トリイ・ヘイデンの作品一覧
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ユーザーレビュー
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面白かった。最後まで読むと話が繋がって行く。たぶん、こうなるんだろうなーという予想はしてた。その予想通りに物語は進んだのはちょっとつまらない。
と思ったけれど、別のストーリーラインで以外な終わり方になった。
そんなわけでネタバレ。無駄に長い。
上巻の感想でも書いたかもしれないけれ
...続きを読むど、再び書く。
主人公は精神科医ジェームズ患者はコナーという男の子。コナーの母親のローラ。
コナーの妹のモーガナ。ローラの頭の中のトーゴン。
さらに下巻では
ローラの恋人(?)ファーガスが登場する。
話は上巻と同じような感じで進む。
現在の話。
・コナーのセッション
・モーガナのセッション
……時々二人まとめてのセッション
・ローラの過去話。
下巻では主にファーガスの話がメイン
・ローラの頭の中のトーゴンの世界『森』
この3つが入り乱れて進む。
他の人のレビューを見ていると、『判らない』というのを見かけた。確かに、この3つが入り乱れていると、話が分かりずらい。
まず、現在の話。
・コナーのセッション
これは上巻も下巻もあまり変わらない。コナーはあまり話さない。それが少しだけ話すようになって「男の人の幽霊が居る(と思ってる)」という事が判る。
この点だけ頭に残しておけば、問題はない。
・モーガナのセッション
これはほとんど頭に残さなくていいと思う。
最後のどんでん返し(?)みたいなもののために、書かれてるだけで話の筋を捉えるためにはほとんど必要ではない。
・ローラの頭の中のトーゴンの世界『森』
これは私の好みで、とても好きだったのだけれども……。物語だけを追うのならば、需要度は下がる。
・ローラの過去話
上巻では子供時代の話が書かれていた。下巻では恋人ファーガスとのやり取りが続いていく。
物語を追うのならば、この過去話が一番重要だと思う。
物語を追うだけならば、『ローラの過去話(特にファーガスとの話)』にコナーのセッションだけで事が済む。『森』の話もモーガナの話も物語の大きな筋には関係が無い。
悪く言えば、詰め込みすぎな話だと思う。あれもこれも書きたくて詰め込んだらこうなった……みたいな。
もしくは、テーマを『現実とは何か』にした結果、『想像の産物』を組み込んで、そこにさらにサスペンス仕立ての謎を突っ込んだらこうなったみたいな。
この話は二つに分かれてしまう。
「コナーは何を知っているのか?」「モーガナは誰と遊んでるのか?」
という謎にそれぞれ
「コナーは現実を知っている」「モーガナは想像の産物と遊んでいる」
という全く別の回答が出てくる。
物語のメインはコナーだと私は思う。
コナーは最初から『現実(主人公たちがいる世界)』で起こる事を言っている。
どんなに怪奇に聞こえても、コナーの言葉は全て『現実』を指している。けれども、それは誰にも信じてもらえない。
それどころか、言葉にして誰かに伝えると「何を言ってるの?」「おかしい」と責められる。だからコナーは話さなくなり、自分の世界に閉じこもる。
コナーは「じゅうたんのしたに男の人がいる」「幽霊がいる」という。
それらは、最終的には事実だったと明かされる。
母親(ローラ)が男(ファーガス)を殺し、捨てたのだ。コナーはそれを見ていて、知っていた。ローラはコナーが小さくて覚えてないと思っていた。
ローラとファーガスの付き合いが過去編で語られている。……結構、うわぁぁぁぁ。と思ってしまう。いや。うん。心当たりがありすぎてね。チャネリングとか天の声とか。
私はそこまでのめりこめなかったけれど、一時期そーいう世界を覗いてみた身としてはなんか「判る」みたいなものがあった。
そして、ファーガスの性格……
普通に考えたらただのストーカーなのに、それを「運命」とか言えるヤバさが怖かった。でも、最初はそれに気が付かないローラの気持ちも何か分かる。みたいな……
色んな意味で「うわぁぁぁぁ」と思いながら読んでいた。
ファーガスは結婚していても、ローラと付き合う。つまり、女なら誰でもいい……と普通は思う。というか、大半の女性がそう感じる。そして大半の女性は誰でもいいなら自分意外とどうぞと思う。けれど、ローラはファーガスと付き合う。
そして、結婚している女性でも自分でもない、新しい若い女の子とくっついているのをみてショックを受ける。
……読んでいる読者としては想定範囲内の内容だ。
そこで別れ話になるだろう……と思ったが、なぜかそれでも付き合い続ける。それもファーガスが「許してくれ」と言ったからだ。
ファーガス、離婚したのか?という突っ込みはどこからも出てこない。
さらには、結婚し子供までいるローラをファーガスは執拗に追いかける。……いや。だから、奥さんどーした?さすがに嫌気がさして離婚になったのだろうか?と思うけれど、そんな話は一切出てこない。
トーゴンの話をあれだけ丁寧に書くのなら、ファーガスの奥さんの話ももう少しだけ出してほしい。そんなわけで(?)ローラはファーガスに襲われて、その恐怖でローラはファーガスを殺してしまう。
……というのが物語の核だと思う。
トーゴンの話と絡めるのならば、トーゴンも男に襲われてその男を殺す。というような点はあるけれど、
トーゴンが殺したから、ローラも殺したのか?と考えるとそれもちょっと違う気がする。
ローラにトーゴンがいなく(感じなく)ても、ローラはファーガスを殺していただろうと思うから。
物語は「コナーの意味不明な言動は、母親のローラがファーガスの殺人を見たせいで起きた」という、とても単純な筋だと思う。
が、ここに物語のテーマ
「現実とは何か」を突っ込むと、上記の物語の筋は脇に追いやられる。
コナーもローラも物語の序章でしかない。
物語のテーマを真ん中に持ってくると、メインに来るのは
「襲われた男との間に授かった子供たち」になる。
トーゴンの子供と、ローラの子供モーガナ。
トーゴンの子供は「ラー、グレート・キャット」
ローラの子供は「モーガナ」
モーガナはローラ夫婦の子供ではなくて、ファーガスとの子供。
で、最後の最後に実はこの二人が「遊んでいた」という事が暴露される。
さて、トーゴンの話は本当に『ただの想像の産物』だったのか?
という疑問で物語は終わる。
トーゴンの子供の名前を忘れていたりすると、最後は意味不明になってしまう。
なぜモーガナが「ライオンキング」と言っていたのかと言えば、たぶんイメージでのやり取りだからではないのかな?と推測する。
『グレートキャット』というものがモーガナには「ライオン」をイメージさせたから、「ライオンキング」になったのでは?と。
コナーは現実(主人公たちが存在している世界)の子供だ。
なぜなら、コナーの父親はとても現実的に物事を考える。その性格を真っすぐに受け継いでいる。だからこそ、現実の事しか言わない。そして、現実のことを言っているのに、否定されてしまった。
コナーには適切な言葉を選ぶ能力が少しだけ足りなかったのかもしれないが、否定された故に世界は閉じてしまった。
一方、モーガナは想像力豊かなローラとチャネリング能力のあるファーガスとの子供。モーガナは現実に存在していながら、向こう側(『森』の世界)を垣間見ている。けれど、それを「言ってはいけない事」だと理解している。だから、普通の子供として存在している。
さて、『現実』とは何か?想像力で見える世界は、いったい何なのか?モーガナは誰と遊んでいるのか?
現実の事を話したコナーは現実を拒絶して、想像(『森』の事)を話さないモーガナは現実を受け入れている。という対比を表しているんだろうなーとは思う。
ただ……その対比のために物語が膨らみすぎていて、疲れた。
ストーリーラインはなるべく一つの方が読みやすい。
タイトルの「機械じかけの猫」はコナーが現実とつながる唯一の手段として出てくる。読み終わると、これもまたチャネリングの一種なのでは?と思ってしまう。コナーは機械じかけの猫(ぬいぐるみや厚紙の猫)を通して、現実に触れる。そうやって現実に合わせる機械(もの)がなければ、現実の世界に居られないくらい現実を拒否していた(もしくは、現実に拒否されていると思っていた)のでは?
コナーが現実を拒否したのは想像の世界が存在しなかったからだ。だからこそ、現実に感覚を合わせるものが必要で、それが「機械じかけの猫」だった。だとするのなら、【想像】は現実に感覚を合わせる「機械じかけの猫」になるのかな。
と、いろんな事を考える。……考えて書いていたら、長くなったのでこの辺りで終わり。
と思ったけれど、最後に気になった文章を。
『わたしはここにいて、日に百万回もトーゴンの名前を口にしているのに、それなのに本物のトーゴンはもはやそこにいないのだということをわかっていすらいなかったのだ。
(略)
いずれそうなると父がいっていたようなことが、わたしにも起こったのだ。次にやってきたのは、ものすごい悲しみだった』
なんとなく…判るような気もする。振り返った時、無くしたものを感じる。遠くまで来てしまったような……とてつもない寂しさと共に悲しみが襲う。当時は分からなかったことが分かってしまう。
それは嬉しい事ではなくて、悲しい事だと思う。
Posted by ブクログ
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戦争を経験して心を傷つけられた女性(母親)を軸に、主人公である娘が振り回される話だった。主人公が自分で動いているように見えて、実は母親に振り回されてる。
ただ、これが『戦争による悲惨さ』なのか、『家族のしがらみ』なのかは分からなかった。
私はどちらかと言えば、『家族のしがらみ』のように見
...続きを読むえた。
母親の経験は確かに『酷い』のだけれども、主人公の娘の視点から見るとそれは『呪い』にしか見えない。だから、『呪い』が解けて物語が終わる。
『呪い(幻影)』が溶けた後の『現実』がどれだけ残酷でも、呪いは解けてしまった。
母親は強い勇者でもなければ、か弱いお姫様でもない。下手をしたら魔女だったかもしれないという現実。
『勇者ではなくて人間だった』程度なら、子供の成長物語で微笑ましいけれど『魔女かもしれない』は結構衝撃的。
もちろん作中にそんな言葉(勇者や魔女)は出てきません。私的解釈です。
『家族のしがらみ』という風に読むと、エグイ。
ただ、表面は『戦争の悲惨さ』でコーティングしてある。
なので、「戦争中にこんな事があったんだ」という視点で見る事も出来る。
この本を読んでる途中で、とある記事のゲーム紹介でその名前を知った。
『レーベンスボルン』
ドイツの優生思想に基づく「アーリア人増殖のための収容所」……ドイツは選ばれた人種を集めて子供を作っていた。
この話自体はずいぶん前に聞いたことがあった。収容所の名前までは覚えてなかったけど。
ただ、イメージとしては『了承した人達(妊娠したい人)を集めた場所』だと思っていた。
「ひまわりの森」では、『強制的に』人が集められ強姦され子供を作らされたという事が書かれている。ラーフェンスブリュックという収容所の名前も出てくるけれど、ここでの事はあまり書かれていなかった。
調べると女性の収容所だったらしい。(一部男性もいたとなってた)
他にも色んな地名・国名が出てくるので、それらを調べてみるのもいいのかもしれない。
地図があれば判りやすいのになと思ってしまった。地名だけでは……それ、どこ?である。
カンザスとかテキサスとかノルウェーのウェールズとか…聞いたことあるような気がするけど、地図として頭には入っていない。
ついでに言えば、主人公は『アメリカ』に住んでいる事になっているけれど、戦争の話はヨーロッパの辺りをあちこち移動する。
…どこまでがアメリカでどこからがヨーロッパの話かが分からない。地図が描けない。全て異国の話だと切り捨てるしかない状況。
さらに言語が複数出てくる。英語はもちろんドイツ語フランス語ノルウェー語。……語学堪能すぎると思ってしまう。
が、それらが、どこで使われている言語なのか。ノルウェーに行って使ってる言葉は何なのか謎だ。
主人公はノルウェー語は未熟となってたのに、なぜか意思疎通が出来てる。つたない言葉で何とか伝えてるんだろうか?
日本語しかできない身としては、複数言語習得してる主人公が空の上の存在だ。
そんな感じで『家族のしがらみ』を除けば、知的好奇心を刺激してくれる作品だったと思った。
Posted by ブクログ
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主人公は精神科医ジェームズ。患者の男の子コナー。コナーの母親ローラ。ローラの頭の中のトーゴン。トーゴンの世界『森』
話は、主人公のいる現実とトーゴンの世界『森』を行ったり来たりする。世界はほとんど交わる事が無く、話が進んでいく……と思っていたのに
ローラが成長したら、少しだけ現実と森が交わった。
...続きを読む
話の核として出て来てるコナーがなんだか、蚊帳の外みたいな感じだなと思った。けれど、最後でローラの話になった。ローラの知り合いが「あの方はあなたのことをもうすべて、̪知ってらっしゃるはずだから」と言う。あの方というのは教祖と呼ばれる人。
コナーは「猫は全てを知っている」と毎回繰り返していた。なんだか、関係あるのかなー?と思った。
ちょっと気になった部分。
「わたしには痛みを感じないために体と精神を分離するという大人の技術をすでに習得した人が見えるのです」
「だれでもときには空想の世界に住みたいと思うものさ、ローリー。でもそれは大人のやり方じゃない」
上のセリフはトーゴンのもの。
自分は大人か子供か迷っている人にかけた言葉。
下はローラが自分の父親に森の世界を説明した後に、父親からかけられた言葉。
父親はローラの言う事を「空想」と切り捨てた。
トーゴンの言葉は一理あるなと思った。確か、成人の日辺りの新聞に「大人って何?」みたいなものが書いてあったけれど
「痛みを感じない人間が大人」というのは、確かにそうなわけで……正確には「痛みを表さない」だけれども。
そして父親の言葉。
「空想の世界に住まないのが大人」
大人の定義って色々あるなと思ったのです。
ローラは「現実とは何?」という疑問を問いかける。その為のトーゴンの物語という事を忘れそうになってしまう。
コナーはどんな現実を見ているのか。コナーの妹のモーガナも現実なのか空想なのか、よく判らない世界の話をする。大人たちはそれを「空想」と決めつける。
特にローラがそれを「空想」と決めつけてしまった事にはちょっと驚いた。
ローラは子供ではなくて、大人なのだと再確認してしまった。
上巻を読んだ限りでは「空想の世界に住む子供」と「現実(だと思っている)の世界を生きている大人」のお話しなのかなと思った。
Posted by ブクログ
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問題を起こす子供が、本人の問題ではなく、本当は虐待や育ってきた環境に大きな原因がある可能性がある。もしかしたらほとんどがそうなのかもしれない。問題を起こす大人も同様なのだ。
Posted by ブクログ
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最後に出てくる、お母さん宛ての手紙に心打たれる。
シーラが母親に執着せず、かといって恨むでも突き放すでもなく、母を想いながらも今は解き放たれて充実な人生を送っているのが伝わってくる。前作に続き、分厚い本を頑張って2冊読んできたことを良かったと思えるラストでした。
Posted by ブクログ
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