抹香町 路傍

抹香町 路傍

990円 (税込)

4pt

3.9

文学に憧れて家業の魚屋を放り出して上京するが、生活できずに故郷の小田原へと逃げ帰る。生家の海岸に近い物置小屋に住みこんで私娼窟へと通う、気ままながらの男女のしがらみを一種の哀感をもって描写、徳田秋声、宇野浩二に近づきを得、日本文学の一系譜を継承する。老年になって若い女と結婚した「ふっつ・とみうら」、「徳田秋声の周囲」なども収録。

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抹香町 路傍 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    究極の私小説家と言われる長太郎の作品を初めて読んだ。長太郎の身の回り半径5mに起きた出来事が題材という感じなので、確かに”究極”の私小説なのだが、私小説と言われると違和感があった。それが、作品全体の”即物的”な乾いた感覚であることに思い当たった。いわゆる私小説的な情緒、情感といったところは無い。

    0
    2025年01月09日

    Posted by ブクログ

    基本的に繰り返しという意味ではハルキさんと同であるはずなのに川長さんは何故にこれほど読ませるのか。私小説ならではの味わいと限界を示してくれた。

    0
    2024年06月03日

    Posted by ブクログ

    川崎長太郎を初めて読みました。
    徳田秋声、宇野浩二の流れを汲むとは知らなんだけど、この流れは西村賢太にも続いていると思う。

    年老いた頃の作品も多くあり、過去の回想も交えながらも、静かに時間を眺める視線は読んでいて安心感をすらおぼえる。

    芥川や太宰とは違い、長々と生き抜く。それは見方によっては退屈

    0
    2024年01月22日

    Posted by ブクログ

    主人公は文学に憧れて家業を放り出して上京するが食えずに生家に戻り、実家からほど近い海岸にある漁師が網などを保管する物置を住処に寝起きする50過ぎのダメ男。

    定職もなく妻もなく、物置小屋をねぐらに、ビール箱を机に私小説や匿名批評などを書き送って暮らしをたてる、負け組、駄目男の日常を綴った私小説を集め

    0
    2018年01月11日

    Posted by ブクログ

    講談社文芸文庫ダメ人間私小説といえば葛西善蔵、嘉村礒多、そしてこの川崎長太郎である。
    奇しくも「か」から名前が始まるこの三人の作品が書店で近くに並んでいることを考えると恐ろしい偶然を感じる。
    誰だって己の芸術に可能性があるのならば貧しい魚屋家業など継ぎたくはないのだ。
    いや可能性はなくとも魚屋

    0
    2012年03月22日

    Posted by ブクログ

    しっかりしろよーと言いたくなる作者の、私小説。
    でもついつい読んでしまうのはなんでだろう。好きなんだろうなぁ、この時間の流れが。

    劇的な何かが起こるわけでもない。
    きっとみんな、こうした人生を送っている。

    0
    2017年09月11日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    つげ義春が「貧困旅行記」所収の「大原・富浦」で、「ふっつ・とみうら」に言及していたので知った作家。
    その後、西村賢太界隈でも見聞きして気になっていた。
    確かにそのふたりがラブコールを送るだけある。
    文体も面白くて、わざと助詞を飛ばす砕けた表現。
    「根が云々」に似た言い回しも一冊の中で数回登場した。

    0
    2025年06月02日

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