筑摩書房作品一覧
-
4.0
-
3.6
-
4.0
-
5.0終戦から33年が経過した1978年、著者・真尾は沖縄へ向かう。県民の四人に一人が犠牲になった地上戦に巻き込まれ、親を、子を、夫を、友を、尊厳を、あらゆるものを奪われた女性たちの痛みの記憶は、戦後なお静かに秘められていた。黙する声を聴き取ろうとする「己の罪深さ」を強く自覚し、それでも未来へ言葉を残す。祈りを届ける傑作ノンフィクション、待望の復刊。解説 吉川麻衣子(沖縄大学教授)
-
5.0丹念な取材から最新科学が示す「色の見え方」の驚くべき多様性と、悩ましい検査の問題が明らかに。20世紀には、学校健診から雇用時検診までありとあらゆる場面で制度的色覚検査が行われ、「異常」の人には大きな制限が課されました。極端な扱いはなくなったものの、未だに前世紀の「色覚」観と検査の問題は社会の隅々にまで浸透しているように思えます。本書は、色覚に関する誤解を塗りかえるべく「色」をめぐる冒険へと旅立った科学作家が、進化生物学、視覚科学、ゲノム科学、医学等の最先端に接して、様々な事象を再点検。「色覚」とは何なのか。そもそも、あなたが見ている赤と私が見ている赤は同じなのだろうか? 取材の末見えてきたのは、「多様性と連続性」の新しい地平でした。多くの取材を通して得た「色覚」についての新しい知見と考察を重ねた1冊。
-
5.0
-
3.0
-
4.0
-
4.3
-
4.0
-
3.2「卒論を準備する時期になった」「(文科系の)研究者を目指したい」と思ったとき、何から手をつけたらよいのだろうか? 「学問研究は、しかるべき方法・手順を身につければ誰にでも可能」と主張する本書では、研究テーマの見つけ方や指導教員の選び方、読書術、論文執筆法、留学など、研究生活に必要な事柄を丁寧に解説する。
-
4.0「理想」という語は、明治の時代、プラトンの「イデア」の訳語として造られ、定着した。そしてプラトンの最高傑作『ポリテイア』(『国家』)が『理想国』の標題で出版され、近代国家建設をめざす多くの日本人の希望の拠りどころとなる。だが、新たな理想社会を創らんとするその熱情は、やがて全体主義に利用される運命を辿った――。かくも激しく人々の魂を突き動かしたプラトンの理想主義哲学とは、果たしていかなるものか。『ポリテイア』の核心を読み解くことで、哲学という営みが切りひらく最良の地平を描き出す。初学者への案内として「プラトン『ポリテイア』を読むために」を付した決定版。
-
4.2
-
4.0
-
5.0
-
4.2日本人に特有の「言えそうで言えない」英語表現があるようだが、なぜだろうか? ビジネスを中心に日常的な場面やSNSで使われそうな会話の中で、より適切な英語表現はどれになるかを、クイズ形式で学んでいく。文法的な誤りや単語の使い方、さらに文化的背景や物事の捉え方の違いを解説で読みながら、日本語と英語の発想の違いに気付くことで、よりシンプルで伝わる英語表現を身につけていきたい。
-
-<全体=内部+境界+外部>であり、境界は内部→外部、また外部→内部と意味を変容し得る──。他に類を見ない数学的・哲学的スタイルで近代日本文学の常識を覆した『意味の変容』。若き日を放浪のうちに過ごした異能の作家・森敦が、光学工場やダム建設現場での思索を結晶させた究極の私小説であり、その理論を代表作『月山』などにおいて具現化した文学論でもある。新編にあたり、空海の足跡を辿りつつ真言密教を独創的に読み解いた『マンダラ紀行』、京城で過ごした幼少期に始まる豊饒な半生をユーモラスに語り尽した『十二夜』を併録。森敦の思想の全貌を明らかにした決定版。
-
3.5
-
3.0曲亭馬琴の代表作『南総里見八犬伝』。歌舞伎でもおなじみのこの長い物語は、はたしてたんなる「勧善懲悪の封建的冒険活劇」なのか。かろやかに境界をとびこえて、綺想を広げてみよう。たとえば、ユートピア・安房の「大いなる母」のもとへ集まる犬士たちは、ミシシッピを筏で流れ下るハックルベリー・フィンだ。浜路を拒絶する犬塚信乃は、オフィーリアの死に安堵するハムレットだ。―「水」や「少年」「竜」などをキーワードに、トウェインやメルヴィルを重ね、イーグルトン、ユングをひきながら、八犬伝に近代の人間像を読み解く、比較文学からの八犬伝論。新編として、「江戸の二重王権」「『八犬伝』の海防思想」の二論文を増補。
-
-精神病理を人間の在り方の一様相として論じてきた著者によるキー概念「間」(「あいだ」)。自己存在の根底にある超個人的な場所としての「人と人との間」は、現代思想に大きな影響を与えた。本書は、ドイツ留学時に思索した日本人論としてこの概念を世に問うた一冊である。日本人特有の精神病的生き方をさまざまな現象を通して思索するとともに、日本的精神症状とされる対人恐怖、貰子幻想の病理を解明。さらに「間」理論を和辻哲郎の『風土』、土居健郎の「甘え」理論と併せて検討して、人間存在の様相を詳らかにする。文庫化にあたり講演「人と人とのあいだの病理」を併録。解説 清水健信
-
5.0
-
4.0民藝の入門書の定番として長く親しまれてきた柳宗悦の『民藝四十年』。しかし、柳はこの名著をさらに充実させる改訂案を温めていたのだった。本書は柳が生前、『民藝四十年』の初版本目次に書き加えていた15編の論考を新たに増補し、柳の訂正指示を反映させて編んだもの。これにより、柳が「民藝」を通して伝えたかったことがより明確となった。ものの真の美しさを掴み取るにはどうしたらよいのか? 何がものを美しくさせているのか?ものが美しくなる原理が迷える人間の救済にもあてはまるとはどういうことなのか?そのすべての答えがこの一冊の中にある。
-
5.0
-
4.0
-
3.4
-
-親鸞が、もっとも信頼する人びとや、最愛の弟子たちと交わした、胸を打つ手紙の集成。その現存する手紙全42通の現代語訳と解説で親鸞の心中に迫る。最新の親鸞研究の成果にもとづき、全書簡を書かれた順に構成。これにより、子息善鸞の義絶事件などの人間的苦悩と、煩悩具足の凡夫であることの自覚から、ひたすら阿弥陀仏の本願(専修念仏)に帰命する姿が、より鮮明に立ち現れる。それは、仏教を貴族や支配階級のもとから解放し、真に民衆のものとして、多くの衆生を獨世から救おうとする姿にほかならない。現代にも脈々と生きる、親鸞の力強い実践思想へのこのうえない入門書。
-
-親鸞はいかなる人物か。その思想はどのような今日的意義をもっているのか。親鸞に親しむほどに既成教団を否定せざるをえず、浄土真宗の末寺に生まれながらあえて寺院を離れた著者が、一市民として全存在をかけて親鸞の求道に分け入る。自己の無力を知り弥陀の本願に依ることでどのような者も救われるという「絶対他力」の教えは、ケガレを忌み、占い、苦行や作善、祖先崇拝に救いを求めた中世人に、いかばかりの衝撃をもたらしたか。中世の「聖なる世界」の構造をトータルに把握し、そのなかで親鸞が切り開いた「絶対他力」という「普遍への回路」を明らかにする、渾身の著。
-
3.3
-
4.0
-
3.5
-
3.0
-
4.0神さまって何でしょう? 完全無欠で人間を超えた力を持つ特別な存在? 意外にも神々は神話の中で人間味あふれた姿で描かれています。日本人はどんな神々とつきあってきたのか見てみましょう。
-
4.0
-
4.020世紀を代表する作家の14歳から55歳までの全評論、61編。初の全訳(初訳多数)で、各編にはそれぞれ解説、註を付す。創作の秘密が解き明かされる!
-
-
-
4.5戦後長い間、自衛隊や防衛政策についての論議はタブーであった。冷戦終焉後、自衛隊の果たす役割が拡大してからも、その実態はあまり直視されてこなかった。自衛隊という世界にも類を見ない組織がなぜ成立したか。国民はそれをどう受容してきたのか。安全保障に関する議論、日本社会における防衛問題・軍事の位置づけ、現実の自衛隊の活動、という三層から、我が国の防衛政策の七〇年間の転変を描き出す。防衛をめぐる議論に不可欠な基礎知識を網羅した、初めての自衛隊全史。
-
-過去・現在・未来という時間の様相は、言語によって作られた概念である。世界はそのつど湧き出しては消えていく“いま”の連鎖なのであり、客観的世界も客観的時間も仮象にすぎない。ならば、「私」が死ぬとは、少なくとも、私が客観的世界から消滅することではなくなる。若き日から「自分がいずれ死ぬとしたら人生には何の意味もない」という呪縛に捉われてきた著者が、本書でついに「死」という問題そのものに対峙する。そして「私の死」の裏側にはりつく過酷な意味から脱却し、「私」は単に人間として死んで終わりであるような存在ではないという地点に達する。著者の哲学的思考の到達点。
-
-
-
4.0
-
4.0
-
4.5精神の病態を一時的な疾患としてではなく人生全体の示す歴史的な歩みとして位置づけ、独自の思想を重ねてきた著者の代表的論考のかずかず。自己と他者の「あいだ」の病態として捉えられてきた分裂病を、「時間」の病態として、現象学的な思索を展開する。とりわけ鬱病者の“あとのまつり”的体制に対し、分裂病者が“前夜祭”的な時間体制をもつという新しい構図は世界的に大きな波紋を広げた。他者や世界との「あいだ」、自己自身との「あいだ」の歴史性における患者の生のあり方を追究した本書は、精神病理学と哲学を自由に横断する独創的な学問的達成であるといえよう。
-
4.4
-
3.8自己肯定感は、日々葛藤しつつ生きていくことで少しずつ高まるもの。成長途上の若者が自分はまだ未熟だなと思うのは自然な事。ほめたらのびるものではない。高校生の7割が「自分はダメな人間だ」と思うことがあるという。そもそもどのようにして測定されているのだろうか。その心理メカニズムを解明すると、何を鍛え、何を高めればいいのか、本当の自己肯定感を育む方法が見えてくる。 【目次】第1章 自己肯定感っていう言葉を最近よく耳にする/第2章 日本の若者は自己肯定感が低いって言われるけれど……/第3章 自己肯定感はどのように測定されるのか?/第4章 ほめられても真の自己肯定感は高まらない/第5章 ほんとうに大切なことに目を向けよう
-
4.0
-
4.5「自己」とはどのように形成され、どうすれば変えられるのだろうか。実はそれは、私たちが自分自身について「物語る」ことで産み出されているのだ。そして物語がエピソードの選択・配列を伴う限り、そこからはみ出してしまうものも存在する。自己物語はそうした「語り得ないもの」(例えばトラウマ的体験)を巧妙に隠しているのであり、この隠蔽を解除する方向へと物語を書き換えることで、異なった自己を産み出すことも可能になる──。物語論を治療に用いた家族療法(物語療法)から、社会学的自己論は何を学べるか。〈物語〉をキー概念に自己の生成・変容をあざやかに読みといた刺激的論考集。
-
4.3誰にも文句を言われず好きなだけ寝ていられる。時間を気にせず好きなことができる。10万円で小屋を作ってベーシックに暮らす(Bライフ)までの試行錯誤。雑木林に土地を買い、手工具で小屋を建て、水や電気、トイレ等の生活設備を整える。地元の人の反応や野生動物との出会いも。文庫化にあたり薪ストーブの楽しみについても追記。小屋ブームの一端を担った本。
-
-
-
4.0
-
4.0
-
-従来の東京裁判論は、主に政治・外交史を基調とし、また「日本無罪論」で知られるインド代表判事パルやオランダ代表判事レーリンクによる個別反対意見をもっぱら話題とし、本来の東京判決での多数意見を軽視してきた。本書は、東京裁判の事実認定がいかになされ、責任がどう問われたのかを実証的に解明。法廷で適用された責任論や、各被告人に対する判定の根拠を体系的に分析する。判決七五周年に向けて、東京裁判を国際刑事裁判史にどう位置づけて評価すべきか、その功績と問題点とを明らかにする。【目次】まえがき/第一章 裁判の歴史的文脈と枠組み/第二章 平和に対する犯罪の争点/第三章 日本政府組織論/第四章 戦争犯罪の争点/第五章 「東京判決」――多数派判事による判決/終章 今日の国際刑事裁判にみる責任論
-
5.0
-
-20世紀前半の世界文学を代表する文豪アンドレ・ジッド。のちにノーベル賞を受賞する彼には、新しい文学的地平の開拓者としてはもちろんのこと、植民地解放、反ファシズム闘争、スターリン批判の先駆者としての三つの顔がある。だが、同時に性解放の先覚者であったことはあまりよく知られていない。社会の通念が勝手に決めた異性愛、同性愛という狭苦しい枠組をのりこえ、性の境界を侵犯するジッド。しかも、女性と美少年を愛しながら、同時にその両方を恐怖するという例はきわめて稀だ。文豪の知られざる愛と性の生涯を通して探究する摩訶不思議なセクシュアリティの人類学。
-
-
-
4.0「解剖」「スキー」「石鹸」「洋食」「アイスクリーム」「傘」「国旗」「幼稚園」「マッチ」「電話」「蚊帳・蚊取り線香」「胃カメラ」「万年筆」の十三編のはじまりの物語。そのひとつひとつに歴史があり、人の営みがある。江戸から明治にかけて、人々は苦労して新しいものを取り入れ、初めてのものを作りだした。三十年以上歴史小説を書きつづけてきた著者が豊富な史料を駆使して書いた新鮮な驚きが溢れる物語。
-
3.7
-
3.8
-
4.0
-
4.3
-
4.1
-
4.0
-
4.1
-
3.0
-
3.0十字軍と言えば、もっぱら運動としての面が注目され、十字軍士たちが各地に建設した諸国家、すなわち十字軍国家の全体像が語られることはなかった。だが、1098年のエデッサ伯国建国から、1798年のナポレオンによるマルタ島攻撃までの実に700年にもわたり十字軍国家は存続していた。ローマ教会、ビザンツ帝国、神聖ローマ皇帝、イスラーム勢力や地中海の諸商業都市、傭兵団、さらには来襲するモンゴル勢など、多種多様な勢力が複雑に絡み合う興亡の歴史を、第一人者が活写する。 【目次】序 十字軍国家とは何か/I ラテン・シリア/第1章 ラテン・シリアの誕生(1097-1099年)/第2章 ラテン・シリアの形成(1098-1118年)/第3章 ラテン・シリアの成長(1118-1146年)/第4章 ラテン・シリアの発展と分断(1146-1192年)/第5章 ラテン・シリアの回復と再分断(1192-1243年)/第6章 ラテン・シリアの混乱と滅亡(1243-1291年)/II キプロス王国/第7章 キプロス王国の形成と発展(1191-1369年)/第8章 キプロス王国の混乱と消滅(1369-1489年)/補章1 ヴェネツィア領キプロス(1489-1573年)/補章2 キリキアのアルメニア王国(1198-1375年)/III ラテン・ギリシア/第9章 ラテン帝国(1204-1261年)/第10章 フランク人支配下のモレア(1)(1204-1311年)/第11章 フランク人支配下のモレア(2)(1311-1460年)/補章3 カタルーニャ傭兵団とアッチャイオーリ家(1311-1462年)/IV 騎士修道会国家/第12章 ドイツ騎士修道会国家(1225-1561年)/第13章 ロドス期の聖ヨハネ修道会国家(1310-1523年)/第14章 マルタ期の聖ヨハネ修道会国家(1523-1798年)/あとがき/主要参考文献/十字軍国家支配者一覧
-
4.1
-
4.6
-
3.5
-
3.5
-
3.6
-
4.4「重力」に似たものから、どうして免れればよいのか? ――ただ「恩寵」によって、である。「恩寵は満たすものである。だが、恩寵をむかえ入れる真空のあるところにしか入っていけない」「そのまえに、すべてをもぎ取られることが必要である。何かしら絶望的なことが生じなければならない」。真空状態にまで、すべてをはぎとられて神を待つ。苛烈な自己無化の意思に貫かれた独自の思索と、自らに妥協をゆるさぬ実践行為で知られる著者が第二次大戦下に流浪の地で書きとめた断想集。歿後に刊行され、世界に大反響を巻き起こした処女作。
-
4.2
-
4.3日本でも犯罪不安が高まり、監視が強化されている。幸福な人生への私たちの欲望が、こうした社会を生み出した。しかしそこでは、言われなき差別が助長されかねない。ならば、どのような社会が望ましいのか? この問いに応えるべく、本書はまず「個人」の自律性が夢見られた一九世紀システムにまで遡り、それが機能不全を起こし、個人の能力不足を社会システムが補うようになった二〇世紀の苦闘と幻滅を描き出す。「自由」と「幸福」という両立し難い価値のうち、私たちは、どちらをどのような理由で優先させるべきなのか。二一世紀の〈あり得べき社会〉を、正義という観点から構想した社会哲学の書である。
-
4.2
-
3.7
表示されていない作品があります
セーフサーチが「中・強」になっているため、一部の作品が表示されていません。お探しの作品がない場合は、セーフサーチをOFFに変更してください。