小説作品一覧

非表示の作品があります

  • 終わりの歌が聴こえる
    3.0
    人気絶頂のさなかで逝った天才ギタリストの「伝説の死」。コカイン所持で逮捕された男の暴露によって、十九年ぶりに、その死の真相を二人の刑事が再捜査することとなった。事故死か殺人か――被疑者に浮上したのは、同じバンドの元メンバーで今はソロでブレイクしている木宮保だった。音、絆、女、薬……狂騒の旋律に搔き消された慟哭の真実とは?
  • 川端康成と女たち
    3.5
    女給ちよや藝者の松栄など、実在する女性たちの像がちりばめられた美しき川端作品の数々は、古今東西の名作のご多分に漏れず、今少しずつかつてとは違う読み方をされつつある。時代の感性や情緒が変化する中、川端作品はどれが「名作」として生き残れるか。高校二年生で『眠れる美女』に衝撃を受けて以来のめり込み、「川端は最も好きな作家」と公言する著者が〝女性″を切口に10の人気作を再読する。『雪国』『伊豆の踊り子』『山の音』『片腕』……幾重にも魅力的に光る女たちの描写から、川端の複層的な人間味も垣間見える画期的論考。
  • タックスヘイヴン Tax Haven
    3.9
    1巻940円 (税込)
    東南アジアでもっとも成功した金融マネージャー北川が、シンガポールのホテルで転落死した。自殺か他殺か。同時に名門スイス銀行の山之辺が失踪、1000億円が消えた。金融洗浄(マネーロンダリング)、ODA、原発輸出、仕手株集団、暗躍する政治家とヤクザ……。名門銀行が絶対に知られたくない秘密、そしてすべてを操る男の存在とは? 国際金融情報小説の傑作!
  • 激動の世界を駆ける
    -
    カメラを武器に、たった一人で熾烈な戦場に立ち向かった男の青春。実体験で綴る自由・独立・平和の意味――1980年から、戦場と化したローデシア、南アフリカ、エルサルバドル、レバノン、アフガニスタン、イラン、フィリピンの紛争現場に、カメラを武器にたった一人で立ち向かった、一人のフリーカメラマンの、真の自由・独立・平和の意味を、写真と文で問いかける戦場レポートと、その実体験を通じて到達する「あるべきジャーナリストとしての姿勢」への誓い。
  • キャロラインの星
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 星座がかなでる音楽の音を聴いて天王星を発見した、偉大な天文学者ウィリアム・ハーシェルとその妹キャロラインの美しい兄妹愛を描く感動の児童文学。
  • ブラック・ウィドウ 上
    4.0
    パリとアムステルダムで爆破テロが発生。 実行犯は「黒衣の未亡人(ブラック・ウィドウ)」と呼ばれる 欧州生まれの若きテロリストだった――! 全米初登場第1位! パリで大規模な爆弾テロが発生。監視カメラは瀕死の人々を冷酷に撃ち殺す女の姿をとらえていた。実行犯は黒衣の未亡人と呼ばれるフランス出身の女――西側に殺されたISIS戦闘員の恋人だった。さらにアムステルダムでも凄惨なテロが起き、この連続爆破事件で友人を失ったイスラエル諜報局のガブリエルはフランス当局と極秘に捜査を開始。やがて姿なき黒幕サラディンの存在が判明し……。
  • 殺人特区
    3.0
    もう痛みすら感じない。“病”が根絶し、死すらも管理される世界――絶望の近未来を描いた、虐殺ディストピア!兼守美行き描き下ろしイラスト、豪華7点収録!■ようこそ、殺人特区へ。病という病が根絶され、人口が爆発的に増加し食糧難に陥った世界。そこはある組織によって支配され、人知れず粛清が行われて人口が調整されていた。幼い頃から父親に鍛えられ、生き抜く術を叩き込まれて育った少女メドウは、家族を飢えから救うためにその組織で仕事を得る。やがてメドウは世界の秘密を知ってしまうが……。それは偶然か、必然か――。
  • P+D BOOKS 天上の青 (上)
    NEW
    -
    1巻935円 (税込)
    大久保清事件をもとに書かれた名作の上巻。 波多雪子の家の庭先に咲いていたヘヴンリー・ブルー(天上の青)という朝顔を見て、「きれいな青だなあ」といって近づいてきた宇野富士男。じつは三十過ぎだというのに定職を持たず、青果店を営む実家に寄生しながら気ままに生きている男だった。その後も時折訪ねてくるようになった富士男のことを、「いささかの不実の匂いのする男」だと感じながらも穏やかに受け入れる雪子は、富士男が他の女性と交わった話を聞いても動じるようなそぶりは見せない。しかし、「俺がもっと決定的にだめな人間だってわかった時、あんたは愛想を尽かすよ」という富士男は、連続殺人犯だった。  女子高生やデパート店員、書店の客など、誘いに乗りそうな女性に声をかけ、天才的ともいえる作り話で共感を誘って、最後は自分勝手な怒りを爆発させ殺してしまう――。でも、凶行に及んだあとは、決まって雪子を思い出し、「一度でいいから膝枕さしてくれないかな。そうすると、とても安心できるような気がするんだ」と甘えたりする。はたしてこの奇妙な関係はいつまで続くのか――。 1970年代に発生した連続殺人事件を下敷きに書かれた渾身の長篇。
  • 山ぎは少し明かりて
    NEW
    -
    女たち、記憶の湖へ還る。 佳代、千代、三代の三姉妹は、瑞ノ瀬村に暮らしていた。大切な人が戦地から帰ってくる日も、結婚式を挙げた日も、家で子を産んだ日も、豊かな自然を讃えた山々の景色が、佳代たちを包み込み、見守ってくれていた。しかし、村にダム建設計画の話が浮上する。佳代たちの愛する村が、湖の底に沈んでしまうという。佳代は夫の孝光とともに反対運動に身を投じるのだが──。 定年退職まで営業部で忙しく働く佳代の娘・雅枝。海外留学先で「適応障害」になり、1ヶ月と少しで実家に帰ってきてしまった孫・都。彼女たちの瑞ノ瀬への想いはまったく異なっていた。 いま最注目のミステリ作家・辻堂ゆめが、壮大なスケールで描く懐かしい日本の「故郷」。変わりゆく時代を生きる三世代の女性をつないだ感動作を、満を持して文庫化! ※この作品は過去に単行本として配信されていた『山ぎは少し明かりて』 の文庫版となります。
  • ぼくはなにいろ
    NEW
    4.0
    君は、そのままで光だ。著者渾身の人間賛歌。 交通事故で体に傷を負って以来、人目を避けるようにに生きてきた祥司は、居酒屋で一人の女性に出会う。祥司には眩しいほど快活に見えた千尋だったが、彼女もまたトラウマを抱えていた。 スクラッチの宝くじを削ることだけを生きがいに、父親の文具店を手伝う孝志朗。その文具店には、試し書きノートで絵を描き続ける、不登校の絵美。文章で中学校の様子を絵美に伝える、口がきけない少年が通うようになる。心を閉ざした若者たちの繊細な関係を描きつつ、読む者すべての人生を肯定する大傑作。 ※この作品は過去に単行本として配信されていた『ぼくはなにいろ』 の文庫版となります。
  • 高尾山殺人事件
    NEW
    -
    世界一の登山客数を誇る 〈三ツ星〉の山で 惨劇の謎を追え! 人情探偵が解く意外な犯人(ホシ)は!? 傑作旅情ミステリ― 〈殺生禁断〉の山で起きた 凶悪なる事件(ヤマ)を暴け! 東京・葛飾の小仏探偵事務所へ相談に訪れた男性中学教師は、教え子の女生徒との関係を知られたことで、刑事と称する女から脅迫されているという。 偽刑事と睨んだ小仏は、教師、教え子と相談の上、脅迫金の受取り現場で待ちぶせするが、女は現われなかった。その頃、多くの行楽客が訪れる高尾山で女性の死体が…。 『高尾山 魔界の殺人』改題
  • 新しい花が咲く―ぼんぼん彩句―(新潮文庫)
    NEW
    4.0
    寿退社後に婚約破棄されたアツコが、行く当てもなく乗り込んだ路線バスの終点で見たもの。学級閉鎖で留守番中のアタル君が巻き込まれた不可思議な事件。自殺同然の事故で兄を亡くした妹が、偶然出会った女子中学生。俳句から着想を得て生まれた物語は、十七音の枠を超え、色彩豊かな無限の世界へ広がってゆく。人生の機微を掬い取るように描く、怖くて、切なくて、涙を誘う、極上の短編集。(解説・倉阪鬼一郎)
  • 小泉八雲集(新潮文庫)
    NEW
    4.0
    日常の生活、風俗習慣から、民話、伝説にいたるまで、近代国家への途上にある日本の忘れられた側面を掘り起して、古い、美しい、霊的なものを求めつづけた小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)。彼は、来日後、帰化して骨を埋めるまで、鋭い洞察力と情緒ゆたかな才筆とで、日本を広く世界に紹介した。本書には、「影」「骨董」「怪談」などの作品集より、代表作を新編集、新訳で収録した。
  • 13階段
    5.0
    伝説の江戸川乱歩賞受賞作『13階段』が100万部突破! 犯行時刻の記憶を失った死刑囚。その冤罪を晴らすべく、刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。だが手掛かりは、死刑囚の脳裏に甦った「階段」の記憶のみ。処刑までに残された時間はわずかしかない。2人は、無実の男の命を救うことができるのか。 江戸川乱歩賞史上に燦然と輝く傑作長編が、読みやすい字組になって新装版刊行。
  • 妻が余分
    -
    定年退職を目前にして長き単身赴任生活から 家族の住む家に帰った小宮山元。 知らぬ間に義母が同居し、 大事にしていた物も妻に勝手に捨てられていた。 もはやそこに自分の居場所はなかった。 半ば自棄で空き家になっていた実家の整理をはじめた彼は 思わぬものを見つけ……。 表題作「妻が余分」ほか 熟年からの身の振り方や人間関係に惑う 男女の姿を軽快に描く全7篇。 珠玉のシニアミステリー短篇集。 むさしのニューライフ ゲストハウス 百万円分の無駄 サードライフ 妻が余分 ヘアドネーション 十年日記
  • ロウ・アンド・ロウ(上)【毎日文庫】
    5.0
    1~2巻935円 (税込)
    漕げよ、漕げ。あなたの船をーー 男女の「歪み」と「再生」を超高解像度で描く 恋愛文学の極致! 東京の広告代理店に勤める43歳の涼子は、3歳年下で美容師の夫・孝之と結婚して13年。夫の夢を実現するための郊外暮らしや、子なし、かつ、セックスレスの生活にうっすら不満を抱えつつも、表面的には穏やかな日々を送っていた。ところが20代の美登利が孝之のアシスタントとして店に通い始めたことがきっかけで、夫婦の微妙な均衡が崩れ始める......。
  • やりなおし世界文学(新潮文庫)
    3.0
    もういいかげん、ギャツビーのことを知る潮時が来たようだ――。いつかは読みたい、けれどなんだか敷居が高い古典名作の数々。国も時代も文化も違うそれらの世界は、自分と同じような悩みや、新しい友達のような登場人物や、生きるうえで勇気が持てる姿勢に満ち満ちていた! 『灯台へ』『ペスト』『カラマーゾフの兄弟』など、全92作の魅力をふだん使いの言葉で綴る、軽やかで愉快な文学案内。(解説・辻山良雄)
  • 蝋燭は燃えているか
    4.7
    「宇宙空間の殺人」の次は、京都大炎上! 連続放火殺人事件に挑むのは、宇宙還りの女子高生・真田周(さなだ・あまね)! 宇宙ホテルでの連続殺人事件から帰還した女子高生の真田周は、大気圏突入時の配信が炎上し、個人攻撃にさらされ、まるで加害者のような扱いまで受けることに。 そんな中「まずは金閣寺を燃やす」と不穏な書き込みがあり、それを皮切りに名所名跡が次々と放火される。 その場にいたのは、消息不明となっていた友人の姿。京都を舞台に新たな事件!
  • からさんの家 まひろの章
    5.0
    まひろの家族事情は、ちょっと複雑。 実の両親は幼い頃に離婚。 父親は再婚した母親とともに事故で死亡。 義母の妹に引き取られるも、彼女が結婚した 相手の転勤で北海道へ行くことになるが、 高校卒業間近だったので、同行せず、 新しい父親の母が住む家に引っ越すことになった。 義理の祖母となった三原伽羅は、詩人で小説家で画家で、 女優だったこともある多才な女性。 彼女が住む東京の下町にある古い洋館には、 新進の芸術家、建築家志望の学生、 バーを営む歌手の女性といった 個性的な面々が住んでいる。 新しい環境の中、ユニークな同居人たちとともに暮らす まひろの日常を描く。 ドラマ化もされた「東京バンドワゴン」や 「花咲小路」などの人気シリーズをもつ著者が描く、 新しいカタチの家族小説。
  • 贋品
    5.0
    \   第5回大藪春彦新人賞作家   /   \    渾身のデビュー作    /    \ 多くのメディアに紹介され /     \   文庫化に!    / ■週刊文春     2024年5月30日号 ■週刊現代     2024年6月1日号 ■週刊ポスト    2024年6月7日・14日号 ■日刊ゲンダイ   2024年6月18日付 ■ダ・ヴィンチweb  2024年6月22日付 ■日刊ゲンダイ  2024年6月26日付 ■小説すばる   2024年7月号 ■毎日新聞  2024年7月3日付 ■小説新潮  2024年7月号 ■小説推理     2024年8月号 ■文蔵       2024年9月号 ■このミステリーがすごい! 2025年版 亡き父の友人山井からの提案が、 佐村の地獄の始まりだった――。 東大阪の施設にある本物の「ピカソ」。 それを持ち出しデータ化して、 贋作をつくり、売る!  元学芸員の鑑定で真作認定済み、 絵を持ち出す段取りも終えているという。 狙うは中国人メガコレクター!  騙し通せれば40億円以上での売却も 夢ではない。だが、バレたら死が待っている。 借金を抱えていた佐村は この危険な賭けに勝負する。 (解説:香山二三郎)
  • 警視庁の忍者
    5.0
    警視庁の密命を果たす、闇に紛れる忍びの者。 「悪党ども、首を洗って待っていやがれ」 警視総監から和綴じの書物を直接手渡された女性警察官僚は呟いた。 その書物の表紙には、特殊な顔料で記された題名が、暗闇の中に浮かび上がっていた。 『忍術指南書』、と――。 東新宿警察署の沢田欣珠(よしみ)は、先輩刑事の多胡武夫と売買春の現場を押さえるべく、網を張っていた。 人身売買、ひいては、新型の違法薬物《ブルー》を製造・密売する反社組織を一網打尽にするためだ。 しかし、欣珠は容疑者を追っている最中、不意を突かれて何者かに拉致されてしまう。 偶然現場に通りがかった、警務課の工藤啓太郎は逃走車両の追跡を開始。 首尾よく救い出し、欣珠の自宅まで送るが、アパートが火事で近づけず、ふたりは戸惑う。 まさか、反社組織の仕業なのか……。 女性警察官僚からの密命を帯びた工藤は、一体どう動く? 巨悪を狩るため陰に生きる、日の目を見ぬ現代忍者の隠密捜査が、今ここにはじまる!
  • 野火の夜(新潮文庫)
    4.5
    関東各地の自動販売機から、血のついた五千円札が相次いで発見された。同じ頃、増水した川で原発取材をしてきたジャーナリストが死亡する。事故なのか、他殺なのか……フリーライターの木部美智子が取材を進めると、二つの事件に思わぬつながりが見えてくる。その先に待ち受けていたのは――忘れられた過去と幾層にも重なった謎を解きほぐし、百年に及ぶ人間の業を描いたシリーズ最高傑作。(解説・千街晶之)
  • 魔都の婦人記者
    -
    1930年代、人々を魅了するアジア一の大都市・上海。スキャンダルを背負って死んだ父の汚名を漱ぐため、身一つで上海に降り立った高峰虹子は、到着早々すべての荷物を掏られ途方に暮れていた。そんな時に出会ったのは、大衆誌「上海モダン」を発行する作家・佐木と、記者の不破。佐木に頼み込み、記者として働きはじめた虹子は、街を賑わす様々な事件に触れつつ、父の事件の真相を追うが・・・・・・。繁栄と退廃、侵略とテロ、富と貧困。すべてを内包する「魔都」上海で、雑誌記者・虹子が見た陰謀と真実とは!?
  • 桜の血族
    3.0
    警視庁組織犯罪対策部暴力団対策課の桜庭誓は父も夫もマル暴刑事。ヤクザをもっとも理解する特殊な刑事だった。結婚後は退職して専業主婦をしていたが、夫の賢治がヤクザに銃撃され、犯人を逮捕するために現場復帰する。そんななか、大阪を拠点とする日本最大の暴力団吉竹組の元組員宅で爆破事件が発生。ヤクザに搾取されたベトナム人マフィアの犯行と見られたが、事件は本家と関東に分裂した吉竹組の抗争が絡んでいた。誓は自分に思いを寄せる片腕の武闘派組長・向島春刀とともに、血塗れの抗争を防ぐ。
  • 負けくらべ
    4.0
    伝説のミステリー作家、入魂の現代長編!  初老の介護士・三谷孝は、対人関係能力、調整力、空間認識力、記憶力に極めて秀でており、誰もが匙を投げた認知症患者の心を次々と開いてきた。ギフテッドであり、内閣情報調査室に協力する顔を持つ三谷に惹かれたのが、ハーバード大卒のIT起業家・大河内牟禮で、二人の不思議な交流が始まる。大河内が経営するベンチャー企業は、義母・尾上鈴子がオーナーを務める東輝グループの傘下にある。尾上家との軛を断ち切り、グローバル企業を立ち上げたい牟禮の前に、莫大な富を持ち90代にして権勢をふるう鈴子が立ちはだかる。牟禮をサポートする三谷も、金と欲に塗れた抗争に巻き込まれてゆく。  伝説のミステリー作家、19年ぶりの現代長編! ※この作品は過去に単行本として配信されていた『負けくらべ』 の文庫版となります。
  • 刑事姫 ~一千億円の少女~
    -
    謎の美少女刑事が救いようのない悪を壊滅! ある事件がきっかけで、東京都区内の警察官で最も無気力になったと言われている、北杉並警察署生活安全課の片山修也巡査部長32歳。 その片山に予想外の辞令が下った。 新たな配属先は、かつて耳にしたことのない、警視庁総務部第八別室。 訝しみつつも早速、第八別室へ顔を出した片山の目に入ってきたのは、想像を絶するふたりの人物だった。 警視庁の裏金を横領、12億円もホステスに貢ぎ、“ミスター総務”とまで呼ばれた50代後半のキャリア組エリート、露骨なカツラで装う美波晃一警視。 そして、7、8歳の小学生にしか見えない超絶美しい少女・八代ヒメ。 戸惑う片山は、警視正という信じがたい階級のヒメに早くも捜査に連れ出される。 しかも、現場に向かう捜査車両はただのパトカーではなく、超高級スポーツカーだ。 ほどなく7階建てマンションに到着したふたり。 片山はヒメに命じられ、屋上まで大型楽器ケースを担ぎ上げた直後、信じられないものを眼前にする。 それは、軍用狙撃ライフルを構えるヒメの姿であった! 美少女刑事とイケメンやさぐれ刑事のバディが徹底的に悪党どもを叩きのめす、痛快ポリス・アクション! ※この作品は過去に単行本として配信されていた『小学生刑事』 の文庫版となります。
  • 論理的思考による帰結です。阿比留警部の事件簿
    4.0
    1巻935円 (税込)
    「ぼくは数学が得意だったから、推理はできると思うんだ」――犯人はカリスマ企業家、女性代議士、そして……協調性ゼロのキャリア刑事とお目付け役の若手刑事のコンビが贈る、異色警察バディ小説の誕生!
  • 有吉佐和子ベスト・エッセイ
    4.0
    研ぎ澄まされた美意識旺盛な好奇心と行動力 有吉佐和子のエッセイ集ベスト版! 『華岡青洲の妻』『恍惚の人』『青い壺』『非色』・・・・・・ 今また読まれている理由がこの1冊でわかる。歴史や社会問題、伝統芸能から現代人の心の機微まで、作品のテーマは多岐にわたり、また書くものは次々にベストセラーとなった昭和を代表する作家・有吉佐和子。若くして始まった作家人生を支えたのは美への探究心や旺盛な好奇心、行動力であった。その明るくバイタリティに溢れる人物像や創作の現場がうかがえるエッセイやルポルタージュをまとめる。ちくま文庫オリジナル・アンソロジー。
  • 星の牧場
    3.7
    児童文学者で小説家の庄野英二の代表作になる長編ファンタジー小説。世界大戦の復員兵イシザワ・モミイチは戦地で、愛馬ツキスミを失い、心に深い傷を負って、記憶もまた失っている。ある日、牧場で働くモミイチは、馬の蹄の音を聞き、それに導かれるように山に分け入ると、クラリネットを吹く男に出会う……。刊行当時、数々の名だたる児童文学賞を受賞した名作の復刊。解説 絲山秋子
  • 数学の女王 道警 沢村依理子
    4.0
    江戸川乱歩賞受賞作『北緯43度のコールドケース』シリーズ! 爆弾魔の真のターゲットは? 博士号を持つ異色の警察官が札幌で発生した爆破事件に挑む。 「伏尾美紀は日本の警察小説を変える作家になるのかもしれない」杉江松恋(解説より) 圧倒的ストーリーテリング。骨太の警察ミステリー。 札幌の新設大学で発生した爆破事件。 博士号を持つ警察官・沢村依理子が捜査に加わる。 公安との駆け引きの中で進む捜査は行き詰まり、沢村に特命捜査の命が下される。 爆弾魔の真の目的は? かつて研究者として大事な人を失った過去を持つ沢村は、事件の真相に迫る。 乱歩賞受賞作家による骨太警察ミステリー。
  • 楽園のアダム
    3.3
    大災厄により人類は1%未満まで減少、地球上のほとんどが不浄の土地となってしまった。生き残った人々は、わずかに残った土地で人工知能カーネにより生活を制御され、平和に暮らしていた。”殺人”などとは無縁の世界、のはずだったーー。 〈書評家、驚愕〉 (吉田伸子さん) 一読驚愕、再読感服! 1000年後の地球を舞台にして問われる人間の本質。 物語に張り巡らされた小さな棘は、やがて鋭利な刃となって 読み手の旨に突き刺さる。 (吉田大助さん) 世界文学の動向と呼応する、本格ミステリーにして本格にディストピア・ロマンス。 真相が開示された瞬間、自分の内なる先入観や思い込みの存在に気付き、 打ちひしがれた。大傑作。 (円堂都司昭さん) 人類が暴力抜きで平和に暮らせる条件とはなんなのか。 この物語世界が示す解答にショックを受ける一方、 自分は知らないふりをしていただけかもしれないと思った。
  • 誘拐ファミリー
    4.0
    「家業、誘拐。ただし、狙うのは法で裁けぬ悪党のみ」――世田谷でペットホテルを営む浅井家は先祖代々、誘拐が裏稼業だ。極悪人のみをターゲットにし、超大型犬用の檻に監禁して身代金を要求する。硬い絆で結ばれた家族六人だったが、長男と次男の五代目家長の座を巡る対立が、一家を二分する壮絶なバトルに発展。某巨大宗教の幹部を狙った誘拐勝負で決着をつけるも予想外の結末に――。怒濤の展開、裏切りの心理合戦が手に汗握る! そして待ち受ける衝撃の結末!! 一気読み必至の長編犯罪小説。
  • 大江戸春画ウォーズ  UTAMARO伝(新潮文庫)
    -
    新潮社旧倉庫で、27年ぶりに“発見”された原稿。それはTV『鉄腕アトム』『ジャングル大帝』『宇宙戦艦ヤマト』を生んだベテラン・アニメーション作家による、幻の小説だった! 若き天才絵師・歌麿と、彼を育てた蔦屋重三郎、そして仲間たち。さらに彼にまつわる闇の魔物と謎の女うずみ……。妖艶怪奇、奇想天外、時代小説の枠を超えて爆走する前代未聞のエンタテインメント、感動の開幕!(解説・森重良太)
  • 夏日狂想(新潮文庫)
    4.2
    1巻935円 (税込)
    明治末の広島に生まれた礼子は、自由のない故郷を出奔。女優を目指しながら、年下の詩人、水本と暮らしていた。そして出会った文壇の寵児、片岡。礼子は才能ある二人の男を愛し、求められ、引き裂かれていく。三角関係が終焉を迎え礼子が見つけたのは、自らも「書きたい」という情熱だった――。誰のミューズでもない、自分の言葉を紡ごうとするひとりの女を創り上げた、魂を震わせる長編小説。(解説・佐久間文子)
  • 冬物語
    3.0
    「カミロ,お前は見なかったのか?――おれの妻は浮気女だと」.王妃の密通という〈物語〉にふと心とらわれたシチリア王は,猛烈な嫉妬を抱き…….人は心の〈冬〉をいかに生き延びるのか.円熟した筆が物語を自在に操り,悲喜劇交錯するドラマを描く,シェイクスピア晩年の傑作. 清新な翻訳が原文の豊かなリズムを伝える.

    試し読み

    フォロー
  • ゴッホの犬と耳とひまわり
    4.0
    きっかけは「古いフランス製の家計簿に書き込まれたゴッホの直筆かもしれない文書を訳してほしい」という依頼だった。 翻訳を進めながら、来歴を調べるうちに、この冊子の持ち主と、彼につらなる家族の系譜が浮かび上がる。 膨大な蘊蓄が回収されていく長野まゆみの仕掛ける圧倒的推理ゲーム。 〈解説:石沢麻依〉
  • 街とその不確かな壁(上)(新潮文庫)
    完結
    3.9
    全2巻935~990円 (税込)
    十七歳と十六歳の夏の夕暮れ、きみは川べりに腰を下ろし、“街”について語り出す――それが物語の始まりだった。高い壁と望楼に囲まれた遥か遠くの謎めいた街。そこに“本当のきみ”がいるという。〈古い夢〉が並ぶ図書館、石造りの三つの橋、針のない時計台、金雀児(えにしだ)の葉、角笛と金色の獣たち。だが、その街では人々は影を持たない……村上春樹が封印してきた「物語」の扉が、いま開かれる。
  • ブレイクスルー
    3.5
    大学四年生の萌子は、怪しい人材派遣会社『キマイラ』が淡路島で開いた就職説明会から戻らない同級生が心配になり、バイクで様子を見に行く。だが、淡路島の暴力団組長を殺害した女が白いバイクに乗って逃亡していたことから、萌子がヒットマンと勘違いされ無法者に追われるハメに。IQ170の天才女子大生はこのピンチを突破できるのか。萌子とヤクザと警察、三つ巴の闘いが始まる!
  • 破戒(新潮文庫)
    4.4
    明治後期、部落出身の教員瀬川丑松は父親から身分を隠せと堅く戒められていたにもかかわらず、同じ宿命を持つ解放運動家、猪子蓮太郎の壮烈な死に心を動かされ、ついに父の戒めを破ってしまう。その結果偽善にみちた社会は丑松を追放し、彼はテキサスをさして旅立つ。激しい正義感をもって社会問題に対処し、目ざめたものの内面的相剋を描いて近代日本文学の頂点をなす傑作である。[付・北小路健「『破戒』と差別問題」](解説・平野謙)
  • 熱夜
    -
    1巻935円 (税込)
    南国沖縄でアヴァンチュール 深みに嵌まった7人の女 抜き差しならない夜もある  沖縄に移り住んだ官能作家の「私」が、十年の間に深い関係を結んだ七人の女との性愛の日々を綴る。十八歳年下の奔放な愛人ユキノとのめくるめく火遊び、今はなき花街真栄原新町の娼婦ハルカとの限りなく危険な逃避行、歓楽街松山の秘密クラブで出会った淑女レイコとの行きずりSMプレイ……南国の島の熱い夜を舞台にした名手による読み切り連作官能ロマン。私小説的情炎小説集。 目次 第一話 雨のリゾート──ユキノ・二十二歳  第二話 病める薔薇──ハルカ・二十四歳  第三話 目隠しの夜──レイコ・三十四歳  第四話 夜の海に溶ける──マリコ・三十二歳  第五話 声の限りに──カンナ・二十八歳  第六話 第六話 ロリ顔──ミオ・三十歳  第七話 第七話 無人島へ行こう──トモミ・二十三歳
  • 化石少女と七つの冒険
    -
    この学園は呪われている!? 白雪にまみれ赤いロープで手首を結び合った三生徒の死体、男子の制服で死んでいた女子生徒……良家の子女が集う京都の名門高校で、またまた相次ぐ怪事件に、名探偵まりあの血が再び騒ぐ。神舞まりあは、自分以外の部員一人だけという零細古生物部を率いる化石オタクのお嬢様。そして、誰にも認めてもらえない女子高生探偵だ。これまた誰にも見向きもされない古生物部に、なぜか加入してきた怪しい一年生。むりやりお嬢様のワトソン役にされ続けてきた男子部員が抱え込んだ黒い秘密。その上、新たな生徒探偵まで登場。いかがわしさ倍増の果てに、絶対予測不能の結末が!ミステリ通をのけぞらせた、これが危なすぎる学園ミステリだ!
  • スキップ(新潮文庫)
    3.9
    1巻935円 (税込)
    昭和40年代の初め。わたし一ノ瀬真理子は17歳、千葉の海近くの女子高二年。それは九月、大雨で運動会の後半が中止になった夕方、わたしは家の八畳間で一人、レコードをかけ目を閉じた……目覚めたのは桜木真理子42歳。夫と17歳の娘がいる高校の国語教師。わたしは一体どうなってしまったのか。独りぼっちだ――でも、わたしは進む。心が体を歩ませる。顔をあげ、《わたし》を生きていく。(解説・佐藤夕子、佐藤正子)
  • 魔弾の標的 警視庁殺人分析班
    4.3
    動物用の檻に閉じ込められた、全裸の男の遺体。腹部の深い傷にはなぜか治療用の薬剤が付着していた。さらに今回、刑事・如月塔子の相棒は鷹野秀昭ではなく……? 戸惑う塔子を嘲笑うかのように、第二の事件が発生! 残虐な犯行の奥に潜む悪意とは!? シリーズ累計85万部突破の大人気警察ミステリー、戦慄のゲームマスター編、始動!
  • 火山のふもとで(新潮文庫)
    4.0
    ぼくが入社した村井設計事務所は、ひと夏の間、北浅間の「夏の家」へ事務所を移動する。そこでは稀有な感性をもつ先生のもと、国立現代図書館の設計コンペに向けての作業が行われていた。もの静かだけれど情熱的な先生の下で働く喜びと、胸に秘めた恋。そして大詰めに迫った中で訪れる劇的な結末。ただ夏が過ぎても物語は終わらなかった。かけがえのない記憶と生命の瞬きを綴る鮮烈なデビュー作。
  • 新版 禁酒宣言 ――上林暁・酒場小説集
    4.0
    「私は酒がやめられないのである」「だらしない話である。恥かしい話である」しかし不思議と憎めず愛しい、戦後・昭和の人間模様――。「小生、この度感ずるところあって、酒を止めることにしました。断然止めたいと思います。」「酒を飲むから、仕事が出来ぬ。仕事が出来ぬから、金があんまり入らない。」(「禁酒宣言」)止せばいいのに今日も今日とてふつか酔い、後悔してももう遅い。確かな筆致で人間の生活を描き続けた私小説作家・上林暁の世界から坪内祐三が選りすぐる、ユニークな酒場小説集。解説 青柳いづみこ
  • 正午派2025
    4.5
    作家生活40周年!究極の「佐藤正午読本」! 佐藤正午デビュー25周年を記念した単行本『正午派』の刊行から15年──作家生活40年の増補版として新たに編纂された文庫オリジナル【完全保存版】。 短編小説もエッセイも、すべての原稿が文庫初収録! 数多の秘蔵原稿とともに40年にわたる作家の足跡を追う! *収録内容の一部をご紹介* ▼編集者の指導で何回も書き直した「すばる文学賞受賞のことば」 ▼地元・佐世保のタウン誌で連載された貴重な〈自著解説〉 ▼名作『鳩の撃退法』の原形か? 短編小説「流れる」「トラブル」 ▼選考委員を5年間つとめた携帯メール小説大賞〈選評〉 ▼西日本新聞でしか読めなかった連載「佐世保駅7番ホーム」 ……などバラエティに富んだ原稿が満載。 「ともかくここまでは来た。将来的に、さらにこの文庫の最新版が編まれる可能性は限りなくゼロに近いだろう。それはわかっている。ここまでかもしれない。ただ、それはそれとして、僕が現役の作家でいるあいだはここが行き止まりでもない」(本書「あとがき」より抜粋) 佐藤正午さんの「ここまで」を振り返るには必携、そして「ここから」がますます楽しみになる1冊です。 (底本 2025年1月発売作品)
  • 救国ゲーム(新潮文庫)
    3.7
    “奇跡”の限界集落で発見された首無し死体。愛国者にして救世主(パトリシア)を名乗る犯人は高らかに宣告する。「すべての地方都市を放棄せよ。人質は地方に暮らす8000万人の日本国民」。ドローンによる無差別テロの期限(タイムリミット)が迫る中、集落の住人でカリスマブロガーの陽菜子と、“死神”の異名を持つエリート官僚の雨宮は、日本の存亡を賭け、不可能犯罪に挑む。最注目作家による本格ミステリ×サスペンス! (解説・吉田大助)
  • SIP 超知能警察
    4.0
    2029年、科学警察研究所の研究者・逆神は、警察庁副長官の木戸から3つの異なる事件の検証を命じられる。いずれも日本海側の各県で起きた奇妙な事件だが、一見すると何の繋がりも脈絡もないものだった。逆神は自らが率いる情報科学第四研究室をあげて解明に挑むものの、それは、東アジアの安全保障をも脅かす巨大な謀略の端緒にすぎなかった――。現役AI研究者にして、直木賞候補作家が、AI捜査を武器に、敵対国家、テロリスト、犯罪者を取り締まる「超知能警察」の活躍を描く次世代警察小説。
  • 残月記
    3.8
    月昂と呼ばれる感染症が広がり、人々を不安に陥れている近未来の日本。一党独裁政権が支配する社会で、感染した青年、冬芽は独裁者の歪んだ願望により、命を賭した闘いを強いられる。生き延びるため、愛を教えてくれた女のため、冬芽は挑み続ける(表題作)。「月」をモチーフに、著者の底知れぬ想像力と卓越した筆力が構築した、かつて見たことのない物語世界。本屋大賞ノミネート、吉川英治文学新人賞&日本SF大賞W受賞という史上初の快挙を成し遂げた真の傑作。
  • 存亡
    -
    1巻935円 (税込)
    国家動力基幹基地破壊さる! 続発する大都市停電! 政治機能完全麻痺! 産業経済崩壊! 全国民に警鐘を鳴らす傑作長篇! 国家存亡を懸けた対テロ特殊部隊の壮絶な最前戦! 「安全神話の今」に警鐘を鳴らす国軍戦線の国防サスペンス第一弾! 陸上自衛隊対テロ機動連隊「打撃作戦小隊」に命令が下った。 日本の大動力基幹基地に重武装集団が侵入と言う。陣保五郎陸曹長は一騎当千部隊を指揮し現地に向かうが、待ち構えていたのは日本語を話す強烈な戦闘大隊!  大都市停電続発、右往左往する政治家、壊滅の産業経済。 〈想定外〉が現実となり、命運を託された対テロ特殊部隊は壮烈な死闘に突入する。 国防最前線を描く傑作国防サスペンス第一弾!
  • 富嶽百景・女生徒 他六篇
    3.8
    「富士には月見草がよく似合う」――表題作「富嶽百景」ほか,昭和12~15年発表の8篇を収める.新たな文体〈女がたり〉を用いた「燈籠」や「女生徒」「葉桜と魔笛」,森鴎外の翻訳を用いて創作の舞台裏を明かす「女の決闘」など,『晩年』刊行後のスランプを克服し,〈再生〉へと向かっていくエネルギーを感じさせる.

    試し読み

    フォロー
  • 灯台へ(新潮文庫)
    4.0
    「いいですとも。あした、晴れるようならね」スコットランドの小島の別荘で、哲学者ラムジー氏の妻は末息子に約束した。少年はあの夢の塔に行けると胸を躍らせる。そして十年の時が過ぎ、第一次大戦を経て一家は母と子二人を失い、再び別荘に集うのだった――。二日間のできごとを綴ることによって愛の力を描き出し、文学史を永遠に塗り替え、女性作家の地歩をも確立したイギリス文学の傑作。(解説・津村記久子)
  • 谷崎潤一郎を知っていますか―愛と美の巨人を読む―(新潮文庫)
    4.0
    「お前さんは真先に私の肥料(こやし)になったんだねえ」――『刺青』で鮮烈な文壇デビューを果たし、『痴人の愛』『卍』『細雪』と名作を多く遺した谷崎潤一郎。性の不一致を理由に妻を友人に譲渡、義妹といかがわしい交際をする等、私生活は世間の大顰蹙を買う一方、飽くなき妄執を巧みな筆致と見事な日本語で描き出した作品は耽美の極みと絶賛される。公私共に異常に乱れた巨匠の文学世界を徹底解説。(解説・たつみ都志)
  • レーテーの大河
    4.0
    運命の車輪は回り始める。日本を揺るがす“危険な積み荷”とともに。 江戸川乱歩賞作家が時代の闇に挑むノンストップ・サスペンス! 終戦時の満州、そして五輪開催直前の東京。二つの「昭和」を貫いて走り始めた機密列車の後ろ暗い任務とは。 楔になろうとした男たちの、捨て身の作戦とは。 終戦間際の混乱で親を失った三人の戦災孤児。関東軍の機密物資を日本に運んだ2人の陸軍中尉。 焼け野原から復興へーーオリンピックを目前に急ピッチで東京の整備が進む中、日銀の現金輸送担当者が線路に転落死を遂げた。 事故として処理されるはずだったその死を合図に、二度と交わるはずのない人生が再び交差する。 そして、運命の列車は走り始める。 俺たちは駒だ。だが、駒だって逆らう。
  • 我々の死者と未来の他者 戦後日本人が失ったもの(インターナショナル新書)
    4.0
    なぜ日本人は、気候変動問題に対する関心が低いのか。そのヒントは司馬遼太郎や村上春樹らの小説、さらに『鬼滅の刃』『虹色のトロツキー』『満州アヘンスクワッド』などの漫画作品にあった。「未来を変えること」と「過去を新たに見出すこと」は別のものではない。両者は同じ対象を二つの側面から眺めたのであり、その視線は緊密に結びついている。哲学から現代思想、文学、サブカルチャーにまで精通する著者が、日本人が切り捨ててきた<我々の死者〉、そして〈未来の他者〉をキーワードに、過去・未来と現在との「分断」の正体を暴く。
  • 夜が明ける(新潮文庫)
    3.7
    15歳のとき、俺はアキに出会った。191センチの巨体で、フィンランドの異形の俳優にそっくりなアキと俺は、急速に親しくなった。やがてアキは演劇を志し、大学を卒業した俺はテレビ業界に就職。親を亡くしても、仕事は過酷でも、若い俺たちは希望に満ち溢れていた。それなのに――。この夜は、本当に明けるのだろうか。苛烈すぎる時代に放り出された傷だらけの男二人、その友情と救済の物語。(対談・小泉今日子)
  • 小説 言えない秘密
    5.0
    この時間は永遠だと思っていたーー。 旧校舎のレッスン室から聞こえてくる、美しいピアノの音。留学帰りの湊人がそこで出会ったのは、知らない曲を弾いていた雪乃。 ピアノの調べとともに、運命が大きく動き出す。感動の映画「言えない秘密」をノベライズ! 著者:時海結以 長野県生まれ。遺跡の発掘や歴史・民族資料の調査研究職にたずさわった後、作家デビュー。おもな著書に、『紫式部日記 天才作家のひみつ』『ちはやぶる 百人一首恋物語』『小説 ちはやふる 中学生編』(全4巻)『小説 映画 ちはやふる』(全2巻)『小説 はたらく細胞』(全3巻)(すべて講談社)ほか。日本児童文学者協会、日本民話の会所属。
  • 映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ ザ・ノベル
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 2024年3月公開の映画をノベライズ!ここでしか読めない、おしりたんていとスイセンの大学生時代を描いた短編も収録。おしりたんていのもとに、10年前にとつぜん姿を消したかつての相棒・スイセンから依頼が届く。なんと、彼女が勤めるメット―美術館の絵画が、すべてにせものにすりかわってしまったというのだ! 10年ぶりに現れた相棒は、敵か? 味方か? その不敵なほほ笑みの裏側にあるものとは――。
  • ガイズ&ドールズ(新潮文庫)
    4.5
    賭け事にとり憑かれた生粋のギャンブラーが一目惚れしたのは、魂を救済するため布教活動に従事する清廉な美女だった――。『ガイズ&ドールズ』の題名でおなじみのミュージカルや映画の原作者として知られ、ブロードウェイを舞台に悲喜こもごもの人間喜劇を描き続けたデイモン・ラニアン。ジャズ・エイジを代表する短篇の名手の歴史的デビュー作品集を、オリジナル収録そのままに紹介する。(解説・小森収)
  • ぼくの哲学(新潮文庫)
    4.0
    その男、偶像か、トリックスターか。NYを舞台に世界を熱狂させ続けたアーティストの稀有なる証言。シャイで神経質だった幼少期から、孤独を受け入れた途端に取り巻きができ、夜な夜なパーティに繰り出した狂騒の時代まで。「芸術家は英雄(HERO)ではなく無(ZERO)」「芸術なんて作ればもう新しくない」と豪語し、ひとところに留まらなかった時代の寵児は何を見、何を語ったか。唯一無二の決定的自伝。
  • フェルメールの憂鬱(新潮文庫)
    3.2
    未発見のフェルメール作品『ニンフと聖女』がスイスで見つかった。その直後ニューヨークのメトロポリタン美術館からフェルメールの代表作『少女』が強奪され、日本人に買い取られたという情報が流れる。2枚の絵をめぐり絡み合うさまざまな思惑と、周到に張り巡らされていく幾重もの罠。天才詐欺師、悪徳画商、宗教団体教祖――くせ者たちによる騙し合いに勝利して、最後に絵を手にするのは!?(解説・西上心太) ※新潮文庫に掲載の図版は電子版には収録しておりません。
  • 小説8050(新潮文庫)
    4.2
    このままでは、我が子を手にかけ、自分も死ぬしかない。歯科医の大澤正樹とその妻、節子は悩んでいた。長男の翔太は中学で不登校に、以後七年間引きこもり続けている。一方、一流企業に勤める姉の由依は、弟のせいで結婚できないと両親に訴える。ついに息子と向き合う決心をした正樹が知った恐ろしい真実とは――。引きこもり、家庭内暴力、不登校、いじめ……現代日本を抉(えぐ)る社会派エンタメ長編。(解説・三浦友和)
  • しまなみ海道追跡ルート 〈新装版〉
    -
    十津川&亀井、瀬戸内に飛ぶ! 壮大な追跡劇と予想外の結末! 観光会社瀬戸内ビューの社長・長谷川要の末娘かえでが誘拐された。身代金は五億円。それを、ライバル社岡山観光社長の佐倉真一郎の口座に振り込めというのだ。岡山県牛窓のK銀行で五億円を受け取った犯人は、モーターボートで逃走を図るが、大型クルーザーと衝突し、沈没。今度は、六億円を岡山観光の東京支店寮に置けとの連絡が入った。警視庁の十津川と亀井らが監視するなか、突然、建物が爆発、炎上する。そして、広島県尾道警察に、「しまなみ海道が炎に包まれるぞ」という脅迫が…。会心の長篇推理。 序章 第1章 爆発 第2章 しまなみ海道へ 第3章 火矢走る 第4章 生口島 第5章 真実への道 終章
  • 沖縄オバァ烈伝
    5.0
    沖縄戦を生き抜き、老いてなお現役で働く沖縄のおばあちゃんたち。彼女たちのパワフルな日常生活とそのすばらしき人生哲学を生き生きと描いたルポエッセイ。出版されて以来沖縄でロングセラーとなり、日本中に「沖縄オバァ」の存在を知らしめた話題作。 ※この商品は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
  • 宝島
    4.5
    入り江を見下ろす静かな宿屋に、「船長」と呼ばれる老いた船乗りが泊まっていた。ある日、杖をついた男が現れて小さな紙切れを手渡すと、船長は発作を起こして死んでしまう。船長が遺した1枚の地図は、やがて宿屋の少年ジムを思いもよらない冒険へと誘い出すことになる。1本足の海賊ジョン・シルバー、隠された宝を示す謎の地図……。個性的な登場人物と、手に汗握る展開で、多くの子どもたちを魅了してきた冒険物語の古典。

    試し読み

    フォロー
  • 方舟さくら丸(新潮文庫)
    4.2
    地下採石場跡の巨大な洞窟に、核シェルターの設備を造り上げた元カメラマン「モグラ」。[生きのびるための切符]を手に入れた三人の男女とモグラとの奇妙な共同生活が始まった。だが、洞窟に侵入者が現れた時、モグラの計画は崩れ始める。その上、便器に片足を吸い込まれ、身動きがとれなくなってしまったモグラは――。核時代の方舟に乗ることができる者は、誰なのか。現代文学の金字塔。(解説・J・W・カーペンター)
  • 雷神(新潮文庫)
    3.8
    あの日、雷が落ちなければ、罪を犯すことはなかった――。埼玉で小料理屋を営む藤原幸人(ゆきひと)を襲った脅迫電話。電話の主が店に現れた翌日、娘の夕見(ゆみ)から遠出の提案を受ける。新潟県羽田上(はたがみ)村――幸人と姉・亜沙実の故郷であり、痛ましい記憶を封じ込めた地だった。母の急死と村の有力者の毒殺事件。幸人らが村を訪れると、凄惨な過去が目を醒まし……。最後の一行まで最上級の驚愕が続くミステリ。(解説・香山二三郎)
  • 見習い天使 完全版
    4.0
    小説の面白さを追求し続けた作家・佐野洋。人間の尽きることのない欲望を無駄のない描写とテンポのよい運びで読ませる物語は、古びることのない魅力を持つ。さらに、その全てには予想を裏切る結末も――。人間世界を見つめる“見習い天使”が全23篇の案内役を務める構成も洒落た連作ミステリが完全版で甦る。巻末には編者日下三蔵の詳細な解説に加え、星新一による解説も特別収録する。
  • ルパンの絆
    3.8
    シリーズ累計45万部突破! 2度のドラマ化と映画化で記憶に刻まれた 泥棒一家、探偵家族、刑事一家の物語――劇的クライマックス! 三雲華が、Lの一族をめぐる「パンドラの箱」を開ける! 「しかしもう遅い。ここで引き返すわけにはいかなかった。おそらく全部繋がっている気がした。  杏が誘拐されたのも、和馬が殺人犯に仕立てられたのも、すべて一本の線で繋がっている。  そして、その先には、封印された私の記憶があるはずだ」――本文より 【あらすじ】 Lの一族の娘・三雲華の夫である桜庭和馬は、ホテルのバーで張り込み中、突如意識を失う。 目覚めるとスイートルームにいて、浴室には女の死体。殺人犯に仕立てられたのだ。 そのころ華に「娘を返してほしければ十億円を用意しろ」との脅迫電話が。 二つの事件が交錯し、一族の秘密が浮かぶ。シリーズ最高傑作!
  • 青い孤島
    4.0
    俺は小さな広告会社で「無能」といわれて働く小島佑。この名前のせいで僻地の小島へと島流しにされてしまったんだ。しかも「島を活性化させるアイデアが出るまで戻るな」と社長に意地悪されてしまう。辿り着いた小鬼ヶ島では、島の住人がなぜか東西で対立していて空気は険悪。同調圧力って怖いなぁって思っていたら、たまたま同じ船で来島した絶世の美女・るいるいさんのブッ飛んだアイデアに巻き込まれて、まさかのリアル・ロールプレイング・ゲームが始まる。俺も島もヤバいことになってきたぞ~!
  • 広重ぶるう(新潮文庫)
    4.1
    描きたいんだ、江戸の空を、深くて艶のあるこの「藍色」で――。武家に生まれた歌川広重は絵師を志すが、人気を博していたのは葛飾北斎や歌川国貞。広重の美人画や役者絵は酷評され、鳴かず飛ばず。切歯扼腕するなかで、広重が出会ったのは、舶来の顔料「ベロ藍」だった。遅咲きの絵師が日本を代表する「名所の広重」になるまでの、意地と涙の人生を鮮やかに描く傑作。新田次郎文学賞受賞。(解説・日野原健司)
  • 王朝才女の謎 紫式部複数説
    3.0
    1巻935円 (税込)
    栄華を極める藤原氏政権の時代に源氏の王朝物語が生まれた不可思議な矛盾。源氏物語は反藤原の抵抗文学なのか? 才女紫式部の実体は? 先に「源氏物語は紫式部作ではない」と提唱して多くの古典ファンに衝撃的話題を投げかけた著者が、再び大胆な推論を展開、藤原氏の系譜を遡り、物語成立年代の誤りと“作者”紫式部の実体を解明し、才女伝説の虚像と実像を浮き彫りにする。好評『源氏物語99の謎』姉妹篇。
  • 網走発遙かなり 改訂完全版
    4.3
    東京郊外の高級住宅が並ぶ丘の上を毎日観察する老人の狙いは何か? また都心のデパートや地下街に出没するピエロの正体は? そして江戸川乱歩の古い写真を持つ老女の素顔とは? 現代の東京に表出した奇妙な出来事はやがて四十年前の雪の北海道で起きた惨事の謎解きに結集する。 著者が周到に企みをほどこした驚異の野心作を改訂完全版として新装復刊、著者による巻末解説も収録。 2024年春公開予定映画『乱歩の幻影』を収録。 江戸川乱歩の知られざる秘密に迫る「乱歩の幻影」。 島田荘司のリアルな体験から発想された名作がついに映像化! 出演 結城モエ 高橋克典 山口大地 嘉島陸 小貫莉奈 高橋努 加藤雅也(友情出演) 常盤貴子 原作・脚本・音楽 島田荘司 監督・プロデュース 秋山純
  • あなたのとなりにある不思議 ざわざわ編
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 日本児童文学者協会70周年共同企画。人気児童作家40人が、"身近な不思議"を執筆。公募入選者10名を加え、怖い話だけど、最後にはくすっと笑える話、または楽しいお話だと思って読んでいると、最後にぞくっとしたり、感動したりする話など、短いけど、インパクトがあり、結末に驚きのあるような〈怖不思議面白い〉短編を集めたアンソロジーシリーズです。 作◎内田麟太郎/与田亜紀/やえがしなおこ/斉藤栄美/渡辺仙州/しめのゆき/あめのちはれ/村上しいこ/菅野雪虫/たからしげる 絵◎細川貂々/アカツキウォーカー/柴田純代/タカタカヲリ
  • あなたのとなりにある不思議 ぶるぶる編
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 日本児童文学者協会70周年共同企画。人気児童作家40人が、"身近な不思議"を執筆。公募入選者10名を加え、怖い話だけど、最後にはくすっと笑える話、または楽しいお話だと思って読んでいると、最後にぞくっとしたり、感動したりする話など、短いけど、インパクトがあり、結末に驚きのあるような〈怖不思議面白い〉短編を集めたアンソロジーシリーズです。 作◎吉田純子/田部智子/戸田和代/廣嶋玲子/本間千絵/イノウエミホコ/高山栄子/みおちづる/あらかきいそこ/太田忠司 絵◎アカツキウォーカー/細川貂々/タカタカヲリ/柴田純代
  • あなたのとなりにある不思議 びくびく編
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 日本児童文学者協会70周年共同企画。人気児童作家40人が、“身近な不思議”を執筆。公募入選者10名を加え、怖い話だけど、最後にはくすっと笑える話、または楽しいお話だと思って読んでいると、最後にぞくっとしたり、感動したりする話など、短いけど、インパクトがあり、結末に驚きのあるような〈怖不思議面白い〉短編を集めたアンソロジーシリーズです。 作◎岡田貴久子/小川英子/押尾きょうこ/加藤純子/二宮由紀子/乗松葉子/濱野京子/山本悦子/吉野万理子/令丈ヒロ子 絵◎アカツキウォーカー/柴田純代/タカタカヲリ/細川貂々
  • あなたのとなりにある不思議 はらはら編
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 日本児童文学者協会70周年共同企画。人気児童作家40人が、"身近な不思議"を執筆。公募入選者10名を加え、怖い話だけど、最後にはくすっと笑える話、または楽しいお話だと思って読んでいると、最後にぞくっとしたり、感動したりする話など、短いけど、インパクトがあり、結末に驚きのあるような〈怖不思議面白い〉短編を集めたアンソロジーシリーズです。 作◎いとうみく/杉浦永佳/大塚篤子/丘修三/北川チハル/当原珠樹/野原さちこ/藤真知子/三田村信行/宮下恵茉 絵◎アカツキウォーカー/柴田純代/タカタカヲリ/細川貂々
  • あなたのとなりにある不思議 ぞくぞく編
    5.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 日本児童文学者協会70周年共同企画。人気児童作家40人が、"身近な不思議"を執筆。公募入選者10名を加え、怖い話だけど、最後にはくすっと笑える話、または楽しいお話だと思って読んでいると、最後にぞくっとしたり、感動したりする話など、短いけど、インパクトがあり、結末に驚きのあるような〈怖不思議面白い〉短編を集めたアンソロジーシリーズです。 作◎大山きいろ/川北亮司/工藤純子/越水利江子/佐々木ひとみ/那須正幹/緑川聖司/村山早紀/最上一平/よねむらけいこ 絵◎アカツキウォーカー/柴田純代/タカタカヲリ/細川貂々
  • 地中の星―東京初の地下鉄走る―(新潮文庫)
    4.0
    地下鉄を東京に走らせる。〈非常識〉な大事業を決意した早川徳次。経験も資金もゼロだったが、大隈重信、渋沢栄一を口説き、ついに上野―浅草間を開業する。日本初の自動改札機やATSを導入、日本橋三越本店直結の駅も作った。だが、ライバルが現れた。のちの「東急」の五島慶太である。地下鉄の路線をめぐる非情な戦いが始まった……。夢を追いかけた非凡な実業家の波乱の生涯を描く傑作。(解説・酒井順子)
  • 推理大戦
    3.7
    日本のある富豪が発見したという「聖遺物」。 世界的にも貴重なその「聖遺物」を手に入れるため、世界中のカトリックそして正教会は、威信と誇りをかけ「名探偵」を探し始めた。 いったい、なぜ? それは、「聖遺物争奪」のために行われる、前代未聞の「推理ゲーム」に勝利するため。 アメリカ、ウクライナ、日本、ブラジル――。選ばれた強者たちは、全員が全員、論理という武器だけでなく「特殊能力」を所有する超人的な名探偵ばかりだった。つまり、全員が最強。しかし勝者は、たったひとりだけ。 つまり、真の名探偵も、たったひとり――。 世界最強の名探偵は、誰だ?
  • またね家族
    -
    父の余命は3ヵ月。 何者にもなれなかった僕は―― あなたの息子には、なれたのでしょうか。 小劇団を主宰する僕〈竹田武志〉のもとに、父から連絡があった。余命3ヵ月だという――。 自意識が炸裂する僕と、うまくいかない「劇団」、かわっていく「恋人」、死に行く大嫌いな「父親」。 周囲をとりまく環境が目まぐるしく変わる中、僕は故郷の福岡と東京を行き来しながら、 自分と「家族」を見つめなおしていく。 映画、演劇、ラジオなど多岐にわたって活躍する松居大悟が、 不完全な家族が織りなす、歪だけど温かい家族のカタチをまっすぐ描く。
  • 上海迷宮 〈新装版〉
    -
    上海のホテルで殺された大学教授。新宿のマンションで殺された中国人女性。二つの殺人事件に関わってしまった美人法廷通訳・曾亦依は、父の冤罪をはらし、友人の死の真相を知るため、浅見光彦に事件の捜査を依頼する。亦依とともに上海に飛んだ浅見だが、何者かに命を狙われ、その行く手には、見えない壁が立ちはだかる―。外交問題、汚職、黒社会…急激に発展を遂げた煌びやかな国際都市の陰に渦巻く渾沌を掻き分けて、浅見がついにたどりついた、驚くべき真実とは…!?著者渾身の長篇ミステリー。
  • 古事記ワールド案内図
    3.8
    「古事記」の斬新な現代語訳で話題を集め、小説『ワカタケル』で同時代を描いた著者による、古事記入門書。取っつきにくいと思われがちな古事記を分かりやすく魅力的に案内する。
  • ヴァイタル・サイン
    3.9
    現役医師による医療現場エンタメ長編!  女優・貫地谷しほりさんも絶賛! 「人は、人に傷つき、人に苦しみ、でも、人に救われるのだと改めて感じさせられました」  映画「いのちの停車場」やNHK連続ドラマ「ディア・ペイシェント」など、数々の話題作を送り出してきた、現役医師でもある著者が描く医療現場のリアル。終末期の患者が多く入院する病棟で働く女性看護師が数々の試練と向かい合う。決して他人事ではないからこそ目が離せない、医療エンタメ長編!!  患者さんには、最期まで笑顔でいてほしいから――。  二子玉川グレース病院で看護師として働く堤素野子は、31歳になり今後のキャリアについても悩みながら忙しい日々を過ごしていた。患者に感謝されるより罵られることの方が多い職場で、休日も気が休まらない過酷なシフトをこなすが、整形外科医である恋人・翔平と束の間の時間を分かち合うことでどうにかやり過ごしていた。  あるとき素野子は休憩室のPCで、看護師と思われる「天使ダカラ」という名のツイッターアカウントを見つける。そこにはプロとして決して口にしてはならないはずの、看護師たちの本音が赤裸々に投稿されていて……。心身ともに追い詰められていく看護師たちが、行き着いた果ての景色とは。 ※この作品は単行本版『ヴァイタル・サイン』として配信されていた作品の文庫本版です。
  • 半沢直樹 アルルカンと道化師
    4.3
    半沢直樹が絵画に秘められた謎を解く――。 江戸川乱歩賞作家・池井戸潤の真骨頂ミステリー! 明かされる真実に胸が熱くなる、シリーズの原点。 大ヒットドラマ「半沢直樹」シリーズ待望の最新刊、ついに登場! *** 東京中央銀行大阪西支店の融資課長・半沢直樹のもとにとある案件が持ち込まれる。 大手IT企業ジャッカルが、業績低迷中の美術系出版社・仙波工藝社を買収したいというのだ。 大阪営業本部による強引な買収工作に抵抗する半沢だったが、やがて背後にひそむ秘密の存在に気づく。 有名な絵に隠された「謎」を解いたとき、半沢がたどりついた驚愕の真実とは――。 ***
  • 気まぐれキッチンカーで昼食を
    3.7
    第一回次世代作家文芸賞受賞作家による 絶品飯テロコメディ! ようこそ、パズル・マンカンテへ! 極上の料理とクセの強い推理を ご用意してお待ちしております。 就職した会社になじめず 退職し家事手伝いとして過ごす日々。 そんな私を案じた母の勧めで、叔父の営むキッチンカーを手伝うことになった。 しかし、久々に会った叔父さんはクセのかたまり!  メニューは風変わりで気まぐれ。イタリアンのシェフなのに、フレンチ風のルーローハン!?  そのうえ、探偵気取りで 客の私生活を推理したがる――。 厄介なシェフとその姪が織りなす飯テロコメディ!
  • 「東京文学散歩」を歩く
    3.0
    戦前の作家の暮らしの跡や文学作品の舞台となった場所を訪ね歩き、往時を本の中に「復元」した野田宇太郎による『東京文学散歩』シリーズは、1950~60年代に一大文学散歩ブームを引き起こした。本書は『東京文学散歩』から、往年と現在との比較が興味深い個所や、野田の主張が強く見て取れる個所などを紹介しつつ、実際にいまの東京を訪ね歩いて検証。さらに独自のコースも提唱し、新たな散歩の楽しみを提案する。昭和の文学散歩の時代を追体験できる文学ガイドブック。
  • ぎょらん(新潮文庫)
    4.3
    人が死ぬ際に残す珠「ぎょらん」。噛み潰せば、死者の最期の願いがわかるのだという。地方都市の葬儀会社に勤める元引きこもり青年・朱鷺は、ある理由から都市伝説めいたこの珠の真相を調べ続けていた。「ぎょらん」をきっかけに交わり始める様々な生。死者への後悔を抱えた彼らに珠は何を告げるのか。傷ついた魂の再生を圧倒的筆力で描く7編の連作集。文庫書き下ろし「赤はこれからも」収録。(解説・壇蜜)
  • クメールの瞳
    4.0
    邪な心を持つ者に その「瞳」を渡してはならない 乱歩賞作家が描く、時空を超えたトレジャーハント・ミステリー! 預けたいものがある、という電話の二日後に不審死を遂げた恩師。友人の栗原、恩師の娘・夕子と遺品整理をした北斗は、自分にあてた謎のメッセージを見つける。恩師が託そうとしていたものは何か。なぜ、彼は死ななければならなかったのか。真実を追う北斗たちは、やがて「クメールの遺物」をめぐる争奪戦に巻き込まれてゆく。 圧倒的スケールの”秘宝”争奪戦!
  • 侵略者(アグレッサー)
    3.5
    航空自衛隊飛行教導群ことアグレッサー部隊が、正体不明の航空機によって撃墜された。墜落したF-15パイロットの深浦と安田は、見知らぬ男たちに拘束される。彼らは独立国家樹立を目論むラースランドの一員で、そこは最新兵器・クラーケンの中だった! 空域から脱出した同僚の森近らはクラーケンを追い詰めるが……。国籍不明の潜水艦がさまよう先にあるものとは。
  • 降格警視3
    -
    警察庁のエリート警視が謎の理由で降格されて、何の因果か下町の所轄に配属された。町には私人逮捕を生きがいとする正義感溢れるちょっと面倒くさいおやじやら、それを囃し立てて事態をますます混乱させる如何にも下町の住人らしいおっちゃんおばちゃんおねぇちゃんらがうようよ。あらゆる犯罪のデータが脳に詰まっており難事件もすらすらと解決に導くという、本来なら日本の法治を背負っていくべき存在ながら、持ち前の杓子定規な性格とエリートであるが故の世間知らずが災いし、所轄レベルでの犯罪では空回り。それを見かねておせっかいにも舌なめずりしながらしゃしゃり出るのが一癖も二癖もある下町住人たち…。この水と油、雲と泥のようなコラボが、意外や犯罪捜査で数々の大きな成果を獲得。はなは元警視様を侮っていた住民たちも、最近では降格警視殿と一目置くように。今回は「外国人技能実習生」「児童虐待保育園」「就活トラブル」がらみで大活躍!
  • すべての、白いものたちの
    4.1
    アジア初のブッカー国際賞作家による奇蹟の傑作が文庫化。おくるみ、産着、雪、骨、灰、白く笑う、米と飯……。朝鮮半島とワルシャワの街をつなぐ65の物語が捧げる、はかなくも偉大な命への祈り。 ノーベル文学賞受賞! ハン・ガン作品、どれから読んだらいいかわからない……という方には、個人的には『すべての、白いものたちの』をお勧めしたいです。 詩のように淡く美しく、それでいて強く心をゆさぶる名作です ーー岸本佐知子 生後すぐに亡くなった姉をめぐり、ホロコースト後に再建されたワルシャワの街と、朝鮮半島の記憶が交差する。 文庫化にあたり、訳者の斎藤真理子による「『すべての、白いものたちの』への補足」、平野啓一郎による解説「恢復と自己貸与」を収録。
  • 忌怪島〈小説版〉
    3.0
    2023年6月16日(金)公開 清水崇 監督・西畑大吾(なにわ男子)主演 映画「忌怪島/キカイジマ」を完全小説化! 恐怖は、〝村〟から〝島〟へ── バグじゃない! 呪いだ! 絶海の孤島で起こる謎の連続死 現実と仮想が交わり始める時 最恐の呪いが再起動する…… あんたらが見たっちゅう赤い女ね…… そりゃイマジョだよ。 この島が生んで、 こびりついた罪穢れさぁね…… 〈あらすじ〉 同日、同時刻、同じ死に方をした男女 全く別の場所の室内で、2人は海水に溺れて死んだ…… 未だシャーマンが棲む島。 その島でVR研究を行う片岡友彦とチーム「シンセカイ」。 突然のシステムエラー、突如出現する赤いバグ。 シャーマンは語る──「それは〝イマジョ〟じゃ」 交わり始める異世界と現実世界。 瞬く間に島を覆う怪奇と死──。 〝イマジョ〟との関係は? 彼らは謎を解き明かし、生きて島を脱出することができるのか……!
  • 正欲(新潮文庫)
    4.5
    自分が想像できる“多様性”だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな――。息子が不登校になった検事・啓喜。初めての恋に気づく女子大生・八重子。ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。ある事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり始める。だがその繋がりは、“多様性を尊重する時代”にとって、ひどく不都合なものだった。読む前の自分には戻れない、気迫の長編小説。(解説・東畑開人)
  • きみと暮らせば〈新装版〉
    4.1
    だから今日も、 うちに帰ろう。 猫の肉球、ポトフ、あいまい弁当。 幸せのにおいがつまった、兄妹物語。 十年前、陽一の母とユカリの父が結婚し、二人は兄妹になったが、五年前に両親は他界。中三のユカリは義母のレシピ帳を参考に料理し、陽一は仕事で生活費を稼ぎ、支えあいながらの二人暮らし。 ある日、庭先に猫が現れる。二人は猫を飼い主らしき人へ届けに行くのだが――。 のんびり屋の兄と、しっかり者の妹が織りなす、陽の光差すような、猫もまどろむほのぼのあったかストーリー。 その一 猫と兄妹 その二 あいまい弁当 その三 空色の傘 その四 夏のきらめき その五 ポトフにご飯 その六 きみと暮らせば
  • 48 KNIGHTS(フォーティエイト・ナイツ)~もうひとつの忠臣蔵~
    4.0
    忠臣蔵は世界最高の騎士道物語だ――。元禄十四年、赤穂藩主・浅野内匠頭は吉良上野介に対し刃傷、即日切腹の裁定が下る。仇討ちかお家再興か。未曾有の事態のなか、家老・大石良雄の決意は“君、辱められし時は、臣死す”。すでに一命を賭す覚悟だった。良雄を陰で支える“四十八番目の志士”とは!? 史上名高い四十七士の復讐劇を新たな視点で描き切る歴史巨編!(『いとまの雪』改題)
  • 涙流れるままに(上)~吉敷竹史シリーズ15~
    4.5
    1~2巻935~990円 (税込)
    吉敷竹史の元妻・加納通子は、「首なし男」に追われる幻影に悩まされていた。その原因は、数奇な運命に翻弄されてきた自らの半生にあるのではないかと思い至る。過って級友を死なせた事件。婚礼の日に自殺した麻衣子と、直後の母の変死。そして柿の木の根本に埋めたあるものの忌まわしい記憶!? 通子は少女時代に体験した数々の悲劇の真相を探る決心をしたが……。
  • 女神〔テミス〕の教室(上)~リーガル青春白書~
    -
    北川景子が月9初主演のリーガル青春群像劇 フジテレビ系人気ドラマを完全ノベライズ! 目隠しをつけ、片手に剣を持ち、もう一つの手で天秤をかざす女神[テミス]の像――。その姿は、司法と裁判の公正さを表す。剣は力を、天秤は善悪を測る正義を象徴し、『剣なき秤(はかり)は無力、秤なき剣は暴力』だと諭すーー。 司法試験合格を目指し、若き法曹家志望者が日夜研鑽を続ける法科大学院(ロースクール)。 そこに現れた派遣裁判官の実務家教員、柊木雫。彼女がこだわるのは、人々の行動の裏に隠された「なぜ?」。 一癖ある学生たちに、柊木は問いかける。法とは何か? 人とは何なのか?
  • 新任警視(上)(新潮文庫)
    3.8
    1~2巻935~990円 (税込)
    1999年8月。東大法学部卒の25歳新任警視・司馬達(しばとおる)は、とある県警の公安課長を命ぜられた。67人もの部下は年齢も経験も遥かに上。新米指揮官は日々戸惑うばかり。しかも、着任地は日本最大の武装カルト教団「MN」の本拠地だ。はたして来る大晦日までに、教団本部〈教皇庁〉を攻略し、2000年問題に乗じた未曾有の重大テロを封圧(ふうあつ)できるか。国家の安寧を守る公安警察の死闘の日々が始まった。
  • 馬疫(ばえき)
    -
    2024年、欧州での新型コロナウイルス感染爆発により、夏季五輪は再び東京で開催されることに。しかし、五輪提供馬の審査会で突如、馬を狂暴化させる「新型馬インフルエンザ」が発生。開催に向けて、過去に例を見ないウイルスとの闘いに獣医師たちは奔走するが、それが想像を絶するカタストロフィへの幕開けとなるとは、誰にも想像しえなかった――。第24回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。

最近チェックした作品からのおすすめ