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無痛
見るだけですぐに症状がわかる二人の天才医師、「痛み」の感覚をまったく持たない男、別れた妻を執拗に追い回すストーカー、殺人容疑のまま施設を脱走した 十四歳少女、そして刑事たちに立ちはだかる刑法39条――。神戸市内の閑静な住宅地で、これ以上ありえないほど凄惨な一家四人残虐殺害事件が起こった。凶器のハンマー他、Sサイズの帽子、LLサイズの靴痕跡など多くの遺留品があるにもかかわらず、捜査本部は具体的な犯人像を絞り込むことができなかった。そして八カ月後、精神障害児童施設に収容されている十四歳の少女が、あの事件の犯人は自分だと告白した、が……。 -
全国川柳作家集 有鄰
月刊『川柳マガジン』300号を記念して刊行する、全国川柳作家集シリーズ。川柳界を牽引してきた重鎮から、明日を担う次世代の俊英まで、現代川柳の多彩な担い手が一堂に会する。人間と社会、日々の喜怒哀楽を映す十七音から、作家それぞれの歩み、個性、時代へのまなざしが立ち上がる。川柳270年の歴史を受け継ぎながら、新たな表現へ向かう現代作家の現在地を一冊ずつ刻む記念シリーズ。 「有鄰」の書名に込められた、人と人との縁を大切にする著者の人生観が全編に息づく。川柳えんぴつ高岡の会会長、川柳えんぴつ社事務局長として地域川柳界を牽引する林進の句集。日々の暮らしから社会問題までを自在に詠み分ける力量は円熟の域に達し、その作品には長年培われた人間理解と豊かな詩情があふれる。平明にして味わい深い表現で、読者を句の世界へ誘う一冊である。 ●収録作品より やんわりと泥を吐かせる妻の笑み フクシマに和らぐ日々はありません 月とじゃれあう露天風呂 満選不要でもポイント欲しく無駄を買う かぐやと歩く夢がある -
全国川柳作家集 君だって花だ
月刊『川柳マガジン』300号を記念して刊行する、全国川柳作家集シリーズ。川柳界を牽引してきた重鎮から、明日を担う次世代の俊英まで、現代川柳の多彩な担い手が一堂に会する。人間と社会、日々の喜怒哀楽を映す十七音から、作家それぞれの歩み、個性、時代へのまなざしが立ち上がる。川柳270年の歴史を受け継ぎながら、新たな表現へ向かう現代作家の現在地を一冊ずつ刻む記念シリーズ。 眼科医として地域医療に携わる傍ら、川柳の研鑽を重ねる玉井浩子の句集。日常の一場面から心の深層、さらには科学や医療の最前線までを自在に詠み込む豊かな想像力と繊細な感性が光る。ときにユーモラスに、ときに鋭く人間の本質へ迫りながら、著者の向けるまなざしは人にも自然にも分け隔てなく優しい。読者の心にそっと寄り添う、伸びやかな言葉の花束である。 ●収録作品より 君だって花だがんばれネギ坊主 千年杉の身の上話聞いてみる 転がった荷物追いかけ君と会う 食べてよとこれ見よがしの桃のパフェ 君は知らない私の中の暴風雨 -
全国川柳作家集 人生の詩
月刊『川柳マガジン』300号を記念して刊行する「全国川柳作家集」シリーズ。川柳界を牽引してきた重鎮から、明日を担う次世代の俊英まで、現代川柳の多彩な担い手が一堂に会する。人間と社会、日々の喜怒哀楽を映す十七音から、作家それぞれの歩み、個性、時代へのまなざしが立ち上がる。川柳270年の歴史を受け継ぎながら、新たな表現へ向かう現代作家の現在地を刻む記念シリーズ。作者自身による代表句の音声も収録。 退職後に川柳を始め、長年にわたり句作を続けてきた著者の第5句集。老いの実感や身体の変化、夫婦の情、忘れがたい記憶、季節の風景まで、暮らしの一場面を温かな眼差しで描き出す。笑いと寂しさ、過去と現在を行き来しながら、人生の余韻をしみじみと伝える一冊。 ●収録作品より 草むしりできる老後にある至福 歯が無ぇと騒ぐ入れ歯の入れ忘れ この指に止まってくれてありがとう 鈴蘭の静かに揺れて風の音 自粛して気怠い連休の暮らし -
全国川柳作家集 風だって
月刊『川柳マガジン』300号を記念して刊行する「全国川柳作家集」シリーズ。川柳界を牽引してきた重鎮から、明日を担う次世代の俊英まで、現代川柳の多彩な担い手が一堂に会する。人間と社会、日々の喜怒哀楽を映す十七音から、作家それぞれの歩み、個性、時代へのまなざしが立ち上がる。川柳270年の歴史を受け継ぎながら、新たな表現へ向かう現代作家の現在地を刻む記念シリーズ。作者自身による代表句の音声も収録。 特別支援学校や小学校の校長を務めた著者が、病と向き合いながら川柳を詠み続ける句集。孤独、家族、記憶、老い、故郷など、人生の折々に感じたことを、静かなユーモアと深い思索で詠み上げる。何処から来て何処へ向かうのかという問いを胸に、風のように自由な視線で世界を見つめた一冊。 ●収録作品より 会いたい人に会いに行く また何か始めたくなる空の色 本当はひとりぼっちが大きらい 缶蹴りの音も昭和に置いてきた 窓開けてそっと自分を入れ換える -
歌舞伎町特別診療所
̸̅̅/̸̅̅ ̆̅ ̅̅ ̸̅̅/̸̅̅ ̆̅ ̅̅ ̸̅̅/̸̅̅ ̆̅ ̅̅ ̸̅̅/̸̅̅ ̆̅ ̅̅ ̸̅̅/̸̅̅ ̆̅ ̅̅ ̸̅̅/̸̅̅ ̆̅ ̅̅ ̸̅̅/̸̅̅ ̆̅ ̅̅ ̸̅̅/̸̅̅ ̆̅ ̅̅ ̸̅̅/̸̅̅ ̆̅ ̅̅ ̸̅̅/̸̅̅ ̆̅ ̅̅ ̸̅̅/̸̅̅ ̆̅ ̅̅ 犯罪の坩堝、新宿・歌舞伎町。 中国人銃撃事件。 刑事×外科医、二人の正義が犯人を追い詰める! ̸̅̅/̸̅̅ ̆̅ ̅̅ ̸̅̅/̸̅̅ ̆̅ ̅̅ ̸̅̅/̸̅̅ ̆̅ ̅̅ ̸̅̅/̸̅̅ ̆̅ ̅̅ ̸̅̅/̸̅̅ ̆̅ ̅̅ ̸̅̅/̸̅̅ ̆̅ ̅̅ ̸̅̅/̸̅̅ ̆̅ ̅̅ ̸̅̅/̸̅̅ ̆̅ ̅̅ ̸̅̅/̸̅̅ ̆̅ ̅̅ ̸̅̅/̸̅̅ ̆̅ ̅̅ ̸̅̅/̸̅̅ ̆̅ ̅̅ 警察小説のトップランナー・今野敏が放つ 傑作エンターテインメント! 新宿・歌舞伎町で突然銃声が響き、現場から走り去る複数の中国人の姿が目撃された。 その夜、大久保通りの古いビルにある「梨田診療所」のドアが激しく叩かれた。 高齢者や外国人、病院に行けない事情を抱えた患者も治療してくれる診療所だ。 外科医の犬養は、太腿を撃たれた中国人を治療する。摘出された一発の銃弾とともに残された言葉。 「撃ったのは、刑事だ」 一方、事件を追う新宿署一係の松崎は証言をもとに「梨田診療所」を訪ねる。 最初は警戒していた犬養だが、松崎の捜査に対する姿勢にいつしか共感を覚える。 暴力団や警察の思惑が交錯するなか、松崎と犬養は事件の核心に迫る……。 -
セレブ・ケース
なぜ富豪宅から高級腕時計30本が消えた? 実業家・梅島満の自宅で盗まれたのは、高級腕時計30本と価値ある古書。所轄警察のおざなりな対応に腹を立てた妻・美沙は、警視庁特別対策捜査官・二階堂悠真のもとを訪れる。 二階堂は、社会的地位の高い人物が絡む案件の窓口を任された、警視庁にただ一人の特別対策捜査官だ。自分で捜査することもあれば、担当部署へ回すこともある。しかも二階堂自身、裕福な家に生まれ、金持ちの世界をよく知っている。 一方、渋谷で起きた強盗事件では、総務省審議官の息子・竹本幸樹が容疑者として浮上する。ところが、出頭を求められた朝、竹本は姿を消した。 なぜ、高級腕時計が30本も盗まれたのか。消えた竹本はどこへ行ったのか。 金があるからこそ、露わになる人間の業がある――。 〈アナザーフェイス〉の大友鉄、〈警視庁総合支援課〉の柿谷晶、〈警視庁追跡捜査係〉の沖田大輝も登場。 堂場瞬一が放つ、新たな警察小説シリーズ〈セレブ・ケース〉第1弾! 単行本 2025年4月 文藝春秋刊 文庫版 2026年10月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
警察庁の女忍者
警察を陰から支え、悪を葬り去る女の忍び。 警察庁中央情報課(CIS)に所属していた特別捜査官・甲西博美が殺された。 厚労大臣の許可なく、臓器移植の斡旋をしていたNPOに潜入していたはずだった。 しかも、ほかの捜査官も全員殺されたか、行方不明になっているという。 CISが追っていた反社組織、宝島グループの仕業に違いない。 復讐を誓うCISの長・篠塚だったが、警察庁長官に隊の解散を命じられてしまう……。 一方、博美の妹・紬(つむぎ)は家伝の忍法を使い、超大型豪華客船「鳳凰」に潜入していた。 友達の冴羽ひまりが何者かに拉致、船内に監禁されたらしいのだ。 ひまりの父親は「鳳凰」を建造した冴羽造船の社長だったのに、なぜ? 「鳳凰」に隠された謎と、喪った姉との関係を知った紬は怒りに燃える! 世界に巣食う闇を壊滅させるため、陰に潜んでひとり闘う警察庁の最高秘密捜査官。 私がやらねば、誰がやる! -
イチサカユリエとマッチングしました
「むかいます」 昭和・平成・令和――時代を超えて現れる 〈出会い系〉の怪異 3年前に作家デビューした私は次作の構想を練るため、 ネットに転がるマッチングアプリの怪談を調べ始めた。 怪奇現象の断片を集めていく先で、私は…… ドラマ化で話題&『このミス』大賞 文庫グランプリ受賞作 『推しの殺人』著者 受賞後第一作 (あらすじ) 怪談や匿名掲示板、動画配信やSNSで語られる謎の存在「イチサカユリエ」。マッチングアプリ上に現れるその女性とやりとりした者は、支離滅裂な言葉で誘われ、「むかいます」というメッセージが届いたが最後、怪奇現象に見舞われて命を落とすという。マッチングアプリの怪異をテーマにした小説を構想していた私は、取材のためにイチサカユリエについて調べ始めるが……。 【著者について】 遠藤かたる 1988年愛媛県生まれ。甲南大学卒業。第22回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリを受賞し、2024年に『推しの殺人』(宝島社)でデビュー。 -
帝都一の下宿屋
時は明治──銀座は南紺屋町に、「静修館」という古いけれど居心地のいい下宿屋がある。大家の梨木桃介はまだ若いが無類の世話好きで、料理をはじめ家事万端を見事にこなす界隈の名物男だった。その働きぶりの前では、下宿人のひとりである小説家の仙道湧水も我が儘を封印し、規則正しく生活するほどだ。そんな静修館には、なにかと謎が持ち込まれる。桃介も愛用する醤油にかけられた偽装疑惑、好条件にもかかわらず借り手が決まらない貸家。「先生なら助けてあげられるかもしれないね」という桃介の一言に促され、湧水は謎解きに奔走するが……。/【目次】永遠の市/障子張り替えの名手/怪しの家/妖怪白湯気 -
伝魂怪奇談 無嗣の家
「向こう側」を覗きこむ怪談集 「遠く津軽から放たれる因襲と郷愁の怪異譚」 和嶋慎治(人間椅子 Gt. Vo.) 弘前乃怪をはじめ様々な怪談会を精力的に主催し、東北の怪談文化を盛り上げる立役者の一人、鶴乃大助。 ・林業を営む三兄弟の次男が山の作業中に亡くなった。それは始まりにすぎなかった「消炎呪」 ・酒を飲むと殴るを繰り返す父親が突然死んだが…「暴君の呪縛」 ・職場の同僚との打ち上げの後、一人帰途に就いた後輩の身に何が? 「グッド・バイ」 ・津軽地方で“カミサマ”と呼ばれる民間巫者のもとに持ち込まれた神隠しの顛末「交渉」 ・相次ぐ跡取りの死別、怪異に苦しむ旧家「無嗣の家」など。 怪談とは人間の営みそのもの――みちのくきっての怪異コレクターが綴る、都市部の怪談とは一線を画す地元に根差した怪異譚36話収録。 -
青い怪談
青かったあの頃、怪異はいつもすぐ傍にあった。 文化祭で突如開いた異界 焼却炉にくべたノートの声 下駄箱の中の不気味な手紙 秘密基地に棲みついた魔 村の井戸の恐ろしい秘密 学校から、田舎の夏祭りまで 狂おしいほどにノスタルジックな十代の怖い話 憂鬱と衝動と焦燥と。 大人になる前の青い季節に体験した「怪」の記憶。 校庭から掘り出された木箱の恐ろしき中身…「タイムカプセル」 文化祭で貼った立入禁止の鳥居の絵。すると鳥居の向こうで金魚すくいをしたという子供たちが…「縁日」 病床の姉と向き合えずにいる妹。ある日左目に不思議な光が差し始める…「光」 焼却炉にいじめの言葉が書かれたノートをくべた時、聞こえた声…「文字を焼く」、 の屋上に隠された開かずの社と青い筒の正体…「ある怪談」 亡き母のメモ帳に記されていた未来の日付…「母のメモ帳」 存在しない架空のクラスメートをいじめる遊びを作り上げた生徒たちが視た終焉……「わたしたちの怪談」 他、二度と戻らぬ季節の中で起きた37の青春怪談。 恐怖の先で、私たちは少しだけ大人になった――。 -
ナナフシギ 吉田猛々の温冷怪談 一人言
怖いものはとことん怖く 魂の温もりはじんわりと 七代目・怪談最恐位、日本一怖い話を語る男が集めた究極の30話! 恐怖に震えあがる「冷」の怪談と、どこかほっこりする「温」の怪談。 日本一怖い話を語る男、人気怪談YouTuber「ナナフシギ」の吉田猛々が、 全国から集めた珠玉の怪異体験談。 深怪のN駅で乗り過ごしてから雰囲気が一変した女性。数年後、カレンダーを見ると……「代わってもらった日」 曰くつきの公園のそばに転居した母子の異常行動。その裏には壮大な土地の因果…「壊される公園」 カレーを作りたくなるたび、身内に命の危機が。不吉すぎる禁断のレシピ……「カレー」 1枚の港町の写真が一家を導く不気味な因縁…「嫌な家」 村の神事でお供え物を盗み食いしてしまった少女。暗闇の中で響いてきたのは……「かすてら」 ぬいぐるみの中に仕込まれた呪い…「忌みぐるみ」 墓から出た石にとり憑かれる…「持ち帰りたくなる石」 笑いながら娘を沖へ流す父は…「お盆の海」 夢で見た生まれる前の物語…「遠い日のお祭り」 顔が半分ない女と赤ん坊の謎…「実家の禁忌」 ポチ袋に入った人毛の意味…「古呪」 海で写真を撮った一族の悲劇…「水に気をつけてください」 ほか、極限の恐怖からどこか笑えて泣ける話まで、心揺さぶるぬくびえの30話収録! -
介護士の怖い話
「これ、人形の中に生身の血肉が詰まっている…」 ――収録作「フランス推し」より 高級老人ホームに現れた 曰くつきビスクドールは、 目鼻や関節の節々から 赤黒い液体が漏れ出ていて… 介護従事者が語る いま現場で起きている リアルな怪異! かつて介護業界に身を置いた経験のある内藤駆が蒐集した、生と死が隣り合う世界で起こった最恐の怪異譚と奇妙な話。 夜の施設送迎バスに響き渡る狂い笑い…「リハビリ型デイサービスその一反AI」、介護研修所のトイレで遭遇した強烈怪異の数々…「情報量多すぎトイレ」、当たり前のように幽霊の現れる病院で、ある夜恐怖の限界が…「病院内奇祭」、ホーム入居中の男性が過去に経験した陰惨な儀式は今も…「ハイビキ」、施設倉庫での作業中に現れた謎のおじさんとの不思議な会話…「私のガラケーおじさん」等、介護・福祉関係にまつわる怪談一挙39話を収録! -
川柳句集 羅針盤 ――ためらいの先へ
著者は川柳・俳句・短歌の垣根を軽やかに越え、ボーダレスに創作活動を展開する短詩型表現愛好家。『羅針盤――ためらいの先へ』は、「川柳とは何か」という問いへの答えではなく、問い続けるための小さな方向感覚を手渡す一冊である。 著者は川柳を、人間と向き合うための「構え」や「態度」と捉え、全72句にその視線を一貫して注いでいる。生きていく中で個人の輪郭が失われていくような違和感や不条理を、身近な物や身体感覚へとそっと置き換える比喩が鮮やかである。 1句1ページの構成がもたらす豊かな余白は、読み手を結論へ急がせず、ふと立ち止まって自分の現在地を確かめる時間を育んでくれる。そんな静かな問いに満ちた句集である。 ●収録作品より 二行目の日記に潜む嘘ひとつ 朝礼で行方不明の一人称 そっと舟押し出すように友の通夜 ポケットに手垢のついた羅針盤 ただ風の気配を待っている余白 -
川柳句集 百歳の笑み(改訂版)
岐阜を拠点に活動する著者が、40年もの長い年月をかけて磨き上げた480句を収録した「百歳の笑み」に加筆修正した改訂版。 「斜光のなかで」「招き猫」「野鳥のしらべ」「へのへのもへじ」の4章構成。割り箸を割る音、新刊を開く感触といった何気ない日常の一コマ、また見落とされがちな季節の移ろいや小さな感動が、著者の研ぎ澄まされた感性で丁寧に拾い上げられている。重くなりがちな「老い」のテーマさえ軽やかなユーモアへと昇華させる著者の視点は、同世代には深い共感を、若い世代には生きる勇気を与えてくれる。本質を捉える確かな眼力で、現代社会の矛盾や世相を軽やかに突く時事川柳も魅力的である。 本書の全編を通じて流れているのは、著者が人生で導き出した川柳賛歌と「生」の肯定である。ページを繰るごとに川柳への親しみが深まり、読者の心を解きほぐすに違いない。巻末の『句集のおわりに』では、著者が長年培った作句の手ほどきを公開している。「想像力を刺激する余白を残すこと」「難しい言葉よりも、誰にでも伝わる言葉を」などの川柳哲学は、これから川柳を始める人へのやさしい指標となり足元を明るく照らすだろう。川柳のエッセンスが凝縮されているため、時間のない現代人にもピッタリである。老若男女問わず、人生の同伴者として繰り返し読みたくなる一書。 割り箸の軽く馳走のする香り 新刊のミリッと本を開く良さ 百歳を祝う写真に笑むばかり 日めくりの大吉らしき明日透けて 封切らず旨い酒だと自慢する 百生きりゃ百の苦労も笑いだす 寝る前に感謝を込めて消す明かり -
全国川柳作家集 ムンクよ
月刊『川柳マガジン』300号を記念して刊行する「全国川柳作家集」シリーズ。川柳界を牽引してきた重鎮から、明日を担う次世代の俊英まで、現代川柳の多彩な担い手が一堂に会する。人間と社会、日々の喜怒哀楽を映す十七音から、作家それぞれの歩み、個性、時代へのまなざしが立ち上がる。川柳270年の歴史を受け継ぎながら、新たな表現へ向かう現代作家の現在地を刻む記念シリーズ。 数々の川柳大会で入賞を重ねる実力作家であり、青森県を拠点とする「おかじょうき川柳社」代表を務める、むさしの句集。既成の川柳の枠にとどまらない奔放な発想力で、日常の身体感覚、雪国の風景、原発、戦争など幅広いテーマを自在に詠む。ミサイルやウルトラマンなど多彩な句材を軽やかに取り込み、現実と幻想の境を揺さぶりながら、新しい川柳の可能性を鮮やかに示す一冊である。 ●収録作品より ムンクよ写楽よカモメは空のどこで死ぬ 白鳥もミサイルも飛ぶ青い空 生きていることも錯覚なのですね 前例がなんだ雪ダルマは走る ミサイルはいらない桃をひとつくれ -
全国川柳作家集 心織・心耕
月刊『川柳マガジン』300号を記念して刊行する「全国川柳作家集」シリーズ。川柳界を牽引してきた重鎮から、明日を担う次世代の俊英まで、現代川柳の多彩な担い手が一堂に会する。人間と社会、日々の喜怒哀楽を映す十七音から、作家それぞれの歩み、個性、時代へのまなざしが立ち上がる。川柳270年の歴史を受け継ぎながら、新たな表現へ向かう現代作家の現在地を刻む記念シリーズ。 熊本県を拠点に活動する村上和巳の句集。自己の内面を「経糸」、社会との関わりを「緯糸」として、人生、病、老い、家族、死、戦争、平和までを十七音に織り込む。哲学や文学の気配、日常の言葉、時事へのまなざしを交差させながら、巧みな比喩と知的なユーモアで、人間と時代のありようを浮かび上がらせる一冊である。 ●収録作品より 夕焼けが私好みの色に焼け 生きようと思う理由がたんとある 風が舞う火が舞う阿蘇は時も舞う 女々しいが雄々しい戦より平和 許すという鮮やかな敵討ち -
全国川柳作家集 猫のシッポ
月刊『川柳マガジン』300号を記念して刊行する「全国川柳作家集」シリーズ。川柳界を牽引してきた重鎮から、明日を担う次世代の俊英まで、現代川柳の多彩な担い手が一堂に会する。人間と社会、日々の喜怒哀楽を映す十七音から、作家それぞれの歩み、個性、時代へのまなざしが立ち上がる。川柳270年の歴史を受け継ぎながら、新たな表現へ向かう現代作家の現在地を刻む記念シリーズ。 北海道を拠点に活動する鈴木厚子の句集。心象風景としての月や雪、夫婦、愛猫、老いと長寿まで、暮らしの実感を幅広く詠む。女の本音と可笑しみをまっすぐにすくい上げる語り口には、北の大地の風を思わせる軽やかな気風と、タフでしなやかな行動力が息づく。歩んできた人生を軽やかに受け止め、猫のシッポのように凜と前を向く一冊である。 ●収録作品より お静かにゆるーり沈むカフェの椅子 月光を浴びた水から語り出す 空気になれず他人になれずまだ夫婦 モンローウォーク猫のシッポがピンと立ち 生きてます笑っています泣いてます -
全国川柳作家集 原色の過去
月刊『川柳マガジン』300号を記念して刊行する「全国川柳作家集」シリーズ。川柳界を牽引してきた重鎮から、明日を担う次世代の俊英まで、現代川柳の多彩な担い手が一堂に会する。人間と社会、日々の喜怒哀楽を映す十七音から、作家それぞれの歩み、個性、時代へのまなざしが立ち上がる。川柳270年の歴史を受け継ぎながら、新たな表現へ向かう現代作家の現在地を刻む記念シリーズ。 北海道を活動拠点とする沼澤閑の句集。原発、核、戦争、温暖化、難民など現代社会の危機を見据え、政治や制度の矛盾を川柳ならではの穿ちで浮かび上がらせる。散歩、読書、孫、猫、食卓といった暮らしの細部にも温かな目を配り、過去の記憶と今の時代を鮮やかに照らし出す一冊である。作者自身による代表句の音声も収録。 ●収録作品より 蠢く原発主語のない責任 今日もまた森林火災温暖化 ちちをかえせははをかえせ八月忌 ガザの火をプーチン小手をかざし見る お互いの笑顔が薬老いふたり -
全国川柳作家集 魔のボレロ
月刊『川柳マガジン』300号を記念して刊行する「全国川柳作家集」シリーズ。川柳界を牽引してきた重鎮から、明日を担う次世代の俊英まで、現代川柳の多彩な担い手が一堂に会する。人間と社会、日々の喜怒哀楽を映す十七音から、作家それぞれの歩み、個性、時代へのまなざしが立ち上がる。川柳270年の歴史を受け継ぎながら、新たな表現へ向かう現代作家の現在地を刻む記念シリーズ。作者自身による代表句の音声も収録。 稲沢ひろせの句集は、恋の熱情や嫉妬、孤独を率直に見つめ、女性の内面に揺れる情念を鮮やかに詠み上げる。年齢を重ねる実感、病や死、復興、戦争、地球環境にも目を向けながら、魔女、ボレロ、月、酒などの印象的なモチーフを自在に配し、愛と生の危うさを、現代を生きる女性の感性でしなやかに大胆に刻む。 ●収録作品より 日常を捨てておいでと魔のボレロ 一途な恋静かに狂う薄月夜 どん底で光って見えたのは希望 復興の街で未来と巡り合う 病む地球CTスキャンしてみるか -
全国川柳作家集 こころの調べ
月刊『川柳マガジン』300号を記念して刊行する「全国川柳作家集」シリーズ。川柳界を牽引してきた重鎮から、明日を担う次世代の俊英まで、現代川柳の多彩な担い手が一堂に会する。人間と社会、日々の喜怒哀楽を映す十七音から、作家それぞれの歩み、個性、時代へのまなざしが立ち上がる。川柳270年の歴史を受け継ぎながら、新たな表現へ向かう現代作家の現在地を刻む記念シリーズ。作者自身による代表句の音声も収録。 川柳界で活躍の幅を広げている千葉県在住の渡辺柳山の第2句集。川柳と音楽と映像を愛する著者は、その鋭い感受性で、人の心の揺れや家族の情景、環境問題から政治、戦争まで幅広い題材を自在に詠む。人への温かな視線を忘れず、日常の機微と時代の空気を五七五に映し出す句集である。作者自身による代表句の音声も収録。 ●収録作品より 七夕の願いごとまで五七五 川柳の学び尽くせぬ奥深さ 今日もまた森林火災温暖化 一目惚れ鼓動高鳴り不整脈 笑うたび世界が少し丸くなる -
全国川柳作家集 道楽川柳
月刊『川柳マガジン』300号を記念して刊行する「全国川柳作家集」シリーズ。川柳界を牽引してきた重鎮から、明日を担う次世代の俊英まで、現代川柳の多彩な担い手が一堂に会する。人間と社会、日々の喜怒哀楽を映す十七音から、作家それぞれの歩み、個性、時代へのまなざしが立ち上がる。川柳270年の歴史を受け継ぎながら、新たな表現へ向かう現代作家の現在地を刻む記念シリーズ。作者自身による代表句の音声も収録。 ふといしうたに句集には、占い、散歩、食事、読書、ラジオ、ピアノなど多彩な日々の楽しみを題材に、肩の力を抜いて生きることの大切さや生きる知恵が詠まれている。出版や作句活動、健康、暮らしの備えにも目を向けながら、小さな習慣や楽しみを日々の味わいへと変えていく視線が、実感的にユーモラスに表現されている。作者自身による代表句の音声も収録。 ●収録作品より 千円の靴履き後悔しています 更新が止まると調子くるう日々 貯金して自著の上梓が生きがいに 読書する間静かなレア喫茶 健康が目的長生きは手段 -
全国川柳作家集 50点満点
月刊『川柳マガジン』300号を記念して刊行する「全国川柳作家集」シリーズ。川柳界を牽引してきた重鎮から、明日を担う次世代の俊英まで、現代川柳の多彩な担い手が一堂に会する。人間と社会、日々の喜怒哀楽を映す十七音から、作家それぞれの歩み、個性、時代へのまなざしが立ち上がる。川柳270年の歴史を受け継ぎながら、新たな表現へ向かう現代作家の現在地を刻む記念シリーズ。 群馬県出身で看護の学びと勤めの経験を持つ伊藤正美は、心身の不調に向き合う中での実感を、薬の名や検査、病院の風景に託して詠む。痛みや不安を抱えながらも、社会問題、国際問題を織り交ぜながら、生活の手触りを十七音に刻む。周りの大切な人たち、そして自分自身への感謝を忘れずに、医療へのまなざしを通じて、「乱世」を軽やかに詠み上げる。 ●収録作品より 神様にお願いをするマグミット 仙骨の地下鉄走る練り辛子 アレジオン恋人繋ぎ止めました 夕焼けのドグマチールの明日は晴れ 水無月のオレの味方はワークマン -
横須賀ヘアカット・ダイアリー ―奇跡の美容院でさよならを―
【3つの条件がそろった時、その美容院には大切な“あの人”が訪れる――。】表参道の一流サロンで落ちこぼれ、実家・横須賀の美容院『ビューティーオギ』に戻ってきた荻山桃治。想いを寄せる幼馴染のネイリスト・響とともに店の立て直しに奮闘する桃治だったが、実はこの美容院には「“3つの条件”がそろうと、亡くなった人ともう一度だけ会える」という秘密の力があることが分かる。その力にはどうやら、はるか昔に運命を引き裂かれた男女の恋が関わっているようで・・・!? 「あたしが幸せだったって、ちゃんと覚えていて――。」 舞台は横須賀。奇跡の再会に涙する、あったか再生物語! -
毎天町中華 谷中暮らしの二人
心身を壊し勤めていた会社を辞めた青年・千秋は、祖父がかつて谷中で営んでいた中華料理屋「春夏冬軒」跡を間借りし移り住んだものの、生きる気力が湧かず、食べ物を義務的に口に押し込むだけの日々が続いていた。ある雨の夜、傷だらけの怪しい男・小虎が現れ、料理をするかわりに泊めて欲しいと頼み込んでくる。彼が作る炒飯は、千秋が幼い頃に「春夏冬軒」で食べた思い出の味そのものだった。「おいしい」という感情を取り戻した千秋は、小虎を雇い入れ、ふたりでかつての「春夏冬軒」のような町中華を始めるべく奮闘するが!? 居場所探しも生きる意味も、まずはお腹いっぱいになってから。巨大食品会社の子息×野良中華料理人青年が東京下町で繰り広げる、おいしくてちょっとほろ苦い口福人情譚。 -
幽世までの寄り道 介護施設・灯影庵の謎日誌
どんな姿になっても、もう一度あなたに逢いたい―― あの世へ行く前に叶えたい願いが、灯影庵でいくつもの奇跡を起こす! (あらすじ) 湘南海岸近くに立つ高齢者介護施設「灯影庵(ほかげあん)」。元は病院だったこの施設では、不可思議な出来事が起こる。 施設に現れる座敷童の正体とは? 誰がバスを運転しても、送迎対象ではない特定の家に毎回停車してしまうのはなぜか。 突如、施設の各所から見つかった現金に隠された秘話とは。 強い霊感を持つ介護士・嶺玉(れいぎょく)やよひは、灯影庵の人々に寄り添いながら、数々の謎を解き明かしていく。 5回泣ける! 切なくも温かな連作ミステリー。 (目次) 第一話 座敷童の面会訪問 第二話 常世の手前で、もう一度ありがとう 第三話 まだ、ここにいる 第四話 今日もどこかで札が鳴る 第五話 たどり着けなかった春の下で 【著者について】 亀野・仁(かめの・じん) 1973年、兵庫県西宮市生まれ。1991年に渡米し、大学進学。卒業後も米国に留まり、NYにて映画助監督やCM海外撮影コーディネーター/プロデューサーとして約10年間活動。帰国後は映像制作会社、大手広告代理店勤務を経て、広告映像制作会社を仲間と共同設立、同社取締役。第19回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリを受賞し、『暗黒自治区』で2021年にデビュー。他の著書に『密漁海域 1991根室中間線』『地面師たちの戦争 帯広強奪戦線』(以上、宝島社文庫)、『ブリザード・フラワー』『下請スパイの焦燥』(ハルキ文庫)がある。 -
小説 だぁれかさんとアソぼ?
2026年7月24日公開の映画「だぁれかさんとアソぼ?」公式ノベライズ! 監督を務めるのは、「呪怨」シリーズで日本人監督の実写作品として初めて全米興行成績No.1を獲得し、近作に『犬鳴村』に始まる《恐怖の村》シリーズ3部作(20~22)や、『ミンナのウタ』(23)、『あのコはだぁれ?』(24)などを手掛けたJホラー界の巨匠・清水崇監督の最新作。 本作は、若者の間で密かに流行る、 “絶対にやってはいけない遊び” が実行された事がきっかけで、学生達が次々に怪異へと巻き込まれていく学園ホラー。主人公である学校に招聘される心理カウンセラー・平瀬小春役を演じるのは、いま最も勢いのあるアイドルグループ・FRUITS ZIPPERで活躍中の鎮西寿々歌。映画単独初主演にしてホラー初挑戦となるが、これまでの明るいイメージを封印し、怪異に巻き込まれる難役を務める。 【著者について】 佐野晶(さの・あきら) 東京都生まれ。会社勤務を経て映画ライター。『そして父になる』『怪物』『Cloud クラウド』(すべて宝島社文庫)、『侍タイムスリッパー』(KADOKAWA)ほか多数ノベライズ作品を手がける。2019年『ゴーストアンドポリスGAP』(文庫化にあたり『ゴースト・ポリス』に改題)で警察小説大賞を受賞し、小説家デビュー。他の著書に『毒警官』(以上、小学館)などがある。 清水崇(しみず・たかし) 1998年に関西テレビ「学校の怪談G」で商業デビューする。その後、ビデオ版「呪怨」(99)、「呪怨2」(00)を製作。同シリーズは03年に改めて、劇場映画版「呪怨」「呪怨2」が製作された。04年にはハリウッドリメイク版「THE JUON 呪怨」の監督を務め、北米で興行収入1億ドルを突破する大ヒットを記録。日本人監督として初の全米興行成績1位を獲得する。その他の監督作に、「樹海村」(20)、「ホムンクルス」(21)、「牛首村」(22)、「忌怪島/きかいじま」(23)、「ミンナのウタ」(23)、「あのコはだぁれ?」(24)、「口に関するアンケート」(26)ほか多数。近年は国内外でプロデューサーも務め、「バイオハザード ヴェンデッタ」(17)などを手掛けるなど活躍している。 角田ルミ(かくた・るみ) 演劇ユニット角角ストロガのフを主宰し、舞台の脚本・演出を手掛ける。映像脚本は映画『ミンナのウタ』 『あのコはだぁれ?』、『みなに幸あれ』『純平、考え直せ』など多数手がける。 -
P+D BOOKS 睡蓮の午後
辻邦生がコクトーなどの小品をパロディ化。 ――私が文章という形式を〈水面〉のように光らせようと考えたのも、小説を、現実の重みから解放し、自由な想像力に従わせたいと思ったからでした。小説はそのほうがはるかに面白くなりうるからです。 この十二篇は、いわばその最初の意識化された試みです。その作品の模作の仕方は一つ一つ異っています。また作品の基本のムードも多様であるように努めました。(あとがきより)―― ピカソがヴェラスケスの絵画をもとにユニークな一作を残したように、トーマス・マン、ジャン・コクトー、シュトルム、ブシォールなどの小品12篇を、辻邦生が自由な発想で書き換えた実験的作品。 元になった作品が邦訳されていないものもあり、作者のオリジナル短篇集として楽しめる佳作。 -
因果応報の怖い話
人に裁かれずとも神仏や霊は見逃さない! 罰当たりな者、悪事を犯した者に下される恐ろしき報いと祟り…。 古い神社の残る建設現場で工事を強行した結果は…「潰してしまえ」(営業のK) あるママ友が大事にしていた奇妙な石を盗んだ報いとは…「鱗石」(神沼三平太) 理科の授業で顕微鏡を覗いた瞬間に嫌な汗が滲むような違和感が…「顕微鏡」(クダマツヒロシ) 町内でとんでもない迷惑行為を働いてきた男が祭りの最中にふっと消えて…「お祭り男」(つくね乱蔵) バブルの時代に付き合った理想の彼氏は恐ろしい本性を現すようになり…「バブルのバブル」(松本エムザ) 姑に悩むる隣家の嫁が通う神社。社殿には猿の姿で描かれた菩薩や如来が…「猿の曼荼羅」(しのはら史絵) パワハラで心身を病み死んだ妹。勤めていた洋菓子店を調べ始めた兄は…「無炎燃焼」(橘 百花) クリーニング店にやってくる迷惑な客。視える同僚が用意したのはてるてる坊主で…「おまじない」(ねこや堂) 長年母子を蝕んできたろくでなしの父親がうける人生最期の報い…「地獄生き」(夜行列車) ほか、悪事に下される神仏の鉄槌!最恐怪異譚全27話収録。 -
東西線怪談
地下鉄東西線沿いの不思議な話・怖い話 中野から西船橋に至る街が舞台のご当地怪談集 都心のオフィス街・学生街を横断しながら、城東下町や東京ベイエリアを駆け抜ける東西線の街々に隠された怪異譚を、ゆかりある作家・怪談師・芸人が総力取材! ・怪奇!若い男性の●●を集めて回る怪人が終電に現れる「狂気の善意は極致の性癖」(中野) ・呪物コレクター宅で起きた不気味な現象とは「まなみ」(門前仲町) ・関係者が次々と早世する恐ろしいビルの秘密「二十三」(大手町) ・フェンスの穴から異界に迷いこむ異次元スポット「神社の迷い道」(西船橋) ・車窓から見えるマンションに棲む異形の姿「窓と窓」(浦安) ・霊道が部屋の中に…。某神社の参道前に立つ家の事情「ディス」(東陽町) ・某コンビニ前の壁際で目撃した小さな透明人間「誰も知らない隠された一族」(神楽坂・飯田橋) ・車道を歩く不自然な人影を見ると…「サイドミラーに映る」(南砂町) ・亡くなった常連客が現れる居酒屋「西葛西の取材② 確かにいた」(西葛西) ・異次元へと繋がる場所で起きた怪事「パラレルワールドの境界線、異次元公園」(早稲田) ・駅の雑踏にまぎれて歩き回る人形「人形はそこにいる」(飯田橋) ・江戸川へ釣りに訪れた折に目撃した、この世ならざる異形「ハゼ」(行徳) ・取材で訪れた店で次々と語られる体験談と店に存在する妖「スナック怪談」(茅場町) ・駅前の待ち合わせ場所に出る血みどろの死霊「ロータリー」(高田馬場) ・共著者の実体験!居住すると次々とコンビが解散する厭な芸人シェアハウスに潜むものとは…「住んだら終わり芸死の家」(高田馬場) ――など全駅収録。 -
おん 土俗奇譚
その土地に古くから根ざす習俗や信仰。 それらにまつわる奇妙な話を蒐集した、土地・神・人の怪奇取材録! 北陸地方のある山の中腹に石造りの祠があり、●(おん)というものが祀られている。 ●(おん)には本来、漢字のような文字をあてるのだが、 その文字は人のために作られたものではなく、 「おん」と口にするのは許されていても、文字として記すのは禁忌とされていた。 人がその文字を軽々しく用いると、大きな禍いを呼び寄せる……と。 ――「●(おん)」より 日本各地に残る土着の信仰と風習。 そこには恐ろしい謂れや背景が隠されていることがある。 山や川、海や風に宿るモノ。神。人は禁忌をもってそれらと契約を交わし、共存する道を選んできた。 その均衡が崩れる時、禍々しき何かが起きる……。 吉凶を運ぶ二つの風。山林を伐採し風の流れを変えた代償は…「祝い風・悼み風」 手加減を知らぬ子供の神が祀られた神社。願いは必ず叶うのだが…「ツヅラサマ」 土地の主である蛇を殺した祟り…「十尺蛇」 厄を引き受け、やがて厄を操るようになった家筋の集落…「溜まるところ」 土の下から迎えにくるモノ。見たものは強烈な喉の渇きを訴え…「土巫子」 他、24話収録。 -
永遠と横道世之介
横道世之介39歳、この一年もきっと愛しい 『国宝』をはじめ、数々の名作を世に送り出してきた著者による、もう一つの代表作「横道世之介」シリーズの三作目。 39歳になった横道世之介は、カメラマンとして生計を立てている。 世之介が暮らす「ドーミー吉祥寺の南」には、元芸者の祖母が始めた下宿を切り盛りするあけみちゃん、最古参の住人である元芸人の営業マン・礼二さん、書店員の大福さんに、大学生の谷尻くんが暮らしている。ゆるやかで、ありふれた毎日の中に突如現れたのが、世之介の知り合いのベテラン教師・ムーさんの引きこもりの息子、一歩。 個性豊かな住人たちと騒がしく暮らす日々には、見逃してしまいそうなほどに何気ないきらめきが満ちている。季節は少しずつ移り、世之介は最愛の人を思い出す。 カメラマンになっても、39歳になっても、世之介は、やっぱり世之介だ。 誰の人生にもあたたかな光を灯す、永遠の傑作。 (本書からお読みいただいてもお楽しみいただけます。) 単行本 2023年5月 毎日新聞出版刊 文庫版 2026年6月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
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