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Posted by ブクログ
ロシアの大手新聞社「コムソモーリスカヤプラウダ」のタブロイド化に、50名余りの記者が反対した。そこで1993年、これらの人たちが結成して創刊したのが「ノーバヤガゼータ」である。民主主義、言論の自由、基本的人権の尊重の重視、また一般市民や弱者の立場に寄り添って報道するという、ロシア国内では珍しいリベラルな論調で、インテリ層に向けた新聞である。
ソ連時代において、党や政府の機関紙であった新聞、雑誌の大半はソ連崩壊を機に厳しい検閲から解放された。ただしその代わりに、政府の補助金はなくなり、独立採算制となった。その後、エリツィンが政権を担って市場経済を導入してから、ハイパーインフレが起きた。その影響でさまざまなものの費用が高騰して、貧困層は購読する余裕がなくなった。その状況下でインターネットが普及したことで、一気に新聞離れが加速した。その為、多くのメディアはオルガルヒや政府系企業に買収されることにした。しかしこの道を選んだことで、報道の自由はかえって制限された。特にプーチン以降、国益を害する報道、国外のプロパガンダをロシアに浸透する報道に対しては厳しかった。それでもノーバヤガゼータはこれらに飲み込まれることなく、なんとか独立を保てた。
Posted by ブクログ
ロシアという国が持つもう一つの姿が浮き彫りになっているような本でした。真実を告げようとするジャーナリストやその媒体は『何者かによって』文字通り『抹殺』されていく。そんな恐ろしさで身の毛がよだちました。
恐ろしい…。僕はこの本のページをめくりながら何度もそうつぶやいてしまいました。ロシアでは新聞やテレビなどで、現政権やプーチン氏を批判した際には、何らかの形。具体的にいうと 白昼街中でカラシニコフで文字通り『蜂の巣』になるまで射殺された者、放射性物資を密かに飲まされ衰弱の果てに命を落とした者、自宅前で撲殺された者......。 などなど、恐ろしい最期を遂げる中で(もちろん政府は関与を否定) 「ノーバヤガゼータ(新しい新聞)」という孤軍奮闘、鋭い権力批判をつづけている新聞社とそこで働く記者やスタッフたちを追ったルポルタージュです。
僕自身もこういう本を紹介して何か『警告』があるんじゃないかと思い、ビクビクものですが、ここに取り上げられているジャーナリストたちのこと思えば、そんなことは屁でもないであろうという考えに従っていこうと思っています。
僕が読んでいて特に恐ろしかったのは第8章の『ベスラン学校占拠事件の地獄絵図』という章のところで、現地で取材をしたエレーナ・ミラシナの前に繰り広げられていたのは、まさに地獄としかいえないような光景で、僕はここには書きたくないのであんまり具体的なことは書きませんが、突入した特殊部隊のメチャクチャな作戦内容と、『テロリスト』と呼ばれる人間に対してどういう報復手段に出たのか。そして女性でありながらよくここまで取材ができたな、という感想と、こういう『真実』を報道するとロシアでは文字通り『消される』ということをまざまざと知ることができました。
僕はロシアが語が読めるわけでもないし、正直、ここまでして真実は追究できません。ですので、国の意図どおりの放送をして、喫煙室でローンの完済日の話だけをし、高給をとっているテレビ会社の人間に対しても批判的な目を向けることができない自分が存在するのです。勇気あるノーバヤガゼータのスタッフたちに敬意を払うとともに、ロシアという国の多様性と闇の深さというものを思い知る一冊でした。
Posted by ブクログ
ロシアにおいて、政権批判をするマスメディアが政権から弾圧され、プーチンが大統領に就任した2000年~2009年までに120人を超える多くのジャーナリストが抹殺され(白昼堂々と射殺されたり、不可解な事故に遭遇したり、行方不明になったり)ている実情を、政権からの圧力に抵抗し続ける新聞社「ノーバヤガゼータ」の関係者への取材を基に描くノンフィクション。
本書で描かれる内容は、政権にダメージを与える内容の記事を書いたジャーナリストへの圧力や、マスメディアへの露骨な介入、など欧米・日本など報道の自由がある程度確保されている国の常識からは想像もできない酷いものです。本書自体は、2010年の出版で現在のロシアの状況を描いているわけではありません。しかしプーチンが大統領になってマスメディアを容赦なく締め上げる様子は、おそらくウクライナへの侵攻によってより一層激しくなっているだろうと容易に推測できます。
犯人を特定できて報道しようにも、政権に傷を負わせる内容だったら政権から恫喝される、マスメディアの大株主であり、政権の後ろ盾となっているオリガルヒ(新興財閥)から露骨に報道内容の介入がある、警察も国家権力に媚びて調査内容を捏造する…。本書を読んでいると現在のロシアの人々は”本当に”プーチンを支持しているのか、指示しているふりをしなければ身に危険が及ぶと考えているのか、私自身もニュースを見る時の視点が本書を読む前と後では少し変化したように感じます。
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