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登山で頂上まで行く? 途中で降りられる?
「『あきらめる』って言葉、古語ではいい意味だったんですってね。『明らかにする』が語源らしいんです」
近所の川沿いを散歩するのが日課の早乙女雄大。
入院中の愛する人との残り少ない日々の過ごし方や、
ある告白をきっかけに家を出てしまった家族のこと、
あれこれと思い悩みながら歩いていると、親子風の二人組に出会う。
親に見える人は何やら思い詰めた表情で「自分の人生をあきらめたい」と言う…。
ふとしたきっかけで生まれた縁だったが、
やがて雄大は彼らと火星に移住し、「オリンポス山」に登ることを決意する…!?
「あきらめる」ことで自らを「あきらかにしていく」――
火星移住が身近になった、今よりほんの少し先のミライが舞台の新感覚ゆるSF小説。
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Posted by ブクログ
めっちゃ良かったー!
よく、「若い高齢者」に対する呼称について迷うことがある。
「老人」は率直すぎるし、日常会話の中で「年配の方」と言うのはやや堅苦しい気がするし…
そういうわけで、“成熟者”と表現しているのがすごくユニークに感じられた。果たして、本当に成熟しているのかは疑問だけれども…。
愛と理解の違いについてよく分かっていなかった。
私を苦しめていたものは、愛情の不足というより、無知や無理解だったのかもしれない。
私も博士のようにずっとだれかに「生まれてきてくれてありがとう」と言われたかった。
だけどそれは、他でもない自分自身にかけて欲しい言葉だったんだと、納得した。
親への期待を手放したことで、自分の輪郭がはっきりしてきた。『あきらめる』ことでだんだん明らかになってきた。
これからは、飛ぶ鳥や川の流れ、日の光、あるいはまだ見ぬオリンポス山の鈍角のように、ただそこにあるだけで美しいものと共に生きていきたい。
Posted by ブクログ
色んな「あきらめる」が出てくる。あきらめるって悪いことじゃない。
余命わずかの岩井が「まずは、あきらめる。あきらめることで、あきらめきれないことが始まる。そこから始まるんだ」
輝は、育児について、「今、生きているだけでいいんだとあきらめないといけない」
ユキのネグレクトは、ちゃんとあきらめた結果。育てられないって言うことで、次の道が開けた。あきらめることから始まることもある。
輝は、悟る。心をあきらめよう。心を制御するのではなく、行動をコントロールしよう。
弓香や塔子は、雄大に対して上手くあきらめてる。でも、博士はあきらめようと思っても、あきらめきれない気持ちを抱えて、評価されたいという感情と向き合う。そして、登山の場面で、人に合わせてあきらめることもあるって気づいて、乗り越えた感じ。
あきらめる過程もさまざま。簡単にあきらめる必要もない。
自分を知ること、自分を信じることができないと、あきらめることってできない。
自分自身を見つめること。頭のなかはどこまでも自由。孤独を恐れる必要はない。その先に、人への寛容さも生まれるのかも。
今の自分に刺さる言葉がたくさんあった。
Posted by ブクログ
あきらむ、は「諦める」の古語で、明らかにする、というプラスの意味だ。
現在のあきらめるという語とは全く意味が異なるように感じる。
しかし、一旦あきらめることで、自分をありのままに受け止めてより良く生きられるということでもあるのだなぁと、今作を読んでいて感じた。
自分の欠点や願いを諦めて手放すことで、冷静に今の自分に向き合い、問題への解決策や改善策を模索できるようになる。
それは、とても前向きで建設的なことではないだろうか。
世の中には「あきらめるな」というメッセージが溢れているが、人は完璧ではないし弱い生き物なのだから、むしろ「あきらめる」ことをもっと考えなければいけないのではないか、と思った。
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