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Posted by ブクログ
松岡正剛さんいわく、世阿弥は中世のスーパースターだとのことで、いつか読んでみたかった世阿弥関係の本。100分De名著の「風姿花伝」に続き、瀬戸内寂聴さんの本書を読んでみました。
晩年、いわれない理由で島流しになる世阿弥が佐渡に向かうところからストーリーが始まります。道中、12歳にして足利義光に寵愛されたあとの栄光の日々と、人生後半での人々との別れや、どちらかというと不遇な日々が回想されます。ストーリーの中では、「離見の見」「秘すれば花」「幽玄」「男時女時」など、世阿弥の哲学がさりげなく紹介されます。
瀬戸内寂聴は本書を書き終えた後、抜け殻のようになったそうです(あとがきによる)。世阿弥の生涯が淡々と綴られつつも、あちこちに華やかさや哀しみがちりばめられている。きっと世阿弥の能も、この文書のような雰囲気を纏っていたのではないかという気がしました。
Posted by ブクログ
彼岸を感じさせながら、現身の人間の臨場感をもよびこむ世界。
苦しんで、苦しんで、解脱の境地に達したかのようにみえて、ふたたび苦しみ、それでも能役者および作者としての矜持を保ち続けようとする。
矜持を持ち続けるために必要な生のエネルギー。死に向かう心ではなく、あくまで生ききろうとするエネルギー。 -解説 川上弘美
わざわざ語らなくとも、内にあるもので十分に魅力は滲み出てくるということ。
むしろ語ることによってその魅力が些末なものになってしまうこと。
「秘」であるからこそ奥ゆかしく、思わず手が伸びてしまうようなものなのだと思う。
めまぐるしい人生のなかでも一際輝く世阿弥の生き様はまさにそれで、こういった生き様を知れて一歩大人になった気がする。
瀬戸内寂聴と世阿弥が一心同体になったこの作品だからこそものすごいパワーを感じたのだと思う。
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