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  • New Manual
    4.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 これは文学×ファッションで起こす事件だ! 日本を代表する豪華執筆陣とカリスマ的ヴィンテージデニムブランドによる豪華アンソロジー。 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
  • 竪琴を忘れた場所 辻邦生短篇選集 Lumière
    -
    1巻2,970円 (税込)
    老境の弁護士、詩人、すれ違い始めた男女が、それでもなお「今ここに在ること」の素晴らしさを歌いあげる。光に満ちた八篇を著者への深い敬愛を込めて編者が選ぶ。生誕一〇〇年記念。 「人間の生きる姿」と「地上に存在するよろこび」を訴えていた辻邦生の仕事は、どこか孤立しているようにさえ感じられた。逆に言えば、彼の強さはまさにそのような孤立をものともせず、いついかなるときも、コリン・ウィルソンの言う「〈すべては素晴らしい〉という唐突な感情」のわきでる泉に向かって、探索者のように進んでいく膂力を有していたところにあるだろう。 堀江敏幸「噴水の水滴になること――『竪琴を忘れた場所』解説にかえて」より
  • 鳥たちの横切る空 辻邦生短篇選集 Ombre
    3.0
    1巻2,970円 (税込)
    第二次大戦の癒えぬ傷を抱く学生たちの一夏を描く初期作品から、晩年の知的企みに満ちた意欲作まで。ひたすらに真実を求める人生の陰翳を描き出す精選六篇。生誕一〇〇年記念出版。全二巻。  今回、生誕一〇〇年を記念して、この膨大な作品群から四六判二巻本のアンソロジーを編む役割を仰せつかった者としてみずからに課したのは、できるだけ幅広い時期から選出すること、執筆時期や舞台が異なっても相通じる要素のある作品を二作ずつ組んで流れをつくり、その色合いと感触で陰と陽にふりわけることだった。最初にお届けする本書『鳥たちの横切る空』に翳り「Ombre」、次巻の『竪琴を忘れた場所』に明るみ「Lumière」と副題を付けたのはその結果である。 (堀江敏幸「空に織り込まれること――『鳥たちの横切る空』解説にかえて」より) (目次から) 洪水の終り 聖堂まで 献身 探索者 叢林の果て 鳥たちの横切る空 空に織り込まれること――『鳥たちの横切る空』解説にかえて(堀江敏幸)
  • 竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記
    4.0
    絢爛豪華に花開いた平安王朝の珠玉の名作を、人気作家による新訳・全訳で収録。最古の物語「竹取物語」から、一人の女性の成長日記「更級日記」まで。千年の時をへて蘇る、恋と冒険と人生。 竹取の翁が竹の中から見つけた“かぐや姫”をめぐって貴公子五人と帝が求婚する、仮名による日本最古の物語、「竹取物語」。在原業平と思われる男を主人公に、恋と友情、別離、人生が和歌を中心に描かれる「伊勢物語」。「虫めづる姫君」などユーモアと機知に富む十篇と一つの断章から成る最古の短篇小説集「堤中納言物語」。「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとしてするなり」、土佐国司の任を終えて京に戻るまでを描く日記体の紀行文、紀貫之「土左日記」。十三歳から四十余年に及ぶ半生を綴った菅原孝標女「更級日記」。燦然と輝く王朝文学の傑作を、新訳・全訳で収録。 解題=島内景二 解説=池澤夏樹 月報=小川洋子・津島佑子
  • これでいくほかないのよ
    3.0
    1巻2,090円 (税込)
    いつまでも終わらない物語のはじまり     世界を旅してきた写真家が十年の時をまたぎ、 フォークランドと広東省で経験した驚くべき偶然とは…… (「スルメと空豆ご飯」)     職を失ったホステスとバンドマンがバーで出会い、 店長の話をきっかけに、町に団子屋を復活させようと動き出す…… (「これでいくほかないのよ」)     ふとした会話と、少しのつながりから生まれる八編。 今なお斬新、最新短編集。 -------------------------------------- 【目次】 ■六十四年インパラ ■人生は野菜スープ ■スルメと空豆ご飯 ■「今日は三月十二日です」 ■エスプレッソ ■銀座化粧 ■夜景が見えます ■これでいくほかないのよ ■あとがき --------------------------------------
  • 掌篇歳時記 秋冬
    3.6
    綿柎開(わたのはなしべひらく)、水始涸(みずはじめてかるる)、朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)――。季節を表す言葉を鍵に、物語は膨らんでゆく。十二人の作家の想像力で、旧暦「二十四節気七十二候」が現代の物語に生まれ変わった。六世紀ごろに大陸から伝わり、改暦を重ねながら明治の初めまで用いられてきた旧暦。そこには春夏秋冬の四季に留まらない、さらにこまやかな季節が織り込まれている。大暑や立秋、大寒といった季節の節目を表す二十四節気と、「地始凍」「熊蟄穴」など、動植物や空模様がそのまま季節の呼び名に採り入れられている七十二候。古来伝わる“季節の名前”が現代の作家たちを刺激し、味わい豊かな掌篇に結晶した。<旧暦の魅力を知る解説つき>」*電子版には筒井康隆「蒙霧升降」は収録されていません。西村賢太「乃東枯」重松清「鷹乃学習」町田康「大雨時行」長野まゆみ「綿柎開」柴崎友香「玄鳥去」山下澄人「水始涸」川上弘美「蟋蟀在戸」藤野千夜「霎時施」松浦寿輝「地始凍」柳 美里「朔風払葉」堀江敏幸「熊蟄穴」白井明大「輪のようにめぐる季節のさなかで 二十四節気七十二候について」
  • コミックス作家 川村リリカ
    4.0
    1巻1,980円 (税込)
    三十歳の美しいコミックス作家・川村リリカと、同い年の敏腕編集者・野崎百合子。「俺」「お前」と呼び合う可憐な二人が、喫茶店で、イタリアンで、カツカレーの店で、新作の打ち合わせをする。「それはそのままタイトルになるね」「なるね。メモしとこう」。物語はどのように生まれるのか。創作の秘密が垣間見える連作集。 〈挿画〉牛久保雅美 【目次】 きみはミステリーだよ いまのような密会の時間 荒野は誘惑する スクランブルド・エッグス二個をかきこむ 苦手なものはありますか 豆腐とケチャップで微笑する 梨を切ろうとしたとき オーガズムと自分の現在 裸でプッタネスカ 青い色にからめ捕られて フレンチフライドポテト 雨のコカコーラ
  • 窓の外を見てください
    3.2
    1巻1,980円 (税込)
    江國香織さん、陶酔! 小説風に書くと、“「革新的? 確信犯的? なんといっていいかわからないわ、でも、すみずみまでほんとうにおもしろい」と香織は言った。「小説のなかで何度も発生するのね、小説が」そう続け、「それにしても、きび団子」と感に堪えたように呟いて、「こんな小説、片岡義男にしか絶対に書けないわ」と、幸福そうなためいきをついた”のでした。デビューしたばかりの青年作家・日高は、勝負の2冊目執筆のため、かつて親しかった3人の美女を訪ねようと思い立つ。その間にも、創作の素材となる出会いが次々に舞い込んできて……。小説はどのように発生し、形になるのか。めぐり逢いから生まれる創造の過程を愉しく描く。瑞々しい感性を持つ80歳の“永遠の青年”片岡義男、4年ぶりの最新長篇。
  • くわえ煙草とカレーライス
    3.3
    1巻1,980円 (税込)
    昭和の喫茶店に誘われるように出会う男と女、漂う音楽、そして本と珈琲とカレーライス……滝口悠生氏推薦!奇跡のような「日常」がここにはある。片岡義男が贈る、至極の7篇。
  • カレーライスと餃子ライス
    3.0
    〈今日の夕食は何にしようかなと思案しながら、 夕暮れの靖国通りをひとり歩く幸せ。〉 幸福な食事はどこにある? 神保町、下北沢、京都……専用スプーンを胸にひそませ、今日も続くカレー漂流。 そして青春の食事には、餃子ライスが必要だ。はたしてそんな食事は見つかったか。 記憶と幻想で紡がれる物語。 * * * 1 カレーライスは漂流する 母親の黄色いカレーライス 今日はカレーライスよ! どんなカレーライスにももはや驚かない 火事を見ながらカレーライス 木製の専用スプーン 京都カレーライス再訪 鴨南蛮カレーうどん、ナインボール カツカレーのはしご 白いご飯はありますか 涙も一緒にスプーンで食べた 僕のカレーライスにはお肉をたくさん入れてください カレーライス小説を考える 他 2 餃子ライスはひとりで食べる夕食の幸せ どしゃ降り餃子ライス 珈琲にしましょうか なんとかならないかしら 僕の餃子は二人前 消しゴムを買う 今夜はひとり飯
  • あきらめる
    3.7
    登山で頂上まで行く? 途中で降りられる? 「『あきらめる』って言葉、古語ではいい意味だったんですってね。『明らかにする』が語源らしいんです」 近所の川沿いを散歩するのが日課の早乙女雄大。 入院中の愛する人との残り少ない日々の過ごし方や、 ある告白をきっかけに家を出てしまった家族のこと、 あれこれと思い悩みながら歩いていると、親子風の二人組に出会う。 親に見える人は何やら思い詰めた表情で「自分の人生をあきらめたい」と言う…。 ふとしたきっかけで生まれた縁だったが、 やがて雄大は彼らと火星に移住し、「オリンポス山」に登ることを決意する…!? 「あきらめる」ことで自らを「あきらかにしていく」―― 火星移住が身近になった、今よりほんの少し先のミライが舞台の新感覚ゆるSF小説。
  • と、彼女は言った
    3.5
    1巻1,771円 (税込)
    小説、エッセイ、翻訳、写真と幅広い分野で活躍を続ける作家・片岡義男の最新小説。7つの物語の主人公は、いずれも「作家」。男と女、女と女、男と男…喫茶店、バー、古書店など、様々な場所での出会いに始まる物語から人生のきらめく瞬間を鮮やかにとらえる、魅惑の片岡義男ワールドへようこそ。
  • この冬の私はあの蜜柑だ
    4.0
    1巻1,771円 (税込)
    高3の夏、水着姿で自転車に乗った美樹子が差し出した葡萄味のアイスキャンディーを、明彦は今もはっきり覚えている――(「愛は真夏の砂浜」)。かつての同級生、兄と妹、客と店員、編集者と作家、元夫婦。都市の一角ですれ違い、向き合い、別れていく男と女の姿を、研ぎ澄まされた文章で、譜面に音楽を刻みつけるように描く。音楽、スニーカー、ラジオ……あるテーマを出発点に想像力が鮮やかに紡ぎだす、魅惑の9篇。
  • ミッキーは谷中で六時三十分
    3.7
    1巻1,771円 (税込)
    ふと入った喫茶店で突然、独身の娘のおまけつきで喫茶店をやらないかと誘われた柴田は……!?(「ミッキーは谷中で六時三十分」)。翻訳家の西野は打ち合わせの時も、建て替えの相談の後も、母が亡くなった日も、いつもの店でコーヒーを飲んだ(「タリーズで座っていよう」)。東京の街を舞台に記憶と言葉、男と女を描いた魅惑の7篇。今こそ片岡義男を読むべき時であることを印象づける、鮮やかに研ぎ澄まされた作品集です。
  • ミライの源氏物語
    4.0
    現代人が「源氏物語」を読むときのハードルとなるのは、ひとつは言葉の違い(古文の読解)、そしてもうひとつは倫理観や社会規範の違いです。本書は、社会の在り方に長く向き合ってきた作家・山崎ナオコーラさんが、深く愛する古典「源氏物語」について、現代人ならではの読み方を考えます。より現代的な訳を目指した「ナオコーラ訳」も読みどころのひとつ。
  • 清とこの夜
    4.0
    1巻1,760円 (税込)
    「大将、このお店、潰さないでよ」古びた居酒屋の無骨な店主・清を前に、常連客は今宵も上機嫌。定年退職を目前に妻の愛を確かめたくなった男、息子に捨てられたと嘆くシングルマザー、年の離れた妻が自慢の男と内心で夫に毒づく妻――それぞれの抱える願望や屈託が、酔うほどに顔をのぞかせて……。このカウンターで盃を傾ければ、人生の滑稽さがにじみ出る。哀切と笑いの酒場小説。
  • ボーイミーツガールの極端なもの
    3.8
    1巻1,760円 (税込)
    恋愛未経験のおばあさんが喫茶店の店主に出会い、管理栄養士を目指す大学生は野球選手との結婚に憧れ、子育てを終えた中年の女性がファッションデザイナーと巡り合う。引きこもりニートは松田聖子に恋慕し、その弟は誰に対しても自分から「さようなら」を切り出せず、兄弟の父親は妻と再会する。人と接するのが苦手な少女は思いがけず人気アイドルになって、アイドルの付き人は嫉妬に苦しみ、三流俳優は枕を濡らす。植物屋の店主は今日も時間を忘れてサボテン愛に耽る。年齢も性別も境遇も異なる男女が出会い、恋をし、時には別れを経験する。「絶対的な恋なんてない」不格好でも歪でもいい、人それぞれの恋愛の方法を肯定する連作小説集。人気多肉植物店・叢-Qusamura-の店主・小田康平が植物監修を務める。
  • ブスの自信の持ち方
    3.7
    ブス本人は変わらなくていい! 社会が変わる! 容姿差別は、気にする方が「気にしないように」と考えや容姿を変えるのではなく、加害者の方が変わる方がいいんじゃないかな。 被差別者が変わるんじゃなく、社会が変わった方がいいんじゃないかな、と書きました。 (山崎ナオコーラ) 性別とは? 差別とは? 社会とは? よみもの.comでの好評連載がついに書籍化! ---------------------------------------------------------------------------- “「ブスには自信を減らしてほしい」という考え方には与しない。” うん、最高! 現代社会に燦然と輝く希望の書。 はるな檸檬さん(漫画家)推薦。 ---------------------------------------------------------------------------- 社会を変えたいと思う。 私はこれまで、他のテーマで書いたエッセイの中に、「ブス」という単語をちらりと紛れ込ませたことが何回かあった。 すると、大きな反響があった。多くの人が「ブス」という言葉に関心を持っているようだ。 ただ、その反響の多くが、「頑張ってください」というものだった。 つまり、「『“ブス”という単語が出てくる文章』=『劣等感の放出』」と捉えられてしまうのだ。 慰めたり応援したりするのが読者の務め、と思わせてしまう。 「社会は変えられない。だから、『ブス』に関する文章っていうのは、個人の苦しみを吐露するだけのものだ。 その言葉を聞いたり読んだりしたら、個人を応援し、個人の気持ちを緩和させてあげなくてはならない」と多くの人が考えてしまう。 違う、と私は言いたい。「ブス」は個人に属する悩みではない、社会のゆがみだ。社会は変えられる。 (あとがきより)
  • 万年筆インク紙
    4.0
    自分の思考が文字となって紙の上に形をなす。自分の頭の中から、自分の思考をもっとも良く引き出してくれるペン、インクの色、そしてノートブックとは―。作家・片岡義男が道具から「書く」という仕事の根幹について考えた刺激的な書き下ろしエッセイ。
  • あとがき
    -
    あとがき・から始まる/あとがき・から読む/あとがき・から考える/あとがき・から見えてくる/あとがき・で語る/作家・片岡義男のエッセンスが満載! 「ぼくは〈あとがき〉を書くのが大好き。〈あとがき〉を考えると次回作への期待とアイディアでいっぱいになる」……1970年代から現在まで40年以上にわたり、次々に新作を発表し続けている作家・片岡義男。その作品はもちろんだが、じつは〈あとがき〉がすこぶる面白い。1974年刊行の『ぼくはプレスリーが大好き』から2018年の新刊『珈琲が呼ぶ』まで、単行本・文庫にある〈あとがき〉150点あまりを刊行順にすべて収録。片岡義男のエッセンスが満載の一冊! 【目次】 1970年代   『ぼくはプレスリーが大好き』『10セントの意識革命』『友よ、また逢おう』『ロンサム・カウボーイ』『スローなブギにしてくれ』『ヘルプ・ミー! 英語をどうしよう』『町からはじめて、旅へ』『彼のオートバイ、彼女の島』『サーフシティ・ロマンス』『スターダスト・ハイウエイ』『アップル・サイダーと彼女』『波乗りの島』 以下-- 1980年代  1990年代  2000年代  2010年代   あとがき   【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『珈琲が呼ぶ』(光文社)、『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)などがある。
  • ご本、出しときますね?
    4.3
    小説家って面白い! 無類の本好き芸人・オードリー若林正恭と、20人の作家たちが“自分のルール”を語りつくす。 大人気番組、ついに書籍化! 西加奈子/朝井リョウ/長嶋有/加藤千恵/村田沙耶香/平野啓一郎/山崎ナオコーラ/佐藤友哉/島本理生/藤沢周/羽田圭介/海猫沢めろん/白岩玄/中村航/中村文則/窪美澄/柴崎友香/角田光代/尾崎世界観/光浦靖子
  • 真夜中のセロリの茎
    3.0
    1巻1,650円 (税込)
    人と人が会えば、 それが夏であれば、 物語が生まれ、 人生が動き出す。 再会から始まる 7つのストーリー。
  • 木曜日を左に曲がる
    4.0
    1巻1,650円 (税込)
    主人公はすべて女性。キリリと生きる魅力溢れる女性たち、そしてその傍らには男性。ふとした出会いや記憶から、紡ぎ出される物語。すべて書き下ろしの短編全7編収録。
  • 階段を駆け上がる
    3.6
    1巻1,650円 (税込)
    現実から一歩だけ遠のくと、 そこには物語の時間がはかなく美しく流れる。 ほんの一歩、それが小説。 主人公たちはあらゆる人生を越えている。
  • 日本語の外へ
    3.5
    湾岸戦争をアメリカのTV放送だけで追ってみる、という試みから始まった本書は、アメリカを突き動かす英語という言葉の解明へと焦点を移していく。母国語によって人は規定され、社会は言葉によって成立する。たえず外部を取りこみ攻撃し提案していく動詞中心の英語に対し、日本語とは自分を中心とした利害の調整にかまける言葉だと著者は結論付ける。言語にはそれぞれ美点と歪みがある。日本語のなかで生きる私たちは日本語という「歪み」を通してしか考えられない。「戦後」という時空間は、実はその「歪み」そのものなのだ。ではその歪みから自由になることはできるのだろうか。「歪み」を熟知したうえで「歪み」を駆使すれば、日本語の外へでていくことはできる、と著者は書く。英語と日本語への熟考が、やがて読み手を世界の認識の根源まで導く鮮やかな思考の書。 1997年は加藤典洋の『敗戦後論』と片岡義男のこの本の出現で画期的な年として記憶されることになるだろうと思った。(高橋源一郎『退屈な読書』より)
  • ミルクとコロナ
    3.7
    『野ブタ。をプロデュース』の白岩玄と『人のセックスを笑うな』のナオコーラ。共に20代で作家になり、現在二児の親でもある二人が、手紙をやりとりするように綴る、子育て考察エッセイ!
  • ジャックはここで飲んでいる
    3.8
    1巻1,527円 (税込)
    洒脱な文章、洗練された会話、対峙する男と女、息を飲む人生の瞬間、 万華鏡のように混ざり合う虚構と現実……。 「文學界」に掲載された6つの短篇と、書下ろし2篇、 片岡義男のスタイリッシュな世界を堪能できる、魅惑の作品集。 【収録作品】 アイスクリーム・ソーダ ごく普通の恋愛小説 偉大なるカボチャのワルツ ゆくゆくは幸せに暮らす 南長崎線路ぎわ 五月最後の金曜日 ジャックはここで飲んでいる なんのために生きるの
  • むしろ、考える家事【電子特典付き】
    3.8
    「家事はもくもくと手を動かし続け、「時短」や「効率良く」を考えながらやるもの、さっさと済ませて次の時間へ行きたい。」そういうふうに家事時間をマイナスなものとしてとらえると、その時間がもったいないではないか! そう気づいた山崎ナオコーラさんは、家事時間をむしろプラスなものと捉えて、楽しい考えごとに使うことに。料理、掃除、洗濯、子育て……日常の家事の時間に考えたことを綴る、新しい視点のエッセイ。 【電子書籍版限定、山崎ナオコーラ直筆イラスト+コメントを収録!】
  • リボンの男
    3.5
    1巻1,485円 (税込)
    おとうさんはねえ、ヒモじゃなくてリボンだよーー「時給かなりマイナス男」の専業主夫・常雄が、野川沿いの道を3歳のタロウと歩きながら発見した、新しい“シュフ”の未来。著者新境地!
  • 洋食屋から歩いて5分
    3.4
    今、美味しい「食」エッセイといえば、片岡義男! 街で歩き、街で食べる。希代のエッセイストの食べものにまつわるエトセトラ。

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  • 男性作家が選ぶ太宰治
    4.0
    「この作品が自分は一番嫌いだ」(奥泉光選「道化の華」)、「不思議な明るさに包まれた怯えの百面相」(堀江敏幸選「富嶽百景」)、「『男性というものの秘密』を知っている作家」(松浦寿輝選「彼は昔の彼ならず」)――七人の男性作家がそれぞれの視点で選ぶ、他に類を見ない太宰短篇選集。
  • たぶん、おそらく、きっとね
    3.0
    1巻1,320円 (税込)
    1967年、東京。キャバレーのバンドマンとゲストの女性歌手として出会った二人は、どちらともなく鏡の中で視線を重ねた。三日後、男は部屋に電話が設置されると、番号を知らせるべき相手を紙に列挙し始める。それもまた、日常の一場面のはずだった――。
  • 私の中の男の子
    3.3
    雪村には19歳まで性別がなかった。小説家としてデビューした彼女は、周囲に“女性”として扱われることに何よりも戸惑い、それを次第にコンプレックスと感じるようになる。苦渋の果てに彼女が下した決断とは……!? 「FIGARO japon」好評連載、働く全ての女性に届けたい意欲作。
  • 作家と楽しむ古典 土左日記 堤中納言物語 枕草子 方丈記 徒然草
    -
    代表的な古典作品である土左日記から徒然草まで、人気作家たちはどう捉え、どう訳したのか。作家ならではの古典作品への誘いとそれぞれの文学論が楽しい、大好評の古典講義。
  • 反人生
    3.7
    「人生作り」には興味がない。流れる季節を感じるだけで、世界は十分面白い――。夫を亡くしてひとり暮らしの荻原萩子・五十五歳が抱く、バイト仲間の年下女子・早蕨へのときめきと憧れ。――「反人生」/世界を旅する寅次郎、ユーモアのセンスあふれる桃男。男友だちから新たな感覚を学ぼうとする大沼の行く末は……。――「越境と逸脱」など全4編。男と女、親と子、先輩と後輩、夫と妻。無意識に人々のイメージに染み付いている役割や常識を超えて、自由でゆるやかな連帯のかたちを見つける作品集。
  • 文藝春秋2025年12月号
    NEW
    -
    【総力特集】高市早苗総理大臣の人間力 ◎サナエ式人材登用法と気になる石破似の性格 中北浩爾 田崎史郎 ◎親族が明かした高市家のヒストリー 家庭的な父と働く母の愛娘 甚野博則&本誌取材班 ◎維新は吉村イズムを貫徹しろ 橋下徹 ◎メシ友・遠藤と心友・木原の逆転劇 赤坂太郎 ◎日本の地下水脈【最終回】大衆よ、ファシズムに呑まれるな 保阪正康 ◎アサヒ供給マヒ 会社はAIで守るしかない 北村滋 ◎裏読み業界地図 9 トランプ関税対策は日米チョコ戦争に学べ 大西康之 ◎日本の顔 インタビュー 筒井義信 経団連会長就任直後の重たい知らせ ◎大成建設の天皇、大いに語る 森功 安倍外交団で見た世界一悲惨な建設現場 ウラジオストク ◎彬子女王と母信子妃 決裂の瞬間 三笠宮家分裂の凄まじい内幕 娘は訴えた「母は皇族にふさわしくないから父と離婚させてください」 秋山千佳&本誌取材班 ◎『香淳皇后実録』最大の読みどころ 原武史 ◎秀吉と秀長【第3回】 磯田道史 ポスト信長は土木・情報・スピードが決めた ◎伝統の妙技「土俵築」土を叩き固め、神を宿す 立呼出 克之 ◎2025年ノーベル賞受賞者インタビュー 坂口志文 ユーレイ学者から高齢者希望の星へ 北川進 3つの言葉が発見につながった ◎歳末寄席スペシャル・トーク 自分の地図は自分で作ろう 神田伯山 沢木耕太郎   ◎女流作家に憧れた私たち 山田詠美 江國香織 川上弘美 【特別企画】驚きの成功から学ぶ 素晴らしき哉、第二の人生! ◎二つの人生を上手に生きるコツ 清水建宇 生島淳 ◎アナウンサーからタミヤ顧問 松井康真 ◎プロ野球選手から保育士 高澤秀昭 ◎エンジニアから将棋棋士 瀬川晶司 ◎広告代理店から海女 上田茉利子 ◎こわい性格診断「MBTIブーム」 小塩真司 ◎第73回菊池寛賞発表 【新連載】飲食バカ一代! 2 松浦達也 九州じゃんがら 下川高士 ◎成田悠輔の聞かれちゃいけない話 9 ゲスト 仲里依紗 主役ってできればやりたくない。みんな“いい人”だから 【連載】 ◎ディープな地経学6 マット・ポッティンジャー ◎ミスター円、世界を駆ける【最終回】 神田眞人 ◎ゴルフ春秋10 ◎言霊のもちぐされ14 山田詠美  ◎地図を持たない旅人20 大栗博司 ◎有働由美子対談83 水野良樹(ソングライター)……ほか

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  • 鞠子はすてきな役立たず
    4.1
    働かないものも、どんどん食べろーー「金を稼いでこそ、一人前」に縛られない自由な主婦・鞠子と銀行員・小太郎の生活の行方 は!? 金の時代の終わりを告げる傑作小説。『趣味で腹いっぱい』改題。
  • 昼田とハッコウ 合本版
    値引きあり
    -
    幸福寺の小さな本屋さん「アロワナ書店」。三代目のハッコウは店長とは名ばかりで店内をぶらぶらするばかり、ともに育ったいとこの昼田はIT企業に勤めていた。しかし正月早々大事件が起き、書店は存続の危機に。昼田とハッコウは、二人でゆっくり立ち上がる。仕事をすること、家族になること、人と繋がること。続いていく毎日をゆるやかに更新する、著者渾身の長編。 ※この電子書籍は、2015年9月に講談社文庫として刊行されました、『昼田とハッコウ(上)』『昼田とハッコウ(下)』を合本とし、電子書籍化したものです。この電子書籍とは別に『昼田とハッコウ(上)』、『昼田とハッコウ(下)』もそれぞれ電子書籍で配信中です。
  • かわいい夫
    3.3
    「会社のように役割分担するのではなく、人間同士として純粋な関係を築きたい」。布で作った結婚指輪、流産、父の死、再びの妊娠……書店員の夫との日々の暮らしを綴る、“愛夫家”エッセイ!
  • こどものころにみた夢
    3.2
    文章と絵で綴る「こどものころにみた夢」のアンソロジー。怖い夢、切ない夢、それとも、おもらしの夢……? 角田光代、島本理生、西加奈子、阿川弘之、堀江敏幸、穂村弘、高橋源一郎他、豪華作家陣が美しい絵とと共に綴る「夢」の物語。
  • 花までの距離
    -
    「私をいくらでも見てください」。女はそう言って衣裳を脱ぎ刺激的なポーズをとるが、目の前にいる男は、見つめるだけで指一本触れることさえ許されない……。“誘惑”と“視線”が交錯する二人だけの密室に立ちあがる透明なエロティシズムを描いた長篇。
  • 母ではなくて、親になる
    3.8
    妊活、健診、保育園落選……37歳で第一子を産んだ人気作家が、赤ん坊が1歳になるまでの、親と子の様々な驚きを綴ってみると !?単行本刊行とともに大反響を呼んだ、全く新しい出産子育てエッセイ。
  • ニセ姉妹
    3.8
    正子・35歳・シングルマザー、気が合う人と「姉妹」生活。 阿佐ヶ谷姉妹さんとの鼎談収録。 「身内じゃないって、心地いい!ニセモノでも姉妹になれば、あら楽し~」 正子・三十五歳・シングルマザー。浮気した夫と離婚後、姉・衿子と妹・園子と共同生活するも息苦しさを感じていた。そこに友人・百夜(愛人顔)とあぐり(型破り)が転がり込んで、正子の心に風が吹く。気が合う人と「姉妹」になって暮らしたい――ニセモノがいつか本物になる、家族のメンバーチェンジ物語。〈鼎談〉阿佐ヶ谷姉妹×山崎ナオコーラ 『偽姉妹』より改題。
  • 英語で日本語を考える
    3.3
    例えば、「地元産」は英訳すると“locally grown”。「産出された」あとの状態を示す「産」が“grow”という動詞を用いて表される、とても英語らしい言いかただ。この表現の違いとはなんだろう。英語を鏡にして写し出される日本語の構造や性能、また立ち現れてくる強さや弱さなどについて、小説家である著者が考える。解説 倉林秀男
  • 2人のゆくえ[片岡義男ボックスセット01]
    -
    初めて読む人にも、再び読む人にも。「片岡義男.com」編集部がお届けするボックスセット。 偶然とは思えない強い出会いだが、それを運命と見なすほど不自由でも甘えてもいない。 島で、病院で、手紙で、2人の思いが交錯する。 1人の時間、自分自身の時間を十分に生きた1人と1人が接触して初めて奏でられるあたらしいハーモニーがそこにある。 【目次】 彼のオートバイ、彼女の島 さしむかいラブソング 愛してるなんてとても言えない 味噌汁は朝のブルース 九月の雨 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
  • 彼女が演じた役 原節子の戦後主演作を見て考える
    3.0
    『東京物語』を初めて見た著者は、紀子役を演じた原節子に魅せられる。『晩春』『麦秋』を含めた紀子三部作を中心に、彼女が主演した戦後映画十一本を精細に論じて、「クリエイティブな能力を無限に持った」原節子の魅力と、それを引き出した小津安二郎監督の卓越した演出を分析した異色の映画論。
  • 文豪お墓まいり記
    3.7
    終戦前夜の岡山で谷崎潤一郎は牛肉を手に入れ、敬愛する永井荷風を精一杯にもてなした。 森鴎外に憧れていた太宰治の墓は、鴎外の斜め向かいに建てられた。 生涯独身だった深沢七郎は、自分の葬式用に、自らお経をテープに吹き込んだ。 中島敦に太宰治、澁澤龍彦、幸田文、夏目漱石、そして深沢七郎まで。 現代の人気が、26人の昔の作家に会いに行く。親しい人と一緒に、時には一人で。 電車に乗り、最寄り駅で降りて花を買い、ついでに食事処でお腹を満たし、 そしてお墓の前へ。墓の中の人と存分に語り合えば、自分の生き方も見えてくる―― 楽しく豊かな墓参り案内&文豪人生ガイド!  (文庫あとがき「世界の文豪お墓まいり記」収録) ※この電子書籍は2019年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • ベランダ園芸で考えたこと
    3.7
    ベランダで始めた園芸。ドラゴンフルーツ、朝顔、薔薇、ゴーヤーetc.。花がある側は「ナオガーデン」、食べられる植物がある側は「ナオファーム」。「虫のかじったあとを見て、地球の形もこんな風に変わってきた、と想像する」。ベランダは世界のミニチュア。書き下ろしエッセイ「そのあとのていたらく」を新たに収録。
  • 豆大福と珈琲
    3.3
    片岡義男には、珈琲がよく似合う。息子を連れて地元にひとり戻ってきた幼なじみと「結婚」をしないまま、新しい「家族」のかたちを探っていく表題作ほか、小説的企てにみちた「珈琲」をめぐる五つの物語。珈琲にまつわる書き下ろしエッセイも収録。
  • 美しい距離
    4.0
    芥川賞候補作 島清恋愛文学賞受賞作 死ぬなら、がんがいいな。 がん大国日本で、医者との付き合い方を考える病院小説! ある日、サンドウィッチ屋を営む妻が末期がんと診断された。 夫は仕事をしながら、看護のため病院へ通い詰めている。 病室を訪れるのは、妻の両親、仕事仲間、医療従事者たち。 医者が用意した人生ではなく、妻自身の人生をまっとうしてほしい―― がん患者が最期まで社会人でいられるのかを問う、新しい病院小説。 解説・豊崎由美 ※この電子書籍は2016年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 指先からソーダ
    4.2
    けん玉が上手かったあいつとの別れ、誕生日に自腹で食べた高級寿司体験、本が“逃げ場”だった子供の頃のこと…朝日新聞の連載で話題になったエッセイのほか、「受賞の言葉」や書評も収録。書くことも読むことも痺れるほど好きな著者が贈る、しゅわっとはじける言葉たち!魅力全開の、初エッセイ集。
  • 私的読食録(新潮文庫)
    4.1
    たとえば、物語の中で少女が食べる「甘パン」。あるいは、殺し屋が飲む一杯の「珈琲」。小説、エッセイ、日記……と、作品に登場する様々な「食」を、二人の作家はあらゆる角度から食べ、味わい、読み尽くす。その言葉が届くとき、あなたの読書体験は、眼前の本の味は、まったく新しいものに変わる。読むことで味を知る、味を知ることで読みたくなる。すべての本好きに贈る、極上の散文集。
  • 夜更けのおつまみ
    3.7
    31名の人気クリエイターが語る、とっておきの“夜更けのおつまみ”。 読んだら一杯やりたくなること間違いなし!おいしい記憶がたっぷり詰まった珠玉のエッセイ・アンソロジー。巻末にはキリンビールとコラボし、noteで開催したコンテスト大賞受賞作も掲載!
  • 昼田とハッコウ(上)
    3.0
    1~2巻682~726円 (税込)
    幸福寺の小さな本屋さん「アロワナ書店」。三代目のハッコウは店長とは名ばかりで店内をぶらぶらするばかり、ともに育ったいとこの昼田はIT企業に勤めていた。しかし正月早々大事件が起き、書店は存続の危機に。昼田とハッコウは、二人でゆっくり立ち上がる。自分と世界のつながりを考える、著者渾身の長編。
  • 肉体のジェンダーを笑うな
    3.8
    医療の進歩で男性でも母乳が出せるようになった世界。哲夫は、ついに授乳を経験するが!?(「父乳の夢」)。機械を装着することで筋力差がなくなり、性別による役割分業が減ったら?(「真顔と筋肉ロボット」)。性差への理解を深めたら月経が訪れるようになった男性の変化とは?(「キラキラPMS(または、波乗り太郎」)など、全4編。圧倒的な想像力で、性差が減った未来(=ユートピア)をユーモラスに描き、旧来的な性別の“当たり前”をぶっ壊す!
  • 土左日記
    3.2
    土佐国司の任を終えて京に戻るまでの55日間を描く、日本最古の日記文学を試みに満ちた新訳で味わう。貫之の生涯に添い、自問の声を聞き、その内面を想像して書かれた緒言と結言を合わせて収録。
  • カレーライス漂流記
    -
    読み始めたら、あなたはカレーライスを食べずにはいられなくなる! 2016年10月から毎週、1年間に渡って夕刊フジに連載されていたカレーライスを題材にした短い文章をまとめた本です。中身はエッセイを中心に小説の断片のようなもの、身辺雑記、インタビュー的なものなど多岐にわたり、それが「カレーライス」という料理の多様性を表しているようです。1話が1200文字程度と短いのも、カレーライスの気軽さと合っていて、全体に呑気なムードを湛えているのも魅力。どこのカレーライスが美味しいと書かれているわけではないのですが、何編か読んで、顔を上げると、カレーライスが食べたくなっている、そんな本です。 【目次】 1. ママは面白がっただけ 2. カレーだからカレーだ 3. カレーは珈琲を呼ぶか 4. 私はカレーライスだ 5. 板子一枚かろうじて 6. 彼の世界はひっくり返った 7. 涙もいっしょにスプーンで食べた 8. これからいくのよ 9. 火事を見ながらカレーライスを食べた 10. なんの問題もありません 11. 木製の専用スプーンでカレーライスを食べる 12. アデランス。プロミス。ドン・キホーテ。 13. いまでは女のかたも盛んに 14. 今日はカレーよ、と母は言った 15. 白いご飯はありますか 16. まっ黄色なカレーライスをください 17. カレーライスにはプラモデルだよ 18. スプーンは持ってきましたか 19. ライスカレーか、カレーライスか 20. 立ち食いインド・カレーの店 21. Coffee starts me real good. 22. では、風に訊いてくれ 23. 美人がひとりでカレーライスを食べている 24. やってみる値打ちはありますね 25. くわえ煙草とカレーライス 26. どうだ、面白いだろう、と彼らは得意だった 27. 僕のカレーライスにはお肉をたくさん入れてください 28. 雨の外苑、夜霧の日比谷 29. 海老フライはどうか 30. 似たようなことをまた書く 他(全52作品) 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)、『窓の外を見てください』(講談社)などがある。
  • つい、こないだ
    -
    これは片岡義男の写真論であり、街の記憶の話なのです 下北沢の南口商店街を写真で再現した中学生時代に始まって、しかし、その写真を捨てて「過去はない」と言った25歳を経て、2018年、下北沢の踏切が消えた風景の写真を見て、そこに何が起こったのかを考えます。そこから再び、下北沢の過去、自らの過去の記憶を遡り、世田谷線を巡る物語を発想することになる、その経緯を綴ったエッセイ集です。世田谷線の起点であり終点、下高井戸の風景が岡田こずえ、篠原恒木、両氏の撮影の写真と共に描かれ、そして、森茉莉の一枚の写真から呼び起こされた記憶は喫茶店「邪宗門」、「北沢川」へと繋がっていきます。これは片岡義男の写真論であり、街の記憶の話なのでしょう。 【目次】 これで僕に過去はない 踏切が消えた 黒い板塀に囲まれた家 小説の主人公たちと住む家 世田谷線の小説を 世田谷線の松原から歩いて五分 次は下高井戸終点 森茉莉、下北沢、邪宗門 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)、『窓の外を見てください』(講談社)などがある。
  • なりにけらしな京都
    -
    珈琲、卵サンド、おでん。。。こんな京都の遊び方があったとは!スクラップブック的フォトエッセイ集 2018年に片岡義男が、篠原恒木、八巻美恵と共に何度か京都に赴いた、その日帰りの旅の様子を中心にした、エッセイと写真によるスクラップブックのような作品です。それは、京都の喫茶店をめぐり珈琲を飲んだ記録であり、おでん屋や定食屋、古本屋、土産屋を味わう散歩の記録であり、片岡義男の短編小説が生まれるバックストーリーでもあります。「葛切りがおでんの前菜」「五月最後の金曜日」「柚子味噌を買います」といった作品を読んだ方は、ニヤリとさせられることでしょう。片岡流京都ガイドであり、作家の旅の記録でもあるのです。 【目次】 鴨の川原に秋が来た ループのなかで、なりにけらしな ロード・マネジャー、冴えわたる 桜がまだあった雨の京都で 芸妓がうしろ姿で販売する 九月二十八日快晴、半日の京都 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)、『窓の外を見てください』(講談社)などがある。
  • コーヒーにドーナツ盤、黒いニットのタイ。
    -
    1巻660円 (税込)
    20代の片岡義男自身の物語を描いた、著者初の自伝小説。当時の音楽と作家以前の「僕」の物語 片岡義男が学生生活を送りながらライター業を始めた1960年から、作家としてデビューする1973年までの彼自身の物語を、当時のヒット曲と映画を背景にして綴ったショートストーリー集。登場する全ての曲のレコードのスリーブと、一部の映画のパンフレット表紙がカラー写真で掲載され、その当時を音と写真と言葉で感じながら読み進む事ができる一冊。1篇1篇はとても短く、数分で読み終えるものばかり。しかしその数分は、その時代の数分である。それ故か、読んでいるとコーヒーの香りが鼻をくすぐるような感覚になる。 【目次】 目次(44篇中の一部) ・ディーン・マーティンもリッキー・ネルスンも、いまのうちだから ・あのペンネームはどこから来たのか ・大学の四年間は一通の成績証明書となった ・営業の人になりきったら、それ以外の人にはなれないでしょう? ・あなたは、このコーヒーの苦さを忘れないで ・彼は鎖骨の出来ばえを語る。隣の店ではボブ・ディランが語る ・バラッドは彼女の全身に吸いこまれていった ・みなさんのお店ですから、気をつけてください ・ビートルズ来日記者会見の日、僕は神保町で原稿を書いていた ・美しく楽しい本を、まだ僕は一冊も作っていないではないか ・ヘルスセンターで、ジャニスは祈る ・トラヴェリン・バンド。橋を渡る美人。黒いニットのタイ 登場するレコード(121枚中の一部) ・『夏の日の恋』(パーシー・フェイス・オーケストラ) ・『ブルースの真実』(オリバー・ネルソン) ・『霧子のタンゴ』(フランク永井) ・『赤いハンカチ』(石原裕次郎) ・『ビー・マイ・ベイビー』(ザ・ロネッツ) ・『東京ブルース』(西田佐知子) ・『骨まで愛して』(城 卓矢) ・『パープル・ヘイズ』(ジミ・ヘンドリックス) ・『イエロー・サブマリン』(ザ・ビートルズ) 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『珈琲が呼ぶ』(光文社)、『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)などがある。
  • 珈琲が呼ぶ
    -
    写真と文章で綴られる、珈琲がある日常についての考察と記憶の断片。だからコーヒーそのものは語られない。 「珈琲が呼ぶ」というタイトルが正に相応しい。珈琲に呼ばれて、そこから思考を縦横に伸ばしていくエッセイというより、これは片岡義男が若い頃に量産していた、いわゆる「コラム」だ。例えば、豆がどうした、焙煎が、淹れ方がといった話は出てこない。どこのコーヒーが美味しいという話も当然ない。しかし、喫茶店の椅子の話や神保町で原稿を書いていた時代のこと、コーヒーの歌の話、私立探偵はコーヒーを飲むか、「コーヒーでいいや」問題。コーヒーが中心に、しかしコーヒーそのものが書かれる事はない名人芸のようなコラム集。 【目次】 一杯のコーヒーが百円になるまで 「コーヒーでいいや」と言う人がいる Titanium Double Wall 220mg 喫茶店のコーヒーについて語るとき、大事なのは椅子だ 四つの署名、一九六七年十二月 去年の夏にもお見かけしたわね ミロンガとラドリオを、ほんの数歩ではしごする なにか冷たいものでも、という言いかた 白いコケインから黒いカフェインの日々へ いいアイディアだと思ったんだけどなあ さてそこでウェイトレスが言うには ただ黙ってうつむいていた 小鳥さえずる春も来る ボブ・ディランがコーヒーをもう一杯 マグとマグの差し向かいだから ほんとに一杯のコーヒーだけ ブラック・コーヒー三杯で、彼女は立ち直れたのか 知的な判断の正しさと絶対的な安心感 アル・クーパーがブラック・コーヒーを淹れた モリエンド・カフェ Coffee Bluesと、なぜだか、コーヒーブルースと なんとも申し上げかねます 五時間で四十杯のコーヒーを飲んだ私 ある時期のスザンヌはこの店の常連だった 午前三時のコーヒーは呑気で幸せなものだった さらば、愛しきディマジオよ ほとんど常にくわえ煙草だ 昨日のコーヒーと私立探偵 テッドはコーヒーを飲むだろうか 他 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。https://kataokayoshio.com/
  • 泥酔懺悔
    3.8
    お酒のせいなんです!! お酒の席は飲める人には楽しく、下戸には不可解……。女性作家によるエッセイ11連作。■無理 朝倉かすみ/下戸の悩み 中島たい子/初めての飲み会 瀧波ユカリ/十八の夜の話 平松洋子/ザル女という噂 室井滋/酒瓶にも警告ラベルを!? 中野翠/ひとりでお酒を飲む理由 山崎ナオコーラ/下戸一族 VS 飲酒派 三浦しをん/白に白に白 大道珠貴/損だけど 角田光代/好きでもきらいでもない 藤野可織
  • 金貸しから物書きまで
    -
    「清美、幸平、とうさんは死ねる。今日も一日、元気で死ねる」 職場という地獄に毎朝死ぬ思いで飛び込んできたおれだが、過酷なノルマと上司の横暴にいよいよ耐えきれなくなり……。 妻子はあれど、学歴も根性も甲斐性もない。行き場を失ったおれが最後に見出した、思いもよらない活路とは。 貸金業の舞台裏と、追い込まれた者の悲哀。人生のどん詰まりをリアルに活写して、なぜだか妙に笑わせる、断然オリジナルな長編小説。
  • 思い出の線と色彩
    -
    振り返った彼女に「美代子!」不覚にも彼は叫んだ。別れて4年、彼女は別人と見まごうほど美しさを増していた(「別れて以後の妻」より)。あの日、あの時、僕らはどうだったか。そして今…。“思い出”を軸に紡ぐ著者自選の恋愛作品集。

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  • 人のセックスを笑うな
    3.8
    19歳のオレと39歳のユリ。恋とも愛ともつかぬいとしさが、オレを駆り立てた――「思わず嫉妬したくなる程の才能」と選考委員に絶賛された、せつなさ100%の恋愛小説。第四一回文藝賞受賞作。短篇「虫歯と優しさ」を併録。

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  • 今日もうまい酒を飲んだ ~とあるバーマンの泡盛修業~
    3.8
    「最高の泡盛を教えて下さい」バーマン阿部のもとに、常連客から難題が舞い込んだ。沖縄出身の祖父の長寿のお祝い「カジマヤー」に贈る泡盛を探しているという。阿部はさっそく沖縄にある酒造所へ飛ぶ。そこには芳醇で奥深く、そして何より飛び切りうまい泡盛の世界が広がっていた! 数多の候補の中から、阿部が選んだ究極の泡盛とその飲み方とは? 読めば必ず飲みたくなる大人の「読むツマミ」。
  • 日本語と英語―その違いを楽しむ
    3.8
    主体の思考とアクション(動詞)に奉仕する言葉である英語。一方、世界をいつの間にかそのように出来上がっている「状態」として捉え、常に名詞的である日本語。その二つの言葉の間に身を横たえ、考え、楽しみ、書き続けてきた作家が、長年カードに書きとめてきたきわめて日常的で平凡な用例などをもとにして、その根源的な差異を浮き彫りにしていく画期的書き下ろし。

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  • 可愛い世の中
    3.7
    芳香剤のメーカーで働く地味な会社員、豆子は、自身の結婚式を機に、金銭感覚が人生と共に変化していくことの面白さを発見する。決して「モテ」を追求することなく、社会人としての魅力をアップしていきたい。退職して、「香りのビジネス」を友人と起こそうと画策する。香水に、セクシーではなく、経済力という魅力を! 仕事と経済、カップルでいること……をみずみずしい筆で紡ぐ、新感覚小説!
  • 美しいひとたち
    -
    愛する女性の美しさをさらに引き出し、確認する…純粋で大胆な性の冒険をファインダー越しに浮かび上がらせる、6つの恋愛変奏曲。

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  • 浴室で深呼吸
    4.0
    「夜はまだ終わらない」「真夜中のセロリの茎」「煙草に火をつけて終わる」――うつろいやすい男女の姿を優しく描く都会派恋愛小説集。

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  • 論理と感性は相反しない
    3.6
    神田川歩美と真野秀雄は、つき合い始めた頃にときどきケンカした。真野の論理と、神田川の感性は、ぶつかり合いながらも共生の道を探っていくが……(表題作)。男と女、宇宙、音楽と文学、伊勢物語……それぞれの登場人物がオーバーラップして展開していく十四編。意欲に満ちた、著者初の書下ろし小説集。(講談社文庫)
  • ニキの屈辱
    4.2
    恋がもたらした痛恨の一撃!?人気写真家ニキのアシスタントになったオレ。一歳下の傲慢な彼女に、心ひかれたオレは公私ともに振り回されて…『人のセックスを笑うな』以来の待望の恋愛小説。第145回芥川賞候補作。
  • 浮世でランチ
    3.6
    「人生ってきっと、ワタクシたちが考えているより、二億倍自由なのよ」。中学に入ってから不登校ぎみになった幼なじみの犬井。学校という世界に慣れない私と犬井は、早く25歳の大人になることを願う。11年後、OLになった私だが、はたして私の目に、世界はどのように映るのか?14歳の私と25歳の私の今を鮮やかに描く文藝賞受賞第一作。
  • 長い終わりが始まる
    3.6
    大学4年生になっても就職活動もせずマンドリンサークルで練習に打ち込む小笠原。彼女が演奏する音楽というものには常に終わりの予感が漂うけれど、大学のサークルという小さな輪の中では絶えず人間関係が堂々めぐりを繰り返し、合奏は永遠に終わらない。そんな青春の切ない痛みを描き出した傑作小説。(講談社文庫)
  • 彼らと愉快に過ごす ~僕の好きな道具について~
    5.0
    作者が愛用する「モノ」たちがズラリ108個並んでいる。 目次が壮観である。作者が愛用する「モノ」たちの固有名がズラリ108個並んでいる。それぞれについて、過不足のないテキストと写真が108組、展開されていく。そこでは、片岡義男という人の生き方が、モノの使い方、所有の仕方を通じて明らかにされている。 ここで、否応なく気づかされることが一つある。「モノ」の中に「日本」が入り込む余地がほとんどないことだ。同時に、作家が意識したかはわからないが、108、という数字が、除夜の鐘が言うところの「煩悩」の数と同じであることを、野暮を承知で付け加えたい。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。https://kataokayoshio.com/
  • 私はいつも私 片岡義男恋愛短篇セレクション 別れ
    4.0
    会いたくてたまらなかった。もう会うこともないだろうし、二度と会わなくても構わないと思っていた。しかし、離婚してはじめての秋、男は、別れた妻にもう一度会いたいという気持ちを抑え切れず、彼女に電話をかける。何故、彼女と別れなければならなかったのか。いったい自分にとっての彼女とは、どういう存在なのだろう……。(「私はいつも私」) さまざまな別れ、そして再びの出会いの風景。ビタースウィートな七つの短篇。
  • ドアの遠近法
    -
    東京、広島、仙台のFM局でDJをしている混血美人歌手・理津子。ぼくは、彼女の美しくひきしまった心と体のストーリーを書いてみることにした…ガラス細工のようにあやうい恋模様を描く片岡義男の新しい物語世界。

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  • 赤い靴が悲しい
    -
    恋人からのプロポーズを「今のままがいい」と断わった綾子。二人の関係はやがて男の結婚によって終わりを迎える。だが……。快適な恋愛関係を求める恵まれた女たちのさまざまな在り方を、鮮やかな筆致で描く恋愛小説短編集。

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  • カツラ美容室別室
    3.5
    こんな感じは、恋の始まりに似ている。しかし、きっと、実際は違う……引っ越し当日、破天荒な友人に誘われて、髪を切ることになった27歳の会社員のオレ。カツラをかぶる桂さんが店長をする美容室で、オレは同い年の長身の美容師エリと出会う。はたしてオレとエリの関係は、どこに向かうのか?恋と友情の微妙な放物線を描く話題作!
  • お父さん大好き
    3.5
    収録作『手』が映画化。2022年9月16日公開。監督・松居大悟、出演・福永朱梨/金子大地ほか。 『人のセックスを笑うな』『論理と感性は相反しない』など、ビビットな文体とセンスで時代の空気感をすくい取る、山崎ナオコーラの中短編集。 年配の男性の顔や指の写真を集め、ブログに載せることは罪であろうか?  おじさんを研究する25歳の女性の視点から、異性を個人ではなく集合体として捉える切なさを描いた「手」。 NHKラジオ文芸館で紹介され異例の話題となった、血のつながらない娘と暮らす44歳のサラリーマンが主人公の、『お父さん大好き』など4作を収録。おじさんたちが可愛く思えてくる、ウィットと切なさに満ちたナオコーラ・ワールドが堪能できます。(※2009年刊の単行本『手』を改題)
  • Web新小説 2022年4月22日号(通巻1号)
    -
    <特集>『新・日常考―きのうまでと違うこと』 「非日常」が私たちの「日常」を覆いつくしてから、二年余りが過ぎました。いままた恐ろしい「非日常」を告げるニュースが途切れず、不安な日々が重ねられていきます。それでも、きのうより今日を、明日こそはと願う気持ちは万国共通のはず。新・日常考―きのうまでと違うこと。「日常」を問い直し、新たな日々を編むための試みです。 【目次】噓でもいいから/堀江敏幸、斎藤茂吉の危機と再生/小池光、離れて働く、みんなと働く/酒井順子、特集とりとめな記/   特集編集班、週末のアルペジオ/三角みづ紀、藤沢周・連作小説館⑥/藤沢周、猛獣ども/井上荒野、町田康の読み解き山頭火/町田康、しおり物語/岡もみじ、アマネク ハイク/神野紗希、兼好のつれづれ絵草紙/三遊亭兼好、漱石クロニクル―絵で読む夏目漱石の生涯―/大高郁子、楸邨山脈の巨人たち/北大路翼、Dr.よねやまの芸脳生活芸術家の生き様を医学で考える/米山公啓、江戸の愛猫/宮川匡司、気まぐれ編集後記/万年editor
  • 「『ジューシー』ってなんですか?」
    3.8
    25歳の広田と岸、佐々木、26歳の別所、27歳の魚住と津留崎。6人は、大きな会社の中の小さな班「夕日テレビ班」で毎日深夜まで地味な仕事をしている。(ちなみに非正社員が3名、正社員が3名)恋人でも友達でもない、立場も微妙に違う、けれど同じ職場の同僚として会話を交わし笑いあう。仕事を詩的に描いた著者初の「職場小説」。平等とは何かを問う『ああ、懐かしの肌色クレヨン』も収録。
  • 黒いニットのタイ
    -
    1巻275円 (税込)
    【短編小説の航路】喋ることが中心なら、食べ物はフライドポテトだけで十分。 ライターの西野晴彦は、ビーンという空豆を模したようなカウンターのある、バーのような、しかしそうではない店のオーナーで出版社も持っている米沢光太郎から、小説を書かないかと誘われています。ビーンで彼に付いた吉川久美子もまた、米沢から誘われて、この店で働き、この後は米沢の出版社に勤めることになると言います。西野が久美子に渡す黒いニットのタイに合わせるシャツの色、フライドポテトに付けるソースの色、コーヒーの色、スパムと目玉焼きの色、西野が目にする色彩が、BLTサンドのイメージとなってひとつの物語が生まれます。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『コミックス作家 川村リリカ』(中央公論新社)、『彼らを書く』(光文社)などがある。
  • お砂糖とクリームはお使いになりますか
    -
    1巻275円 (税込)
    【短編小説の航路】情報の積み重ねによって、物語が組み上がっていく様が目の前で鮮やかに展開する一種のドキュメンタリー 小説というものは、形になりにくい何かを情景の具体的な描写によって想像の中で形にしてしまう力を持っています。この小説は主人公である矢吹由美の服装の細かい描写、珈琲についての描写、彼女が毎週のように珈琲豆を出前して、一晩を過ごす大学教授の吉野夏彦による詳細な銃の解説、その銃が文鎮となって押さえている原稿用紙に書かれた、シナリオ風の小説の下書き、それらが積み重なって、一つの物語が出来上がっていく様子を目の当たりにできる、これはそういう小説であり、愛情の色んな側面を小説によって形にする実験でもあります。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『コミックス作家 川村リリカ』(中央公論新社)、『彼らを書く』(光文社)などがある。
  • これでいくほかないのよ
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    1巻275円 (税込)
    【短編小説の航路】まるでドキュメンタリー映画のカメラのような、徹底して三人称で描かれる、東京の私鉄沿線の町の小さなバーを舞台にした物語。 バーの近くのキャバレーが閉店することになって、職を失ったホステスとバンドマン、お互い顔は見知っていても、口をきくことは無かった二人が、バーで出会い、バーの店長の男が話した、この町にあった団子屋のみたらし団子をきっかけに、元ホステスの彼女とバンドマンの男が、この町の団子屋を復活させようと動き出します。団子を作った経験もない男女と、団子が好きなバーの店長の三人の物語が始まるまでが映像のように語られる小説です。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『コミックス作家 川村リリカ』(中央公論新社)、『彼らを書く』(光文社)などがある。
  • 金曜日、雨模様、気温8度
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    1巻275円 (税込)
    【短編小説の航路】これまで片岡義男が書いてきた、東京の私鉄沿線を舞台にした東京の記憶についての物語の集大成のよう 起点・終点の駅から3つ西に行った街に住む27歳のフリーライター、上杉邦彦は、そのまま降りればまっすぐ目的の出口に出られるのにも関わらず、踏切を渡るために跨線橋を渡り、反対側に出て踏切が開くのを待ちます。そこで旧知の女性ライター、関根亜紀子に声を掛けられることから物語が動き出します。踏切のある街をモチーフにした短編集で30歳までに作家デビューを考えている上杉は、亜紀子が今年いっぱいで街を離れるという話を聞きます。その後も出会う女性たちから、環境を変えるという話を聞く上杉。これは街の変化についての物語です。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『コミックス作家 川村リリカ』(中央公論新社)、『彼らを書く』(光文社)などがある。
  • 寒い季節の恋愛小説
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    1巻275円 (税込)
    暑い日に、寒い季節の恋愛小説を考える。小説の舞台裏を描いた物語。 作家の剣持剛は、京都へ向かう新幹線のグリーン車で、かつて自分の本を担当した編集者であり親友の栗原圭介とばったり出会うところから物語は始まります。「寒い季節の恋愛小説」というタイトルの小説を考えているという剣持は、栗原が少しだけ付き合った女性で、相手が広島に引っ越して以来、1年以上会っていないという話を聞いて、彼女とすぐに連絡を取れと言います。それを小説に書くから、また会って話そうということになります。物語は確かに恋愛小説なのですが、実際に描かれるのは50歳を過ぎた2人の男の会話だけなのです。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『コミックス作家 川村リリカ』(中央公論新社)、『彼らを書く』(光文社)などがある。
  • 柚子味噌を買います
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    1巻275円 (税込)
    個人的な非常時と作家としての日常、男女の関係性の境界、作家と言葉の関係についての物語。 46歳の作家、池田新平の元に叔父から、名古屋で一人暮らしの母親が入院したという電話を受けることから物語は始まります。仕事のスケジュールを考えながら病院へ急ぐ新平は、途中で付き合っている3歳年下の女性作家、北沢美也子に連絡します。物語は、二人の作家の作家としての思考と、母の病気という現実を二重写しのように描いていきます。新平は、冬をテーマにした短編を構想し、美也子はエッセイ集のテーマとタイトルを考えます。作家という職業の特殊性と、誰にも降りかかる可能性のある緊急事態が不思議な緊張と緩和をもって語られます。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)、『窓の外を見てください』(講談社)などがある。
  • 夜景が見えます
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    1巻275円 (税込)
    男性にとっての酒場の本質を穿つようでもあり、一篇のファンタジーのようでもある 駅の東の端、もっとも店が少ない出口から出て、人通りの少ない道を歩き、たどりついた十字路の一角にある四階建てのビル。その二階にパール・ノワールという小さなクラブがあります。各テーブルには店の女性が一人、その女性たちはホステスという言葉が似合わない、会話ができる才能を持った女性たちが選ばれています。その店の店長である中津川恭介と、一人で店に来ている客、榊原雄三との会話で物語は進み、店の秘密のサービスが明らかになります。男性にとっての酒場の本質を穿つようでもあり、一篇のファンタジーのようでもある不思議な物語です。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)、『窓の外を見てください』(講談社)などがある。
  • エスプレッソ
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    1巻275円 (税込)
    様々な人と出会うライターの行動を通し、場所と人との繋がりだけで物語を生む 先ごろ短編集を出したばかりの作家、柊甲介氏にインタビューしているライターの吉澤輝久は、70歳を越えてなお旺盛に執筆活動を続ける柊に、短編小説がどのように出来上がるのか話を聞きます。作中に登場する海老フライが食べたくなった話などをしつつ、吉澤は最寄り駅に真っ直ぐ行かず。タクシーで下北沢へ。そこで、かつて聞いたエスプレッソの店を訪ね、ふと、この店の常連になりたいと考えます。あちこちへ移動し、様々な人と出会うライターの行動を通して、場所と人との繋がりが、それだけで物語を生むという、その過程が短編小説なのでしょう。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)、『窓の外を見てください』(講談社)などがある。
  • 私は泣いています
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    1巻275円 (税込)
    結婚について考える男性の思考が不穏な方向に。。。リリィの歌を背景に結婚について考える。 彼女が結婚を切り出したら受けようと覚悟を決めていた男性に、彼女は言います。「今年は私たちの結婚の年ね」。彼の思惑を飛び越えて、結婚が規定事実になってしまったフリーランスの彼は、結婚生活の維持のために就職を決めます。その帰路に喫茶店でふと聴いたのが、リリィの「私は泣いています」でした。その歌の歌詞を聴いている内に、彼は今の境遇が歌の主人公の女性のようだったらと考え始めます。リリィの歌を背景に、結婚するとはどういうことなのか、自分は結婚する相手をどう考えているのかと思考が進む、結婚についての物語。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)、『窓の外を見てください』(講談社)などがある。
  • あんな薄情なやつ
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    1巻275円 (税込)
    台風が接近中の夜。とあるコーヒーの店で、不思議な「薄情の連鎖」が始まる。 東京に台風が接近中の夜、「コーヒーの店で、ひとときを」と看板に書かれた店の客は、カウンター前が好きな女性とスーツ姿の男性客の二人。その女性客は、店がある建物の四階に住んでいると話します。男性客が帰った後.店主は女性客に、この店で知り合って結婚して離婚した男女の話をします。その話に出てくる女性は、女性客の友人であり、薄情な人なのだという話をして、店主の元の奥さんのカフェについて訊ねたことから、不思議な「薄情の連鎖」が始まります。コーヒーの香りを背景に語られる「薄情」という言葉の意味をふと考えてしまいます。 底本:『この冬の私はあの蜜柑だ』2015年、講談社 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)、『窓の外を見てください』(講談社)などがある。
  • なんのために生きるの
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    1巻275円 (税込)
    男性が女性の中に見る、自分を分かっている女性の明晰を描く 三十代後半の男性が二十代後半の女性に結婚しようというような話をしています。男は友人に頼まれて彼女に彼との結婚を勧め、それをキッパリ断られると、今度は自分との結婚はどうかと聞きます。彼女の答えは、その話し方同様にキッパリしていて、その歯切れの良さは心地よい程です。その後、彼女は恋人と会い、「そのために生きている」と思う瞬間を味わうのです。これは、好きな人と一緒にいる悦びについて、冷徹に分析するような、ちょっと捻った恋愛小説。男性が女性の中に見る自分を分かっている女性の明晰が描かれています。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)、『窓の外を見てください』(講談社)などがある。
  • 銀座化粧
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    1巻275円 (税込)
    二人の女性の持つ膨大な情報量がそのまま物語になる 銀座のガス燈通りにあるグリルで待ち合わせた二人の女性は、「鴛鴦(おしどり)道中」や「裏町人生」といった、演歌以前の昭和歌謡をレパートリーとするデュエット。これからホステスの仕事に出る美江子も、同級生の美容師にヘアメイクを施してもらった由加里も、2019年現在の流行の濃過ぎないメイク姿です。彼女たちは食事をしながら、「祇園小唄」「銀座化粧」などをレパートリーにしようかと打ち合わせをして別れます。同居している彼女らは、夜に四谷三丁目の集合住宅で、会話を再開。彼女たちの持つ膨大な情報量がそのまま物語になる構成を楽しんでください。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)、『窓の外を見てください』(講談社)などがある。
  • Cmで低く甘く
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    1巻275円 (税込)
    東京で生まれ東京で生活する人々の普通はどういうものなのかを描いた昭和の物語 1978年の東京で、軽やかに付き合っているサックスプレイヤーの男女、川原樹里子と前田俊之。都会的なバカ話でジャレ合い、音楽の仕事の話をします。その中で思いつきのように俊之は樹里子に結婚を申し込みます。そこからは話が一転、浅草の洋食屋の娘である樹里子の、生活人としての側面が描かれます。そして物語は、片岡義男の短編小説のレギュラーとも言えるコロッケの話へ。ここで描かれるのは、頭が良い女性とはどういう事かについての物語。そして、東京で生まれ東京で生活する人々の普通はどういうものかを描いた昭和の物語です。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)、『窓の外を見てください』(講談社)などがある。
  • 謎なら解いてみて
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    1巻275円 (税込)
    ミラノサンドを巡る小さな謎を解く。喫茶店に入るごとに、物語に巻き込まれていく。 代々木上原の通称「おととい」と呼ばれる喫茶店での新しい連載についての打ち合わせは、ドトールのミラノサンドを巡る謎を解く話から、「謎を解いてみる」という内容に決まります。28歳のライターの藤崎浩は、その後に立ち寄った喫茶店で、店主にドトールへ誘われ、そこで驚くような話を持ちかけられ、先輩の女性ライターに連絡を取り、話がどんどん転がっていきます。喫茶店を巡るたびに謎が重なっていき、コロッケ屋が緩衝地帯となりつつ、藤崎はただ流されるように謎に翻弄されていきます。この謎は、解ける謎なのでしょうか。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『珈琲が呼ぶ』(光文社)、『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)などがある。
  • なぜあんなに黄色いの
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    1巻275円 (税込)
    これは、自由に生きるための技術を知っている女性の物語 二十五歳の書店員である水谷博子は、通勤途中に家に忘れたイヤリングに気がついても、取りに帰ったりせず、諦めもせず、新しくイヤリングを買うことに楽しみを見出す女性です。父親は荻窪で洋食店を開いていて、彼女も調理師免許を持ち、すぐにでも洋食屋の調理場に立つことができる腕を持っています。彼女が勤めている書店は、その町に4軒あった最後の一軒でしたが、遂に閉店することになります。彼女は父親の洋食屋を手伝い、彼女の恋人も、その常連になります。これは、自由に生きるための技術を知っている女性の物語です。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)、『窓の外を見てください』(講談社)などがある。
  • 偉大なるカボチャのワルツ
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    1巻275円 (税込)
    東京の世田谷の少年少女の成長は、そのまま東京の空気の変遷のようです 真紀子と由美子、よく似たタイプの二人の女性は、高校の同級生で今は二十七歳。昭和の終わりに、それぞれが実家の美容院とパン屋を引き継いで、今後の展開を話しています。その話に登場する、やはり高校の同級生だったサックスプレイヤーのシンゴもまた、高校時代からの彼女たちの友人。物語は真紀子と由美子、シンゴと真紀子、シンゴと5つほど年上のボーカリストの女性、そしてまた真紀子と由美子と、二人一組の会話で進みながら、その都度、少しづつ状況が変化していきます。東京の世田谷の少年少女の成長は、そのまま東京の空気の変遷のようです。 底本:『ジャックはここで飲んでいる』2016年、文藝春秋 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)、『窓の外を見てください』(講談社)などがある。
  • ゆくゆくは幸せに暮らす
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    1巻275円 (税込)
    要するに人生とは、関係の作りかたとその維持のしかただから 女優と男優、カメラマンと作家の4人による群像劇風の短編小説です。自分が演じた役柄に納得が行かないと、相手役の先輩男優に訴える女優の話は、カメラマンが直面する現実と重なり、作家は、そのようなトラブルについて、「人生は関係性にある」というテーゼを基に見事に解体して見せます。もちろん、事態を解体してみても、問題が決着するわけではありません。しかし、その話の中には、「なしくずしで寿命となる人生」を避けるためのヒントが含まれていました。カメラマンは、なんとなくそのことに気がついて、幸せな人生へと向かいます。 底本:『ジャックはここで飲んでいる』2016年、文藝春秋 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)、『窓の外を見てください』(講談社)などがある。
  • 半熟卵ふたつ
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    1巻275円 (税込)
    作家のメモ帳には、多岐に渡る言葉の断片が書かれている。その言葉がやがて小説の卵になるのです。 北原律子というペンネームの作家が、新しい仕事に向かうに当たって、自分のメモ帳を見返し、そこからネタになりそうな言葉を拾って、ノートへと書き写し、言葉を足したり、引いたり、合わせたりする、その作業が克明に具体的に書かれています。100枚のリフィルが綴じられたミニ6穴のメモ帳に書かれた走り書きの内容は、実際に聞いた言葉から体験したこと、架空の少女の記憶から思いついただけの言葉の断片まで多岐に渡り、そこから拾われた言葉が小説の卵になるのです。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。文筆家。大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。近著に『珈琲が呼ぶ』(光文社)、『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)などがある。

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