教育 - 筑摩書房 - ちくま新書作品一覧

  • 自分づくりの文章術
    4.0
    文章を書くのは正直しんどい。さまざまな約束ごとがうるさいし、自分の内面や教養までがもろに評価されかねないのは相当の重圧だ。……それでも、迷ったり悩んだりしながら、結果的に書けたときの歓びは格別である。なぜか? それは、文章を書くことが、とりもなおさず「自分」をつくることだから。旧来の窮屈な文章観を駆逐し、自分にしか書けないことを楽しみながら書くコツを手ほどきする革命的な文章読本。
  • BC級戦犯
    -
    BC級戦犯に関わる裁判は六年近く続いた。それは死刑九二〇人、有期刑三四〇〇人という苛酷な判決を生んだ上に、獄中でも多くの人が命を落とした。そこでは、戦犯を国内刑法で裁いたり、通訳の不在や被告人陳述の無視など、戦勝国の報復感情を満たすためだけの場合もしばしば見られた。四つの戦域の複合体として戦われた太平洋戦争をあらためて検証し、「勝者の裁き」の真実に迫る。
  • 癒しの旅 ギリシア・エーゲ海
    -
    遺跡と神話の国、ギリシア。はるか昔から変わらぬ山河とそれをとりまく人々の生活、そしてとびきり美味な海や山の幸…。自然の恵みを受け継ぐ「古い国」の豊かさを、遺跡や廃墟を訪ね歩く合間に感じてきた著者ならではの、エーゲ海での「ギリシア風」過ごし方、アテネの街歩き、博物館の愉しみ方など。極上の旅案内。
  • 徳川家康
    -
    家康はわずか六歳で今川家の人質になり、「桶狭間の戦い」によってかろうじて独立したのは十九歳のときだった。しかし岡崎城に戻っても武田や上杉、北条などからの重圧は残り、信長との従属的な同盟に活路を見出さざるをえない。領国統治の面でも、一向一揆による家臣団の分裂など綱渡りの状態が続いた。けれども「関ヶ原の戦い」や「大坂の陣」を経て天下を手中にする。卓抜な組織力と優れた国際感覚で数々の危機を乗り越え、徳川三百年の基礎を築いたその生涯を新たな視点から描く。
  • パリ ――都市の記憶を探る
    3.0
    華やかな表情の内側に無数の集合的な記憶を包みこんだ都市、パリ。著者は濃密な象徴性を帯びた都市の身体に直接触れ、その息づかいにひたすら耳を傾けながら、埋もれた記憶を丹念にひとつひとつ掘りおこしていく。そこに立ち現れるのは、重層化した歴史の深みから発するこの都市ならではの稀有な輝きにほかならない。パリの魅力の源泉に迫る一冊。
  • よみなおし戊辰戦争 ――幕末の東西対立
    3.7
    一度つくられた歴史観はなかなか変えられない。明治維新によって「近代国家」が形成される際に、薩摩藩・長州藩らの連合軍は、敵対する旧幕府・会津藩らに「朝敵」の呼び名を使い、国民感情を鼓舞する点で大きな効果をあげた。一方、京都守護職として御所の警備に当たっていた会津藩はいわれのない汚名を着せられたことになる。本書は、明治維新後一三〇年以上を経てもなお「朝敵」や「賊軍」という言葉が安易に使われている現実を直視し、維新前後の歴史事実をていねいに掘り起こすと同時に、日本近代史のよみなおしを迫る。
  • 韓国 ――民主化と経済発展のダイナミズム
    3.0
    二〇〇二年末の韓国大統領選挙では当初の予想を覆して盧武鉉が選ばれたが、この選挙はインターネットが帰趨を制するという前例のないものだった。それに象徴されるように、この一五年で韓国の政治・経済は大きく変わった。民主化抗争を経てダイナミックに変貌を遂げた韓国政治。一九九七年にアジア経済危機に巻き込まれたものの、その後劇薬ともいえる新自由主義政策によって急回復を遂げた韓国経済。北朝鮮の活開発危機などの厳しい国際環境の制約の中で、どのような力学が韓国を突き動かしているのか。それに日本はどのように向き合ったらよいのか。韓国の実像に様々な角度から迫る、最新入門書。
  • 江戸の知られざる風俗 ――川柳で読む江戸文化
    -
    江戸川柳は「世相を映す鏡」である。江戸中期、初代・柄井川柳の登場で、一躍、庶民性を得た川柳。そこには、現代人には想像もつかない江戸庶民の生活の実相が、生き生きと描かれている。本書は川柳を鍵として、江戸庶民の知られざる風俗、文化を現代に甦らせた書である。
  • 歴史探索の手法 ――岩船地蔵を追って
    3.8
    過去の暗闇に隠れている出来事を発掘しその意味を考えることから歴史探究は始まる。本書は、岩船地蔵と刻まれた一体のお地蔵様の発見から始まる、歴史探索のプロセスを開示したものである。関東甲信・静岡の各地に散らばる地蔵を捜索し、関連の文字資料を発掘する過程で、江戸中期の享保四年(一七一九年)に、下野国の岩舟を出発点にして地蔵が村から村へ送られ、地蔵が通った各地の村に「岩船地蔵」が建立されたことが明らかになる。なぜこのような流行仏が出現したのか。何気ない路傍の地蔵から、歴史と民俗の織り成す豊かな水脈へと読者をいざなう
  • プロ教師の見た教育改革
    3.0
    教育改革をめぐる議論はとても分かりにくい。というのは、これまで教育問題は、伝統的な「つめ込み」教育と、「子ども中心の自由放任」との対立に二分されてきたが、それが解消されないまま、国民形成を重視する「教え込み主義」かグローバリズムを背景にした「教育の自由化」かが、より大きな争点として浮上してきたからである。混迷を深める改革論議を生徒・教師・親という教育の現場から整理し、いま実現可能な改革を考える。
  • スキャンダルの明治 ――国民を創るためのレッスン
    3.0
    明治十年代―高橋お伝や花井お梅の毒婦物語。明治二、三十年代―まむしの周六こと黒岩涙香の「万朝報」が報じた明治三大スキャンダル。すなわち、「相馬家毒殺騒動」「淫祠蓮門教会」「蓄妾の実例」。しかしそのセンセーショナルな記事の奥に、実は隠された「意図」を読みとることができないだろうか?明治国家という「想像の共同体」を創る制度として、その共通の関心を担う国民を創る制度として、スキャンダル報道は機能していたのではなかったか?「赤新聞」の報道にもうひとつの国民文化の形成を読みとる、スリリングな明治文化史。
  • 「人望」の研究
    3.8
    「人望」―この不思議に魅力的な言葉。これはいったい何だろうか?単なるリーダーシップでもなく、人気やカリスマとも違うようだ。また、わが国特有のものなのか、いつの時代にも要請されるものなのか?これまで、どの組織でも漠然と話題にされてきた「人望」について、日本史のなかから、あらゆる切り口によって、その本質を探ろうと試みるビジネスマン待望の一冊。
  • 病の世相史 ――江戸の医療事情
    -
    江戸時代の民衆ははたしてどのような医療を受けていたのか。資料を丹念に見直すことで、いままでの歴史学では見えてこなかった、意外に長生きだった老人たち、村で働く多くの医者たちの姿が浮かび上がってくる。百姓たちは、消費生活を楽しみ、健康にも関心を持って、薬草や温泉を生活に取り込み、護摩壇に焚く香料・まじないの力までをフルに活用する。その一方で、科学的・合理的な考え方をする新時代の医者たちがあらわれる。江戸の医療を具体的にいきいきと描き出す「新しい民衆史」。
  • 香港 ――アジアのネットワーク都市
    4.5
    一九世紀半ば以降に形成される近代アジア市場を実際に機能させたのは中国大陸と太平洋を舞台に展開された多様な流通形態だった。香港はそこで、中継都市としての役割を歴史的に担ってきたのである。返還を目前にして、過去に支配的だった地域秩序に回帰しつつある香港の現実とその背景を、アジア史の中に探る。
  • 高校生のための古文キーワード100
    3.0
    古文では、人の気持ちを表現する心情語が読解のキーワードである。本書は、その心情語を中心に、古語を100語ほど厳選して収録し、『源氏物語』『枕草子』など有名作品の例文を訳つきで紹介しながら、わかりやすく解説する。根本の語義・語感を重視し、関連語・慣用的用法などにも触れてあり、豊かな古典の世界への格好の案内者となるだろう。コラム「読解の知恵」は重要な構文・語法を説き、これも必読。
  • 「大人」がいない……
    3.5
    教育談義では、よく「親の顔が見たい」という言葉が使われるが、最近のこの国では、さながら「大人の顔が見たい」というような場面に遭遇することが多くなった。戦国時代、三河徳川家では、殿様の側近らは「大人衆」と呼ばれ、畏怖されていた。「老」=「偉」の時代である。平成の現在、「大人」はいったい、どこへ行ってしまったのか?誰も教えてくれなかった「大人のあり方」を、いろいろな角度から考える、平成版「大人入門」。
  • 男の嫉妬 ――武士道の論理と心理
    3.3
    義に厚く、潔い男の中の男。「武士」という言葉から連想される通念であろう。現代には失われた日本の美徳を、われわれは「武士道」へと投影しがちだ。しかし、多くの史料には、嫉妬心から足を引っ張りあう、彼らの等身大の生き様が描かれている。では、なにゆえにサムライたちは、かくも生臭い情念に翻弄されねばならなかったのか。そして、その心性を根深く規定した日本社会の特質とは。一級資料を丹念に掘り起こし、嫉妬うずまく武士社会の実像を浮き彫りにする刺激的な試み。
  • ナポリ ――バロック都市の興亡
    -
    個性あるイタリアの都市のなかでも、最もエネルギーに満ちあふれた街・ナポリ。本書では、強大な帝国スペインの影響下にあった時代を経て「イタリアのパリ」と謳われたベル・エポックの頃までの栄華を極めた時代に焦点をあて、芸能・歌謡・祝祭空間として発展を遂げたバロック都市の魅力をあますところなく紹介する。
  • 安倍晴明伝説
    3.0
    「陰陽師」安倍晴明にはいくつもの顔がある。「宮廷に仕える高級官僚」「超能力者」「中性的な魅力を持つ美青年」…。だがそのいずれも真の晴明像を正確に伝えてはいない。天皇の運命まで左右した数々のエピソードを持つ「高級官僚」としての晴明像と、「狐から生まれた子」という超人伝説は、どのように結びついていくのか。晴明を祖とあおぐ二つの系統の陰陽師たちがつくりあげた虚像の形成過程を丹念に読み解いていくと、新しい「もうひとつの晴明伝説」が浮かび上がってくる。
  • 長崎聞役日記 ――幕末の情報戦争
    -
    欧米列強からの高まる開国の圧力に対して長崎聞役が設けられ、藩と日本の命運を賭けた情報活動が行われた。初めて公開された聞役の日記が物語る日本外交の原点。
  • 学校はなぜ壊れたか
    4.0
    校内暴力、大学生の急速な学力低下、小学校にまで波及しつつある学級崩壊、凶悪化する一方の青少年犯罪など、教育問題はこの数年、解決のための手掛かりすら得られないまま、さらにその混迷の度を深めつつある。自由で個性的な人間を作ろうとして出発した戦後教育は、結局、肥大化し過ぎた「自己」を扱いかねている生徒を大量に生み出してしまった。戦後日本の急激な変化に翻弄された生徒と教師の変容を歴史的にたどり、学校現場で本当に起こったことの全体像を正確に描き出す。
  • 日本語を叱る!
    3.0
    近年の「カタカナ言葉」や、「一語文」「タメ口」に代表される若者言葉、それに携帯電話やメールなど情報環境が激変したことによって日本語に大きな混乱が生まれている。「甘やかされた日本語」の現状を丁寧に分析し、「雑種言語」としての日本語の歴史を再検討しながら、新たな可能性を探る。
  • 最後のロシア皇帝
    3.5
    皇帝ロマノフ二世とその家族が西シベリア・エカテリンブルグで革命派によって銃殺されたニュースは当時世界を震撼させるものだった。だがこの事件は、その後七十年もの間なぜか歴史の闇の中に置き去りにされたままにあった。皇帝一家の遺骸発掘を契機に次々と明らかにされるロシア史の真実。
  • ウィーン ――「よそもの」がつくった都市
    3.8
    皇帝ハプスブルク家の都、楽聖の都ウィーン。今もなお優雅で華やかな香気を放っている。だが、この都市の神話はいったいどのようにつくられたのだろうか。激動の都市形成の歴史をたどりつつ、「よそもの」を魅きつける魔力とオペレッタ的いかがわしさにみちた、ウィーン神話のもうひとつの顔に光をあてる都市の社会史。
  • ロンドン ――地主と都市デザイン
    4.0
    ロンドンは広大な土地を持つ地主たちにより、エステートごとに開発されてきた。公園やストリートの名前からは地主や開発に携わった人物が読み取れる。彼らはまとまった土地を全体として有効に活用する町づくりができる立場なのだ。エステートと建築の由来を追い、特異な発展を遂げてきた巨大都市の形成史を知る。
  • バカのための読書術
    3.4
    学校は出たけれどもっと勉強したい人、抽象的な議論がどうも苦手だという人。そういう「バカ」たちのために、本書はひたすら「事実」に就くことを指針とし、インチキ現代思想やオカルト学問、一時の流行に惑わされず、本を読み勉強するための羅針盤となるべき一冊である。本邦初「読んではいけない」リスト付き。
  • 行儀よくしろ。
    3.6
    「教育論」となると、学校教育を論じることになりがちだ。しかし、世の大人にとってもっと身近な、自分がすべき教育のことを忘れてはいけない。お葬式でどういう態度をとるか、困っている人をどう助けるか…などは文化の中にあることで、その文化を継承させていく責任が大人にはある。美しい日本人を育てるための教育論。
  • 最後の江戸留守居役
    4.0
    江戸留守居役とは、藩の江戸屋敷にあって、幕府や大名諸家との渉外や各種情報の収集などの任にあたる外交官である。明治の文人・依田学海は、幕末、佐倉藩最後の江戸留守居役をつとめ、その激動の日々を、膨大な日記『学海日録』中に詳細に記している。徳川幕府終焉を前に、情報の最前線で奔走する一人の江戸留守居役・学海の生々しい体験を通してたどる、もうひとつの維新史。
  • 子どもたちはなぜキレるのか
    4.0
    「荒れる」段階から「ムカツク」段階を経て、この数年は「キレる」現象が顕著である。ふだんはおとなしい若者たちが些細なことに「ムカツキ」、瞬間的に「キレる」ようになってしまったのである。怒りや暴力それ自体は、かくべつ目新しいものではない。では「キレる」ことの、どこが新しいのだろうか。個性尊重と管理強化の間をゆれ動く既成の教育論に楔を打ち込み、〈腰肚文化〉に代表される伝統的な身体文化の継承を提案する。
  • 昭和史の決定的瞬間
    3.9
    民政党議員だった斎藤隆夫の「粛軍演説」は、軍部批判・戦争批判の演説として有名である。つまり、輸出依存の資本家を支持層に持つ民政党は、一貫して平和を重視していたが、本来は平和勢力であるべき労働者の社会改良の要求には冷淡だった。その結果、「戦争か平和か」という争点は「市場原理派か福祉重視か」という対立と交錯しながら、昭和11・12年の分岐点になだれ込んでいく。従来の通説である「一五年戦争史観」を越えて、「戦前」を新たな視点から見直す。
  • 大学の未来地図 ──「知識集約型社会」を創る
    3.8
    「知恵とそれを活用する人が集積する場」、それが大学だ。「デジタル革命」を契機に、社会のあり方は劇的に変わりつつある。変化のスピードも激しい。こうしたなか、大学はどのような役割を果たし得るのか? 日本の大学は、多様で最先端の研究者を数多く擁し、優れた人材を輩出してきた。豊富な人材ネットワークを持ち、大学間をつなぐ高度な情報インフラも整備している。だからこそ大学は、全世代が活躍する「知識集約型社会」モデルを創ることにも貢献できる――。東京大学総長による、まったく新しい大学論である。
  • 倭人伝を読みなおす
    3.8
    古代史の一級資料「倭人伝」。邪馬台国や卑弥呼への興味から言及されることの多い文章だが、それだけの関心で読むのは、あまりにもったいない。正確な読みと想像力で見えてくるのは、対馬、奴国、狗奴国、投馬国…などの活気ある国々。開けた都市、文字の使用、機敏な外交。さらには、魏や帯方郡などの思惑と情勢。在りし日の倭の姿を生き生きとよみがえらせて、読者を古代のロマンと学問の楽しみに誘う。
  • 公務員教師にダメ出しを!
    3.0
    学校をより良くするためには、まず何よりも教師を変えなければいけない。馴れ合いの教育現場のなかには、ダメな教師や困った校長がまだまだ存在する。同時に、能力が高い教師は正しく評価されてはいない。それは、教育というサービスを受ける児童生徒と保護者をないがしろにしてきたからだ。今必要なのは学習者による評価制度だ。評価制度の具体例を提示しながら、その可能性に迫っていく。
  • 教育の職業的意義 ――若者、学校、社会をつなぐ
    4.1
    1990年代に、若者の仕事は大きく変貌した。非正規社員の増加、不安定な雇用、劣悪な賃金…。なぜ若年労働者ばかりが、過酷な就労環境に甘んじなければならないのか。それは、戦後日本において「教育の職業的意義」が軽視され、学校で職業能力を形成する機会が失われてきたことと密接な関係がある。本書では、教育学、社会学、運動論のさまざまな議論を整理しながら、“適応”と“抵抗”の両面を備えた「教育の職業的意義」をさぐっていく。「柔軟な専門性」という原理によって、遮断された教育と社会とにもういちど架橋し、教育という一隅から日本社会の再編に取り組む。
  • 越境の古代史 ――倭と日本をめぐるアジアンネットワーク
    3.5
    諸豪族による多元外交、生産物の国際的分業、流入する新技術……。古代の列島社会は、内と外が交錯しあうアジアのネットワークの舞台である。倭国の時代から、律令国家成立以後まで、歴史を動かし続けた「人の交流」を、実証的に再現し、国家間関係として描かれがちな古代日本とアジアの関係史を捉え直す。
  • 思考を鍛える論文入門
    3.7
    ニューヨーク同時多発テロ以後の一連の事件は、現代を生きる私たちにとって、実存にかかわる痛切な問題といえる。これと連関するかのように、二〇〇一年前後の大学入試論文問題は、西欧とアジア、南北の格差、グローバリズム、文化相対主義といったテーマをめぐって出題されてきた。ここに、日本の戦後責任を問い、歴史における主体性を問うといったテーマが加わり、あたかも現代思想のミニ舞台の観を呈している。このような状況を踏まえ、倫理とは何かを問いかけながら、論理力と思考力、そして書く力をいかにして身につけるかの指針を示す。受験生、大学生、社会人のための論文入門。
  • 性と愛の日本語講座
    3.0
    「恋愛」という言葉が近代になってつくられたことはよく知られている。では「恋人」はどうか。徳川時代には「情夫・情婦」というのがあったが、それはどういう意味で使われたのか? 「情欲」や「不倫」はいつ頃生まれたのか? また「逢い引き」は? 本書では、『太陽の季節』『チャタレイ夫人の恋人』等の文学作品、各時代に流行った歌謡曲やマンガ等を材料に、時に外国語との比較を交えながら、性と愛にまつわる日本語の意味の由来や変遷をたどり、日本語の面白さを発見していく。
  • 村からみた日本史
    3.0
    これまでの江戸時代史は、支配の側の法・制度・裁判の判決文によって捉えた歴史である。それも歴史には違いないが、歴史の技術はほかにもある。村に出かけ、みずからの目で見、手で触れ、世界史的法則などと言わずにみずからの頭で考える、という技術である。村の史料に焦点を当て、「歴史の見方」を大きく変えるエピソードを満載して、スリリングで新しい歴史観を提示する。
  • モンゴル帝国の興亡
    3.0
    モンゴル帝国は東の中国世界と西の地中海世界を結ぶ「草原の道」を支配し、それによって世界史の舞台を準備した。もっとも帝国とはいっても、一人の皇帝が中心にいて全国を統治するというものではなかった。その内部の構造はどうなっていたのだろうか。そもそも、その巨大な帝国はどのようにして創られたのだろうか。今は歴史の後景に退いた、史上最大の帝国の過去と現在。
  • 未完の明治維新
    3.5
    明治維新は尊王攘夷と佐幕開国の対立が一転して尊王開国になり、大政奉還の後に王政復古と討幕がやってくるという、激しく揺れ動いた革命だった。そのために維新が成就した後、大久保利通の殖産興業による富国、西郷隆盛の強兵を用いた外征、木戸孝允の憲法政治への移行、板垣退助の民撰議院の設立の四つの目標がせめぎあい、極度に不安定な国家運営を迫られることになった。様々な史料を新しい視点で読みとき、「武士の革命」の意外な実像を描き出す。
  • 天皇がわかれば日本がわかる
    3.5
    天皇の称号はいつ成立したのか。天皇はなぜ続いてきたのか。この疑問にただちに答えられる人は多くはないだろう。天皇を長とする古代律令国家は、経済変動のために崩壊し、公家政治から武家政治へと時代は移ったが、それにもかかわらず、天皇と律令システムの正統性は失われなかった。明治の日本は律令国家の直系の子孫であり、じつは今の日本もれっきとしたその跡継ぎなのだ。ウルトラ混合政体にいたる日本国家の本質とその由来の謎をはじめてわかりやすく解き明かす新・日本学入門。
  • 国語教科書の思想
    4.0
    戦後の学校教育は子供の人格形成を使命の一つとしてきた。現在、その役割を担っているのが国語である。小・中学校の教科書をテクストに、国語教科書が子供たちに伝えようとする「思想」が、どのような表現や構成によって作られているかを構造分析し、その中に隠されたイデオロギーを暴き出す。
  • 百姓から見た戦国大名
    4.1
    群雄が割拠し、しのぎを削った戦国時代。飢饉と戦争で疲弊した百姓は公然と「世直し」を求めた。生き延びるために、ときに大名の戦争に参加し、また隣村との境界争いなどにも武具を携えて参集した。一方、大名は百姓に礼を尽くした施策を講じて領国の安定を図った。庶民の視点から権力構造と社会システムをとらえなおす。
  • 教育改革の幻想
    3.7
    二〇〇二年度の新学習指導要領がめざす教育改革のねらいは「ゆとり」と「生きる力」の教育であり、それを実現するものが「総合的な学習の時間」である。これらをつなぐ論理は「子ども中心主義」だが、本当に子どもたちのためになるものなのか? また、詰め込み教育は罪悪か? 教育と日本社会のゆくえを見据えて提言する。
  • 論文・レポートのまとめ方
    3.6
    文章は内容が大事。しかし、いくら内容があっても、ちゃんとした形式と適切な文章表現をしていなければ、読まれもせず、評価もされない。論文・レポートを書くにあたって、どんなことに注意すればよいのか? 文、段落、用字、用語から図表の使い方まで具体例を示しながら要点を丁寧に解説するきわめて実用的な文章読本。
  • その言い方が人を怒らせる ――ことばの危機管理術
    3.7
    謝罪の場面で真意が伝わらず怒らせる、誤解を与える、だらだらと長く続く言い訳文、空気の読めない発言、どこか変な敬語…。コミュニケーションの行き違いを生じさせる言い方や表現は、実は言語学的な理由がある。「まずい」具体例を取り上げながら、言語学的に分析していく。知っておきたい表現の落とし穴とは!?
  • 国語教科書の中の「日本」
    3.6
    「グローバル化」と「伝統重視」という相反する二つの流れの中で大転換期を迎える国語教育は、無意識のうちに「日本」という感性を押し付ける教育装置になってはいないか? 「古き良き日本」ばかりが描かれる小中学校の教科書をテクスト分析することで、書かれた言葉の裏に隠されたメッセージを読み解く。
  • 人類5000年史I ──紀元前の世界
    4.1
    1~5巻770~935円 (税込)
    文明の誕生から現代まで、5000年の人類の歩みをまとめる著者のライフワークの第一巻。文字の誕生と最初の文明(BC3000‐BC2001)から、チャリオットによる軍事革命と紀元前1200年のカタストロフ(BC2000‐BC1001)、世界帝国の時代(BC1000‐BC501)、知の爆発の時代(BC500‐BC1)まで、紀元前およそ3000年の歴史をダイナミックに展開する。
  • こんなに変わった理科教科書
    3.7
    カエルの解剖、ショウジョウバエの飼育、有精卵を使った成長観察、かいちゅうや十二指腸虫の感染経路の写真付き解説、たくさんの昆虫や季節の植物など、いまはもうない理科授業。約10年ごとに、理科は大きく変わってきた。新発見や説明法の見直しもあって、かつての常識がいまは非常識だったりすることもある。生活密着の50年代、科学立国を目指した60年代、米ソ冷戦の影響を受けた70年代まで、理科はどんどん難しくなったが、詰め込み教育への反省から80年代以降は精選、厳選へ。けれど2010年代以降、ゆとり教育批判で再び高度化した。理科教科書で戦後日本のあゆみを読み解く。
  • 邪馬台国再考 ――女王国・邪馬台国・ヤマト政権
    3.0
    長年にわたり論争となってきた邪馬台国の所在地。考古学では、纒向遺跡の発掘により畿内説で決着したとされるが、歴史学の文献研究では『魏志倭人伝』の記載から九州説が支持されている。本書はこの矛盾の解決を図るべく、畿内ヤマト国(邪馬台国)と北九州ヤマト国(女王国)が併存していたとし、卑弥呼は後者の女王と考える。さらに『日本書紀』『古事記』などの史書や大和朝廷に直接つながるその後の歴史との親和性・連続性も検討し、文献史学と考古学の研究成果の調和を目指す。
  • 入試改革はなぜ狂って見えるか
    3.9
    強引に推進された大学入学共通テストは受験生やその家族をさんざん振り回したあげく、制度の欠陥や無理のあるスケジュールに批判が集中、想定した形での導入は断念された。大学受験はいわば理想の教育の体現である。けれど教育の理想像は人それぞれ。このため原理主義的に先鋭化しがちで、思想的な対立が起こりやすい。さらに今回は入試問題の現状を把握していない論者による、高校生や大学生に対する事実誤認に基づいた荒唐無稽な主張も少なくなかった。大学入試改革議論の混乱に惑わされないための視点を考える。
  • 関東大震災「虐殺否定」の真相 ──ハーバード大学教授の論拠を検証する
    3.0
    「関東大震災における朝鮮人虐殺はなかった/少なかった」「正当な自衛行為だった」。学術的には顧みられることがなかったこのような「虐殺否定」論が論文となり、ケンブリッジ大学出版局刊行の書籍に収録される予定があった。執筆者はハーバード大学教授。論文を読み進めてみると、主張の根拠とされているのは当時の日本の新聞だった。震災直後の混乱のなかで紙面に躍ったフェイクニュースは、なぜ、どのように生まれたのか。長年新聞社に勤めた著者が、報道の責任を総括する。
  • 疫病の精神史 ――ユダヤ・キリスト教の穢れと救い
    3.0
    ペスト、赤痢、コレラ、スペイン風邪、新型コロナ――、古代から現代まで、人類は疫病とどのように向き合ってきたのか。律法により衛生管理を徹底し「穢れ」を排除したユダヤ教と、病者に寄り添い「魂の救い」の必要性を説いたキリスト教。二つの価値観が対立しつつ融合し、やがて西欧近代という大きな流れへと発展してゆく。聖書に描かれた病者たち、中世の聖者や王が施す治療、神なき現代社会で「健康」を消費する現代医学。疫病に翻弄される世界の歴史を描き、精神の変遷を追う。
  • 廃仏毀釈 ――寺院・仏像破壊の真実
    4.0
    明治政府の神道国教化により起こった廃仏毀釈。それは、日本で長らく共存していた神道と仏教を分離し、仏教を排斥する運動だった。この出来事は寺院や仏像の破壊など民衆の熱狂による蛮行というイメージが流布しているが、実際にはどんなものだったのか? 信仰の対象であったものを破壊するのに、人々にためらいはなかったのか? 神仏が共存していた時代から説き起こし、各地の記録から丁寧にこの出来事の実際を読みとく。
  • 日本の教育はダメじゃない ――国際比較データで問いなおす
    4.4
    昨今、メディアや識者からは、日本の教育に否定的な意見ばかりが目立つ。その結果として、教育現場の実態とはかけ離れた教育政策にすがりついてしまう。しかし巷間言われるように、日本の教育は本当にダメなのだろうか? 国際比較データを駆使して新しい姿を描き出す。思い込みを解きほぐし、不安や疑問に答え、未来に向けて提言をする。専門分野も国籍も異なる気鋭の研究者2名が、教育をめぐる議論に新しい視点を提供する。
  • 明治憲法史
    3.7
    1889年に公布され、敗戦後にいたるまで国家の基本法としてこの国のかたちを規定した大日本帝国憲法(明治憲法)。民意の支えにより政党が力を獲得することを警戒した藩閥勢力の手になるこの憲法は、天皇大権が強く、議会権限の弱いものであった。そうした法の特質が、無謀な戦争の回避を困難にしたとして批判される。だが他方、この明治憲法体制のもとで、戦後憲法の時代にも劣らぬデモクラシーの実践がさまざまに花開いたことも事実だ。私たちはいま、明治憲法の時代をどう再評価すべきか。近代日本の歩みを根本からよみなおす。
  • 保育園に通えない子どもたち ──「無園児」という闇
    3.5
    目黒女児虐待死事件で、5歳の被害児は保育園にも幼稚園にも通っていなかった。このような「無園児」家庭に、虐待、貧困、発達障害などの問題があっても、その実態は表面化しづらい。日本全国に3歳から6歳児で9.5万人いると言われている無園児の実態と就園の障壁について、全国4万人を対象とした研究の成果と、無園児の家庭や支援団体への取材を紹介する。病児保育のNPO法人フローレンス代表、駒崎弘樹氏との「幼児教育義務化」についての対談も収録。
  • 大阪 ──都市の記憶を掘り起こす
    4.3
    キタとミナミの違いとは何か? 梅田の巨大地下街はどのように形成されたのか? 2025年万博予定地「夢洲」の暗い過去とは? 梅田、船場、アメリカ村、飛田新地、釡ケ崎、新世界、法善寺横丁、ユニバ、夢洲……気鋭の地理学者が街々を歩き、織田作之助らの著作を読み、この大都市の忘れられた物語を掘り起こす。大阪とはどんな街なのか? これを読めば、見える景色はがらりと変わる。
  • 英語教育幻想
    4.4
    国際化の必要性が叫ばれ始めた1980年代以降、英語教育は常に議論され続けてきたが、特にここ数年「グローバル人材」育成に向けて様々な提言がされてきている。小学校からの早期英語教育、英語による教室指導、外部テストの導入、教員の英語力強化などだ。その裏側には、「英語は全世界の人々をつなぐ」「英語力は経済的成功をもたらす」という、ほとんど信仰のようなものが横たわっている。しかしそれは本当なのだろうか? 海外の大学で25年教鞭をとってきた言語教育学者が、日本人の中に深く根を張る「英語への信仰」と「幻想」を、10のポイントに分けてあぶりだす。
  • オカルト化する日本の教育 ──江戸しぐさと親学にひそむナショナリズム
    3.8
    偽史・疑似科学にもとづく教育論が学校に定着しつつある。それが「江戸しぐさ」と「親学」。江戸しぐさは“江戸っ子”の行動哲学は素晴らしいと説く。親学は伝統的子育てにより、いじめや虐待から発達障害まで広く問題を解決できる、そのために親への教育が必要であると説く。国・地域・学校は連携して、子供が、国家及び社会の形成者として必要な資質を備えられるように家庭教育を支援しよう……などと教育行政に影響を与えている。これら欺瞞に満ちた教えはなぜ蔓延したのか。嘘がばれているのに、まかり通る背景にはなにがあるのか。
  • 暴走する能力主義 ──教育と現代社会の病理
    4.0
    学習指導要領が改訂された。そこでは新しい時代に身につけるべき「能力」が想定され、教育内容が大きく変えられている。この背景には、教育の大衆化という事態がある。大学教育が普及することで、逆に学歴や学力といった従来型の能力指標の正当性が失われはじめたからだ。その結果、これまで抑制されていた「能力」への疑問が噴出し、〈能力不安〉が煽られるようになった。だが、矢継ぎ早な教育改革が目標とする抽象的な「能力」にどのような意味があるのか。本書では、気鋭の教育社会学者が、「能力」のあり方が揺らぐ現代社会を分析し、私たちが生きる社会とは何なのか、その構造をくっきりと描く。
  • ヨーロッパ 繁栄の19世紀史 ──消費社会・植民地・グローバリゼーション
    4.0
    第一次世界大戦前、イギリスを中心にヨーロッパは空前の繁栄を誇っていた。蒸気船が大洋を駆け巡り人や物資を運び、電信が普及、グローバリゼーションが急速に進展し、富がヨーロッパに集中したのである。また、この時期に人々の生活水準が上昇、市民社会が形成され、余暇も誕生した。しかし、そのような繁栄の裏には、搾取され続けた植民地と、奴隷にされた人々の犠牲があった。本書は、そのようなヨーロッパの光と闇の両面を描き出す。
  • 京都がなぜいちばんなのか
    3.5
    日本のみならず、世界中の人をひきつける有数の観光地、京都。なぜ、京都は今の京都になってきたのか、その過程を探る。対象となるのは名高い京都の神社仏閣だ。それぞれに歴史があり、謎がある。その謎を一つ一つ解いていくと、今とは違う姿をとっていたことが明らかになってくる。「清水の舞台は飛び降りるためにあった?」「焼失前の金閣寺の姿とは?」「苔寺に苔はあったのか?」京都のいまだ隠された魅力を見つけ、人を惹きつけてやまない源泉を明らかにする。
  • 勘定奉行の江戸時代
    3.7
    江戸幕府の財政は、初期の頃からほとんどいつも火の車。お金の問題を切り盛りした勘定奉行だが、財政だけでなく農政、交通、司法など政治機能の多くを担い、寺社奉行・町奉行とともに三奉行の一員として、政治案件の意思決定にも深くかかわった。そんな重要役職にもかかわらず、いや重職だったからこそ、家格でなく実力で、ノンキャリアの叩き上げが奉行にのぼりつめる内部昇進の仕組みもあった。社会・文化の変化・成熟、幕藩体制の揺らぎなど、江戸幕府二七〇年の盛衰を、勘定奉行の業績や素顔から解明かす。
  • 集中講義! ギリシア・ローマ
    3.0
    古代地中海を中心に歴史をつくりあげたギリシアとローマ。同じような時期に政治・経済・文化が発展していったが、ギリシアではポリスがまとまり大国とならなかった一方、ローマは超大国へと、その覇権を広げていった。また思想・哲学などの華々しい文化が生みだされたギリシアに比べて、ローマでは目立ったものは出てきていない。なぜ、そのような違いはうまれたのか? ギリシアからローマへ受け継がれ、その後ヨーロッパまで影響をあたえたものはなにか? それぞれの専門家が通史からはこぼれおちた側面に光をあてる。
  • 英語教育の危機
    3.6
    子供たちの未来を左右する2020年施行の新学習指導要領からは、この国の英語教育改悪の深刻さが見てとれる。たとえば、中学校・高校では「英語は英語で教えなければならない」という無茶なルールを作り、小学校で「英語」は教科としてスタートするのに、きちんとした教師のあてはない。また学習指導要領以外にも、2020年度からは現在の「センター試験」は廃止されて、どれも入試として問題含みの「民間試験」を導入するという。どうして、ここまで理不尽なことばかりなのか? 第一人者が問題点を検証し、英語教育を問いなおす。
  • 天皇の戦争宝庫 ──知られざる皇居の靖国「御府」
    4.0
    存在が隠されている一角が皇居にある。かつて「御府」と呼ばれた五つの施設。振天府(日清戦争)、懐遠府(北清事変=義和団事件)、建安府(日露戦争)、惇明府(第一次大戦、シベリア出兵)、顕忠府(済南・満州・上海事変、日中・太平洋戦争)には、戦利品や戦病死者の写真・名簿が収蔵され、天皇が英霊に祈りを捧げていると伝えられた。国威発揚、戦没者の慰霊・顕彰、国民と軍に対する教育施設、つまり「皇居の靖国」といえる。しかし、戦後その存在は封印されてしまった。皇居に残された最後の禁忌を描き出す歴史ルポルタージュ。
  • 縄文とケルト ──辺境の比較考古学
    3.0
    ユーラシア大陸の正反対に位置にある日本とイギリス。新石器時代、大陸では四大文明の地域のような「文明型」の社会が広まっていくなか、その果てにあった両地域では、「非文明型」の社会へと発展していった。直接的な交流がないこの二つの地域になぜ共通性が生まれたのか? また、同じホモ・サピエンスなのに、なぜ大陸とは異なる方向へ進んだのか? ストーンサークルや巨大な墓など、それぞれの遺跡を訪れることで、いままで見えてこなかった知られざる歴史に迫る。
  • 高大接続改革 ──変わる入試と教育システム
    3.4
    2020年度から大学入試が激変する。従来の知識・技能型、得点重視の一発勝負試験から、主体的・協同的に学ぶアクティブラーニングの導入が前提とされる。塾や予備校は沸き立ち、中学や高校の現場は大混乱。この入試改革は文科省が進める高大接続システム改革の一環。そもそも高大接続とは何だろうか。塾や予備校に通わなければ、大学を目指せなくなるのか……。気鋭の教育ジャーナリストと、「学習学」を提唱し実践的な学びを指導してきた人気大学教授がタッグを組み、これから起こる教育改革の本質を解説。新制度に立ち向かうために、学校や家庭でできる対策を徹底指導する。
  • 銀の世界史
    3.0
    一六世紀、南米ポトシ銀山で採掘された銀は、大量にヨーロッパに流入、世界中をかけめぐった。このとき地球をひとつの単位とする近代世界=グローバリゼーションという革命的状況が出現した。世界史は「銀の流れ」でつかむことができる。英国の綿工業・産業革命・覇権、黒人奴隷、プランテーション、スペインの凋落、オランダ独立、近代資本主義の誕生、コーヒーや茶の流行、明治の近代化、アヘン戦争、日清戦争……。銀で弾けた世界史のダイナミズムを、中心と周辺の関係から描き出す!
  • 宮中からみる日本近代史
    3.8
    大日本帝国における主権者は天皇であり、その大権は、各国家機関を経て代行されるシステムとして運用されていた。しかし、それは天皇が単なるお飾りであったことを意味するわけではない。天皇自身も政治的意思を持ち、それを取り巻く機関「宮中」もまた、国家の運営に大きな力を持っていたのだ。「宮中」という視点から、「内閣」「議会」「軍部」など、各国家機関の思惑、それらから織りなされる政策決定時の錯綜に注目し、大日本帝国のシステムと軌跡を明快に提示する。
  • 「超」進学校 開成・灘の卒業生 ──その教育は仕事に活きるか
    3.7
    「受験の勝者が実力ある者とは限らない」「頭でっかちは打たれ弱い」あるいは「13歳からすでに選別ははじまっている」「難関大学、優良大企業へのパスポート」……難関中高の卒業生について、よくも悪くも両極端な物言い、さまざまな印象がある。イメージだけで語られがちだったそれらを、アンケートをもとに、具体的な数字や事例で統計分析。超進学校の出身者は、どんな職業に就き、どれくらいの年収を得ているか。中学高校での経験は、卒業後にどれほど活かされているか。中高時代はどのように生活し、何に悩んだかなど、彼らの実像に迫り、そこから日本社会と教育の実相を逆照射する!
  • 美術館の舞台裏  ──魅せる展覧会を作るには
    4.1
    一九九七年、スペインのさびれた地方都市ビルバオに世界的に有名な建築家フランク・ゲーリー設計のビルバオ・グッゲンハイム美術館が誕生しました。その集客は最初の3年間で400万人、収益約5億ユーロ!しかしこの美術館は存続の危機に陥った老舗名門美術館による起死回生の挑戦でした。美術品の保存と研究を旨とする美術館に、今、商業化とグローバル化の波が押し寄せています。新しく変わりつつある文化の殿堂で何が起きているのでしょうか?
  • ヨーロッパ覇権史
    3.9
    ヨーロッパは他地域に対し、ずっと優位にあり、覇権を握っていたように思われてきた。しかし、それはたかだか一九世紀に達成されたことにすぎない。本書は、オランダ、ポルトガル、イギリスなど近代ヨーロッパ諸国が勢力を拡大し、世界を一変させた過程を追う一冊である。「軍事革命」で他の地域に優る軍事力を手にし、近代国家のシステムを発明。その後、大西洋貿易で力をつけ、アジアへ――。現在の世界は、どのように形成されたのか。そして、どこに向かっているのか。現代世界を考える上でも必読の一冊。
  • 大東亜戦争 敗北の本質
    4.0
    なぜ日本は大東亜戦争に敗れたのか。情報・対情報・兵站の軽視、そしてそれを招いた科学的思考の欠如、日露戦争辛勝以後の組織の制度疲労がまず原因として挙げられる。だが数々の失敗を検証するなかで見えてくるのは、戦略がまったく欠如していたこと、そして何より失敗から学ばず、その失敗を「なかったこと」にしてしまう、帝国陸海軍の自己革新能力の劣化と喪失であった。戦史研究に長年携わってきた著者が、戦後七十年の今こそ、敗北の裏にあったものは何かを問いなおす。
  • 骨が語る日本人の歴史
    3.5
    発掘された古人骨を調べ、当時の人の様子を明らかにする「骨考古学」。その進展によって、日本列島の歴史は大きく書き換えられねばならないことがわかってきた。実は縄文人は南方からやってきたのではない。大陸から渡来した弥生人が縄文人を駆逐したというのも本当ではない。そもそも「弥生人顔」など存在しない―旧来の歴史学に根強く残る誤謬を科学的視点から検証。人々の生身の姿を復原し歴史をひもとく「身体史観」を提唱する。骨考古学の第一人者が、日本人の実像に迫る。
  • 織田信長
    4.2
    時代に先駆けた思想をもち、伝統的権威や因習に囚われずに「天下統一」を目指した「革命児」信長。だが、この広く行きわたったイメージは、はたして歴史的な事実といえるのだろうか? 将軍足利義昭を擁しての上洛、対毛利戦や対武田戦による支配領土拡大、比叡山の焼討など史実を再検討していくと、実は伝統的権威と協調もし、諸大名との共存をも視野に入れ、世間の評判や常識にも敏感だった、時の武将の一面が見えてくる。中世的な価値観が近世へと向けて大きく変化する戦国時代を生きた、信長の真の姿を描く。
  • 考えあう技術 ――教育と社会を哲学する
    3.6
    「ゆとり教育」は「学力低下」の事実によって追いやられ、「学びのすすめ」へと方針転換された。さて、では「学び」と「教え」との間に生じる関係性、つまり教師と生徒の間の知識伝達の共有は、どのように起こるのだろうか。本書では「わかる」の現象学的な試みを、教育社会学者と哲学者との間で徹底してつめていく。「いま、なぜ勉学をするのか?」という問いかけから、「私」よりも「公」を重んじようという風潮に疑問を投げかけつつ、個人の自由と社会的平等の両方が成り立ちうる地点をめざして、「ともに考え、わかりあう」みちすじを模索・考察する。
  • 第一次世界大戦
    4.4
    1914年に勃発したバルカン戦争は、当初の誰もが予想しなかった経緯をたどり、ヨーロッパ戦争へ、そして世界大戦へと拡大する。「短い二〇世紀」のはじまりであり現代史の画期となる第一次世界大戦である。本書では、近年の研究を踏まえながら、その戦史的経過、技術的進展、社会的変遷を辿り、国際体制の変化、「帝国」から「国民国家」への移行、女性の社会進出、福祉国家化などをもたらしたこの出来事を考察する。
  • 大学生の論文執筆法
    3.8
    大学生にとって論文を書くとはどういうことか。誰のために書くのか。何のために書くのか。大学での授業の受け方や大学院レベルでの研究報告書の作法、社会に出てからの書き方まで、論文執筆の秘伝を公開する。決め言葉の歴史や、カルチュラル・スタディーズが隆盛となった最近の学問の流れをも視野に入れた新しい論文入門。
  • 教えることの復権
    4.3
    日本の教育界では、「教える」ことよりも「学ぶ」ことに重点を置きはじめたように見える。だが一方で、教師の役割を軽視しすぎてはいないだろうか? 教師が「教えるということ」をもう一度正面から見つめ直し、もっとも必要なことは何かということを、すぐれた教師とその教え子、教育社会学者の間で徹底的に考える。
  • ヒトラーの側近たち
    3.7
    ヒトラーの支配妄想を成就させようと画策したナチスドイツ。弁は立つが猜疑心が強く気分屋のヒトラーに、なぜ有能な側近たちが追随したのか。ゲーリング、ヘス、ハイドリッヒ、アイヒマン、ヒムラー、ゲッベルス……独裁者を支えた側近はどのように対処し振舞ったか。過激な若者集団が世界に巻き起こした悲劇の実相をえぐる。
  • 「考える」ための小論文
    4.3
    論文は、自分のモヤモヤした考えを明確にするため、またそれを他者に伝えるために書かれる。「自分とは何者か」から「人間の生」「現代社会の在り方」まで幅広いテーマを取りあげて、論文の「かたち」と「なかみ」を丁寧に解説する。本書は、大学入試小論文を通して、文章技術の基本を身につけるための哲学的実用書である。
  • 現代語訳 史記
    3.9
    歴史書の大古典にして、人間の在り方を描く文学書でもある司馬遷の『史記』を、「キャリア」をテーマにして選び出し現代語訳。帝王、英雄から、戦略家、道化、暗殺者まで、権力への距離違えども自らの力で歴史に名を残した人物たちの魅力は色あせない。適切なガイドと本物の感触を伝える訳文で『史記』の世界を案内する。
  • 東北史講義【近世・近現代篇】
    3.0
    「東北」とは、幕末から近代において作られた言葉である。古代以来の律令制国たる陸奥・出羽二国の領域を「東北」と呼称して、地方の一体性を強調する現象が発生していくのは、主に近代以降のこと。時としてそこには「後進」や「周辺」の意味が込められている場合がある。本書は、この問題関心のもと、近世・近現代の東北史を三つの視点から描写する。一点目は、中央との位置。二点目は、各地との交流。三点目は、中央の影響力のもとでの地域の独自性である。
  • 東北史講義【古代・中世篇】
    4.0
    東北史を三つの視点から読み解く。一つめは、近畿地方を中心に国家が形成されると、やがて国家的な境界が東北地方に形成されたこと。二つめは、境界領域としての東北地方で、人や物、言語、習俗、信仰などの交流が活発に行われたこと。三つめは、これまで一言で東北地方といってきた、その内側に多様性に富む地域が形成されていたということである。東北史を考えることは、現代日本の構造を明確化させることでもあり、逆に地域の主体性や独自性を示すことに他ならない。
  • ソ連核開発全史
    5.0
    第二次世界大戦後、大規模な軍拡競争を伴う東西冷戦下のソ連において推進された原子力政策は、人類史をどう変えたのか。最初期の放射線研究、史上最大の水爆実験から、世界初の原子力発電所稼働、東側同盟国への技術提供、原子力ビジネス、そして史上最悪のチェルノブイリ原発事故に至るまで。危険や困惑を深めながらも試行錯誤を重ね、科学者・技術者を総動員して推し進められた知られざる数々のプロジェクト。現代ロシアの基礎をなすその計画の全貌に迫る、はじめての通史。
  • 子どもに学ぶ言葉の認知科学
    3.5
    小学生になった息子の珍解答は続く。さらに巷の記事・絵本さらにTシャツのロゴ・町の看板まで、題材はあらゆるところに広がっていくことに。「これ食べたら死む?」「のび太vs.のび犬」「ニンジンは、ヤギ・ヒツジも食べてくれるよ♪」ヘンテコな答えや言葉遣いの背後にある、子どもの、あるいは人間一般の心の働き、認知のしくみ、言葉の法則や性質について、楽しく学べる一冊。
  • 昭和史講義 ──最新研究で見る戦争への道
    3.9
    1~9巻825~1,045円 (税込)
    昭和史をめぐっては、実証的研究が着実に進んでいる。にもかかわらず、一般向けにその成果を紹介したものは少ない。近現代の歴史教育にも、最新研究が反映されているとは言い難い。なぜ昭和の日本が戦争へと向かったのか。その失敗の原因はどこにあったのか。その解明に向けて、戦後七十年を機に、気鋭の研究者の最新成果を結集。より進んだ探究をしたい人向けに、邦語で読める参考文献ガイドを付す。昭和史の真実を知りたい読者におくる、最良の戦前期昭和史レクチャー。
  • 裏横浜 ──グレーな世界とその痕跡
    3.8
    みなとみらい、赤レンガ倉庫、山下公園……。横浜からはオシャレで、洗練されていて、都会的なイメージが想起されるが、それはほんの一面にしか過ぎない。悪臭で誰が泊まるともしれない船の宿、最後の居場所のストリップ劇場、革命家の隠れ家など、その裏側には猥雑で混沌したものが隠されている。生まれ育った街の歴史を掘り起こし、実体験を織り交ぜながら、横浜の真の姿をさらけ出す。
  • 海の東南アジア史 ──港市・女性・外来者
    3.5
    近世から現代まで、ヨーロッパ諸国、中国、日本などから外来者が多く訪れ、交易をし、また植民地支配を行った東南アジア。そこでは、人喰いの風聞を広める人、現地人女性、ヨーロッパ人と現地人の間の子孫、華人などさまざまな存在が、外の世界と現地の間に介在していた。その様相を見ると、いかに多様な人々が各地に存在し、複雑な関係を持っていたか、各地の国民国家形成に影響を与えたかがよくわかる。主に東南アジア海域を舞台に、前近代と近現代、西と東をつなげる画期的な一冊。
  • 日本語の起源 ――ヤマトコトバをめぐる語源学
    -
    日本語の起源は古代中国語にあった。古代中国語音と古代日本語(ヤマトコトバ)の音の対応を、百話にまとめた実例で検証。弥生時代以来の「伝統的造語法」、そして新たに登場した「新型造語法」を考察し、さらに『古事記』の天地初発の話から欠史八代の記事までに現れる神名や地名の語源を探る。これにより日本語の古層は中国語と共通のものだったことが見えてくる。ユーラシア全体の言語への広い視野と、細かい語彙の変遷を跡づける深い知識によって裏打ちされた新説提唱の試み。
  • 縄文と世界遺産 ──人類史における普遍的価値を問う
    -
    2021年7月「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界遺産に加わった。日本列島に存在した「縄文文化」のうち、なぜ限られた地域の遺跡群が世界遺産に選ばれたのか。東北地方を研究対象とし、今回の世界遺産登録にも携わった考古学者が、海外にある同時代の世界遺産との比較などを通して「縄文」を新たな視点から読み解く。さらに、世界遺産というプロジェクトが体現する文化多様性の視点から、「縄文」の人類史における普遍的価値について考える。
  • 古代史講義【氏族篇】
    3.8
    古代日本をつくった氏族は、いつ歴史の舞台に登場し、その後どのように歩んだのか。大伴氏、物部氏、蘇我氏、阿倍氏から、藤原氏、橘氏、佐伯氏、紀氏、東漢氏、西文氏、菅原氏、源氏、平氏、そして奥州藤原氏に至るまで――各時期に活躍した代表的氏族を取り上げるとともに、通時的な歴史の展開をも見通したい。単に各氏族の事典的な解説にとどまらず、最新の研究状況を紹介しながら、時代背景としての古代社会の姿を明らかにしていく。ハンディながら古代史像を刷新する一書。
  • 女帝の古代王権史
    4.4
    卑弥呼、推古、持統……、古代の女性統治者/女帝はどのような存在だったのか。かつては「中つぎ」に過ぎないと考えられていたが、この四半世紀に研究が大きく進み、皇位継承は女系と男系の双方を含む「双系」的なものだったことがわかった。七世紀まで、天皇には女系の要素も組み込まれていたのだ。古代王権史の流れを一望し、日本人の女帝像、ひいては男系の万世一系という天皇像を完全に書き換える、第一人者による決定版。
  • 駒形丸事件 ──インド太平洋世界とイギリス帝国
    5.0
    1914年にカナダ・バンクーバーで起きた「駒形丸事件」。インド人移民の上陸が拒否され、多数の死者をコルカタで出した悲劇である。日本ではほとんど知られていない「駒形丸事件」であるが、この小さな事件を通して歴史を眺めると、ミクロな地域史からグローバルな世界史までを総合的に展望できる。移民史・政治史・経済史を融合させることで、インド太平洋からの新しい世界史像を提示するグローバルヒストリーの画期的な成果。
  • 世界哲学史1 ──古代I 知恵から愛知へ
    4.3
    古代から現代まで世界哲学史を一望に収める八巻シリーズ。第一巻では、哲学が成立した古代の最初期を扱い「知恵から愛知へ」という副題のもと、人類が文明の始まりにおいて世界と魂をどう考えたのかを探究する。文明が発生した古代オリエントに始まり、旧約聖書とユダヤ教の世界、ヤスパースが「枢軸の時代」と呼んだ古代の中国とインドとギリシアで思想が展開された紀元前二世紀までに見ていき、最後にギリシアとインドの接点を探る。新しい哲学の可能性を広げる旅へと読者を誘う。
  • 言霊と日本語
    -
    コトダマは、呪術的な思考や国粋的な主張と結びつくと、言霊信仰や言霊思想などと呼ばれることもあって、非科学的な発想だとされがちである。しかし情報が少なかった江戸時代の国学者の研究・分析を読みなおすと、ことばに沈潜した博学たちだからこそ、たどり着けた鋭い言説が垣間見える。そこでは学問的な蓄積がはじまっており、現代の言語学に通底する発見もあった。ことばの渉猟者たちの足跡をたどり、ことばの深奥と、詩的言語としての日本語表現に迫る一冊。
  • 働き方改革の世界史
    3.6
    経営者と従業員の利害は、どのように調整できるか。労働者の団結や労使協調、あるいは経営参加という現代の労使関係の理論はどのように生まれたか。英国のコレクティブ・バーゲニング、米国のジョブ・コントロール型労使関係やフランスの自主管理思想、ドイツ型パートナーシャフト、日本型雇用など、世界中で模索され、実践されてきた労使関係の理想と現実とは。労働イデオロギーの根源を探訪し、働くということを根本から考える一冊。
  • 学力格差を克服する
    4.3
    学力格差を克服するのに必要なのは、すべての子どもの基礎学力を下支えする「学力保障」である。本書は、学力低下論争への考察を皮切りに、学力について考えを深め、学力格差の実態を考察する。そして「学力保障」をカギとして、「効果のある学校」「力のある教育委員会」の実例を紹介し、学力格差克服の方法を探っていく。よりよい未来をつくるために、これからの学校、公教育の進むべき道を示唆する、学力格差研究の集大成。

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