水原涼のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ2編。共通するのは、兄からの暴力(が振るわれる現実と、そういう嘘をストーリーとしてつくこと)、島の中の出来事であること、貧困。
ともに舞台は海外だ。書きたいことを書くときに日本を舞台にすると嘘くさくなる、そういう題材があるのだろう。
数十年まえは真正面から向き合えていた題材に、迂遠な手段を使ってでも直面しようとする作者。
「蹴爪(ボラン)」
読むことで、胃に重油を流し込まれたような。
中上健次「一番はじめの出来事」を思い出していたら、どうやら作者は中上健次にも影響を受けているとか。
「クイーンズ・ロード・フィールド」
こちらは読んでよかった、と素直に思った。
最高にエモい台詞「わたしのだい -
Posted by ブクログ
タイトルの蹴爪(ぼらん)とクイーンズ・ロード・フィールドの2作。
蹴爪(ぼらん):南国の島に暮らす主人公ベニグノの物語。島で行われる闘鶏場と祠を作ろうとする広場舞台に、いろいろな登場人物とのとの人間模様。暴力が主題かと思わせるところどころの描写は好ましく思えませんでした。大人びた子供の主人公と子供じみた大人の浮浪者が同年齢かのようで、登場人物の個性が描き切れていないように感じました。こちらだけでは★2。
クイーンズ・ロード・フィールド:スコットランド弱小サッカーチームのサポーターである幼馴染4人組の物語。テンポよく構成され読みやすい良作。主人公の妻となる女性、脚に障害を持つその妹、姉妹が亡くな -
Posted by ブクログ
「蹴爪」
どこか異国の遠い島に暮らすベニグノ。父親は闘鶏場を営んでいる。兄は頭が良かったのにお金がなくて進学クラスには通えなかった。
島のお金持ちの娘・グレースと仲良しなのだが、ある日エクエクと名付けられた彼女のお気に入りの鶏が闘鶏に出されることとなってしまう。
エクエクをなんとか助けたい、戦い方を教えてくれと、島の墓地に暮らす浮浪者ジェスに請う二人だったが、結局なす術なくエクエクの闘いを見ていることしかできなかった…。
貧困、殺人、地震、暴力、まだ幼い少年であるベニグノにふりかかる理不尽。強くなりたいという彼の姿を最後まで鮮やかに書いていました。
「クイーンズ・ロード・フィールド」
イギリ