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Posted by ブクログ
一万円選書で手にして、積読になっていた本。
はちゃめちゃでパワフルな人たちが特別養護老人ホームの開所にこぎつけるまでの話なのだが、介護の話ではなく、介護施設の話。
自分が普段手に取るものとはずいぶんテイストが違うので最初は読みにくさも感じたのだが、このへろへろワールドに馴染んでいくと、どんどんとページをめくっていくことになった。
話に出てくる人たちはどの人も個性的だし、ちょっと変わっているけど、多分、人として大事なものを持っている。そして、決してバカではない。
下村さんの「もらっていいお金」の発言や、村瀬さんの住民説明会での「これからの老い」の話だったり、その節々に、芯のようなものを感じる。
決して華々しくはなくて、憧れられるようなものでもなく、とても地道なもの。お金のつながりとは違ったつながりが、そこには確かにあると思えた。
Posted by ブクログ
お薦めで手にしたのだけど、良い本と出会った。
糞尿を垂れ流しながら、毅然と一人暮らしを営んでいる「とてつもないばあさま」と、下村恵美子が出会った時。
彼女が満足出来る暮らしとは何かを考えて、宅老所よりあいの種が埋められた。
老人ホームに入らずに済む老人ホームというコンセプトを基に、よりあいの森に施設を建てるまでの日々が描かれている。
この本を読んでいると、晴れた夏の日の朝の感覚を思い出した。
さあ、これから何をしようとワクワクする感じが、夏の空気やセミの鳴き声と呼応するような。
本気で苦しそうで、楽しそう。一筋縄ではいかなくても、えいっと踏み込んじゃう。そんな匂いがしたのだった。
筆者が描く「下村恵美子」の存在もすさまじい。
下村さん、でも、恵美子、でもなく、下村恵美子という呼び方は最後まで変わらなかった。
他には色んなことが面倒になって、端々に省略が忍び込まれているのに。
施設の前提となる人と人との関わりにおいても、読んでいて重くなりがちな所がある、のに、下村恵美子の笑いが響く。ああ、素敵だなと思う。
最後に。
臨床について私自身が学んだ時、寄り添うとはどういうことかを考える時があった。
ともすれば安易に寄り添うが使われていて、本当にその言葉を分かっているのか不安になった。
そのことをふと思い出し、あらためる文章があった。大切にしたい。
「『宅老所よりあい』の介護は、一人のお年寄りからすべてを始める。その人の混乱に付き合い、その人に沿おうとする。添うのではない。沿うのだ。ベタベタと寄り添うのではない。流れる川に沿うように、ごく自然に沿うのだ。自然に沿う以上、こちらの都合で流れをせき止めてはいけない。流れを変えてもいけない。ひとつひとつの川には、それぞれの流れ方がある。海に至るまでの道のりは、ひとつとして同じものはない」
Posted by ブクログ
福岡にて、特別養護老人ホームを建てようとした人たちの奮闘を描いたノンフィクション。昨日読み始めて、面白すぎて睡眠時間を削って読んで、それでも読み終わらなかったので、通勤の行きの電車の中で読み終えた。
「志」というには、そんなに肩に力が入っていない人たちが、ゼロから特養を建ててしまう。最も大変なのは、当然だが、資金の手あて。何せ3億円以上の費用がかかる。行政の補助金も手にするが、それでも残りの2億円以上を自分達だけの力で何とかしなければならない。寄付を募り、バザーを開き、手作りの品を売り、行事の際にはテキ屋の売店をやらせてもらい、ありとあらゆる事をやって、とうとう特養を建ててしまう。
億単位のお金を普通の人間が、集められるとは、なかなか思えないが、でも、このひとたちは、やり始める。やり始めて頑張れば出来るというような簡単な話ではないのは分かっているが、でも、一歩を踏み出さないと始まらない。そして、最後にはやり遂げてしまう。元気と勇気をもらえた。
メインストーリー以外にも、面白い話が満載。お勧めです。
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