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蝸牛庵・幸田露伴との若き日の出会いから、その凄絶、荘厳な終焉の日までの“日常”の比類なき記録。該博な知識、不羈の精神、巨大な文学空間を展開する“文豪”露伴の、慈父のごとき姿をあざやかに捉える、小林勇のエッセイ文学の名著『蝸牛庵訪問記』。
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Posted by ブクログ
名作。年若い編集者(筆者)と幸田露伴との交流を描いている。 全体の流れや個々の文章には、少々不味い部分も垣間見えるのだけれど、そういった技術を凌駕して光るものがある。 是非、ラストまで読んで欲しい。 機会があれば映像化して欲しいんだけど、無理かね。 ちなみに小林勇は岩波書店社長。岩波新書の発行など...続きを読む、現在の岩波の体制を築いた。
1926年からその死まで、岩波書店の編集者として幸田露伴に親しく交流した著者が、露伴によって語られたことばを記している本です。 幸田文のエッセイでは、掃除のしかたをはじめ生活のなかの心がけについて教え諭す厳父のイメージが強い露伴ですが、著者との気の置けない会話のなかでは博識に裏づけられたユーモアを...続きを読む示しており、また、ときにわがままになったり気弱なところを見せたりと、思いがけない露伴の側面が記されています。 露伴の娘の文が、「墨子」を「牧師」とカン違いした若いころのエピソードも紹介されており、いまでは日本語の名手として名高い文も著者にかかれば形無しです。その一方で、露伴の死が近づいてくるなかで切迫した状況に置かれている文をはじめ周囲の人びとの心遣いなども、多少当事者から離れた視点から記されています。
作家幸田露伴の担当になってからその作家の死ぬまでの20年間の記録。 地方在住作家が増えた現在、公私ともここまで密にする作家と編者は皆無だろう。編者が特高に捕まった際露伴からの手紙が届いた。当時のことだからもちろんプライバシーなんかないんで中身も警察に読まれた。 露伴はこの時信州に疎開していた。 ...続きを読む細やかで編者を心配する手紙で、警察もそれが単なる作家と編者の関係で片づけられるものではない、と判断され、さらなる拷問が続いたそうだ。 読み終わって、その文章や娘文さんや孫の玉さんの描くのとは違う、露伴を想った。身内には厳しい、博学で妥協を許さないその著書の数々(『五重塔』は2回読んだけど未だ解説書と首っ引きの駄読者の私)。 でも、編者には釣りを教え、一緒に食事をし、旅行にも出かけた、ハイカラで豪快な面を見せていた。 ともすれば「長生きしすぎた頑固ジジイ」にもとられそうなんだけど、これ読んだらそうでもなかった。酒好きの糖尿じいさんだ。 露伴の文章苦手だけど、これはよかった。 あと寺田や岩波茂雄、若き日の斎藤茂吉なんかもでてきて文学史の一端見た気がする。
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