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昨今、メディアや識者からは、日本の教育に否定的な意見ばかりが目立つ。その結果として、教育現場の実態とはかけ離れた教育政策にすがりついてしまう。しかし巷間言われるように、日本の教育は本当にダメなのだろうか? 国際比較データを駆使して新しい姿を描き出す。思い込みを解きほぐし、不安や疑問に答え、未来に向けて提言をする。専門分野も国籍も異なる気鋭の研究者2名が、教育をめぐる議論に新しい視点を提供する。
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Posted by ブクログ
日本の教育を「外」から見るとどういう評価になるのか? 内からの評価との違いが興味深い。『FACTFULLNESS』の教育版といった趣もある。ただ著者のの狙いは、あくまでも視点を提供することであって、「ダメじゃない」と言い切ることではない。 とっても丁寧な叙述で、感心することしきり。教育改革がホントに...続きを読む必要だったのか、客観的な裏付けは何もなかったってのも泣ける話。ぜひ文科省の連中にこの一冊を手にとって欲しいけどな。’
日本の教育はなぜだめではないのか。それは、日本人の大人は社会人になっても学力が高いからです。要は、彼らは学校で身につけたい知識がきちんと定着していると言うことです。
日本の教育は「わりと」うまくいっている。データをもとにしながら国際的視野で日本を見よう!と思わせてくれる一冊。
多くの視点から日本の教育を世界と比較しているので、紙面の都合もあるが、1つ1つの視点はあまり掘り下げられていない。 日本の学校教育の問題が指摘されているとき、日本特有の問題なのかどうかという国際比較の視点から捉えることが大切。
タイトル通り「日本の教育はダメじゃない」ことを、データを通して伝えていき最後にはさまざまなステークホルダーにいる人に提言をしてくれている。通念的に語られている日本の教育のダメなところを一つ一つ取り上げながら、それに応えていくような問答的な内容なので読みやすい。日本の先生方いつもありがとう、おつかれさ...続きを読むまですと思えた。
ティムズ(TIMSS)は学校で習った内容をきちんと覚えているかを測る。ピザ(PISA)は学校で習った基礎内容を新しい目的に創造的に使えるかを測る。p.21 社会階層が成績に与える影響、日本はフィンランドと同水準。OECD平均よりも低い。p.49 大人(26歳~31歳)を対象にした学力調査ピアック...続きを読む(PIAAC)で日本は上位。大卒者に限定すると世界1位。p.56 フィンランドのPISA3科目平均は2006年をピークに、2009、2012、2015、2018と一貫して低下し続けている。p.60 日本はOECDの中で6番目に勉強時間が短い。社会階層が高い子でもOECD平均並み。p.77 塾通いを始める前(小学4年)の時点ですでに学力が高い。p.95 日本の子供たちは勉強に興味をあまりもってない。ただ興味ばかりを考えて教えるのは学びをかえって損なう可能性がある。p.110 スティグラー(『学びの差異』)の実験。日本の子供たちとアメリカの子供たちに、決して解けない算数の問題を与えて反応を見た。すると、早々に諦めるアメリカ人の子供とは異なり、日本の子供たちは問題を解くことを諦めず、取り組み続けた。また、別の実験で、カナダ人の子供たちは一度失敗すると頑張らなくなる傾向が見られたが、日本の子供たちは失敗しても、より一層頑張る傾向が見られた。日本の子供たちは自分に自信が持てない傾向がある。しかし、自信過剰になることなく、自分を高めようとする姿勢とも言える。 p.113 幸福の文化依存性。個人主義の文化ほど、主観的な幸福感が高くなる傾向にある。p.125 最近は「どのくらい嫌な感情を経験するか」といった聞き方もする。満足度がどのくらい高いかではなく、どれくらい嫌な気分を味わうことがないか、という価値観もある。p.204 日本の10代自殺率はアメリカやスウェーデンと同じくらい。高くも低くもない。p.133 日本は5歳から19歳の肥満の割合がOECDで最も小さい(3.3%)。一番大きいのはアメリカで21.4%が肥満。アメリカと比べ、日本の給食は質が高く、体育の授業がとても多い。p.135 日本の学校教育を改善していくのは大切。しかし、日本の学校教育をデータに基づかない印象だけで否定的に評価し、変えなくてもいいものを変え、やらなくてもいいことをやり始めると、税金を浪費し、現場を混乱させ、たださえ多忙な学校の先生をさらに多忙にし、保護者を不安にさせるだけである。p.10 日本の教育を壊さないために。p.9
日本の教育に対して否定的なタイトルが多い中、全力で肯定する本! 国際的な調査で見ると日本は結構上位! 子ども達も先生方も頑張ってるんだ!って自信を持って楽しく学べるといいな☺️
想像するよりもずっとずっと興味深く読める本になっている。子どもの教育に携わるすべての人に読んでもらいたい。たとえるなら、日本の教育版『ファクトフルネス』といった感じが丁度いい。 日本の教育は確かにダメな部分もある。だけど、良いところも多い。にも関わらず、日本人は自国の教育に批判的な意見を持つ人が多...続きを読むいように思える。 事実、周囲の人に聞いてみると良いところより悪いところばかり挙げられる。 良いところに目が行きにくいのは、日本人だけではないと思う。だけど、それにしてもあまりに悲観的過ぎる気がする。 良いところに気づくことで変えるべき点と変えるべきでない点が浮かび上がる。だから、すべてを否定するのではなく、きちんと見分ける必要がある。 理想に囚われて教育改革の本質を見失っている。そんな僕らの目を覚ましてくれる渾身の一冊だと思う。おすすめ。
日本の教育はダメであるという通説は教育業界に目を向けている人ほど強く抱いている信念ではなかろうか。本書はそうした通説(創造力がない、学力が低下している、学校が楽しくない、など)に対して国際比較のデータを用いて反論している。 私たちは一部の悪い事例だけを切り取って大袈裟に全体を評価するバイアスがあり、...続きを読むそのことはどの社会課題にも言えるのかもしれない。「現実を正しく見る」というのは何も悪い点だけを論うのではなく、良い点に関してもしっかりと把握して、なぜ良いのかを論じることも同様に大切だと気づかされた。教育に関わる全ての人に読んでほしい一冊。
教育や政治は、「日本はダメ」と簡単に言われがちであるが、そんなことはないだろう。一冊のデータとして、基本で読んでおいていい本だと思う。問題は、この本を読んで、更により良くすること、進歩していくことをどう位置づけるかだろう。
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日本の教育はダメじゃない ――国際比較データで問いなおす
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小松光
ジェルミー・ラプリー
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