国内ミステリー - 創元推理文庫作品一覧

  • 卯月の雪のレター・レター
    3.5
    両親を亡くした後、就職を機に「わたし」は妹を引き取る。ふたりで懸命に生きてきたが、最近になって妹が不可解な行動を取るようになり……。姉妹のあやうい関係を描く「小生意気リゲット」。教育実習先の小学校で出会った、嘘つき呼ばわりされる少女。彼女の言葉の真意を実習生が読み解く「狼少女の帰還」。祖父宛に届いた、六年前に亡くなった祖母からの手紙。それに込められた秘密を女子高生が追う表題作ほか、揺れ動く少女たちの心と、温かさや切なさに満ちた謎を叙情豊かに描いた全5編を収録。青春ミステリの名手が贈る珠玉の短編集。/解説=紅玉いづき
  • 占い師はお昼寝中
    3.5
    渋谷のおんぼろビルにある「霊感占い所」には、今日も怪異な現象に頭を悩ますお客さんがやって来る。身の回りの物が消え失せてゆくサラリーマン、ポルターガイスト現象に苛立つキャリアウーマン、写真を撮ったら背後に霊が写った学生、そしてドッペルゲンガーに悩む主婦。そんな彼らの相談に応えて占い師が口にするのは、三度狐や水溶霊など、奇天烈な霊や妖怪の名前ばかり。それらは全部インチキだが、しかし彼の「ご託宣」はいつも見事に怪異の裏に隠された真実を突く。始終寝ている占い師・辰寅叔父と、巫女役をつとめる美衣子の心優しき推理の日々を描いた安楽椅子探偵連作集。/解説=青井夏海
  • 雲上都市の大冒険
    3.8
    “雲上の楽園”と称される四場浦鉱山の奥底の地下牢で、二十年後の復讐を高らかに宣言する怪人・座吾朗。そして二十年目の昭和二十七年、予告通りの殺人事件が発生する。現場に遺された座吾朗からのメッセージと、謎の血文字。堅牢な地下牢から座吾朗はどのように脱出したのか?続発する殺人事件を解き明かすために、眉目秀麗で気障な荒城、近未来的な義手を持つ真野原、さらに弁護士の私・殿島が雲上都市に集う。独特なキャラクター造型と、驚愕の脱出トリックで贈る、新たな本格ミステリの息吹。第十七回鮎川哲也賞受賞作。

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  • エフィラは泳ぎ出せない
    4.6
    フリーライターとして暮らす小野寺衛は、宮城県松島から上京後、一度も帰省をしていない。知的障害のある兄をまもってほしいと両親から衛と名付けられたが、東日本大震災を機に故郷を、家族を、兄を捨てたのだ。だが、その兄が急死したという知らせを受け、衛は7年ぶりに故郷に帰ることを決意する。子どもの頃一緒に遊んだ海岸で兄は自死したらしいが、家族や友人の話を聞いた衛はそれを信じることができない。兄の死の謎を追う衛が知る、慟哭の真実とは? 障害者への差別意識や、貧しさへの“怒り”に満ちた筆致で贈る、ミステリデビュー作。
  • 花魁さんと書道ガール
    3.3
    書道一筋の内気な大学生・多摩子は、祖母の部屋で古びた簪を見つけた夜、春風と名乗る花魁の幽霊に取り憑かれてしまう。「本物の恋を見ることができれば成仏するかもしれないよ」という幽霊の言葉を信じた多摩子は、春風に体を貸して恋に悩む人の相談にのり、花魁の巧みな手練手管で恋愛を成就させることに。かくして妖艶な花魁と地味な書道ガールによる「最強の恋愛アドバイザー」が誕生した。
  • 大きな森の小さな密室
    3.3
    会社の書類を届けにきただけなのに……。森の奥深くの別荘で幸子が巻き込まれたのは密室殺人だった! 閉ざされた扉の奥で無惨に殺された別荘の主人、そしてそれぞれ被害者とトラブルを抱えた、一癖も二癖もある6人の客。犯人はこの中にいる──。犯人当ての「大きな森の小さな密室」。遺跡の発掘現場で発見されたのは、絞殺された若い女性の遺体。死亡推定時期は150万年前!? 抱腹絶倒の「更新世の殺人」。ミステリでお馴染みの7つの「お題」を天才殺人者やマッドサイエンティストなど一筋縄ではいかない探偵たちが解く。精密な論理が黒い笑いを構築する全7篇のミステリ連作集。

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  • 大鞠家殺人事件
    4.1
    大阪の商人文化の中心地として栄華を極めた船場――戦下の昭和18年、婦人化粧品の製造・販売で富を築いた大鞠家の長男に嫁ぐことになった陸軍少将の娘、中久世美禰子。だが夫は軍医として出征することになり、一癖も二癖もある大鞠家の人々のなかに彼女は単身残された。戦局が悪化の一途をたどる中、大鞠家ではある晩“流血の大惨事”が発生する。真夜中に闊歩する赤毛の小鬼の出現、酒樽の死体と、怪異は続く。正統派本格推理の歴史に新たな頁を加える傑作長編ミステリ。第75回日本推理作家協会賞および第22回本格ミステリ大賞受賞作。/解説=杉江松恋
  • 屋上の名探偵
    3.8
    汗が滲む真夏の昼休み、名探偵の誉れ高い少女は屋上にいた。授業中に学内で起こった、姉の水着の盗難事件に首を突っこんだおれ。残された上履きから割り出した唯一の容疑者には、完璧なアリバイがあった。行き詰まったおれは、友人から聞いた名探偵の評判を頼りに、彼女の知恵を借りることにした。東京からきた黒縁眼鏡におさげ髪の転校生、蜜柑花子という変わった名前のおとなしめの少女。普段は無口な蜜柑だが、鮮やかな推理で瞬く間に事件の犯人の名前を挙げる――。鮎川賞受賞作家が、さわやかな舞台設定で描いた連作ミステリ。
  • 屋上物語
    3.5
    デパートの屋上、それはかつて人々の憩いの場であった。遊園地あり、レストランあり、舞台でのショーありと、まさにエンターテインメントの集う場所だった。とあるターミナル駅に隣接する有名デパートの屋上には、知る人ぞ知る讃岐うどんの名店がある。老若男女のファンが、安くてうまいうどんの味を求めてやって来るが、同時に不思議な謎や事件も集まってくるのだ。うどんを提供するのと同様に、素早く謎解きするのは、通称「さくら婆ァ」。デパートの屋上で繰り広げられる様々な人間模様を、魔術師・北森鴻が丁寧に描いた8篇を収録した、連作ミステリ。装いも新たに贈る、決定版。/【目次】はじまりの物語/波紋のあとさき/SOS・SOS・PHS/挑戦者の憂鬱/帰れない場所/その一日/楽園の終わり/タクのいる風景/解説=愛川晶/創元推理文庫版解説=村上貴史
  • お節介な放課後 御出学園帰宅部の献身
    3.3
    佐々木幸弘を始め帰宅部員の高校生活は順調(というか乱調)で、何かと相談の声がかかる。校舎に隣接する家から通う相川タツヤの課外奉仕活動目標を話し合い、価値があるとは思えない三点セットが高値を呼ぶネットオークションの不可思議に遭遇、バレンタインデーの甘くないチョコレートに振り回され、自称“かもしれない名探偵”が明かす学園七夕伝説の真相を知って唖然とする。それぞれお人好しの意味合いは違っても、結束を強めていく御出線B班の七名。笑いのち友情ときどき謎、帰宅部の活躍第二集。/解説=津田裕城
  • 世界の望む静謐
    3.5
    あなたのことは、最初から疑っていました──大人気漫画家を殺してしまった週刊漫画誌の担当編集者、悪徳芸能プロモーターを手にかけた歌謡界の“元”スター、裏切った腹心の部下に鉄槌を下した人気タレント文化人、過去を掘り返そうとする同僚の口を封じた美大予備校の講師……。彼らは果たして、いつ、何を間違えてしまったのか。罪を犯した者たちを、死神めいた風貌の乙姫警部がじわりじわりと追い詰めていく。〈猫丸先輩〉シリーズや『星降り山荘の殺人』の倉知淳が挑む、〈刑事コロンボ〉の衣鉢を継ぐ大人気倒叙ミステリシリーズ!/【目次】愚者の選択/一等星かく輝けり/正義のための闘争/世界の望む静謐/解説=千街晶之
  • 踊るジョーカー
    3.8
    類稀な推理力を持つ友人の音野順のため、推理作家の白瀬白夜は仕事場の一角に探偵事務所を開設する。しかし当の音野は放っておくと暗いところへ暗いところへと逃げ込んでしまう、世界一気弱な名探偵だった。依頼人から持ち込まれた不思議な事件を解決するため、音野は白瀬に無理矢理引っ張り出され、お弁当持参でおそるおそる事件現場に向かう……。大量のトランプが散らばった密室での殺人事件、見えないダイイング・メッセージ、令嬢の婿取り雪だるまコンテストで起きた不可能犯罪など五つの難事件を収録。キュートでコミカル、しかし心は本格ミステリ。名探偵音野順、第一の事件簿。

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  • お人好しの放課後 御出学園帰宅部の冒険
    3.1
    授業が終われば速やかに帰宅し、成績は平均以上、通学区域で社会奉仕をすべし――帰宅部といっても佐々木幸弘が入学した御出学園の場合、正式な部活動としての規定がある。ベニヤ製の人形が夜な夜な徘徊していると聞いて調査に乗り出したのは、地域の皆さんのためにと燃えたわけではなく単なる成り行きだったが、結果的に帰宅部メンバーの認知度は上がり、相談と称してささやかな事件が持ち込まれるようになる。それなりに、または懸命に、使命を果たすべく奮闘する生徒たち。笑いのち友情ときどき謎の高校生活を描く、軽やかなデビュー連作集。/解説=佳多山大地
  • オランダ水牛の謎
    3.0
    上海生まれの口をきくアンティークの安楽椅子、アーチーとの出会いから半年。小学6年生になった衛が道端で拾った封筒には、“オランダ水牛”“植民地”“スパイ”と記され、葉つきの木の枝が中に入っていた。いかにも怪しい封筒と、その3つの言葉は何を意味しているのか? 上海時代のアーチーの持ち主・鈴木老人も加わって3人(?)の推理合戦の顛末を描いた表題作ほか、衛のひと夏の冒険譚「アメリカ珈琲の謎」など、クイーンよろしく〈国名シリーズ〉全5編。正真正銘の安楽椅子探偵アーチーと衛の心優しく、ユーモラスな連作ミステリ第2弾。

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  • 折鶴
    4.3
    新内節を語れる友禅差しの模様師・脇田は、旅先で三味線弾きの芸者・彩子と出会う。脇田は彼女に惹かれるが、彩子と、酒と女で身を持ちくずした彼女の師匠の名新内語りが、以前ある殺人事件に巻き込まれたことを知る、「忍火山恋唄」。縫箔の職人・田毎は、自分の名前を騙る人物が温泉宿に宿泊し、デパートの館内放送で呼び出されるという奇妙な出来事に見舞われていた。そんな折、パーティで元恋人の鶴子と再会した時の出来事を思い出し……。ふたりの再会が悲劇に繋がる「折鶴」など全4編。ミステリの技巧を凝らした第16回泉鏡花文学賞受賞作。/【目次】忍火山恋唄/駈落/角館にて/折鶴/解説=末國善己
  • オルゴーリェンヌ
    4.9
    書物が駆逐される世界。旅を続ける英国人少年・クリスは、検閲官に追われるユユと名乗る少女と出会う。彼女と共に追い詰められたクリスの前に、彼を救うべく少年検閲官・エノが現れる。三人は、少女が追われる原因である宝石の形をした『ミステリ』の結晶『小道具(ガジェット)』をいち早く回収すべく、オルゴール職人たちが住む海墟の洋館に向かったが……。そこで三人を待ち受けていたのは、職人たちを襲う連続不可能殺人だった! 先に到着していたもう一人の少年検閲官・カルテの支配下に置かれた場所で、三人は犯人を突き止めるべく、トリックの解明に挑む。著者渾身の力作!/解説=福井健太
  • オーブランの少女
    4.0
    比類なく美しい庭園オーブランの女管理人が殺害された。犯人は狂気に冒された謎の老婆で、犯行動機もわからぬうちに、次いで管理人の妹が自ら命を絶つ。彼女の日記を手にした「私」は、オーブランに秘められた恐ろしい過去を知る……楽園崩壊に隠された驚愕の真相とは。第7回ミステリーズ!新人賞の佳作となった表題作の他、醜い姉と美しい妹を巡るヴィクトリア朝犯罪譚「仮面」、昭和初期の女学生たちに兆した淡い想いの意外な顛末を綴る「片想い」など、異なる場所、異なる時代を舞台に“少女”という謎(ミステリ)を描き上げた、瞠目のデビュー短編集。/解説=瀧井朝世
  • 怪異筆録者
    -
    仕事に行き詰まっていたホラー作家の津久田舞々は、担当編集者の勧めで、駅前に自販機すらない過疎の町・古賀音を訪れた。そして町長直々に、この町のことを書き残してほしいと依頼を受ける。なぜわざわざホラー作家に頼むのか訊ねたところ、町長はこう答えた――ホラーを書いていらっしゃる方でしたら、そういう方面の耐性がおありだと思いまして。到着したその日から立て続く怪奇現象、次々姿を現す妖との共同生活、かつて古賀音に財をもたらした奇人の遺した謎。気弱な怪奇小説家が目にする、田舎町に秘められた想像を絶する「真実」とは? 稀代の物語作家が贈る、世にも不思議なジェントル・ゴースト・ストーリー!/解説=似鳥鶏 ※単行本『優しい幽霊たちの遁走曲』の改題・文庫版を底本としました。
  • 開化鉄道探偵
    3.4
    明治12年晩夏。鉄道局技手見習の小野寺乙松は、局長・井上勝の命を受け、元八丁堀同心の草壁賢吾を訪れる。「京都―大津間で鉄道を建設中だが、その逢坂山トンネルの工事現場で不審な事件が続発している。それを調査する探偵として雇いたい」という井上の依頼を伝え、面談の約束を取りつけるためだった。井上の熱意にほだされ、草壁は引き受けることに。逢坂山へ向かった小野寺たちだったが、到着早々、工事関係者の転落死の報が……。「このミステリーがすごい!2018」トップ10にランクインした、時代×鉄道ミステリの傑作。/【目次】第一章 最後の八丁堀/第二章 逢坂山/第三章 十四尺の洞門/第四章 鉄道嫌い/第五章 火薬樽/第六章 一触即発/第七章 特別臨時急行/第八章 大物登場/第九章 発破用意/第十章 トンネルを守れ/第十一章 一枚の切符/第十二章 ただ鐵(くろがね)の道を行く/あとがき/解説=香山二三郎
  • 開化鉄道探偵 第一〇二列車の謎
    3.5
    明治18年。6年前に逢坂山トンネルの事件を解決した元八丁堀同心の草壁賢吾は、井上勝鉄道局長に呼び出された。大宮駅で何者かによって貨車が脱線させられ、積荷から、謎の千両箱が発見された事件について調査してほしいと。警察は千両箱を、江戸幕府の元要人にして官軍に処刑された、小栗上野介の隠し金と見ているらしい。草壁と相棒・小野寺乙松鉄道技手は荷積みの行われた高崎に向かうが、乗っていた列車が爆弾事件に巻き込まれてしまう。更に高崎では、千両箱を狙う自由民権運動家や没落士族たちが不審な動きを見せる中、ついに殺人が!/解説=西上心太
  • 海賊島の殺人
    3.5
    〈王国〉の海域を荒らす海賊たちを討伐した功績で名を馳せる海軍提督バロウズ卿が、海賊連合〈南十字星〉の首魁アルバート・リスターに誘拐された――提督救出の密命を受けた若き海軍大尉アランは、天才を自称する元役者の中年男ソープの助力を得て海賊に変装し、〈南十字星〉への潜入を試みる。それぞれ個性豊かな海賊の長たちを束ねる謎の青年リスターらに囲まれた状況下での困難な任務に留まらず、アランたちは〈南十字星〉の本拠地の孤島で起きる連続殺人事件を解く羽目に陥ってしまう。鮮やかな謎解きと爽快な読後感の海洋冒険ミステリ!/解説=宇田川拓也
  • 怪盗の伴走者
    3.5
    帝都を騒がす大怪盗ロータスが盗みに失敗した! 東京は浅草の高層建築「凌雲閣」。その一角に飾られた油絵を盗もうとした怪盗は、番人に見つかり絵を置いて逃げたというのだ。この椿事は記者の高広の耳にも届く。ロータスは高広とも天才絵師・礼とも因縁浅からぬ相手、ただ失敗したとは思えない。さらに凌雲閣を再訪すると予告状が出されたとの情報が入り、高広と礼が調査を始める。同じ頃、彼らが再会した安西はロータス一連の窃盗事件の主任検事となっていた。怪盗と検事、今は敵対関係にあるが、かつては友人であり並んで駆けた時代があった。決別した二人がついに相まみえる! 大好評〈帝都探偵絵図〉シリーズ第4弾。
  • 鏡の迷宮、白い蝶 美波の事件簿5
    3.9
    『水島のじいちゃん』の名代で、西遠寺家の人々と共にかのこの許嫁の別荘へ、猫のケンゾウを連れて向かうことになった藤代修矢。招かれた別荘の隣には有名な万華鏡作家が住んでいた。認知症になってしまったその隣人は、大きなダイヤモンドを所持していたのだが、置き場所のヒントをメモに残していて……(表題作)。周りで起きる奇妙な事件の真相を、『水島のじいちゃん』が華麗に解き明かしていく。修矢・かのこ編二作、美波・直海編二作に、書き下ろし一作を含む、ライトな本格ミステリ短編集。好評《美波の事件簿》シリーズ、前日譚第二弾。/解説=太田忠司
  • 火災調査官
    4.0
    目黒区柿の木坂の空き家で放火が発生し、東京消防庁の火災調査官・東は現場に向かう。消火活動にあたったのは、東の高校時代の先輩であり、現在は目黒消防署八雲出張所のポンプ車小隊長を務める白木だった。そこで東は、犯人の遺留物と思しき、ダ・ヴィンチ『岩窟の聖母』の一部を模写した笑う天使の絵を見せられる。そしてその事件を皮切りに、都内で同じ手口の放火事件が頻発。現場にはなぜか同じ絵が残されていた……。有能だが本心では炎の美しさに執着している火災調査官と、正義感あふれるポンプ車小隊長が事件を追う渾身の長編ミステリ。
  • 風ヶ丘五十円玉祭りの謎
    3.7
    夏祭りにやって来た、裏染天馬と柚乃たち風ヶ丘高校の面々。たこ焼き、かき氷、水ヨーヨー、どの屋台で買い物してもお釣りに五十円玉が含まれるのはなぜ? 名作『競作 五十円玉二十枚の謎』をモチーフに挑んだ表題作ほか、“若き平成のエラリー・クイーン”が日常の謎に挑戦。学食のすぐ外に放置されていたどんぶりの謎を鮮やかに解く「もう一色選べる丼」、吹奏楽部内でのトラブルを描く「針宮理恵子のサードインパクト」、さらに天馬の妹・鏡華の華麗な謎解きを加えた全5編。『体育館の殺人』『水族館の殺人』に続くシリーズ第3弾は、痛快推理連作集。/解説=村上貴史
  • 風よ僕らの前髪を
    3.6
    弁護士の立原恭吾が何者かに殺害された。犯人は未だ不明の中、妻の高子は密かに養子の志史を疑い、甥の若林悠紀に彼の身辺調査を依頼する。元探偵事務所員だったとはいえ、悠紀にとっては志史は従弟というだけでなく、家庭教師として教えた子供の一人でもあった。渋々調査する悠紀だったが、志史には伯父の死亡時刻に鉄壁のアリバイがあることがわかる。誰にも心を許そうとしなかった志史の過去を調べるうちに、悠紀は愛憎渦巻く異様な人間関係の深淵を覗き見ることになる。第三十回鮎川哲也賞優秀賞受賞作。/解説=宇田川拓也
  • 火葬国風景
    3.7
    銭湯で起きた殺人事件の謎を解く、デビュー作の本格ミステリ「電気風呂の怪死事件」。夜の新宿で男が死んだはずの友人とすれ違ったことに端を発する、幻想的な冒険譚「火葬国風景」。“音楽浴”によって国民を洗脳・支配する独裁国が辿った、皮肉な末路を描く歴史的名作「十八時の音楽浴」。幼少時に離れ離れになった同胞を探す娘の、数奇な探偵行を綴る「三人の双生児」など、唯一無二の奇想に彩られた11編と、作品の背景が語られる珠玉のエッセイを収録。日本SFの先駆者にして、科学知識に基づいた作品を描いた著者の真髄を示す傑作短編集。
  • 片思いレシピ
    3.4
    ママが中国へ取材旅行に行っている間に、親友の妻沼柚子ちゃんと一緒に通ってる学習塾の先生が、誰かに殺されちゃった! お人形のような美少女の柚子ちゃんをえこ贔屓して、こっそりお菓子をあげたりしていた先生なんだ。どういうわけか柚子ちゃんのお祖父さんや、ちょっと風変わりなお兄さんなど、妻沼家のご家族が事件の捜査にのり出してきちゃって、ってちょっとちょっとパパ聞いてるの!? あの柚木草平の愛娘、小学校六年生の加奈子ちゃんの探偵行と淡い恋心を瑞々しい筆致で描く、さわやかな余韻が秀逸なミステリ。著者あとがき=樋口有介/解説=岡田育

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  • 刀と傘
    3.7
    慶応三年、新政府と旧幕府の対立に揺れる幕末の京都で、若き尾張藩士・鹿野師光は一人の男と邂逅する。名は江藤新平――後に初代司法卿となり、近代日本の司法制度の礎を築く人物である。二人の前には、時代の転換点ゆえに起きる事件が次々に待ち受ける。維新志士の怪死、密室状況で発見される刺殺体、処刑直前に毒殺された囚人――動乱の陰で生まれた不可解な謎から、論理の糸は名もなき人々の悲哀を手繰り寄せる。破格の評価をもって迎えられた第12回ミステリーズ!新人賞受賞作を含む、連作時代本格推理。第19回本格ミステリ大賞受賞。/【目次】佐賀から来た男/弾正台切腹事件/監獄舎の殺人/桜/そして、佐賀の乱/解説=末國善己
  • 仮題・中学殺人事件
    3.8
    推理小説の歴史をひもとけば、『黄色い部屋の謎』や『アクロイド殺害事件』のように、犯人の意外性で売り出した名作があまた存在する。ところがこれまで、どんな物語にも不可欠な人物であるのに、かつてこれを犯人に仕立てた推理小説というのは、ただの一編もなかった。読者=犯人である。そのことに気づいた、推理作家たらんと志すかけだしのぼくは、犯人を読者に求めようとしたのだ。そう、この推理小説中に伏在する真犯人は、きみなんです!――推理小説の仕掛け人・辻真先の出発点となった名作登場。/解説=桂真佐喜
  • 神様の次くらいに 人の死なない謎解きミステリ集
    3.1
    デートに誘ったはずが「家電量販店に行こう」と言われ、憧れの女性と開店前行列に並ぶことになった大学生の青年。その日遭遇したある謎解きの顛末から、彼は人の優しさについて思いを巡らすことになる。著者の実体験を反映した佳品の表題作ほか、文化祭前日に生徒会副会長が密室の謎に直面する学園もの「ライオンの嘘」、公園からひとつずつ何かが消えていくのはなぜかを名探偵凜堂星史郎が推理する「小さいものから消えよ」など五編を収録する。日々の暮らしのなかにふと入り込んだ謎とその真相を鮮やかに描いた、人の死なない謎解き作品集。著者初の〈日常の謎〉、文庫オリジナル。/【目次】「さくらが丘小学校 四年三組の来週の目標」児童たちのいざこざを収めるため謎解きに挑む新米教師の悪戦苦闘/「ライオンの嘘」男子サッカー部の部室からパソコンが消失。現場は密室だった――/「神様の次くらいに」家電量販店の開店前行列に並んだ先輩と俺のささやかな謎解き/「小さいものから消えよ」公園からひとつずつ何かが消えてゆく? 名探偵凜堂星史郎の推理/「デイヴィッド・グロウ、サプライズパーティーを開く」『星読島に星は流れた』の青年デイヴィッド、セグウェイに乗って再登場/あとがき
  • 辛い飴
    3.6
    唐島英治クインテットのテナーサックス奏者・永見緋太郎は、天才的な技術とは裏腹に、相変わらず音楽以外に興味を持たない日々。しかし、ひとたび謎や不思議な出来事に遭遇すると、大胆にも的確にその真相を突いてくる。名古屋のライヴハウスに現れたという伝説のブルースマンにまつわる謎、九州地方の島で唐島と永見が出合った風変わりな音楽とのセッションの顛末、“密室”から忽然と消失したグランドピアノの行方、など7編に、特別編「さっちゃんのアルト」を収録。ライヴ感溢れる、日常の謎的ジャズミステリ〈永見緋太郎の事件簿〉第2弾。/解説=山田正紀
  • 監獄舎の殺人 ミステリーズ!新人賞受賞作品集
    3.2
    「ミステリーズ!新人賞」から、数多くの才能が登場してきた。さる旧家の美人姉妹の鞘当てから起きた悲劇を、圧倒的な筆力で描く美輪和音。胎児に憑依した“幽霊探偵”の謎解きを、緻密な構成で魅せる近田鳶迩。深夜の公園で起きた奇妙な事件を軽妙に描く、ユーモアミステリの新星・櫻田智也。脳外科の臨床講義を舞台にしたミステリを発表、医療ミステリの新たな書き手と期待される浅ノ宮遼。明治時代の監獄舎で囚人が殺害される謎を描く、時代ミステリの旗手・伊吹亜門。新鋭たちの輝かしい出発点となった受賞作五編を収録した作品集を贈る。/解説=福井健太*本電子書籍には、配信中の作品に収録されている次の短編が含まれます。『強欲な羊』(創元推理文庫版 2015年7月初版発行)収録の表題作。また、以下の収録作は、各短編ごとに単体の電子書籍で配信中です。「かんがえるひとになりかけ」「サーチライトと誘蛾灯」「消えた脳病変」「監獄舎の殺人」
  • 完全・犯罪
    3.3
    「本来、これはわたしが貰うべき賞だったのだ!」ライバル、水海月博士に研究発表で先を越された時空博士。憤慨した博士は、自ら開発したタイムマシーンを活用して過去の水海月博士を殺害しようと決心した。念のため、自分に鉄壁のアリバイがある日時を犯行時刻に設定したのだが──(「完全・犯罪」)。真帆と嘉穂は、服も、玩具も、名前まで共有する一卵性双生児。自分は本当に「真帆」なのか。成長するに従い、真帆は次第にアイデンティティーを失っていく。思春期を迎え、恋を覚えた姉妹の運命は──(「双生児」)。驚きと恐怖、黒い笑いが詰め込まれた、全5篇のミステリ短篇集。

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  • 聴き屋の芸術学部祭
    3.7
    生まれついての聴き屋体質の大学生、柏木君が遭遇する4つの難事件。芸術学部祭の最中に作動したスプリンクラーと黒焦げ死体の謎を軽快に描いた表題作、結末が欠けた戯曲の謎の解明を演劇部の主演女優から柏木君が強要される「からくりツィスカの余命」、模型部唯一の女子部員渾身の大作を壊した犯人を不特定多数から絞り込んでゆく「濡れ衣トワイライト」、深夜の温泉旅館で二人組の泥棒とともに〈いったいここで何が起こったか?〉を推理する「泥棒たちの挽歌」の4編を収録。第5回ミステリーズ!新人賞佳作入選のデビュー作を皮切りに、文芸サークル第三部〈ザ・フール〉の愉快な面々が謎を解く過程を描いた快作。ユーモア・ミステリ界に注目の新鋭登場!
  • 喜劇悲奇劇
    3.7
    右から読んでも左から読んでも「きげきひきげき」――アルコール浸りの落ちぶれ奇術師七郎は、動く一大娯楽場〈ウコン号〉の処女航海で冴えない腕前を披露することになった。紹介されたアシスタントを伴い埠頭に着いたところが、出航前から船内は何やら不穏なムードに満ちている。案の定というべきか、初日直前の船内で連続殺人の騒動が持ち上がり、犠牲者には奇妙な共通点が見出され……。章題はすべて回文、「台風とうとう吹いた。」の一文で始まる、奇抜な謎とぺてんの楽しさてんこ盛りの本格長編ミステリ。言葉遊びへの造詣こよなく深いミステリ界の魔術師泡坂妻夫が物した、他の追随を許さない会心作。/作者のことば=泡坂妻夫、解説=新保博久
  • 奇談蒐集家
    3.6
    自ら体験した不可思議な話、求む。高額報酬進呈(ただし審査あり)。――新聞の募集広告を目にして酒場を訪れた老若男女は、奇談蒐集家を名乗る恵美酒と美貌の助手・氷坂を前に、怪奇と謎に満ちた体験談を披露する。シャンソン歌手がパリで出会った、運命を予見できる魔術師。少年探偵団の眼前で、少女の死体と入れ替わりに姿を消した魔人。冬薔薇が咲き誇る洋館に住む美しき館の主からの奇妙な申し出……。数々の奇談に喜ぶ恵美酒だが、氷坂によって不思議な謎は見事なまでに合理的に解き明かされる!安楽椅子探偵の推理が冴える連作短編集。

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  • 啄木鳥探偵處
    3.8
    【TVアニメ『啄木鳥探偵處』原作!】日本一の高塔として名を馳せる浅草十二階で、幽霊が目撃された――。明治四十二年九月、僕、金田一京助のもとへ石川啄木が持ち込んできた、幽霊騒動を報じる新聞記事。抜群の詩歌の才能を持ちながらも世に認められない啄木は、家族を養うため探偵業をはじめたところだった。その才能にほれ込んでいた僕は、助手役として探偵業に巻き込まれるが、事件は意外な方向へ……。第三回創元推理短編賞受賞作「高塔奇譚」をはじめ、人形の頭が男の喉を咬み切ったという怪事件「忍冬」など、トリックとロジックが冴える五編を収録する傑作連作ミステリ集。/【目次】第一話 高塔奇譚/第二話 忍冬/第三話 鳥人/第四話 逢魔が刻/第五話 魔窟の女/解説=細谷正充
  • 京都東山 美術館と夜のアート
    3.2
    神戸静河は学芸員志望だったものの、縁あって採用されたのはイチビこと、地元の市立美術館の常駐警備員。警備システムの解除や正面玄関の開錠など、展覧会スタッフたちを迎えるためにいち早く出勤しなければならない。これが施設常駐の警備員のオシゴトである――。深夜に美術館裏の庭園で遭遇した不審な男の正体は? 巡回中の展示室で見た浮世絵が新発見の写楽? 展示物のブログ紹介がきっかけで神社の失われた御神刀が発見されたが……などなど、地道な警備のオシゴトと美術ミステリのコラボレーション! ミステリーズ!新人賞受賞作家が、京都の町と美術館を舞台に描く、連作短編集。
  • 狂乱廿四孝/双蝶闇草子
    4.0
    三世澤村田之助、江戸末期から明治初期にかけて一世を風靡した歌舞伎の名女形。舞台の最中の怪我から脱疽となり結果として四肢を切断せざるを得なかった悲劇の名優である。明治3年、異彩の画家・河鍋狂斎の描いた幽霊画を発端とした連続殺人事件が、猿若町を震撼させる。幽霊画には歌舞伎界を揺るがす秘密が隠されているらしい――。滅び行く江戸の風情とともに、その事件の顛末を戯作者見習いのお峯の目を通して丁寧に活写した、第6回鮎川哲也賞受賞作『狂乱廿四孝』に、その後のお峯たちの姿を描いた未完の長編ミステリ『双蝶闇草子』を付す。/解説=浅野里沙子
  • 霧と虹とサイダーの氷
    3.3
    秋湊高校新入生初登校の日、一年一組の生徒全員の机のなかに、小さなカード三枚と何者かからの挑発的なメッセージが入れられていた。曰く「諸君、入学おめでとう。君たちに入学祝いを用意した。これから出題する謎をすべて解き明かすことができたら、賞品を差し上げよう」──かくしてゲームの幕は上がる。解答期限は五月一日、教師に知られた時点で謎解きは強制終了。クラスメート全員を巻き込んで進行する、一年一組限定の謎解きゲームの顛末は? 新鋭が放つ生粋の学園ミステリ、「東京創元社×カクヨム 学園ミステリ大賞」優秀賞受賞作。
  • 金閣寺は燃えているか? 文豪たちの怪しい宴
    3.5
    文京区の長い路地を抜けるとバーだった。大学教授の曽根原は、ふと気づくとバー〈スリーバレー〉に足が向いている。女性バーテンダー・ミサキの魅力なのか、文学談義のせいなのかは判らない。ある晩、まだ客の少ない時間にミサキが繰り出した質問は、川端康成の『雪国』についてだった。登場人物の行動から『雪国』はミステリではないか、というミサキの疑問に、途中からまたしても入店してきた宮田が、珍妙な説を披露し始めて……。『雪国』に加え、田山花袋『蒲団』、梶井基次郎『檸檬』、三島由紀夫『金閣寺』と、日本文学界の名作の新解釈で贈る、鯨統一郎最新作。
  • 金木犀と彼女の時間
    4.1
    高校最後の文化祭当日、菜月は屋上でクラスメイトの拓未に告白された直後、人生3度目のタイムリープに巻き込まれた。この状態になった菜月は同じ1時間を5回繰り返し、最後の出来事が確定事項となるのだ。その1回目、菜月が告白されるより前に拓未は転落死してしまう。同じことが操り返されるはずだったのに、いったい何が起きたのか? 菜月は残り4回のタイムリープのなかで、拓未が死なない方法を探して奔走するが……。他人に心を開けない女子高生がクラスメイトを救うために校舎を駆けめぐる、鮮やかな学園タイムリープ・ミステリ登場。/【目次】プロローグ/第一章 繰り返しの時間/第二章 文化祭の幕開け/第三章 起こるはずのない事件/第四章 深まる謎/第五章 彼女の時間/解説=村上貴史
  • 逆回りの時計
    3.0
    高木あずさは、脳梗塞で倒れたあと寝たきりになっている母に呼び出された。家の権利証と実印を森戸浩二に渡せ、これは償いだと必死に訴える母。億の単位に届く不動産をなぜその男に? 母からは理由を聞き出せず、あずさは仕方なく独力で事情を探り始めた。一方、ホテルのプールで起こった殺人事件の捜査中あずさに接触した菊地は、彼女を通じて貴重な情報を入手。その結果、過去数カ月間に発生していた事件が共通の背景を持つことを見出し、全容の解明に奔走する。練り上げられた筋立てと過去に根ざす衝撃の真相、シリーズ掉尾を飾る長編推理。

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  • 疑惑の墓標
    -
    失踪から2カ月、トランク詰めにされた高見沢妙子の遺体が西伊豆で見つかった。愛人関係にあったカメラマンの浅倉が容疑者とされたが、人となりを知る田辺は浅倉の無実を信じて調査を始める。一方、鳴子温泉近くの林で不審な死を遂げた塾講師、坂口三郎。新妻の陽子は夫を殺した男を捜そうと手始めに遺品を整理する。二人のアマチュア探偵の行動はやがて重なり合い、事件の不可分な関係が浮かび上がった。更なる究明を委ねられた捜査一課の相沢と菊地は、墓標に託されたメッセージを通じて真相に至る。藤雪夫との共著『獅子座』『黒水仙』に続くシリーズ第3作にして桂子単独名義の処女作。

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  • 銀色の国
    3.8
    NPO法人〈レーテ〉で自殺対策に取り組む田宮晃佑のもとに、立ち直ったはずの元相談者が自殺したという悲報が届く。亡くなる前の彼は、異様なほどVRにのめり込んでいたという。不審に思った晃佑は、友人の元ゲームクリエイター城間宙とともに調査を始める。一方、SNSに死をほのめかす投稿を繰り返す浪人生の外丸くるみは、フォロワーの一人から自助グループ〈銀色の国〉に誘われる。ネット上で人と人とが支え合う――そんな言葉に惹かれて受け取った荷物の中身は、VRゴーグルだった。仮想世界と現実で一体何が起きているのか。日本推理作家協会賞受賞作家による傑作ミステリ。/解説=千街晶之
  • 空白の殺意
    3.5
    高崎市内の川土手で私立高校に通う女生徒の扼殺死体が発見される。その二日後、今度は同校の女性教師が謎めいた遺書を残して自殺する。そして行方不明だった野球部監督の毒殺死体が発見されるに及んで、俄然事件の背後に甲子園行を目指して熾烈な闘いをくり展げている学校同士の醜い争いが炙り出されてくる……。「模倣の殺意」「天啓の殺意」のトリック・メーカーが、密かな自信をもって読者に仕掛ける巧妙なワナ。改稿決定版。

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  • 櫛の文字 銭形平次ミステリ傑作選
    3.0
    神田明神下に住む、凄腕の岡っ引・銭形平次。投げ銭と卓越した推理力を武器にして、子分のガラッ八と共に、江戸で起こる不思議な事件に立ち向かっていく! 見せ世物小屋にて、水槽で泳ぐ美女ふたりのうちひとりが殺された謎を解く「人魚の死」。暗号が彫られた櫛をきっかけに殺人が起こる「櫛の文字」。評判の良い美人の妾が奉公した材木屋で、店を脅かす事態が発生する「小便組貞女」。世間を騒がす怪盗の意外な正体を暴く「鼬小僧の正体」。383編にも及ぶ捕物帳のスーパーヒーローの活躍譚から、ミステリに特化した17編を収録した決定版。【収録作】「振袖源太」「人肌地蔵」「人魚の死」「平次女難」「花見の仇討」「がらッ八手柄話」「女の足跡」「雪の夜」「槍の折れ」「生き葬い」「櫛の文字」「小便組貞女」「罠に落ちた女」「風呂場の秘密」「鼬小僧の正体」「三つの菓子」「猫の首環」/編者解説=末國善己
  • 九度目の十八歳を迎えた君と
    3.7
    通勤途中の駅で見かけた二和美咲は、あのころの、僕が恋をした18歳の姿のまま佇んでいた。それはまぼろしでも他人の空似でもなく、僕が高校を卒業したあとも、彼女は当時の姿のままでずっと高校に通い続けているという。周囲の人々は不思議に感じないようだが、僕だけはいつまでたっても違和感がなくならない。なぜ彼女は高校生の18歳のままの姿なのか。その原因は最初の高校3年生のころにあるはずだと、当時の級友や恩師のもとを訪ね、彼女の身に何が起こっているのか調べ始める。気鋭の作家が描く、心締めつけられる青春と追想のミステリ。/解説=若林踏
  • 雲の中の証人
    4.3
    弁護士事務所へ出向勤務を命じられた探偵社員の「私」は、製薬会社の会計課員がアパートで殺され、保管していた三千万円余りが奪われた半年前の事件を担当する。弁護すべきは、当時被害者の部屋に居候していた倒産寸前の工場主。絶対的に不利な条件下で雲を摑むような証人探しを拝命した私は――表題作『雲の中の証人』のほか、三幕の法廷コント『公平について』や、物真似殺人を企てた男の物語『赤い鴉』、恋に燃える女子大生と助教授の悲喜劇『あたしと真夏とスパイ』など、短編集成四巻目となる本書には、六二年~七二年発表の九編を収める。【収録作】「逢う時は死人」/「公平について」/「雲の中の証人」/「赤い鴉」/「私が殺した私」/「あたしと真夏とスパイ」/「或る殺人」/「鉄段」/「めだかの還る日」
  • 黒いダイヤモンド
    4.0
    長閑なフランスの小村、サンドニ。村の唯一の警官にして警察署長であるブルーノは、狩猟仲間であるエルキュールから、トリュフ市に粗悪な中国産トリュフが紛れ込んでいる問題について調査を依頼される。だが聞き込みを始めた矢先、エルキュールが何者かに殺害されてしまう。彼はかつて、情報部に所属する伝説の秘密警察官だった。犯行に及んだ者はその過去を知っていたのか? さらに彼の友人であるヴェトナム人夫婦まで中国人犯罪組織に襲撃され……。圧巻の取材力と緻密な構成、そして驚愕の真相。ベテランジャーナリストが放つ傑作ミステリ!

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  • 黒いトランク
    3.9
    千九百四十九年も押し詰った鬱陶しい日の午後、汐留駅前交番の電話のベルが鳴り、事件の幕が切って落とされた。トランクに詰められた男の腐乱死体。荷物の送り主は福岡県若松市近松千鶴夫とある。どうせ偽名だろう、という捜査陣の見込みに反し、送り主は実在した。その近松は溺死体となって発見され、事件は呆気なく解決したかに思われた。だが、かつて思いを寄せた人からの依頼で九州へ駆けつけた鬼貫の前に青ずくめの男が出没し、アリバイの鉄の壁が立ち塞がる……。巨星、鮎川哲也の事実上のデビュー作であり、戦後本格の出発点ともなった里程標的名作。綿密な校訂による決定版!

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  • 黒いハンカチ
    3.5
    住宅地の高台に建つA女学院――クリイム色の壁に赤い屋根の建物があって、その下に小さな部屋が出来ていた。屋根裏と云った方がいいそこがニシ・アズマ女史のお気に入りの場所だった。ちっぽけな窓から遠くの海を眺め、時には絵を描いたりもしたが、じつは誰にも妨げられずに午睡ができるからだった。だが、好事魔多し。そんな彼女の愉しみを破るような事件が相次ぐ。そしてニシ先生が太い赤縁のロイド眼鏡を掛けると、名探偵に変身するのだ。飄飄とした筆致が光る短編の名手の連作推理。/【収録作】「指輪」/「眼鏡」/「黒いハンカチ」/「蛇」/「十二号」/「靴」/「スクェア・ダンス」/「赤い自転車」/「手袋」/「シルク・ハット」/「時計」/「犬」/あとがき/解説=新保博久
  • 黒水仙
    5.0
    宮城県の第八十八銀行白山支店で行員が射殺され、現金一億円と支店長が消えた。行員の口に押し込まれていたハンカチに施された黒い水仙の刺繍に、捜査官は首を傾げる。ほどなく、崖下に転落炎上した車から支店長が見つかり、当局は方針転換を迫られることに。強奪された一億円のうち紙幣番号の判明した十枚に関して得た情報が呼び水となって、東京の守衛殺しとの関連性も浮上、事件は思いがけない様相を呈していく。菊地警部が苦悩しつつも辿り着いた、黒水仙に象徴される悪しきものとは何か。父娘作家の出発点『獅子座』に続くシリーズ第2作。

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  • 黒百合
    3.6
    昭和27年の夏休み。14歳だった「私」こと進と一彦は、六甲山にあるヒョウタン池のほとりで、不思議な雰囲気を纏った同い年の少女と出会う。池の精を名乗ったその香という少女は、近隣の事業家・倉沢家の娘だった。三人は出会った翌日からピクニックや山登りを通して親交を深めてゆく。自然の中で育まれる少年少女の淡い恋模様を軸に、昭和10年のベルリン、昭和15年の阪神間を経由して、物語は徐々にその相貌を明らかにしてゆく。そして、最後のピースが嵌るとき、あらゆる読者の想像を超える驚愕の真相が描かれる。数々の佳品をものした才人による、工芸品のように繊細な傑作ミステリ。/解説=戸川安宣
  • グラスバードは還らない
    4.1
    マリアと漣は大規模な希少動植物密売ルートの捜査中、得意取引先に不動産王ヒューがいることを摑む。彼には所有高層ビル最上階の邸宅で、秘蔵の硝子鳥や希少動物を飼っているという噂があった。ビルを訪れた二人だったが、そこで爆破テロに巻き込まれてしまう! 同じ頃、ヒューの所有するガラス製造会社の関係者四人は、知らぬ間に拘束され、窓のない迷宮に軟禁されたことに気づく。「答えはお前たちが知っているはずだ」というヒューの伝言に怯えて過ごしていると、突然壁が透明に変わり、血溜まりに横たわる男の姿が!? 好評シリーズ第3弾!/解説=宇田川拓也
  • グリーン車の子供
    3.9
    7年ぶりに、「盛綱陣屋」の微妙役への出演依頼があった老歌舞伎俳優・中村雅楽。しかし、雅楽は子役の配役が気にいらず、出演をなかなか快諾しない。そんな中、法要のため大阪を訪れた雅楽は、友人の竹野記者とともに帰京する新幹線のグリーン車で、一人の幼い少女と隣同士になる。東京へ到着する直前に「陣屋」への出演を決意した理由とは? 《中村雅楽探偵全集》第二巻は、第29回日本推理作家協会賞を受賞した「グリーン車の子供」を含む全18編。日本推理作家協会賞受賞時の著者の言葉など、資料も併録。【収録作】「ラッキー・シート」/「写真のすすめ」/「密室の鎧」/「一人二役」/「ラスト・シーン」/「臨時停留所」/「隣家の消息」/「美少年の死」/「八人目の寺子」/「句会の短冊」/「虎の巻紛失」/「三人目の権八」/「西の桟敷」/「光源氏の醜聞」/「襲名の扇子」/「グリーン車の子供」/「日本のミミ」/「妹の縁談」/徳間ノベルズ版『グリーン車の子供』 あとがき=戸板康二/受賞の言葉=戸板康二/創元推理文庫版解題=日下三蔵
  • 刑事何森 孤高の相貌
    4.3
    埼玉県警の何森稔(いずもりみのる)は、昔気質の一匹狼の刑事である。有能だが、組織に迎合しない態度を疎まれ、所轄署をたらいまわしにされていた。久喜署に所属していたある日、何森は殺人事件の捜査に加わる。車椅子の娘と暮らす母親が、二階の部屋で何者かに殺害された事件だ。階段を上がれない娘は大きな物音を聞いて怖くなり、ケースワーカーを呼んで通報してもらったのだという。県内で多発している窃盗事件との関連を疑う捜査本部の見立てに疑問を持った何森は、ひとり独自の捜査を始めていく――。〈デフ・ヴォイス〉シリーズ随一の人気キャラクター・何森刑事が活躍する連作ミステリ第1弾。/【目次】二階の死体/灰色でなく/ロスト/あとがき/解説=杉江松恋
  • 刑事失格
    3.5
    鴬橋派出所管内で発見された死体の後頭部には、大きな裂傷が刻まれていた。間違いなく他殺だ。――刑事になることを目標とする外勤警官・阿南は、その遺体に残された、謎の噛み傷に疑問を抱く。いなくなった飼犬捜し、夜ごと駅前にたむろする子供たちへの苦情処理など、煩雑な日常業務に忙殺されながら、阿南は個人的にその事件を追う。だが、見回り中に起きた新たな殺人をきっかけに、彼は複数の事件の思わぬ繋がりに気がつく。常に“正しくあること”を求める阿南が見出した、残酷な真実。ひとりの青年の不器用な歩みを描き上げる太田忠司のライフワーク・シリーズ、鮮烈なる第1弾。/解説=池上冬樹

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  • 穢れた手
    3.5
    大学と登山の街、松城市、その松城警察署の刑事一課の警部補・桐谷光次は、収賄で逮捕された同期で親友の刑事・高坂拓の無実を確信していた。そして、今日、彼は処分保留のまま釈放された。贈賄側の男も釈放。しかし、逮捕された時点で既に高坂の解雇は決まっていた。処分の撤回はできないのか? 親友の名誉を回復するべく桐谷はひとり行動を開始する。しかし、思いもよらぬ殺人事件に巻き込まれ、事態は意外な方向に……。警察組織の深部に、いったい何が潜むのか? 組織の闇と、刑事たちの友情のかたちを見事に描き上げた傑作。/解説=若林踏
  • 化身
    3.7
    夏休みに入ったばかりの女子大生・人見操の元に届けられた、差出人不明の保育園と一枚の絵の写真。次いで届いたのはその保育園の近影と、見知らぬ少女のポートレイトだった。次々と届く写真に恐怖を覚え調べていくと、その保育園では19年前、未解決の園児誘拐事件があったらしい。そしてその容疑者の容貌は、操の父に酷似していた。自分は誘拐された園児なのか? 父は誘拐犯なのか? 自分の本当の両親は誰なのか? 巧妙な誘拐トリックと戸籍制度に仕掛けられた驚愕の謎! 第5回鮎川哲也賞受賞作。/解説=大矢博子
  • 決断の刻
    4.0
    あるコンサルティング会社の男性社員が死体となって発見される。同社では一人の女性社員が行方不明となっていた。時を同じくして同社の海外贈賄事件を調べていた所轄署の刑事が姿を消した。同署の刑事課長と同社社長は、かつてある事件で刑事とネタ元として信頼関係を築いていた。しかも、二人にはラグビーという固い絆もあった。しかし今、刑事課長は署長への道を模索、社長は本社役員の座を狙っている。二人それぞれの正義とは? 人生後半の男たちに決断の刻が迫る。警察小説+スポーツ小説+企業小説、堂場ワールドの集大成とも言うべき傑作。/解説=大矢博子
  • 煙の殺意
    3.7
    問答無用の面白さ、騙される快感!泡坂ミステリのエッセンスが詰まった名作品集。困っているときには、ことさら身なりに気を配り、紳士の心でいなければならない、という近衛真澄の教えを守り、服装を整えて多武の山公園へ赴いた島津亮彦。折よく近衛に会い、2人で鍋を囲んだが……知る人ぞ知る逸品「紳士の園」や、加奈江と毬子の往復書簡で語られる南の島のシンデレラストーリー「閏の花嫁」、大火災の実況中継にかじりつく警部と心惹かれる屍体に高揚する鑑識官コンビの殺人現場リポート「煙の殺意」など、騙しの美学に彩られた8編を収録。/収録作=「赤の追想」「椛山訪雪図」「紳士の園」「閏の花嫁」「煙の殺意」「狐の面」「歯と胴」「開橋式次第」
  • 劇場の迷子
    4.3
    「千駄ケ谷の小父さん」と、敬愛の念を抱いて訪ねてくる後輩役者や竹野記者が持ち込む、様々な謎を解いてみせる老歌舞伎俳優・中村雅楽。長い人生経験、舞台経験に裏打ちされた老優の推理力は、その芸に劣らず一流で、歌舞伎の世界で起る難問を芸道指南よろしく、鮮やかにそして優雅に解決していく。歌舞伎座で迷子になった、能楽師の一人息子が巻き込まれた事件を描く「劇場の迷子」をはじめ、女形と舞踊家の弟子との恋模様にまつわる「家元の女弟子」、著者最晩年の作品「演劇史異聞」に加え、単行本未収録作「元天才少女」「留め男」「むかしの弟子」など滋味ある謎解き全28編。【収録作】「日曜日のアリバイ」/「灰」/「元天才少女」/「なつかしい旧悪」/「祖母の秘密」/「弁当の照焼」/「銀ブラ」/「不正行為」/「写真の若武者」/「機嫌の悪い役」/「いつものボックス」/「劇場の迷子」/「必死の声」/「芸談の実験」/「かなしい御曹司」/「家元の女弟子」/「京美人の顔」/「女形の愛人」/「一日がわり」/「荒療治」/「市松の絆纏」/「二つの縁談」/「おとむじり」/「油絵の美少女」/「赤いネクタイ」/「留め男」/「むかしの弟子」/「演劇史異聞」/講談社版『劇場の迷子』 後記=戸板康二/創元推理文庫版編者解題=日下三蔵
  • 月下の蘭/殺人はちょっと面倒
    3.0
    温室での洋蘭の栽培に全身全霊を捧げる美しい義姉。彼女が育てる人面花を巡る悲劇と戦慄の真相を描いた表題作ほか、花・星・蟲・鳥を題材として、幽玄の世界のうちに技巧を尽くした傑作ミステリ短篇集『月下の蘭』。かつて公安警察の鬼と呼ばれた盲目の老人と、彼の愛娘が伴った謎の客との会話が思わぬ過去を暴き出す「夜のジャスミン」ほか、男女の愛憎を中心に据え、鮮やかなツイストで読者を唸らせる『殺人はちょっと面倒』。幻の2冊を合本にて贈る。『血の季節』『弁護側の証人』など大胆な仕掛けで世を驚倒せしめた著者が、歌舞伎、能楽などの古典芸能をモチーフとした8篇を収録。【収録作】『月下の蘭』「月下の蘭――春は花」「残酷なオルフェ――夏は星」「宵闇の彼方より――秋は蟲」「ロドルフ大公の恋人――冬は鳥」/『殺人はちょっと面倒』「ラヴ・ホテル〈瀧〉にて」「殺人はちょっと面倒」「夜のジャスミン」「空白の研究 A Study in Blank」/『月下の蘭』初刊本あとがき/編者解題=日下三蔵
  • 月下美人を待つ庭で 猫丸先輩の妄言
    4.2
    猫丸という風変わりな名前の“先輩”は、妙な愛嬌のよさと人柄をもち、愉快なことには猫のごとき目聡さで首をつっこむ。そして、どうにも理屈の通らない謎も彼にかかれば、ああだこうだと話すうちにあっという間に解き明かされていくから不思議だ。悪気なさそうな闖入者たちをめぐって温かな読後感を残す表題作や、電光看板の底に貼り付けられた不規則な文字列が謎を呼ぶ「ねこちゃんパズル」、一見変哲のない写真を巡って恐るべき推理が提示される「恐怖の一枚」など全五編を収録。日常に潜む不可思議な謎を、軽妙な会話と推理で解き明かす連作集。/【目次】ねこちゃんパズル/恐怖の一枚/ついているきみへ/海の勇者/月下美人を待つ庭で/解説=三橋曉
  • 源氏供養 草子地宇治十帖
    4.5
    彰子皇太后への宮仕えを辞して出家した紫式部(香子)は今、彰子が手配してくれた質素な宇治の寺の庵に一人で暮らしている。彰子の元には、娘の賢子が出仕中。彰子の異母弟と恋仲になり、宮中生活を謳歌している。そんな折、香子は顕光左大臣の息女の延子より『源氏物語』の続きを促す便りをもらうも、関節炎が悪化しなかなか筆をとることができない。香子の周囲で、薬を盛られたであろう猫が発見されたりと、どこかきな臭い。一方で香子の侍女だった阿手木は筑紫に渡り、「刀伊の入寇」に巻き込まれる……。王朝推理絵巻、完結篇。
  • 幻獣遁走曲 猫丸先輩のアルバイト探偵ノート
    3.5
    ある時は幻の珍獣アカマダラタガマモドキの捜索隊員、ある時は松茸狩りの案内人、ある時は新薬実験モニター、そしてある時は戦隊ショーの怪人役と、いっぷう変わったアルバイトに明け暮れる神出鬼没の名探偵・猫丸先輩が遭遇した五つの事件。猫コンテスト会場での指輪盗難事件と壮絶なドタバタを描いた「猫の日の事件」、幻の珍獣の存在を示す報告書焼失の裏に隠された真相に呆然とさせられる「幻獣遁走曲」、意外な真実が爽やかな余韻を呼ぶ「たたかえ、よりきり仮面」ほか2編を収録。著者の真骨頂である優しさとユーモア、そして謎解きの楽しさが遺憾なく発揮された愉快な連作集。/解説=光原百合/新版刊行によせて=倉知淳
  • 現代詩人探偵
    3.8
    とある地方都市でSNSコミュニティ、『現代詩人卵の会』のオフ会が開かれた。九人の参加者は別れ際に、これからも創作を続け、十年後に再会する約束を交わした。しかし当日集まったのは五人で、残りが自殺などの不審死を遂げていた。なぜ彼らは死ななければならなかったのか。細々と創作を続けながらも、詩を書いて生きていくことに疑問を抱き始めていた僕は、彼らの死にまつわる事情を探り始めるが……。生きることと詩作の両立に悩む孤独な探偵が、創作に取り憑かれた人々の生きた軌跡を辿り、見た光景とは? 気鋭の著者が描くミステリ長編。/解説=宇田川拓也
  • 恋牡丹
    3.0
    北町奉行所に勤め、若き日より『八丁堀の鷹』と称される同心戸田惣左衛門と息子清之介が出合う謎の数々。神田八軒町の長屋で絞殺されていたお貞。化粧の最中の凶行で、鍋には豆腐が煮えていた。長屋の者は皆花見に出かけており……「花狂い」。七夕の夜、吉原で用心棒を頼まれた惣左衛門の目の前で、見世の主が殺害された。衝立と惣左衛門の見張りによって密室状態だったはずなのだが……「願い笹」。惣左衛門と清之介親子を主人公に描く、滋味溢れる時代ミステリ連作集。移りゆく江戸末期の混乱を丁寧に活写した、第27回鮎川哲也賞最終候補作。
  • 凍える島
    3.6
    ひどくなまぬるかった、あの夏――喫茶店〈北斎屋〉店長の野坂あやめは、得意客やその友人を含む男女八名で、瀬戸内海の真ん中に浮かぶS島を訪れた。数年前まで新興宗教の聖地だったという無人島に建つ別荘で、良質な退屈を楽しむはずが、到着翌日に死体が発見され事態は一変する。無惨絵のような刺殺体は、朱に染まった密室に横たわっていたのだ。それが悲劇の幕開けとばかりに、一人また一人と殺され、疑心暗鬼に陥る一行。霧に包まれ、交通と連絡の手段がない孤島でいったい何が起きているのか? 著者の出発点たる第4回鮎川哲也賞受賞作。/解説=杉江松恋
  • 壺中の天国 上
    3.4
    「全能にして全知の存在から発射されるメッセージを電波として受信しているが妨害者の存在を知ったので殺害を実行したものであり――」盆栽が趣味のシングルマザー・知子が、アイドルに夢中の一人娘と少々お節介な父親とのんびり平和に暮らす稲岡市。しかし犯行声明のような怪文書と共に女子高生の撲殺死体が発見され、静かな地方都市を揺るがす騒動の幕があがる! 通り魔殺人事件が起こるたびに発見される電波系怪文書。被害者を繋ぐミッシング・リンクとは。巧みにはり巡らされた伏線と規格外の推理が冴える、第1回本格ミステリ大賞受賞作。
  • 湖底のまつり
    3.6
    傷心を癒す旅に出た若い女性香島紀子は、東北地方の山間の村で、急に水量が増した川の岩場に取り残される。岸に戻ろうと水に入った紀子は流れに呑まれそうになるが、ロープが投げられ辛うじて救出された。助けてくれたのは、土地の若者埴田晃二で、その夜晃二の家に泊まった紀子は彼に抱かれる。翌朝目覚めると晃二の姿はなかった。村祭で賑わう神社に行き、村人に尋ねると晃二はひと月前に毒殺されたと告げられた。では彼女を助け、晃二と名乗った人物は誰なのか? 文学的な香気漂う描写の陰から、著者が仕掛けた謎が妖しく浮かび上がる……?!/解説=綾辻行人
  • この世にひとつの本
    3.5
    「ユーレイが消えた!」――著名な書家の幽嶺が、山奥の庵から忽然と姿を消した。後援していた大塔印刷では、御曹司の三郎に捜索をまかせることに。だが、工場でもあいついで病死者が出るという異常な事態が起こっていた。これは会社存亡の危機だ! いささか頼りない三郎は、有能な社長秘書の南知子と、切れ者ながら史上最速で窓際族になった社史編纂室の建彦の助けを借り、事件を探りはじめる。病死はただの偶然か、それとも無版印刷をめぐる陰謀なのか? そして、一見まったく関係がなさそうなそれぞれの事件は、世界に一冊しかないある書物へと、つながっていき――。「文字」を愛する活字中毒者に贈る傑作ミステリ。/解説=古山裕樹
  • こめぐら
    3.5
    【倉知淳ノンシリーズ作品集成第二弾】必要か不必要かはどうでもいいのだ。したいからする。着けたいからつける。これは信念なのだ――密やかなオフ会でとんでもない事態が発生、一本の鍵を必死に探し求める男たちを描く「Aカップの男たち」をはじめ、うそつきキツネ殺害事件の犯人を巡ってどうぶつたちが動機のあげつらいと推理を繰り広げる非本格推理童話「どうぶつの森殺人(獣?)事件」、B級時代劇におけるあまりにも意外な犯人消失の真相を描いた「さむらい探偵血風録」など5編に加え、猫丸先輩探偵譚「毒と饗宴の殺人」を特別収録。【収録作】「Aカップの男たち」「「真犯人を探せ(仮題)」」「さむらい探偵血風録 風雲立志編」「遍在」「どうぶつの森殺人(獣?)事件」「毒と饗宴の殺人」/単行本版あとがき
  • コージーボーイズ、あるいは消えた居酒屋の謎
    3.8
    昨日行った居酒屋が消えた? 引き出しのお金が四万七千円も増えていた? だれも死んでいないのに姉が四方八方に喪中はがきを送りつけていた? ミステリ談義の集まりにひとりゲストをお呼びして、毎回カフェ〈アンブル〉でゆるゆると行う推理合戦。それなりにみんながんばるのだけど、いつも謎を解き明かすのは店長の茶畑さんなのだった。──もっと気軽に謎解きを楽しみたいと思っていた皆さんへ贈る、ほがらかなパズル・ストーリー7編。期待の新鋭がデビューを果たした安楽椅子探偵シリーズ第1弾。/【目次】コージーボーイズ、あるいは消えた居酒屋の謎/コージーボーイズ、あるいはありえざるアレルギーの謎/コージーボーイズ、あるいはコーギー犬とトリカブトの謎/コージーボーイズ、あるいはロボットはなぜ壊される/コージーボーイズ、あるいは謎の喪中はがき/コージーボーイズ、あるいは見知らぬ十万円の謎/コージーボーイズ、あるいは郷土史症候群/単行本版あとがき/文庫版あとがき
  • 豪華客船エリス号の大冒険
    4.0
    新宿の荒城の事務所を一人の男が訪ねてくる。戦前欧州からの引き揚げ船で見た並走する船の消失事件。その船上にあった、美女の像の謎。それらの出来事を解明してほしい――。しかし男は、豪華客船への招待状と、伝説の犯罪者・夜叉姫からの挑戦状を残して、何者かに殺害されてしまう。事件解決のため豪華客船エリス号へ乗り込む、荒城と殿島。彼らを待ち受ける、船上での密室殺人に、夜叉姫から送られてくるメッセージ、さらに謎の暗号文。義手探偵・真野原も乱入し、驚愕の真相があぶりだされる! 『雲上都市の大冒険』に続くシリーズ第2弾。

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  • 強欲な羊
    3.8
    怖い、でもページを捲る手が止まらない!とある屋敷で暮らす美しい姉妹のもとにやってきた「わたくし」が見たのは、対照的な性格の二人の間に起きた数々の陰湿で邪悪な事件。ついには妹が姉を殺害するにいたったのだが――。はたして“羊の皮を被った狼”は姉妹どちらなのか?圧倒的な筆力で第7回ミステリーズ!新人賞を受賞した「強欲な羊」に始まる“羊”たちの饗宴。揺れ動く男の心理と狡猾な女を巧みに描く「背徳の羊」。愛する王子と暮らす穏やかな日々が崩壊する過程を、女たちの語りで紡ぐ「ストックホルムの羊」ほか全5編。女性ならではの鋭い狂気が秀逸な連作ミステリ。
  • ご近所美術館
    3.4
    国道沿いのビル群の間にひっそりと建つペンシル・ビル。その二階に“美術館”はあります。のんびり寛げるラウンジは憩いの場として親しまれ、老館長が淹れるコーヒーを目当てに訪れるお客もちらほら。しかし、この度館長が引退することに……。後任としてきたのは、稀に見る美貌を持つ川原董子さん。そんな彼女に、常連の海老野くんは一目惚れしてしまいます。董子さんを振り向かせたい一心で、彼女の妹あかねさんの助けを借りつつ、来館者が持ちこむ謎を解決していく海老野くん。果たして、彼の恋の行方は? 恋する青年が美術館専属の探偵となって奮闘する、ほんわか連作ミステリ。/解説=大矢博子
  • 午前零時のサンドリヨン
    3.5
    ポチこと須川くんが、高校入学後に一目惚れしたクラスメイトの女の子。他人を寄せ付けない雰囲気を纏っている酉乃初は、実は凄腕のマジシャンだった。放課後にレストラン・バー『サンドリヨン』でマジックの腕を磨く彼女は、学校で起こった不思議な事件を、抜群のマジックテクニックを駆使して鮮やかに解決してみせる。それなのに、なぜか人間関係には臆病で、心を閉ざしがちな酉乃。はたして、須川くんは酉乃との距離を縮めることができるのか――。学園生活をセンシティブな筆致で活き活きと描いた、“ボーイ・ミーツ・ガール”ミステリ!

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  • ゴースト≠ノイズ(リダクション)
    3.9
    ぼくが1年A組の幽霊になって、一月が経過した――高校に入学したばかりのころの失敗によってクラス内で孤立し、いまでは幽霊扱いされている一居士架(いちこじかける)。惨めな日常を過ごしながらも限界を感じていた架は、十月の席替えで前の席になった玖波高町(くばたかまち)に突然話しかけられる。それは彼の苦しみに満ちた毎日に変化をもたらす、小さくも確かな予兆だった。時を同じくして、校舎の周辺では蝶結びのメッセージを残した動物の死骸が相次いで発見され、休みがちになった高町は何かに思い悩むような様子を見せはじめる……。圧倒的な筆力と繊細な技巧が紡ぎ出す、静謐な感動に満ちた青春ミステリ。/解説=大森望
  • 最良の嘘の最後のひと言
    3.7
    検索エンジンとSNSで世界的な成功を収めた企業・ハルウィンには、超能力研究の噂があった。それを受け、ハルウィンはジョーク企画として「4月1日に年収8000万で超能力者をひとり採用する」という告知を出す。そして審査を経て、自称超能力者の7名が3月31日の夜に街中で行われる最終試験に臨むことに。ある目的のために参加した大学生・市倉は、同じ参加者の日比野という少女と組み、1通しかない採用通知書を奪うため、策略を駆使して騙し合いに挑む。『いなくなれ、群青』、〈サクラダリセット〉の著者が贈る、ノンストップ・ミステリ。/解説=大森望
  • サエズリ図書館のワルツさん1
    4.4
    世界情勢の変化と電子書籍の普及により、紙の本が貴重な文化財となった近未来。そんな時代に、本を利用者に無料で貸し出す私立図書館があった。“特別保護司書官”のワルツさんが代表を務める、さえずり町のサエズリ図書館。今日もまた、本に特別な想いを抱く人々がサエズリ図書館を訪れる――。本と無縁の生活を送っていた会社員、娘との距離を感じる図書館常連の小学校教師、本を愛した祖父との思い出に縛られる青年など、彼らがワルツさんと交流し、本を手にした時に訪れる奇跡とは。書籍初収録短編を含む、伝説のシリーズ第1弾、待望の文庫化。/【目次】第一話 サエズリ図書館のカミオさん/第二話 サエズリ図書館のコトウさん/第三話 サエズリ図書館のモリヤさん/第四話 サエズリ図書館のワルツさん/番外編 ナイト・ライブラリ・ナイト/真夜中の図書館のこどもたち/単行本版あとがき/文庫版あとがき それでもこの手に本を抱いて
  • 叫びと祈り
    3.7
    砂漠を行くキャラバンを襲った連続殺人、スペインの風車の丘で繰り広げられる推理合戦、ロシアの修道院で勃発した列聖を巡る悲劇……ひとりの青年が世界各国で遭遇する、数々の異様な謎。選考委員を驚嘆させた第5回ミステリーズ!新人賞受賞作「砂漠を走る船の道」を巻頭に据え、美しいラストまで一瀉千里に突き進む驚異の連作推理。《週刊文春》ミステリーベスト10国内部門第2位をはじめ各種ミステリ・ランキングの上位を席捲、本屋大賞にノミネートされるなど破格の評価を受けた、大型新人のデビュー作。

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  • 漣の王国
    4.2
    綾部蓮という青年は、私たちにとって遠い国の王様のような存在だった。神の贈り物と呼ぶべき肉体と才能に恵まれ、美貌をもって周囲の人々を侍臣のごとく傅かせ、それでいて何時も退屈を持て余していた。だから彼が自殺した時、その理由を知る者もいなかった――。ひとりの才能ある若者に羨望を抱いた者や憎悪した者、誰もが彼の年齢を追い越し忘れ去っていくなか、私たちは思い出す。なぜ青年は自ら命を絶ったのか? 人生の一時期に齎される謎と恩寵を忘れ難い余韻とともに鮮やかに描き切る連作ミステリ。/解説=大矢博子
  • 砂漠を走る船の道 ミステリーズ!新人賞受賞作品集
    3.3
    「ミステリーズ!新人賞」から、これまで数多くの才能が登場してきた。ここに収められた五編のミステリは、それぞれ新鋭たちの輝かしい出発点となった作品である。居酒屋の片隅で、駆け出しのシナリオライターと映画監督が交わす歴史推理談義。無実の罪で父を囚われた少女と不思議な力を持つ老人が、毒死事件の真相を追う中華探偵行。のどかな田舎で起きた本ワサビ盗難事件と、それを捜査する刑事の趣味が迎える顛末。道に迷い無人駅で一泊をすることになった大学生ふたりを待つ、奇妙な一夜の出来事。そして、砂漠を行くキャラバンを襲った異様な連続殺人――。期待を集める五人の作家の、記念すべき“はじまりの物語”。/解説=福井健太*本電子書籍には、配信中の作品に収録されている次の短編が含まれます。『漂流巌流島』(創元推理文庫版 2010年8月初版発行)収録の表題作・『もろこし銀侠伝』(創元推理文庫版 2010年9月初版発行)収録の「殺三狼」・『田舎の刑事の趣味とお仕事』(創元推理文庫版 2009年9月初版発行)収録の表題作・『夜の床屋』(創元推理文庫版 2014年6月初版発行)収録の表題作・『叫びと祈り』(創元推理文庫版 2013年11月初版発行)収録の「砂漠を走る船の道」
  • サマー・アポカリプス
    4.0
    ラルース家事件の傷心を癒しきれないナディアは、炎暑のパリで見えざる敵の銃弾を受けたカケルに同行し南仏地方を訪れる。風光を愛でる暇もなく、心惹かれる青年と過ごす夏期休暇は、ヨハネ黙示録を主題とした連続殺人の真相究明行へと一変する。二度殺された死体、見立て、古城の密室殺人、秘宝伝説、いわくある過去……絢爛に鏤められたモチーフの数々が異端カタリ派の聖地というカンヴァスに描き出されるとき、本格探偵小説の饗応は、時空を超えて読む者を陶酔の彼岸へ誘わずにはいない。口笛が〈大地の歌〉を奏で、二重底に隠された最後のからくりを闡明する瞬間まで、探偵の座を明け渡す矢吹駆。その真意はいずこに?/解説=奥泉 光
  • サムソンの犯罪
    5.0
    肥満漢の弁護士が持ち込む仕事は「わたし」の生命線だから、蹴るわけにはいかない。土つかずの戦績を見て私立探偵としての腕を買ってくれているのはわかるが、難事件揃いなのには全く閉口する。捏造テープと換気扇の問題「中国屏風」や麻雀狂に捧げるエレジー「走れ俊平」、無名作家のとんだ有名税「サムソンの犯罪」等々、二進も三進も行かなくなると「わたし」はバー〈三番館〉へ足を運ぶ。ここでグラスを磨いているバーテンに知恵を借りて解決しなかった例はないのだから――。本格ミステリの泰斗が物した安楽椅子探偵譚、三番館シリーズ第2集。/解説=霞流一
  • 三人書房
    3.5
    大正8年(1919年)東京・本郷区駒込団子坂、平井太郎は弟二人とともに《三人書房》という古書店を開く。二年に満たない、わずかな期間で閉業を余儀なくされたが、店には女優・松井須磨子の遺書らしい手紙をはじめ、奇妙な謎が次々と持ち込まれた──。同時代を生きた、宮沢賢治や宮武外骨、横山大観、高村光太郎たちとの交流と、数々の不可解な事件の顛末を、若き日の平井太郎=江戸川乱歩の姿を通じて描く。第18回ミステリーズ!新人賞を史上最高齢の69歳で受賞した著者による、滋味深い連作集。/【目次】三人書房/北の詩人からの手紙/謎の娘師/秘仏堂幻影/光太郎の〈首〉/文庫版あとがき/解説=辻真先
  • 三幕の殺意
    3.3
    その山小屋は尾瀬の名峰、燧ヶ岳が目の前にそびえ立つ尾瀬沼の湖畔にあった。昭和四十年――東京オリンピックが開催された翌年の、厳しい雪の訪れをひかえた十二月初旬。吹雪の晩、山小屋の離れに住む日田原聖太が頭を殴打されて殺された。山小屋にはそれぞれトラブルから、日田原に殺意を抱く複数の男女が宿泊していた。犯人は一体誰なのか。口々に自分のアリバイを主張する宿泊者たち。容疑者の一人でもある、刑事の津村武彦を中心に各々のアリバイを検証してゆく。最後の三行に潜む衝撃とは! 叙述トリックの名手として活躍した著者の遺作。

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  • 幸せの萌黄色フラッグ ホペイロ坂上の事件簿J2篇
    4.0
    JFLから昇格して3年目、今年こそはJ1へと意気込んでみたものの、わがビッグカイト相模原は現在最下位。新人ストライカーだった元気くんはたくましく成長したはずなのに、絶不調で今シーズンはいまだノーゴール。試合を観戦しにくる女性が気になるらしい。ホペイロの僕はといえば、相も変わらず洗濯三昧。いえいえ、クラブのではなく。実はある女性と暮らしてます。でも、いつも慣れているからと掃除洗濯が僕の役目。プロサッカークラブのホペイロ(用具係)を務める坂上栄作のドタバタを、ユーモアと愛嬌たっぷりに描いた、ほのぼの連作ミステリ。第2シーズン、キックオフ!

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  • 死角に消えた殺人者
    4.1
    帰らない母を案じて眠れぬ一夜を明かした塩月令子は、後ろ髪引かれる思いで出社し針谷警部から凶報を受ける。駆けつけた千葉県銚子の霊安室で令子を待っていたのは、変わり果てた姿で横たわる母と耳を掩いたくなるような事実だった。その朝、屏風浦で数十メートルの断崖から海に落ちた車が見つかり、同乗四名の遺体が収容された。その一人が外ならぬ母であり、現場の状況から単なる事故ではなく謀殺に違いないというのである。懸命の捜査にも拘らず被害者間の交友関係は確認できず、容疑者はおろか動機すら判然としない。いったい誰が、何のために? 令子は自力で真相を追うが……。

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  • 仕掛島
    3.7
    岡山の名士が遺した二通の遺言状。一通目の遺言に従って、一族の面々は瀬戸内の孤島・斜島に集められた。行方を晦ましていた怪しげな親族も姿を見せるなか、巨大な球形展望室を有する異形の館・御影荘でもう一通の遺言状が読みあげられた翌朝、相続人の一人が死体となって発見される。折しも嵐によって島は外界から隔絶される事態に。館に招かれた私立探偵・小早川隆生と弁護士・矢野沙耶香の二人を奇怪な事件が待ち受ける。鬼面の怪人物の跳梁、密室から消える人影、二十三年前の悲劇――続発する怪事の果てに明らかとなる驚愕の真相は。謎解きの興趣を隅々まで凝らした本格推理長編。/解説=大山誠一郎
  • 獅子座
    3.5
    梓川に架かる仮橋で殺人の現場を目撃したと告げる匿名の手紙。半信半疑で動き始めた埼玉県隈ケ谷署だったが、血痕や拳銃が発見され、折から消息を絶っていた金融会社の隈ケ谷支店長毛塚が遺体となって引き揚げられるに及んで、手紙は俄然信憑性を増す。警視庁から出向した菊地警部が毛塚の貸金庫にあった暗号らしき紙片の解読に挑む間にも、捜査陣は新たに出来した事件に奔走する。暗号解読の結果全体の様相は一変、三十年前に端を発する犯罪の真相を求めて、菊地の苦悩も深まっていく。父娘の合作で話題をさらった、惻々と胸に迫る長編推理。

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  • 死体埋め部の悔恨と青春
    3.8
    英知大学の新入生・祝部浩也は帰宅中に暴漢に襲われ、格闘の末に誤って男を殺してしまう。「助けてやろうか?」そこへ通りかかった大学の先輩・織賀善一の提案で、いったん死体を埋めに行くことに。だが死体を運ぶために乗り込んだ織賀の車の後部座席には、すでに“左手の指をすべて骨折した死体”が座っていた。死体処理で生計を立てる織賀になかば脅され、祝部はその手伝いをしながら奇妙な死体の謎を解くことに。ふたりだけの歪な部活動が行き着く先とは――。気鋭の著者による初期傑作ミステリ、全面改稿の上、書き下ろしを加えて待望の復刊。
  • シチュエーションパズルの攻防
    3.6
    銀座の文壇バー『ミューズ』に夜な夜な現われる、大御所ミステリー作家・サンゴ先生こと辻堂珊瑚朗。普段はホステスにちょっかいを出し、葉巻をくゆらせ、バーボンをたしなむサンゴ先生だが、一度不思議な謎に遭遇すると、さりげなく推理を披露する。『ミューズ』でアルバイトする「僕」の視点から、ライバル作家との推理ゲームを繰り広げる「シチュエーションパズルの攻防」、銀座一のホステスの伝説を追う「ダブルヘッダーの伝説」など、五つの謎を描く。男女の駆け引きに絡む謎を軽やかに解き明かす、遊び心あふれる安楽椅子探偵ミステリー。
  • 熾天使の夏
    3.0
    学生運動に伴うリンチ事件の主謀者として三年間の刑務所生活を終え、男はひっそりと暮らしていた。ある日彼は、自分が尾行されていることに気づく。待ち伏せてみるとそれは昔の仲間であったのだが……。完璧な自殺それが問題だ――頭蓋の奥で響く小さな呟きを意識しながら、植民地都市へ向かい、飛翔を試みた、かつて革命の時を生きた男は何を思い、何を求めるのか? 矢吹駆の罪と罰を描いた、シリーズ第ゼロ作にして、笠井潔の原点! 幻の処女長編テロリズム小説。/講談社文庫版解説=竹田青嗣、創元推理文庫版解説=小森健太朗
  • 死と砂時計
    3.9
    死刑執行前夜、なぜ囚人は密室状態の独房で斬殺されたのか? どうして囚人は、人目につく満月の夜を選んで脱獄を決行したのか? 墓守が自ら一度埋めた死体を再び掘り返して解体した動機は――。世界各国から集められた死刑囚を収容する特殊な監獄に収監された青年アランは、そこでシュルツ老人に出会う。明晰な頭脳を持つシュルツの助手となった彼は、監獄内で起きる不可思議な事件の調査に係わっていく――。終末監獄を舞台に奇想と逆説が全編を覆う、異形の本格ミステリ。第16回本格ミステリ大賞受賞作。/解説=円堂都司昭
  • 死の黙劇
    3.0
    月のない夜、華奢な欄干を破り、一台のタクシーが崖下に転落した。運転手は一命を取り留めたが、乗客の男は即死する。死者は顔いちめんに包帯を巻きつけていたものの、その下にはなぜか傷ひとつなかった。さらに死者の所持品からは探偵砧順之介の名刺が発見されたが、その名刺を死者が所持することは論理上不可能だった――奇怪な謎が読者を魅了する表題作ほか、書籍未収録の犯人当て短編などを所収。職業作家の道を選ばず、生涯に亙って緻密極まりない作品を執筆、巨匠鮎川哲也も畏敬した本格推理作家、山沢晴雄。その作風を一望できる作品を精選して贈る〈山沢晴雄セレクション〉。/【目次】砧最初の事件/死の黙劇/銀知恵の輪/金知恵の輪/見えない時間/ふしぎな死体/ロッカーの中の美人/密室の夜/京都発“あさしお7号”/編者解題=戸田和光
  • 写楽百面相
    3.7
    時は寛政の改革の頃。川柳句集の板元の若旦那・花屋二三(はなやにさ)は、馴染みの芸者・卯兵衛との逢引の折に見た、謎の絵師が描いた強烈な役者絵に魅入られる。二三は絵に残された落款を頼りに、その絵師・写楽の正体を探っていくと、卯兵衛の失踪など身辺で次々と奇怪な出来事が起きてしまう。二三はそれらの謎も追う中で、蔦屋重三郎、十返舎一九、葛飾北斎、松平定信たち有名人と関わっていく。やがて、幕府と禁裏を揺るがす大事件に巻き込まれることに……。浮世絵、川柳、黄表紙、芝居、手妻、からくりなど江戸の文化や粋に彩られた、傑作長編ミステリ。/解説=澤田瞳子

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