2編。共通するのは、兄からの暴力(が振るわれる現実と、そういう嘘をストーリーとしてつくこと)、島の中の出来事であること、貧困。
ともに舞台は海外だ。書きたいことを書くときに日本を舞台にすると嘘くさくなる、そういう題材があるのだろう。
数十年まえは真正面から向き合えていた題材に、迂遠な手段を使ってでも
...続きを読む直面しようとする作者。
「蹴爪(ボラン)」
読むことで、胃に重油を流し込まれたような。
中上健次「一番はじめの出来事」を思い出していたら、どうやら作者は中上健次にも影響を受けているとか。
「クイーンズ・ロード・フィールド」
こちらは読んでよかった、と素直に思った。
最高にエモい台詞「わたしのだいじちゃんだからね、ひとりじめなんだ」は一生忘れたくないし、語り手の気づき「人がひとり死ぬということは、その人が周りの人と交わしていた親密な言語がひとつ滅びることだ」も、憶えて都度反芻したいものだ。
ただ単にチンコ出すだけじゃなく、assholeに対し男3人が揃ってチンコ出す、のが、うーんなんというか意義深いというか感慨深いというか。