新潮社作品一覧

非表示の作品があります

  • 佐賀北の夏―甲子園史上最大の逆転劇―
    3.9
    2007年、夏。甲子園は奇跡に揺れた。前年県大会初戦敗退の公立校が、全国制覇を成し遂げたのだ。その名は佐賀北。スター選手を一人も抱えることなく、宇治山田商、前橋商、帝京、広陵など常連強豪校を次々と破った裏には、いかなる練習と秘策があったのか。対戦校の監督たちが体験した怖さ、監督・選手間で交された日誌の存在など、綿密な取材から、最大の逆転劇が起きた必然に迫る。
  • 甲子園が割れた日―松井秀喜5連続敬遠の真実―
    4.0
    「甲子園なんてこなければよかった」──。球史に刻まれた一戦、1992年夏、星稜vs明徳義塾。松井との勝負を避けた明徳は非難を受け、試合をきっかけに両校ナインには大きな葛藤が生まれた。あれから15年、自らの人生を歩みだした監督・元球児たちが語る、封印された記憶。高校野球の聖地で、彼らは何を思い、何が行われたのか。球児たちの軌跡を丹念に追ったノンフィクション。
  • トリモノート(新潮文庫nex)
    3.3
    ときは十八世紀後期のお侍さんの国。齢十六のお星が藪の中で光る円盤を発見した。この円盤、なんとひとりでに穴が開き、中には見たことのないものばかりが並ぶ。お星と幼馴染の舟彦、ふたりのティーンエイジャーは、現代から時空を超えてきたとも知らず、さまざまなアイテムに興味津々。これで難事件を解決できるかも? 技術の進歩=犯罪捜査の進歩、笑いあり涙ありの科学的捕物帳(トリモノート)。
  • 小さいおじさん(新潮文庫nex)
    3.3
    市役所建設課に勤める新米女子職員の千秋はある日、給湯室で不思議なものを目にした。歌をうたいながら踊る着物姿のおじさん――驚くべきことに、その身の丈は15センチほどしかない。孤独な人にだけ見える、小さい(だけどへそまがりで態度はやたら大きい)おじさんの力を借りて、5年前の殺人事件の謎解きに挑む千秋だったが……。史上もっとも凸凹なコンビで贈るミステリ、誕生。
  • お家さん(上)
    3.9
    1~2巻693~737円 (税込)
    大正から昭和の初め、日本一の年商でその名を世界に知らしめた鈴木商店。神戸の小さな洋糖輸入商から始まり、樟脳や繊維などの日用品、そして国の命である米や鉄鋼にいたるまで、何もかもを扱う巨大商社へ急成長した鈴木──そのトップには、「お家さん」と呼ばれる一人の女が君臨した。日本近代の黎明期に、企業戦士として生きた男たちと、彼らを支えた伝説の女の感動大河小説。
  • 銀のみち一条(上)
    4.3
    1~2巻737円 (税込)
    千二百年もの間、日本に銀をもたらし近代鉱業の中心となった生野銀山。その但馬の地に生まれつき、明治の時代を生きた三人の女がいた。東京帰りで名士の娘、咲耶子。町一番の美貌で芸妓の芳野。気立てがよく真っ直ぐな女中の志真。彼女たちの胸の中には、生涯忘れられない男として刻まれた、孤独な坑夫、雷太──。激動の変革期、恋と夢に魂を燃やした、名もなき人々の感動大河ロマン。
  • 日本防衛秘録―自衛隊は日本を守れるか―
    4.0
    防衛省トップとして最前線で指揮を執ってきた著者が解き明かす国家防衛、その真実。日本列島の軍事的価値、中国軍の狡猾な目論み、在日米軍の戦略、北朝鮮のミサイル開発など、激変する安全保障環境の未来を占う啓発の書。冷徹な地政学とリアリズムに裏づけられた知見から、領土・領海をめぐる議論に一石を投じる。国民には見えにくかった自衛隊員24万人の真の姿も明らかになる。
  • 獅子の城塞
    4.5
    1巻1,089円 (税込)
    決して陥ちぬ天下城、それは築城家の見果てぬ夢。戸波次郎左は信長の夢を叶えるため、欧州に向かった。安土城を造った鬼才の血を引く男はイタリアで名を上げる。やがて大国イスパーニャの圧政に抗うネーデルラント人たちに請われ、彼らを守る鉄壁を手がけることに。愛しい妻子。異国で得た信頼。だが故郷日(ひ)の本(もと)はあまりに遠く――。佐々木譲が全ての力を注ぎ込んだ、大河冒険小説。
  • 二十歳の原点序章
    値引きあり
    4.0
    高校三年生の秋から、受験、親もとを離れての京都での学生生活を通し、美しい山野への憧れ、歴史に対する興味、社会の矛盾への怒りなど、二十歳の凄烈な死にいたる青春の夢と激情を、絶えず何かを求め、戸惑い悩む未熟な孤独の心で記したノート。
  • 二十歳の原点ノート
    4.0
    自己、家族、友だちについて語る断面からは、明るく多感で利発な少女の素顔がうかがえる。高校へ進学し、バスケットクラブと受験勉強の両立に苦悩しながら、精一杯に努力し真剣に生きた姿は、同じ悩みを知る多くの人々の心に深く刻まれるであろう。
  • マルテの手記
    4.3
    青年作家マルテをパリの町の厳しい孤独と貧しさのどん底におき、生と死の不安に苦しむその精神体験を綴る詩人リルケの魂の告白。
  • 拒絶空港
    3.7
    NIA206便は、主脚タイヤをシャルル・ド・ゴール空港離陸時に損傷してしまう。整備士たちが対策を練り始めていたところに、「何者かが同機に放射性物質を持ち込んだらしい」という衝撃的な続報が飛び込んできた。航空史上最悪の状況に陥った747-400は、着陸地を求めて、日本上空を彷徨う。地上職員と機内クルー、それぞれの闘い。作家・内田幹樹が遺した、最後の航空サスペンス。
  • 機体消失
    3.4
    百億円相当のコカインを、小型機で密輸しようとする犯罪グループ。沖縄・下地島の自然に抱かれ疲れを癒す、ふたりのパイロット。結びつくはずのない両者が出会ったとき、事件は全貌を現した。激しい台風の中、忽然と姿を消したセスナの謎。そして、追いつめられた男たちによる訓練用ジャンボ機のハイジャック。世界一不運な副操縦士・江波順一は、恐るべき難局を打開できるのか?
  • 査察機長
    4.5
    新米機長、村井知洋は頭を抱えた。ミスひとつで資格を剥奪されてしまう査察飛行、その担当が氏原政信キャプテンに決定したからだ。氏原は鋭いチェックで皆から恐れられる存在だった。そして、村井の最も長い一日が、幕を開ける。目的地、雪のニューヨークは遥か彼方、前途には様々なトラブルが待ち受けていた。操縦席、そしてパイロットの真実を描き切った、内田幹樹の最高傑作。
  • パイロット・イン・コマンド
    3.9
    ロンドン発202便は、飛行機好きの小学生、護送される国際犯罪者など、様々な人々を日本へと運んでいた。だが成田が近づいたその時、突如、第二エンジンが炎上! 機長ふたりも倒れてしまう。乗員乗客の命は、副操縦士の江波が預かることに。経験不足のパイロットは、傷ついたジャンボを無事着陸させられるのか? 航空サスペンスとミステリを見事に融合させた、内田幹樹の処女作。
  • 操縦不能
    4.3
    北朝鮮からの亡命者を乗せたワシントン行き002便は、大雪のため遅れて離陸した。その直後、機長二人が倒れ、コクピットには副操縦士の江波だけが残された。そして墜落の危機が訪れる。速度と高度を示す計器がなぜか狂いはじめたのだ。万策尽きた江波に、救いの女神が現れる。元訓練生の岡本望美が、地上のシミュレーターで“一緒に飛ぶ”というのだ。最も危険な夜間飛行が、いま始まる。
  • 爆発的進化論―1%の奇跡がヒトを作った―
    3.9
    生命誕生から約40億年。変化は常に一定ではなく、爆発的な進歩を遂げる奇跡的な瞬間が存在した。眼の誕生、骨の発明、あごの獲得、脚の転換、脳の巨大化……。数多のターニングポイントを経て、ゾウリムシのような生物は、やがてヒトへと進化を遂げた。私たちの身体に残る「進化の跡」を探りながら、従来の進化論を次々と覆す、目からウロコの最新生物学講座!
  • 谷間の百合
    4.2
    充たされない結婚生活を送るモルソフ伯爵夫人の心に忍びこむ純真な青年フェリックスの存在。彼女は凄じい内心の葛藤に悩むが……。
  • ブッダと法然
    3.0
    古代インドで覚りを開き、仏教を興したブッダ。中世日本で、念仏往生を説いた法然。それまでの常識を覆した独創的な教えは、いまだ色褪せることはない。ともに動乱の時代に生まれ、苦難にも負けず、己の道を突き進んだブッダと法然。インド仏教の研究者にして浄土宗の僧侶が、偉大な“開拓者”を徹底比較。仏教の本質と凄みがよりクリアに見えてくる!
  • バカざんまい
    3.5
    「日本代表勝てる」と煽るメディア、「お騒がせ」を謝罪する芸能人、上から目線で地方を語る東京人、バーベキューを礼賛したがる若者――。ウェブを介して増殖し続ける奴らを、ネットニュース編集者が次々捕獲、鋭いツッコミで成敗していく。読後爽快感220%、ネットに脳が侵されていない賢明な読者に贈る、現代日本バカ見本帳。
  • サロメの乳母の話
    3.7
    ホメロスが謳うオデュッセウスの漂流譚はでっちあげだ! と糾弾する妻ペネロペ。不器用で世渡りが下手な夫を嘆くダンテの妻。サロメの乳母、キリストの弟、聖フランチェスコの母、ブルータスの師、カリグラ帝の馬……歴史上の有名人の身近にいた無名の人々が、通説とはまったく違った視点から語る英雄・偉人たちの裏側。「ローマ人の物語」の作者が想像力豊かに描く短編小説集。
  • 薔薇の雨
    4.3
    年下の男との恋に落ちて5年。新鮮さがいつか馴れ合いになり、ときめきは穏やかな親近感に変わった今、留禰は別れが近いと知る。もはや止めることができない恋の終わりを受け入れようとする女、その心に溢れくる甘やかな悲しみを描いた表題作ほか、恋愛に翻弄され人生に行き惑う男女のありさまを、抒情豊かな筆致で描き上げた5篇。芳醇な味わい、深い余韻。まさに恋愛小説の傑作。
  • 髪

    -
    痴呆の老女の心に甦る初恋の少年との幼い遊戯の思い出(「紙」)、祇王寺の庵主の「男」をめぐるすさまじい逸話(「露」)、放浪の僧侶が抱く、さる女性の絹のように豊かな黒髪(「髪」)など、人間の宿業の深さを炙り出す11の物語。なかでも表題作の「髪」は寂聴訳「源氏物語」から生まれ、新作能『夢浮橋(ゆめのうきはし)』として上演され評判を呼んだ作品。煩悩を照らし、光明を見いだす短編集。
  • みちづれ 短篇集モザイクI
    4.5
    1~3巻561~638円 (税込)
    宝石のような短篇を百篇綴り、壮麗なモザイクに組上げる、著者独創の連作シリーズ第一巻。青函連絡船から海峡へ花束を投じる男に、見知らぬ女の視線がからむ表題作。四十近くなった娘が幻の父と対面する、その一瞬の情愛がせつない川端賞受賞作「じねんじょ」、寝静まった家に、夜毎すすり泣きの声が響く「すみか」など、僅か数ページに封じこまれた人の世の怖れと情味。
  • 釈迦
    4.3
    八十歳を迎えたブッダ(釈迦)は、侍者ひとりを連れて最後の旅に出る。遺された日々、病み衰えたブッダの胸に、人々の面影や様々な思いが去来する。自分を産んですぐ亡くなった母、養母、シャカ族の王だった父。亡霊となって現れる妻。出家してなお煩悩に苦しむ弟子たち、尼僧を受け入れた日のこと。涅槃に至るブッダの言葉の数々が、心地よい音楽のように綴られる。入魂の仏教小説。
  • 場所
    4.0
    父の故郷「南山」、母の故郷「多々羅川」、夫と娘を捨てて出奔した「名古屋駅」、作家としての出発点であり、男との複雑な関係も始まった「三鷹下連雀」そして「西荻窪」「野方」、ついに長年の出家願望を成就させた「本郷壱岐坂」。父、母を育み、様々な波乱を経て一人の女流作家が生み出されていった土地を、八十歳にして改めて訪ね、過去を再構築した「私小説」。野間文芸賞受賞作。
  • いよよ華やぐ(上)
    4.0
    1~2巻671円 (税込)
    俳人にして小料理屋の女将、藤木阿紗女91歳。きもの研究家・浅井ゆき84歳。スナックのママ・杉本珠子72歳。人生の激しい軌跡を刻み、齢を重ねた今だからこそ、見えてくるものがある。一途な恋、激しい愛、生そして死……。年々にわが悲しみは深くして いよよ華やぐ命なりけり──岡本かの子の歌そのままに、命がけの愛をつらぬき、齢を重ねて華やぐ女たちの人間模様を描く長編小説。
  • れもん、うむもん!――そして、ママになる――
    4.6
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 つわり、胎動、分娩、母乳……思うようにならない自分の体と、命を預かることへの緊張。ママとして最善のことをしたいのに、できない。贅沢な悩みだと分かっていても、のみこめない気持ちを抱えて、身も心もズタボロになった日々。シアワセだけじゃ、産めません……。「しんどい」気持ちにそっと寄り添う、ママたちの味方の一冊。
  • すっきり、楽しく、自由に暮らす ~Maru in Michigan~
    3.5
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 背伸びするのではなく、気持ちがやすらぐインテリア。お金をかけるのではなく、アイディアが光る誕生日パーティーや、ハロウィン、クリスマスなどのイベント。センス溢れる子ども服のコーディネート。小さな子どもやペットと暮らしていても実現できる、おしゃれでシンプルな暮らしを、大人気シリーズの著者が初公開!
  • バリアバリュー―障害を価値に変える―
    4.1
    1巻1,056円 (税込)
    障害は人ではなく、環境にある――この小さな気づきが、車イスに乗った青年に4000万人市場をもたらした。偏差値33から一念発起、大学進学、起業時代の極貧生活を経て、ユニバーサルデザインを牽引するベンチャー経営者へ。その劇的な半生と、斬新なビジネスモデルを生んだ独自の「反転戦略」を明かす。
  • EU騒乱―テロと右傾化の次に来るもの―
    4.0
    パリの無差別テロ、溢れる難民、財政破綻、そして右傾化――。「平和」をかかげ「民主主義」を育んだEUの国々が今、躓いている。在仏四十年、欧州を見続けたジャーナリストが見抜く「危機の本質」が「民主主義の現在地」を明らかにする! さまよえる世界の行方と日本が最も知るべき「本当の欧州」を捉えた緊急レポート。 ※単行本に掲載の写真の一部は、電子版には収録しておりません。
  • ただ材料を混ぜるだけ、発酵は冷蔵庫におまかせ! 簡単もちふわドデカパン
    4.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 おやすみ前に5分で生地づくり、発酵は冷蔵庫におまかせで、翌朝は三つ折りにして焼くだけ。アレンジは自由自在、ずっしり食べ応えがあるから子どもだけでなくパパも大満足! 忙しいママでも気軽に、パンづくり初心者でも失敗なく焼ける54レシピを紹介。安心・安全な焼きたての手作りパンをご家庭で。
  • 中央銀行が終わる日―ビットコインと通貨の未来―
    4.3
    日本銀行の金融政策はなぜ効かなくなったのか? 仮想通貨はなぜお金として機能するようになったのか? 「金利付き貨幣」の出現は、経済の仕組みをどう変えるのか? 日銀を飛び出した異能の経済学者が、「貨幣発行独占」崩壊後の新しい通貨システムを洞察する。マイナス成長がもたらす大格差時代を生き抜くための必読書。 ※単行本に掲載の写真の一部は、電子版には収録しておりません。
  • モーツァルト荘
    4.0
    都会を捨てた一家が静かな高原で営むペンション〈モーツァルト荘〉。ラジカセのロックで踊り狂い、奇妙な忘れものを残していく若夫婦、駆け落ちカップルを囲む不思議な晩餐会、月夜に前庭で舞う裸婦、そしてクリスマス・イブに化けて出るのは狐?四季折々、訪れる老若男女が起こしていく事件ともいえない波紋の数々―。彼らが奏でる人生の協奏曲を円熟の筆で伝える連作小説集。
  • 改革の虚像―裏切りの道路公団民営化―
    4.0
    改革潰しの張本人は小泉首相と猪瀬委員だ!小泉政権が掲げた「構造改革」の目玉、道路公団改革。3年間にわたって迷走し続けた民営化委員会の審議過程を丹念にたどり、空疎なスローガンだけの小泉首相の姿と“改革の旗手”猪瀬直樹委員の変節ぶりを浮き彫りにしながら、失敗に終った改革の内容を徹底検証する。国民を裏切った小泉改革の実態を糾明する渾身のレポート。
  • 迷走日本の原点
    -
    政府も国民も自立した国家意識が欠如し、金融、外交等、あらゆる分野で混乱と腐敗が進行する日本。現代日本の迷走の原因は、戦後政治の舵取りにあった。すべての過ちの原点を戦後史のなかに暴き出し、新しい世界の枠組みのなかで日本の未来を展望する。桜井よしこ、魂の直言集。
  • 日本の危機
    3.5
    1~2巻770~814円 (税込)
    税制の歪み、教育現場の荒廃、人権を弄ぶ人権派の大罪、メディアの無軌道…。桜井よしこは日本社会の危機的状況を指弾する。各方面から激しい攻撃を受けつつも、彼女の信念には揺るぐところがない。なぜなら本書はすべて、丹念な取材に基づき集積された現場の声によって構成されたものだからだ。そして彼女は確信した。日本の「真の危機」はそれを自覚していないことだと―。
  • 下天を謀る(上)
    4.1
    「その日を死に番と心得るべし」との覚悟で幾多の合戦を生き抜いた藤堂高虎。織田信長亡き後、豊臣家に三顧の礼を持って迎え入れられるが、秀吉は茶々との愛欲に溺れ、天下人としての資質を失っていく。落胆した高虎は一時出家さえ試みるが、徳川家康から届いた一通の手紙に心を動かされ、再び下天を謀る決意を固める──。「戦国最強」との誉れ高い異能の武将を描く本格歴史小説。
  • 日本が犯した七つの大罪
    4.0
    あやまちに満ちた日朝交渉、欺瞞だらけの道路公団民営化、危機的な日中関係、国民の利益に全く結びつかない住基ネット……。国際社会における脆弱さと裏腹に、自国民を番号で縛ることだけに躍起になっているこの国はいったいどこへ向かうのか? 櫻井よしこが徹底した取材で、政府と行政機関が抱える問題を追及し、真の日本再生の方途を探る。
  • 白夜を旅する人々
    4.5
    昭和の初めの東北、青森――。呉服屋〈山勢〉の長女と三女は、ある重い運命を負って生まれついた。自らの身体を流れる血の宿命に脅えたか、心労の果てに新たな再生を求めたか、やがて、次女は津軽海峡に身を投げ、長男は家を出て姿を消した。そして長女もまた……。必死に生きようとして叶わず、滅んでいった著者自身の兄姉たちの足跡を鎮魂の思いでたどる長編小説。大佛次郎賞受賞作。
  • 師・井伏鱒二の思い出
    3.5
    私は、井伏先生がお元気なころに履かれた下駄を持っている。昭和30年、早稲田の学生であった私が初めて先生をお訪ねしたときも、玄関にはこれとそっくりの下駄があった――。書けずにいるときは励まし、いいものを書いたときには共に喜び、またあるときは厳しい言葉も――。日本文壇の中央を歩んだ師弟の、初期二十年間の交流。 ※単行本に掲載の写真の一部は、電子版には収録しておりません。
  • しあわせのねだん
    3.8
    最新の電子辞書にえいやと24000円を払ったら、品物と一緒にうたぐりぶかい自分がついてきた。アジアン定食8NZドルで寛容に触れた。人助けにと出した1000円には今も怒りが収まらない。生きていれば自然とお金は出ていって、使いすぎればサイフも気持ちもやせるけれど、その全部で私は何を買ったことになるんだろう。家計簿名人のカクタさんが、お金を通して人生の謎に迫る異色エッセイ。
  • 秘花
    3.7
    そこには花と幽玄が絡みあい解けあった濃密な夜の舞があった――。『風姿花伝』『花鏡』などの芸論や数々の能作品を著した能の大成者・世阿弥。彼が身に覚えのない咎により佐渡へ流されたのは、齢七十二の時だった。それから八十過ぎまでの歳月の中、どのように逆境を受け止め、迫り来る老いと向かい合い、そして謎の死を迎えたのか……。世阿弥、波瀾の生涯を描いた瀬戸内文学の金字塔。
  • 今日もごちそうさまでした
    4.0
    「食べられない」から「食べる」に移行するときには、ダイナミックな感動がある(あとがきより)。自他共に認める肉好きのカクタさんに、食革命が起こった。なんと苦手だった野菜、きのこ、青魚、珍味類が食べられる! 次々出会う未知の食材は、買って作って味わう毎日を楽しい発見で彩ります。三度の食事に思いをこめて。読むほどに、次のごはんが待ち遠しくなる絶品エッセイ。
  • 夜あけのさよなら
    3.8
    「人に取られたくない」という独占欲が、愛のかたち―やわらかに耳を打つ、心を撫でられそうな篠崎サンの声。安心してよりかかれる気がするけど、どうしてそうやさしくするの?田辺聖子の恋愛小説。
  • 思い出コロッケ
    3.6
    美人でもなく、賢そうでも若くもない女に惹かれ、家を出た夫。あの人となら温かい家庭を築けると思ったのに、なぜ──。知人の電話から、夫婦関係の冷たさを思い知る(「コロッケ」)。不倫に疲れ、帰省した先で出会った事件から、まっとうな家族の温かさと女の独り身の侘びしさに気づかされる(「黒豆」)。昭和を舞台に大人の恋、男女の情愛、そして家族の真実を描いた静謐な七篇。
  • 私の遺言
    4.1
    北海道に山荘を建てたときからそれは始まった。屋根の上の足音、ラップ音、家具の移動をともなう様々な超常現象、激しい頭痛。私はあらゆる霊能者に相談してその原因を探った。そうせずにはいられなかった。やがてわかった佐藤家の先祖とアイヌとの因縁。霊界の実相を正しく伝えることが私に与えられた使命だったのか。浄化のための30年に及ぶ苛烈な戦いを記した渾身のメッセージ。
  • 三十すぎのぼたん雪
    3.3
    もう無邪気ではいられないけれど、大人にもなりきれていない。そんな中途半端な年頃には、恋との距離も微妙になる。はじまりかけた恋への期待に、苦い記憶がそっと忍び込んでくる。心が触れ合ったと感じた瞬間に、哀しい予感が静かに満ちてくる。たのしさやときめきの裏側にある、ものさびしさとやるせなさをしみじみ描く。恋愛小説の達人ならではの、心に優しく沁みる佳品9篇。
  • 銀行王 安田善次郎―陰徳を積む―
    4.0
    日本を代表するメガバンク・みずほフィナンシャルグループ。この巨大企業の礎を築いた安田善次郎は、渋沢栄一らと共に国立銀行の設立に尽力し「元祖銀行王」と称されている。富山の貧しい下級武士の生まれながら、たった一代で巨万の富を掌中にした安田が如何なる時も肝に銘じた「陰徳」とは――。混迷の時代に生きるビジネスマン必読。『陰徳を積む―銀行王・安田善次郎伝―』改題。
  • さがしもの
    4.1
    「その本を見つけてくれなけりゃ、死ぬに死ねないよ」、病床のおばあちゃんに頼まれた一冊を求め奔走した少女の日を描く「さがしもの」。初めて売った古本と思わぬ再会を果たす「旅する本」。持ち主不明の詩集に挟まれた別れの言葉「手紙」など九つの本の物語。無限に広がる書物の宇宙で偶然出会ったことばの魔法はあなたの人生も動かし始める。『この本が、世界に存在することに』改題。
  • 月の恋人―Moon Lovers―
    3.8
    不甲斐ない彼氏と理不尽な職場を捨て、ひとり旅に出た弥生は、滞在先の上海で葉月蓮介と出会う。蓮介は、高級家具を扱うレゴリスの若き経営者として注目される存在だった。一方、この街に住むシュウメイは、美貌を買われ、レゴリスのCMモデルに選ばれるも、それをきっぱりと断っていた──。恋は前触れもなく、始まった。道尾秀介があなたに贈る、絆と再生のラブ・ストーリー。
  • 暗殺国家ロシア―消されたジャーナリストを追う―
    3.9
    白昼堂々行われる射殺、ハンマーでの撲殺、そして毒殺。社会主義政権崩壊後、開かれた国になるはずだったロシアで不審死が相次いでいる。犠牲者はジャーナリストたち。彼らはメディアが政権に牛耳られる国の中で、権力批判を繰り広げる急先鋒だった──。偽りの民主主義国家内部で、今、何が起きているのか? 不偏不党の姿勢を貫こうとする新聞社に密着した衝撃のルポルタージュ。
  • くまちゃん
    4.2
    風変わりなくまの絵柄の服に身を包む、芸術家気取りの英之。人生最大級の偶然に賭け、憧れのバンドマンに接近したゆりえ。舞台女優の夢を捨て、有望画家との結婚を狙う希麻子。ぱっとしない毎日が一変しそうな期待に、彼らはさっそく、身近な恋を整理しはじめるが……。ふる/ふられる、でつながる男女の輪に、学生以上・社会人未満の揺れる心を映した共感度抜群の「ふられ」小説。
  • 灼恋
    3.4
    徳川の中期、将軍綱吉の時代。零落した公家の娘染子は侍女として大奥に出仕する。綱吉に見初められてその寵愛を受けるが、大奥に囚われるのを拒んだ染子は、重臣柳沢吉保の側室となり、綱吉の子を生す。二人の男との三つ巴の関係のなかで激しい恋情に身を焦がす染子。絢爛な元禄の歴史を背景に、権謀術数の渦中でも、志に燃え恋に心解き放つ女と男の、強靭な恋愛を描く長編小説。
  • 恋ぐるい
    4.0
    才能に溺れて落ちていく男に、女は一途な想いを寄せ、慕い続ける…稀代の才人・平賀源内と野乃との人知れぬ恋。本草学者、戯作者で発明家としても一世を風靡しながら、取るに足らぬ男を殺めて入牢した源内は、獄中で回想と妄想に身悶えしながら、野乃との狂おしい交情を憑かれたように綴る―しくじり続きの男をひたすらに愛した女の情愛を描き尽くす時代長篇。
  • 遊女のあと
    3.6
    八代将軍・吉宗の時代、質素倹約を強いる幕府に対抗して、尾張名古屋は遊興を奨励し、空前の繁栄を見せていた。異人との出会いから、夫をすて福岡を出たこなぎと、女敵討ちのために江戸を離れた鉄太郎。長い旅路の末に名古屋の地でめぐり逢った二人は、それぞれの秘密を胸に秘めたまま接近する。巨大な政争の具となっていることも知らずに──。著者渾身の傑作歴史時代小説。
  • 王朝まやかし草紙
    3.9
    時は平安。都では、東宮と契った女は物怪にとりつかれるという噂が流れていた。東三条家、温子姫の女房・弥生は、母・近江の死に関する妙な噂を耳にする。真相を探るため、旧知の人々を訪ねる弥生。母の遺した和歌が二つの噂に関係しているらしいと突き止めるが、周囲で次々と怪死事件が発生し……。愛憎と欲望渦巻く宮中を舞台に描く、時代ミステリー。『まやかし草紙』改題。
  • 化生の海
    4.2
    加賀の海から水死体で発見された男。北海道・余市の自宅には、底に「卯」の字のある一体の古い素焼き人形が残されていた。事件から五年、かすかに残った男の足跡を辿る浅見光彦は、北九州・北陸・北海道を結ぶ長大なラインに行き当たる。それは江戸から明治期に栄華を極めた、北前船の航路と重なっていた。列島を縦断し歴史を遡る光彦の推理。ついに驚愕の真実が、日本海から姿を現す。
  • 新源氏物語(上)
    4.2
    1~3巻935~990円 (税込)
    現代のヒーローとして甦った〈光る君〉。平安の宮廷で華麗に繰り広げられた光源氏の愛と葛藤の物語を、新鮮な感覚で〈現代〉のよみものとして描いた大ロマン長編――比類ない美貌と知性、そして高貴な身分を持つ源氏は、至福の愛を求めて、許されぬ恋、苦しい恋を重ねる……。上巻には、「眠られぬ夏の夜の空蝉の巻」より「佗びぬればはかなき恋に澪標の巻」までを収める。
  • 十三匹の犬
    4.0
    1巻1,584円 (税込)
    物語の語り手は、一家で飼われてきた歴代十三匹の犬たち。戦前の明るい空気の札幌、戦争中から敗戦後の混乱の中での北京、引揚げ後の米軍の占領に始まる戦後から平成までの東京を舞台に、愛らしい犬だけでなく、臆病な犬、凶暴な犬、殺された犬、様々な犬たちが紡ぎ出す、その犬の一生と家族の歴史。十三章からなる長編小説。
  • 新潮文庫nex総選挙 2016
    無料あり
    3.7
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 「新潮文庫nex総選挙2016」上位ランキングを一挙掲載。加えて、作家・知念実希人と女優・美山加恋による特別対談、nex全72書名の目録を同時収録。 ※当コンテンツにはまだ電子化されていない作品の情報も含まれています。ご了承ください。

    試し読み

    フォロー
  • 渦森今日子は宇宙に期待しない。(新潮文庫nex)
    値引きあり
    3.8
    渦森今日子、17歳。女子高生で、アイスが好きな、宇宙人。最後で「え?」となったかもだけど、私も、私の友達(岬ちゃん、柚子ちゃん)も、そんなことは気にせず、部活動、体育祭、夏合宿、と毎日を突っ走る。でも、なんだろう。楽しいのに、面白いのに、もやもやする。私が女子高生だから? それとも、宇宙人だから? この“痛み”に、答えはあるの――? ポップで可愛い、青春小説の新地平。
  • 娘に語るお父さんの歴史
    3.6
    「お父さんの子どもの頃って、どんな時代だったの?」15歳の娘の問いを機に、父は自分が育ってきた時代の「歴史」を振り返ることに。あの頃、テレビが家庭の中心だった。親たちは「勉強すれば幸せになれる」と教えていた。宇宙や科学に憧れ、明るい未来を信じて全力疾走していた……。そして、父が出した答えとは。明日へ歩み出す子どもたちへ、切なる願いが込められた希望の物語。
  • 無名最強甲子園―興南春夏連覇の秘密―
    3.8
    スター選手のいない無名チームは、なぜ甲子園春夏連覇を成し得たのか。鷹揚な沖縄人気質に、徹底した規律指導と実戦主義を融合させた興南野球。それは、あらゆる難局を完璧かつ淡々と勝利に置き換える「静の野球」として全国の指導者を瞠目させた。いまなお異次元の強さが語り継がれる、2010年興南高校の選手達と指導者双方をつぶさに追い、その神髄に迫った傑作ノンフィクション。
  • 梔子の花
    -
    1巻638円 (税込)
    忘れられないことがある。思い出せないこともある。胸に去来する様々な感慨。ホント、人生いろいろありました。同窓会を開けば、ひとり、またひとりと出席者が減っていく。そんなとき、一抹の寂しさを感じるけれど、これからの人生だって、捨てたもんじゃない。まだまだ、これから、これから。さりげない人生の彩りをすくいあげ、歳時記風に綴る滋味豊かな短編42篇。
  • シャーロック・ノートII―試験と古典と探偵殺し―(新潮文庫nex)
    3.8
    鷹司高校で起きたカンニング事件。剣峰成と太刀杜からんは、疑惑をかけられた少女、時巻暦の調査を開始する。だが、事件を解決したと思ったのも束の間、カンニングの新たな証拠が見つかり、真偽は生徒会裁判“将覧仕合”へと委ねられることに。激突する論理と論理。反転し、眼前で姿を変える真実。そして、伝説の名探偵・金田一が参戦し……。青春×本格ミステリの新機軸、第2弾。
  • 山口瞳「男性自身」傑作選 熟年篇
    4.0
    1~2巻715~770円 (税込)
    ガスの点火ができない/バターは食品の最高傑作/軍隊では、狡猾な男が褒められ、偉くなる/私は向田邦子処女説を支持/夏の終り、咲き残っているアジサイが好き/嫌いなのは「でしょうねえ」と受け答える人――週刊新潮で31年続いた名物コラム「男性自身」は、ユーモアとペーソスにあふれた出色の身辺雑記だった。今読んでも色褪せない傑作を熱烈ファンの嵐山氏が選び、再編集した。
  • 愛ってなに?
    -
    1巻715円 (税込)
    “愛ってなんでしょうか”中年に達した男の心にふとよみがえる若い女の声……。男女の機微とサラリーマン生活の哀歓を鮮やかにとらえた表題作はじめ、『罐蹴り』『鳩胸の鳩』『葛の花』等、さまざまな愛のかたち――そのはかなさ、にがさを、優しく透明なユーモアに包む珠玉の名編15選。『翡翠の色』ほか本書初収録の作品を加えて、短編小説の名手山口瞳の全貌を明らかにする。
  • 月曜日の朝・金曜日の夜
    4.0
    1巻770円 (税込)
    中央線に乗って国立駅から東京駅まで通う。沿線に展開する四季折々の風景、車内にみる世相百態など、通勤電車の心とその表情を捉えた「月曜日の朝」。週末にホッと一息ついて行きつけの止り木でピーナツを噛み、寿司屋の床几でコハダをつまむ。わが街のやすらぎの風情を描く「金曜日の夜」。ひとつひとつの挿話に季節感が刻みこまれ、日常生活を再発見する新しい歳時記。
  • ヒラリー・クリントン―その政策・信条・人脈―
    3.0
    2008年になめた苦杯を胸に、ようやくアメリカ大統領の座を目前にしたヒラリー・クリントン。初の女性大統領は何を目指すのか。側近や閣僚候補はどんな人たちなのか。「親中・反日」になるとの憶測は本当か──。ヒラリーへの単独インタビューの経験を持ち、ワシントンのインサイダーや日米の外交・安保コミュニティにも通じた記者が、「ヒラリー政権」の全貌を徹底予測する。
  • 新版 総理の値打ち
    3.2
    一体、いつから日本の政治はこんなにダメになったのか。そもそも、かつて日本にはすぐれた指導者がいたのだろうか。そんな疑問に答えるべく、伊藤博文から安倍晋三まで、歴代首相全62人の経歴、人柄、功績を百点満点で採点。明治維新からアベノミクスまで、日本の近現代史の局面における責任の所在を炙り出す。井上馨から小沢一郎ら、首相にはなれなかった実力者列伝も併録。
  • 岬にて―乃南アサ短編傑作選―
    3.6
    かつての恋人の故郷でその不在を想うキャリア・ウーマン。寒い土地への転居を境に狂い出す「じゃぱゆきさん」。整形して若い男と結婚し、離別した娘を従妹として引き取ろうとする母。夫の子を産むと決めた女のもとを訪ねる妻。次々と夫が死ぬ魔性の女。彼女たちはさまざまに熟れていく。女性の心理描写が際立つ短編を精選し、単行本未収録作品を追加したベスト・オブ・ベスト第二弾。
  • ユタとふしぎな仲間たち
    3.9
    東京育ちの少年・勇太は、父を事故で亡くし、母に連れられ東北の山あいにある湯ノ花村に移ってきた。村の子供たちになかなか馴染めず退屈な毎日を送っていたが、ひょんなことから不思議な座敷わらしたちと出会った。彼らとの交友のなかで、いつか勇太はたくましい少年へと成長していく――みちのくの風土と歴史への深い思いがユーモアに包まれ、詩的名文に結晶したメルヘン。
  • 光の山
    4.0
    震災後の苦難に満ちた日々の中で、珠玉の小説が生まれた……地震・津波の記憶が鮮烈に蘇る「蟋蟀(こおろぎ)」「小太郎の義憤」、原発事故後の放射能や除染を背景にした「アメンボ」「拝み虫」、深い情感にみちた「東天紅」、厳粛さとユーモア、不思議な輝きに包まれる表題作「光の山」。福島在住の僧侶作家が、生と死の現実を凝視しながら描いた祈りと鎮魂の作品集。芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
  • 烈しい生と美しい死を
    5.0
    かつて女は闘った。平塚らいてう、田村俊子、岡本かの子、伊藤野枝、管野須賀子……。「青鞜」と大逆事件の時代、百年前の女性たちは因習に立ち向かい、烈しく恋と革命に生き、命を燃やし尽くして潔く美しい死を選んだ。翻って、現代を生きる女性は本当の自由を勝ち取ったのだろうか――。九十歳を迎えた著者が波乱万丈の己が人生と重ね、渾身の筆で描き出す百年の女性賛歌。
  • わが性と生
    3.8
    もし私が天性好色で淫乱の気があれば、五十一歳で、ああはすっぱり出家は出来なかったでしょう。しかし文学少女の姉の傍らで私も読書家でした。性に目覚める環境が情緒的に豊かな十歳の頃には、世界の淫書に読みふけり神秘的なエロスの領域に踏み込んでいたわけです……。あれから幾星霜「生きた、愛した」自らの性の体験、見聞を飾らず隠さずユーモラスに大胆に刺激的に語り合う。
  • 生死の分水嶺・陸羽東線
    3.5
    父親らしき男とともに、なにかを探し求めて鳴子温泉を訪ね歩いていた若い女性。その死体が、一つの川の流れを日本海と太平洋に分かつ分水嶺の傍らで発見された。東京下町の名曲喫茶に勤める彼女には、六年前に殺人事件を起こし、逮捕されるという暗い過去があった。そして、喫茶店の同僚にも魔の手が――十津川警部が分水嶺に見た運命の分かれ道とは? 迫真のトラベルミステリー。
  • 朝ごはんぬき?
    3.7
    私、明田マリ子、ハイ・ミス。OLのとき年下の男に失恋して、いまは有名な女流作家、秋本えりか先生の家でお手伝い兼秘書兼イヌの散歩係。月末になると、いろんなタイプの編集者が原稿催促におしかけてくるが、なかでも美青年編集者鈴木ノボルクンがくると、先生は仕事そっちのけでウロウロソワソワ……。人気女流作家の私生活と、ハイ・ミスの複雑な心境をユーモラスなタッチで描く。
  • 幽霊の涙―お鳥見女房―
    4.0
    家督とお鳥見役を継いだ珠世の長男、久太郎に密命が下る。かつて父と夫も務め、二人のこころと家族に深い傷を残した、あの陰働き。他国の不穏な動きを探るうち、久太郎は行方知れずに。留守を預かる珠世と嫁の恵以は不安が募る。そんな矢島家をあの世から心配したのか、一回忌を迎える久右衛門の幽霊がさまよっているという。家族の情愛の深さと強さを謳う、大好評シリーズ第六弾。
  • 終わらない原発事故と「日本病」
    4.0
    人間の命を守るべきこの国の社会システムは完全に崩壊した。企業は利益を最優先し、安全管理を怠る。重大な事故が発生しても、その事実を隠蔽しようとする始末だ。根底にあるのは「いのち」の軽視――。日本を冒す宿痾が最悪の形となって現れた福島第一原発事故を、政府の事故調査・検証委員会の一員として徹底追及。血の通った人間観を失いつつある社会に警鐘を鳴らす渾身の一冊。
  • キアズマ
    4.0
    ふとしたきっかけでメンバー不足の自転車部に入部した正樹。たちまちロードレースの楽しさに目覚め、頭角を現す。しかし、チームの勝利を意識しはじめ、エース櫻井と衝突、中学時代の辛い記憶が蘇る。二度と誰かを傷つけるスポーツはしたくなかったのに――走る喜びに突き動かされ、祈りをペダルにこめる。自分のため、そして、助けられなかったアイツのために。感動の青春長編。
  • ドンナ ビアンカ
    3.9
    虫けら同然の人生で、初めて落ちた本気の恋。それは俺に心からの幸福と、地獄を招いた――。大手外食企業役員と店長が誘拐された。練馬署強行犯係の魚住久江は、一課時代の腐れ縁・金本らと捜査に召集される。だが身代金受渡しは失敗、切断された体の一部が送りつけられる。やがて捜査線上に浮かんだのは、一人の中国人女性。一課復帰を拒み所轄を生きる女刑事が事件の真相を追う!
  • 長い橋(上)
    -
    1~2巻770円 (税込)
    暴走族、不純異性交遊、窃盗、そして売春…。保護司・田村雪枝が保護観察に当たることになった17歳の木崎すみれは、中学時代から数々の非行を重ねていた。ありのままの自分を曝けだし、無心になって更生を助ける雪枝の情熱が、すみれの頑なな心に触れたかに見えた直後、昔の不良仲間の事件に巻き込まれた彼女は、突如行方を絶った。その日から、雪枝の長い苦難の旅がはじまった。
  • 日本の試練
    -
    中国漁船が日本の領海を侵犯し、海上保安庁の巡視船に体当りする事件が発生した。明白な国際法違反であるにも拘わらず、日本政府は漁船船長を結局、釈放してしまった。狡猾な軍事外交手段を弄しアジアの覇権を狙う中国。愚の一言に尽きる我が為政者の判断。今なお残る、未曾有の大震災による深い傷痕――。直面する試練に打ち克つため我々国民は何をなすべきか。力強き国家再生論。
  • 新源氏物語 霧ふかき宇治の恋(上)
    4.1
    平安王朝の宮廷ドラマの華麗な覇者、光源氏の、因果応報ともいうべき秘められた業を背負って生れた、もの静かな貴公子・薫。彼を敬愛するがゆえに、その切実な求愛に応えることを拒みとおして逝った大君。運命の恋人たちの愛は、さらに変転しながら、川をくだる……。流麗な文章と巧みな構成を以て、世界の古典を現代に蘇らせた田辺版・新源氏物語、待望の完結編「宇治十帖」上巻。
  • 櫻守
    4.1
    1巻781円 (税込)
    丹波の山奥に大工の倅として生れ、若くして京の植木屋に奉公、以来、四十八歳でその生涯を終えるまで、ひたむきに桜を愛し、桜を守り育てることに情熱を傾けつくした庭師弥吉。その真情と面目を、滅びゆく自然への深い哀惜の念とともに、なつかしく美しい言葉で綴り上げた感動の名作『櫻守』。他に、木造建築の伝統を守って誇り高く生きる老宮大工を描いた長編『凩』を併せ収める。
  • 海峡の鎮魂歌
    3.7
    昭和9年春、函館の潜水夫・泊(とまり)敬介は、時化(しけ)る海と吹き荒れる風に妙な胸騒ぎを感じていた。予感は的中し、猛火が街を襲う。妻子と母を探し歩く敬介だったが。さらに昭和20年の空襲、昭和29年の洞爺丸沈没。立ち直ろうともがく敬介に、運命は非情な仕打ちを繰り返す……。仙台在住の著者が震災から半年後、悩み迷いながら筆をとった、再生と希望の長編小説。『烈風のレクイエム』改題。
  • 夕ごはんたべた?
    4.0
    1巻1,199円 (税込)
    尼崎の下町で皮膚科を開業する中年医者、吉水三太郎。子供たちは、学園紛争の後遺症で、いまだに内ゲバにまきこまれたり、高校を中退してシンナー遊びに走ったり。それに一喜一憂する妻の玉子。そんな中で、杓子定規な校長や無責任な親子関係論をブツ教育評論家に腹を立てながら、人生の喜びを味わっていく三太郎博士の眼を通して、本当のやさしさとは何かを考えさせるユーモア長編。
  • イタリアからの手紙
    4.0
    芳醇なるブドウ酒の地中海。死んでいく都、ヴェネツィア。生き馬の眼を抜くローマ。だましの天才はナポリ人。田園風景に、マフィア……。ここ、イタリアの風光は飽くまで美しく、その歴史はとりわけ奥が深く、人間は甚だ複雑微妙で、ぞくぞくするほど面白い。──壮大なライフ・ワーク『ローマ人の物語』へと至る遥かな足跡の一端を明かして、人生の豊かな味わいに誘う24のエセー。
  • 居酒屋道楽
    3.7
    全国の居酒屋を制覇した達人・太田和彦が、もっと贅沢な居酒屋の愉しみを求めて再び旅立つ――。東京から東北へ、横浜から大阪へ、訪ね歩いた古き良き居酒屋には、人を酔わせる歴史があり、歌があり、物語があった。さらに創業八十周年を迎えた「シンスケ」始め名居酒屋ひしめく東京下町では、伝統を受け継ぐ若手が育っている。文庫書き下ろしエッセイも入った上級者向け居酒屋案内。
  • 超・居酒屋入門
    3.9
    一人前の大人ならば、良い居酒屋を一目で見つけたい。それがはじめての店であっても、臆せず一人で入りたい。そしてしばし寛いだならば、平然ときれいに帰りたい。そんな「居酒屋の達人」になるために、知るべきことは――。ニッポン全国の居酒屋を訪ね歩き、その本質を極めた太田和彦が、経験を基に満を持して語る「正しい居酒屋の愉しみ方」。『居酒屋の流儀』改題、大幅加筆。
  • ニッポン居酒屋放浪記 立志篇
    4.3
    1~3巻638~671円 (税込)
    日本中の居酒屋を飲み歩くという志を、ひとたび立てたからには後には引けぬ―。大阪で焼いたタコの湯気にのぼせつつ杯を重ね、新潟で枝豆を肴に地酒を飲み比べ、小倉でフグや鯖を熱燗とともに味わい…地元に息づく市井の酒場、失われゆく古きよき居酒屋を求めて、今日も流浪の旅は続く。各地で出会った酒と肴と人の醍醐味を語り尽くす極上の居酒屋探訪記の第一弾、ついに登場。
  • 居酒屋百名山
    4.3
    北海道から沖縄まで、その土地に行くとなぜか自然に足が向いてしまう店……共通するのは、店全体と集う人々が醸し出す居心地のよさだった。地元の歴史や風土、気質まで映すその佇まいに誘われるように、季節を変え時間を変え、通い詰めた特選百軒。いつもの席から眺めて綴る、百店百様の至福のとき──。二十余年にわたり居酒屋探求を続けてきた著者渾身の集大成。
  • 宇宙からいかにヒトは生まれたか―偶然と必然の138億年史―
    4.3
    1巻1,430円 (税込)
    私たちはなぜここにいるのだろうか? 宇宙は人類のために誕生したのではなく、たまたま地球がヒトの生存に適していただけなのだ。人間を中心とした地球史観を排し、宇宙創成のビッグバンから地球の誕生、そして生命が生まれ進化していく様を、生物と無生物の両方の歴史を織り交ぜながらコンパクトに描いた初めての試み。 ※新潮選書に掲載の写真・図版の一部は、電子版には収録しておりません。
  • 本死にたまふこと勿れ―夏目文彦青春日記― 1巻
    3.0
    夏目文彦は文学が好きで好きでたまらない。周りを見わたしても本を読んでいる人があまりにも少ないではないか!? このままでは日本が沈没してしまう!! そう、この物語は文学に身を捧げた一人の高校生が腐りきった世の中にカツを入れ、かつ真面目に文学の素晴らしさを伝道する、革命的文学コメディーなのである! 読書界騒然の第1巻!
  • ナイショの戸黒さん 1巻
    完結
    -
    中学校に進学したフツーの少年・東海林信博。ある日、隣の席の少女・戸黒マイに拾ってもらった(ヌメヌメの液体がついた)消しゴムを持ち帰ったことがきっかけで精通をむかえてしまう。それ以降、マイを意識しはじめる東海林だったが、彼女には別の顔があって……。恋と性に翻弄される第二次性徴期のグルグルドキドキ性春賛歌ラブコメディー!!
  • 図書館の騎士団 1巻
    完結
    4.0
    その世界に唯一の図書館を擁する小都市、スウェントヴァイト。農学、建築学、地理学から歴史学、文学まで、人類の全知が集積されたその都市は、周辺列国から絶えず野心の的として狙われていた。どんな財宝や名誉よりも尊いとされる膨大な図書を護る騎士団隊長・イグナーツと上級司書・アーデルハイトの、果てしない戦いの物語が始まる。
  • 母の母、その彼方に
    -
    四方田柳子という見覚えのない名前をきっかけに始まった過去の探索。しだいに明らかになるさまざまな事実。女子大時代に学んだ理想主義的な児童教育に心血を注いだ柳子。広大な屋敷を管理することに情熱を捧げた美恵。日本舞踊と西洋音楽を同時に学び、生涯にわたって労働とは無縁だった昌子。著者が発掘した一家の歴史。
  • チップス先生、さようなら
    4.0
    霧深い夕暮れ、煖炉の前に座って回想にふけるチップス先生の胸に、ブルックフィールド校での六十余年の楽しい思い出が去来する――。腕白だが礼儀正しい学生たちとの愉快な毎日、美しく聡明だった亡き妻、大戦当時の緊迫した明け暮れ……。厳格な反面、ユーモアに満ちた英国人気質の愛すべき老教師と、イギリスの代表的なパブリック・スクールの生活を描いて絶賛された不朽の名作。
  • 光あるうち光の中を歩め
    3.8
    欲望や野心、功名心などの渦巻く俗世間にどっぷりつかっている豪商ユリウスと、古代キリスト教の世界に生きるパンフィリウス。ユリウスは何度かキリスト教の世界に走ろうと志しながらも、そのたびに俗世間に舞いもどるが、しかし、長い魂の彷徨の末についに神の道に入る。──福音書に伝えられているキリストの教えに従って生きよと説いた晩年のトルストイの思想を端的に示す。

最近チェックした作品からのおすすめ