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北欧で消息を絶った日本人女性の精神的彷徨。
織物工芸に打ち込んでいた支倉冬子は、一枚のタピスリに吸い寄せられ、魅惑されてしまう。ついにはヨーロッパに留学する決意までした冬子。だが、冬子は、ある夏の日、その地方の名家ギュルンデンクローネ男爵の末娘エルスと孤島にヨットで出かけたまま消息を絶ってしまう。
冬子が残した手記をベースに、生と死、または愛の不安を深く掘り下げた小説となっている。絶対的な孤独の中、日本と西欧、過去と現在を彷徨しながら、冬子はどのように再生していくのか……。
辻邦生が自著『生きて愛するために』で語った「死というくらい虚無のなかに、<地上の生>は、明るく舞台のように、ぽっかり浮かんでいる」という彼の死生観とともに、西欧的骨法によって本格小説を日本に結実させんとした、辻文学初期傑作の一つである。巻末に「創作ノート抄」を併録。
Posted by ブクログ 2023年08月19日
著者初の長編という、ういういしい作品。
物語性があり、文章も精緻を究め、なおかつ淡麗。芸術の芸術たるところを高めて語っている。
構成がちょっとややこしい…(夏目漱石の『こころ』を思いだします)
まず、語り手のあるエンジニアが登場。支倉冬子という若き女性と知り合い、つかのまの交流ののち、突然冬子...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年11月19日
辻邦生 「 夏の砦 」
生命力ある美を創作するまでの 主人公の精神的な遍歴を描いた小説。創作の基本様式が 個性となるまでの心理過程とも読める
精神的な遍歴
*母の作品の世界を 私なり(私の情感を入れて)に完成
*自分の作品にへの倦怠感→様式が意味のない存在
*無名の精神〜職人の虚栄、自惚れ、自意...続きを読む
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