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「物語が世界から消える?」
子狐に山姥、乙姫に天人、そして龍の子。
民話の主人公たちが笑い、苦悩し、闘う!
「全体の形があらわになった瞬間、
全身に鳥肌の立つような感動を覚えた」
阿部智里(作家)
【出版社からのコメント】
朝井さんと日本各地へ行き、
昔から伝わるお話を聞かせていただきました。
湖や地方の山、遺跡に滝。
ブナ林の中を走り回り、
田んぼの中で
偶然みつけたお地蔵さんを拝んだことも。
そんな四季折々の一瞬一瞬が集められ、
物語となり、生き物のように動きはじめました。
「物語よりおもしろいものがある」
と言われる厳しい時代の中、
朝井さんが命を吹き込んだ“物語たち”は
世界に問いかけます。
物語たちがいなくなってしまったら、
どうするでしょうか?
本作品が、
物語に関わるすべての人に届いたらと
切に願っております。
昔、むかしのそのまた昔。深山の草原に、
一本の名もなき草がいた。
彼のもとに小生意気な子狐が現れ、
「草どん」と呼んでお話をせがむ。山姥に、
団子ころころ、お経を読む猫、
そして龍の子・小太郎。草どんが語る物語は
やがて交錯し、雲上と雲下の世界がひずみ始める。
――民話の主人公たちが笑い、苦悩し、闘う。
不思議で懐かしいニッポンのファンタジー。
〈第十三回中央公論文芸賞受賞〉
(解説:阿部智里)
章ノ一 小さき者たち
草どんと、子狐
団子地蔵
粒や
亀の身上がり
猫寺
章ノ二 勇の者たち
通り過ぎる者
お花
湖へ
小太郎
章ノ三 物語の果て
草どんと、子狐と山姥
神々の庭
空の下
解説:阿部智里
Posted by ブクログ 2024年01月16日
本の中で本を読む感覚ですね、たくさんの民話、御伽噺を読めて、何気ない話が実は深い意味があるので。小太郎の話は初めて聞きました。お母さんに会えるのとお父さんに育てのお母さんとみんな意味があるから、自分の使命があるから。草どんが雲上人だったと、それが命尽きると、最後には現代を風刺していて、間違いなんだな...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年12月17日
ミヒャエル・エンデさんの
「はてしない物語」の中で、
主人公のセバスチャンが、
ある一冊の「物語」を読んでいくうちに、
その物語の中に入り込んでしまって、
あの愛嬌のあるファルコンと一緒に
旅を続けていく中で、
とてつもない経験と、
とてつもない勇気を
身につけていく…
あのセバスチャンの「奇跡」...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年05月07日
初めのうち、草どんが子狐にひたすら昔話を語るお話かと思ったんですが…読み終えてみたら、いやはや、雄大というか壮大というか、とても大きくて深いお話でした。確かに今の世の中、おばあちゃんのそのまたおばあちゃんから口伝えで伝わったお話を知ってる人の方が少ないでしょうし、元のお話が持っていた残酷さもきれいに...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年02月17日
良い本を読んだ。この本の言おうとしていることに私も共感する。
お伽噺が最初は語られていくが、後半になり語り部の草どんの話へ。日本の古来からある八百万の神などの神々を存在たらしめるものが人々が語り継ぐお伽噺の中にある。それを現代の人間は忘れ、疎かにして神々の存在を儚いものに。
そう言う意味からも「にほ...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年10月03日
子狐が、森の「草」にお話をせがむ。
草といっても、大きな木のような不思議な植物だ。
最初はうるさそうに、短い話をしてやるだけの草。
しかし、なぜか自分の内部から物語がよみがえってくる。
物語内物語が次々と展開する。
贅沢なつくりだ。
これはもう、面白くなるはず。
山姥が、子狐が、最後に「草」が、...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年07月13日
「草どん」と呼ばれる一本の草が子狐に話をせがまれ、次々と昔懐かしい民話や昔話を語る。
浦島太郎やおむすびころりんとか傘地蔵、かぐや姫や桃太郎も。童話本などで記憶にある話とは少し違い、朝井まかて風昔話集。
かと思っていたら、章の三で、雲上と雲下が交錯し、俄然様相が一変する。
この小説は、お伽噺を題材に...続きを読む
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