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Posted by ブクログ
編集後期で森見さんが「太宰治にも奇想天外で愉快な作品があるよ、ということを、とくに若い読者に知らせる本である」と書いている。私も中期の明るめ太宰が好きなので、森見さんと同意見!
『カチカチ山』『畜犬談』あたりは学生時代から好きなので殿堂入りとして、自分をさむらいに例えだす『佐渡』、黄村先生へのツッコミが冴え渡る『黄村先生言行録』が今回特に面白く感じた。
『新釈諸国噺』からの3編の、読点だけで続けて延々と書く独特のリズムとか、『走れメロス』の激情に任せて書き綴られたような熱い文章もいい。太宰の文章って、こっちを乗せて高揚していくような熱狂があると思う。
『人間失格』で太宰は好きじゃないわ、と思った人にこそ読んでほしい1冊。
Posted by ブクログ
太宰治は代表作の人間失格と、ほかちょっとした短編しか知らなかったので、ページを開いてびっくり!
文体がどことなく森見登美彦に似ている! もしかして、太宰の短編を流用して森見オリジナルにしたのかな? と調べてみたけれど、ちゃんと太宰治作でした。
暗い作品ばかりのイメージだっただけに、ちょっと笑える、愛嬌のある話もあったのか、と新たな太宰治を発見! なんだ、自虐もほどほどにすれば笑えるじゃない、なんて。
一番好きな話は「黄村先生言行録」
先生と太宰のやりとりが微笑ましい。
モデルが井伏鱒二ということで、井伏鱒二が書いた「太宰治」も読んでみたい。
こちらは、太宰治が亡くなったあとに、太宰を偲んで書かれたものだから、ちょっと湿っぽいかもしれないけれど。
巻末の森見登美彦編集後記での、太宰治に対する世間の印象について「太宰治なんて「走れメロス」と「生まれてきてすいません」の人でしょ?」には笑った。
Posted by ブクログ
長らく積んであった、森見登美彦による太宰治傑作選。
これまで太宰治は教科書の「走れメロス」と「人間失格」しか読んだことがなかった。読んだとは言っても、「人間失格」なんて本当に読んだかどうか思い出せなくて、一応読んでみて、端から端まで読み終わって、「そうそうそういう終わり方だった。うん、やっぱ前にも読んだなこれ」と思うくらい、要するに「読んだ」と宣言するのがはばかられるくらい、まるで身についていなかった。
実はその「人間失格」の再読を、この本とほぼ平行して行った。そっちは森見登美彦とは無関係の、真面目な作品集だ。
(もちろん森見登美彦が不真面目な仕事をしているという意味ではない)
そして、主にこちらの傑作選によって、太宰治のイメージがずいぶんと変わり、ぐーんと好感が持てるようになった。
森見登美彦が太宰治を好きなこと、つまり影響を受けているのであろうことは、「新釈 走れメロス」なんていうパロディ(?)の短編集を出しているので、一応分かっているつもりだった。
でも! ここまでダイレクトに太宰治のスピリットを受け継いでいるとは、思いも寄らないことだった。
編集後記に、うんうん、なるほど、うんうん、わかるわかる、と頷く。森見登美彦にしかできない選集だろうと思う。
太宰治は陰気ではない。こんなにユーモアを持っていて、こんなに書くことを楽しんでいて、こんなにまっとうな人間だったのだ。たまに何だか露悪的すぎるだけだ。自殺してしまうなんて残念だ。
そうして読み終わると、不思議なことに、これまでちっとも身に入らなかった「人間失格」も、すーっと染みこんできた。
単に歳を重ねたせいかもしれないし、なにもかも森見登美彦の計略通りかもしれない。
Posted by ブクログ
太宰治の作品の中から、「ヘンテコで愉快である」ことに主眼置いて、森見登美彦氏が19篇選んだ太宰治傑作選。
「カチカチ山」が痛烈すぎて面白かった。
『晩年』にも入っていた「ロマネスク」は、森見さんも評するように傑作だと感じた。
「令嬢アユ」は、令嬢について、田舎の緑の中を白いワンピースで麦わら帽子で、みたいなそんな清潔でジブリの『風立ちぬ』的なイメージを抱いて、最後にやりきれない思いになった。令嬢アユ、君は…。となる。
「畜犬談」も面白い。犬を恐れるが故に犬に好かれるが、断じて犬は嫌いであると強情を張る、が、である。
森見さんの編集後記が興味深い。「太宰治なんて、『走れメロス』と『生まれてきてすいません』の人でしょ?」という読者がこの本を手に取って、違う目で太宰を見るきっかけになればいい、と最後に書いていた。でも、この本からでも、太宰の「自意識」を見つめて表現にして差し出す、人間の体臭が感じられるから、太宰はハマる人ハマらない人がいるのだと思う。
私はハマっている。『人間失格』も読み直したいな。
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太宰を読んだ読者が「この作者のことを一番分かっているのは俺だ」と感じてしまうのは、太宰が「自意識」の一番みっともないところを痛々しいほどあからさまに書くからである。正直だからである。
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