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一匹の猫を中心に、猫を溺愛している愚昧な男、猫に嫉妬し、追い出そうとする女、男への未練から猫を引取って男の心をつなぎとめようとする女の、三者三様の痴態を描く。人間の心に宿る“隷属”への希求を反時代的なヴィジョンとして語り続けた著者が、この作品では、その“隷属”が拒否され、人間が猫のために破滅してゆく姿をのびのびと捉え、ほとんど諷刺画に仕立て上げている。
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Posted by ブクログ
甲斐性なしの庄造と追い出した元妻、心ならずも一緒なった妻の三人の心理戦で話が進むが、そこに飼猫リリーが介在することで自意識に縛られ素直になれない人間たちを風刺する。リリーのオナラの場面笑った^_^
飼い猫を溺愛している庄造、気性の激しい若妻福子、元夫に未練たっぷりの先妻品子の三人が織りなす大谷崎中期の中編小説。物語の鍵となるのは雌猫のリリー。ペルシャ猫の血が入った彼女の愛らしさと主人公の溺愛っぷりが本書の読みどころの一つである。二人の女のそれぞれの思惑でリリーは品子に譲渡されることに。気風の良...続きを読むい母親おりんと嫉妬深い福子に頭が上がらない庄造は愛猫恋しさに懊悩する。 谷崎特有のマゾヒズムの影も見えつつユーモアに溢れ、猫好きは勿論、犬派やハムスター派にもお勧めの軽やかな一冊。
akikobbさん、111108さんにおすすめしていただいて。 面白かった! 字が小さい文庫しかないんだよなあと敬遠していた作品だったけれど、文字サイズなんて読み始めてすぐ気にならなくなった。 とにかく猫のリリーが気まぐれさも含めて可愛く、いじらしく、翻弄されてしまうのも無理ないと思うほど。 キ...続きを読むュートでワガママな女(今回の場合は主に雌猫)に振り回されたいという谷崎先生のフェチが、本作でも詰め込まれている。 品子も庄造も、人間のごたごたのせいでリリーを振り回してしまっているのをかわいそうに思ううちに、「誰にもまして可哀そうなのは自分ではないか」という思いに駆られるように、猫と比べて人間の滑稽さが際立つ。 特に庄造。ラストシーン、2人の女から逃げ回って、なんとか猫に遊んでもらおうとする姿は情けなすぎるけれど愛すべき腰抜けという感じで、おすすめいただいた時の「庄造はある意味可愛い」というセリフの意味がわかった(笑) こういう男に執着しちゃう2人の女の気持ちも分かる。 情念に翻弄される卑俗な姿こそが、人間らしさなのかもしれない。
猫が一番!女房はそれ以下!!何という男よ。谷崎の短い長編だが、田辺聖子さんか?と思うくらい軽快でユーモア垣間見えるナイスな一冊。小心者でろくでなし男、庄造。策略家で我の強い元妻・品子。小金持ちの娘でふしだらな現妻・福子。こんな三角関係の絶対的トップに君臨するのはリリーちゃん。美しきメス猫。庄造は恋人...続きを読むのようにリリーを愛することから、不穏な元妻と現妻。そんなドタバタ話だが、とにかくリリーが可愛すぎ。猫を飼ったことがない私にも、猫の魅力が存分に伝わる描写が流石。で、ラスト、ここで終わるの!?という唐突さに驚き。
☆3.5 題名そのまま 庄造がかはいがってゐたリリーが先妻の品子に奪はれ、猫を送った後妻の福子にはせいせいされるといふ人間模様が書かれてゐる。 とりたてて起伏のあるといふわけではないが、一匹の猫と単純なストーリーでここまで人間関係をふくらませられる力量と、ほとんど説明描写しかない物語なのに、手を...続きを読む替へ品を替へ文章がすらすらとつづくのは、さすが面白く読めた。 むかし丸谷才一がほめてゐて、それは『別れの理由』に載ってゐる。
初めての谷崎潤一郎作品。猫と生きたことがある人には、たまらない。リリーちゃんが文字の上で生きていた。こんなに短い文章なのに、リリーちゃんと共に生きたようだった。心が荒んだ時、猫に慰められたこと。時折五月蝿く鳴く猫が鬱陶しいと思ったこと。猫が見当たらず寂しいと思ったこと。何度も感じた想いが蘇る。これは...続きを読む庄造と福子と品子の物語ではなく、リリーちゃんを魅せてくれる一冊。ヒトという生物に飼い慣らされたフリをしてくれていて、猫は素直じゃないから可愛いだとか、猫は嬉しいと喉を鳴らすのだと判ったような顔をされながら、実はヒトを飼い慣らしているという、恐ろしくも愛らしい獣を描いた至極の一冊。 とにかく、猫に会いたいと思う。触れたくなる。触れていたあの瞬間を思い出す。 触れたいと思うと触れられず、きっと来ないと諦めると、ふとそばに寄って来る。彼女たちは宇宙が与えた、小さく恐ろしい悪魔。ああ、永遠に人間は、この悪魔の虜なのだろうと心底感じた。 それに終わり方が秀逸だった。結局は、猫を描く気しかないというわかりやすさに妙に心奪われた。 未だに死んでしまった飼い猫を忘れられない私の、記憶を呼び起こすツールをもう一つ見つけてしまった。
女よりも牝猫を愛する男。 牝猫に嫉妬する二人の女(前妻と現妻)。 二人の女よりも牝猫を愛する庄造の気持ちが、だんだんと分かってくる。 他愛もない題材で、男女の関係の機微をユーモア込めて描き切る、文豪谷崎恐るべし。
多かれ少なかれ人間なんて所詮、愛の奴隷なのだなぁ。未練がましくあたふたとする人間たちを横目に、気ままに暮らす猫の姿のなんと対照的なこと。アイロニーたっぷりで読みやすい作品でした。
読みやすい本だった。猫を中心に嫉妬の感情がよく見られていたり人間の遠回しに何か行動をする様が面白かった。3人の大人達が色々と考えているところ猫のリーはいつも呑気に過ごしているのがすごくよい。
めちゃくちゃ面白かった。谷崎やっぱりすごい。解説で「愛とは他ならぬ”隷属”であり、幸福とは”隷属の幸福”以外にありえない」という表現があったが、まさに谷崎文学の本質の一つだという感じですし、やっぱり人はみな猫の可愛さの前では奴隷になるしかないのですよ。
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猫と庄造と二人のおんな
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谷崎潤一郎
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