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タイム・アフター・タイム
解像度の高い人物たちと情景描写に惹き込まれ、 どんなに遠くてもなお鮮やかな恋の記憶が立ち上る。 ――松任谷由実(シンガーソングライター) こんなに泣いたら、きっと人生が変わってしまう。そんな恐怖とともに読み終えました。 ――金原ひとみ(作家) 『国宝』の著者、待望の最新作にして、 作家デビュー30周年記念作品! 眩しい夏の初恋と、二十年後の再会―― あの日、二人は何を守り、何を手放したのか? 純粋なものに向き合ってみたいと思った。 眩しいくらい純粋なものに向き合った時、自分の心がまだちゃんと動くのか確かめてみたかった。 『タイム・アフター・タイム』は私なりの純粋なものをたくさん詰め込んだ小説です。 ――吉田修一 「取り返しのつかない間違いをした。 でも、大切な人のそばからは離れなかった」 建設会社に勤める尾崎颯は、土砂降りの雨のなか、高校の同級生だった久遠愛と再会する。二人は同じプロジェクトの担当者として再び言葉を交わすようになるが、建築家のデザイン盗用疑惑によって計画は暗転。さらに尾崎の家庭にはスキャンダルが迫り、久遠もまた、癒えない心の傷を抱えていた。 揺れ始める心はやがて、二十年数前の夏へと引き戻されていく。 青く輝く海と空に歓喜したあの頃と、眩しさを見つめ返せない今――東京と長崎、現在と過去を往還しながら、痛みも後悔も優しさも、すべてを抱きしめてあたためる長編大作。 -
春かずら
父の仇を十二年間追う侍と、仇の息子。 交わらないはずの二人を繋ぐのは、“侍”の矜持。 直木賞作家が初めて挑んだ、武家小説。 仇討ちとは、いったい何なのだ――。 十二年前に父が殺され、以来、仇討のために諸国を巡る清史郎。しかし、仇の手掛かりは見つからない。病死した母の弔いに故郷・安良藩に戻った清史郎は、ある少年を助け、彼に剣の手ほどきをすることに。しかしその少年・隼人は、仇の息子だった。出会うべきではなかったと思いつつ、見限ることのできない感情のもつれ。仇の行方、そして藩内政治――。清史郎が最後に下した決断とは。 江戸時代を生きる「人」を描いた、傑作ドラマ。 -
工房の季節
何度も作り直せばいい。器を焼くことは、心に明かりを灯すようなもの。 テレビ局の放送作家の仕事を突然辞めるはめになった30歳のジョンミンは、何ヵ月も抜け殻のようになり家に引きこもっていた。 ある日久しぶりに外に出て、歩いているうち、彼女はカフェと間違えて陶芸工房の扉を開ける。突然現れたジョンミンに、工房の主ジョヒは珈琲をふるまう。コーヒーのおいしさのわけは器にある、自分で作ってみない? というジョヒの誘いを受け、ジョンミンは陶芸教室に通い始める。 土の匂い、手を動かしてものを作る喜び、人懐こい猫、年代も悩みもさまざまな仲間たち。自分に向き合い、人生を見つけていくということ……。工房を舞台に繰り広げられる癒しと希望の物語。 手を動かすこと食べること。それが、力をくれる。 -
エステルの手紙教室
《みなさんの感情や意見には一切口出ししません。手紙の書き方、つまり文章の書き方を教えるのがわたしの役割です》北フランスのリールで書店を営むエステルは、亡くなった父を偲んで手紙教室を開くことにした。参加者を募る新聞広告を出すと、5人から応募があった。孤独な老婦人、重度の産後うつに苦しむ夫婦、仕事にやりがいを見いだせないビジネスマン、そして進路に悩む青年。性別も年齢も異なる参加者とエステルは、手紙のやりとりを通して新しい言葉との出会いに飛び込んでゆく。言葉の力を賛美した小説。"Le Prix Du Roman Qui Fait Du Bien"(癒やしの小説賞)を受賞。 -
東京駅の建築家 辰野金吾伝
東京駅を作った人!―― 唐津藩の下級武士・辰野金吾は上京し、英国に留学。日本銀行や東京駅を手がけて、近代日本の魂をも作った! 見事な人間讃歌、書下ろし特別作品。 ● わが国近代建築のなかで、東京駅はおそらく最も多く小説に取り上げられてきたものであろう。とくに私の記憶に残っているのが、江戸川乱歩『怪人二十面相』である。 怪盗が帝都に跳梁する状況下、待ちに待った名探偵明智小五郎が帰朝し、颯爽と東京駅に降り立つ。この名探偵を外務省の役人に変装した二十面相がプラットホームで出迎え、二人はステーションホテルの一室で対決する。 「この駅はあたかも光線を放射する太陽のようなものだ。あらゆるものの中心となって、ここから光を四方八方に放ってほしい」と、開業の祝賀式で時の首相大隈重信が述べた言葉は、まさに以後の東京駅と近代日本の行く末を言い当てることになった。――(あとがき) -
南海王国記
史上初、台湾侵攻!歴史小説の巨人、最新刊! 国境を脅かす騎馬民族の大軍を何度も退け、明王朝を堅守し続けた名将・袁崇煥(えんすうかん)が、私欲にまみれた宦官たちの讒言によって処刑された。明朝の終わりの始まりだった。若き崇禎帝(すうていてい)は人民の困窮などには目を向けず、自らの独裁君主権を脅かされることばかりを恐れた。ほどなく、李自成(りじせい)の反乱によって明は滅亡した。 その年、20歳を迎えた青年がいた。青年は、漢土の沿海で最も恐れられた海賊の子だった。幼い頃から聡明だったその青年は科挙の生員(受験資格者)となり、南京の太学で儒学を修めた。青年の名を、鄭成功(ていせいこう)といった。 明王朝が倒れ、満州の騎馬民族が国号を清とあらため漢土を席巻、明の旧臣らが続々と清に寝返っていく中で、「抗清復明」を高らかに掲げて青年は国を作った。 台湾島に建てられたその国は、わずか22年の間だけ幻のように耀いた。 (底本 2025年7月発売作品) -
1フランの月
【ご注意】※この電子書籍は紙の本のイメージで作成されており、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 安西水丸、幻の未発表小説を初めて書籍化。 ニューヨークからパリ、リスボン、マドリード、ローマへ。イラストレーターである主人公のモノローグと日本にいる恋人への手紙、そして現地でのさまざまな出会い……。これまで日の目をみることのなかった幻の小説「1フランの月」(未完)を没後10年となる2024年春に初めて書籍化。「旅」をテーマにした未刊行エッセイ、イラスト、スケッチなどを加え、懐かしくも新しい、イラストレーター/作家・安西水丸の世界をこの一冊に凝縮。 ※この作品はカラーが含まれます。 (底本 2024年2月発売作品) -
【合本版】老舗酒蔵のまかないさん
人に慕われる青年・響の酒蔵は、三百年続いた老舗。だが数々の難題が。目下、重要な収入源である梅酒の仕込みが人手不足だ。 そこに現れたのが、世慣れない乙女・三葉だった。響の役に立とうと、一途に勤める彼女は周囲に認められ、まかないも担うことに。 ふわふわ玉子焼き、採れたてトマトの胡麻酢和え、五目いなり。三葉の絶品料理と前向きな言葉の”おまじない”は、響や杜氏の背中を押す。信頼を培っていく二人だが、三葉には不可思議な点がーー? そんな中、響と三葉が挑んだ花火大会での販売が転機になり…!? ※本作品は『老舗酒蔵のまかないさん』シリーズ全3巻を収録しています。 ※本商品は1冊に全巻を収録した合本形式での配信となります。あらかじめご了承ください。 -
アガタ
『脳男』にも挑んだ超個性的ヒロイン! 被害者の思いがけない接点に隠された謎! 立て続けに起きた殺人事件の被害者となった 若い女性たちは片目を抉りとられていた――。 殺人者はなぜそんな残酷な犯行に及んだのか? 事件に動揺したレイチェルが姿を消した理由とは? 感情は厄介、数学は完璧。 若い女性がサバイバルナイフで刺され、顔を激しく傷つけられたうえに片目を抉りとられるという異様な殺人事件が立て続けに発生した。捜査本部で被害者の接点を探る青木一は何か助言を得ようと鵜飼縣とともに元精神科医のレイチェルの部屋に集まって事件の概要を説明したところ、レイチェルが異常なほどに動揺し、ワイングラスを取り落としてしまう。その時に漏らした言葉が気になってしかたがない縣は、彼女がかつて行った犯罪者の精神鑑定のカルテを調べるよう桜端道に指示して、十年数前に鑑定した凶悪犯が来日していることを突き止めるも、第三の事件の発生とともにレイチェルの失踪を知らされる……。 -
アフターブルー
選考委員瞠目! 第19回小説現代長編新人賞受賞作 今村翔吾さん「執念の如き力を感じた」 塩田武士さん「朝宮さんの『業』に、私は期待している」 中島京子さん「チャレンジングな作品」 凪良ゆうさん「著者にしか書けない光と闇」 宮内悠介さん「シンプルに心を動かされた」 薬丸岳さん「一番に推した」 5人の納棺師たちは全力を尽くす。遺された人々が、最後に顔を見てお別れを言えるように。 「どんなに考えても、探しても、人が死んだ理由なんて絶対に見つからないんだよ」 納棺師、遺品整理士、生花装飾技能士……葬儀関係のプロ集団「株式会社C・F・C」。 とりわけ損傷の激しい遺体を専門に扱う「二課」は、無残な状態から生前の面影を復元するのがミッション。 事故、事件、自殺ーー二課には毎日のように遺体が運ばれてくる。入学式を明日に控え線路に正座していた少年、ゴミ屋敷で餓死した男性、幼い我が子を残して事故に遭った母親、飛び降りる瞬間を動画配信していた少女ーー 二課の納棺師たちはその手で、失われた生前のおもかげを復元していく。 愛する人が突然この世を去った時、どうすれば立ち上がれるのか。あの人はなぜ命を絶ったのか。遺された者はどう生きればいいのか。 それぞれに「喪失」を抱えた納棺師たちもまた、明日を生きる微かな光を見出していく。 -
魔城の林檎
禁断の果実が、親友を消した。 幼い頃からの親友を追って大手美容会社マルムに就職した神楽七星。しかし彼女は二週間前に退社扱いとなり姿を消していた。「彼女は死んじゃいない。私は絶対に諦めない」。七星は親友を見つけるため、彼女が恋をしていた人物を捜す。しかし見えてきたのは予想外の真実だった。特別な林檎を使った化粧品で業界のスターダムに躍り出たマルムの、絶対に外に知られてはならない黒い秘密。やがて七星は日本中を震撼させるような暗い渦に巻き込まれていく。 「ビストロ三軒亭」「神楽坂つきみ茶屋」などのシリーズを手掛けてきた著者初の単行本。 斎藤千輪は、シスターフッドも絶品! -
イクサヒメ 明治横浜甲冑剣劇
第18回角川春樹小説賞受賞受賞作 エンターテインメントとしての盛り上がりも充分で、女主人公の設定などに目新しさもあった――北方謙三 歴史上の人物をからめて、よくこれだけの物語を構築させたと感心した。格闘シーンの描写は特に秀逸――今野敏 完成度が高い。自分の作品と一番傾向が似ている――今村翔吾 登場する武闘家たちの超人像が面白い――角川春樹 私が貴方の刃となる 幼く気高き少年を守る、新時代のヴァルキリー、誕生! 明治を迎えた日本。その横浜で興隆を極める英国屈指の貿易商・フェアファクスが、彼が日本人女性に産ませた子・禄郎を己の後継者に指名して、半年前に病死した。ただし、ひとつだけ条件を付けて――。 一方、会津・娘子隊の生き残り、中野竹子は死にそびれた身を呪いながら、己の天稟である薙刀の才をどこかで活かせないかと、新時代を見苦しくもがいていた。 そんな禄郎と竹子が、会津の仇・板垣退助を通じて出会った時、運命の歯車が回り始める――! フェアファクスが課した条件・後継者の座を賭けた決闘、甲冑撃剣。それぞれの後継者候補は、名代を立てて戦うことが認められている。竹子は禄郎の刃として、英国・日本の思惑に翻弄されながらも、幼き主君の気高き願いを叶えるため、戦い抜く! -
獣走
「ねえねえ!いま獣走っていうスポーツにハマってるんだ」 ごく普通の会社員である高木サニーは、ランニング中にふと坂に手をついたことで四足歩行に興味を持っていた。 そんななか、ジムで不思議なトレーニングをする男から、四足で行う6人組のスポーツ「獣走」の存在を聞かされ、まだルールも固まっていないその競技に参加することに。 仲間内だけで楽しんでいたが、あるきっかけで知名度が一気に上がってしまう。プレイヤーがブラックルーツであることやその競技スタイルからくる偏見に晒されながらも、競技人口は激増、とうとう公式戦の開催も決まった。 「ルール」の策定に迫られたサニーたちは、次第に「スポーツの本当の面白さ」を問い始める。 芥川賞作家・安堂ホセが初めて挑んだ「エンタメ小説」であり、新境地となる受賞後第一作。 -
文化人類学者の違和感だらけの日常
肉食文化が生んだ「ヘルシー」の概念、モンゴルのゲル居住区から生まれるラップ、博物館に寄贈された「アフリカの床屋」の謎……。 国立民族学博物館で働き、モンゴルを中心にフィールドワークを行う文化人類学者が、自身の違和感と感動に満ちた日々を綴る。 「フィールドワークは、そんな感動と違和感の間で揺れ動きながら、他者を理解していく仕事だといっていい。本書は、そんなフィールドワークを通じて私が体感した「感動と違和感」をもとに考えたエッセイを集めたものだ。(中略)文化人類学は、フィールドワークという旅と偶然性に支えられた学問である。フィールドワークを通じてさまざまな人と出で逢あう。出逢いの中で事件が起こり、感動したり違和感を覚えたりする。そんな中で他者の価値観と自分の価値観がぶつかりあい、精神が攪拌されていく。そうした経験が、考察につながっていく。」(「はじめに」より) -
57歳のメタルランド
「俺たちは、まだ終わってない――」窓際サラリーマン×落ち武者ロッカー×左遷エリート×夢破れた北欧留学生。 どん底から這い上がった男たちが、ヘビーメタルで世界を揺らす痛快&熱血のリベンジ・ロック! 江夏悟志、57歳。かつては本社のエリートだったが、卑劣な部下・五十嵐に手柄を奪われ、子会社の総務部へ追放されて8年。家族との溝も深まり、死んだ魚のような目で「抜け殻」のように生きる日々を送っていた。 そんなある夜、新宿の裏通りで35年ぶりに大学時代のバンド仲間・ジャッキーと再会する。髪が薄くなってもメタル魂を燃やし続けるジャッキーに強引にベースを持たされ、江夏の凍りついた心がかすかに動き出す。さらに、五十嵐の罠にはめられた30歳のエリート・脇田をボーカルに、夢破れたフィンランド人タウノをドラムに迎え、平均年齢43歳の異色メタルバンド「メタルランド」が結成される! メタリカ、アイアンメイデン、モトリー・クルー、AC/DC、ジューダス・プリースト、ガンズ・アンド・ローゼズ、オジー・オズボーン、クイーン、スパークス、スコーピオンズ、ジャーニー……往年のヘビーメタルやハードロックの名曲たちを章のタイトルに、夢を諦めたすべての大人たちに贈る、痛快で胸が熱くなるリベンジ・ロックエンターテインメント! 第1部:REUNION(再結集) セッション1:Fade to Black ~色褪せた日常~ セッション2:The Trooper ~戦士たちの再会~ セッション3:Shout at the Devil ~新しい上司~ セッション4:Thunderstruck ~雷鳴~ 第2部:REVOLUTION(革命) セッション5:Breaking the Law ~規則破り~ セッション6:Welcome to the Jungle ~戦場へ~ セッション7:Crazy Train~暴走列車~ セッション8:Master of Puppets ~操り人形の逆襲~ セッション9:I Want to Break Free ~総力戦~ セッション10:The Calm Before the Storm~前夜~ 第3部:METAMORPHOSIS(変容) セッション11:Painkiller ~23分間の真実~ セッション12:Highway to Hell ~それぞれの道~ セッション13:Winds of Change ~変化の風~ セッション14:Don't Stop Believin' ~ピックの音~ -
ヒトならざる、ケモノ
エブリスタ×竹書房 Web小説コンテスト大賞受賞のクライムサスペンス! 「さて、始めましょうか。処刑の時間です」 切り落とされた人体の一部とともに届いた、生配信への招待状。 そして開宴する戦慄の「処刑部屋」。 熱血刑事が追うSNS参加型Web殺人事件、その奥に隠された驚愕の真相とは!? ある日、錦糸公園の噴水で発見された人間の両腕。 そこには動画サイトへ誘導する黒い招待状が添えられていた。 指定の21時、画面に現れたのは仮面を被った不気味な人物と、椅子に縛り付けられた両腕のない「被告人」。 仮面の男は「被告人」の性犯罪を暴くと、視聴者へ「有罪」か「無罪」かの判断を委ねる過激な生配信=「処刑部屋」を開始する。 その後も警察を嘲笑うかのように、事件は第二、第三の被害者を生み出し、凄惨な処刑とともに、犠牲者たちの醜悪な素顔が暴かれる。 捜査を進める刑事・有瀬光多は、一連の事件の陰に「葉田里乃」というすでに亡くなった一人の少女の存在と、彼女をめぐる男たちの異常な愛憎劇に辿り着く。 法で裁けぬ悪を討つ正義か、ただの凄惨な復讐か。 理性を捨てて《ケモノ》と化した犯人と、葛藤する刑事の執念が交錯する、ノンストップ・クライムサスペンス! 「私が裁く。人間を捨てた、本当の獣たちを――」 -
HOTEL NIGHTHAWKS
宿泊だけじゃなく、とんでもない依頼を受けることも……。 どんな難題(?)にも、スタッフ一同、誠心誠意対応させていただきます。 《東京バンドワゴン》《花見小路》などの人気シリーズで知られる著者の愛新作は、北海道〈すすきの〉の老舗ホテルが舞台! 北海道札幌市の歓楽街〈すすきの〉にある老舗ホテル[ホテル・ナイトホークス]。滞在客の中には、いろんな事情を抱えた人たちがくることもある。ホテルのオーナーは、そんな人たち(ときには猫たちも)のため、従業員たちとともに、様々な人脈を使い、時に警察や法律に頼ることが出来ないことでも、解決していく。 開拓期の旅館にルーツを持つ、ミステリアスな老舗ホテルを舞台に、〈東京バンドワゴン〉シリーズなどで人気の著者が描く痛快小説。 Prologe 僕が〈HOTEL NIGHTHAWKS〉に就職することになったきっかけ 1 〈HOTEL NIGHTHAWKS〉新人ホテルマンの僕にできること 2 逃げてきたお客様にできること 3 みことさんが〈HOTEL NIGHTHAWKS〉をやり続ける理由 4 逃げて戻った花嫁の事情 5 ホテル暮らしをする女性の事情 6 夢とか希望とかのためにできること 7 生き続けるために逃げる女性の事情 8 ピアニストと猫の行方 9 猫とピアニストとヤクザの事情 10 三時間で全てを終わらせて全てが始まるように 11 その日にむけての、諸々の事情確認 12 〈HOTEL NIGHTHAWKS〉へようこそ -
定年物語(上下合本)
正彦さんが定年を迎え、さてこれからは、一緒に旅行を……と期待していた二人。 しかし、折しも世の中はコロナで自粛中。 そんな中で、新たなフェーズに入った二人の生活は? 俳句、骨董と、趣味の道をきわめる正彦さんと、二次元コードに苦しめられたり、日々のちょっとした生活の変化を楽しんだりする陽子さんの日常を綴る。【上巻】 正彦さんの定年とともに陽子さんも時々感じることがある。 それは老い……。 書店で一番下の文庫を取ろうとしゃがみこんだら、なかなか立ち上がれなかったとき、インボイスの手続きに必要なQRコードを読み込めなかったとき……。 それでも人生は続く。 正彦さんと共に楽しく! 定年を迎えた二人の新たな生活を描く!【下巻】 -
森田繁子と腹あんばい
人手不足、マラソン事業、作物泥棒 その問題、 腹におさめちゃダメ! 農業に潜む、 ままならない問題を ズバっと解決いたします。 日本農業新聞で大反響 農業コンサルタント物語。 待望の第二弾。 【著者からのコメント】 謎に満ちた農業コンサルタント・森田繁子 カムバックです! 今回の問題は、 ひきこもり対策、地域イベントの問題解決、 果物泥棒退治。アルバイトの山田君を相棒に、 おいしいものを食べながら解決します。 この巻からでも楽しめるお得仕様です! \ご依頼案/ ・上司とうまくいかず地元に帰ってきた 孫の豊をひきこもりから解消してほしいと 祖母・澄江。コンサルと関係ないはずが、 地域活性化のカギが? ・北海道のあるマラソン大会。 改革を決めたスポーツ振興会の笠木だが、 おもてなしが裏目に。 地元の牧場とのトラブルが見え隠れして――。 ・「今日は盗られてないだろうか」丹精込めて つくったベリーが春から盗難にあい、 憂鬱な日々をおくる多喜子。 犯人を捕まえるって、容易じゃない! 腹に秘めていること、 全部吐き出しませんか? \森田繁子ってどんな人?/ ・森田アグリプランニング社長で 農業コンサルタント ・仕事は主に農営診断、 経営改革などのアドバイスなど ・身体は縦にも横にもでかく、50代、孫あり ・派手な出で立ちだがそれが彼女の戦闘着 ・趣味は志ある人に協力すること ・自分にも他人にも厳しい ・仕事も早いが食べるのも早い -
文豪は鬼子と綴る 参 島原編
舞台は博多から長崎・雲仙、いざ地獄のリゾートへ さる血筋の末裔として生きる小説家・香月蓮と 金髪の鬼子助手・瀬戸春彦。 出自の呪いを背負った運命のバディが、消える死体の謎を追う! 〈あらすじ〉 大正十年、夏。 出自に秘密を抱える小説家・香月蓮と中学生助手の春彦は、米国人記者から届いた怪しげな手紙に誘われ、外国人の避暑地・長崎は雲仙へと向かう。 道中で出会ったのは美しき英国人女性・アリスと、かつて日本で天主堂の建設に携わったという仏蘭西人宣教師・ロメオ翁。 異国情緒漂う美しいリゾート地で一行を待ち受けていたのは、「地獄の湯煙から大勢の悲鳴が響き渡り、死体が忽然と消える」という不気味な怪奇現象だった。 華やかな避暑地に隠された歴史と黒い思惑。 香月と春彦は、旅の仲間たちとともに、地獄に眠る哀しき謎に迫る――! 『香月先生の好奇心を刺激する事件が、今ここで起きています』 * 不意に、とある言葉が浮かび上がった。 「――『事実は小説よりも奇なり』」 小さく何度も香月が首を縦に振る。 確かにこの言葉ほど、この男に似合う言葉はないかもしれない。 「そうだ。私はこの言葉を最も好む。人の手によって紡がれる小説などよりも、 この世界の方がよほど奇妙だとは思わないか?」 「それは確かに」 認めざるを得ない。 「今回の旅もきっと不可思議なことが私たちを待っている。そんな予感がある」 ――(本文より) -
海月の骨
小説現代長編新人賞から鮮烈デビュー 注目の新鋭・待望の第二作! 損壊遺体を直す納棺師を描いた『アフターブルー』で読書界隈騒然 次なる舞台は「特殊遺品整理課」 看取られなかった人生に、最後に寄り添う人がいる――。 特殊清掃の最前線。 二人の遺品整理士は部屋を片づけ、「生きた証」を見届ける。 「部屋には、そこで生きた人の人生が詰まってる」 異臭を放つ孤独死の現場を清掃し、遺された物を処分する【特殊遺品整理課】。 床を覆う無数のゴミ、家族との写真、子どもの工作品、謝罪を綴ったノート、お揃いの食器――。 清掃が終われば、そこで生きた人の痕跡は一つ残らず消えてしまう。 現場を担う水生と鳴海は、遺された部屋を手掛かりに、誰にも看取られず逝った見知らぬ他人の人生を想像する。 なぜ孤独な最期を迎えたのか。 遺された品々は何を語るのか。 故人の生きた証と向き合う日々はやがて、傷を抱えた孤独な二人の「今」をも変えていく。 -
したう
父母も、社員も、犬も。 大切なひとを、慕う。 わたし、小玉小鉄は、 社長の息子と同じ日に生まれた柴犬だ。 その縁で、株式会社こだまの一員となった――。 本屋大賞発のベストセラー『ひと』からつながる感涙のドラマ わたしにとって大事なときに、そこにいてくれた人。 その人を、したう。 株式会社こだまは、主に塩化ビニル管をつくっている中小企業だ。社員数、24人。当然、皆が知り合いだ。社長は、2代目の小玉新一郎がつとめている。 わたしは、新一郎の息子優一郎と同じ日に生まれた。5月5日生まれ。偶然そのことを知った新一郎にもらわれてきた、柴犬だ。小鉄と命名されたわたしと優一郎は、こだまの社員に囲まれ、双子のように育った。 わたしを散歩に連れ出してくれるのは、小玉夫妻だけではなかった。事務仕事をこなす大江都子。若手オス社員の高桑雅永。やらされるわけではない。自らやってくれるのだ。 そんな彼らにも、悩みはあるようだ。仕事、子育て、恋……。そしてわたしにも、ある異変が訪れていた。 -
ハヤブサ消防団
【田園暮らしのミステリ作家vs美貌の歴史ミステリ作家】 ドラマ化&柴田錬三郎賞受賞の大ヒットミステリ、待望のシリーズ新作登場! ミステリ作家の三馬太郎が自然豊かな八百万町ハヤブサ地区に移り住んで数年。地元消防団の一員としても忙しい毎日を過ごすうち、とある文学賞にノミネート! 最大のライバル候補は、今をときめく美貌の歴史ミステリ作家・北原未南。だが、未南に不可解な疑惑が持ち上がる。 一方、八百万町では、ある若い女性が我が子を残して川から水死体で発見されていた。事件の真相を探るうち、太郎は町を揺るがす巨大な疑惑に巻き込まれて・・・・・・。 【集英社創業100周年記念作品】 ■著者プロフィール: 池井戸 潤(いけいど・じゅん) 作家。1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。98年『果つる底なき』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2010年『鉄の骨』で吉川英治文学新人賞、11年『下町ロケット』で直木賞、23年『ハヤブサ消防団』で柴田錬三郎賞を受賞。 主な作品に「半沢直樹」シリーズ(『オレたちバブル入行組』『ロスジェネの逆襲』『アルルカンと道化師』ほか)、「下町ロケット」シリーズ(『ガウディ計画』『ヤタガラス』ほか)、『シャイロックの子供たち』『空飛ぶタイヤ』『民王』『七つの会議』『陸王』『ノーサイド・ゲーム』『花咲舞が黙ってない』『アキラとあきら』『俺たちの箱根駅伝』『ブティック』がある。 -
すみません、今まで黙ってたんですけど…
2023年11月から始まった、フジテレビアナウンサー宮司愛海のPodcast『すみません、今まで黙ってたんですけど…』。同番組で配信された内容から、テーマ別に厳選したトークを収録。「私、偽りのネアカです」「イルミネーション、苦手」「ティッシュは3回使う派」など、アナウンサーらしからぬ(!?)“キラキラしていない素顔”と“こじらせた本音”が満載! 【内容】 ●巻頭カラー撮りおろし16ページ ●第1章 今まで黙ってた「アナウンサーのこと」 ●書き下ろしエッセイ 今まで黙ってた「結婚式のこと」 ●センターカラー16ページ ウェディングPHOTO、カバンの中身&お仕事グッズ大公開、『すみ黙』で話したアレお見せします! ●特別対談 宮司愛海×阿川佐和子 ●第2章 今まで黙ってた「自分のこと」 ●第3章 今まで黙ってた「家族のこと」 ●スペシャルトーク 妹と公開対談 -
ミサゴの守る町
再び迫りくる大水害。 100対10万―。 叫べ、祈れ、手を伸ばせ。絶対に、助けてくれるから。 『龍の守る町』続編。 「こちら、119番。火事ですか、救急ですか」ミサゴ(ルビ:魚鷹)が空を舞う瑞乃町。伝説の消防士・秋月龍朗(あきづき・たつろう)は五年前の大水害での後悔から、現場を離れることになった。辿り着いた指令室は声だけで命を繋ぐ場所。新たな仲間と業務に取り組み、子供たちの成長を見守る日々を過ごしていた。再び時間が動き出したように見えたある日、町の南方で線状降水帯が発生する。それは、五年前と全く同じ形をしていた―。 人は誰かのために再び立ち上がれる。未来へと命を繋ぐ、感涙のレスキュー・ヒューマンドラマ。 -
せんそうって
せんそう、あなたはなんですか? この社会を生きるひとびとの多くが「戦争を知らない」世代になった今、 わたしたちは、どうやって/どのように「せんそう」を知り、語るのか――。 哲学者・永井玲衣と写真家・八木咲が立ち上げた「せんそうってプロジェクト」。 二人が見て・きいた「せんそう」の声を、記憶をあなたに手渡す、「せんそう」を語る言葉と出会い、探すドキュメンタリー。 世界中で戦争が起こっているのに、わたしたちは「せんそう」をあまりに知らない。 でもわたしたちは、本当は「せんそう」を知っている。 「せんそう」を経験している。「せんそう」を生きている。 -
シャドーゲーム
ロッキード事件を背景に日米の闇を描く 「俺たちは、切り捨てられたんだ。」 1976年、前総理逮捕。その裏側に日米関係の“陰”を追う者、隠そうとする者の熾烈な闘いがあった――。あの大疑獄事件に取材した、迫真の陰謀スパイ小説。 1974年、アメリカのヒクソン大統領がスキャンダルで辞任した。ヒクソン政権で国益のためには汚い手段も辞さなかった特別補佐官カール・サンドラーは、苛立っていた。政権の海外での非合法活動を追及する動きが止まないからだ。サンドラーは子飼いのCIA秘密工作員トム・ブロックを呼び、事態の収拾を命じる。一方、日本では「今太閤」と呼ばれた山本源太総理が金権政治家と批判を浴び、次第に追い詰められていた。そこにアメリカでの不正追及の余波が及び、CIAの日本人エージェント中井一郎は対処を迫られるが――。 1976年7月27日、田中角栄前総理逮捕から50年。ノンフィクション大作『ロッキード』の著者が、大疑獄事件に材をとった巨編。 -
陽と月
“才能がない者のためにバンドがあって欲しい。 上手く言葉が出ない者のために歌があって欲しい。 そのどちらもロックが昇華して欲しい。” 吃音の作詞家が、最愛の親友へ贈る、最初で最後のラブレター バンドで成功することを目指し、夢と現実の狭間を生きる、吃音症のバンドマン・月。太陽のような性格で天然だが、音楽の才能に溢れている親友のバンドマン・陽。 対照的な2人のバンドは、当初はどちらも華々しくデビューした。 しかし両者はその後、まったく違う道を歩んでいき…… 夢は叶わなかったら不幸なのか。売れたら本当に幸せなのか。そんな想いの中で揺れ動きながらバンドマンとして進んだ先に2人が見たものとは。 吃音症でもある「LEGO BIG MORL」のギタリスト・タナカヒロキが描く、圧倒的青春小説。 -
鈴男の庭劇場
新たなる文学登場! 主人公鈴男の家庭内の悲喜交々。 くせになるプロット、時系列が交錯のなかで登場する謎の人物たち。 幻想的なワード、日常にひそむ多様な景色。 物語が進むにつれて、読者は不思議な余韻にひたるであろう。 「ぬっ 明かりの下に、いやな影だ ちろちろ…… 見過ごしてはおけない影だ ちろちろ、ちろちろちろ……」 【著者プロフィール】 三仏生葦生 (さぶしょう・よしお) (著) 本名 井坂義雄(いさか・よしお)。 昭和13(1938)年、東京市小石川区氷川下町に生まれる。新潟県古志郡六日市村字浦柄(現在は小千谷市浦柄)に疎開し、少年期を送る。法政大学に学ぶ。「飛翔」同人会員、「樹宴」同人会員。著書に『ざくろ』(作品社・2002)がある。 -
こんこん
触れられないから、愛おしい──? テーマパークのきつねのきぐるみ・「こんこん」を愛するまど。その愛は次第に「中の人」への執着へと変わってゆき……。気鋭詩人の言葉きらめく傑作小説 「きみを愛することが、きみのために少しもならないとしたら、私は私の愛情を抱えて、この愛情がどこまでも膨らんで、孤独も嫉妬も埋め尽くして、そうして愛にすがりつくことなどできないほどに、愛そのものになるまで、きみを愛し続けるだろう。この物語を読むと、そう思えた。」 ──最果タヒ 〈いまのわたしをかたちづくっているのは、顔も、名前も知らないあなた。あなただけ──〉 テーマパークの“雪のようで、湧き水のようなきつね”の着ぐるみ「こんこん」を愛するまど。 その“中の人”を見つけ出そうと、「着ぐるみに入れる体格」という条件でマッチングアプリを始め、低身長コンプレックスの男性・ひらくと出会うけれど……。 これは恋? 推し? 信仰? 執着? ──大好きなあなたと、ただ繋がっていたいだけ。 触れられない「誰か」に焦がれたことのあるあなたへ捧げる、どうしようもなく屈折してどこまでも透き通った、かけがえのない愛の物語。 ◆書き下ろしの掌編と詩編を収録! 文芸誌「文藝」掲載直後より各紙誌で高く評価され、SNS上には共感・感嘆の声があふれた表題作に加え、書き下ろしとして、お気に入りのシールをなくして会社を休んだ数日間を描く掌篇小説「水滴のシール」、詩篇「水色の家」を収録。 ◆全国書店員から共感、感嘆の声 彼女の気持ちがわかりすぎて、苦しかった。 ──山中真理(ジュンク堂書店 滋賀草津店) 推しへの想いを綴った言葉たちのあまりの透明度、その結晶の美しさに圧倒されました。 ――藤田ほまれ(文教堂書店 中央林間店) 傷つきたくない、嫌われたくない、汚したくない、汚されたくない、無条件で愛されたいし、無限に愛したい。でも責任は取りたくない。 肉体的なものではない、もっと奥の愛の根源に触れたい。でも世間はそれを簡単には許してはくれない。 年齢を重ねれば重ねるほど、自分の好きなものを純粋に好きと言いにくくなる世の中はとても息苦しい。綺麗でかわいくて大好きなものに囲まれたまま年を取って、ゆっくり死んでいきたいなと思いました。 ──海老原歩未(紀伊國屋書店 新宿本店) 「わたしは、かわらずのいしを撫で続けているトゲピーだから。」 すごく共感してしまう言葉でした。 なぜみんなは変わってしまうのだろうか。 まどと一緒に幸せになりたいとおもいました。 ──山下真央(くまざわ書店 調布店) キラキラはいつまでも永遠で、生身の人間との恋は生々しく残酷だ。 まどがいつまでも可愛いものが好きで、こんこんを見ていられますように。 ――望月美保子(BOOKSえみたす アピタ富士吉原店) かわいいってなんだろう。 幸せってなんだろう。 生きていくってどういうことなんだろう。 好きなものがあるのにどうして寂しいんだろう。 近くなればなるほどあやふやになってしまう愛の形とその距離。今を満たして、これからを約束してくれる存在を求める気持ちはきっと誰の心にもあるんだと思った。 ──塩里依子(くまざわ書店 西新井店) -
くがいの聲
それは奇跡の御業か、悪魔の所業か――。 阿泉来堂が紡ぐ、絶望の民俗ホラーミステリー。 この地で亡くなった人間の死体は朽ちることがない。 あの子まで「祈り子」にするわけにはいかない。 遺体を異なる三つの棺に納めて埋葬する。 この村はもうすぐ死によって埋め尽くされる――。 『お祖父ちゃんの家の遺品整理をしてきてほしいのよ』 母からの突然のお願いで、滝川史也(たきがわふみや)は幼少期ぶりに祖父の家がある神薙村(こうなぎむら)を訪れた。神薙村は深い山々に囲まれた限界集落にあり、奇妙な葬送儀礼が連綿と受け継がれていた。墓石に刻まれた十字架、「くがい」と呼ばれる謎の伝承、朽ちない死体、祖父の死の真相…。 神薙村に隠された暗い秘密が徐々に明らかになっていく。 -
詩人S 谷川俊太郎単行本未収録詩集
高校生の頃から、谷川俊太郎は詩人だった。デビュー前、都立豊多摩高校文芸部員だった頃の詩「つばめ」や、「詩のボクシング」で即興朗読された「ラジオ」、映画『谷川さん、詩をひとつ作ってください。』のために書き下ろされた表題詩を含む84編を収録。【「つばめ」が掲載されたのは都立豊多摩高校文芸部編輯の復刊第二號『豊多摩』、発行は一九四八年四月でした。級友の北川幸比古に誘われて詩を書き始めて間もなくのころだったと記憶しています。第一詩集『二十億光年の孤独』に収めた詩は、みな大学ノートに清書されていますが、これはそれ以前の作で原稿はありません。私は高校四年生、文芸部員として一応編輯室に名を連ねています。(谷川俊太郎)】また谷川さんに会いたい、すべての人へ。(編集部註:この本は、谷川俊太郎氏の詩集として単行本化されていない詩で編まれていますが、他の著者の単行本に寄せた詩等が一部含まれます。)【著者略歴】谷川俊太郎(たにかわ・しゅんたろう)1931年東京生まれ。詩人。52年、詩集『二十億光年の孤独』でデビュー。詩、作詞、翻訳、絵本など様々な分野で活躍。日本の国民的詩人として、海外でも広くその存在を知られた。62年「月火水木金土日のうた」で日本レコード大賞作詞賞、75年『マザー・グースのうた』で日本翻訳文化賞、82年『日々の地図』で読売文学賞、2005年『シャガールと木の葉』『谷川俊太郎詩選集1~3』で毎日芸術賞、10年『トロムソコラージュ』で鮎川信夫賞、16年『詩に就いて』で三好達治賞受賞。24年11月逝去。 -
永遠なる星のトランセンダーズ 追加設定集
宇宙艦隊AIとなって、銀河の文明を保護育成していくTRPG「永遠なる星のトランセンダーズ」の初サプリメントです。 基本ルールで軽く言及されていた文明侵蝕生物を掘り下げ、侵蝕生物を自作したり、登場シナリオを作ったりするシナリオクラフトルールを掲載。惑星の文明を蹂躙する巨大怪獣を、あなたの艦隊は撃退できるか? シナリオクラフトでは、ほとんどの怪獣映画のパターンを再現できるよう、表も充実。さらに、新作かきおろしシナリオも3本掲載しています。 基本ルールでは謎だった、ヒトの故郷・地球の現状も、豊富な情景イラストやメカ図解で、詳しく紹介。砂漠の星と化した地球を、トランセンダーとして救おう。戦車TRPGカノンイェーガーとのリンク要素もあります。 オニキスのGM講座など、初心者向けガイドもたっぷり。本書で、ぜひGMしてみてください。 -
文明育成AI艦隊TRPG
銀河文明は滅びかかっている。文明を救うため、艦隊AIとなって、銀河に旅立とう。 PCは、宇宙艦隊を制御する分散型AIだ。いろいろな星系の文明を保護育成し、脅威となる惑星改造機械獣の艦隊を撃破しよう。 クライマックスは、星系まるごとを舞台とした数百隻規模の宇宙艦隊戦だ。 悠久の時を生きるAIだからこそ、惑星上の人々との一時の出会いはかけがえのない思い出として、PCの力となる。思い出をロールプレイすると判定で有利になるぞ。 判定には十面体サイコロを十個程度、六面体サイコロを一個使用する。 本作は、AIのTRPGであり、スペースオペラのTRPGであり、そして、星々での出会いと別れを描くTRPGでもある。 -
人恋しくて女性用風俗に行ったあとで考えたお金とケアと欲望のこと
離婚後、晴れて独身にもどった“わたし”(著者)。新たなパートナー作りに踏み出すも上手く行かず、手を伸ばしたのは“女性用風俗”。「すごくよかった」という興奮と「これは性的搾取ではないか」という後ろめたさが同時にやってくる。 性的なことは親密な間柄でのみ行われると思っていたけれど、お金を払えばその「親密さ」を飛ばすことができた。じゃあ、さっきのわたしは何にお金を払ったんだろう。 女性の性欲は本当に男性のそれと違うのか。女性の欲望が蔑ろにされている一方で男性の欲望は蔑まれていないか。他者を「書きたい」という欲望は危ういものなのか。正しさと欲望の間に横たわるものを見つめ、対話し、考える。 セラピスト、オーナー、辞めた人……。著者が女性用風俗にかかわる人に取材しながら、自身の体験を綴る、渾身のルポエッセイ。 -
憂鬱な愛人 新装版
夏目漱石の長女との結婚の顛末を描いた松岡譲の幻の名著! 近年、文学者たちを主人公とするゲーム「文豪とアルケミスト」の登場人物としても人気が高い松岡譲。 本書は、夏目漱石の娘婿である松岡が夏目家の令嬢・筆子と結婚するまでのいきさつを描いた長編小説である。 筆子との結婚を望み破れた久米正雄が先に発表した『破船』により、当時の世間は、久米に同情。松岡は冷たい目にさらされた。 そして、結婚から10年--松岡自身がようやく結婚に至るまでの真実をもとに書いた小説が、本書と言われている。(※諸説あります) トータル1,200ページにもおよぶ大作が、90年の時を経て、新仮名遣い・上下巻で再登場! ▼内容 夏目漱石の弟子であった松岡譲が、夏目家の長女・筆子と結婚するまでのいきさつ、親友を失い、仲間から孤立し、先輩を敵に回し、世間の非難を浴びたことを詳細に記した長編作品。 ※本書は1928~31年に第一書房より刊行されたものを再編集して復刊した新装版を電子書籍化したものです。 -
私的応答
記憶なんかは幻なんやから、自分の好きな角度速度で眺めたらよろしい。 自然を許すとはどういうことか。 されたことは消えないし、許していかないと自分の心に害が及ぶ。 でも、許すことは、考えないこと、忘れることとは違って――。 ☆☆☆☆☆ 『ここはとても速い川』で野間文芸新人賞、『この世の喜びよ』で芥川賞、『無形』で芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞! 早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞も受賞した純文学界のニュースター、待望の最新長編! ☆☆☆☆☆ 1995年、その時、まず驚きだけがあった。母と娘の厚美と三人で暮らす銅子を襲った地震。開けた場所に皆で布団にくるまって感じた恐怖、倒れたミシン、昨日とは違う景色、避難所の体育館、シャワーを浴びにいった梅田……。震災から幾年月、銅子と厚美の日常は続いていくが、あの経験を忘れるということはなく――。 芥川賞作家の静謐な筆致が紡ぎ出す、昭和から令和、母娘三代に流れる「時間」と震災の「記憶」の物語。 -
生きとるわ
又吉直樹6年ぶりの長編小説! 「生きる」とは、こんなにもやりきれなくて、おかしい―― 累計354万部『火花』から10年後に書き上げた、新たなる代表作! 公認会計士として傍目には順調な生活を送っている岡田。 しかし、高校時代の仲間だった横井に500万円を貸したことから、その人生は狂い始める。横井は他の仲間たちからも借金を重ねたあげく、姿をくらましていた。 阪神タイガースのセ・リーグ優勝が決まった夜、岡田は大阪・道頓堀で偶然横井と再会する。 貸した金を取り戻そうとする岡田は、逆にさらなるドツボにはまっていく…… 人間の「闇」と、「笑い」を両立させた奇跡的作品! -
コンフィデンシャル・ゲーム
知られざる歴史の1ページを、黒白の駒が入り乱れる盤上に再現した快作――――貴志祐介 一手に託す、世界の分岐点。 大胆で変幻自在な語りが生み出す、唯一無二のチェス・エンタメ小説! フランス、アメリカ、ソ連、イギリス、日本 各国の命運を分けた瞬間に、「秘密の対局」があったとしたら…… チェスが編み出す世界の「もしも」に、驚嘆すること間違いなし! 読み終えたとき、新たな歴史の証人となる。 ~収録作紹介~ 「ナポレオン・オープニング」 絶海の孤島に流されたナポレオンと、そこへ忍び込んだ青年〈ナイト〉。皇帝の運命を占う一局が始まる。 「フランクリン・ギャンビット」 各州ゆずらず、侃々諤々の合衆国憲法制定会議。それを収めるのは、長老〈ビショップ〉の威厳である。 「コミュニスツ・ディフェンス」 スターリンの右腕である老獪な副首相〈ルーク〉は、核兵器撤去に反対するキューバへ赴いた。 「ヴィクトリアン・メイト」 社会や制度を変えるには、女王〈クイーン〉の力は必要か? 荘厳な宮殿で繰り広げられる、女同士の熱き一局。 「ジャパン・ヴァリエーション」 終わりなき戦争の日々に突入する日本。チェスとともに数奇な運命を辿った名もなき少年〈ポーン〉の肖像を描きだす。 -
猫に満ちる日
出会ったころは掌に載るほど小さかった子猫は、二十年近い歳月を経て死が近い。老いと病で苦しむ猫を懸命に介護する「私」。 猫との日々を思い、係累や友人の死に様が脳裏をよぎることもある。夫と別れ、懸命に仕事をしながら住処を転々と移っても猫は一緒だった。 猫と暮らしつづけるため、東京中を歩き回って見つけた都心に近いマンションの一室を購入して数年後、猫の老いが始まっていた。 檻のなかに籠もるような「私」と猫の住む部屋に男友達が訪ねてくることもあったが、やがて離れていった。「私」はいつしか猫を殺してしまいたいほどの愛着を抱いていた。 休暇を取り、猫と冬の海に赴いた「私」。猫はキャリーバッグから這い出て、残りすくない生命力をふりしぼって岩場でマーキングをする。「私」は自分が大地の一部になったような快感に浸る――。 生命のリアルと根源をリリカルに描く傑作連作小説。 -
チームⅣ
“伝説の学連選抜”を駆けた男たちが箱根駅伝に帰ってきた――名手・堂場瞬一が放つ青春駅伝小説のベストセラーシリーズ、集大成的傑作! 箱根駅伝本戦出場を逃した大学から「関東学生連合」として選ばれた16人。 刻んだタイムが公式記録に残らない矛盾に揺れながら、選手たちは己の誇りと向き合い、東京~箱根間往復217.1kmを一本の襷でつなぐ戦いに挑む。 彼らを率いるのは17年前「学連選抜」の一員だった天才ランナー・山城悟。 そして山城が襷をつないだアンカーの浦大地が、優勝候補・城南大の監督として立ちはだかる。 名将と呼ばれる浦だが、大学側との確執で大会後の退任が囁かれていた……。 選手たちの葛藤と、監督二人の絆が交錯するとき、箱根路に2日間だけの特別なドラマが幕を開ける――! 堂場瞬一著作200冊記念作品。 -
いつも、いつまでも。 丹波新聞「鳥部」フォトブック
奇跡の白スズメ夫婦にモフモフの冬モズ、ギュッとくっつく子ツバメ兄弟――。「癒される」「こんな記事だけ見ていたい」とYahoo!ニュースの写真コーナーで大人気。誰が呼んだか「丹波新聞鳥部」の野鳥記事がフォトブックになりました! 黄金色の田んぼで、一面の銀世界で、桜咲き誇る山里で、今日もただただ生きる鳥たち。レンズを向ける鳥部員の眼差しと愛あるツッコミに、クスリと笑えてジンとくる一冊です。 ※この商品は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 -
匂いに呼ばれて
すべての香りに物語がある。時代も距離も超えて辿る、美しく哀しい記憶の旅。香りと人と時間が奏でるショートストーリー。フランスで刊行され高く評価された作品を、著者自ら邦訳した幻想的な一冊。 ************************** 悲しみの匂いとはどんなものだろう。人の気配を匂いから感じることがあるが、不在の匂いとはどんなものだろうか。 誰かが死ぬとき、この世界の秘密の一部は永遠に失われてしまう。 人はみずからの秘密を抱えてあの世に旅立つ。残されたものにできることは、物語を語ることだけ。それが真実か否かは一生わからないまま。 秘密はどのような匂いをさせているのだろう。〈本文「ニューヨークで」より〉 -
ラバウルの迷宮
〈戦後最大の“捕虜収容所×忠臣蔵”サスペンス〉 終戦直後、ラバウル。 10万の日本兵がひしめく捕虜収容所で、元情報将校に下された密命はただ一つ――「禁じられた忠臣蔵を上演せよ」。 暴動の火種がくすぶる舞台に、紙の雪は降るのか。 ・ ・ 【読みどころ】 ●実在した〈ラバウル捕虜収容所での忠臣蔵上演〉がモデルの歴史サスペンス。 ●ジャングルに舞う“雪”が暴く、戦争VS芸術の衝突。 ●密林の奥と、地下迷路に封印された〈戦中の極秘事件〉――衝撃の真相ミステリー。 ●かつて殺し合った日本兵と豪州軍人。そこに芽生える、希望の絆。 ●戦後80年、日本人の「生き方」を問う壮絶なスペクタクル。 ・ ・ 【推薦コメント】 「手に汗握る反乱劇。映画化を熱望!」 ――鴻上尚史(作家・演出家) ・ 「異色の舞台と題材、謎を呼ぶストーリー、熱い人間ドラマ。 どれもが面白く、読みどころが多すぎる」 ――細谷正充(文芸評論家・アンソロジスト) ・ ・ 戦争が終わった時、いかに生きるかの戦いがはじまった。 エンターテインメントで描く〈慟哭〉と〈感動〉の物語。 -
七人の記者
大学の新聞部に所属する美ノ輪七海は、学内での男性教授のセクハラ問題を追及するうち、同大出身の政治家らが絡む私学助成金の不正受給疑惑を突き止める。 大学でたまたま出会ったタウン誌の老記者や新聞部のOBに相談を持ちかける中で、七海の「真実の追及」に対する情熱に心を動かされた者たちが集い、タウン誌の小さな事務所兼自宅を拠点に取材を始める。 しかし、新聞、テレビ、週刊誌、Webニュースは、政界や広告主から圧力をかけられており、大手メディアの上層部は現政権に完全にコントロールされていた。 さらに、どこかから情報が漏れ、検察に取材資料も持ち去られる。 追い詰められた彼らは、真相を書いたタウン誌を都内中心部でばら撒く「ゲリラ戦法」を思いつくが……。 -
イン・ザ・メガチャーチ
☆2026年本屋大賞受賞☆ 【第9回未来屋小説大賞】 【第2回あの本、読みました?大賞】 沈みゆく列島で、“界隈”は沸騰する――。 あるアイドルグループの運営に参画することになった、家族と離れて暮らす男。内向的で繊細な気質ゆえ積み重なる心労を癒やしたい大学生。仲間と楽しく舞台俳優を応援していたが、とある報道で状況が一変する女。ファンダム経済を仕掛ける側、のめり込む側、かつてのめり込んでいた側――世代も立場も異なる3つの視点から、人の心を動かす“物語”の功罪を炙り出す。 「神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ」 -
信念の経営者・小原鐵五郎
終戦の5日前に合併成立! すべては、町に、人に、元気を取り戻すために。城南信用金庫の小原鐵五郎――その生涯と抱き続けた想いに迫る長編小説。昭和20年(1945)8月10日、終戦間際に15の組合が合併して城南信用金庫が誕生したのは、戦後の復興を見越したものであった。専務となった小原鐵五郎は、地元の中小企業を育成発展させるため、町の人びとの生活を豊かにするため、そして、地域社会の繁栄を後押しするために奮闘する。業界全体を発展させたことで「信用金庫の神様」とも言われた男が貫いた、その精神は……。累計35万部突破の企業小説シリーズ、最新作! -
ブレイクダウン
若き小隊長と怪物級無敵男の最強バディが駆け抜ける、 壮絶アクション×驚愕の国際謀略エンターテインメント! 舞台は2001年、日本最東端の小さな港町・枝室。 想像を絶する巨大な陰謀と最悪な戦争が待っていた──。 「戦争と国家が、このモンスターを生み、育てたのだ。」 杉江松恋氏、驚嘆! 「犯罪小説の読み手として至福の読書体験だった。 駆りたてられるように読み、物語が示す世界の破滅がいかに身近かを思い、しばし茫然とした。」 交通事故で兄を亡くした陸上自衛官の市瀬の官舎に、異相の大男・佐川が訪ねてくる。「あんたの兄弟は事故死じゃない。殺しだ」。不可解な死の謎を追う二人に次々と危険が迫り来る。元自衛官の芥川賞作家が放つ、大砲級のエンタメ超大作! -
月を見に行こうよ
世界各国から詩人や小説家などの文筆家が招かれ、およそ二か月半にわたって滞在・交流する、アイオワ大学の国際創作プログラムIWP(International Writing Program)。 このプログラムに招かれた経験をもとに、背景の異なる個性的な創作者たちとの交流、各々の作品に対する姿勢や創作への覚悟を描いた、書く者たちの物語。 【著者略歴】 李琴峰(り・ことみ) 1989年、台湾生まれ。作家・翻訳家。2013年来日。早稲田大学大学院日本語教育研究科修士課程修了。2017年、『独り舞』で第60回群像新人文学賞優秀作を受賞しデビュー。2021年、『ポラリスが降り注ぐ夜』で第71回芸術選奨文部科学大臣新人賞、『彼岸花が咲く島』で第165回芥川龍之介賞を受賞。著書に『星月夜』『生を祝う』『シドニーの虹に誘われて』『日本語からの祝福、日本語への祝福』他。 -
女人太平記
――これまでの歳月を振り返ってみると、竹向殿と私(足利尊氏)とは、奇縁で結ばれているものですね。後の北朝初代・光厳帝の典侍を務めた日野名子〈ひのなかこ〉は、関東申次として権勢をふるった西園寺家の若き当主・公宗の正室となる。だが彼女の栄光の日々は、後醍醐院の謀略と足利尊氏の裏切りにより、あっけなく失われることに。そしてそれは、数多の武家と公家、皇族が互いに争い合う、混沌の時代の幕開けだった――。度重なる戦乱に人生をかき乱され続けた彼女が最後に見抜いた、尊氏の抱える「秘密」とは。名子が著した、最後の宮廷女流日記文学として名高い『竹むきが記』を下敷きに、激動の室町幕府揺籃期を活写する歴史長編。 -
13月のカレンダー
勤めていたバイオ企業を辞職した侑平は、父方の祖父母がかつて住んでいた愛媛県松山市の空き家を訪れていた。両親が離婚し、祖父母が亡くなって以来疎遠だった父から連絡があり実家を売ると言う。身勝手な父に反発を覚えたが、15年ぶりにその家に足を踏み入れた侑平は、祖父の書斎の机に積み上げてあった書類の中から、十三月まである不思議なカレンダーと脳腫瘍で余命いくばくもない祖母の病状を綴った大学ノートを見つける。その中に「寿賀子、『十三月はあったのよ』という」と書かれた一文が。祖母を知る関係者と接するうちに、導かれるように広島の地へと辿り着き、自らのルーツを知ることになり・・・・・・。 太平洋戦争終結から80年。愚かな戦争の記憶を継承する、至高の大河小説。 【著者略歴】 宇佐美まこと(うさみ・まこと) 一九五七年、愛媛県生まれ。二〇〇六年「るんびにの子供」で第一回『幽』怪談文学賞〈短編部門〉大賞を受賞。一七年『愚者の毒』で第七〇回日本推理作家協会賞 〈長編及び連作短編集部門〉を受賞。二〇年『展望塔のラプンツェル』で第三三回山本周五郎賞候補、同年『ボニン浄土』で第二三回、二四年『誰かがジョーカーをひく』で第二七回大藪春彦賞候補に。他の著書に『熟れた月』『骨を弔う』『羊は安らかに草を食み』『夢伝い』『月の光の届く距離』『その時鐘は鳴り響く』『謎は花に埋もれて』など。 -
K 時代の恋人
昭和の歌姫〈K〉と 青酸コーラ殺人事件。 時代が二人の運命を繋ぎ、翻弄する-- 『クリーピー』『号泣』著者が 昭和100年に贈る 新境地の恋愛×サスペンス! 内田剛さん(ブック・ジャーナリスト)、絶賛! 「甘美な記憶に苛烈な現実、そして昭和が生み出した鮮やかな闇。 魂の奥底にまで響く余韻はいつまでも消えない!」 昭和40年代半ば、私は学生運動で揺れる大学を中退し、デビュー間もない女性歌手〈K〉のマネージャーとなった。 やがてスターダムに上り歌姫と呼ばれる〈K〉への恋心を封印し、 新宿の居酒屋で働くキエを映画に誘い、交際を始めるが、ある衝撃的な出来事をきっかけにキエは姿を消す。 二人を再び繋いだのは、日本を震撼させた青酸コーラ無差別殺人事件だった! -
筏までの距離
小原晩、カツセマサヒコ推薦!! 恋ではない。友情ではない。 ふたりの関係の、呼び方を教えて。 学生の頃、彼女とはよく大学の付属植物園で過ごした。花の名前もよく知らないのに。 ある日彼女は、園内の礼拝堂の前で突然、耳鳴りがすると言った。 昨日、眠れなくて、宇宙の動画を見ていた時からずっと耳鳴りがする。 宇宙で鳴っている音を想像してからずっと、と――「植物園にて」 新幹線で出会った女性と偶然にも温泉街で再会した私は、 彼女に導かれて、古びたリゾートマンションの屋上から花火を眺めていた。 30分足らずで終わった花火の後、彼女は先に部屋に行っていると言い残して、 屋上から去ったが――「筏までの距離」 デビュー作で芥川賞候補に挙がった著者が贈る、 書き下ろし2篇を含む、わたしとあなたの8つの物語。 【著者略歴】 水原 涼(みずはら・りょう) 1989年兵庫県生まれ、鳥取県育ち。北海道大学文学部卒業。早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。2011年に「甘露」で第112回文學界新人賞を受賞しデビュー。同作が第145回芥川龍之介賞候補作になる。著書に『蹴爪(ボラン)』、『震える虹彩』(安田和弘との共著)がある。 -
クロエとオオエ
お待たせいたしました、ド直球のお仕事ラブコメです。 恋と宝石。 「宝石の価値ってそんなに重要?」 思いがけない彼女の言葉がぼくを心地よく壊す。 当たり前を超えていけ 「いや、ごめん要らないわ、これ」 「は!?い、要らないってお前……嵌めてみもせずに!?」 横浜で三大続いた宝石(ジュエラー)商の嫡男・大江頼任と、彫金を家業とする職人の娘・黒江彩。 最初のデートで頼任が贈ったリングを突き返してから、二人の関係は「メシ友」と「恋人」の間で謎のまま。 頼任の店のお得意様のブライダルジュエリーのオーダーを皮切りに、クロエがジュエリーデザインを引き受けるようになってから、二人の関係性が変わっていく。 宝石をのぞくと見える美しい別世界。これを表現できるのは彼女だけ。 -
人間的教育
なぜ働かなくてはいけないのか―― すべての大人の心を抉る、不遇の天才・佐川恭一の“アンチお仕事小説”傑作選。 正直、面白すぎて、佐川恭一という存在に嫉妬!!!! ――三宅香帆(文芸評論家) 自分の分身を読んでいるような、生きることを肯定されるような感覚になった。 ――押見修造(漫画家) どうしようもなく惨めで情けない人間を愛し、競争社会の欺瞞を暴く文芸界の鬼才・佐川恭一。そのディープで人間臭い魅力をこの一冊に!受験・学歴と童貞のルサンチマンを描いてきた佐川恭一による「アンチお仕事小説」8篇を収録。電子書籍で人気を集めた「ナニワ最狂伝説ねずみちゃん」、小説すばるで話題となった「ジモン」「万年主任☆マドギュワ!」など社会人の悲哀をブラックユーモアたっぷりに描く傑作短編集。 装画=押見修造 解説=樋口恭介(SF作家) 「たとえば僕らがまだ、競争と勝利に取り憑かれているなら」 -
記念日
ままならず、愛おしい、たったひとつのこの体。 「早く年を取りたい」と願う23歳のミナイ。 ガタがきはじめた肉体に翻弄される42歳のソメヤ。 キャリーを押して歩く76歳の乙部さん。 ひょんなことからルームシェアをすることになった、ソメヤとミナイ。 噛み合わぬ日々を送る中、突然、ミナイから不思議な提案がなされる。 ――「明日から、おばあさんになってみませんか?」 やがて本物の「お年寄り」である乙部さんも加わり、 年齢も性格も職業もばらばら、本来交わるはずのない女性三人の人生が絡まりもつれ、転がり始め・・・・・・。 他者との交わりが日常にささやかな灯をともす。 代わり映えしない生活を寿ぐ、小さなハレの日の物語。 【著者略歴】 青山七恵(あおやま・ななえ) 1983年、埼玉県生れ。筑波大学図書館情報専門学群卒業。2005年「窓の灯」で文藝賞受賞。2007年「ひとり日和」で芥川賞受賞。2009年「かけら」で川端康成文学賞を受賞。著書に『お別れの音』『わたしの彼氏』『すみれ』『めぐり糸』『風』『ハッチとマーロウ』『私の家』『みがわり』『はぐれんぼう』『前の家族』などがある。 -
バックミラー
宝の持ち腐れのような袋小路に、僕はいた――。シニカルな笑いと冷徹な観察力で、都会の人々のままならぬ人生を写した、令和の《没落小説》、爆誕! 日常版「滅びの美学」――麻布競馬場推薦。 「宝の持ち腐れのような袋小路に、僕はいた。」 元ストーカーと暮らしながら他人のストーカーを覗き見る、落ち目のミュージシャン 極度の無駄嫌いで、ビジネスのため東京駅至近の高層マンションに住むM&A会社社長 緑豊かな公園前の低層マンション生活を送るも、突然樹木伐採が始まり困惑する女…… 麻布競馬場(作家)、 推薦!。 “日常版「滅びの美学」――極限まで乾燥したユーモアが、人生の空虚を容赦なく照らし出す。” シニカルな笑いと冷徹な観察力で、都会に生きる人々のままならぬ人生を写す、令和の《没落小説》爆誕! 『バックミラー』発売記念 著者コメント 初の短編集です。厳選した12作の中には、名刺がわりにしたい作品が幾つもある一方、「これは見られたくない」という、作家や人間の恥部そのものを表出させつつ、思わぬ角度から光を当ててくる作品もあり――。結果的に、代表作と思える一冊になりました。 -
感情増幅類語辞典
小説、脚本、マンガ、演技、二次創作、TRPG…… すべての創作者必携の大ヒット類語辞典 第8弾 キャラクターを窮地に追い込み、その感情を揺さぶれば、必ず読者は共感する── 創作者のバイブル『感情類語辞典[増補改訂版]』と併用してさらに感情の表現を豊かにできる、頼もしい副読本が登場! 心を揺さぶる物語を紡ぎたいあなたへ── 「強い感情」を伴う言動をどのように描くか悩んだとき、 本書が編集者のようにアイデアを生む手助けをしてくれるでしょう。 ──林士平(マンガ編集者/『SPY×FAMILY』『ダンダダン』担当編集) あらゆるストーリーテリングにおいて、感情は重要な要素のひとつです。しかし、現実味のあるキャラクターを描こうとすればするほど、その表現は難しくなるもの。なぜなら彼らは生身の人間と同じように、しばしば本当の感情を押し殺し、めったに自分をさらけ出そうとはしないからです。かたくななキャラクターを前に、感情の描写に行き詰まり、ストーリーの展開の次の一手に困ったとき、役に立つのが本書『感情増幅類語辞典』です。 本書では、キャラクターの感情そのものではなく、感情を大きく《増幅》させるシチュエーションに注目。つまり、キャラクターがなんらかの窮地に立たされ、それまで抑圧していた感情を大爆発させるきっかけとなるような、具体的な状況や条件を紹介しています。そのような感情増幅器=〈感情ブースター〉を投入すれば、キャラクターは自ずと心のバランスを崩し、物語を大きく前進させてくれるでしょう。普段は理性的なキャラクターが突然わっと泣き出してしまうようなとき、読者は感情移入し、共感してくれるはず。本書があれば、ギャップを抱えたリアルなキャラクターを生み出し、説得力あるストーリーを作ることができます。 しかし、キャラクターの感情が増幅するシチュエーションと言っても様々。「空腹」「寒さ」「二日酔い」など内的な感覚もあれば、「洗脳」「拘束」「催眠状態」といった日常生活では体験できない(できればしたくない)外的な要因による状況、あるいは「認知の衰え」「パニック発作」「感覚過負荷」など、特定の精神的・身体的なコンディションから生まれる状態などが、心のバランスを崩壊させる最後のブロックとなり得ます。 本書では多種多様な52の〈感情ブースター〉を収録し、それが生み出す「外的なシグナル」や「内的な感覚」、その影響を隠すための「努力」、「引き起こされるネガティブな状況」、「対立・葛藤や緊張を高めるシナリオ」まで、細かく具体的に解説しています。 また、各見出し語では「このブースターにより生まれる感情」として、『感情類語辞典[増補改訂版]』に掲載されている感情をリストアップ。2冊をあわせて使えば、描きたい感情に対してどのブースターが一番効果的かを知り、キャラクターの心の揺れ動きをリアルに表現することができるでしょう。 さらに、シリーズを通して好評の前半パートでは、〈感情ブースター〉がいかにキャラクターを自らの内面と向き合わせ成長を促すのか、ストーリーの構造の中でどのような効果を発揮するのか、ブースターを用いる適切なタイミングや、むしろ避けたほうがよいタイミング、心身の健康状態を描くときの留意点などを解説。感情を増幅させるブースターを多用するのではなく、ここぞという効果的なタイミングで使うための助けとなります。 『感情類語辞典』の読者から寄せられた、より具体的に感情(を引き出す状況や条件)を描きたい!という要望に応える形で書かれた本書。まさにクリエイターの声から生まれた、クリエイターのための辞典! ぜひシリーズと合わせて、創作にお役立てください。 【『類語辞典』シリーズについて】 フィルムアート社の『類語辞典』シリーズはSNSを中心に爆発的に広まり、これまでの累計刷部数は35万部(紙+電子)を超える大ヒットを記録しています。人間の喜怒哀楽を項目化し、それぞれの感情に由来する行動や反応を集めた『感情類語辞典[増補改訂版]』。あらゆるキャラクターの明るい面、暗い面から人物描写を深めたい方におすすめの『性格類語辞典 ポジティブ編』 『性格類語辞典 ネガティブ編』。255もの「場面」を通して物語の舞台・世界観をつくりあげるための『場面設定類語辞典』。読者の共感を呼ぶ多面性のある豊かなキャラクターや、リアリティのある状況設定を描くための『トラウマ類語辞典』。キャラクターの人生にとって欠かせない要素=職業を適切に設定するための『職業設定類語辞典』。ストーリー全体を通して緊張感が高まっていくような対立や葛藤を適切に組み込むための『対立・葛藤類語辞典 上巻/同下巻』。 そしてこれらの中に収録されている、創作に役立つ様々なツールをダウンロードできる特設サイトも併せてご活用ください。 -
我らが緑の大地
森のあらゆる生物が襲い来る! 植物の「魔の手」から 逃れられるか!? 人類の命運を託されたのは、 ワーママ研究者と、その息子 震撼のパニックサスペンス! スタートアップ企業・グリーンプラネットに勤める村岡野乃は、植物の「会話(コミュニケーション)」について研究している。コマツナは虫にかじられると毒を合成したり、SOSを出して虫の天敵を呼び寄せたりするなど、植物もほかの生物と同様、驚くべき知性を持っていることがわかってきた。ある日、農場の視察に訪れた企業の社員が、改良された大豆を食べて緊急搬送される事件が発生。さらには、原因不明の山火事や、飢えて狂暴化した猿による襲撃、森を走る「謎の野人」の目撃情報など、奇怪な出来事が相次いでいた。野乃は一連の事件を「植物による反乱」ととらえ立ち向かおうとするが……? -
A DAY IN YOUR LIFE
小説家の槙村朗がパーソナリティーを務めるラジオ番組「A DAY IN YOUR LIFE」は、読者から募集した「何でもない一日、奇跡を感じた一瞬、幸せだった日々、不思議なことがあった日」などの〈あなたの一日〉を読みやすい物語に仕立てて、送っている。 じつは、彼は不思議な能力を持っていて、人が書いた文字を見ると、事実か事実でないかがわかるのだ。 その力もあって、投稿内容の真実を見抜き、物語にしている。 そんな槙村も、不思議な体験を子供の頃にしている。誘拐され、助けに来た父親が殺されたのだが、なぜか犯人の男に奇妙な話を聞かされたということが。 彼はその真相を知りたいと思っていたが……。 「東京バンドワゴン」「花咲小路」などの人気シリーズを執筆し、『国道食堂 1st season』で、2024年度の徳間文庫大賞した著者による最新作。 -
声に出せずに叫んでる
母さんを殺したのは、俺だ――。 許せなかった。自分自身も、父の再婚も、大好きだった音楽も。 高校2年生の羽山陽介は母を亡くした幼少期の記憶に今も囚われていた。 男手一つで育ててくれた父と、突然紹介された父の恋人に懐く無邪気な妹。 あの人が家に来るたび作ってくれるカレーは、母の得意料理だった。 「俺、絶対認めないから」。 気持ちの整理がつかない日々の中、学校で不可解な事件が起こる。 切り刻まれた幼馴染のイヤホン、階段から突き落とされた友達。 突然部活を辞めたエース、誰とも長続きしない人気者、善意の押し売りに苦しむクラスメイト――。 それぞれの無言の叫びは渦となり、やがて溢れ出していく。 本当は誰かに叱ってほしい。お前を許すと言ってほしい。 誰も本当の意味では分かり合えない、それでも分かり合いたい。 僕たちは、必死にもがいて手を伸ばしている。 デビュー作で青春の「痛み」を暴いた若き才能が掬い上げるのは、 「痛み」の先にある一筋の「救い」。
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