生前の浦賀和宏作品を知っている人ならこう思うだろう
「追悼 浦賀和宏」さえも浦賀和宏いつもの悪仕掛けだなと
それにしても本を開くと、これまでの作品以上に念の入った、リアリティのある導入。
浦賀和弘は本書上梓後死んだという母親による前書き。物語の内容は置いておくが、後書きもただの後書きではなく仕掛けが
...続きを読むある。
そんな、なんと呼んだらいいのか見当もつかない仕掛けをのこして、浦賀和宏は作品の通りに上梓後死んだという。
まだ40代くらいのはずだ。
偶然死んだというのか。
自分が作中で死ぬ本を書いて、「皆様ご存知の通り浦賀和宏はこの本を上梓して間も無く他界しました」と母親が語る。それが偶然だというのか。
こんなミステリー作家がかつていたのか。
信じられない。
俺にはその死は、心のどこかで浦賀和宏が仕掛けた最大の悪仕掛けのような気がしている。浦賀和宏なら、やりかねない。死去の報道やニュースを巻き込んだトリック。浦賀和宏なら、不思議じゃない。
そんな作家の、そんな作品だ。