自分自身が首都圏の公立進学校出身で現在も都内の大学に在学中で、実際にこの講義を受けていた学生と環境が近く、語られる経験が似通っており、学生の意見に共感したりしなかったりしながら読んだ。
教育社会学をテーマとした本書だが、登場する学生の中には教育に関心があった訳ではなく、これからも教育関係の仕事に就く
...続きを読むことはないであろうと語る人もいる。私も教育現場が孕む様々な問題については社会の構成員として関心があるが、将来的に教育を職とすることは無いであろうと思う。けれど、先述した学生が講義を終えて参加した座談会で語るように、直接は教育に関係ない立場だったとしても、企業の人事を考えたり、子育てをしたりするにあたって、社会にある教育格差とその背景にある個人の様々なバックグラウンドを考えていくことは必要だろう。
私の地元は比較的教育に対する関心が高い層が多くを占めており、海外にルーツを持つ人やブルーカラーも少ない地域である(もちろん私が小中学生として生活する中で気付いてなかった可能性も大いにあるだろう)。従って現在関係を持っている友人・知人の多くが非常に同質性が高く、それ自体に危機感があった。小中学生の頃からインターネットで同じ趣味を持つ人と繋がり、時に各々の生活にまで話が膨らむことで自分と異なる他者の存在を知ってきた。また、私が好きなアイドルについて、大抵の場合は高卒もしくは中卒で自分と異なる経験をしている人達について、彼らや私が何を得て何を得てこなかったのかを改めて考える機会になった。
他者の合理性に似たような意識は以前から持っていたが、この言葉を得られて良かった。