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父のからだに、なにかが棲んでいる――。姉妹と父に残された時間は一年。その日々は静かで温かく、そして危うい。第38回太宰治賞受賞作と書き下ろし作品を収録。
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Posted by ブクログ
きれいで、柔らかくて、けれど心の芯をぐっと掴んでぐらぐら揺らされるような、そういう文章が連綿と続いていて、最初から最後まで泣きながら読んでしまった。表現が終始詩的で美しかった。
久しぶりの感覚 スーッと落ちていくような感覚 虚無ではなく悲哀でもなく 喪失を受け入れる 青い事実がゆっくり仄かに 心に溶けていくような そんな感覚
日々の暮らしの中で、ふと「ん?」とか「そうそう」とか思いながらも、特に心に留め置くでもなく通り過ぎている感情や感覚を丁寧にことばに紡いでいて、作品の内容と私の体験はリンクしないのだけど、その感じ、私、知ってる、と思えるという意味で、私の物語でもあった。透明感のある文体は消え入りそうに淡くてやさしくて...続きを読む、詩を読んでいるみたいだった。併録の『らくだの掌』の終わりは不覚にも泣きそうになった。
知らない単語、とくに形容詞、副詞、がたくさん出てきて、調べながら読んだ。 こんなふうに日常を言葉で表現できたら、同じ日常でも違って感じられるだろうと思う。 この著者の方と一緒に生活してみたい。 ここ最近のベストワン。
表題作は 余命1年の父への思いが感じられる 日常の心象風景が印象的な物語 姉妹は1年をあまさず 暮らすことを決めた 静謐な日常生活の描写の中でも 時間は経過し 父の病状の進行とともに 変わりゆく生活を3人で豊かに濃密に過ごしていこうとする 大切な人を見送っていく立場と 見送られる立場 双方のど...続きを読むうしようもない 悲しみ 喪失感 そして覚悟が感じられた 傍にいる人との毎日が 永遠ではなくて 自分だっていつどうなるかわからないし たった今から あまさず暮らしてみようか 簡単ではなさそうだけど
イライラむずむずする焦燥や異空間にいるような孤独感、自分は存在しないような浮遊感とか、よくあの感情を表現したなぁ、という感動。マインドフルネスをしているような、その時の呼吸だけに集中するような、研ぎ澄まされた感覚で音や温度や質感や空気感をとらえてる感じ。過ぎていく時間と、逆行する切望の静かな摩擦が丁...続きを読む寧だった。 2作目は、普通。
ほとんど筋というものがない。淡々と過ぎゆく父と娘二人の日々と会話が繰り返されるだけ。そんななかで時折3人それぞれの世界観をじわっと感じさせる。穏やかに。 まるで詩のような春野のひとりごとが続いていく。柔らかに。 フランスの作曲家の室内楽を連想した。ドビュッシーかな。 ただ耳を任せていて心地よい。
表題作は、闇に息吹く、鮎の匂い、地平線の場所、雪の音 の四部構成になっていたが、春野と澄香が父と暮らす何気ない日常の話が淡々と続く.あまさず暮らそう という目標のようなフレーズが気になった.むるむるという字句も頻出する.亡くなった母を しろい手 で表現しているのも深い意味を見たような感じだ.後半の「...続きを読むらくだの掌」では、たなごころが読めなかった.なかちゃんこと中林と並木さんが栗原さんを支援する話だが、茫洋とした感じで淡々と話が進むが、捉えどころのないままに話が終わった感じだ.はるまきが何度も出てくるのが気になった.
決して方言や訛りがあるわけでもないのに、なんとも読みにくいセリフが多かったのですが、それは日常会話で喋る言葉をそのまんま綴られていたので、読みにくいのは当たり前だと思い、むしろ、よりリアルな会話が伝わってきました。 「思ったことをそのまま言える相手」と言うことはよく聞きましたが、 「目にしたものを...続きを読むそのまま言える相手がいる」と言うコメントがあり、自分以外の人と心の中で共有しているような気持ちになります。 家族愛と言ったらそれまでなんですが、 「あまさず暮らす」とはどんな暮らしなのか。 段々とした一見なんの変哲もない家族3人のように始まり、それぞれの想いが、「しろい手」によって、少しずつ姉妹と父は何かに向かっていく世界に、読者も吸い込まれていきます。 今いるこの世界から考えると、遠い宇宙の片隅にいる家族を観ている感じでした。 なんか寂しいとか切ないとか孤立感があるように見えたのに、どこか、他の何よりも暖かく、愛があり、本当の人間を味わっていたのかもしれませんね。 「らくだの掌」では、後半に差し掛かると、前半に戻ったり、中盤に戻ったりしながら読むこととなり、しまいには初めからもう一度読んでしまい、最後のオチを知ってから、もう一度読むとまったく違った印象にも感じました。 中身ですが、中林さんの視線に癖があり、並木さんの言葉や応え方も癖があるのに、どこかで会ったことのある不思議な親近感がありました。 社会の中で置いてけぼりの弱者やそのサポートする方たちのストーリーなのに、嫌味なくその人たちの心をのぞかせていただいた気がします。 メディアやSNSではなかなか知ることのできない内容だったので勉強にもなりました。
ひとつひとつの言葉を飲み込みながら、読みました、ヒリヒリしながら。 「棕櫚を燃やす」も「らくだの掌」もです。
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野々井透
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