国内小説作品一覧
-
4.3音のない世界でも、きっとメッセージは届くから──ろう理容師を祖父に持つ若手作家。その半生を描こうとする姿が胸に迫る傑作小説! 日本の聾学校ではじめてできた理髪科を卒業した第一号であり、自分の店を持った最初の人。そんな祖父を持つ五森つばめは、3年前に恋愛小説系の文学賞を受賞してデビューした。だが、その後自分の目標を見失い、2作目が書けないでいた。そんな折、デビューしたところとは違う出版社の編集者から声を掛けられ、祖父の話を書くことを強く勧められる……。ろうの祖父母と、コーダの父と伯母、そしてコーダの娘の自分、さらには聾学校の先生まで。三代にわたる希望をつなぐ取材が始まった。
-
4.1―とんとんからん、とんからん。古都が舞台の、あやかし謎解き糸紡ぎ噺。 ―とんとんからん、とんからん。 古都の玉繭神社にある機織り小屋で、今日も巫女・絹子は布を織る。田舎の辺鄙な村から出てきた絹子は、社務所に住みながら、大学で非常勤講師として日本文化や機織りを教えている。住処は大家が管理し、シロとクロという若者がいつも美味しい料理を作ってくれ、快適だ。だが、その寮の住人の数も、どんなモノが住まうのかも、絹子は知らない―。 ある日、絹子は生徒から「神隠しに遭ったかも」と相談を受けて…。古都を舞台に糸が舞う、あやかし謎解き噺。
-
4.0パナマ文書の流出により注目を集めるタックスヘイヴン(租税回避地)。 このタックスヘイヴンをテーマにした金融小説『マネーロンダリング』『タックスヘイヴン Tax Haven』が、電子書籍限定の合本版で登場! ■『マネーロンダリング』 香港在住で、もぐりのコンサルタント・工藤をある日、美しい女・麗子が訪ねる。 「5億円を日本から海外に送金し、損金として処理してほしい」彼女の要求は、脱税の指南だった。 4ヶ月後、麗子は消えた。 5億ではなく50億の金とともに。 すぐに工藤は東京へ。 麗子と50億の金はどこへ? マネーを知り尽くした著者による驚天動地の金融情報小説! ■『タックスヘイヴン Tax Haven』 東南アジアでもっとも成功した金融マネージャー北川が、シンガポールのホテルで転落死した。 自殺か他殺か。 同時に名門スイス銀行の山之辺が失踪、1000億円が消えた。 金融洗浄(マネーロンダリング)、ODA、原発輸出、仕手株集団、暗躍する政治家とヤクザ……。 名門銀行が絶対に知られたくない秘密、そしてすべてを操る男の存在とは? 国際金融情報小説の傑作! ※本作品は『マネーロンダリング』『タックスヘイヴン Tax Haven』を1冊にまとめたものです。 ※姉妹作品である『永遠の旅行者』もあわせてお読みください。
-
4.2【2020年本屋大賞翻訳小説部門第一位受賞作!】“感情”がわからない少年・ユンジェ。ばあちゃんは、僕を「かわいい怪物」と呼んだ――韓国で30万部突破!「書店員が選ぶ今年の本」(2017)に選ばれた感動のベストセラー小説、ついに上陸! 扁桃体(アーモンド)が人より小さく、怒りや恐怖を感じることができない十六歳のユンジェは、目の前で家族が通り魔に襲われたときも、無表情で見つめているだけだった。そんな彼の前に、もう一人の“怪物”が現れて……。「わが子が期待とは全く違う姿に成長したとしても、変わることなく愛情を注げるか」――出産時に芽生えた著者自身の問いをもとに誕生した、喪失と再生、そして成長の物語。
-
4.1
-
4.0大ベストセラー『三千円の使いかた』と一緒に読んでほしい新作! それぞれの月収に見合う生活を送る6人。 欲しいもの、不要なもの、そして、 お金では買えないもの――。 【月収4万円の66歳】……年金暮らしで貯金を切り崩す毎日に、ある収入源が!? 【月収8万円の31歳】……専業作家を目指し、不動産投資を始める。 【月10万円投資の29歳】……普通の会社員が、親の介護を見越して新NISAを利用。 【月収100万円の26歳】……パパ活専業で、20代のうち1億円を稼ぐのが夢! 【月収300万円の52歳】……夫の遺産と株式投資で、働かずとも暮らせてはいるが……。 【月収17万円の22歳】……元介護士。生前整理の会社を立ち上げる――?
-
-合言葉は、「ちゅっちゅくちゅうのちんぺろ」。 10年ぶりに実家に帰省した弓子が目撃したのは、モンスターと化したひきこもりの妹・鞠子と、彼女ひとりに支配され奴隷のように振る舞う壊れた家族の姿だったーー。 歌手、文筆、役者としてマルチに活動する北村早樹子による書き下ろし禁断小説。 未発表曲「ちんぺろのテーマ」ダウンロードコード収録! ーーまた妹が、ママに、 ばあちゃんぶん殴らせてる。 こんなのおかしいね 何で産んだの 〝誰も私を愛せないのはおまえらのせいだ〞 その呪いを時間と文字に溶かす物語に、 また生き抜く力をいただきました。(大森靖子/超歌手) ーー本当のモンスターは誰なのか。この一家はいったいどこへ向かうのか。家族間の支配と服従のおぞましさに目を背けたくなるけれどページをめくる手が止まらない。もうとっくに壊れているのに、家族という血のつながりと幻想にしがみつき、身動きが取れなくなっている。そんな彼らの恥部を容赦なく暴き、人間の欲と弱さを浮き彫りにしていく。感情を押し殺すような最終章の淡々とした語りは、この物語を書かずにいられなかった著者の執念そのものだ。こんな家族はありえない。本当にそう言い切れるだろうか。(こだま/作家) カバーイラスト=本秀康
-
3.9【人気シリーズ、ついに辿り着いた第20弾!】 舞台は、昭和60年(1985年)。 最近、幼稚園児の青が楽しく読んでいるのは、〈東亰バンドワゴン〉の蔵で見つけた『不一魔女物語』という本らしい。 原書はイギリスの稀覯本で、最近日本人に落札された。その額、なんと3000万! その幻の古書を、古美術窃盗団が狙ってる!? そして、青をつけまわす怪しい人物まで出てきて・・・・・・。 我南人の今は亡き妻・秋実も活躍する番外長編。 【著者プロフィール】 小路幸也(しょうじ・ゆきや) 北海道生まれ。広告制作会社退社後、執筆活動へ。2002年、『空を見上げる古い歌を口ずさむ』で第29回メフィスト賞を受賞して作家デビュー。代表作「東京バンドワゴン」シリーズをはじめ、「旅者の歌」「札幌アンダーソング」「国道食堂」「花咲小路」シリーズなど著書多数。
-
3.9年間100冊を読破、無類の読書好きで知られるニシダがついに小説を執筆。 繊細な観察眼と表現力が光る珠玉の5篇。 【収録作品】 「遺影」 じゃあユウシはアミの遺影を作る担当な――。中1の夏休み、ユウシはいじめられている女子の遺影を作らなくてはいけなくなった。 貧しい親のもとに生まれたアミと僕とは同じタイプの人間なのに……。そう思いながらも、ユウシは遺影を手作りし始める。 「アクアリウム」 僕の所属する生物部の活動は、市販のシラス干しの中からシラス以外の干涸びた生物を探すだけ。 退屈で無駄な作業だが、他にやりたいこともない。同級生の波多野を見下すことで、僕はかろうじてプライドを保っている。 だがその夏、海釣りに行った僕と波多野は衝撃的な経験をする。 「焼け石」 バイト先のスーパー銭湯で、男性用のサウナの清掃をすることになった。 大学の課題や就活で忙しいわたしを社員が気遣って、休憩の多いサウナ室担当にしてくれたらしいのだが、新入りバイトの滝くんは、女性にやらせるのはおかしいと直訴したらしい。 ありがた迷惑だと思っていたわたしだったが――。 「テトロドトキシン」 生きる意義も目的も見出せないまま27歳になり、マッチングアプリで経験人数を増やすだけの日々を送る僕は、虫歯を治さないという「消極的自死」を選んでいる。 ふと気が向いて参加した高校の同窓会に、趣味で辞書をつくっているという咲子がやってきた。 「濡れ鼠」 12歳年下の恋人・実里に、余裕を持って接していたはずの史学科准教授のわたし。 同じ大学の事務員だった彼女がバーで働き始めてから、なにかがおかしくなってしまった。 ある朝、実里が帰宅していないことに気が付いたわたしは動転してしまう。 【電子版特典】 あとがき
-
3.4誰かが欲しがっていれば、それはもうごみじゃない――フリマアプリの「せどりサークル」に加入した翠。物の価値を見極める活動に高揚する一方、休職中の夫への愛情は下降し……。 ★★★あなたの価値は星いくつ?★★★ 芥川賞候補作『##NAME##』に続く超快作! 人気作詞家・児玉雨子が描き出すノンストップ転売ストーリー!! 〈グラフの波形バッキバキ。いい商品選びましたね〉〈私たちと“電撃”しませんか?〉 夫の休職をきっかけに、フリマアプリ「メチャカイ」で小金稼ぎを始めた会社員・翠(すい)。 ある日立ち寄ったドン・キホーテで、“爆仕入れ・爆転売”に燃える女たちの〈せどりサークル〉にスカウトされる。 掘り出し物から利益を生む快楽にのめり込む一方、働けないのに浪費する夫への葛藤を抑えられなくなっていき……。 「買う女から売る女へ。資本主義と売る女たちの反乱を問う優れた小説」――渡邊英理(大阪大学教授)
-
4.0
-
3.7
-
4.0【電子版巻末には池上幸輝先生によるカバー用イラストをそのまま収録!】 ――私はいつも、人を傷つける言葉ばかりが得意だ。 他人と距離を置く孤独な女子高生の桔帆(きほ)は、バイト先の花屋で「毎月20日、必ず奥さんのために花を買いに来る」お日様のような笑顔を放つ謎の大学教授・東明(しのあき)に出会う。 夏休みに入った頃、東明は彼女にある提案をもちかけた。 「自分がバカンスへ行く間、家の庭の世話をしてほしい」 戸惑いながらも了承した桔帆が、東明の自宅へ向かうと。 「……なんだお前、やっぱストーカーとかだったわけ?」 以前、桔帆が大学に花を届けに行ったときに、彼女を東明のストーカー扱いした「東明の弟子」と呼ばれる不機嫌そうな大学院生・綾瀬(あやせ)がそこで待ち構えていて――。 東明が仕組んだ、不思議な「同居生活」。 三人はいつしか、かけがえのない「友人」となるが、その奇妙であたたかな生活は、ある日突然終わりを迎える――。
-
3.6
-
-
-
3.7神社の境内の先に、突然見えてくるのは「夕闇商店街」。 そこは幽世と現世の境目にある、あやかしたちが営む商店街。現世との境界があいまいになったときに、心が不安定な人間が導かれたように訪れるのだという。 眉目秀麗な店主がいとなむ『コハク妖菓子店』には、いっぷう変わった名前のお菓子が並び、迷い込んだ人間たちはついお菓子を手にしてしまうのだが――
-
4.0
-
3.5北町奉行所定町廻り同心・井原伊十郎に、上役から縁談話が持ち込まれた。相手は五百石鳥の旗本の出戻り娘だが絶世の美女だという。独り身ゆえの気楽さから、如何に話を断ろうかと悩んでいたある日、縁談相手の百合が伊十郎の元を訪れた。評判通りの天女のような美しさに一目惚れした伊十郎。しかし時を同じくして、妖艶な音曲の師匠・おふじが現れ、伊十郎の心は揺らぎ始める――。一方で、江戸市中を騒がす盗人『ほたる火』と対峙した伊十郎だったが、あることから『ほたる火』を取り逃がしてしまう……。独り身同心に降りかかる、女と事件の行く末は? 待望の新シリーズ、第一弾(解説・三田主水)
-
3.6
-
2.0善と悪、愛と憎しみ、生と死が交錯する直木賞受賞作! 著者が切望した、「いま世界に一番いて欲しい人」とは? 不慮の死を遂げた人々を“悼む”ため、全国を放浪する若者・坂築静人。静人の行動に戸惑いと疑念を覚え、その身辺を調べ始める雑誌記者・蒔野。末期がんに冒され、家族とともに最後の時間を過ごしながら、静人を案じる母・巡子。そして、自らが手にかけた夫の亡霊に取りつかれた女・奈義倖世。 静人の姿が3つの視線から描かれ、その3つのドラマが、やがて1つの大きな物語の奔流となる。「この方は生前、誰を愛し、誰に愛され、どんなことで人から感謝されてでしょう?」静人の問いかけは、彼を巡る人々の心を、少しずつ動かしていく。 家族との確執、死別の悲しみ、自らを縛りつける呪縛との対決。そして避けられぬ死の傍らで、新たな命が――。静かな感動が心に満ちる感動の巨編!
-
3.8神社の裏にある「しっぽ食堂」はぶっきらぼうな店主・中堂と看板猫のしっぽがいる、土鍋でつくるあたたかな朝ごはんのお店。 売れないシンガーソングライター、夫が病気になってしまった妊婦、落ち込んでいる保育園の園長先生、片思いしている男子高校生……悩めるお客を美味しい料理で癒していく。
-
4.2
-
4.0
-
-悔いのないように歌おう。未来の自分に向けて―― 著名なヴァイオリニストの娘で、声楽を志す御木元玲は、音大附属高校の受験に失敗、新設女子高の普通科に進む。 挫折感から同級生との交わりを拒み、母親へのコンプレックスからも抜け出せない玲。 しかし、校内合唱コンクールを機に、頑なだった玲の心に変化が――。 見えない未来に惑う少女たちが、歌をきっかけに心を通わせ、成長する姿を美しく紡ぎ出した、青春×音楽小説の傑作! 2009年の単行本刊行時には、<読売新聞読書委員が選ぶ「2009年の3冊」>という企画(2009年12月27日朝刊)で、 小泉今日子さんが推奨したのをはじめ、多数のメディアで高評を博し、書評家諸氏や数多くの書店員に絶賛された名作が、このたび装いも新たに刊行。 カバー装画は人気イラストレーターのカチナツミさんが担当。 2021年に本作が原作の舞台「よろこびの歌」をプロデュースした演出家の石川寛美さん(「演劇集団キャラメルボックス」所属)による巻末解説も必読!
-
4.4
-
-
-
4.4
-
5.0
-
3.7結婚は「始まり」に過ぎない。今も昔も―― 「好きでもない女と結婚するのは絶対に嫌だ」「自分たちは宮家に生まれて、あれこれ苦労した」「あの女王さまでは、子どもをお産みになることは出来ないでしょう」――。 さまざまな立場に葛藤する皇族を描いた5つの短編には、読む者を圧倒する”心の内”が綴られる。これまで描かれたことのない、衝撃の短編集。 * 妹の友人に恋焦がれ、ようやく結婚目前まで漕ぎつけた久邇宮朝融王は、彼女にまつわる“ある噂”を耳にし、強引に婚約を破談にした。その後、別の宮家の子女と結婚したものの……(「綸言汗の如し」) 徳川家の若き未亡人・実枝子は、喧嘩の絶えなかった夫・慶久が妾との間に遺した子に愛情を注げず苦悶していた。思い起こせば、あの頃は本当に幸せだったのに。(「徳川慶喜家の嫁」) まもなく結婚の沙汰が下るのではないかというある日、久邇宮家の息子たちは声を潜めて話していた。「内親王はご免こうむりたい」――(「兄弟の花嫁たち」) 九条家の子女・節子は15歳の時に嫁いだ。のちの大正天皇の后(貞明皇后)である。夫は妻を顧みないにもかかわらず子ばかりが生まれ、節子は悲しみに歯を食いしばる。(「皇后は闘うことにした」) 貞明皇后の秘蔵っ子・秩父宮に嫁いだ勢津子もまた、皇后によって選び抜かれた秘蔵の嫁だった。だが、2人の間に子はできず、秩父宮も病を得てしまう。(「母より」)
-
4.4『そして、バトンは渡された』『夜明けのすべて』の著者による書下ろし長編 いまを生きる私たちの道標となる物語の誕生! 「明日が怖いものではなく楽しみになったのは、あの日からだよ」 今でもふと思う。あの数年はなんだったのだろうかと。 不自由で息苦しかった毎日。 家で過ごすことが最善だとされていたあの期間。 多くの人から当たり前にあるはずのものを奪っていったであろう時代。 それでも、あの日々が連れてきてくれたもの、 与えてくれたものが確かにあった――。 【著者より】 何かと制限され思いどおりに過ごせない毎日を、大人も子どもも、 誰しもが困難を抱えながら進んできたと思います。 そして、これから、また違う日々に向かわないといけない中で、 ほんの少しでも明るいものを差し出せる物語になれれば。 そう思っています。 明日が怖いものではなく楽しみになったのは、あの日から―― 『そして、バトンは渡された』『夜明けのすべて』の著者による書下ろし長編。
-
3.9ろくでもない人間がいる。 お前である。 SNSで「書き出しがすごい!」とバズった(46万いいね)本! これが、舞城王太郎の小説だ。言葉だ。 ろくでもない人間がいる。お前である。 くだらないことに執着して他人に迷惑をかける人間がいる。これもお前である。 何を触っても誰と関わっても、腐敗と不幸をもたらす人間がいる。まさしくお前である。(「代替」冒頭より) <収録作>奏雨/狙撃/落下/雷撃/代替/春嵐/縁起(全七篇) 「ろくでもない人間がいる。お前である」 「積乱雲と呼ばれる女の子がいて」 「私のうちの犬はストーム。本当はヒョードル・ミハイロビッチって名前」 ――直截的で幻惑的かつ挑戦的な書き出しで始まるそれぞれの小説世界が描き出すのは、現実と異界に彷徨う命と魂の真実の物語。 作家・舞城王太郎の真骨頂が宿る七短篇。
-
3.7
-
4.0
-
5.0
-
-
-
-老小説家の父親の出生地、岐阜県各務原市での講演という体で小説は書き始められる。その講演では岐阜近辺出身の文人が次々に召喚され、文化的磁場としての岐阜について語られるかと思いきや、認知症が進行していく妻とのやり取りの場面が挿入される。老小説家が関心を持って接してきた遠い過去からごく最近までの文学者たちの言葉と、日常生活を営むことが困難になりつつある妻の言葉が折り重なるように記されつづけたその奥からぼんやりと見えてくるのは、齢八十代半ばに至り健康体とはいえない老小説家が、どうしようもなく疲労しつつも生きて書くことの闘いをやめようとしない姿である。
-
4.6「どんなことがあっても貴女(おまえ)を護る」 友はなぜ不遇の死を遂げたのか。涙が止まらない、二人の絆、そして友情。 頭脳明晰で剣の達人。将来を嘱望された男がなぜ不遇の死を遂げたのか。下級武士から筆頭家老にまで上り詰めた勘一(かんいち)は竹馬の友、彦四郎(ひこしろう)の行方を追っていた。二人の運命を変えた二十年前の事件。確かな腕を持つ彼が「卑怯傷」を負った理由とは。その真相が男の生き様を映し出す。『永遠の0(ゼロ)』に連なる代表作。 「泣くな」父が討たれた日、初めて出会った少年は言った。「まことの侍の子が泣くな」 勉学でも剣の腕でも敵わない。誰よりも優れていたはずの彼が迎えた最期は、予想もしないものだった。 単行本未収録、幻の「もう一つの結末」が巻末袋とじで登場!
-
4.1綱引きで、人生再起動! 商店街から世界を目指せ―― 一本の綱を引き合い勝敗を決める「綱引き」。五輪の正式種目だった時代もある、歴としたスポーツ競技だ。 東京・蒲田の綱引きチーム「プルスターズ」は、商店会結束の象徴として発足。 全国大会優勝の実績も持つが、主力選手の高齢化や長引く不況の影響で休眠状態に。 しかし、チーム最年長53歳のキャプテン真島と、アイルランドからの留学生ケリーとの出会いがきっかけで、5年ぶりにチームを立て直すことになった。 母国では綱引き選手として活躍するケリーの指導で、ふたたびの日本一を目指し、練習をスタート。 真島はスポンサー探しや新メンバー募集に奔走するも、道のりは平坦ではなく――。 堂場瞬一が圧倒的迫力で放つ、日本初の「綱引き小説」!!
-
3.5堂場瞬一 犯罪小説集! 「今日、自分の人生は変わってしまった。先の見えない日々が始まってしまった。」――通り魔・殺人・資金洗浄・特高の罪・迷惑運転・泥棒・毒親・掏摸・盗撮・選挙違反・復讐・子どもの罪……辿り着く先は後悔か、それとも解放か? 発行部数は世界累計1400万部! 2025年末に著書発売累計200冊を達成予定の堂場瞬一が<犯罪者>の視点で描く、犯罪小説集の傑作! ・ ・ 【目次】 ●褒められた男(通り魔) ●ある後悔(殺人) ●バイアス(資金洗浄) ●暗い復讐(特高の罪) ●連鎖反応(迷惑運転) ●家業(泥棒) ●推さない(毒親) ●コンビ(掏摸) ●神の手(盗撮) ●再起の日(選挙違反) ●逆襲(復讐) ●消えない目(子どもの罪)
-
3.3身体に埋め込んだチップで複数の娯楽を同時に楽しむ時代。子供達の将来の夢は「ええ愛」が大人気。完璧な等質教育で名高い保育園で、オフラインに拘るママ友の観察は最高のエンタメだった…。「推子のデフォルト」ほか、マンション最上階に住む家族を滑稽に描く「マイ・イベント」を収録。世界が注目する作家がえぐり取る最恐リアルな全2編! スマホ依存、管理教育……私たちはどこへ向かうのか? 本谷有希子が愛用するAI・マルスラによる解説を収録。 「推子のデフォルト」 子供達を<等質>に教育する人気保育園に娘を通わせる推子は、身体に超小型電子機器をいくつも埋め込み、複数のコンテンツを同時に貪ることに至福を感じている。そんな価値観を拒絶し、オフライン志向にこだわるママ友・GJが子育てに悩む姿は、推子にとっては最高のエンターテインメントでもあった。 「マイ・イベント」 大規模な台風が迫り河川の氾濫が警戒される中、防災用品の点検に余念がない渇幸はわくわくが止まらない。マンションの最上階を手に入れ、妻のセンスで整えた「安全」な部屋から下界を眺め、“我が家は上級”と悦に入るのだった。ところが、一階に住むド厚かましい家族が避難してくることとなり、夫婦の完璧な日常は暗転する。
-
3.3図書館司書の瀬名愛は、仕事でもプライベートでも好きな本に囲まれながら、おひとり様生活を満喫している。一人で迎えた26回目の誕生日にほんの少し寂しさを覚えながらも、仕事を終え帰宅しようと歩いていたそのとき、交通事故に巻き込まれ意識を失ってしまう。 目が覚めた場所は、なんと異国の柩の中だった! どうやら中華風の世界で、流行り病で死んだ冬梨という人物に転生してしまったらしい。自分と容姿がそっくりな冬梨として生き返った愛は、彼女が向かおうとしていた、後宮にいる賢妃のもとに赴くことに。 愛と同じく大の本好きだった冬梨には書庫の管理の仕事が与えられるが、しかしそのさなか、書庫の中で殺人事件が起こり、冬梨は否応なく巻き込まれてしまう。捜査の中で知り合ったのは第二皇子の李佑。冷酷無慈悲だと怖がられる彼だが、冬梨とは過去に何か関係があったようで……? 本で得た知識を生かして事件解決を進めながら、書庫係として異世界での新たな生活が始まる!
-
-□■第10回 角川文庫キャラクター小説大賞<カクヨムテーマ賞(異能×溺愛)>■□ その国には道士や巫覡(ふげき)をはじめとした、常人には見えざる百鬼、百邪を祓う者がいる。 なかでも禍(まが)を祓う道士は「禍祓士(かばつし)」と名乗った。 ある日、姚流麗(ようりゅうれい)は、禍祓士として皇帝の許に召される。 そこで目にしたのは、穢れた皇城と、複雑な呪いにより衰弱した若き皇帝、姫舜(きしゅん)の姿だった。 術で舜の不調を一時的に鎮めた流麗だが、原因究明のため最も穢れが濃い後宮を探ることに――。 孤高の皇帝を救うために後宮の秘密を暴く、中華退魔謎解きファンタジー!
-
4.4田舎町で祖父母と三人暮らし。唯一の趣味である詩作にふけりながら、僕の一生は平凡なものになるはずだった。 ところがある時、僕の秘かな趣味を知ったクラスメイトの遠坂綾音に「一緒に歌を作ってほしい」と頼まれたことで、その人生は一変する。 “ある事情”から歌詞が書けない彼女に代わり、僕が詞を書き彼女が歌う。そうして四季を過ごす中で、僕は彼女からたくさんの宝物を受け取るのだが……。 時を経ても遺り続ける、大切な宝物を綴った感動の物語。
-
3.5
-
-“読む楽しさ”がぎゅっと詰まったカラフルな11の物語。奇想と探究の物語作家、デビュー10周年記念作品集。植物で覆われたその家には、使う言葉の異なる4人の子どもたちがいる。言葉が通じず、わかりあえず、でも同じ家で生きざるを得ない彼らに、ある事件が起きて――(「緑の子どもたち」)。大地に突如として小さな穴が開き、そこから無数の土塊が天へ昇ってゆく“土塊昇天現象”。その現象をめぐる哲学者・物理学者・天文学者たちの戦いの記録と到達(「空へ昇る」)など。ミステリ、児童文学、幻想ホラー、掌編小説……書き下ろし『この本を盗む者は』スピンオフ短編を含む、珠玉の全11編。
-
3.7福岡薬院の裏通り、古いビルの2階にある小さなお店「文月」は《本が読めて手紙が書ける店》。開いているのは三日月から満月の夜の間だけ。仕事でうまくいかなかったり、恋愛が不安だったり、誰かと話したかったり、家に帰る前にちょっとどこか寄りたいとき、店主の文がつくる気の利いた季節の「こつまみ」が、誰の心もやさしく癒してくれます。ほっこりあたたかくなる美味しい物語。巻末にオリジナルレシピ付き。
-
4.0
-
4.1anan人気連載12編+書き下ろし12編、待望の書籍化 5年連続本屋大賞ノミネートの最注目作家・青山美智子が贈る優しさ成分120%の物語 その一瞬に、 祝福の一粒を。 チョコバナナ、キューブチョコ、マカダミアナッツチョコ、 チョコチップクッキー、アソートチョコ…… 人生の小さな曲がり角にちりばめられた 彩りさまざまなチョコレートが 主人公の背中をそっと押す―― チョコバナナ×恋の予感 キューブチョコ×推し活 マカダミアナッツチョコ×結婚 チョコチップクッキー×友情 シガーチョコ×大人 ハイカカオ×失恋 チョコレートアソート×決意 ……etc. 受け取って、差し出してーー 祝福の連鎖が動きはじめる
-
4.2おじいちゃん、まだそばにいてよ。 もっと物語を聞かせて―― 累計25万部突破! 『このミス』大賞受賞作 『名探偵のままでいて』 シリーズ完結 レビー小体型認知症を患う祖父の「最後」の名推理! 『赤い館の秘密』『ユダの窓』『暁の死線』など 古典作品が彩る感涙の安楽椅子探偵ミステリー。 (あらすじ) 楓たちが知り合った“小林少年”の夏の記憶――炎に包まれる家の中、車椅子に乗ったおばあさんはどこへ消えてしまったのか。 古アパートの“音”と“鍵”の二重密室や、豪華客船内で起きた『ユダの窓』パターンの密室殺人など、レビー小体型認知症の楓の祖父は快刀乱麻に謎を解き明かしていく。 しかし、祖父の病状は悪化の一途をたどっており、楓との永遠の別れは確実に近付きつつあった……。 【著者について】 小西マサテル 1965年生まれ。香川県高松市出身、東京都在住。明治大学在学中より放送作家として活躍。現在、『ナインティナインのオールナイトニッポン』『徳光和夫 とくモリ!歌謡サタデー』『笑福亭鶴光のオールナイトニッポン.TV@J:COM』『明石家さんま オールニッポン お願い!リクエスト』を担当。『南原清隆、いまナンしょん。』(RNC)のアシスタントパーソナリティとして出演中。第21回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、2023年に『名探偵のままでいて』でデビュー。他の著書に『名探偵じゃなくても』(以上、宝島社)など。
-
3.8愛する娘を傷つけたくない。著者渾身の人情譚 痛みも後悔も乗り越えて、いつかみんなできっと笑える。 『銀花の蔵』で直木賞候補、 いま注目の作家が放つ“傑作家族小説”! 売れない芸人を続ける娘、夫の隠し子疑惑が発覚した妻、父と血のつながらない高校生…… 大阪・ミナミを舞台に、人の「あたたかさ」を照らす群像劇。 ◎松虫通のファミリア 「ピアニストになってほしい」亡妻の願いをかなえるために英才教育を施した娘のハルミは、漫才師になると言って出ていった。1995年、阪神淡路大震災で娘を亡くした吾郎は、5歳になる孫の存在を「元相方」から知らされる。 ◎ミナミの春、万国の春 元相方のハルミが憧れた漫才師はただ一組、「カサブランカ」。ハルミ亡き後も追い続けたが、後ろ姿は遠く、ヒデヨシは漫才師を辞めた。2025年、万博の春に結婚を決めたハルミの娘のため、ヒデヨシは「カサブランカ」に会いに行く。 (他、計6篇)
-
3.9
-
3.5
-
3.6★「ブラックボックス」で芥川賞を受賞した作家の衝撃作&デビュー作が合本に。 ロシア軍が北海道に上陸。自衛隊の3尉・安達は敵を迎え撃つべく小隊を率いて任務につく。避難を拒む住民、届かない敵の情報、淡々と命令をこなす日々――。そんな安達の”戦場”は姿を現したロシア軍によって地獄と化す。「自衛隊の戦争」を迫真のリアルさで描く表題作ほか、元自衛官の芥川賞作家による戦争小説3篇。 【収録作】 「小隊」(第164回芥川賞候補) 「戦場のレビヤタン」(第160回芥川賞候補) 「市街戦」(第121回文學界新人賞受賞) ※この電子書籍は、2019年1月刊行の単行本『戦場のレビヤタン』、2021年2月刊行の『小隊』、「市街戦」を収録した文庫版を底本としています
-
4.5恋愛小説の名手が満を持して描く故郷・金沢の女たち 金沢の花街に生きる2人の芸妓。恋することすら許されぬ場所で、彼女たちが掴んだものは――。 【担当編集者より】 3年ぶりの新作で描くのは著者の故郷・金沢、昭和初年頃の花街です。デビューから40年、一貫して女性の恋愛や友情、生き方を描いてきた唯川さんらしく、本作で描かれるのも、置屋「梅ふく」で働く女性たちの生き様です。 主人公の朱鷺やトンボをはじめ、登場する女性たちは一人として恵まれた境涯の者はなく、余儀のない選択として花街に生きています。 こう書けば、ただ辛いだけの物語のように思われるかもしれません。確かに彼女たちの眼前には次々と御し難い問題が現れます。しかし、唯川さんの描く登場人物たちの、健やかで瑞々しくどこまでも気持ちのいいこと! それはきっと彼女たちが自らの運命を受け入れる覚悟をし、逆境を逆境として飲み込んだ上で、それでも前を向いて歩いているから。彼女たちにエールを送りながら読んでいると、最後には読んでいるこちらも明日からまた頑張ろうという気持ちになるはずです。 昭和の初めに比べれば、人生の選択肢は比べようもなく増えた現代ですが、選択肢が無数にある自分たちの方が、かえって周りに流されていないだろうか。そんな問いかけが聞こえてくるようです。
-
3.824歳、ブラック企業勤務。身も心も疲れ果てていた紀久子が深夜のファミレスで出会ったのは、外島李多と名乗る女性だった。彼女は「川原崎花店」という花屋さんを駅前で営んでいるらしく、酔っぱらった勢いで働くことに。 やたらカレー作りがうまい青年や、おしゃべり好きの元教師、全体的に適当な李多。バラエティに富んだ従業員と色とりどりのお花に囲まれながら、徐々に花屋さんの仕事に慣れていくが――。
-
4.4まほろ市は東京都南西部最大の町。 駅前で便利屋「多田便利軒」を営む多田啓介と、 居候になって丸二年がたつ行天春彦。 二人のもとに、かつてない依頼が…… それは、夏の間、四歳の女の子「はる」を預かること。 慣れないことに悪戦苦闘する二人に、忍び寄る「魔の手」! まほろ市内で無農薬野菜を生産販売する「家庭と健康食品協会」の幹部・沢村。 まほろの裏社会を仕切る、若きボス・星。 地元のバス会社・横浜中央交通(横中)に目を光らす岡老人。 彼らのおかげで、二人は前代未聞の大騒動に巻き込まれる! 文庫特典 短篇「サンタとトナカイはいい相棒」収録。 解説・岸本佐知子(翻訳家)。 太っ腹の全528ページ。見た目は「最厚」、中身は最高! 『まほろ駅前多田便利軒』『まほろ駅前番外地』に続く、 三浦しをんが心血をそそいだ「まほろシリーズ」 堂々の完・結・篇!
-
3.5FIREの先は薔薇色なのか? 幻影に覆われた現代を巧みに描いた傑作小説 外資系食料品メーカーの事務職として働く元地下アイドルの華美は、 生活費を切り詰め株に投資することで、 給与収入と同じ配当を生む分身(システム)の構築を目論んでいる。 恋人の直幸は「使わないお金は死んでいる」と華美を笑うが、 とある人物率いるオンラインコミュニティ活動にのめり込んでゆく。 そのアップデートされた物々交換の世界は、 マネーゲームに明け暮れる現代の金融システムを乗り越えゆくのだ、と。 やがて会員たちと集団生活を始めた直幸を取り戻すべく、 華美は《分身》の力を使おうとするのだが……。 高度に発達した資本主義、その欠陥を衝くように生まれる新たな幻影。 自らの価値観と生き方を問われる、いま読まれるべき傑作小説! ※この電子書籍は2021年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
-
3.8
-
4.0
-
3.5
-
3.9世界的ベストセラーを林真理子が蘇らせた! 「あらためて読んだら、本当に面白い! 今まで読んだ自分のゲラのなかで最も興奮した」――著者 世紀のベストセラー小説『風と共に去りぬ』を、林真理子が最高のエンタテインメント小説として蘇らせた! 南北戦争期のアメリカ南部を舞台に、大農園のわがまま娘スカーレット・オハラが恋に破れ、愛のない結婚・出産をし、敗戦で何もかも失い困窮しながらも、持ち前の生命力で激動を生き抜く姿を、彼女の一人称で描くエンタメ一代記。 恋と戦争、仕事と友情、フェミニズム、波瀾万丈…全てアリ。スカーレットの激しさ、強さと可愛さ、ダイナミック過ぎる展開に、一度読み出したらページをめくる手が止まらない。今こそ読みたい極上エンタメ、怒濤の前篇。 ※本作品は、文庫版『私はスカーレット』1巻から4巻までが収録されています。
-
4.5男子生徒Kが自殺した。『菅原拓は悪魔です』という遺書を遺して――。 背景には、菅原拓による、Kを含む四人の生徒への壮絶なイジメがあったという。だが、拓は地味な生徒で、Kは人気者の天才少年。またイジメの目撃者が誰一人いないことなど、多くの謎が残された。 なぜKは自殺したのか? 次第に明かされていく壊れた教室。 「革命はさらに進む」 悪魔と呼ばれた少年が語り始める時、驚愕の真実が浮かび上がる――! 空前の衝撃作にして、松村涼哉の衝撃の原点が、大幅修正&書き下ろし収録の完全版で甦る!
-
3.01968年9月、湖水地方にある町ブルー・ヒルの森において、40年以上も前に失踪したジャレッド・エドワーズの遺体が発見される。国内でも有数の資産家であるエドワーズ家でいったい何があったのか。醜聞と陰謀の気配に世間はざわつく。そんな中、一度も会ったことのない伯父の死に興味を抱いたマライアは、亡き父の古馴染みであるオーエンを巻き込み、謎めいた死の真相を探るべく、ブルー・ヒルへ向かう。それは、時を遡ること1923年。エドワーズ家の御曹司・ジャレッドと新米ページ・ボーイの出会いがすべての始まりだった――。果たして、ジャレッドの死に隠されていた真実とは? すべての真実が明かされた時、それぞれの胸に去来する想いとは――?
-
5.0
表示されていない作品があります
セーフサーチが「中・強」になっているため、一部の作品が表示されていません。お探しの作品がない場合は、セーフサーチをOFFに変更してください。