私にはまだ子供がいないのですが気持ちがとても理解できる本だなと思いました。
子供が成長するための環境はどうしても親しか作れない。親の視野が子供の世界になってしまう幼少期。
親は自分の幼少期の時の風景しか知らずに大人になり、もっと自分の幼少期にはこうして欲しかったや自分にも別の世界があったのではな
...続きを読むいかと考えずにはいられません。特に大学受験で苦労したり、高校入試など、その前からエスカレーター式で名門大学に入れてもらえていたら、、、そんな思いがよぎってしまう主人公。
小学校受験をさせようと思い至りますが、そこもまた不思議な世界で広いようで狭い世界。
初めてのことで何が正解か不安になりながらも進むしかない道。
受験を機に家族関係までもが変化し、仕事と家事の両立。協力的ではない旦那さん。
子供のための受験は本当に子供のためなのか,子供はスクスク元気に育ってくれれば満足ではないのか。。
だけど大人になったら分かる格差を前に親としてはより良い環境を用意してあげたい。これは親のエゴなのか。
悩む姿がとても印象的でした。
結局は娘に将来どうなって欲しいか面接で聞かれた時に後悔しないように生きて欲しいと答えてしまう。
でもそれが志望校に合わせて国際的に活躍して欲しいや定型文ではなく本来望んでるものなのだと思う主人公の葛藤。
実際にその子が幸せか未来なんてわからない、
何を望んで受験させようとするのか。子供の可能性を広げるため、幸せになって欲しいため。
幸せとは何か、形があるようでなくて人それぞれの回答があるはずであり、それで良いはずなのに。
受験をしてその学校に行くことが正義であるかのような世界観。とても深いなと思いました。
実際にはそれで着いていけなくなって落ちこぼれることだってある。知らない方が良い世界だってある。
大富豪と比べたらいつまでも自分はちっぽけで、でも幸せじゃないわけではなくて、お金や経験で幸せは測れない。答えなんてないけど幸せを考えさせられる作品でした。
また余談で、主人公の旦那さんの態度で共感できる部分が多くて、旦那にいかに自分のして欲しい行動を取ってもらうようにコミュニケーションを取るかは重要なのは要素だと思いました。