あらすじ
福岡の街中に、毅然としてぼけた、ばあさまがいた。一人のお年寄りが、最期まで自分らしく生きるために、介護施設「よりあい」が始まる。「自分たちで自分たちの場ちゅうやつを作ったらよかっちゃろうもん!」熱くて型破り、超個性的な人々が、前代未聞の特別養護老人ホームの開設を目指し、あらゆる困難を、笑いと知恵と勇気で乗り越えていく実録痛快エッセイ。
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Posted by ブクログ
福岡の本屋さんで、このイラストとあらすじに惹かれて購入しました。すごく!良かったです…!
著者の鹿子さんの文章がコミカルで親しみやすくて、気づいたら笑ってたり涙を流しながら読んでいたり、ばあちゃんのことを思い出したり。
ここに書かれていないところでもちろん沢山あっただろう苦労や辛いことを、全部面白おかしく語れる才能が素晴らしいです。
最高の読後感。
Posted by ブクログ
【一万円選書】
最期まで、自分らしくいられる施設を作る。
それが、宅老所「よりあい」
そんな施設があったらいいなあと思うところが
たくさんだった。
老い、は誰にでもやってくるものだけれど、
最期のことはなんだか怖くて
考えないようにしている人も
意外と多いんじゃないだろうか。
健康で長生き、が一番だ。
でも、ボケたら・・。?
自分の最期も考えた一冊でした。
こんな素敵な施設を作ろうと奔走する人たちが
また素敵なのです。
Posted by ブクログ
こんな施設が日本中にあったらいいのに。
「困難を目の前にして、それを共に打開しようとする時、そこにいる人たちはとてもいい顔をしている」
ずっっと積読していた本。
思ってた内容と、良い意味で違って、
面白くて、読みやすかった。
自分もまずは、今、
目の前に居る人を手助けできる人になりたい。
と思える本。
Posted by ブクログ
制度があるからやるのではない。施設が作りたいからやるのではない。思いがあるからやるのではない。夢を実現したいからやるのではない。目の前になんとかしないとどうにもならないような人がいるからやるのだ。その必要に迫られたからやるのだ。それは理念ではない。行動のあり方だ。頭で考えるより前にとにかく身体を動かす。要するに「つべこべ言わずにちゃちゃっとやる!」のだ。
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介護に疲弊した家族が、涙を浮かべながら窮状を訴えるとき、施設はその存在意義と力量を問われる。専門職として、その専門性が試される。この仕事を生業とする者が、今、自分たちに何ができるのかを突きつけられる。
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自分が実際目にして、耳にして、鼻でにおいをかいで、そして心の奥で感じたもの。人と人とが顔を合わせ、たわいもない会話を交わしていく中で自然に育まれていく、情のようなもの——そういうものを大事に思う人たちがいる。
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もらっていいお金と、もらってはいけないお金がある。意味のあるお金と、意味のないお金がある。自分たちの力と呼べる力と、自分たちの力とは呼べない力がある。間違っていることと、間違っていないことがある。その違いがわからなければ、僕が何を間違おうとしていたのかはわからない——。
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臆病風に吹かれなければ、事は少しずつ動き出す。大切なことは、申し訳ないと思う気持ちを、ありがとうという気持ちに変えることだった。それができれば自然と腹は据わってくる。調子に乗ることもなければ、間違うこともなくなっていく。
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思えば「自己責任」という言葉が「老い」という不可抗力の分野にまで及ぶようになって以降、人は怯えるようにしてアンチエイジングとぼけの予防に走り出した。のんびり自然に老いて、ゆっくりあの世へ行く。それを贅沢と呼ぶ時代が来てしまったのかもしれない。とにかく国は生存権に帰属する介護問題を、サービス産業に位置づけ、民間に託して解決を図る道を選んでしまった。(中略)サービスとはつまり、手間という手間をひたすら金で買い続けるしかない代行システムのことなのだ。
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僕はとても個人的な人間だし、団体行動も苦手で、人の役に立とうと思ったことは特にない。今だってそうだ。僕が今も「よりあい」と付き合っているのは、そうした志があるからではない。単に下村恵美子や村瀬孝生、そして若い職員の人たちと仲良くなってしまったからだ。そういう友だちみたいな人に「ねぇ、ちょっとお願い!」と頼まれれば、僕は嫌とは言わない。それが友だちというものだからだ。
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地位とか名声とか、そういうものが欲しくてやっているわけじゃない。やるべきことがそこにあるから、それをやることでしか前に進めないから、ただそのことだけを懸命にやっている。そのシンプルさが、なぜか人を魅力的な顔にしていった。
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贅沢が言えるわけではないから、集まってくるのは年代もデザインもすべてバラバラのものたちだ。けれど不思議なことに、こうして集めてうまく組み合わせていくと、その雑多さが逆に落ち着いた雰囲気を醸し出し始める。人と一緒だ。同じような顔をした人たちしかいない世界は案外つまらない。それに居場所を無くしかけたものでも、集う場所がどこかにあれば、もう一度やり直すことができる。
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Posted by ブクログ
福岡にて、特別養護老人ホームを建てようとした人たちの奮闘を描いたノンフィクション。昨日読み始めて、面白すぎて睡眠時間を削って読んで、それでも読み終わらなかったので、通勤の行きの電車の中で読み終えた。
「志」というには、そんなに肩に力が入っていない人たちが、ゼロから特養を建ててしまう。最も大変なのは、当然だが、資金の手あて。何せ3億円以上の費用がかかる。行政の補助金も手にするが、それでも残りの2億円以上を自分達だけの力で何とかしなければならない。寄付を募り、バザーを開き、手作りの品を売り、行事の際にはテキ屋の売店をやらせてもらい、ありとあらゆる事をやって、とうとう特養を建ててしまう。
億単位のお金を普通の人間が、集められるとは、なかなか思えないが、でも、このひとたちは、やり始める。やり始めて頑張れば出来るというような簡単な話ではないのは分かっているが、でも、一歩を踏み出さないと始まらない。そして、最後にはやり遂げてしまう。元気と勇気をもらえた。
メインストーリー以外にも、面白い話が満載。お勧めです。
Posted by ブクログ
いわた書店10,000円選書
どんどん読み進められます
面白いですね
自分の親も介護施設を利用していますが
こんなところがあるなら、ここにしたいと思います
ちなみに介護の苦労を書いている本ではなく
そこに集う人の奮闘を描く楽しい本です
Posted by ブクログ
あーよみおわった。読みやすい。いっきよみ。おもしろいし、テーマも強いし、でも印象強かったのは、この著者の「気持ちのいい家」とか、(なんかもうひとつくらいあったけど忘れた)形容詞がものすごいしびれるのがあって、とにかく始終しびれていた。
谷川俊太郎の詩にも、お金集めの信念の話にも、号泣する。お金がないとき、その集め方でお金の価値も変わってくる。勇気をもらえた。
社会にとけこめないお年寄りを世話することからはじまった、ワケアリの人ばかりがあつまる老人ホームの話。介護や高齢化が問題化した、一昔前の事情や空気感が伝わりやすい。
しかし今の事態は、世の中の人たちがお金がないと何とも出来ないんだと思ってしまう、あるいは面倒なことはお金にさせると思ってしまう傾向が強くなってしまっているようにも思う。
施設がまわりにとけこむ、老人ホームに入らなくてもいいような老人ホーム。社会が隔離しようとする存在は、それ自体の問題というより社会の受け口が問われる問題なのだなと思う。しかし、普通に暮らしているとそのことをつい忘れてしまう。こんな施設が当たり前になったらいい。お金だけしか頼れるものがない世の中はさみしい、信頼できる人たちがいるかどうかが、安心して暮らすことにつながるのだなあと思う。
一点だけ、行政や政治にも、頭がかたいとか己の利益ばかり考えているとかいうのは、何かこれからどうにか出来ないものか、と感じた。私たちの国の組織なのに。
Posted by ブクログ
1人の困ったお年寄りから始まる「よりあい」というちょっと変わった特老の設立までのお話。終始お金を集める話なのだが、面白くてどんどん読めるし、色々な感想を持つことになる。
絶対読んだ方がいい。
Posted by ブクログ
介護の道を行く厳しさ、お金の苦しさ、社会課題の困難さと、よりあいを取り巻く人々の方の強さ、クレイジーさが絶妙なバランスを取っている。加えて下村氏のやり抜く根性と筆者が感じている生活への不安(?)の対比も面白い。
介護施設新築の際の、住民説明会で村瀬氏が語った言葉が圧巻。建築側の人間として、仕事のあり方を非常に考えさせられる。
Posted by ブクログ
名著『おばあちゃんが、ぼけた』に出てくる「宅老所よりあい」ができた顛末
きっかけは一人の独居ボケばあちゃん
施設ありきではなく、困ってる人がいるから動く
この精神は中島卓志『思いがけず利他』に通じるよなぁ
そういや村瀬孝生も『ぼけと利他』って本書いてるのだ!
Posted by ブクログ
一万円選書
介護エッセイという私にとっては新ジャンルかも。
しかも実際に介護している人の話はほぼなく、特別養護老人ホーム設立のために奮闘する話。
資金集め、間取り、快適さ、そしてパッションを感じさせる本。
1人の困りごとを解決するために、みんながどうしたらいいか?と考える姿勢はビジネス的にも勉強になる。
もらっていいお金といけないお金があるというのは名台詞だと思った。
Posted by ブクログ
一人のどうしようもないお年寄りにか関わり、特養老人ホームを作るという、壮大なお話だった。何もかもゼロからすべてを立ち上げ、資金繰り、場所作り、面白いことを計画、実行する。すごいスケールの大きさを感じた。小さいことで悩んでいたら人生損だなと思えた。まずはカフェに行ってみたい。ジャムも買ってみたい。
Posted by ブクログ
この本を読んだ人は、なぜ読もうと思ったのかどうやって手にしたのか気になります。
福祉を見て見ぬふりしているのがわかるし、福祉は人や環境によって結果や状況が大きくこのなることもわかります。
福祉施設のホームページってどこも似たようなこと書いてあるんだけど、この本の中に出てくる施設のように、その施設だからこその特徴や色がある施設はいい施設だと思う。
それを見つけるのが難しいんだけどね!
Posted by ブクログ
福岡にあるユニークな宅老所を題材にしたエッセイ。
事実は小説よりも奇なり、ならぬ、事実はお笑いより笑える、と言いたいくらい、何度もお腹を抱えて笑ってしまった。
あの谷川俊太郎のTシャツを脱がせて即売するなんて…!
読後は、何事もケセラセラの精神で、笑って乗り切ろうと元気が出てきた。
Posted by ブクログ
チームで一つの目標に向かってプロジェクトを遂行するビジネス書としても読める。無理やりだけど。
それにしても、この本にもさっき読んだ別の本「東京オリンピック物語」にも出てる谷川俊太郎は現役長すぎ。働きすぎ。
Posted by ブクログ
のっけからトップギアで笑わされ、始終、「ふふふふ……」「クククク……」と笑わされた。出てくる人は皆、個性的。内容といえば、個性的な人たちが、ボケても普通に暮らせる人生を叶えるための特別養護老人ホームづくりに奔走するノンフィクションで、そこだけ聞くと、高い志に満ち満ちた崇高な感じに思える。
思えるが、とても良い意味で、登場人物たちは肩の力が抜けている。志を大上段に構えてそれで満足するような人たちではなく、静かに燃えつづけ、地に足ついた活動を続け、楽しみながら、理想の施設を回し続ける金策に日々挑む。
笑わせてくることが多いが、むしろ7割くらい笑って読んでいたが、随所随所で施設が描く理想に心打たれ、介護や老いについて(鬱々とせずに)考えてみようと思えた。
Posted by ブクログ
「ぼけても普通に暮らしたい」=「ぼけたら普通の暮らせない」社会
「住み慣れた家での暮らしに終止符を打つのは誰か」
誰もが安心して暮らせる社会であってほしい。
「校正とは、書き手を尊重しながら、もっと高い場所へ、もっと新しい場所へと導こうとする愛情の深い行為」
Posted by ブクログ
超高齢社会と言われる昨今において、介護保険の制度だけに頼るのはどうしても制度の隙間に埋もれてしまう人をカバーすることが難しいと感じることは、私自身働いていて肌で感じるところです。
「最期まで自分らしく生きる」という、人間の基本的欲求であるものの叶えられるのは簡単ではない部分に果敢に立ち向かった方々の伝記のような作品でした。
Posted by ブクログ
一人のお年寄りに寄り添うところから始まった「宅老所」のお話。活動を継続し、新しい施設を設立するために奮闘する職員や世話人。いつの間にか筆者も「よりあい」の世話人のひとりとして巻き込まれていく。
『よりあい』の施設の開所式のシーンでは、思わず目頭が熱くなった。
Posted by ブクログ
【お金の物語】
人に役立つお金を集める物語。
お金を集める話なのに、私利私欲が全く無い物語。
悪い人が出てこない物語。
関わるとみんなが良い人になれる物語。
人間だけだはなく猫まで良い猫になる物語。
本気になるとお金はどうにかなる…ということを教えてくれる物語。
Posted by ブクログ
行動力とバイタリティがすごい!
世の中にはこんなにも凄い人間がいるんだね
うちのボスも同じ匂いがするけどそれ以上の人でした
やればできる
ケセラセラ
私もやれば出来るのかなぁ
Posted by ブクログ
少し個性的な人たち、介護施設を作りたいという大きな想い、介護に対する考えが詰まってました。世話人という少し離れた場所からみた、よりあいの人たちの熱い日常が伝わった一冊でした。
Posted by ブクログ
福祉に携わった人が政治の力を使わずに特別擁護老人ホームまで作ってしまう話。
ユニークな人々が、資金集めなどに苦労しながら、あらゆる苦難を人を巻き込みながら、乗り越えていく。
内容は面白いが、文章が砕けていて、少し読みにくかった。
Posted by ブクログ
良い内容だと思うけど、文章が読み難くて時間がかかった。
介護の話を明るく面白く書いてるけど、ネタを活字で読ませるってしんどい。
村瀬先生のスピーチが1番心に響いた。
自然に老いて、ゆっくりあの世へいく事は贅沢になってしまった。介護はサービス産業になり、金で買わなければならない。
施設なんて建てても、高齢者の数は間に合わない。
働く人もいない。
時間をかけて作った縁は易々と切れないもの。
よりあいで友達ができたり、世話になったりしながら、あの人の為ならと、人の情で助け合いで介護が始まる。
ぼけても普通に暮らしたい。
老人を疎ましく思ったり、怒ったり、嘆いたり、隔離したり、そんな世界では私も暮らしたくない。
Posted by ブクログ
介護施設を建設する方々のノンフィクション奮闘記。建設への課題を次々にクリアしていく様は逞しい。どんな問題でも目の前のことに、明るく向き合っていく姿勢が良かったです。
介護と聞くと大変な物語かと思ったが、この物語は清々しい気持ちで読み進めていけます。
Posted by ブクログ
介護の領域の話だけど、大半がお金(資金集め)の話。
理想を実現するには先立つ物がなにより大切。
システマチックではない、人間的な介護を実現するために、職員、関係者たちが必死で汗を流す。
そのさまがフリー編集者からいつの間にか世話人になった筆者の視点から面白おかしく語られて、まるでトウのたった学生が部活か文化祭に打ち込んでいるどたばたコメディのよう。
その必死さと信念が人を動かし、お寺の一室を間借りというスタートから、とうとう特養ホーム(すばらしいロケーション)の建設にまでこぎつけるというクライマックスを迎える。
もし将来自分が老化や認知症で1人でやって行けなくなったら、つくづくこんなホームに入所したいと思わせられる(福岡だけど…)。
ひょっとしたら今がピークかも知れない、情熱をもった中心人物たちの信念が結実するさまはシンプルに感動的だし、そこまでできない側の身からすれば妬ましくもある。
ここまでの間に、その理想に惹かれて多くの人が関わったものの、最終的には疲弊、落胆して去っていくことも少なくなかったらしい。
筆者は彼らの後ろ姿を糾弾するのだが、それはその人の勝手だからそっとしておけばいいのに、と思う。人の善意に頼っている以上、それが潰えた時のダメージも小さくないから、なら初めから来るなと考えるのも無理からぬことだけど…
またそういう手のひら返しにもめげず、理想を貫いた姿勢はすばらしい一方、労働基準法無視、持ち出し、無償労働上等の資金集めや勤務体制はワタミ的なやりがいの搾取と紙一重でもある。
当然、耐えられずに脱落したスタッフが少なくないことも示唆されている。
むろん、経営上の利益を追求してのことではなく、ただ目の前の利用者と家族のよりよい暮らしのため、ともに生を楽しみたいという一念のことなので、チープなネオリベの方便なんかと一緒にしては失礼だけど、でも私はつい、ギリギリのバランスで保たれているのでは、と考えてしまう。
そしてこのような介護を受けられる人はあくまで僥倖な一部の人々で、多くの人はシステマチックな介護体制に頼らざるを得ないわけで、せめてもうすこし制度がオルタナティブな事業所のありようを許容する方向に向かえばいいのに、と思う。ワタミを参入させるだけじゃなく…