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潜在的な<妻殺し>を断罪
江戸川乱歩の「パノラマ島綺譚」に影響を与えたとされる怪奇的幻想小説「金色の死」、私立探偵を名乗る見知らぬ男に突然呼びとめられ、妻の死の顛末を問われ、たたみ掛ける様にその死を糾弾する探偵と、追い込まれる主人公の恐怖の心理を絶妙に描いて、日本の探偵小説の濫觴といわれた「途上」、ほかに「人面疽」「小さな王国」「母を恋ふる記」「青い花」など谷崎の多彩な個性が発揮される大正期の作品群7篇。
清水良典
『小さな王国』のような政治小説も、探偵小説も、怪奇幻想小説も、足フェチ小説も、母恋い小説も、みんな谷崎文学という偉大な大樹の、大正期の枝に生った果実である。昭和に入って谷崎文学は急速に日本の伝統に近づき、大家として飛躍的な成長を遂げた。(中略)谷崎の大正期は、決して失われた時代ではない。むしろ作家谷崎が、全力を傾けて拡大と成長に努めた時代だったのであり、その土台が彼を「大谷崎」へと押し上げたのである。――<「解説」より>
Posted by ブクログ 2015年03月28日
7篇収録の短篇集。
「金色の死」は江戸川乱歩の「パノラマ島綺譚」に似ているなと思った。実は逆で、江戸川乱歩が「金色の死」に影響を受けて「パノラマ島綺譚」を書いたとのこと。理想の美を具現化すると気味が悪い。私はディズニ―ランドにも同様の気味の悪さを感じていて自分がおかしいのかと思っていたが、解説では...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年08月19日
これを読み、僕の中では谷崎潤一郎と江戸川乱歩がつながった。怪奇趣味、倒錯趣味、陶酔主義。どちらもいいね!
「金色の死」:破滅的美意識。
「人面疽」:幻惑的不条理。
「小さな王国」:服従の陶酔。
「母を恋うる記」:孤独な追憶。
「富美子の足」:フェチズムの虜。
「途上」:不可解なまでの心理的追及。
「...続きを読む
Posted by ブクログ 2011年03月27日
谷崎潤一郎が、こんな幻想的怪奇的な趣の作品を書いてたということが、この短編集を読んだ最大の発見だ。
人格が抹消された非人称的・匿名的な"何か"、或いはそれに触媒されて自我が溶解・侵犯されてしまうことへの憧憬と恐怖が、様々な意匠を通して繰り返し語られているように感じた。
「...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年09月20日
解説によると、新しい思想、文化の出現、私生活での千代夫人をめぐるトラブルなど、谷崎にとって大正期(関東大震災まで)は試行錯誤の時期だった。
理想の芸術の実現を目指す「金色の死」、撮った覚えのない映画にまつわる「人面疽」、学級を支配する生徒についての政治的な「小さな王国」、6ページに及ぶ足の描写にあ...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年09月25日
金色の死―谷崎潤一郎大正期短篇集
(和書)2010年02月10日 22:49
2005 講談社 谷崎 潤一郎
良い短篇集だった。以前に読んだことがあるのが何作かあった。
「小さな王国」は柄谷行人「日本精神分析」に入っていてそこで読んだことがある。
「金色の死」は印象深い作品だった。
それぞ...続きを読む
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