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潜在的な<妻殺し>を断罪
江戸川乱歩の「パノラマ島綺譚」に影響を与えたとされる怪奇的幻想小説「金色の死」、私立探偵を名乗る見知らぬ男に突然呼びとめられ、妻の死の顛末を問われ、たたみ掛ける様にその死を糾弾する探偵と、追い込まれる主人公の恐怖の心理を絶妙に描いて、日本の探偵小説の濫觴といわれた「途上」、ほかに「人面疽」「小さな王国」「母を恋ふる記」「青い花」など谷崎の多彩な個性が発揮される大正期の作品群7篇。
清水良典
『小さな王国』のような政治小説も、探偵小説も、怪奇幻想小説も、足フェチ小説も、母恋い小説も、みんな谷崎文学という偉大な大樹の、大正期の枝に生った果実である。昭和に入って谷崎文学は急速に日本の伝統に近づき、大家として飛躍的な成長を遂げた。(中略)谷崎の大正期は、決して失われた時代ではない。むしろ作家谷崎が、全力を傾けて拡大と成長に努めた時代だったのであり、その土台が彼を「大谷崎」へと押し上げたのである。――<「解説」より>
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Posted by ブクログ
7篇収録の短篇集。
「金色の死」は江戸川乱歩の「パノラマ島綺譚」に似ているなと思った。実は逆で、江戸川乱歩が「金色の死」に影響を受けて「パノラマ島綺譚」を書いたとのこと。理想の美を具現化すると気味が悪い。私はディズニ―ランドにも同様の気味の悪さを感じていて自分がおかしいのかと思っていたが、解説ではずばりその点について指摘されていて安心した。ディズニ―ランド大好きな人が多いのであまり大きな声では言えないけれど。
「富美子の足」の足フェチぶりはおもしろい。富美子の足の素晴らしさについて滔々と語られる。そんなに良いのか、足が。
「小さな王国」は世にも奇妙な物語的で印象に残る。謎の転校生が学校内でリーダーとして頭角をあらわし、ついには教師までもその配下におさめてしまうまでの過程。
谷崎潤一郎の作品を読むのは今回が初めて。「細雪」「痴人の愛」「春琴抄」などの有名な作品も読んでみたいと思った。
Posted by ブクログ
解説によると、新しい思想、文化の出現、私生活での千代夫人をめぐるトラブルなど、谷崎にとって大正期(関東大震災まで)は試行錯誤の時期だった。
理想の芸術の実現を目指す「金色の死」、撮った覚えのない映画にまつわる「人面疽」、学級を支配する生徒についての政治的な「小さな王国」、6ページに及ぶ足の描写にあっけにとられる美脚賛歌「富美子の足」、探偵との会話によって次第に真相が明らかになる「途上」など、いろいろなタイプの作品が収録されているが、どれも後の作品に通じる要素を含んでいる。(一見まじめに思える人物が、急に変貌する(正体を現す)というのもそのひとつ)
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