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昭和の初めの東北、青森――。呉服屋〈山勢〉の長女と三女は、ある重い運命を負って生まれついた。自らの身体を流れる血の宿命に脅えたか、心労の果てに新たな再生を求めたか、やがて、次女は津軽海峡に身を投げ、長男は家を出て姿を消した。そして長女もまた……。必死に生きようとして叶わず、滅んでいった著者自身の兄姉たちの足跡を鎮魂の思いでたどる長編小説。大佛次郎賞受賞作。
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Posted by ブクログ
北方の一家が、それぞれ悲しみや不幸に打ち勝つでも避けるでもなく、ただ耐えながら生き抜いていく語。読み終えてみると、表題に付く“旅”という単語に前向きな意味合いが含まれていない事が分かる。 大転換がある訳でもない、約700pに及ぶある種冗長にも感じるボリュームは、本作に込められた主題をよく表現してい...続きを読むる。 白夜の様な世界に耐えながら、生きる事を辞めない家族に胸を打たれる。
三浦哲郎さんご自身の家族の歴史がモチーフになっています。確か姉二人が自殺、兄二人が失踪だとか。 新潮文庫の「忍ぶ川」という短編集でご自身の身内の死を「恥」という感覚に結びつけて描かれていて、この感覚こそが想像力では絶対に補えない部分なのだろうなと思い、ショックを受けた。 今作で描かれている家庭は、...続きを読む東北の田舎町に住んでいる6人兄妹と父母に女中や乳母というわりかし裕福な家庭。三浦さんのご兄妹が実際どうだったのかはわからないけれど、今作では、るい、れん、ゆう、という姉妹がいて、そのうちるいとゆうは昔では白子とよばれた先天性の病気を抱えている。(アルビノというやつです) 無遠慮な視線にさらされて縮こまるように生きていたるいとゆう。しかし命を一番最初に絶ったのは、間にはさまれたれん。長男の清吾はれんの死のショックも冷めやらぬうちに恋人の苗が自分に妊娠も知らせずに中絶手術を受け、それの失敗によって命を落としてしまったことを知り、失踪。作品の最後ではるいが睡眠薬の過剰摂取により自殺し、その葬列を末子の羊吉が幼い目で見つめ、馬車に揺られるシーンが描かれている。 冒頭は逆に母が羊吉を生むために、清吾が産婆を馬車に乗せてくるところから始まります。 寂しい道で閉じられたこの作品。 白夜というのがまたなんとも効いていて、読んでいてつらくなった。
「琴引き給う君よ……か。それでいい。おまえたちはそうしていつまでも琴を弾いててけれ。おらは……おらは、もう、駄目(わかんんね)。」 2012/07/12-09/20
六人兄弟の、末の弟が描く、家族の物語。先天性色素欠乏の娘が2人生まれたことで、遺伝的な不安が家族を覆う。その不吉さや生きにくさの中で、2人が自殺、1人が失踪してしまう。 背負った運命に抗えずに流され、命を落とす者と、残された家族の悲しみが胸に迫る。
完読後、著者の私小説であることを知って納得。読み応えかなりあり。長男と次女の目線で本編は進みますが、著者自身は末っ子だったのですね。その後の著者を書いたものがあればぜひ読んでみたい。
末の娘、れんの最終的な決断の引き金はありきたりな事だ。 ありきたりだがそれ以上の絶望はそうそう無いのだ。 その絶望が美しかった。 ゆっくりゆっくり確実に、希望が閉ざされていったと感じたのだろう。 若いときは世界が狭すぎる。 羊吉に最後に語りかける会話が素晴らしい。
私の通った高校の国語には、「課題図書」とよばれる制度があり、3年間の在校中に100冊を読み切るというものがありました。しかも、読んだ本の内容は中間・期末の試験で問題にでるのだから、読まないなんて点数を捨てる無謀な行為だと思われたのです。 そんな強制力の働く読書が楽しかったどうかはべつにしても、10...続きを読む0冊の中で出会えてよかったなと呼べる本がありました。この『白夜を旅する人々』が高校時代の中でも一番強烈な印象を残している傑作なのです。 物語は昭和初期の東北。ある一家の兄弟が先天的にかかえる身体的障害から差別に苦しみながらも生きていこうとする著者自身の家族を題材にした魂の告白とも言える物語です。 家族という概念が一人一人のその構成員に与える影響、そして同じ血を分けた兄姉が自らの意志で目の前からいなくなっていく様子(失踪、自殺)が克明に語られていきます。消えていった者の心のありさま、残された側に重くのしかかる罪の意識。そうした人間のこころが引き起こす連鎖的な反応がいたいほどに伝わってきます。 昨今の日本人家族が抱える問題が既にこの昭和初期の東北の片田舎と相通ずるものがあるのは、何も家族内の虐待や対立が時代や社会の変化から生じるのではなく、あくまで人間の弱さや感情を表現することの難しさに求められることを明らかにしてくれます。 本の厚さに驚かれると思いまし、片手で読むにはつらい重さです。その分内容も重たいのですが、読み終わるのは早いと思います。「はまる」本です。
短編を一通り読んでから、この長編を読んだので、じわじわとくる死と閉塞感がより強く味わえたような気がした。 もう一度、短編を振り返り、この長編の断片を思い出したい。
再読。服毒自殺を遂げた姉るいの心のことば、暮れるでもなく 暮れぬでもなく 眠れるでもなく 眠れぬでもなく ただ深い井戸の静寂に包まれて 寝返りを打つばかりの白々とした夜 …が印象にのこる。雪国をはしる馬橇の鈴の音が耳の奥から消えない。
久々に夢中になった本。物語全体に漂う上品さ。 個々のキャラクターが強いわけでもないのに、しっかり把握できる。 みんなどこか自意識過剰。 物語全体に漂う上品さ。
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白夜を旅する人々
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三浦哲郎
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