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人生という長い旅路を行く大人たちへの祝福に満ちたエッセイ。EU離脱投票が原因で喧嘩になった妻への仲直りタトゥーが思わぬ意味になっていたおっさんや緊縮財政にも負けないおっさんの話など。笑って泣ける21編。第2章では世代・階級等について解説。『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』と本書は同じコインの両面だと著者が記す必読書。単行本10万部突破! 解説=梯久美子 推薦文=國分功一郎
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Posted by ブクログ
この本はすごくいい本です。みんなに勧めたい。 ブレイディみかこさんの本は初めてです。軽妙に書かれてます。個性的で素直なおっさんがたくさん出てきて楽しい、みんな生きているんだ、友達なんだと、ばかりに。 でも、実は硬派な社会学的レポートの面もある。ブレグジットや、緊縮財政によって、いかに彼らがたいへんだ...続きを読むが、しぶとく生活しているのか、とても勉強になりました。世代、階級の話も、勉強になりました。日本もアメリカも、同じような側面がある。 私も、ほっつき歩きたくなりました。
労働党が圧勝し政府が転覆した英国 なぜそうなったかもこの読書で納得 今とても旬な一冊 オススメ本です 英国のおっさんたちの悲哀から 新自由主義やEU離脱の功罪が見えてくる
イギリスの労働者階級のおじさんたちの悲哀や人間ドラマをリアルに描いている。ただ、内容の悲哀さと比べて話ぶりはいくらか明るく、楽しく読むことができた。作者の話の余韻の持たせ方も好きで、1日で1冊読めてしまうほど集中できた。
イギリスで暮らす著者と友人のおっさんたちとのエピソードは、ほとんど面白くてワイルドだった! 個人的には、”16 ときめきトゥナイト”が爆笑! また、ときどき切ない回もあったりして、また読み返したい一冊になった。
イギリスの"地べた"レポ。文章がめちゃくちゃ面白い。NHSとか緊縮財政とかEU離脱とか、楽しく本を読んでるだけで勉強になってしまった。
前半はイギリスの普通の労働者階級のおっさんたちの日常を親しみやすく面白い文章で紹介している。 労働者階級という言葉はよく聞くけど具体的にどんな人たちでどんな生活をしていてどんな価値観を持っているのかは全く知らない状態だったからイギリスの普通の市民の文化を知ることができて面白い。 一言で労働者階級とい...続きを読むっても当たり前だけど色々な人がいるので、この本で取り上げられてる人たちもそれぞれ考え方やそれまでの人生は異なるけど共通して言えるのが、どこか情けない部分があってそれが愛おしいということ。 後半はイギリスの現状についての説明。EU離脱についてや白人の労働者階級の現状、世代間の隔たりなどニュースで知ってはいたけど実際にそこに住んでいる人のリアルな目線で書いてあって、ニュースで見るよりも断然頭にすんなりと入ってくる。 あとがきではこの本が書かれた後に起こった様々な社会問題によってイギリスの生活がどのように変わったかにも触れてあって最後まで読み応えがあり楽しい作品。
同著者ベストセラー『ぼくイエ』と表裏をなすおっさん達のペーソス。 ブレイディみかこさんの周りの悲しくも愛すべきおっさんのドラマ+αで構成されています。 ブレイディさんのベストセラー『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』と背中合わせ・表裏一体のような作品です。イギリスの階級社会を、学校の子...続きを読むどもたちを通して見つめるか、ストリートのおっさんたちを通して見るかという視点の違いがおもしろい両作ですが、今作のおっさん目線のほうが「老い」をイメージさせたり、悩みの質がより現実的だったり深刻度が高いため(子どもも子どもなりに深刻ですけど)、胸に堪えるコク深い内容になっています。『ぼくイエ』の子どもたちの瑞々しさもいいですが、おっさんたちのしょぼくれた姿がなんとも愛らしいんだよな〜。 前半のおっさんエッセイ集は気軽に読める英国おっさんよもやま話。笑ったり、怒ったり、傷ついたり、色気づいたり、冗談を言ったり、諦めたり、黙々と働いたり、酔っ払ったり、笑ったりするおっさん・おじさん・オヤジがこれでもかと登場します。推しの英国オジを見つけられるくらい、おっさんに親しみを抱きました。後半は世代・階級についての著者目線の解説。階級闘争や世代間闘争、英国の社会についてストリート感覚(著者が言うところの「地べた」)を通して考える第一歩にもなります。特にブレグジット、緊縮財政、NHS(英国の医療制度。作中のおっさんたちのイデオロギーの拠り所)は作中にも解説にも頻繁に出てくるので、それらを通じて英国の社会について知ることができるし、ひるがえって日本は…と考えるきっかけになりました。当たり前っちゃ当たり前なのかもだけど、どこの国にも保守と革新って分かれるもんなんだなと不思議に思ったり。先進国だからかな?発展途上国だと、まだ宗教や信仰の力が大きいから、保守的だったりするのかな?とか考えたりしました。 エッセイでも叔父と甥の関係が書かれたり、解説パートでも詳細に書かれている世代間の相違、世代論。世代論は手軽に世の中が分かったような気分になれる、あくまで話のネタだと個人的には思います。日本でも「団塊」「バブル」「ゆとり」「Z世代」などが話題にあがりますが、ある世代の人間を「こういう傾向にある」と雑にひとまとめにすることが、より断絶を生むと思うし、本当のところは考え方は十人十色人それぞれなはずだし。けれど、世代論が無視できるほどまったくの無価値というわけでもないんじゃないかというジレンマもあるのです。なぜなら、世代というのはその時々の社会、経済、制度、テクノロジー、インフラ、etcの影響を受けるからです。戦時中に飢えていた世代とスマホを操ってウーバーで届いた食事にありつける世代では考え方は変わるでしょう。世代論で雑に分けられることへの抵抗と、世代論でひとまとめにできてしまう便利さのあいだでいつも揺れています。 英国内では階級意識に世代意識、さらに移民へ向けられる目線もあり、複雑な様相を見せています。読後、日本における移民についての議論を調べるきっかけになりました。 本作のオリジナルはコロナ前に書かれたのですが、今回コロナ後に追加された文庫版あとがきでは、本編よりも事態は深刻になっていることが著者から告げられます。本編に登場した人物が文字どおりコロナに殺されたり、英国の厳しいロックダウンでメンタルがやられたり、不安から陰謀論を信じてしまったりしたというのです。同情しつつ時にくすっと笑えた本作ですが、文庫版あとがきが笑えないという、現実の厳しさ。不安に飲み込まれず、極論を声高に語る者に頼らず、かつ健康的に世の中をサヴァイブするって、今の世の中ではハードル高いですよね。「ペーソス」という言葉では済まされない状況のなかだから、各々ユーモアを持ち寄ろうよ、と思います。
おっさん観察エッセイかと思ったら、読み進めるうちにブレグジットに詳しくなるという、不思議な一冊でした。
観光でイギリスに行っていたなら、表層のキラキラしたところしか見えなかっただろう。市井のおじさんの暮らしや考え方や感じ方かみえて 本当に新しい世界を見れた感じ。
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』とはコインの裏表のような作品だった。階級社会・英国のリアルなおじさん世代の声・生活が映し出された作品。 ・君が僕を知っている(ブレイディさんの親父さんと母を失ったスティーヴが犬で救われ、結局わんこにはかなわないという話)、 ・ときめきトゥナイト(失業...続きを読むしたサイモンがコンマリメソッドにハマって片付けに没頭する話)、 ・Hear Me Roarーこの雄叫びを聞け(ジャッキーが1人でDI Yに励み、家を売りに出すが売れず、躁鬱状態になり、とんでも無い絵を描く話)、 ・Killing Me Softlyー俺たちのNHS( NHSの待ち時間がとんでもなく長く、予約できない話)が心に残っている。 p.224 もう二年になるんだし、彼女はベトナムで新たな人生を歩んでいるのだ。時間が進めば、人も進む。それがライフの法則である。 p.230 それともあれか。英国人は、稼いで遺したカネを外国人が使うのは、けしからんと言う、遺産排外主義が高齢化UKにはびこっているのだろうか。しかし、そんな主義は時間の無駄である。資本や労働力の移動よりも早く、人は恋に落ちる。よしんば国境を閉ざしたとしてもだ。FaceTimeだのSkypeだので、人は語り合い、恋落ち、そうなったら、もうベトナムだろうが、トンブクトゥだろうが飛んでいくのだ。恋は狂気だ。それは排外主義を撃ち抜く最終兵器である。 p.235 人間って、こんなに変わるんだ。というか、こんなに変わりながら何十年も、ことによったら百年ぐらいとか生き続ける生き物なのだ。
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