この本を読んでかなりびっくりしたことは、ロシア革命(というよりはロマノフ王朝滅亡)のまさにその時に、ニコライ二世は一番の当事者であるにも関わらず首都にはいなかったという事実と、醜聞まみれのラスプーチンは実は第一次大戦へのロシア参戦に大反対し、革命運動激化を考慮して農民層の減税などを皇帝に進言するよう
...続きを読むな一面をも持った人物だったということでした。
ま、逆説的に言えば、それだけロシアの政治に口を出していた人物だったとも言えるわけだけど、少なくともニコライ二世はその進言に動かされたことはなかったようだし、だからと言ってラスプーチンが何かをしたということもなさそうだし、要するに KiKi が手前勝手に思い描いていた権勢欲みたいなものがあった人物というわけではなかったみたい・・・・・。 しかも金銭的にも決してゴウツクバリというわけではなく、個人財産を溜め込むことにはまったく無頓着だったとのことなので、要は皇帝一家に近づきすぎた普通の人(まあ、新興宗教の教祖みたいな人だから普通ではないけれど ^^;)だったのかもしれません。
ラスプーチンを稀代の悪人にしたてあげたのは当時のロシア宮廷と革命政府、そして図らずもその遠因を作っていたのは彼を信頼していたアレクサンドラ皇后ということなのかもしれません。
いずれにしろ最後の皇帝一家惨殺の模様は陰惨を極め、その後の一家の遺骸の扱い方を見ると、それまでの圧政に対する報復という面もあるかもしれないけれど、それ以上に人間性の欠如みたいなことを感じずにはいられません。 否、人間というこのどうしようもない生き物は本来残虐性に満ちた生き物なのかも・・・・・。
個人的にはニコライ二世もアレクサンドル皇后もあの大国ロシアの絶対統治者としての器ではない人物(よき家庭人という感じ?)だったと感じられました。 いずれにしろ、一家の死の後にあの「得体の知れない、秘密主義の、謎のヴェールに包まれたソ連」ができあがったことはまぎれもない事実で、その原点がこの一家の惨殺事件にあったようにも感じられました。
(全文はブログにて)