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Posted by ブクログ
大阪市に立地する空間の地理学。著者が「約十年間に大阪の街々を歩きながら感じたこと、考えたことをもとにして、現代都市としての大阪を特徴づける<場所>と<空間>について、およそ明治期以降の歴史性をふまえて叙述する」本。書の前半は主としてキタ、後半は主としてミナミを語るが、著者の思い入れはミナミにあるせいか、後半のほうが面白かった。とくに、第5章「ミナミの深層空間ーー見えない系をたどる」は、50頁もの分量を割きながら、阿倍野と千日前、飛田新地と釜ヶ崎、黒門市場を結ぶ三角帯の歴史地理学的意義を大いに語る秀逸な章だといえる。「東京もん」からすると、なじみの薄い大阪の地名が時折見られる。たとえば、でんでんタウンやジャンジャン横丁。ワールドトレードセンター(WTC)ビルなどはニューヨークか、せめて浜松町どまりで、なぜ大阪に存在するのか、不思議でならなかった。「場所は「個」としてではなく、近接・遠隔を問わず他所との関係性のなかで存立していることも忘れてはなるまい」(228頁)という一文に、都市空間の特異性に対する著者の思いが詰まっていると言えよう。
ただひとつ残念なのは、「結果」という「接続詞」を多発しているところ(たとえば138頁の文頭)。読みやすさを考慮してのものだろうが、「その結果」と正しく書くべきだろう。せっかくの説得力が、この似非接続詞のおかげで浮いてしまっている。
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