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昭和下町暮らし
昭和はよい時代だったのか? 少女の視点から振り返る、昭和30、40年代の東京下町、庶民と家族の生活史。 著者の森まゆみ氏は、地域雑誌「谷中・根津・千駄木」(通称「谷根千」)の編集人として、地域の生活・文化・歴史を掘り起こし、数多くの貴重な証言を記録してきた。 本書では、自らが「語り部」となり、10代までの体験にもとづき、東京下町(主に、居住した文京区動坂下周辺)での生活を回想。 それは、親子関係も含め、戦前から連続する庶民の暮らしの実相を伝える、少女の視点からとらえた記録となった。 『昭和の親が教えてくれたこと』を全面加筆・改稿のうえ改題した。 -
現代落語論
1965年、29歳の若手真打が著し、 多くの後進に影響を与えた記念碑的作品を、 刊行60年目にして初文庫化。 《談志生誕90年記念企画》 落語の豊かさ、敬愛する名人たちを熱く語る一方、 「現代」に生きる噺家として抱える逡巡、 古典芸能の未来を憂える焦躁も率直に書き尽くした。 全集(2002年)刊行のため書き下ろされた「『現代落語論』、その後」、 今回の文庫化に際し直弟子17人が綴ったエッセイを収録。 目次 その一 落語の豊かな世界 その二 修業時代 その三 噺家と寄席、今と昔 その四 観客と芸人 その五 わたしの落語論 『現代落語論』、その後 付録 三一書房版に寄せられた五代目小さん師による推薦文 三一書房版まえがき 書き下ろしリレーエッセイ 土橋亭里う馬/立川談四楼/立川龍志/立川談之助/ 立川志の輔/立川談春/立川志らく/立川生志/ 立川雲水/立川キウイ/立川志遊/立川談慶/ 立川談笑/立川談修/立川小談志/立川平林/立川談吉 -
ペルソナ 三島由紀夫伝
三島生誕100年・没後55年。 近代日本の官僚制と天才作家の逃れられざる宿命とは―― 樺太庁長官を拝命しつつ不遇の晩年を過ごした祖父。 農商務省で岸信介と同期だった消極的ニヒリストの父。 そして大蔵省をわずか9カ月で辞め、作家に転身した三島由紀夫。 日本の近代化とともに形成された官僚制の暗部と一家の系譜を丹念にたどり、 三島文学の成り立ちと衝撃の自死までの道程を明らかにする画期的評伝。 〈解説〉鹿島茂/井上隆史 目 次 プロローグ 第一章 原敬暗殺の謎 第二章 幽閉された少年 第三章 意志的情熱 第四章 時計と日本刀 エピローグ 単行本へのあとがき 文春文庫版へのあとがき 中公文庫版へのあとがき 参考文献 文春文庫版解説 鹿島茂 解 説 井上隆史 -
天祐は信長にあり
尾張の織田弾正忠家の当主信秀は、小嶋日向守信房の娘・雪を見初め継室とするが、雪は出産直後に儚くもこの世を去るのだった。母の命と引き換えに生を受けた子は吉法師と名付けられる。吉法師は負けん気の強い少年へと成長し那古野城の城主となるが、たびたび城を抜け出しては城下の子供たちを家来にして遊び回っていた。そして、短袴に小袖を羽織り、茶筅髷を赤い紐で結い上げ、腰に巻いた荒縄に瓢箪や袋をぶら下げるなど、奇抜な装いや振る舞いから「大うつけ」と呼ばれるようになる。だが、吉法師の師となる沢彦宗恩や津島の大橋重信など、蛮行の陰に見え隠れする才に気づく人物も。信長の旧臣太田牛一が著した『信長公記』に基づきながら、大胆な発想で信長が本能寺に散るまでを描く大河小説の幕開け! 大人気シリーズ『剣神』の岩室忍が一番書きたかった織田信長の生涯。全八巻、隔月発売予定。 -
昭和の遺書
「遺書」は個人が時代に記す小さな刻印──。 芥川龍之介、太宰治、山本五十六、円谷幸吉、三島由紀夫、石原裕次郎、美空ひばり、昭和天皇といった著名人から特攻兵、戦没学徒など市井の人まで、人物ノンフィクションの名手が昭和の歴史を遺書でたどる。 平成期の遺書を扱った補章を増補した完全版。〈解説〉保阪正康 〈目次〉 中公文庫版まえがき 第一章 テロと不安と憤怒と〈昭和初年~開戦まで〉 芥川龍之介、磯部浅一、北一輝、西田税、小林多喜二の母・セキほか 第二章 前線に散った人々 〈開戦~昭和20年8月〉 特攻の父・大西瀧治郎、戦没学徒・林尹夫、詩人・竹内浩三、山下奉文、山本五十六、今村均ほか 第三章 敗れた国に殉じて〈敗戦前後〉 阿南惟幾、杉山元、東條英機、近衛文麿、甘粕正彦、川島芳子ほか 第四章 戦後の混乱のなかで 〈昭和20年代〉 広田弘毅、山崎晃嗣、太宰治、秩父宮雍仁ほか 第五章 政治の季節と高度成長〈昭和30~40年代〉 樺美智子、山口二矢、円谷幸吉、三島由紀夫、連合赤軍・森恒夫、小泉信三、沢田教一 ほか 第六章 大いなる終焉へ〈昭和50~60年代〉 井上成美、日商岩井常務、日航機墜落事故被害者、石原裕次郎、美空ひばり、昭和天皇ほか 補論 平成の遺書を読む -
私の音楽談義
「音楽というものは、生活のなかにとり入れるものではなく、生活のなかからひきだすものです。」――やわらかい語り口による、クラシック音楽への誘い。 ・芥川也寸志生誕100年記念企画。 ・ロングセラー『音楽の基礎』と並ぶ、クラシック音楽入門書。 ・本書は、楽譜をいっさい用いず、日本人とクラシック音楽の接し方を、平易かつユーモラスに解く。「談義」というに相応しい筆致。 ・「リズム」「旋律」「ハーモニー」など、音楽入門としてのツボは押さえつつも、時折「脱線」する内容が、もうひとつの読みどころ。 ・軽妙な文体とエピソード、喩えの面白さなど、現代音楽作曲家である著者の人柄が垣間見える。エッセイとしての妙味。 〈解説〉片山杜秀 -
戦争童話集 完全版
「あの夏から80年。野坂さんの思いを、私は語り継ぐ」 吉永小百合さん推薦 昭和20年、8月15日―― すべて同じ書き出しで始まるのは、忘れてはならない物語。 空襲下の母子を描く「凧になったお母さん」をはじめ、鎮魂の祈りをこめて綴られた12篇に、沖縄戦の悲劇を伝える「ウミガメと少年」「石のラジオ」を増補した完全版。 野坂昭如没後10年。 【目次】 小さい潜水艦に恋をしたでかすぎるクジラの話 青いオウムと痩せた男の子の話 干からびた象と象使いの話 凧になったお母さん 年老いた雌狼と女の子の話 赤とんぼと、あぶら虫 ソルジャーズ・ファミリー ぼくの防空壕 八月の風船 馬と兵士 捕虜と女の子 焼跡の、お菓子の木 改版のためのあとがき 沖縄篇 ウミガメと少年 石のラジオ -
昭和の名短篇 戦前篇
激動の昭和・戦前戦中期、作家たちはみずからの限界点を見つめながら、文学を愛する人たちの期待に応えようとした。そこから忘れがたい多くの名編が生まれた――。芥川龍之介から中島敦、織田作之助まで現代詩作家・荒川洋治が厳選した全十三篇を発表年代順に収録。解説では昭和の名長篇も紹介する。文庫オリジナル。〈編集・解説〉荒川洋治 【目次】 玄鶴山房/芥川龍之介 冬の日/梶井基次郎 橇/黒島伝治 風琴と魚の町/林芙美子 和解/徳田秋声 一昔/木山捷平 あにいもうと/室生犀星 馬喰の果て/伊藤整 満願/太宰治 久助君の話/新美南吉 コブタンネ/金史良 名人伝/中島敦 木の都/織田作之助 -
女人入眼
第167回直木賞候補作、待望の文庫化! 「鎌倉幕府最大の失策」と呼ばれる謎多き事件・大姫入内。 その背後にあったのは、国の実権をめぐる女たちの政争。 そしてわかり合えない母娘の悲しい過去だった。 「大仏は眼が入って初めて仏となるのです。男たちが戦で彫り上げた国の形に、玉眼を入れるのは、女人であろうと私は思うのですよ」 建久六年(1195年)。京の六条殿に仕える女房・周子は、宮中掌握の一手として、源頼朝と北条政子の娘・大姫を入内させるという命を受けて鎌倉へ入る。気鬱の病を抱え、繊細な心を持つ大姫と、大きな野望を抱き、それゆえ娘への強い圧力となる政子。二人のことを探る周子が辿り着いた、母子の間に横たわる悲しき過去とは――。「鎌倉幕府最大の失策」と呼ばれる謎多き事件・大姫入内。その背後には、政治の実権をめぐる女たちの戦いと、わかり合えない母と娘の物語があった。 -
死の虫 ツツガムシ病との闘い
【序章】聖徳太子の国書に書かれた「つつがなきや」 赤虫、島虫、毛谷/聖徳太子の国書と唱歌「故郷」 【第1章】明治時代――新潟県、秋田県の謎の熱病 死の匂い/助べえ虫、エロダニ/虫掘り医者/虫送り/毛谷明神、毛蝨大明神、島虫神社/恙虫病とつつがなきや/米百俵の長岡藩とツツガムシ病/西洋人医師の現地調査と洪水熱/病原体は悪い空気?/陸軍への陳情/北里柴三郎の参上/コッホの4原則とは/日本沙蝨病研究所/毛蝨大明神、ケダニ地蔵、ケダニのお堂コ/「まなぐ凧」と菅江真澄の記録/人体実験/寝台車の連結/虫医者/野ネズミの耳の中に/思わぬ微生物の発見/4つの研究拠点 【第2章】大正時代――謎の熱病は山形県にも 新開病/北里柴三郎と福沢諭吉と大隈重信/病河原/毛谷医者と毛谷地蔵と松例祭/ケダニ退散調伏祈願/銀時計組/台湾でも/日記に決意表明/防虫白衣/「黒髪と 共に浮世の 欲を断ち」/ヴァルシャウ早きか、病原体早きか/顕微鏡で見えるか、見えないか/病理解剖への住民感情/原虫となす所のものは……/冬の有毒地にて/発疹チフスの猛威/新たな病原微生物の発見/ツツガムシの生活史/ツツガムシの新種発見/秋田での出会い/病原体はリケッチアか?/『蛍草』 【第3章】昭和時代〈戦前〉――病原体は新発見の微生物 ウサギによる累代培養とサル問題/研究室内での感染と殉職/学名命名騒動/殉職の悪夢が再び/恙虫病研究所、虫除不動尊/ワクチンの構想/精神科に協力を求める/秋田でのワクチン接種/熱帯衛生必携 【第4章】昭和時代〈戦後〉――治療薬の発見と日本各地の有毒地 新たな有毒地/インパール作戦とツツガムシ病/富士山麓でのツツガムシ病/学名命名論争の決着/治療薬、遂に発見さる/餌は蚊の卵/人知を超えた受精の方法/八丈デング/八丈島の居酒屋で/土佐のほっぱん/七島熱と二十日熱/全国調査の開始/赤い苔/ツツガムシ、〝息に感ず〟/沙蝨/鬼彈/古典型ツツガムシと新型ツツガムシ/カトー型、ギリアム型、カープ型/日本全国で感染例の報告 【第5章】平成時代――科学と感染症 早期診断法の確立/有毒の家系と無毒の家系/学名の変更/感染症法の制定の中で/アカツツガムシは棲息していた /ダニ媒介の新たなウイルスの脅威 【第6章】令和時代――ツツガムシ病と新型コロナウイルス感染症の共通点 パンデミック/アマビエ、黄ぶな……疫病退散祈願の依り代/コロナワクチン登場と押し寄せる波/コロナ収束も願った「善願の虫送り」/世界初のSFTS治療薬/間に合わなかったツツガムシ病の診断 【終章】「つつがなき」「つつがなく」は変わらず ダーク・ツーリズムとホープ・ツーリズム -
三島由紀夫
激動の昭和を生きた三島由紀夫。その戦中戦後の精神史を描いた「夭折者の禁欲」「三島由紀夫伝」をはじめ、「文化防衛論」批判、さらに三島事件まで、『日本浪曼派批判序説』の著者による三島全論考。松岡英夫、野口武彦との対談を収録。『三島由紀夫論集成』改題。 〈解説〉佐伯裕子 -
江戸川乱歩座談
戦前、孤高の「人嫌い」として知られた作家・江戸川乱歩は、戦後、日本探偵小説界の名ホストとして活躍した。 森下雨村・横溝正史ら雑誌「新青年」の立役者たちから、小林秀雄・幸田文ら文壇の著名人まで――探偵小説の魅力を共に語り尽くす、夢の饗宴! 乱歩の参加した主要な座談・対談をセレクトした文庫オリジナル。 生誕130年記念刊行 〈解説〉小松史生子 【1 座談篇】 ●探偵小説座談会(1929):大下宇陀児/加藤武雄/甲賀三郎/浜尾四郎/森下雨村 ●明日の探偵小説を語る(1937):海野十三/小栗虫太郎/木々高太郎 ●乱歩氏を祝う(1954):木々高太郎/戸川貞雄/城昌幸 ●探偵小説新論争(1956):大下宇陀児/大坪砂男/木々高太郎/角田喜久雄/中島河太郎/春田俊郎 ●文壇作家「探偵小説」を語る(1957):梅崎春生/曽野綾子/中村真一郎/福永武彦/松本清張 ●「新青年」歴代編集座談会(1957):城昌幸/延原謙/本位田準一/松野一夫/水谷準/森下雨村/横溝正史 【2 対談・鼎談篇】 ●E氏との一夕(1948):稲垣足穂 ●幽霊インタービュウ(1953):長田幹彦 ●問答有用(1954):徳川夢声 ●幸田露伴と探偵小説(1957):幸田文 ●ヴァン・ダインは一流か五流か(1957):小林秀雄 ●樽の中に住む話(1957):佐藤春夫/城昌幸 ●本格もの不振の打開策について(1958):花森安治 -
鎮守の森 増補版
日本人はなぜ森に惹かれるのか――? 自然災害や空襲にも耐え、人々を守ってきた鎮守の森は、どのような植物で構成されているのか。なぜ数百年も人の手を借りず生き延びてきたのか。 国内外でその土地ごとの自然環境に応じて成長する「潜在自然植生」を調査し、植樹法を指導して森林の再生を担ってきた植物学の世界的権威が、日本の「ふるさとの木によるふるさとの森」の重要性について解説する。 曹洞宗の板橋興宗師との対談に、哲学者・梅原猛氏との30年越しの対談2篇を増補し、日本のふるさとの森の姿や日本人の精神性について思索を深める。 【解説】中村桂子 -
日本語の論理 増補新版
日本語は本当に非論理的なのか――欧文との構成の違いを不連続の点と線、豆腐と煉瓦でたとえ、その独自の論理性と創造性を明らかにする。一方で、文学偏重の国語教育に対し、抽象論理的な思考に基づく「日本語」教育の重要さを説く。「島国考」、「知識と思考」(講演)を増補。 (目次より) Ⅰ 日本語の論理/日本語と創造性/文章構成の原理/思考の組み立て Ⅱ 日本語の姿/日本語点描 Ⅲ 言語と思考/外国語の学習と思考/アイランド・フォーム/エレガントな対立/外国文化三つの顔/外国語論 Ⅳ 映像と言語/映像と言語の二重文化/不同調の美学 文庫版のあとがき * 島国考 〈講演〉知識と思考 -
がん患者学
肺が胸水に漬かったための背中の鈍痛、深い咳き込み、さらに腹水による膨満感で衰弱の果てに運び込まれた大学病院への緊急入院。赤ん坊の頭大の卵管がん原発巣と、左右の子宮、卵巣、腹膜への播種状の転移が発見され、47歳でがん患者となった著者。検査、手術、抗がん剤治療……。延べ8ヵ月の長い入院暮らしで無数の患者たちの語りを聞き続け、死を敗北として扱う医療現場で彼らが深く傷ついていることを知る。「がん患者としていかにして生きていけばいいのか?」その答えを求め、医療の予測に反して長期生存をとげた18人のがん患者たちを訪ね、克明な体験談を聞いた記録。 -
百万回の永訣 がん再発日記
さわやかな秋晴れの朝、がんが再発。左右両葉の肝臓に、最大5センチ15個の肝転移巣の影が見つかったのだ。5年生存をはたした祝いを受けた、1年半後。誰もが完全治癒を楽観していた6年半前の卵管がんだった。この日から、「試されている。いかに生き、いかに抗い、いかに達観し、いかに諦め、いかに死んでゆくのか、を」と記した著者の彷徨が始まる。絶望と孤独の中から、信じる医師とめぐり合うまで――がん医療のあり方を問い続けた650日の記録。 -
フランス料理の学び方 特質と歴史
フランス料理の普及と人材の育成に全身全霊を傾けた著者が、フランス料理の要点を押さえつつ、料理の歴史と技術の継承、さらに自身の経験を踏まえながら、学ぶ者の心構えについて、わかりやすく説いた幻の論考を初文庫化。巻末に天皇の料理番として名高い秋山徳蔵との対談を収録。 第一章 はじめに 第二章 フランス料理とはどういうものか フランス料理の特質、日本のフランス料理 第三章 実際にフランス料理を勉強する人へ 現地での修行について、言葉の問題 第四章 料理と料理技術の問題 釣 料理技術の継承、技術文化比較論、料理の本質” 第五章 フランス料理史序論 料理の歴史ということ、フランス料理研究書の紹介 料理史研究方法の具体例――ヴアレツトさんの場合 第六章 フランス料理史本論(その一) ギリシア・ローマ時代、古代ローマとフランス料理、中世とル ネッサンス、十七世紀、十八世紀、十九世紀から二十世紀 第七章 フランス料理史本論(その二) ルーの歴史、スープの歴史、アリコ・ドウ・ムトン 第人章 結び 紺談 秋山徳蔵氏とともに 参考書目 あとがき 解説 山内秀文 辻静雄・主要著作紹介 辻静雄・略年譜 -
百鬼園先生と私
私はその頃、百鬼園氏の家の書生であり、学生であり、執事であり、有力な家族の一員であった――自宅へ来る高利貸に応対し、漱石の軸を夫人に買い取ってもらうよう算段をし、佐藤春夫に短篇の紹介を頼む際に同行する。寝食を共にした書生が見た家庭での内田百閒。自宅と別宅の二重生活の様子が綴られる。 巻末に百閒の関連エッセイ・短篇を収録。 (目次より) Ⅰ ドイツ語の歌/代返/内田先生の時間/ゾルフ大使/青春の日/一分停車/晩飯/撫箏の図に題す/卒業論文/腕時計/学期末試験 Ⅱ 『冥途』縁起/砂利場の大将/二本のパイプ/退職金/軸 Ⅲ 大検校の軒/小びとのおじさん 内田百閒作品 予科時代/ゾルフ大使/冥途/大尉殺し/山高帽子 -
中空構造日本の深層 増補新版
空を中心とするとき、統合するものを決定すべき、決定的な戦いを避けることができる。それは対立するものの共存を許すモデルである――日本人の心理を、中空を保って均衡し合う構造とし、西欧の中心へと統合する心理構造との対比で論じる。関連論考「日本神話にみる意思決定」、吉田敦彦との対談「神話と日本人」を増補。 〈解説〉吉田敦彦/河合俊雄 (目次より) Ⅰ 神話的知の復権 『古事記』神話における中空構造 中空構造日本の危機 Ⅱ 昔話の心理学的研究 民話と幻想 「うさぎ穴」の意味するもの 日本昔話の心理学的解明 Ⅲ 現代青年の感性 象徴としての近親相姦 家庭教育の現代的意義 偽英雄を生み出した「神話」 フィリピン人の母性原理 あとがき 旧版解説(吉田敦彦) * 日本神話にみる意思決定 巻末対談「神話と日本人」河合隼雄×吉田敦彦 増補新版解説(河合俊雄) -
シェイクスピア
愛、嫉妬、復讐心、懐疑。悪のどん底までおりていった先に待ち受ける罰と、衝動からの解放――。実生活ではとても生きられぬ激しい人生を生き抜いたという実感を味わう喜びを与え、時代や国を超えて人々を激情の渦に巻き込むシェイクスピアの主要19作品を解題。 日本におけるシェイクスピア翻訳の礎を築いた著者が、定本や改訂についての考証、作品に影響を与えた歴史的背景や先行作品の紹介などを交えつつ、シェイクスピアの天稟の才がきらめく壮大な作品世界を解き明かす。 〈巻末エッセイ〉福田 逸 【目次】 シェイクスピアの魅力 リチャード三世/タイタス・アンドロニカス/じやじや馬ならし/夏の夜の夢/ロミオとジュリエット/リチャード二世/ヴェニスの商人/ヘンリー四世/空騒ぎ/お気に召すまま/ジュリアス・シーザー/ハムレット/マクベス/オセロー/十二夜/リア王/アントニーとクレオパトラ/コリオレイナス/あらし 〈巻末エッセイ〉福田 逸 -
原子力は誰のものか
第二次世界大戦中、ロス・アラモス研究所所長として世界で初めて原爆を完成させ、「原爆の父」と呼ばれたオッペンハイマー。 戦後、原子力委員会のメンバーとなるが、アメリカの水爆開発に反対の立場を表明し、公職を追放された。原爆の父はなぜ水爆に反対したのか? 天才物理学者が全存在をかけて、政治・社会・科学のあり方を問う。〈解説〉松下竜一・池内 了 (目次) まえがき/原子力時代と科学者/核爆発/今日の問題としての原子力/とわられぬ心/原子兵器とアメリカの政策/科学と現代 〈付録〉 オッペンハイマー追放の経過(訳者)/米国原子力委員会事務総長 ニコルズ少将の書簡/オッペンハイマーの弁明/現著者について(訳者) * 文庫版への訳者あとがき * パンドラの箱をあけた人 松下竜一 解 説 池内 了 -
大野伴睦回想録
第一章 生いたちの記 幼年学校に落第・上京 アルバイト・明大入学 イザリになって小説家志願 第二章 青春日記 焼打ち事件で監獄行き 政友会の院外団入り アジ演説でまたも投獄 監獄数え歌 演説会荒らし 「伴ちゃん、えらくなったわネ」 世界一周旅行へ 禁酒国で大酒宴 蔣介石氏夫妻のこと 第三章 陣笠時代 公認返上、クソ喰らえ! 翼賛選挙で落選 原敬首相と私 第四章 恩讐の政界 鳩山先生との出会い ほととぎす、九天高く 吉田首相と私 広川和尚の謀略 吉田さんと喧嘩 吉田退陣劇の内幕 ワンマンの横顔 大臣づくり秘話 池田蔵相の誕生 昭電事件の真相 総裁公選敗戦の記 第五章 戦後傑物伝 政敵三木武吉と握手して 新聞記者と鬼ごっこ 三木さんの思い出 緒方竹虎の風格 西尾末広君との勝負 第六章 忘れ得ぬ人々 快男児・小林徳一郎 「御三家」の思い出 女傑・松本フミ 第七章 私の素顔 待合政治論 仏像物語 虎と私 母のおもかげ 頼みごと 新聞にもの申す 議会政治論 私の句碑 -
命の家 上林曉病妻小説集
これは愛なのか、苦悩なのか……。心を病んだ妻。発病から死に至る足かけ8年、妻を見つめながら書き続けた魂の文学。まさに上林曉を上林曉たらしめた、孤高の私小説集。文庫オリジナル。 ◆上林の妻・繁子は、1939年7月に精神に病を発し、46年5月に死去。8年におよぶ闘病中、3度の入退院を重ねた。この間、上林はひたすら自身と妻をモデルに、私小説を書き続けた。 ◆この8年は、日米戦争を挟む時期であった。3人の子どもたちを郷里の高知に疎開させ、一家は離散。食べるものにも困窮する日々であった。 ◆妻の病は徐々に、しかし確実に蝕まれていった。戦中の栄養失調、行き届かぬ医療、衛生状態の悪化から、視力も失われてゆく。「錠前と鉄格子」のある病院で、妻は孤独に死を待つこととなる。面会も間遠になり、上林が妻の最期を見届けることはできなかった。 ◆本文庫では、過去に刊行された「病妻もの」の収録作を軸としつつ、作品を増補し、発病から死去、そして埋葬に至るストーリーを、さながら長篇私小説としても読めるように構成した。 ◆収録作:林檎汁/夜霊/悲歌/明月記/命の家/風致区/聖ヨハネ病院にて/遅桜/嬬恋い/庭訓/弔い鳥/聖ヨハネ病院にて -
生と死をめぐる断想
序章 死をそばに感じて生きる 團十郎の辞世 死生観表出の時代 自然災害のインパクト どこから来てどこへ行くのか 二つの立場 テクノロジーの進化の果てに 1章 「知」の人の苦しみ 伝統的な宗教の後に 岸本英夫の実践 合理性の納得 頼藤和寛の世界観 はじまりのニヒリズム 「にもかかわらず」の哲学 自由意志の優位と揺らぎ 多田富雄の受苦 人格を破壊から守る サイコオンコロジー 医療の現場で ホスピスとデス・エデュケーション 遺族外来、がん哲学外来 禅の否定するもの 「わたし」を「なくす」 河合隼雄の遍歴 ユング心理学と仏教 切断せず包含 2章 スピリチュアリティの潮流 崩れつつある二元論 オルタナティブな知 理解できないものへの態度 時代という背景 第三の項へ ポストモダンの現象 ベクトルの交わるところ 島薗進の視点 「精神世界」の隆盛 個人の聖化と脱産業化 鈴木大拙の霊性 宗教的でなくスピリチュアル 玄侑宗久との往復書簡 「而今」の体験 「いのち」との関係 潮の満つるとき 海のメタファー 親鸞の絶対他力 生死の中で生死を超える 日本的発現 ゆりかごとしての風土 3章 時間を考える 代々にわたり耕す 柳田国男の「先祖」 個体から集合体へ つなぐラフカディオ・ハーン 田の神と山の神 時代からの問い 四つの類型 折口信夫の「海の他界」 野という中間地帯 身近な行き来 かのたそがれの国 うつし世、かくり世 帰ってゆく場所 先祖の時間 線をなす時間 層をなす時間 輪をなす時間 自然との親和性 季語のはたらき、リズム 津波を詠んだ句 山川草木悉有仏性 「衆生」の範囲 貞観地震と津波 暴れる国土 山川草木悉有神性 瞬間瞬間にふれる 不動の中心 技法としての行 色即是空 井筒俊彦による視覚化 縁起という実相 根源のエネルギー 式年遷宮 「木の文明」 生の造形 宣長の「悲し」と「安心」 -
まだ出会っていないだけ
会員になれば3ヵ月で結婚できる――そんな評判を耳にして、東京青山の一等地に事務所を構える「スマイル結婚相談所」に、今日も男女が訪ねてくる。食品メーカー広報(30代女性)、洋酒メーカー勤務(30代男性)、家事手伝い(20代女性)、医薬品研究者(30代男性)など多種多様……。「人生は笑う練習」が信条の44歳社長・岸本達也は、34歳のスタッフ・葉山希とともに、彼らの「運命の出会い」をサポートできるか!? 『私が結婚をしない本当の理由』改題。 【目次】 第一章 一日目~三〇日目 第二章 三一日目~五八日目 第三章 六一日目~八九日目 エピローグ -
サバイバル家族
「俺は今後できるだけ庭でウンコする」 サバイバル登山家と型にはまらぬ家族たちが都会の片隅で狩る・飼う・捌く! いきなり野糞宣言する父、大ネズミの唐揚げを作る母、長男は受験失敗、次男のニート化、可愛いニワトリを絞める末娘……服部家の行く末は? 日常の悩みを撃ち落とす爆笑繁殖エッセイ 〈巻末付録〉角幡唯介との対談「探検家の家族はつらいよ!?」 -
廉太郎ノオト
廉太郎の頭のなかには、いつも鳴り響いている音があった―― 最愛の姉の死、厳格な父との対立、東京音楽学校での厳しい競争、孤高の天才少女との出会い、旋律を奏でることをためらう右手の秘密。 若き音楽家・瀧廉太郎は、恩師や友人に支えられながら、数々の試練を乗り越え、作曲家としての才能を開花させていく。そして、新しい時代の音楽を夢みてドイツ・ライプツィヒへと旅立つが……。「西洋音楽不毛の地」に種を植えるべく短い命を燃やした一人の天才の軌跡を描き出す。 時代小説家最注目の俊英が、ついに新境地・明治へ! 第66回青少年読書感想文全国コンクール課題図書(高等学校の部) -
赤ちゃんポストの真実
慈恵病院(熊本市)が開設した「赤ちゃんポスト」は“命を救う”という理念のもと、理解を広げてきた。だが、実際の運用は想定外の連続である。2023年3月までに預けられた170人。そのうち病院が想定した早期新生児は76人。残りの約半数が、ある程度育った赤ちゃんだった。開設第一号は3歳児だ。障害児や外国人の赤ちゃんもいる。出産状況が分からないため医療者の負担も大きい。育った子は「出自を知る権利」を持ち合わせていない。さらに同病院は19年末、妊婦が匿名のまま病院で出産できる「内密出産」も導入した。そして近年では、別の団体が新たなポスト開設の構想まで公言し始めている。開設されて16年――赤ちゃんポストが日本社会に問いかけたものとは何か?「命」を巡るノンフィクション。 文庫化にあたり、慈恵病院が新たに始めた内密出産の現状や、関西、北海道、東京でポスト開設を試みる人々への取材など、近年の動向を大幅加筆。 -
ラバウル戦線異状なし 現地司令長官の回想
ガダルカナル撤退後、最前線基地の防備と航空戦の継続という使命を負った草鹿は、補給が途絶えても破損機を修理して航空戦を展開、食料と生活必需品、さらには火薬や魚雷までを自力で生産する。また敬愛する山本長官の戦死、陸軍との友好関係が描かれる。巧みな人材登用によって終戦までを自給自足で戦い抜いたサバイバル戦記。 以下目次 1 まえがき(戦況のあらまし) 2 明朗豁達一意邁進 3 陸海軍の協同戦線 4 火山研究所と科学者の良心 5 嗚呼山本元帥 6 南東方面艦隊の歌 7 武功抜群 8 漂流記 9 気象観測 10 民政部の人々 11 洞窟生活(陣地構築) 12 施設作業の苦労 13 いかもの食い 14 現地自活 15 兵器類の製造 16 教育訓練の問題 17 医務衛生のはなし 18 珍客待てども来らず 19 輸送潜水艦の労苦 20 鼠輸送、蟻輸送 21 ラバウル海軍航空隊 22 終戦の憾み -
広島風土記
慣れ親しんだ鞆ノ津の釣場、尾道で訪ねた志賀直哉の仮寓、ひとり耳にした平和の鐘の音、「黒い雨」執筆の頃、母親のこと――。広島生まれの著者が綴った、郷里とその周辺にまつわる随筆十七篇、小説「因ノ島」「かきつばた」、半生記などを収める。豊かな海山や在所の人々へのあたたかな眼差しがにじむ文庫オリジナル作品集。〈解説〉小山田浩子 目次 Ⅰ 広島風土記/志賀直哉と尾道/尾道の釣・鞆ノ津の釣/因島半歳記/鞆ノ津/鞆は生き慣れた釣り場/消えたオチョロ船/大三島/大三島の樟の木/備前牛窓/ふるさとの音/備後の一部のこと/故郷の思い出/備南の史蹟 * 因ノ島(小説) Ⅱ 疎開日記/疎開余話/在所言葉 * かきつばた(小説) 『黒い雨』執筆前後(談) Ⅲ おふくろ/半生記(抄録) -
海軍こぼれ話
自ら海軍に進んだ著者が、提督三部作や『軍艦長門の生涯』には書けなかった海軍を、実体験や取材メモをもとに綴ったエッセイ五〇篇。海軍軍人のスマートさだけではない蛮勇・武勇伝・失敗談や、軍隊の悲惨さ愚かさから潜水艦のトイレ事情まで、人間味たっぷりに描く〝わがネイビー賛歌〟。単行本未収録の講演録「日本海軍の伝統と気風」を増補。 「ネイビーはスマートネスを以てモットーとする」陸軍とちがい敵性国語廃止などと野暮なことは言わなかったけれど……(「青春の旅立ち」) 制服の海軍士官は雨の日でも傘をさすことを許されていない。外出中にわか雨にあったらどうするか? 中尉はこう教わった。「ゆっくり濡れてこい」(「なぜ負けた」) 「お前は何故海軍を志願したか」「はいッ、陸軍がきらいだからであります」試験官の中佐がニヤッとした。(「人のいやがる軍隊に」) 【目次より】こぼれ話の始まる話/青春の旅立ち/なぜ負けた/カールビンソン/仰ぐ誉れの軍艦旗/サセコイ/へんな英語/ヘル談哀話/まあうれしい/艦長自ら操艦しつつあり/人殺し/軍人勅諭/よく学びよく遊び/町人服/大蔵省は海軍省/泥水すすり草をかみ/気ヲツケラレマス/人のいやがる軍隊に/六ツかしござる/ドナウ河の水深/靴磨き海軍/見て地獄/次元が低い/逆ごよみ/ミッドウェー/われらが知性/乱数表/腐れ士官の捨てどころ/坊さんパイロット/海軍馬鹿/ネルソンと東郷/親英派と親独派/罐焚き/侯爵の植木屋/文壇海軍見立て/航空母艦の幽霊/公用特急券/少将の墓/海軍士官とフランス語/狸の親ごころ/ロイヤル・サルート/オモチャの造船所/海軍糞尿譚/満艦飾/遺骨還送/女たちの大東亜戦争/ラッタルはかけあし/考課表/日付変更線/こぼれ話の終る話/講演録「日本海軍の伝統と気風」 -
迷い猫あずかってます
ある日作家の自宅に迷い込んできたオスのトラ猫。ほどなく、作家と画家の姉が住むその家で飼われることになった。トラーと名づけられたその猫の自由かつ奔放な振る舞いと、それに振り回される二人の人間。猫愛の深みにもだえる日々を綴った、究極の猫エッセイ。トラーの死とその喪失を綴った3篇を増補した決定版。 〈解説〉桜井美穂子 【以下、本文より】 トラーの好物は平貝、タコ、赤貝、アオヤギと小岩井ヨーグルト・グルメファン(四〇〇g入り三八〇円)と焼いりこ(小魚を特殊製法で薄くパリパリに圧縮引きのばした、人間用のおつまみ。ちいさいのりの丸缶くらいの大きさで八八〇円)で、クール宅急便で取り寄せる魚では、メバル、カレイ、キス、ウマヅラハギ、アジが好きだけれど、なんといっても夢中になるのは甘エビで、これは伊勢エビなど無視するほどの大好物で十二匹はペロリとたいらげてしまう。猫などにこんな贅沢をさせていいのだろうか、と反省もするけれど、道で顔をあわせると、ン、グググ、と走り寄ってきて頬をこすりつける姿を見ていると、ヨシヨシ、冬には羽ぶとんを買ってやるからね、トラーちゃんは鳥を捕らえるの好きだから、などと、わけのわからない論理で甘やかすことに決めてしまう。 -
崖っぷち芸人、会社を救う
雇用条件 給料は準社員待遇(月給二十万円 社会保険完備) 勤務内容:売場での通常勤務、催事スペースでのライブ出演 休暇:週休二日制 オーディション休暇あり スーパー・エブリの社員・樫村栄治に社長から与えられた指令。それはバイトのお笑い芸人たちで「実業団」を結成し、ブレイクさせること!? 初めはやる気ゼロだった栄治もお客さんの笑顔を見て次第に気持ちが変わっていく。そんな最中、エブリ上層部に会社乗っ取りの動きが。経営存続の如何は芸人たちの手に託された! 夢と現実の間で悩むすべての人に捧ぐ感動作。 『夢は捨てたと言わないで』を改題 笑いには、敵を味方にする力がある。 笑いには、人をひとり救う力がある。 そう。おもろいは、正義だ! -
渇望 女たちの終わらない旅
年齢に、どこまで抗えるのか、抗うべきなのか? 五十路の坂を迎えようとするなか、「性」の歓びを知った女たち26人の証言から綴った、衝撃のレポート。 -
完本 麿赤兒自伝 憂き世 戯れて候ふ
その芸術表現を高く評価される、世界的舞踏家・麿赤兒。唐十郎の状況劇団に参加し、喧嘩に明け暮れたアングラ時代から、土方巽に師事し、舞踏集団「大駱駝艦」を立ち上げ、国内外に「舞踏」を知らしめた現在までをユーモアを交え熱く綴る半生記。巻末に大森立嗣(映画監督)、大森南朋(俳優)、二人の息子との鼎談を収録。 -
九十歳、イキのいい毎日
陽気は美徳、陰気は悪徳を信条に九十八歳の天寿を全うした小説家・宇野千代。毎日、机の前に座り、食事を作り、週に一日だけ大好きな麻雀に興じる。八十三歳から最晩年まで、前向きでイキのいい毎日を綴った随筆選集。「私の文章作法」「私の発明料理」も収録。〈巻末付録〉瀬戸内寂聴/藤江淳子 【目次】 暮しの中の私(83歳~90歳) 暮しの中の私/私はいつでも忙しい/ちょっとイカス話/私の晩年/嬉しさ余って大狼狽/私の昭和史とは 愉しい好きなことだけを(90歳~97歳) よい天気/自慢の種がひとつ減った/私はぞっとした/私はしあわせ、昔もいまもこれからも…/陽気は美徳、陰気は悪徳/この秋で私は満九十一歳/私は夢を見るのが上手/愉しい好きなことだけを/気に入った笑顔/人生とは、行動すること/欲望の整理/ごく自然に/待つことの人生/私と麻雀/好きな人が出来たときが適齢期/自然だけではなく人間も変った/天狗久と私 私の文章作法 小説は誰にでも書ける/文章を書くコツ/気持のよい文章 私の発明料理 巻末付録 弔辞(瀬戸内寂聴)/宇野千代と歩いた花吹雪人生36年(藤江淳子) -
綴る女 評伝・宮尾登美子
『櫂』『陽暉楼』に『天璋院篤姫』。逆境を生き抜く女性を描き、一世を風靡した国民的作家・宮尾登美子。実父との軋轢、二人の母 への想い、壮絶な満洲の記憶に、借金に苦しんだ下積み時代。作品世界に惚れ込み、先輩作家としても慕い続けた著者が、その波瀾万 丈な生涯を新たな視点で辿る。〈解説〉綿矢りさ 【目次】 前書き 第一章 誕生会 第二章 ある噂 第三章 富田屋の跡 第四章 南国 第五章 同級生 第六章 学歴 第七章 『櫂』の世界 第八章 農家の嫁 第九章 二人の母 第十章 兄と妹 第十一章 満洲の少年 第十二章 『朱夏』の村 第十三章 テレビ出演 第十四章 借金二人三脚 第十五章 事 業 第十六章 家 出 第十七章 再婚 第十八章 太宰治賞受賞 第十九章 直木賞 第二十章 映画化 第二十一章 女流作家たち 第二十二章 きのね 第二十三章 最後の小説 第二十四章 帰郷 最終章 続・仁淀川 解説 「綴る女」を綴る女 綿矢りさ -
茶の湯 わび茶の心とかたち
第一章 わび茶の創造 特異なる文化 孤独な茶の湯 日本文化の特殊性 日本と朝鮮 千利休の位置 にじり口と廻しのみ にじり口の誕生 廻しのみ 第二章 中世からの離脱 茶会の構造 『喫茶往来』 切りすてられた後段 茶会の空間 市中の山居 露地のふるまい 籠る なぜ点前か 点前か手前か 亭主と客の空間 茶立人から亭主へ 第三章 茶人のふるまい あぐらから正坐へ 混みあう茶会 片膝とかしこまる あるきかたの源流 あるく文化 練りあるく 地に足がつく 茶人のすがた 客の心得 新シキガヨシ 茶名と十徳 仮りの名前 十徳とは何か 第四章 茶会の趣向 趣向の成立 ハプニング 淋間茶湯 『祭礼草紙』の問題 風呂のあがりや 風流・やつし・見立て 風流 やつしの美 利休の趣向 付合と見立て 季節感の登場 時候のあいさつ 茶会のなかの季節 ばせを忌に薄茶手向くる寒さ哉 第五章 わび茶の周辺 茶筅の歴史 茶筅のおいたち 王服茶筌由来記 茶筅の民俗性 茶屋の歴史 煎じ物売り 檜垣茶屋 利休亡魂 史料による茶の歴史 -
黒真珠 恋愛推理レアコレクション
果てしなくくりかえされる愛憎。反転する虚実。そして待ち受ける驚愕の結末――。 騙りの巨匠の大技が冴え渡る、これまで単著未収録だった貴重な恋愛×ミステリ短篇14篇を初書籍化。 文庫オリジナルアンソロジー、没後十年刊行。 解説=浅木原忍 【目次】 Ⅰ/短篇 黒真珠(1990) 過剰防衛(1982) 裁かれる女(1996) 紫の車(2008) ひとつ蘭(1997) 紙の別れ(1998) 媚薬(1994) Ⅱ/掌篇 片思い(1993) 花のない葉(1994) 洗い張り(1988) 絹婚式(2000) 白い言葉(1996) 帰り道(1996) 初恋(1996) -
数学と人間
「近ごろ数学がいろいろの所に顔を出すようになって、数学ぎらいの人々を困らせたり、うんざりさせているようだ。この本はそういう人々のために書いたいくつかの文章を集めたものである。どの文章も数学とはそれほど恐いものでも、また人間ばなれしたものでもなく、ただの人間たちが、何千年も昔から、寄ってたかってつくりあげた、きわめて人間くさい学問なのだ、という立場から書かれている。」(あとがきより) 数学の歴史や、数学のなかのいくつかの典型的な概念について、また、子どもも親もセンセイも悩ませる「集合」についてなど、平易でありながら本質的な数学論が語られる一冊。 『数学は変貌する』を改題、「数学と人間」「現代社会と数学の役割」「文科のための数学」の三篇を増補し、〈弔辞〉大岡信、〈追悼エッセイ〉森毅「異説遠山啓伝」を収録。 【目次より】 プロローグ 数学とはなにか 数学は変貌する――古代から現代まで 古代の数学 中世の数学 近代の数学 現代の数学 連続と不連続 数学の方法 分析―総合の方法 等質化の方法 操作的方法 「集合」おそるるにたらず 数学と人間 現代社会と数学の役割 文科のための数学 あとがき 弔辞(大岡信) 異説遠山啓伝(森毅) -
新編 散文の基本
短篇は他のどんなジャンルよりも発想や展開において、また構成や叙述において自由で柔軟なものだ――。「私の文章作法」「短篇小説論」を中心に日本語論、自作解説を増補した新編集版。『短編小説礼讃』の著者による小説作法の書。巻末に荒川洋治との対談「短篇小説を語る」を収録する。 〈解説〉荒川洋治 【目次】 *=新収録 Ⅰ 私の文章作法 書くということ/待つ・聞く・書く/好きな言葉/散文の基本/小説を超えるもの*/不朽のジャンル/「僕」の問題*/うらぎる言葉*/幼年の文学*/土地の感覚*/小説と年齢* Ⅱ 日本語について ニュアンスについて*/昔の言葉/いい文章*/淋しい文章/私の国語問題/読書会にて/読者への手紙 Ⅲ 短篇小説論 短篇作者の仕事/贋の首飾り/チェーホフの星/チェーホフの現在/日本語のルナール/国木田独歩がいた町で/おのずからの形式/短篇小説の青春*/陳腐な運命/芥川龍之介の短篇/真剣な遊戯/三浦哲郎氏の短篇/猫のいる短篇/私の処女作*/父をさがす子*/『自転車』のこと*/短い形式* 対談 短篇小説を語る* 荒川洋治×阿部昭 解説 荒川洋治 -
作品集 講釈場のある風景
漱石・荷風ら文豪が愛した高座の空気。小島政二郎が筆をふるった芸人の生きざま。談志がかきくどく名人たちへの思慕。寂聴が小説に描いた古老の語り口――講談専門の寄席「講釈場」をめぐる明治から昭和期の随筆、小説を集成したオリジナルアンソロジー。 〈対談〉神田伯山・長井好弘 目次 第一部 随筆 講釈場のある風景 『硝子戸の中』より 夏目漱石 『日和下駄』より 第七 路地 永井荷風 築地草 永井荷風 鴎外、漱石、荷風と講釈 有竹修二 席亭の風景 有竹修二 八丁堀一夕話 有竹修二 講釈を語る 講談はどこが面白いか 小島政二郎 釈場通い 小島政二郎 三代目神田伯山のこと 有竹修二 講釈師たち 立川談志 第二部 小説 世話物 小島政二郎 一枚看板 小島政二郎 花野 瀬戸内寂聴 著者略歴 本書に登場する主な講談師たち 巻末対談 あのころの客席から講談の未来が見える ――明治、大正、昭和の講談ファンが語り継いできたもの 長井好弘×六代目神田伯山 人名索引 -
台湾鉄路千公里 完全版
一九八〇年、『時刻表2万キロ』の著者は全線乗りつぶしのため台湾へと向かった。戒厳令下で日本人観光客は団体ツアーばかりの当時、阿里山鉄道を筆頭とする狭々軌鉄道や、開通したばかりの超特急、砂糖会社線などを八日間で乗り尽くす。その後の八三年、九四年の全島一周達成の紀行を増補した著者台湾紀行の完全版。〈解説〉関川夏央 (目次より) 台湾鉄路千公里 1 一九八〇年六月二日(月) 桃園国際機場/台北車站/自強号、往高雄/空襲警報時旅客須知 2 六月三日(火) 莒光号餐車/対号特快車/阿里山森林鉄路/呉鳳旅社 3 六月四日(水) 台糖公司虎尾総廠路線/集集線/海線、山線、循迴追分線/台中柳川西路 4 六月五日(木) 東勢線・内湾線/淡水線・新北投/台北夜場 5 六月六日(金) 濂洞・侯硐・菁桐/嶮路北迴線/花蓮新站 6 六月七日(土) 花蓮港/太魯閣峡/狭々軌特急、光華号/台東市 7 六月八日(日) 公路局公共汽車、金龍号/屏東線、東港線 終 章 あとがき 台湾鉄路千百公里 台湾一周二人三脚 台湾一周、全線開通 解説(関川夏央) -
ロシア的人間 新版
今やロシアは世界史の真只中に怪物のような姿をのっそり現して来た――。千変万化するロシア国家の深奥にあって、多くの人を魅了する魂のロシアとは何か。プーシキンからドストイェフスキー、チェホフにいたる十九世紀の作家たちの精神を辿りつつ、「ロシア的なるもの」の本質に迫る。 〈巻末エッセイ〉江藤 淳〈解説〉佐藤 優 目 次 序 第一章 永遠のロシア 第二章 ロシアの十字架 第三章 モスコウの夜 第四章 幻影の都 第五章 プーシキン 第六章 レールモントフ 第七章 ゴーゴリ 第八章 ベリンスキー 第九章 チュチェフ 第十章 ゴンチャロフ 第十一章 トゥルゲーネフ 第十二章 トルストイ 第十三章 ドストイェフスキー 第十四章 チェホフ 後記(北洋社版) 後記 井筒先生の言語学概論 江藤 淳 解説 佐藤優 -
漱石の白百合、三島の松 近代文学植物誌
漱石の『それから』に登場する白百合はテッポウユリかヤマユリか。植物オンチと言われた三島由紀夫の卓越した草木の描写を挙げてその汚名をそそぐ。鏡花、芥川、安部公房ら、広大な文学作品の森に息づく草花を植物学者が観察。新たな視点で近代文学を読み解く。 『漱石の白くない白百合』を改題 〈解説〉大岡玲 (目次より) Ⅰ 漱石の白くない白百合/描かれた山百合の謎/『金色夜叉』の山百合/白百合再考 Ⅱ 『虞美人草』の花々/朝顔と漱石/毒草を活けた水を飲む事/泉鏡花描く紅茸/「ごんごんごま」とは?/ごんごんごまの本名/クロユリ登場/芥川の心象に生えた植物 Ⅲ 三島由紀夫と松の木の逸話/再説三島と松の木の逸話/洋蘭今昔/志賀直哉と藤の巻き方/スイートピーは悲しみをのせて/『デンドロカカリヤ』異聞 Ⅳ 関東大震災でカビた街/小説とチフスの役割/小石川植物園を読む/三四郎池の植物散歩 あとがき/文庫版あとがき/〈解説〉大岡玲 作品名索引 -
新編 閑な老人
放蕩と極貧生活を送った元破滅型文学青年。歳を重ねてからは、草木を愛で散歩を趣味とし、寒くなれば冬眠する。人はいつ死ぬかわからない、だからこそ生きているだけで面白い――生死の境を彷徨い「生存五ケ年計画」を経て辿り着いたこの境地。「暢気眼鏡」の作家が“閑な老人”になるまでを綴った、文庫オリジナル作品集。〈編集・解説〉荻原魚雷 目次 Ⅰ 五年 祖父 退職の願い 約束 狸の説 片づけごと 苔 閑な老人 歩きたい 上高地行 Ⅱ 相変らず 厭世・楽天 古本回顧談 気の弱さ、強さ 文学と家庭の幸福 運ということ 老後の問題 核兵器――素人の心配 明治は遠く―― わが家の男女同権 戦友上林暁 生きる
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