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医療の進歩で男性でも母乳が出せるようになった世界。哲夫は、ついに授乳を経験するが!?(「父乳の夢」)。機械を装着することで筋力差がなくなり、性別による役割分業が減ったら?(「真顔と筋肉ロボット」)。性差への理解を深めたら月経が訪れるようになった男性の変化とは?(「キラキラPMS(または、波乗り太郎」)など、全4編。圧倒的な想像力で、性差が減った未来(=ユートピア)をユーモラスに描き、旧来的な性別の“当たり前”をぶっ壊す!
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Posted by ブクログ
大傑作。今年読んだ本の中で1番かも。 特に男性が妊娠出産育児から疎外される時の精神的な揺れ動きは、これまで考えたことのないテーマであり、新鮮な視点で非常に学びが多かった。 生理を含めた身体が要請する感情の波を、どうにか乗り越えながら生きることをサーフィンに喩えるなど、ナオコーラさんは新しい感性を持っ...続きを読むた天才なのだなと心底思った。 収録された四篇は全てすばらしく、登場人物全員、自分の中にも生きているように感じた。 世の中の全ての人に読んでほしいし、また読み返したい。 著者の『母ではなく、親になる』もポチった。
特に『キラキラPMS(または、波乗り太郎)』の後半がとても良かった。 どの作品も全体的に、女性側に理解を示そうとする男性と独立心のある女性の夫婦の話。 ちょっと変わったお話に感じるが、これぞジェンダー小説という満足感もあった。 どの作品の女性も忍耐力と包容力があるように思えたのは気のせいだろうか、...続きを読むそれともリアルの女性たちが男性を見限るのが早いのだろうか。 とてもオススメの小説集です。
あなたは、『病院で治療を受けることによって父乳(ふにゅう)を出すことが可能である』ことを知っているでしょうか? (*˙ᵕ˙*)え? 昨今、男性育休という言葉がよく聞かれるようになりました。このレビューを読んでくださっている方の中にも、同僚が男性育休中です!とか、それ私のことです!とおっしゃる方...続きを読むもいらっしゃるかもしれません。子育ては女性の仕事であり、男性は会社で働くもの、そんな考えが支配していた時代も遠い過去へと過ぎ去っていく現代社会。男女平等が叫ばれ、その境目がなくなってもいく現代社会。 しかし、未だ男性と女性には、それぞれに求められる役割があると思います。例えば前述した育児一つとっても『母乳』は女性しか与えることはできません。これは、身体の作りがそうさせているものでもあり、どうにも超えられない一線でもあると思います。そんな中にあっては、そんな差自体を恨めしくも感じる人もいるようです。 『母親しか食べ物になれないというのはずるい。なぜ神は父親に赤ちゃんの食べ物になる体を与えなかったのか』 さてここに、そんな思いを医療技術の進歩によって乗り越えていく人たちを描く物語があります。『出せるものなら、出したい』と、『父乳』にこだわりを見せる主人公を描くこの作品。そんな思いの先に『鳩みたいですね』と自らの乳を吸う子供を見る父親を描くこの作品。そしてそれは、山崎ナオコーラさんのかっ飛んだ想像力に圧倒される、まさかの未来世界を見る物語です。 『授乳中だから、カーテンを閉めてくれるとありがたい』と今日子に言われて、『あ、ごめん』と『レースのカーテンをぴったり閉め合わせ』るのは主人公の哲夫。薫が『こきゅこきゅと口を動かす音が甘く静かに布団の上に広がる』中に『大変だね。頑張っているね』と静かに言う哲夫。そんな哲夫を見て『やっぱり、簡単には母乳は出ないね。確かに、薫ちゃんは頑張って飲もうとしているけどね』と笑って言う今日子。『産後の過ごし方、風呂の入れ方、母乳やミルクのあげ方…。育児書や育児DVDをいくつも購入した』という哲夫は『その中で読んだ、母乳が出る仕組みに思いを馳せ』ます。『母親の脳にホルモンが働きかけることによって分泌される』という『母乳』は、『要は、赤ちゃんについて頻繁に考えること、そして授乳を繰り返して乳首を吸われる刺激を受けることによって』出るとはいうものの『個人差もあり、赤ちゃんのことを一所懸命に考え、頻回授乳を必死で行ったところで、みんながみんな、母乳を出せるわけではない』とその仕組みを思う哲夫。『小さい頃から父親になることを夢見ていた』という哲夫は、『子どもを大事にするために、まずは料理を頑張りたい』と、『トンカツ屋に勤めて』いた母親に教わり『料理が上手にな』りました。『でも、生まれたばかりの赤ちゃんは食事ができない』、『母乳か粉ミルクか液体ミルクしか飲めない』と思います。そして、『母親しか食べ物になれないというのはずるい。なぜ神は父親に赤ちゃんの食べ物になる体を与えなかったのか』と考える哲夫。そんな哲夫は『粉ミルクを作ろうか?』と言い、キッチンで作ると『哺乳瓶を持って寝室へ戻』ります。『よく飲むなあ。嬉しそうに飲んでもらえて、作りがいがあるなあ。嬉しいなあ』と薫を見つめる哲夫に『哲夫は粉ミルク作るのが嬉しいんだよね?』と訊く今日子に『僕も親なんだから、僕のできることはしたいよ。…まあ、自分のやるべきことがあるっていうのは、確かに嬉しくはあるね』と答える哲夫。そんな哲夫を見て『哲夫が母乳を出すのはどう?』と訊く今日子に『え?そんなことできるの?』と『瞠目して聞き返』す哲夫。『あ、間違えた。哲夫が出すのは、父乳だ』と訂正する今日子に、『い、いや、母乳でも父乳でもどっちでもいい。出せるものなら、出したい』と思いを述べます。そして、『パンフレットを、退院するときにもらったんだよ』と言う今日子は、『「父乳育児を希望する方へ」というタイトルのパンフレット』を哲夫に見せます。『読んでいい?』と早速パンフレットを手にした哲夫は、そこに『病院で治療を受けることによって父乳を出すことが可能であると書かれて』いるのを見ます。『入院や手術は必要なく、通院で治療を受けるようだ。ホルモン剤の注射や服薬によって乳房を発達させる』、『数週間で父乳が出るようになり、授乳期間中は二週間ごとの通院を続ける』という内容を読む哲夫は『健康保険の適用外なので、治療費は高額になる』という現状を知るも『どう?』と訊く今日子に『やってみたい』と『顔を紅潮させ』ます。そして、『早速、病院に電話すると、運よく三日後に予約が取れ』ました。 場面は変わり、『薫と今日子と共に診察室に入』った哲夫に『父乳をご希望ですね。母子手帳をお持ちですか?』と『カルテを見ながら』看護師が訊いてきます。そして、『採血をし、尿検査をし、体重を計測…』と検査を受けた後、再び診察室に入った哲夫に『検査の結果、治療を受けられることになりました…』と医師は説明を始め、『注射をしますねー。チクンとしますよー』と肩に注射を打たれます。そんな先に、『黄色い初乳が乳首に滲んだ』という日を迎えた哲夫。『父親も乳を出す時代が来たんだ…』というまさかの物語が描かれていきます…という最初の短編〈父乳の夢〉。本当にこんなことあるの?と思わず調べてしまうまさかの好編でした。 “圧倒的な想像力で、性別の’当たり前’をユーモラスにぶっ壊す!! 医療の進歩で男性でも母乳が出せるようになった世界。哲夫は、ついに授乳を経験するが?驚くべき想像力で性差が減った未来(ユートピア)をユーモラスに描く、全4編収録”と内容紹介にうたわれるこの作品。「小説すばる」と東京新聞/中日新聞に掲載された4つの短編が収録されています。とは言え、短編間に繋がりは一切なく連作短編というわけではありません。しかし、これら4つの短編は内容紹介にある”性別の’当たり前’”を描くという点でまとまりを見せてもいます。そして、それらについて共通するのは近未来?が舞台となっていることだと思います。では、この点からそれぞれの短編を順に見ていきましょう。 まずは衝撃的な内容が当たり前のことのように描かれる〈父乳の夢〉です。作品冒頭は上記させていただいた通り、『小さい頃から父親になることを夢見ていた』という哲夫が育児に対峙していく様が描かれていきます。昨今、男性育休が叫ばれ、男性も積極的に育児に関わる時代へと一歩前進した感はありますが、どこまでいってもそこには性差の壁があります。物語では、子育てでまず目にしたこんなものに疑問を感じる哲夫が描かれます。 『母子手帳とは、母子健康手帳の略で、市区町村から妊娠者に交付される…妊娠も出産も育児も、父親も関わることなのに、なぜ「親子」ではなく「母子」なのだろうか』 そこには、『母子手帳を見る度に、排斥されている感覚を味わ』う哲夫の姿が描かれます。このレビューを読んでくださっている方の中にも『母子手帳』を手にされた方は多々いらっしゃると思います。私も目にしてきましたが、確かに言われてみれば『親子手帳』の方がしっくりくる気もしますね。物語ではそんな思いの先に、『哲夫が母乳を出すのはどう?』と今日子に提案された先の哲夫の姿が描かれていきます。これは衝撃です。『健康保険の適用外なので、治療費は高額になる』という先に『父乳』を出すために病院へと通う哲夫は、『注射を、三日置き』に受け、『一日三回、八時間置きに薬を飲』み、『乳腺の通りを良くするマッサージ』を受けます。これがやたらリアルです。そして、『薫が泣き出した』という中、『僕の乳首を吸ってくれるんでしょうか?』、『吸啜反射っていう原始反射で吸い付いてきますよ』と看護師と会話する哲夫。そして、『わあ、探していますね』、『ここだぞう』という先に『薫は吸い付き、こくこくと頭を動かして飲む仕草を始め』ます。 『乳首を吸われるって、随分と嬉しいものですね。こんなに喜びに満ちたものだとは知らなかったです』。 そんな先に描かれていく衝撃的な物語。まさか現代の医療技術の進歩はこんな状況を実現するまでになったのか!と調べてもしまった衝撃的な短編でした。正直なところ、この短編を読むためだけにこの作品を読む価値があると思います。そこには、『妊娠や出産や授乳が親子を作るんじゃない。日々が親子を作るんだ』という言葉に納得させられもする非常に読み応えのある物語が描かれていました。 次の二編目〈真顔と筋肉ロボット〉では、『笹部紬(ささべつ むぎ)には筋肉があまりなかった』と『筋肉があまりない』ということを自覚する主人公の紬の日常が描かれていきます。 『力持ちはいいなあ。力持ちだったら、不器用で挨拶やお礼が上手く言えなくても、表情が硬くても、厳しい雰囲気でも、暗い性格でも、生きていけるに違いない』。 そんな風に『力持ち』を羨ましく思う紬は、世の中を見渡しこんな現実を感じます。 『性別というもので見ると、大柄な人が多い性別と、小柄な人が多い性別がある』。 改めて考えてみてもこの世の中は力が必要なことは男性の役割というような暗黙の了解前提で物事が回っているような気がします。一方で女子だけの集団であればその中で力の有無関係なく物事が動いていく現状もあると思います。この短編では、そこにこんなコマーシャルを目にした紬がそれを手に入れることによって、その先にどんな状況が生じるかを問題提起してもいきます。 『有名な俳優が肩に掛けて、腕、手までを覆うタイプの筋肉ロボットを装着する。すると、重い物が持てるようになる』。 そうです。『力持ち』でなくてもロボットの力で力の差を解決できるという未来です。なるほど、と展開していく物語は、力の有無ということで暗黙の了解のごとく成り立ってきた性差に疑問を投げかけます。こちらもなるほどと納得感のある短編です。 そして、三編目〈キラキラPMS(または、波乗り太郎)〉では、『PMS』に光を当てます。 『生理が始まる十日とか三日くらい前から、体や心がイライラしてくるんだよね。それで、人間関係に亀裂が生じるんだよね。思考がグルグルして暗い気持ちになるんだよね。心が波打つんだよね』。 そんな風に説明されていく『月経前症候群』=『PMS』。そんな物語には、『「障害」ってその人の問題じゃなくて、社会の側にあるハードルなんだよ』と『障害』というものに対する最新の考え方も提起されます。そして、この短編は、「小説すばる」の2020年8月号に掲載されたものでもあることから、そこには”コロナ禍”が舞台としても描かれていきます。物語はそこにまさかの展開を描いていきます。 『PMS用のサーフボードに乗れば、PMSが始まるんだってよ』 奇想天外に展開していく物語は読者の想像を遥かに超えて展開していきます。性差の一つでもある『PMS』を鮮やかに物語に描き出す山崎さん。なかなかにかっ飛んだ物語だと思いました。 そして、最後の短編〈顔が財布〉は、唯一新聞に掲載された物語であり、掌編といっても良い分量の作品です。『自分の顔が好きだ』と思う主人公がまさかの事態に遭遇する物語。あっという間に読み終える分量であり、詳述は避けたいと思いますが、なるほどと思わせる物語がそこには描かれています。 以上、4つの短編が収録されたこの作品は、山崎さんの代表作である「人のセックスを笑うな」にかけて、「肉体のジェンダーを笑うな」というタイトルがつけられています。性差による先入観に光を当てる物語には、性差の”当たり前”ということを改めて考えさせられる未来の私たちの世界が山崎さんらしくチクッと棘のある表現の中に極めて読みやすく、ユーモアたっぷりに描かれていました。 『どうしたの?薫ちゃん、お父さんのおっぱいだよー』 まさかの『父乳』によって子育てを行う主人公が描かれた〈父乳の夢〉を含む4つの短編が収録されたこの作品。そこには、性差にメスを入れる山崎さんがユーモアたっぷりに描く近未来?の光景がありました。『父親も乳を出す時代が来た』ってまさか?と思わず調べてしまったこの作品。性差というものに我々が如何に縛られているかを思いもするこの作品。 山崎さんのかっ飛んだ想像力に驚くと共に、その考えの深さに共感させられること多々な素晴らしい作品でした。
1番最後が短いのに印象的だった。この本の中では男、女という言葉が一切出てこないし真剣に性について考えすぎて変になってしまった人達がたくさん出てきてまだまだ自分の知らない考え方もあるのかもしれないと思った。 日々が親子をつくる。 できるできないじゃなくて誰でもできることを自分がやる。楽しい方を選ぶ。 ...続きを読む波があるから波乗りができる
気になっていた山崎ナオコーラさんの短編集。男性が父乳(母乳)を出せるようになったら?テクノロジーの発達で筋力差がなくなり、性別による役割分業が減ったら?もし男性に生理がくるようになったら?性別を非公表とし、人の数だけ性別はあると仰る山崎ナオコーラさんが描く性差が少なくなった未来を描いたユーモラスな短...続きを読む編集。あえて男や女という言い方をせずにここまで描けるものなのかと驚いたし、自分のなかにある抜けきれないジェンダーロールのせいか読んでいる途中で混乱することもあり、まだまだ自分のなかに根付くものの深さに唸った。自分の頭のなかはを暴かれるのは痛くて気持ちいい
限りなく★5に近い4.5 同じようなジャンルの、同じような作家さんの中での読書でしたので新鮮でした。 教育現場で是非。 コチコチ頭の大人でも楽しかったので、こどもはどんな反応なのかなぁと興味深いです。
2024年23冊目 山崎ナオコーラさん/ 肉体のジェンダーを笑うな 性別の常識をぶっ壊す、4作の短編集。 性差のない世界を描いたファンタジーに留まらず、「気づき」を得ていく登場人物たちが痛快でした。 個人的には「ロボット技術で怪力になった妻」の話がお気に入りです
眼差す性と眼差される性の境目について、肉体的特徴により社会的な分断が行われてきたことを前提に、もはやそんな時代でもないのでは?と問いかけてくる短編集 SFチックな寓話であるが、物語としてはやや突拍子もない印象があり、イマイチ入り込めなかったのが残念。
科学の進歩によって性差を超えた社会が到来した物語。性別による役割は社会から無言の圧力のようにして与えられる。そこに対しての違和感であったり、不快感はなかなか表出しづらいが、この本はifの世界で爽快に問題定義してくれる。あらゆる属性の人にとって心を打たれる小説だと思いました。
性についてこうあるべきだと真剣に考え過ぎて面白いことになっちゃう真面目な良い人たちのおかしみ。 女性男性その他を理解しようとするあまり逆に相手をイラつかせてしまう、読者の私もイラついてしまう。 もっと自然に行こうよ…とお気楽に宣えるのは法律上の性と性自認が一致しているからか。
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