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Posted by ブクログ
たった今読み終わったので新鮮な気分。ヘッセの「シッダルタ」も読んだが、瀬戸内流の方に惹かれた。つまるところ私たちは世尊の実態には迫れない。漫画も含め色々な解釈を見聞きしても、そうだなと思ったり、なんとなく違うなと思ったりしても、そう思うだけで実態に近づけるわけではない。
今回瀬戸内さんの釈迦は、従者アーナンダの視点で描かれている。おかげで、私たちの中の崇高なものに近づきたいけど近づきがたい気分と、語り手の視点とがマッチして丁度良い距離感になっている。
だが物語の中に、世尊を理解するヒントがちりばめられていないかというとそうではない。世尊は孤独だと言ったデーヴァダッタ、死ねずに永遠に生きる方が地獄に落ちるより苦しいんじゃないかと思うと語ったアングリマーラ。
けれどそれでも解けない謎がふんだんに残っている。法は平等を説いているのに、世尊はなぜ女性の出家を認めなかったか。最後「この世は美しい」とおっしゃった世尊は、それまでこの世は苦しみだと説いていたのに、最後になってその考えを翻すことにしたのだろうか。小説終盤のアーナンダの悟りもあまりにあっさり成就しすぎているように感じる。
それでも作中で二度、三度世尊が語る「犀の角のようにひとり歩め」という言葉を始め、覚者の言葉は智慧に満ちていて、それを小説と言うわかりやすい形で教えてくれた瀬戸内さんには感謝する。
けど物分かりの悪い私は、結局この一度きりの人生をどう生きることが大切に生きることなのか、まだ分からないでいる。
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