無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
※期間限定無料版、予約作品はカートに入りません
Posted by ブクログ
私の中では『ユダの窓』と本作品がリーガル・ミステリの双璧。
長めの助走を経て、物語は一気に加速する。中盤にサスペンス色を際立たせた、リーガル・ストーリーの挟み撃ち。この構成は素晴らしく、どうやっても抗うことのできない吸引力となって、読者を確実に支配する。サスペンスフルな展開の中にも、リーガル・ミステリとしてのテリトリーをキープしているので、全体のトーンは統一されている。
保釈保証人や調査員、検事である元妻や囚人など、脇役が次々と事件に絡んでくるストーリーもいい。その辺りに無駄な動きは一切なく、また過剰にキャラを利用して話を歪めるという欲深さもない。
刑事弁護士という主人公の立場は、いろんな局面でクローズ・アップされる。小さな手掛かりから繋がる謎の連鎖は読者を驚愕させ、主人公を苦境に立たせる。法廷シーンだけがリーガル・ミステリではないことを実感させられるだろう。弁護士という職業を逆手にとり、弱点を物語の根幹に据えた作者の手腕には脱帽するしかない。 続編を所望する読者も多いのでは?
マシュー・マコノヒー主演で映画化されるそうだが、彼は若干あくどさに欠ける。『エンゼル・ハート』の頃のミックー・ロークが私のイメージに近いかも。
Posted by ブクログ
人気作家マイクル・コナリーの新シリーズの第一作。
正直言って上巻はそれほど面白いとも思わず読んでいたが、後半一気に緊迫感が増し、最後はどう決着をつけるのだろうかとハラハラする。
(法廷ミステリはそもそも法廷が山場の一つなのでそうなりがちだが)
「リンカーン弁護士」というタイトルもいい。最初は札束を唸らせている羽振りのいい弁護士の話かと思いきや、事務所を借りずリンカーンで東奔西走して小銭をかき集めている弁護士の話である。
この後シリーズ化するのも納得の作品で、元々のヒットシリーズと共演する作品もあるそうだ。まずは一番初めの「ナイトホークス」を読んでみようと思う。
Posted by ブクログ
リンカーン弁護士シリーズの三作目。上下巻にもかかわらず読みやすい上に面白く、今回は、ミッキー・ハラーとボッシュ刑事の競演とあってなじみもあり、すぐに読み終わった。
コナリーの大好評であるシリーズとして、それぞれが主人公で活躍している、その二人がタッグを組む事だけでもわくわくする。
ミッキー・ハラーよりもボッシュ刑事シリーズが多く書かれているそうだが、ハラーのほうから入ると、やはり法廷シーンの緊張感が嬉しかった。
24年前の少女強姦殺人事件の犯人は、無実を訴え続けている。DNA判定が進歩して、証拠になった妹のワンピースの裾についていた精液が犯人のものと違っていることが判明した。
「判決破棄」差し戻しの裁判が始まる。
不名誉な事件で、検察側はミッキー・ハラーに検事長から特別検察官の要請がある。ハラーは反対の席に座ることを受け入れて、証拠の確認と、当時の証人を探すことを調査員で招聘したボッシュに依頼する。ここで断ったら話にならない(笑)
無罪を訴える犯人は意気揚々、一時の釈放時間を満喫しながらスター気取りで、マスコミの前に姿を見せる。
犯人の意味の解らない行動に振り回されながら、当時事件を目撃した姉を探す調査員のボッシュ刑事。
その姉は、一時麻薬におぼれ住居も転々としていた。
裁判が開かれる、やり手だと評判の高い犯人側の弁護士は、24年前の証拠不十分を基にがっちりと論陣をはる。
ハリーは、ボッシュとともに元妻の検事と証拠崩しをはかる。
緊張感溢れる法廷場面は飛び切り面白い。
柔な推理小説の面白さにかまけて、こういうエンタメを忘れていた。マイケル・コナリーはこう来たか。
登場人物が絡みに絡んで、いやみな犯人側の弁護士、娘のいるハリーとボッシュの家を窺っているかのような犯人の行動、既に恋人がいる元妻。目撃者の姉の結婚相手が弁護士側の証人として出廷し姉の証言を否定する。姉と殺された妹の義父は二人に性的な暴行を加えていたらしい。
これらの話が縺れながら、最後の法廷に持ち込まれる。
ちょっとやりきれなさが残る場面で終わるが、これもいいとしよう。
Posted by ブクログ
2012年の今年、見た洋画で、原作を読んでみたいと思ったのは「裏切りのサーカス」(ジョン・ル・カレ「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」)と、これ。映画版はマシュー・マコノヒー主演で、ブラッド・ファーマン監督がメガホンを執った。マコノヒーにとっては久々の当たり役になった。
エドガー賞処女長編賞受賞作家のマイクル・コナリーによるベストセラー。主人公は裁判に勝つためなら、手段を選ばないLAのスゴ腕弁護士ミック・ハラー。かつて弁護した黒人を運転手に使って、高級車リンカーンの後部座席をオフィス代わりにしている。顧客はチンピラ。検察側との取引によって、刑を軽減させるのが主な仕事だ。
そんなちょい悪のミックが、大金目当てで暴力事件の弁護を引き受ける。最初は簡単な仕事と思えたが、依頼人のルイスには4年前にミックが担当した別の殺人事件の真犯人ではないかとの疑惑が浮上。そんな時、ミックが依頼していた調査員が殺される…というのが上巻までの筋立て。
小説版はミックの一人称で進んでいくが、ほぼ原作通りの展開。つまり、小説は映像的にも優れているということだろう。
Posted by ブクログ
リーガル・サスペンスは法曹界に身を置く人により副業として書かれ、それが成功に結び付けば作家業として転身、というパターンが多いように思う。だからこそ、業界に身を置かぬが既にプロである犯罪小説作家が、このジャンルに手を付けるというのは、対本職という意味でのハンディを負っており、それゆえに相応の決意と準備とが必要とされるものだと思う。
アメリカン・クライム・ノヴェルの現役頂点に立つ作家と言って過言ではないコナリーでさえ、本書の執筆に5年を費やしたそうである(ボッシュものだと通常執筆にかける時間は2年)。法曹界もののスリラーが、作家にとっての新ジャンルとは言え、質の高い創作が常に求められる頂点の作家であればこそ、かくも慎重なる5年であったことだろう。この作品の、どのページからもそうした並々ならぬ創作側の苦労と決意が滲み出ている気がする。
これまで、なぜ誰も書かなかったのだろうと思われるのが、まず表題ともなっているリンカーン弁護士のような存在である。事務所を持たず超零細経営で、裁判所から裁判所へと渡り歩き、ケチな報酬をちびちび稼ぐという、何だか夢のないリアリズムいっぱいの商売に従事する弁護士のことであるらしい。
我らが主人公ミッキー・ハラーはどうであろうか。事務所はリンカーンの後部座席、保釈を勝ち取ってやった犯罪者を報酬の支払い一部として運転手として用立て、広告に記載されている連絡先は、元妻兼マネージャーの住居の電話を当てがっている有り様だ。
ミッキーは、依頼人としてとうとう金の成る木を掴まえる。不動産女王からの依頼により、息子を暴行事件の容疑から逃れさせて欲しいというケースである。有能な調査員とのコンビにより調査が進むにつれ、事件は、過去にミッキーが弁護を手がけたある裁判に結び付く。
過去の自らの判断への懐疑が産む、罪悪感にプラスして、なけなしの正義感。別れた妻二人と残された娘の命を危険に曝しながら、捜査線上に浮かび上がる邪悪なものへの脅威が徐々に増してゆく。
LAの迷路のような世界、煮立った鍋の底のような世界を、職業と生命を賭けて切り抜けようと足掻く壮年弁護士のサスペンスに仕上がったこの一作。
コナリーはまたも新たなアンチヒーロー像を作り上げたのである。彼の行手には、完璧なサスペンスを楽しめる複雑な迷宮。次回作も既に上梓されているそうで、そこではボッシュとの競演が見られるらしい。これまた実に楽しみな話である。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。