あらすじ
「シャボテンは、──この不思議な植物は、それが生えていた砂漠の、人煙絶えたはるかかなたの世界の孤独を、一本々々影ひいて持って来ている。雲もなく晴れて刳れた空の下の、ただ焼け石と砂ばかりの世界に、淋しく乾いた音をたてて風が吹き抜けている」作家・龍膽寺雄は小説執筆の傍らシャボテン栽培に打込み、世界的な研究者となった。多くの入門書、専門書、写真集を刊行したが、中でも本書はシャボテンへの偏愛が横溢した随想集で、彼の説く「荒涼の美学」、「寂寥の哲学」はいまだ多くの愛好家を惹きつけてやまない。
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Posted by ブクログ
ひとつひとつの描写が過不足なく、とかく面白い。様々なシャボテンについて、エピソードを交えながら書かれたエッセイ(?)的な読みもの。ところどころで、シャボテンと人間が引き比べられて(シャボテンのほうがもちろんすぐれている)おり、なるほどなるほどとにやにやしながら読んだ。幻想文学――靄の中をただうろつかせるだけでなく、輪郭をはっきりさせて描くもの――としてもずば抜けて面白い。著者の小説も読んでみたいと思う。