作品一覧

  • 龍膽寺雄 焼夷弾を浴びたシャボテン
    3.0
    1巻1,232円 (税込)
    突如文壇から姿を消した小説家は、戦後、サボテンの栽培研究で知られるようになる。サボテンを通じた「荒涼の美学」や科学観を精選。
  • シャボテン幻想
    4.5
    1巻990円 (税込)
    「シャボテンは、──この不思議な植物は、それが生えていた砂漠の、人煙絶えたはるかかなたの世界の孤独を、一本々々影ひいて持って来ている。雲もなく晴れて刳れた空の下の、ただ焼け石と砂ばかりの世界に、淋しく乾いた音をたてて風が吹き抜けている」作家・龍膽寺雄は小説執筆の傍らシャボテン栽培に打込み、世界的な研究者となった。多くの入門書、専門書、写真集を刊行したが、中でも本書はシャボテンへの偏愛が横溢した随想集で、彼の説く「荒涼の美学」、「寂寥の哲学」はいまだ多くの愛好家を惹きつけてやまない。

ユーザーレビュー

  • シャボテン幻想

    Posted by ブクログ

    ひとつひとつの描写が過不足なく、とかく面白い。様々なシャボテンについて、エピソードを交えながら書かれたエッセイ(?)的な読みもの。ところどころで、シャボテンと人間が引き比べられて(シャボテンのほうがもちろんすぐれている)おり、なるほどなるほどとにやにやしながら読んだ。幻想文学――靄の中をただうろつかせるだけでなく、輪郭をはっきりさせて描くもの――としてもずば抜けて面白い。著者の小説も読んでみたいと思う。

    0
    2017年04月30日
  • シャボテン幻想

    Posted by ブクログ

    竜胆寺雄というとモダンガールを主人公としたモボモガ小説という認識だったのでサボテンについて徹頭徹尾書いている本書は驚きの連続だった。長生きをした晩年はサボテンの研究者だったとは知らなかった。サボテンについて無駄に詳しくなっただけでなく、植物であるはずのサボテンに情念のようなものが込められているように思えた。モダン小説からサボテン研究という変り身も凄いしサボテンも作品にしてしまうところも凄いと思った。

    0
    2017年09月28日
  • 龍膽寺雄 焼夷弾を浴びたシャボテン

    Posted by ブクログ

    全く知らない著者。
    園芸界では有名なのだろうか。
    確かに、並々ならぬシャボテン愛を、端々に感じた。
    戦争中の話は特にそうで、こんな人もいたんだという驚きとともに、皆が皆、暗澹と窮々と生きていたいただけではないことに、不謹慎ながら、なんだか笑えるし、ほっとした。

    科学的な内容であっても、どこかしらに広がっていく感じの文章は、始めは馴染めなかったが、最後の方では平気になっていた。なるほど小説家らしいというべきか。

    0
    2020年07月03日

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