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Posted by ブクログ
同じ親でも、父と母は違う。
母は生むけど、父って何なんだろう。
これまで父だと思っていた相手が、
遺伝子的には他人だったとしたら?
そのとき「父」という関係はどこに残るのか、
ずっと考えさせられた。
精子提供で生まれた子どもたち。
それぞれ違う人生なのに、
みんな苛烈さを感じるのが印象的だった。
真実のためならどんなに大事な関係だったとしても壊してしまう人。
自由であることを何よりも優先する人。
関係を壊さないために自分を壊してしまう人。
遺伝子が人を形作るのかな。
それとも関係が人を形作るのかな。
ラスト、ある人物がそれまでの意見を全く反対に変えてしまうシーンがある。
あれは真実を知ったからというより、
もともとの違和感がすとんと腑に落ちてしまっただけなのかもしれない。
うまく言えないけど、
自分的には怖さが残る終わり方だった。
健太それでいいんか?
やっぱり、逸木裕はすごい。侮れない。
Posted by ブクログ
大手ビジネスホテルチェーン〈ラ・フォレ〉の創業者・森栄莞爾は、カリスマ経営者として多くの人に愛されていたが、精子提供で105人もの子供を作っていた。
彼が亡くなってからそのリストが出回り、12人のきょうだいたちが自助活動を目的に集まった。
そこで、莞爾を父と認める声明を出してほしいと言われ…。
12人各々の育った環境も違えば、考えることも違っているのは当たり前だが、共通しているのは父親が森栄莞爾だということ。
みんなは、父親として認めるのか…に始まったのだが、そう簡単に答えが出せる筈もなく、何回か会合で会うたびにその人となりがわかってくる。
血の繋がりよりも育てられた父のことを思うのか…苦悩していた三ツ橋健太の答えが、間違っているとは思えなく、どうしようもなく父だと思った理由に自らも恐れていたほどの過剰な家族愛を発見したからだということに言葉もなかった。
血の繋がりを重く受けとめるのは、男女で違うのだろうか…と考えてしまった。
きっと正解などなくて、その人だけが感じるものかもしれないが…。
ただ精子提供の意味を知ると、とても重くて深い問題だけに簡単に答えを出せるものでもないと感じた。
Posted by ブクログ
父と子の関係性、センシティブで極深い課題に挑戦した問題作 #森栄莞爾と十二人の父を知らない子供たち
■あらすじ
大手ホテルチェーンの創業者森栄莞爾。彼は生前に精子提供を行っており、百人以上の子どもを作っていた。ある日、転職活動中である三ツ橋健太のもとに、ラ・フォレの相談役の支倉から手紙が届く。森栄の子どもたち十二人が邸宅に集められ、とある提案を受けることになるのだが…
■きっと読みたくなるレビュー
私は何故この世に存在するんだろう?
物心をつくと誰もが一度は思い悩む疑問ですよね、でも結局は答えなんて見つからない。でも近くには両親や兄弟がいて、愛情に包まれながら楽しく過ごしていると、そんな湿っぽい疑問は忘れ去られていく。
アイデンティティってのは、自分自身と何かを比較することで明確になる。だからこそ人間関係、特に愛情と密接に関係あるんだと思う。本作はそんな自分自身の存在意義を描いた物語。
物語は森栄莞爾の子どもたちが邸宅に呼ばれるところから始まる。子どもたち十二人に対して大金が絡む依頼がなされ、全員でどうするか議論していくことになるのだ。
お話全体の進行役は子どものひとりである三ツ橋健太。他の子どもたちや育ての親との会話をすることで、父親と子の関係性について考慮を深めていくのです。
確かに、父と子どもの関係性って何なんでしょうか? 私の場合、母親からは愛情をたくさんもらったと感じてますが、父親からは正直微妙なんですよね。もちろん愛情は感じてますし、感謝もしています。ただ、実は本当の父親ではないとしたら、どんな感情が沸くのでしょうか。
健太の育ての親である三ツ橋健一郎は、めっちゃいいお父さんなんです。父としてはの役割をしっかり果たしていて頼りがいがある、子どもの対しても正直で優しい。でも、健太にとって本当の父親ではないのです。育ててくれたれ人と遺伝子が繋がっている人、どちらが父親なのだろうか… 読者として、健太と一緒にこの難しいテーマに直面することになるのです。
また議論シーンも本作の読みどころのひとつ。映画『十二人の怒れし男』を彷彿とさせるやりとりは、本作をエンタメとして昇華させてくれますね。
そして最大の謎、なぜ森栄莞爾はこんなにも子どもを作ったのか。子どもに恵まれない人たちへの社会貢献なのか、それとも… センシティブかつ困難な課題に挑戦した本作、逸木裕先生の新しい一面が見れた気がしました。
■ぜっさん推しポイント
私も父親になって、それなりの年月が経ちましたが、いまだに父親の感覚がないすね。いや、子どもを愛してますし、責任をもって育ててはいます。子どもたちは何よりも大切な宝物です。しかし父親としてのアイデンティティってのが、ピンと来てないんです。
でも不倫をしたり、犯罪を侵したり、当てもないのに仕事を辞めたりはしない。子どもたちに直接影響を及ぼしてしまうような、愛情を裏切ってしまう行為はしないようにしてます。それは子どもたちが中心であるべきだと思っているからなんですよね。
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