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Posted by ブクログ
写真家のニキと、アシスタントの加賀美の恋愛の物語。
仕事中は昭和なカメラマン然とあろうと(中川家のコントに出てきそうなああいうやつ)厳しく当たるのだけれど、とあるときに言い返されたことをきっかけに、恋愛関係に発展し、そして別れるまでが描かれる。
『自分の写真とは何か』を見つけ、制作に没頭し、ある時、加賀美は師匠を超えた存在になる。(師匠というのものは弟子を育て、弟子に超えられる存在ではあるよね)
それとは別に、ニキのような女性にとって女性性って難しいよね、っていう話でもあると思った。
素直に女性性を受け入れられればいいのだろうけど、それを拒否してしまうと、愛する人との関係がうまくいかなくなってしまうし、女性性を弱さと捉えると仕事がうまくいかなくなる、みたいな。
女子カメラ写真問題みたいなところにも繋げられそうな話でした。
Posted by ブクログ
世界一好きな本屋で見つけて、即購入。タイトルと作者にキュンときたから。結果、大当たりの本だった。
ニキはひどくめんどくさい性格だけど、どこか共感できる部分もあった。恋愛してる自分は友達や家族に見られたくないとか。向こうから自分を好きになったのに自分がどんどん相手を好きになってしまうニキのことが好きだ。
加賀美はどうしようもない奴だけど現実的でそこが好き。
加賀美の頭ん中には恋愛ごとしかないのかもしれない、って思った瞬間もあったけど、彼が仕事にのめりこんでいく姿はカッコよかった。だけどやっぱり気持ちの悪い奴だとも思った。
喧嘩のときに加賀美がニキの喜ぶことを“してあげていた”と言ったのは良かった。愚かさが全面に出ていて非常に愛しい。ニキも中々に欠落しているし、その二人が合わさっていく感じ、そしてまた分解していく感じが、なんというか、すごく好き。
この小説を読めて良かった。私はこういう話を待っていたんだな、と思ったほど。また読み返そう。
Posted by ブクログ
すごく良かった。
今まで読んできた、山崎ナオコーラさんの小説の文体(あの、なんとなくカタコトっぽいんだけど自然なセリフたち。すごくすき)とは、すこし違う感じがした。
恋愛小説と聞くと、なんとなく主人公が女性であることをイメージしてしまうが、本作はあくまでも、男性であるアシスタントの加賀美の視点を中心に、若くして成功したカリスマ女性カメラマン村岡ニキを映し出しているような、そんな感じ。新鮮。
自分の信じるものが強くあって、でも時々自信がなくなって。ひと以上に敏感に、ひとからの見られ方を気にするけれど、大切なひとを心から信じられない不器用なニキ。
すごくわかるし、愛おしい。女だからってナメられたくないと、悔しい涙を飲み込んで踏ん張る気持ちは、きっと真っ直ぐな加賀美にはわからないんだろうと思う。
これは予想でしかないけれど、ニキは、誰かに当たってしまう自分の弱さもわかっていて、それを省みてまた苦しくなったりしているんだと思う。
加賀美が、自分を恋人として周囲に紹介してくれないニキに不満を持つシーンがある。
これに対するニキの言い分には、首がもげるほど頷けた。
女性=恋バナが好き という図式に、私はいつも迷惑している。
自分の中での恋愛というのは、誰かに伝えるものじゃなくて、恋人との中だけで共有されるものだと思っている。ので、距離を縮めようと恋愛話をしてくる人がニガテで、そういうプライベートなことをずかずか聞いてこない人としか、友人関係は築けない。(自ら、自分の恋愛話をする分には大いに結構)
なんで恋バナがキライなんだろうと考えた時に、自分が鼻の下を伸ばしているさまを友人に見られるのがイヤだし、その逆もまた然り、なのだった。平たく言うと、『オンナの顔』が見え隠れするのが嫌なのだった。
ナオコーラさんの小説では、この人のジェンダーに対する考え方が織り交ぜられていることが多く、そのどれもが自分を肯定してくれる材料になるから、安心できる。
心に残ってしまう部分は、筆者の意図したところではないかもしれないけれど、芸術家同士の恋愛を描いた、なんてそんなあっさりすぎる感想は言いたくないと思った。そんな小説。大好きだった。
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