暴走する能力主義 ──教育と現代社会の病理

暴走する能力主義 ──教育と現代社会の病理

770円 (税込)

3pt

学習指導要領が改訂された。そこでは新しい時代に身につけるべき「能力」が想定され、教育内容が大きく変えられている。この背景には、教育の大衆化という事態がある。大学教育が普及することで、逆に学歴や学力といった従来型の能力指標の正当性が失われはじめたからだ。その結果、これまで抑制されていた「能力」への疑問が噴出し、〈能力不安〉が煽られるようになった。だが、矢継ぎ早な教育改革が目標とする抽象的な「能力」にどのような意味があるのか。本書では、気鋭の教育社会学者が、「能力」のあり方が揺らぐ現代社会を分析し、私たちが生きる社会とは何なのか、その構造をくっきりと描く。

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暴走する能力主義 ──教育と現代社会の病理 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2018年09月09日

    本書は、能力主義について、その「再帰性」という観点から、社会全体を分析対象にして論じている。国内外における近年の大学や就職に係る能力観の議論は、やや食傷気味の感があったが、本書はアプローチの方法も結論も大きく異なる。能力主義は再帰的な性格を帯びるものであることを、明瞭に示したこの仕事はとても重要であ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2018年08月03日

    新しく求められる能力が求められる社会的な背景が詳細に説明されている。頭が冷める。

    特に能力をめぐる議論は英語教育関係者として読んでおいたほうが良いと思った。

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    Posted by ブクログ 2018年07月27日

    本年度一番のヒットの新書であった。再帰性によって問い直し続けられる能力について、論理的かつ非常にわかりやすく書かれている。

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    Posted by ブクログ 2020年11月23日

    人間の能力は、基本的に測定不能であり、社会で必用とされる能力の変遷に伴い、教育内容を変えるべきということを「メリトクラシーの再帰性」という言葉で説明した。
    ◆Aiの発展で単なる暗記に偏った勉強だとAiに仕事奪われるよ→マークシートによるセンター試験(共通一次)の廃止、
    ◆記述式の共通テストへ、英語は...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2020年02月22日

     タイトルは著者が理論的にインスパイアされたギデンズ『暴走する世界』にちなんだもの。現在の「教育改革」を席捲する「コンピテンシー」論を理解する補助線として。

     著者の議論の要諦は、21世紀に入って以降の日本で次々と提案されている「新しい能力」論は、後期近代における「メリトクラシーの再帰性」のあらわ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2019年12月25日

    非常に読みやすい。スルスル読める。

    階級、学歴の次に基準となる「新しい何か」は見つかるのだろうか。メリトクラシーを俯瞰で見たときに今、学校教育で行うべきはなんなのだろう。「自分の中の答え」みたいなものがまた遠くにいった気がした。

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    Posted by ブクログ 2019年03月12日

    なぜ新しい能力が求められるのか?コミュニケーション能力、非認知能力がなぜこんなにも叫ばれているのか、教育改革がなぜ成功しないのかということをメリトクラシーの再帰性という現象から説明している。
    メリトクラシーの再帰性とは、メリトクラシー(業績主義)が常に自己反省的な性質をもっているということである。必...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年02月26日

    確かに、「これからの時代に必要な能力」みたいなものってめっちゃ抽象的でありふれてることが多いと納得してしまった。

    考えてみると、プログラミング教育みたいなものも、プログラマーである自分からしてみてもなんでやってるのかよく分からないので、本で説明されている、再帰性の現れなのかもしれないと思った。

    ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年12月27日

    構造は非常にわかりやすく、①能力を厳密に測定することは難しい、②身分が属性によって規定されない、オープンな社会では何らか能力により身分の配分をせねばならず、社会的要請として暫定的な能力の尺度を決めねばならない、③上記により、測定される能力には常に反省すべき点が必ず含まれる(メリトクラシーの再帰性)、...続きを読む

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    ネタバレ

    Posted by ブクログ 2018年07月21日

    <目次>
    まえがき
    第1章   現代は「新しい能力」が求められる時代か?
    第2章   能力を測る~未完のプロジェクト
    第3章   能力は社会が定義する~能力の社会学・再考
    第4章   能力は問われ続ける~メリトクラシーの再帰性
    第5章   能力をめぐる社会の変容
    第6章   結論:現代の能力論と向き...続きを読む

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