エッセイ - 筑摩書房作品一覧

  • 「面白い!」を見つける ――物事の見え方が変わる発想法
    5.0
    日常には、意外さやとまどいが潜んでいる。世界を観察してみると、物事の「型」が見えてくる。それをずらして「面白がる」と、思わぬ発見に出会える。おしきせのエンタメじゃ喜べないひねくれものにも、新しく何かを作ってみたい人にも役立つ視点と着想。◆「この本は「面白さを見つけるという行為」そのものが面白いからやってみてよ、という本なんです。無理に人に合わせたり、競争しなくても生きていけます。みんなが楽しんでいることに興味が持てなかったり、お金や名声など世間一般の「幸せ」に疑問を感じていても、オリジナルの面白さがあるんですから平気です。」 【目次】はじめに/パート1 そもそも「面白い」とは?/パート2 「面白い」の探し方/パート3 「面白い」のふくらませ方/パート4 「面白い」を発表しよう/さいごに 「面白い」に人が集まる/あとがき
  • 野生のうたが聞こえる
    5.0
    オークの年輪、ヤマシギのダンス、夏の川がつくるビロードの草地……。生態学的知識を携えて観察し、土地へのたゆまぬ愛と尊敬を捧ぐエッセイは、アメリカの自然をみずみずしく描き出して環境運動のバイブルとなった。同時に本書は、適切な自然管理・保護とはなにか、自然への感受性を高めるためにはどうしたらよいかといった課題にも対峙する。その答えを倫理に求め、共同体という概念の枠を土壌や水、植物、動物までを含む土地全体に広げる「土地倫理」を提唱した。ソローの著作と並び立つ環境倫理学の古典。
  • 「最後の」お言葉ですが…
    5.0
    中国文学、日本語、漢字、書物等について辛口のエッセイを多数刊行し、一昨年、惜しくも亡くなった著者は『週刊文春』誌上で1995年から2006年まで「言葉の語源や、本来の正しい使い方、などについて」のエッセイ「お言葉ですが…」を連載した。この連載最後の58篇を初の文庫化。(目次より敬語敬語と言いなさんな・なんと読むのか「文科省」・ぼくはウンコだ・歴史の通し番号・豫言、預言、予言、ほか)
  • プルースト 読書の喜び ──私の好きな名場面
    5.0
    よく知られた“紅茶とマドレーヌ”やヴァントゥイユの小楽節との再会、海辺の乙女たち、祖母の死――。20世紀最高の小説『失われた時を求めて』から、著者が鍾愛してやまない場面を読み解き、この大作へ読者をいざなう。なぜプルーストはかくも多くの人々を魅了するのか。人間を見る際の認識が精細を極めていることはもとより、知覚対象がもつ生命の再創造を小説の言葉によって成し遂げたこと、それが読む者に精神の躍動、つまりは幸福感をもたらすからである。傑出したプルースト学者が、読書の愉悦をあますところなく伝える珠玉のエセー。
  • 「世間」心得帖
    5.0
    「社会学部はあっても世間学部はなくて、世間そのものは厳然としてあるのだった。世間は学問のレベルをはるかに超越した虚空にあるものと思えた」。若き日に学んだ「世間」、万華鏡のように千変万化する文士的「世間」、夫婦の、老人の…変遷するこの不可思議なものを追いながら、巷に潜む「世間」を描く。博識と豊富な経験とユーモアが横溢し、熟達の筆が明らかにする「世間」の姿とは。
  • 空想亭の苦労咄 ――「自伝」のようなもの
    5.0
    『安野光雅氏(あんの・みつまさ、画家)○日○時○分、老衰による心不全のため××クリニックで死去、八十+X歳。葬儀・告別式は○日正午より、三ヶ月間、インターネット・ホームページ○○○上において施行、したがって供花、弔慰等、金品はすべて辞退。』(本文「私の死亡記事」より)。大好きな落語の語り口を借り、得意の空想癖とユーモアを駆使して自由奔放につづった、幼少期、戦争、焼け跡、芸術、闘病、死生観……鮮やかに浮かび上がる人生の苦味と甘味。
  • 夢を食いつづけた男 ──おやじ徹誠一代記
    5.0
    クレイジー・キャッツのメンバー、俳優の植木等が描く父の人生。息子から見ると「支離滅裂」というその人生は? 若い頃、義太夫語りを目指し、やがてキリスト教の洗礼を受けたと思ったら、後に浄土真宗の住職に。その間、社会主義者として労働運動や部落解放運動に身を投じる。治安維持法違反の嫌疑で繰り返し投獄されても平等と平和を求め続けた。名著、ついに復活!
  • 夕陽妄語1 1984‐1991
    5.0
    1~3巻1,210~1,320円 (税込)
    二十世紀日本を代表する知識人・加藤周一が四半世紀にわたって朝日新聞に連載した時評エッセイ。話題は、絵画文学映画から、故人を惜しみ、国際政治について論じるものまでを含む。豊かな知識と透徹した見識は、同時性を保ちながらも、時代を越え、現代に生きるわれわれが参照する価値がある。本巻は、連載開始の1984年から1991年までを収録する。
  • セ・シ・ボン
    5.0
    広告会社に就職したもののうまくいかず。OL生活をしてはみたけれどやっぱり楽しくない。したいことは特にないけれど、フランス語だけはちょっとできるし、留学って何だかかっこいいかも……とパリでホームステイを始めた。生き迷っていたタイコが留学先で出会った風変わりな人たちとのおかしな出来事を綴った留学エッセイ。
  • 戦中派虫けら日記――滅失への青春
    5.0
    昭和17年戦時下、20歳の山田風太郎は日記を書いておこうと思い立つ。「日記は魂の赤裸々な記録である。が、暗い魂は自分でも見つめたくない。(略)しかし嘘はつくまい。嘘の日記は全く無意味である」戦争のまっただ中、明日の希望もなく、精神的・肉体的飢餓状態にある1人の青年がここにいる。
  • これでもかーちゃんやってます
    5.0
    頑張らなくてもだいじょうぶ! ちょっとくらい家が散らかってても、キーってつい怒っちゃっても、晩ごはんが少々手抜きになっても、いいんじゃない? 上大岡トメが綴る頑張り過ぎない子育てのススメ。完璧な母を目指すより、等身大で子育てしよう。
  • さる業界の人々
    5.0
    下着売り場ではパンティーの透け具合を調べ、撮影現場ではホメちぎってモデルを脱がせる。デスクに戻れば刺激的なキャプションをひねり出し、警視庁に呼ばれれば平身低頭して始末書を書く。それらすべてを「編集」の仕事として面白がれるエロのプロフェッショナルと呼ぶのである。シンボー流「面白主義」の原点がここにある。
  • 新編 若い父母へのメッセージ
    5.0
    街のベテラン小児科医が、親になりたてのお父さんお母さんに豊富な具体例を基にして、気負わず、かまえず、取りつくろわずに、子どもが“標準”をはずれていても気にするな、男親も保育園や幼稚園にコミットしよう、子どもを医者にかけすぎるな、等マイプラン、マイペースの育児論を展開する。
  • 既にそこにあるもの
    4.8
    現代美術の閉塞状況を打破し続ける画家、大竹伸朗20年間のエッセイ。常に次の作品へと駆り立てる「得体の知れない衝動」とは? 「「既にそこにあるもの」という言葉は、あれから自分の中で微妙な発酵を繰り返しつつ、時に内側からこちらに不敵な笑みの挑発を繰り返す」。文庫化にあたり、新作を含む木版画30点、カラー作品、未発表エッセイ多数収録。
  • 快楽としての読書 海外篇
    4.7
    中身があって、面白くて、書き方が洒落ている。そして、その本をすぐに読みたくなる。それが丸谷書評の魅力だ。海外の傑作を熱烈に推薦した114篇。聖書とホメロスの新訳を味わい、中世フランスの村の記録に驚く。ナボコフ、クンデラ、エーコ、カズオ・イシグロ、そしてマルケス、バルガス=リョサの魅力を語り、チャンドラー、フォーサイスを楽しむ。書評傑作選第2弾。
  • 死の文化を豊かに
    4.7
    誰もがいつかは迎える「死」。その瞬間は遅かれ早かれ必ずやってくる。鳥取市のホスピス「野の花診療所」でこれまでたくさんの人々の死に立ち会ってきた著者は、その経験をもとに、もっと「死」についてざっくばらんに語り合う文化があってもよいのではないか、と疑問や提案を投げかける。温かくそして謙虚に死と向き合う臨床医のしなやかなエッセイ。
  • 笑ってケツカッチン
    4.7
    にせの連絡電話にだまされて雑巾長靴持参で登校し大笑いされた中学時代。“瞬間湯沸器”の父に対抗してのハダシの家出? テレビ局につとめてみればここはふしぎな世界、そもそもケツカッチンとは何ぞや。時間に追われながらも友あり旅ありおいしいものあり、たくみにゆとりを作っての、ちょっとうらやましい人生。
  • 表層批評宣言
    4.7
    〈批評〉とは存在が過剰なる何ものかと荒唐無稽な遭遇を演じる徹底して表層的な体験にほかならない――どこまでも不敵な哄笑を秘めて蛇行する言葉の運動と、遊戯的な戦略に満ちた本書は「知」と「文学」の制度化=反制度化を徹底的にはぐらかすポレミカルな宣言集である。文庫版あとがき、およびその知られざる華麗な修業・遍歴時代を初めて明かした自筆年譜を附す。
  • 無駄にしたくなかった話
    4.5
    創作への意識、暮しの可笑しみ、家族への想い、文学や日本語のこと――多様で複雑で加速度的に変化する世界をどう見つめ、何を感じ、どんな言葉を紡いだのか。書き下ろし長編エッセイ、評論、書評、日記、未発表講演録を収録した文章集。平成から令和にかけての足跡を辿る。
  • 歌うように伝えたい
    4.5
    今、ここに生きている。俳優・塩見三省が病を経て、ままならない身体で懸命に生きた10年間の絶望と希望を真摯に綴る。大幅改稿して文庫化! 2014年、突然の病に倒れ、絶望を味わった。しかし著者は立ち上がり、苦しいリハビリを経て、元の世界に復帰した。そして、書き始めた。今までに出会った素晴らしい仲間たち、ともに病と闘った人々、ままならぬ身体と生きること、大切な仕事……本書は俳優である著者が自らの言葉で真摯に語り、文筆家として開花したエッセイ集である。大幅な改訂を経て、待望の文庫化。解説 川本三郎
  • のみ歩きノート
    4.5
    あらゆる酒、つまみ、酒場に真摯に向き合い、純に愉しむ画家による「のむ」を味わうためのエッセイ集。挿絵も多数収録した『POPEYE』人気連載の書籍化。 午後三時を過ぎ、少し日差しが弱まってくると、気持ちがそわそわしてきて落ち着かない。どんなに個展の搬入日がせまっていようと、頭の中は夜の晩酌のことでいっぱいになる――
  • 彼女たちの戦争 嵐の中のささやきよ!
    4.5
    リーゼ・マイトナー、伊藤野枝、メイ・サートン、ヴァージニア・ウルフ、マルゴー・フランクとアンネ・フランク姉妹、湯浅年子…この女を見よ! 科学者、詩人、活動家、作家、スパイ、彫刻家etc.「歴史」の中で、おおく不当に不遇であった彼女たちの「仕事」がなければ、「いま」はありえなかった。彼女たちの横顔を拾い上げ、未来へとつないでいく、やさしくたけだけしい闘いの記録。
  • 老人は荒野をめざす
    4.5
    「不良定年」を標榜してから幾星霜。西行、芭蕉、きだみのる…「荒野をめざしたひとびと」を想いながら、今も歩み続ける日々。すぐ隣にある死を意識しつつ、亡くなった友を悼み、いっそ「死ぬ気」で生き切ってみようと自身も読者も励ます。終刊した「週刊朝日」で26年間続いた人気連載「コンセント抜いたか」最後の3年間より精選した老年エッセイの粋。文庫オリジナル。
  • 枯れてたまるか!
    4.5
    還暦でスイッチを切りかえてから、はや二十年。老人の毎日は思ったより忙しい。まだまだ元気に老年を楽しむエッセイ集。「……年をとると男も女も体力が落ち、若いころのようなパワーが薄れる。しかし、薄れたぶん、柔道の受け身のような技を得て、余計な情報を捨てて、神髄がわかり、新しい発見がある。……」。巻末に「あとがき」にかえ、大幅に加筆改稿した「瀬戸内寂聴さんのこと」を収録。
  • 世界はフムフムで満ちている ──達人観察図鑑
    4.5
    海女、石工、競馬評論家、コンビニ店長、左官、百貨店の販売員、ピアノ調律師……。スタッズ・ターケル著『仕事!』に憧れた著者が、街場の達人から仕事の極意を拾い集めた。ときに厳しく、ときにのんきな100の人生観が、それぞれの持ち場を明るく照らす。「長時間のインタビューからはこぼれ落ちてしまいそうな話を掬い取って煮詰めた、濃厚なダシのような本」
  • 新版 レミは生きている
    4.5
    第二次世界大戦後、「混血児」を救う「レミの会」を結成した平野威馬雄は、自身もまたアメリカの父と日本の母の間に生まれた。「レミ」とは、僅かな時しか共にいられなかった父から贈られた子供時代の愛称だった。「日本人」って、誰のこと? 日本を愛しながらも差別を受ける少年・イマオは、葛藤とともに成長をする──。魂に問う珠玉の自伝小説、復刊。
  • ちくまさん
    4.5
    ちくまさんは、ちょっぴりドジだけど勤労意欲溢れるナイスレディ。PR誌「ちくま」の好評連載がオールカラーで待望の書籍化!
  • 新作らくごの舞台裏
    4.5
    大学在学中は古典芸能研究部に所属し、能・狂言・歌舞伎・文楽・浪曲・落語に親しんだ筆者。会社勤めのかたわら落語を聞きに通ううち、ひょんなことから落語を書きはじめ、いつのまにやらプロの道へ。本書では40年を超えるキャリアを振り返り、落語作家という稀有な職業の秘密を語る。新作のアイディアはどこから生まれる? 東京落語を上方に輸入するとき気をつけることは? 演者にあててどう書き分ける? 落語と漫才、落語と演劇の台本はどこが違う? 落語作家ならではの密かな楽しみとは? 落語ファンも落語作家志望者も必読!
  • 嫌ダッと言っても愛してやるさ!
    4.5
    日本のパンクロックの元祖・遠藤ミチロウの第一エッセイ集。著者が自著の中でも最も愛した本。「この一冊で、あの(THE STALIN)デビューから解散まで(80~85年)自分が何を考えていたのか、あらゆる角度から手にとるようにわかるのだ」。破壊的で土着的。吉本隆明との83年の対談を収録。文庫化に際し、詩、未収録エッセイも収録。【※紙書籍版に含まれる歌詞は、本電子書籍には含まれません。】
  • 脇役本 増補文庫版
    4.5
    旧作映画や往年の舞台で活躍した名脇役たち。かれらに関するたくさんの著書を古本の山から見つけ出す。知られざる素顔や、専門家顔負けの意外な分野での研究、波乱にとんだ生涯などを紹介する。加東大介、志村喬、古川緑波、芦田伸介、徳川夢声、浪花千栄子、伊藤雄之助、岸田森、若水ヤエ子など七十数人のバイプレーヤー、二百数十冊の本が大集合。単行本を大幅増補。
  • ぼくはこんな音楽を聴いて育った
    4.5
    1959年から79年まで、音楽家・大友良英が、幼少期から思春期までに影響を受けた、歌謡曲、ポップス、ロックやフリージャズの数々と、抱腹絶倒のダメダメ話。楽器なんて全然できないくせに尽きない音楽への憧れが巻き起こす、笑いと涙の青春エッセイ!
  • この世は落語
    4.5
    ノンキで愚かで愛すべきひとびとが登場する落語54作品の魅力を愛情溢れる筆致で語り尽くす。30年来の「落語ファン」である著者による最良の落語案内。登場人物を著者自身が描いたイラスト多数。
  • シャボテン幻想
    4.5
    「シャボテンは、──この不思議な植物は、それが生えていた砂漠の、人煙絶えたはるかかなたの世界の孤独を、一本々々影ひいて持って来ている。雲もなく晴れて刳れた空の下の、ただ焼け石と砂ばかりの世界に、淋しく乾いた音をたてて風が吹き抜けている」作家・龍膽寺雄は小説執筆の傍らシャボテン栽培に打込み、世界的な研究者となった。多くの入門書、専門書、写真集を刊行したが、中でも本書はシャボテンへの偏愛が横溢した随想集で、彼の説く「荒涼の美学」、「寂寥の哲学」はいまだ多くの愛好家を惹きつけてやまない。
  • 落語を聴いてみたけど面白くなかった人へ
    4.4
    ちゃんと聴いたことがあるのに、そのうえで興味が持てない。落語は落ちが命、と言われるのに、落ちの何が面白いのかさっぱりわからなかった……。そんな人は案外多い。「落語は面白くないのがあたりまえ」から始まる落語案内。桂米朝、古今亭志ん生ら噺家はもちろん、カフカやディケンズ、漱石まで登場し、耳の物語・落語の楽しみ方を紹介する、まったく新しい入門書。
  • 生きがいは愛しあうことだけ
    4.4
    音楽仲間との死別を経験し、生きるとは何かを考え続ける著者の最新エッセイ集。恋愛しつつ、音楽活動を通して生きる。なぜ歌うのか。「僕に才能はない。技術もない。……昔も今も音楽で生活できたことは一度もない……歌わなければ、誰かとつながりを持っていなければ、自分は犯罪者になってしまいそうだからである」。文庫オリジナル。
  • 本を読むわたし――MyBookReport
    4.4
    1巻990円 (税込)
    「ずっと本と一緒だった。アメリカでも、日本に来ても、一人のときも、いろんな人に出会ったときも。」だから、「大切な思い出は、必ず本と結びついている。」4歳から14歳までに出会った本を手がかりに、その時々の自分を振り返って描写していく、彩りのあるセルフ・ポートレート。『小学生日記』で鮮烈にデビューした著者の書下ろし作品。
  • ひみつのしつもん
    4.3
    「セキュリティ対策で訊かれる子供の頃の親友の名前が思い出せない」(「ひみつのしつもん」)、「部屋のなかに見知らぬネジが落ちている」(「ネジ」)、「自尊心を保つため家のなかで自分よりダメなやつを探す」(「哀しみのブレーメン」)、「花火で打ち上げられる夏の思い出」(「花火大会」)etc. 日常の裂け目から広がる奇想天外、抱腹絶倒のキシモトワールド! 『ちくま』名物連載、文庫化第3弾!! イラストはクラフト・エヴィング商會。
  • 新版 慶州は母の呼び声 ――わが原郷
    4.3
    人間の業を映す独自の作家活動を続けた森崎和江は、日本統治下の朝鮮に生まれた。大邱、慶州、金泉、現地で教師を務める父、温かな母と弟妹、そして「オモニ」たち――歴史的背景を理解せぬまま己を育む山河と町をただひたすら愛した日々に、やがて戦争の影がさす。人びとの傷と痛みを知らずにいた幼い自身を省みながら、忘れてはならぬ時代の記憶を切に綴る傑作自伝。
  • 台所から北京が見える ――36歳から始めた私の中国語
    4.3
    36歳で著者が中国語を学び始めたとき、人は「ハダシでアルプスに登るようなものだ」「やめろ」と言った。「語学は若いうちに始めるほうがいい」かもしれない、しかし…。有言実行。学習を開始し4年、40歳で通訳になり、生涯中国語を仕事にした著者が、語学没頭の日々、効果的な学習法、人との出会い、言葉や文化の魅力を語る。語学学習者、必読の名著。新たに1章を増補。
  • 快楽としての読書 日本篇
    4.3
    丸谷書評は、読むに価する本の魅力を、普通の読者に向けてすっきりと語る。そして読者を本屋さんまで走らせる。読書共同体のための本の評判記にして書物の買物案内―そんな見本が123本。石川淳、大岡昇平から池澤夏樹、村上春樹まで、王朝和歌から谷川俊太郎まで、広辞苑、日本国語大辞典から絵本まで。ジャンルを超えた最高必読の本を推薦する文庫オリジナル第1弾。
  • それからの僕にはマラソンがあった
    4.3
    ストレスに押しつぶされそうになったある日、ふと思った、「ちょっと走ってみよう」。そうして始まったマラソンは、それからの日々の欠かせない営みとなる。怪我を乗り越え走り続けるためには?タイムや距離をどのようにとらえるか、何をめざして走るのか……、すべてのランナーに贈る、走ることで見つけた仕事や生き方へのヒント。EKIDEN NEWSの西本武司との対談も収録。
  • そこから青い闇がささやき ──ベオグラード、戦争と言葉
    4.3
    「最初は、死者が名前で知らされる。それから数になる。最後には数もわからなくなる……」。旧ユーゴスラビア、ベオグラード。戦争がはじまり、家、街、友人、仕事…人々はあらゆるものを失っていく。そして、不条理な制裁と、NATOによる空爆がはじまった。日本への帰国を拒み空爆下の街に留まった詩人が、戦火のなかの暮らし、文学、希望を描くエッセイ集。
  • 青山二郎全文集 上
    4.3
    青山二郎は、小林秀雄、白洲正子の骨董の師匠としてだけでなく、河上徹太郎、中村光夫、宇野千代といった周囲の人たちにも大きな影響を与えた。その青山の信仰とは、知識に依らず、眼を頭から切り離して、純粋に眼に映ったものだけを信じるという「眼の哲学」であった。やきものから学んだ眼力によって、骨董はもちろん、人間の真贋から社会批評まで、ズバリとその本質を言い当てる。青山の文章は、独特な比喩とともに難解なところもあるが、知識ばかりが横溢する現在、もっとも辛辣な文明批評となっている。上巻は、「梅原龍三郎」「北大路魯山人」「小林秀雄と三十年」「贋物と真物について」など、美術と人物に関する文章43篇を収録。
  • 銀座旅日記
    4.3
    散歩と読書が大好きな常盤新平さん。銀座の路地をぶらぶら歩き、日和にまかせて平井や浦安にも足を伸ばす。歩き疲れたら馴染みの喫茶店で一服。珈琲と煙草はますますやめられず、ときには黄昏の酒場でほろ酔い気分。故山口瞳師匠宅への年始の挨拶、競馬や将棋のお仲間たちとのつきあいも欠かせない。味のあるお店や懐かしい人を訪ねて三年有余、新平さんの旅歩き交友日誌。
  • ぼくは散歩と雑学がすき
    4.3
    1970年、遠かったアメリカを誰よりもフレッシュな感性と軽妙な語り口で綴った代表作。映画、小説、音楽はもちろん、風俗から政治まで、膨大な知識と貪欲な好奇心で語りつくす。本格的な著作としては、初期にありながら既にJ・Jの世界観を確立した1冊。刊行から40年以上たつ今も全く古びることのない、まさにサブカルチャーの教科書。
  • 花の命はノー・フューチャー ──DELUXE EDITION
    4.3
    絶版だった名著に、新たな書き下ろし、未収録原稿を約200頁も加えた最強版! 移民、パンク、LGBT、貧困層……地べたからの視点から“壊れた英国”をスカッとした笑いと、抑えがたい抒情ともに描く。「花の命は……苦しきことのみ」の言葉とともに渡った英国ブライトンで、アイリッシュの連合いと過ごす、酒とパンクロックの日々。
  • JAMJAM日記
    4.3
    天衣無縫な文章で死後いっそう読者を鼓舞する俳優が、ジャズとミステリと映画に溺れる日々を活写する。撮影の合い間にダシール・ハメット、チャールズ・ミンガスの演奏に「サンキュー」と叫び、『ロッキー・ホラー・ショー』を見て、日本じゃできねえ映画だとうなる。役者としては宮下順子の上で腹上死し、『愛のコリーダ』で乞食役。70年代が猥雑さと活力に満ちてよみがえる。
  • 杏のふむふむ
    4.3
    ラブラドールのハリーと過ごした小学校時代、歴女の第一歩を踏み出した中学時代、単身海外にモデル修業に行った頃、そして、女優として活動を始めたとき……。NHK連続テレビ小説のヒロインを演じ国民的な女優となった杏が、それまでの人生を、人との出会いをテーマに振り返って描いたエッセイ集。そのとき感じたことを次につなげて明日に向かう姿は、感動必至。(解説:村上春樹)
  • ピーターとペーターの狭間で
    4.3
    アメリカ南部の黒人が話す英語はなぜ東北弁になるのか?『ライ麦畑でつかまえて』と『危険な年齢』の関係は?「がってん承知の助」の原文は? 翻訳家。なんて因果で罪つくりで、面白い商売。英語と日本語の狭間で身もだえしつつ、コトバから文化を照射する、翻訳あれやこれやエッセイ。
  • 私の猫たち許してほしい
    4.3
    少女時代を過ごした北京、リトグラフを学んだベルリンの生活、猫との不思議なふれあいや花に寄せるひそかな想い。生きるものすべてをみつめる暖かい目と、ひとそよぎの風にも自分の存在を確かめるするどい知覚力で、著者の生いたちと日常をオムニバス風につづる。直感し、認識し、理解し、愛され愛そうとするひとりの女性のすぐれた資質がみごとに表現されている。奔放なタッチで読者の心を魅了する著者のはじめてのエッセイ集。
  • 傷のあわい
    4.2
    米国で何者かになろうと海を越えた青年、夫の海外転勤に合わせて渡米した女性、人生に詰んで海外へ拠点を移した男性──。異国の地で、不安定さや傷つきに揺れながらも、そのとき成しえる最良の力で人生にぶつかっていく。その語りに、若き日の著者が耳を傾け、生きるということを同じ目線で考えた記録。解説 奈倉有里
  • 平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補新版
    4.2
    アルコール依存症、離婚を経て、取り組んだ断酒。自分の弱さを無視して「何者か」になろうとするより、生活を見つめなおし、トルストイとフィッシュマンズなどに打ちのめされながらも、すでにあるものを感じ取るほうが人生を豊かにできると確信する。様々な文学作品を引きながら、日常の風景と感情の機微を鮮やかに言葉にする。新たに3篇を加え増補新版として文庫化。
  • 資本主義の中で生きるということ
    4.2
    貨幣とは何か、資本主義とは何かを鋭く問い続け、従来の経済学の枠組みを超える新しい理論を構築してきた第一人者による、知的魅力あふれるエッセイの集大成。
  • ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ
    4.2
    中学時代、ファミコンではなくセガやMSXパソコンを持っていたというちょっと変わったゲーム少年だった著者が、自らのゲーム歴を振り返りつつ、独特の視点でゲームを愛でまくったエッセイ集。ゲームデザインのこと、ユーザーとメーカーのこと、ゲーム作家の戦略等々、ゲームをめぐって交錯するさまざまな思いを独特の筆致で活写。文庫化にあたり大幅増補。図版多数。電子版書き下ろしエッセイを追加。
  • いろんな気持ちが本当の気持ち
    4.2
    2011年デビュー10周年を迎えた著者の、創作の原点がわかる、第一エッセイ集。じたばたと考え、小説を書き、小説を読み、記憶をさぐり、そして日常を送る……。世界のなにに注目し、それをどう描いていくのか。新鮮な驚きと独特のこだわりに満ちた、長嶋有ワールドは、どんなに短いエッセイでも健在。文庫化にあたり、書き下ろしエッセイを追加。
  • パンツの面目ふんどしの沽券
    4.2
    十字架上のイエス・キリストの下着はパンツか、ふんどしか、腰巻か。幼少期に芽生えた疑問を手がかりに、長じて作家となった著者がパンツ・ふんどしをめぐる世界史的な謎の解明に挑む! 前人未到の試みとして連載中から話題騒然となり、没後、「最も米原さんらしい本」と評される、抱腹絶倒&禁断のエッセイ。
  • 記憶の絵
    4.2
    葬式饅頭を御飯にのせ、煎茶をかけて美味しそうに食べた父・鴎外のこと、ものの言い方が切り口上でぶっきら棒、誤解されやすかった凄い美人の母のこと、カルチャー・ショックを受けたパリでの生活、〈しんかき〉〈他所ゆき〉〈足弱伴れ〉などなつかしい言葉と共にあった日常のこと――。記憶の底にある様々な風景を輝くばかりの感性と素直な心でえがき出した滋味あふれる随筆集であり、いつの時代でも古びることのない本物の「洒落っ気」「哀しみ」「悦び」を味わえる一冊。
  • 二十世紀(上)
    4.2
    二十世紀は戦争と革命の時代だったとも言える。一方で、一年ごとに見ていけば、意外にも大事件の起こった年は少ない。そんなふうに私たちは毎日を普通に生きているのだ。しかし、普通が激動に結びつくことは理解されにくい。一体、この百年で、何が変化し、何が変わらなかったのだろう? 生活レベルのことから、芸術、経済、政治まで、橋本治が、歴史の全体像を身近なものへと手繰り寄せる。
  • 現代語訳 福翁自伝
    4.2
    『学問のすすめ』『文明論之概略』などを著し、慶應義塾の創設にも力を尽くした近代日本最大の啓蒙思想家・福澤諭吉。激動の時代を痛快に、さわやかに生きた著者の破天荒なエピソードが収められた本書は、近代日本が生み出した最良の読み物のひとつであり、現代日本人が生きる上で最高のヒントを与えてくれるだろう。
  • 傷を愛せるか 増補新版
    4.1
    たとえ癒しがたい哀しみを抱えていても、傷がそこにあることを認め、受け入れ、傷の周りをそっとなぞること。過去の傷から逃れられないとしても、好奇の目からは隠し、それでも恥じずに、傷とともにその後を生きつづけること――。バリ島の寺院で、ブエノスアイレスの郊外で、冬の金沢で。旅のなかで思索をめぐらせた、トラウマ研究の第一人者による深く沁みとおるエッセイ。解説 天童荒太
  • スバらしきバス
    4.1
    東京や福岡の路線バス、コミュニティバス、高速バス、ツアーバス……詩人である著者は、ふらっとバスに乗り込むと、外の景色を眺め、本を読み、ぼんやりし、バス停の名前から物語を妄想し、乗客を観察する。終点まで行って、また同じ路線で折り返す。そんなバスの中の時間は、楽しく、心地よく、ちょっと寂しい。ユーモアと叙情を湛えた傑作バスエッセイが増補文庫化。解説 大竹昭子
  • イルカも泳ぐわい。
    4.1
    「不必要なものだけを堪能できるようになれば、それは最高の娯楽になるはずだと、私は信じている」。深夜の動画視聴のなかで見つけたたった9文字のツッコミ台詞の素晴らしさをめくるめく修辞で称える表題作他、面白乱暴ひねくれ繊細鋭さ優しさ言葉への愛、Aマッソ加納の魅力がぜんぶ詰まった初エッセイ集が、書き下ろし「むらきゃみ」を加えてついに文庫化。
  • 橙書店にて
    4.1
    熊本にある本屋兼喫茶店、橙書店の店主が描く本屋と「お客さん」の物語。石牟礼道子さんが逝った日「ただただ悼みたい」と訪れた人。“書くこと”を焚きつけた渡辺京二さんの言葉。縁あって催した“村上春樹朗読会”の夜。雑誌『アルテリ』に寄稿するハンセン病患者「関さん」と交わした握手――。文庫版のための書き下ろし・単行本未収録エッセイを増補する。
  • ワイルドサイドをほっつき歩け ――ハマータウンのおっさんたち
    4.1
    人生という長い旅路を行く大人たちへの祝福に満ちたエッセイ。EU離脱投票が原因で喧嘩になった妻への仲直りタトゥーが思わぬ意味になっていたおっさんや緊縮財政にも負けないおっさんの話など。笑って泣ける21編。第2章では世代・階級等について解説。『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』と本書は同じコインの両面だと著者が記す必読書。単行本10万部突破! 解説=梯久美子 推薦文=國分功一郎
  • すべてきみに宛てた手紙
    4.1
    人生は、「やめたこと」「やめざるをえなかったこと」「わすれてしまったこと」で出来ている。そうして結局、己のなかにのこったものは? 今の自分にのこったものから、あらゆることがはじまるのならば――。この本のページを開いた読者=「きみ」へと詩人はまっすぐ語りだす。贈られるのは39通の「手紙」たち。体温を帯びた言葉のすべてに胸が震える、珠玉のエッセイ集。
  • 読書からはじまる
    4.1
    「読まない本」にゆたかさがある。「たくさん読む」が正解ではない。「一生忘れない」なんて嘘? 最も長く、最も深く人類と共に在り続けてきた「本」というメディアは、私たちの想像よりもずっと優しく、あらゆることを許してくれる友人だ。本はあなたを孤独にしない。読書が苦手、活字に疲れた――そんな本音にもあたたかに寄り添う、「人間」を楽しむ至高のエッセイ。
  • 問題があります
    4.1
    「私の一生の中で大連の昭和20年8月15日より青い空はない。生徒の前に先生が一列に並んでいた、異様な空気だった」、中国で迎えた終戦の記憶から極貧の美大生時代まで。夫婦の恐るべき実像から何の役にも立たないとわかっているけれど読まずにいられない本の話まで。「卵、産んじゃった」などの単行本未収録作を新たに加えた、愛と笑いがたっぷり詰まった極上エッセイ集。
  • ねにもつタイプ
    4.1
    コアラの鼻の材質。郵便局での決闘。ちょんまげの起源。新たなるオリンピック競技の提案。「ホッホグルグル」の謎。パン屋さんとの文通。矢吹ジョーの口から出るものの正体。「猫マッサージ屋」開業の野望。バンドエイドとの正しい闘い方──。奇想、妄想たくましく、リズミカルな名文で綴るエッセイ集。読んでも一ミクロンの役にも立たず、教養もいっさい増えないこと請け合いです。
  • へろへろ ──雑誌『ヨレヨレ』と「宅老所よりあい」の人々
    4.1
    福岡の街中に、毅然としてぼけた、ばあさまがいた。一人のお年寄りが、最期まで自分らしく生きるために、介護施設「よりあい」が始まる。「自分たちで自分たちの場ちゅうやつを作ったらよかっちゃろうもん!」熱くて型破り、超個性的な人々が、前代未聞の特別養護老人ホームの開設を目指し、あらゆる困難を、笑いと知恵と勇気で乗り越えていく実録痛快エッセイ。
  • いっぴき
    4.1
    文筆家として走り出した6年間の文章をまとめた一冊。人気バンドからの脱退を決意し、新たな一歩を踏み出した著者が描く、あたたかくてユーモアと優しさがたっぷり詰まった風景は、時に自由奔放で、時に哲学的真理をつくような魅力を持ちながら、“人”とのつながりや毎日の“生活”の愛おしさに気付かせてくれる。彼女にしか紡ぐことのできない言葉たちがここにある。
  • 遠い朝の本たち
    4.1
    人生が深いよろこびと数々の翳りに満ちたものだということを、まだ知らなかった遠い朝、「私」を魅了した数々の本たち。それは私の肉体の一部となり、精神の羅針盤となった――。一人の少女が大人になっていく過程で出会い、愛しんだ文学作品の数々を、記憶の中のひとをめぐるエピソードや、失われた日本の風景を織り交ぜて描く。病床の著者が最期まで推敲を加えた一冊。
  • 神も仏もありませぬ
    4.1
    呆けてしまった母の姿に、分からないからこその呆然とした実存そのものの不安と恐怖を感じ、癌になった愛猫フネの、生き物の宿命である死をそのまま受け入れている目にひるみ、その静寂さの前に恥じる。生きるって何だろう。北軽井沢の春に、腹の底から踊り狂うように嬉しくなり、土に暮らす友と語りあう。いつ死んでもいい、でも今日でなくていい。
  • 茫然とする技術
    4.1
    かつて、これほどまでに読者をよくわからない時空に置き去りにするエッセイがあっただろうか。「パレード。」「ぶらぶらする」「発酵と腐敗」「商店街往復」「小走りの人」「動くとおなかが痛い」「牛もいれば馬もいる」「微妙なすきまができている」「カレーと、インド遅れた」など、脱力感みなぎる71篇。面白さを伝えるのが困難な本だが、大変笑えて、おかしい奇書。
  • なめくじ艦隊 ―志ん生半生記―
    4.1
    「あたしはちょうど、うちにおったなめくじみたいに、切られようが突かれようがケロンとして、ものに動じずに、人にたよらず、ヌラリクラリとこの世のなかの荒波をくぐりぬけ……」(本文より)。酒がいっぱいあるということで満州行きを決意した話など、昭和落語を代表する噺家が酒、女、バクチ、芸をしみじみと語る。五代目古今亭志ん生の人柄がにじみでた半生記。
  • ねぼけ人生
    4.1
    陽気な落第生だった少年時代、ラバウルで死の淵をさまよい片腕を失った戦争の時代、赤貧の中で紙芝居や貸本マンガを描き続けた戦後、そして突然訪れた「鬼太郎」と妖怪ブームの中で締め切りに追われる日々。のんのんばあが、南国の土人たちが、奇妙な「水木荘」の住人やユニークなマンガ家仲間が彩る波乱万丈の人生を、楽天的に生きぬいてきた日本土人・水木しげるの面白く、ちょっぴり哀しい半生の記録。
  • 新編 空を見る
    4.0
    空を眺めれば、一瞬一瞬、ダイナミックなショーが繰り広げられている。美しい薄明、朝焼け雲、地球影、夕焼け。日常ではなかなか現われない白虹やブロッケン現象、幻日、オーロラなど。そして毎日現われる様々な雲の名前。42の事象を、63枚のカラー写真とエッセイで伝える。気象の説明だけでなく、関連する詩歌など文学や、古今東西の歴史的事件も紹介。
  • 自分の時間へ
    4.0
    「自分の時間は、ほんとうは、他の人びとによってつくられているのだと思う」「後になっておおきな意味をもつことになることのおおくは、しばしば始めは、何でもない些細なことにすぎない」「得たものはつねに、失ったものに比例している」──。言葉と共に暮らし続けた詩人の記憶から静かに届けられる、自らの人生を生きていくための小さなヒントたち。傑作エッセイ集。解説 辻山良雄
  • なんだか今日もダメみたい
    4.0
    映画、舞台、音楽、テレビを横断する〈表現者・竹中直人〉を紐解く全編書き下ろし自伝的エッセイ集。家族や学生時代のエピソードから俳優や音楽家との交流まで。
  • 本は眺めたり触ったりが楽しい
    4.0
    積みあげたり、適当に開いたり、声に出して読んだり、ただ手にとって眺めたり…本の読み方に決まりはない、自由にやろう! 本が好きな人は、みんな、いろんなふうに読んでいる。読まずに読む方法を知る人だっている。こころが軽くなり、読書が楽しくなって、もっと本を読みたくなる名著『眺めたり触ったり』が題名をすこし変えて、待望の文庫化。楽しい絵も満載! 「文庫版への追記」もあり。
  • 生きるとはどういうことか
    4.0
    人生、言葉にならないことがじつはいちばん面白い。“日本の知性”養老先生が二十年間に執筆した随筆から選りすぐり。ヒトを問いなおす思索の旅。
  • 娘の学校
    4.0
    10歳から下4人の幼い娘たちを相手に、世界を学校に見立て、「音楽」「文学」「政治」「人類学」「哲学」などを題材に、ユニークで独創的な授業を展開する。常識を疑い、自分の頭で考えてたたかえば、善悪や道徳は変えていけると伝える。呪いの言葉に縛られず自分らしく生きることを尊ぶすべての人へ、1969年刊行のベストセラー待望の復刊。
  • むしろ幻想が明快なのである ――虫明亜呂無レトロスペクティブ
    4.0
    三島由紀夫、大島渚、寺山修司が絶賛したスポーツ評論をはじめ、映画、音楽、文芸など幅広いジャンルをテーマに上質で官能な文章を書いた異才、虫明亜呂無。戦前の職業野球への追想、岩下志麻や太地喜和子の軽妙なスケッチ、栄光と悲劇のランナー円谷幸吉・人見絹枝の美しいポルトレ、巨匠内田吐夢監督の撮影現場レポート……単行本未収録作や代表作から精選した珠玉のエッセイコレクション。
  • 彗星交叉点
    4.0
    1巻1,430円 (税込)
    街角でふと耳にした会話、お店の看板……たまたま出会った言葉の断片が詩に見えてくることがある。そんな「偶然性による結果的ポエム」についての考察。【目次】この本の目次/忘れ得ぬ言葉/前にも云ったかもしれないけど/白い天然、黒い天然/最期の言葉/ネーミング/客たち/自慢/本当の名前/脳内留学生との会話/兄弟姉妹/怪しい扉/無茶/花だと思ったこともない/駅前の「声」たち/もげたり、にえたり/正解は後ほど/おにぎりの病院/その言葉を自分に向かつて云うのは/ありがとうござ/ベー/名前の教え方/名前の教え方・2/自分の伝え方/熱いアンケー卜/昭和の逆襲/午後のくノ一/生きていく力の強さ/間違いよりも変/名前の間違えられ方/「あやせない」と「くどけない」/間違った夢/辿り着ける地図/謎の言葉を発する人/待遇の良い会社/店名の謎/おませ/ヒヤリング/昭和?/ヌーン/衝撃の記憶/ざっくりショツク/父の口癖/オーラ/精密妻/混乱書店/強気な店/エラーミッキー/グミと赤裸々/眩しい言葉/失言/くらっとくる言葉/昭和のテレビ/振り切られる言葉/電気のコンセント/即答断言ガールズ/名付けのカ/隣の声/ラインマーカーズ/この本の目次/忘れ得ぬ言葉/前にも云ったかもしれないけど/白い天然、黒い天然/最期の言葉/ネーミング/客たち/自慢/本当の名前/脳内留学生との会話/兄弟姉妹/怪しい扉/無茶/花だと思ったこともない/駅前の「声」たち/もげたり、にえたり/正解は後ほど/おにぎりの病院/その言葉を自分に向かつて云うのは/ありがとうござ/ベー/名前の教え方/名前の教え方・2/自分の伝え方/熱いアンケー卜/昭和の逆襲/午後のくノ一/生きていく力の強さ/間違いよりも変/名前の間違えられ方/「あやせない」と「くどけない」/間違った夢/辿り着ける地図/謎の言葉を発する人/待遇の良い会社/店名の謎/おませ/ヒヤリング/昭和?/ヌーン/衝撃の記憶/ざっくりショツク/父の口癖/オーラ/精密妻/混乱書店/強気な店/エラーミッキー/グミと赤裸々/眩しい言葉/失言/くらっとくる言葉/昭和のテレビ/振り切られる言葉/電気のコンセント/即答断言ガールズ/名付けのカ/隣の声/ラインマーカーズ
  • 集団に流されず個人として生きるには
    4.0
    過剰に叩かれる宗教、ナチスのホロコースト、危機をあおるメディア、ネットの炎上……。集団は強い絆と同調圧力を生み、時に暴走する。そこで立ち止まって「おかしい」と言えるだろうか?
  • 快楽としてのミステリー
    4.0
    探偵小説を愛読して半世紀。ミステリーの楽しみを自在に語る待望のオリジナル文庫。ミステリー批評の名作として名高い『深夜の散歩』から最新の書評まで。ポー、ドイル、チェスタトンからクリスティー、フレミング、チャンドラーまで、そして、グリーン、バルガス=リョサ、エーコまで、さらには、松本清張から大岡昇平、大沢在昌まで、あっと驚く斬新華麗な名篇揃い。
  • すべての季節のシェイクスピア
    4.0
    2021年、シェイクスピア全集、個人全訳を完結した著者は、翻訳を開始する直前、年間100本以上のシェイクスピア劇を観続けていた。代表的14作品を、演じられた舞台に即して「男と女の力学」「闇の中の輝き」「この世は仮装パーティ」等のテーマに分類し、掘り下げていく。シェイクスピア劇が10倍楽しくなるエッセイ。文庫化にあたり、全集最終巻「終わりよければすべてよし」についての書下ろしと全作品翻訳開始後のインタビューを加えた。
  • 魂の形について
    4.0
    いにしえより、鳥、蝶、蜜蜂、心臓などに託されてきた魂の形象。それらは、人間が無辺際の虚空を宿し、宇宙の反映でもあることの表れとして捉えることができる。例えば、水鳥は、その自在な動きにおいて、肉体の束縛を離れた魂のありかたと照応するものであっただろう。古人は、そこに単なる比喩にとどまらない、確かな実感を込めたのではなかったか。夢のようでありながら、しかし真実でもある霊魂について、明澄なまでに想念をめぐらした詩人の代表的エッセイ。
  • おばあちゃんの隣りで ──見守られて育つ時間
    4.0
    1巻1,650円 (税込)
    あのときも、あのときも、おばあちゃんはずうっと隣りにいてくれた――。真正面から見つめあうのではなく、遠くから眺めるのでもなく、子どもにただ寄りそって、なだめ、励まし、ゆったりと教え諭す、そんな人の存在が、お母さんと子どもの息苦しさをゆるめ、からまった気持ちに風を通してくれる。家族みんなの胸がじんわり熱くなる、心の深呼吸エッセイ。
  • 新版 いっぱしの女
    4.0
    あなた、やっぱり処女なんでしょ――。「少女小説家」は嘲笑された。『なんて素敵にジャパネスク』『クララ白書』ほかベストセラーを多数送り出し、セクハラという言葉が世間に登場し始めた頃、「いっぱし」の年齢・三十歳を超えた著者。女としてただ社会に在るだけで四方八方から襲い来る違和感を、まっすぐに、そして鮮やかに描いた不朽のエッセイが満を持して復刊!
  • なんらかの事情
    4.0
    これはエッセイ? ショート・ショート? それとも妄想という名の暴走? 翻訳家岸本佐知子の頭の中を覗いているかのような「エッセイ」と呼ぶにはあまりに奇妙で可笑しな物語たちは、毎日の変わらない日常を一瞬で、見たことのない不思議な場所に変えてしまいます。人気連載、待望の文庫化第二弾。今回も単行本未収録回を微妙に増量しました。イラストはクラフト・エヴィング商會。
  • これも男の生きる道
    4.0
    男にとって大切なのは、一人前になることです。それは、自分のするべきことはなんでもできること、自分のするべきことはなんでもすると覚悟して、なんでもすることです。もちろん、できないこと、わからないこと、知らないことを、素直に認めることでもあります。かんたんなようで、なかなか困難な、これが男の生きる道。男も女も、この本を読んで、一人前になってください。
  • ネオンと絵具箱
    4.0
    現代美術作家・大竹伸朗の視点で切り取る日常の雑感と創作への思い。絵画や音楽、展覧会、スクラップブックや夢日記、ロンドン、別海、宇和島での日常、路上と創作、趣味、家族、友人、過去、未来、そして現実と妄想……日々浮かぶトリトメなきテーマの裏にあぶり出る「わからない雑景」。未収録エッセイ28篇、カラー口絵8頁を収録。2003~2011年のエッセイ。
  • 無限の本棚 増殖版 ──手放す時代の蒐集論
    4.0
    幼少より蒐集に取りつかれてきた男はジッポー、レコード、野球カードなどの「物体」を超えて、顔出し看板や夏の靴底といった「概念」を蒐集する“エアコレクション”の境地に達する。“特殊古書店”マニタ書房を営む著者が開陳する凄まじき蒐集人生と、そこから導かれた画期的コレクション論。文庫化にあたり3人の蒐集猛者へのインタビュー、伊集院光との対談を増補。
  • 英国に就て
    4.0
    なにも絵画や彫刻、音楽だけが文化なのではない。あたりまえの日常にいちばん近い部分を発達させること。それこそが文化なのだ。吉田健一は、エリザベス朝にはすでに水洗トイレがあったことを指摘し、そこに実用性を重んじるイギリス文化の本質を見る。イギリスで他の芸術に比して文学が発達したのも、文化的であろうとしたからではなく、日常の言葉へのこだわりが、自然と、詩や小説というものになっていったからなのだ──。胡瓜のサンドイッチやハムの味、酒の飲み方など、身近な話題を入口に、いつの間にか本質的な部分へと読者をいざなう、名人芸的文化論。
  • 茂木健一郎の脳科学講義
    4.0
    脳という物質に「クオリア」にみちた意識が宿るのはなぜか。人はなぜ他人の気持ちがわかり、自分が自分であると認識できるのか。知性や創造力はどのように育まれるのか。この不確実な世界を生き抜く脳の潜在能力とはいかなるものか。……脳科学の最前線を斬り進む茂木健一郎が、こうした難問をめぐって基礎の基礎から個人授業! 愉快かつ深遠な語り口で人間存在の謎の核心にいざなう贅沢な一冊。
  • 私の東京地図
    4.0
    下町に生まれ、和菓子屋の十代目を継ぐべき人間だったが、空襲で焼けだされ、山の手に移り住んだ。それからずっと東京の街を見てきたが、なじみの映画館やレストラン、洋服屋はかなり姿を消し、どんどん変わってゆく。昔の東京はもはや映像や写真の中にしかない。記憶の中にある風景を思い浮かべ、重ね合わせながら歩く。東京の今と昔が交錯するエッセイ集。
  • たましいの場所
    4.0
    18歳から21歳まで歌を歌っていた。早くおじいさんになろうと思い、25歳、町の本屋の主人として暮らしはじめた。そして二十数年後、無性に歌が歌いたくなり歌手として再出発した早川義夫の代表的エッセイ集。「恋をしていいのだ。恥をかいていいのだ。今を歌っていくのだ」。心を揺り動かす率直で本質的な言葉。文庫用に最終章を追加。
  • 突撃! ロンドンに家を買う
    4.0
    豊かな緑と美しい家々が織りなす住環境、中古でも決して資産価値が下がらない不動産、安心して物件購入ができる英国ならではのしくみ……だからこそ世界中の投資家がねらうロンドンでの家探しは行動力と判断力、そして強運を要するハードな戦いだ! 英国を誰より愛する著者が、人生を賭して夢を果たすため東奔西走する、手に汗握る奮闘記。
  • 旅日記 ヨーロッパ二人三脚
    4.0
    こうしてパリでぼんやりしている事の何とすばらしい事か──昭和33(1958)年、ヴェニス国際映画祭の後、名女優・高峰秀子は夫とともに7か月間、ヨーロッパを巡り歩く。パリ、ボン、マドリード、ローマ……、誰にも気兼ねせずに腕を組み、蚤の市を訪ね、人々と語り、おいしいものを楽しむ。死後に見つかった、最も幸せだった旅のすべて。秘蔵の写真を加えて文庫化。
  • ダダダダ菜園記 ──明るい都市農業
    4.0
    著者は庭に訪れる雨と風と太陽が行う不思議に心を奪われています。彼の庭は猫額大、広くはありません。しかし70代にして思い立ち、雨、風、太陽たちと不思議の世界に遊ぶために庭を鍬で耕して種を蒔いたりし始めたのです。それが高じて今はダダダダとやかましい音を立てる耕耘機まで買ってきて農耕活動に精を出しているのです。滋味とユーモア溢れるエッセイ。

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