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恋愛未経験のおばあさんが喫茶店の店主に出会い、管理栄養士を目指す大学生は野球選手との結婚に憧れ、子育てを終えた中年の女性がファッションデザイナーと巡り合う。引きこもりニートは松田聖子に恋慕し、その弟は誰に対しても自分から「さようなら」を切り出せず、兄弟の父親は妻と再会する。人と接するのが苦手な少女は思いがけず人気アイドルになって、アイドルの付き人は嫉妬に苦しみ、三流俳優は枕を濡らす。植物屋の店主は今日も時間を忘れてサボテン愛に耽る。年齢も性別も境遇も異なる男女が出会い、恋をし、時には別れを経験する。「絶対的な恋なんてない」不格好でも歪でもいい、人それぞれの恋愛の方法を肯定する連作小説集。人気多肉植物店・叢-Qusamura-の店主・小田康平が植物監修を務める。
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Posted by ブクログ
登場人物たちが超個性的(雑に表現してしまうなら普通ではない)のに、様々な形をしたサボテンを取り上げながら綺麗に纏めている。読後感も良好。
サボテンは個体によって成長スピードも、その仕方も違うそうです。真っ直ぐに伸びたり、曲がりくねったり、他のサボテンにくっついたり…そうやって一つ一つが、唯一の形を持ったものになっていくそう。
エピローグで鳥子さんが言った多肉植物に対する「時間が顔に出るのねえ。生まれ方より育ち方なのね」という台詞、さりげないけどすごく好き。過去の全てがそれぞれの今を作っているのは人間もそうだよなぁ…それがどんな形であれ…
多様性を認める温かさはやっぱり大事にしたいなぁと、しみじみと思いました。
Posted by ブクログ
シンプルな言葉で温かみのある文章を書く人だなあと思った。愛も恋も考え方は人それぞれ。嫌な登場人物がいなくて穏やかに読める。美代梨ちゃん・アカネちゃん・俊輔の話がすきだった。すれ違いの演出がお茶目。
あとは金太郎・華子が死後スーパーバリダを登山?登サボテンするの、死後の世界としてとっても理想だな。
それぞれのショートストーリーがサボテンを通じて繋がっていく構成素敵だった。
金太郎の言葉を引用。
愛というのはなんだろう、と金太郎は考えた。側にいてくれるだけでいい、というものだろうか。いや、遠くに行ってくれたって構わないのだ。 その人が素敵な人でなくたっていい。他の人たちに劣る存在でもいい。自分と関わってくれなくてもいい。 若い頃に、愛国心について考えたことがあった。愛しているからといって、他の国よりも秀でる必要はない。プライドのために戦争をしたりスポーツをしたりするのはばからしい、と思った。 息子たちに対して感じたことと同じだ。他の子に勝つような子だから愛していたわけではない。 お互いが生きているだけで、いや、どちらかが死んだって、愛していける。高め合うためでなく、祈るために関係を築く。
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