青姫

青姫

2,200円 (税込)

11pt

屈するか
逃げるか
農と自由と民の物語。



武士と悶着を起こして村を出奔した
若者・杜宇が迷い込んだのは、不思議な地。
自由経済で成り立ち、誰の支配も受けない
「青姫」の郷だった。
頭領・満姫のもと、生死を分つ選択さえも
籤で決められる。それが天意だからだが、
満姫はとんでもない気まま娘、
口も意地も悪い。
杜宇は命拾いするも米作りを命じられ、
田を墾くことから始めねばならなくなった。
生きるために「農」の芸を磨き、
民にも馴染んでゆくが、
郷には秘密の井戸がある。
そしてある日、若い武士が現れた――

「米を作れ!
わらわは姫飯が食べたい」


【著者からのコメント】
連載時はちょうどコロナ禍でした。
むしょうに土に触れたくて、田植えの匂いや
稲刈りの景色が慕わしく、それで主人公に
米作りをさせることにしました。
舞台は、「青姫の郷」という秘境です。
とはいえすべてが幻想(ファンタジー)ではなく、
まだ幕府の支配体制が固まっていない
江戸時代初期の様相を背景にしています。
青姫の郷は中央政権の支配がまだ及んでいない、
いわば自由都市。民による自治が行なわれ、ですが
人々がなにより重んじるのは「天意」です。
主人公の杜宇はその天意によって生かされ、
といおうか振り回されるのです。
郷の人々は姫をはじめ、クセが強い曲者揃い。
どの人物も書くのが楽しく、
今も愛着のある人々です。
ですが郷は、ある危機を迎えます。
土地は、領土は、いったい誰のものか。
攻め込まれたとき、屈するのか逃げるのか、
それとも? −−自らに問いながら書きました。
自分ならどうするか、と。連載終了後まもなく、
ウクライナ侵攻が始まりました。
この小説のラストは、
かの侵攻を予見できていない頃に書いた、
一つの願いでした。
このちょっと不思議な物語、
どうぞお楽しみください。
朝井まかて


一 玉結び
二 農の芸
三 田神祀り
四 赤影
五 旱(ひでり)
六 蝶
七 姫飯(ひめいい)
八 上々
九 月
十 籤(くじ)
十一 心願成就
十二 燃ゆる水
十三 杜宇

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  • カテゴリ
    小説・文芸
  • ジャンル
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    徳間書店
  • ページ数
    344ページ
  • 電子版発売日
    2024年09月27日
  • コンテンツ形式
    EPUB
  • サイズ(目安)
    2MB

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青姫 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    初出 2020〜21「読楽」

    面白かった!

    鎖国直後の江戸初期、田畑のない北国の山あいゆえに支配者がなく、自治を行い籤で物事が決まる「青姫の郷」に、郷役の武士と悶着を起こして逃げ出した名主の弟で杜宇という青年が転がり込む。
    彼は借金し、森を切り拓いて1反(1000㎡)の田を造成して米を作るが1石

    0
    2025年11月15日

    Posted by ブクログ

    日本のもつ、神、武士、稲作を通して
    伝わってくるものが、あります。
    郷に集まる人達、姫につく人達の生きざまを
    みたような気がします。
    激しいシーンもありましたが、
    読み終えたあとは、四季折々の稲作の風景
    が、残ってます。

    0
    2025年01月22日

    Posted by ブクログ

    読み初めから、朝井まかての繰り出す言葉の巧みさに引き込まれてしまった。手に取るようにその絵が浮かんでくる。緊張感も伝わってくる。声に出したら講談の語りのようだろうか、いや、文学を語る言葉だなどと思い巡らしながら、言葉の間や、リズムも楽しんだ。

    設定は架空の里であるが、江戸時代の初期頃にリアルに存在

    0
    2024年12月11日

    Posted by ブクログ

    税金も忖度も無い自由のある自身の選択と責任で神を敬い暮らす自治区に住む紆余曲折ある住民。朝井まかてさんの日本の色や模様や植物や古の言葉の表現が素敵

    0
    2024年11月12日

    Posted by ブクログ

    最初は、ファンタジー要素ありのよくわからない感じで読み進めましたが、後半、引き込まれて最後は深いなぁで完結。浅井まかてさんの手法かな?米作りに詳しくなったというかその繊細な行程に頭が下がりました。今後、白米をありがたくいただきます

    0
    2025年03月26日

    Posted by ブクログ

    時代小説は得意ではないけど、朝井まかてさんならと手に。
    牧野富太郎を描いた「ボタニカ」が面白かったからな…。

    久々のファンタジー小説。
    学生の頃きちんと国語と歴史を勉強していなかったので、わからない単語や漢字ばかりでなかなか進まない。こういう時、もう少しちゃんと勉強すべきだったな…と思う。(でもル

    0
    2025年03月17日

    Posted by ブクログ

    面白かった。江戸時代初期の隠れ里の話。
    異界に迷い込んだ感じが、ちょっと千と千尋っぽいというか。そこでの暮らしぶりや稲作の成功とか、草の者なのか、どうなのかとか。戦闘シーンはハラハラしたし、一気に読めた。
    作者のいつもの伝記もの、歴史ものというよりはファンタジー要素が強いが、やっぱり読ませる文体で面

    0
    2025年03月16日

    Posted by ブクログ

    独特の世界観で好き。

    今まで読んできた朝井まかてさんの感じとは違う雰囲気の本だったけれど、やっぱり登場人物がそれぞれ個性豊かで、魅力的。
    くすっとなる場面や驚きの展開もあり一気読みだった。

    杜宇と久四郎が久しぶりに晴れた空の下、晴れた、晴れたって言いながら田んぼへ走っって行く場面が印象的。

    0
    2025年02月06日

    Posted by ブクログ

    襲撃唐突すぎて…。米の高騰で騒がしいが、実体のない株価はいつの間にか、バブル越え。円も150円台。こんなに大変な稲作の対価としては、それでも安すぎでは。兵糧米=食糧自給率高めないと青姫の郷でなくても大変な未来に。

    0
    2025年03月03日

    Posted by ブクログ

    なんの前情報もなく読み始めたこの本。
    江戸の歴史小説なのか、ファンタジーの世界なのか…ちょうどその間にあたるような不思議な世界だった。
    青姫の郷の人々は、それぞれが何らかの特技を持つ個性的な面々。
    米作りを命じられた杜宇に、その人たちは敵とも味方ともつかぬ距離感で関わってくる。
    全体的に世界観や人間

    0
    2024年11月26日

青姫 の詳細情報

  • カテゴリ
    小説・文芸
  • ジャンル
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    徳間書店
  • ページ数
    344ページ
  • 電子版発売日
    2024年09月27日
  • コンテンツ形式
    EPUB
  • サイズ(目安)
    2MB

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  • 【閲覧できる環境】
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