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Posted by ブクログ
日本人全員が読んだ方がいい。
最近よく読む帚木蓬生さんの歴史小説が興味深いものばかりで、今回も内容は知らないまま読み始めた。
タイトルと絵から何度も渡航に失敗しつつ日本に渡った鑑真の話かと予想したが全く違い、強制連行された朝鮮人労働者の話だった。
辛く厳しい話が多いけれども、読み進めさせる力はやはり相当で、特に最後の展開では止まれなかった。
一方、読み終えて今の日本人でこういったことを知っている人はどれぐらいいるのだろうと思った。
自分も聞いた覚えはある程度だけど、私が子どもの頃はまだ戦争が身近だった。
祖父母は戦争を体験していて、8月になると戦争についてのテレビ番組が多く流され、体験者のお話を聞こうというようなこともあった。
そういった環境で、戦争は絶対にダメだという認識を育んだ。
しかし時代が進むにつれリアリティをもって想像できなくなったのか、近隣諸国の言動に対して簡単に「戦争だ!」と言う特にネットの声をよく見るようになった。
ナショナリズムの台頭、右傾化が進んでいるとも感じる。
日本は言論の自由があると言うけれど、国力の低下とともに日本に都合の悪いことは発信しにくくなっているように思う。
そんな今だからこそ、この本を読むことは必要なことだと思った。
過去について都合が悪かろうが正しい認識は必要だ。
知れてよかった。
Posted by ブクログ
良い本を読んだ。久しぶりに電車の中で熱中の余り、降り損ねかけた。
帚木さんのミステリーっぽくない本を探していて見つけたのがこの本。あらすじを見て、テーマが戦時中の朝鮮人強制労働という政治・民族的なものなのでちょっと悩んだが、帚木さんなら冷静に扱うだろうと考え購入した。
前半は戦時下を中心に現代をフラッシュバックで扱いながら進行する。あまりに屈辱的な日本の朝鮮統治、その中で強制労働に徴集される17歳の主人公。連れて来られた日本の炭鉱での過酷な労働。そして搾取・拷問・・・。帚木さんの端正な文章で綴られるその悲惨さは、扇情的でないために却って胸に響いてくる。
一方で日本人炭鉱労働者が差し出す強制労働者への小さな救い。炭鉱を脱走後、逃げる主人公を救う同胞の友情。そして知り合った日本人女性との深い愛。これらが悲惨さの中に適度に入り混じる事により、この物語は救済されている。そして、その為に”決して繰り返してはならない歴史”を素直に認識し、受け止める事が出来るのだと思う。
唯一の不満は最終章の手記。過去の清算ではなく、未来に向けた希望という方向で物語を閉じる方法もあったように思うのだが。
いずれにせよ素晴らしい作品だと思います。
〔5/26追記〕試験が終わったばかりで退屈そうな娘に「読んでみたら」とこの本を渡した。すでに夕方だったが、一晩で読み終え、翌朝「面白かった」と言っていた。私が気になったエンディングも彼女には良かったみたいです。
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