賞作品。
  • 愛の生活・森のメリュジ-ヌ

    愛の生活・森のメリュジ-ヌ

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,650円 (税込)
    《わたしはFをどのように愛しているのか?》との脅えを、透明な日常風景の中に乾いた感覚的な文体で描いて、太宰治賞次席となった19歳時の初の小説「愛の生活」。幻想的な究極の愛というべき「森のメリュジーヌ」。書くことの自意識を書く「プラトン的恋愛」(泉鏡花文学賞受賞作)。今日の人間存在の不安と表現することの困難を逆転させて、細やかで多彩な空間を織り成す、金井美恵子の秀作10篇。
  • 反文学論

    反文学論

    小説・文芸
    5.0
    1巻1,650円 (税込)
    抜群におもしろい文芸時評の白眉――1977年から78年にわたり、初期代表作となる『マルクスその可能性の中心』、『日本近代文学の起源』と並行して書かれた、著者唯一の文芸時評集。100人近い現役作家を俎上に載せた短い<時評>と<感想>に、この類稀な批評家のエッセンスが凝縮し、横溢する。転換期に立つ「近代文学」の終焉を明瞭化した記念碑にして、これから文学にかかわる者の、必読の書。 ◎「……この『反文学論』は、著者の批評活動すべてが圧縮されたものだと言える。読者は、本書に対して、まるで「柄谷行人」という映画の予告編をみているような印象をもつであろう。そのことを可能としているのは、ひとえに本書が「文芸時評」という制約を受けていることによるのだ。」<池田雄一「解説」より> ※本書は、1991年11月『反文学論』(講談社学術文庫)を底本としました。
  • 坂口安吾と中上健次

    坂口安吾と中上健次

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,650円 (税込)
    闘う知性が読み解く、事件としての安吾と中上――日本の怠惰な知性の伝統の中で、「事件」として登場した坂口安吾と中上健次。二人は、近代文学の根源へ遡行しつつ、「自然主義」と「物語」の止揚を目指す。安吾は、自らを突き放すような他者性に文学の「ふるさと」を見出し、中上は、構造に還元することなく、歴史の現在性としての「路地」と格闘する。闘う知性としての安吾と中上を論じた、74年から95年までの批評を集成した、伊藤整文学賞受賞作。 ◎「文学」とは、どんな秩序にも属さず、たえず枠組を破ってしまう荒ぶる魂であった。文学をやっている人がすべてそうなのではない。むしろその反対である。文学という枠組を吹き飛ばすようなもの、それが「文学」だった。私と中上は文壇において暴風雨のような存在であった。そして、われわれがともに敬愛していたのが坂口安吾である。(中略)私は安吾を高く評価していた。しかし、小説家としてではない。私にとって、彼の作品は、哲学であり、歴史学であり、心理学あり……、それらすべてをふくむ何か、要するに、「文学」であった。<「著者から読者へ」より>
  • 暗い絵・顔の中の赤い月

    暗い絵・顔の中の赤い月

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,650円 (税込)
    新人・野間宏、戦後日本に颯爽と登場――初期作品6篇収録のオリジナル作品集 1946年、すべてを失い混乱の極みにある敗戦後の日本に、野間宏が「暗い絵」を携え衝撃的に登場――第一次戦後派として、その第一歩を記す。戦場で戦争を体験し、根本的に存在を揺さぶられた人間が、戦後の時間をいかに生きられるかを問う「顔の中の赤い月」。ほかに「残像」「崩解感覚」「第三十六号」「哀れな歓楽」を収録する、実験精神に満ちた初期短篇集。 ――草もなく木もなく実りもなく吹きすさぶ雪風が荒涼として吹き過ぎる。はるか高い丘の辺りは雲にかくれた黒い日に焦げ、暗く輝く地平線をつけた大地のところどころに黒い漏斗形の穴がぽつりぽつりと開いている。その穴の口の辺りは生命の過度に充ちた唇のような光沢を放ち、堆い土饅頭の真中に開いているその穴が、繰り返される、鈍重で淫らな触感を待ち受けて、まるで軟体動物に属する生きもののように幾つも大地に口を開けている。
  • うるわしき日々

    うるわしき日々

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,650円 (税込)
    『抱擁家族』の30年後の姿 老いと家族をテーマの長篇――80を過ぎた老作家は、作者自身を思わせて、50過ぎの重度アルコール中毒の息子の世話に奮闘する。再婚の妻は、血のつながらぬ息子の看病に疲れて、健忘症になってしまう。作者は、転院のため新しい病院を探し歩く己れの日常を、時にユーモラスなまでの開かれた心で、読者に逐一説明をする。複雑な現代の家族と老いのテーマを、私小説を越えた自在の面白さで描く、『抱擁家族』の世界の30年後の姿。
  • 男

    男

    小説・文芸
    4.3
    1巻1,650円 (税込)
    男は黙ってよく働いている だいじにしなければなあと思う 歿後30年。 「男」をめぐる初の随筆選。 羅臼の鮭漁、森林伐採、ごみ収集、救急医療、下水処理、少年院、橋脚工事―― 日常の暮らしを支える現場で働く男性たちに注ぐ、やわらかく細やかな眼差し。 現場に分け入り、プロフェッショナルたちと語らい、自身の目で見て体感したことのみを凜とした文章で描き出す、行動する作家・幸田文の随筆の粋。 (収録作品) 男(濡れた男/確認する/切除/火の人/傾斜に伐る/都会の静脈/まずかった/ちりんちりんの車/救急のかけはし/並んで坐る/橋) ちどりがけ 当世床屋譚 植える 出合いもの いい男 男のひと 素朴な山の男 男のせんたく 男へ
  • 北愁

    北愁

    小説・文芸
    3.5
    1巻1,650円 (税込)
    幼くして母を亡くし、継母と文筆家の父に育てられた才気煥発な娘あそぎ。そのまっすぐな気性は時に愛され、時に人を傷つける。婚家の没落、夫婦の不和、夫の病――著者・幸田文自身を彷彿とさせる女性の波乱の半生を、彼女を取り巻く人々とのつながりの中でこまやかに描きあげた長編小説。
  • 七十句/八十八句

    七十句/八十八句

    小説・文芸
    -
    1巻1,650円 (税込)
    〈ばさばさと股間につかふ扇かな〉――墓石にこの句を刻み、墓碑銘を俳号である「玩亭墓」とのみ記した小説家は、こよなく句作を愛した。人情の機微を卓抜にすくい取る句を選りすぐり、古希と米寿を記念して編まれた句集2冊に、岡野弘彦、長谷川櫂と巻いた未発表の歌仙を併録。生前の姿が浮かび上がる、知と情とユーモア溢れる句の世界。
  • 詩集「三人」

    詩集「三人」

    小説・文芸
    -
    1巻1,650円 (税込)
    反骨の詩人金子光晴と妻・森三千代、息子・森乾が綴った詩を、光晴が手書きで私家製の詩集にまとめあげた、家族愛と戦争への嫌悪に満ちた、貴重な戦中詩集。 戦争よ。/破砕くな。/年月よ。/もつてゆくな。 父とチヤコとボコは/三つの点だ。/この三点を通る/三人は一緒にあそぶ。 (中略)三本の蝋燭の/一つも消やすまい。/からだをもつて互いに/風をまもらふ。(「三点」より)
  • 志賀直哉・天皇・中野重治

    志賀直哉・天皇・中野重治

    小説・文芸
    -
    1巻1,650円 (税込)
    医師として、遅咲きの小説家として、独自の文学世界を築きあげた藤枝静男。平野謙と本多秋五という刺激を与え続けた友人、そして深く傾倒した師・志賀直哉の存在。志賀直哉に関わる作品を中心に名作「志賀直哉・天皇・中野重治」など、藤枝文学の魅力をすくいとった珠玉の随筆選。文学の師に関わる思いと藤枝文学の底流が、ここにある!

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