講談社文芸文庫作品一覧
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3.0対照的な文学的軌跡をたどりながら、最終的にはともに自死を選んだ芥川龍之介と太宰治。「近代的自我」の問題を問うた福田恆存が、その問題意識から二人の傑出した作家に見出したものは何だったのか。初期の作家論を代表する「芥川龍之介I」をはじめ、戦後に書かれた「芥川龍之介ll」、太宰の死の前後に書かれた二つの評論を所収。独自の視点で描かれた傑作文芸評論集。
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4.0現実と非現実の交錯を描く芥川賞受賞作。石に異常な執着を示す男の人生。長男の死、妻の狂気、次男の学生運動、夢と現実の交錯のなかで描かれる奥泉光の芥川賞受賞作。他に「浪漫的な行軍の記録」所収――太平洋戦争末期、レイテで、真名瀬は石に魅せられる。戦後も、石に対する執着は、異常にも思えるほど続くが、やがて、子供たちは死に弄ばれ、妻は狂気に向かう。現実と非現実が交錯する、芥川賞受賞作「石の来歴」。兵士たちの、いつ終わるとも知れぬ時空を超えた進軍、極限状況の中でみたものは……。帝国陸軍兵士の夢と現を描く、渾身の力作、「浪漫的な行軍の記録」所収。
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-萩原朔太郎が「日本に尚一人の詩人がある」と激賞した伊東静雄の第一詩集『わがひとに与ふる哀歌』。その詩群に魅了された著者が伝記的通説を排除し、註釈に徹した画期的詩人論。『哀歌』全篇に用心深く隠された連繋を、「私」と「半身」というふたりの擬作者に割り振り、『古今和歌集』、ヘルダーリンの詩、セガンティーニの絵に範例を求めつつ詩人の「意識の暗黒部との必死な格闘」を読み解く。
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-ウィーン、カイロ、シリアを経てコンスタンチノープルへ。『東方紀行』は異国への憧憬と幻想に彩られながら、オリエンタリズムの批判者サイードにさえ愛された、遊歩者(フラヌール)ネルヴァルの面目躍如たる旅行記であった。四十代で縊死、時を経てプルースト、ブルトンらにより再評価された十九世紀ロマン派詩人ネルヴァルの魅力をみずみずしい筆致で描く傑作評論。読売文学賞(研究・翻訳賞)受賞作。巻末に、東京大学文学部での最終講義「ネルヴァルと夢の書物」を収録。
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5.0戦後、一世を風靡した大流行作家・石坂洋次郎。小説『青い山脈』は映画化され、1949(昭和24)年に封切られると同時に大ヒットし、その主題歌とともにほとんど戦後民主主義の代名詞と見なされるにいたりました。以後、石坂原作の映画が封切られない年は、1960年代後半までありませんでした。それほどの流行作家だったのです。しかし、70年代に入るやいなや、その流行はあっという間に衰えてしまいました。かつて『青い山脈』を明朗健全であるがゆえに評価し、暗くなりがちな戦後に爽やかな風を送ったとして称賛した読者が、こんどはその明朗健全さに飽きてしまったのでしょうか? いずれにせよ、石坂は「忘れられた作家」のひとりとなりました。しかし、石坂には、明朗健全以上に重要な特徴があると編者の三浦雅士さんは言います。それは「女を主体として描く」という特徴です。主人公と言わずに主体と言うのは、女は主人公であるのみならず、必ず、主体的に男を選び主体的に行動する存在として描かれているからです。女は見られ選ばれる客体である以上に、自ら進んで男を選び、男に結婚を促し、自分自身の事業を展開する主体なのです。明朗健全な爽やかさはこの主体的な女性が結果的に醸し出すのであって、逆ではありません。この特徴に誰も気づかずにいたのは驚くべきこと、「明朗健全なるがゆえに売れっ子となり、またそれゆえに忘れられた作家」などというのがいかに浅薄な見方であったか、いまや思い知るべき時が来たと三浦さんは説きます。かくして選び出された「女性の主体的な生き方の最終的な姿を示してほとんど常識を覆す域に達している」短編9編。いまこそふたたび石坂作品の魅力を多くの読者に知ってほしいとの思いから選ばれた傑作です。
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-昭和の名人、六代目三遊亭圓生。名実ともに絶頂期にあった名人は己の芸を『三遊亭圓生人情噺集成』『圓生百席』として後世に残した。このレコードをプロデュースしたのが若き日の著者である。はじめての訪問、録音室の内外での濃密なやりとり、突然の別れれ……。愛惜をこめて描かれる“稀代の芸の鬼”の情熱と素顔。
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4.0『沈黙』から『深い河』にいたる代表的純文学長篇小説の源泉ともいえる短篇の数々――遠藤周作には、代表的長篇小説が多くあるが、それぞれの長篇には、源泉となる短篇作品がある。その遠藤文学の核となる13の名短篇を集めた。「シラノ・ド・ベルジュラック」「パロディ」「イヤな奴」「あまりに碧い空」「その前日」「四十歳の男」「影法師」「」「母なるもの」「巡礼」「犀鳥」……遠藤周作の文学・人生・宗教観がすべてわかる短篇集。 ※本書は、『遠藤周作文学全集 第6~8巻』(1999年10~12月 新潮社刊)を底本としました。また『天国のいねむり男』は全集・文庫など未収録作品です。
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4.3※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 百人一首に秀歌はない――かるた遊びを通して日本人に最も親しまれる「小倉百人一首」(藤原定家・撰)にあえて挑戦、前衛歌人にして“現代の定家”とも称されたアンソロジスト塚本邦雄が選び抜き、自由奔放な散文詞と鋭い評釈を対置した秀歌百。『定家百首』『百句燦燦』と並び塚本美学の中核であると同時に、日本の言葉の「さはやかさ」「あてやかさ」を現代に蘇らせんとする至情があふれる魂魄の詞華集である。
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4.0蘇える木枯しの文士“どうで死ぬ身の一踊り”を実践し、自ら破滅へと向かった大正・昭和初期の私小説家。その生涯を賭した、不屈の「負」の結晶。藤澤清造生誕一三〇周年貧苦と怨嗟を戯作精神で彩った作品群から歿後弟子・西村賢太が精選し、校訂を施す。新発見原稿を併せ、不屈を貫いた私小説家の“負”の意地の真髄を照射する。芝公園で狂凍死するまでの、藤澤清造の創作活動は十年に及んだ。貧苦と怨嗟を戯作精神で彩ったその作品群から歿後弟子・西村賢太が十九篇を精選、校訂を施す。不遇作家の意地と矜恃のあわいの諦観を描く「狼の吐息」、内妻への暴力に至る過程が遣る瀬ない「愛憎一念」、新発見原稿「乳首を見る」、関東大震災直後の惨状のルポルタージュ等、不屈を貫いた私小説作家の“負”の真髄を照射する。西村賢太登場時すでにして古めかしいと評され、冷笑視されてもいたその文体だが、当然、小説が日記やレポートの類と違うのは、それが読者に読ませるものでなければならない点にある。その上では何んと云っても文体がモノを言ってくるわけだが、清造の場合、自らの古風、かつ独自の文体をより強固に支えるに戯作者の精神を持ってきた。そこが良くも悪くも、凡百の自然主義作品とは大きく異なるところである。「解説」より
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4.0男は黙ってよく働いている だいじにしなければなあと思う 歿後30年。 「男」をめぐる初の随筆選。 羅臼の鮭漁、森林伐採、ごみ収集、救急医療、下水処理、少年院、橋脚工事―― 日常の暮らしを支える現場で働く男性たちに注ぐ、やわらかく細やかな眼差し。 現場に分け入り、プロフェッショナルたちと語らい、自身の目で見て体感したことのみを凜とした文章で描き出す、行動する作家・幸田文の随筆の粋。 (収録作品) 男(濡れた男/確認する/切除/火の人/傾斜に伐る/都会の静脈/まずかった/ちりんちりんの車/救急のかけはし/並んで坐る/橋) ちどりがけ 当世床屋譚 植える 出合いもの いい男 男のひと 素朴な山の男 男のせんたく 男へ
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