竹西寛子の一覧
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ユーザーレビュー
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タイトルは宮島で陰暦6月17日に行われる管弦祭からとられているが、それは小説の末尾にのみ現れ、それまでの回想の物語に対する鎮魂歌となっている。小説全体は有紀子を一応の主人公としつつも、彼女の周縁のさまざまな人々の戦中、戦後史が編年体風にではなく、自由な時間軸の中で語られてゆく。特に戦前、被曝前の広島
...続きを読むの地名が限りない愛着のもとで語られるが、そこに共感できれば(たとえ広島の地を知らなくても)しみじみとした物語として受け止めることができるだろう。これというプロットがないのだが、そこがまたこの小説の価値なのだ。
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ずっと前から気になっていた作品。
選び抜かれたような日本語が心に響きます。
最後の章の幻想的な管絃祭の描写が悲しみを一層深くします。
大切な人と厳島神社、そして管絃祭を一緒に見に行こうと思います。
Posted by ブクログ
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淡々と綴られる人々のことばやしぐさの連続に心を打たれる。それがあるとき突然、不連続になることの苦しみ。簡単に不連続になる、というより、連続することを閉ざされた、止められた、といってよい。止められた恨み、止められたと思ったら、そうではなくて、続いていかされる生のなかで、生きろ、と無理強いされる苦しみ。
...続きを読む「苦しみ」と書いてみるのは簡単だが、その心持ちがわかるためにどうしたらいいのだろうか。ただ毎日が何もなくすぎていくことの重みを考えよう。
Posted by ブクログ
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竹西寛子 「 式子内親王 」 新古今集の代表的歌人 式子内親王の評伝。
斎院(賀茂神社の神事を司る皇女)の神性を 式子内親王の人間像の入口として、歌に現れる「雪の玉水」や「夢」に 式子内親王の心象世界を見い出そうとしている?
藤原定家との恋愛感情や忍ぶ恋に踏み込まず、父 後白河院との死別に歌の
...続きを読む転換点を見出した点は、著者の他の評伝「山川登美子」と共通している。死を主題とした山川登美子に対して、式子内親王は 人生の儚さを主題にしているように感じる
著者が 式子内親王の歌を評した「静中の動」や「動の相」という言葉がいまいちピンとこない〜静かに動き続けている という意味と思うのだが、式子内親王の叙景的な歌は絵画的ではあるが、動いている感じはしない
見しことも見ぬ行末もかりそめの枕に浮ぶまぼろしの中
*前小斎院御百首〜斎院生活の中に内親王の自己形成が見られる
*内親王の非行動性、独白好み、運動の相に対する鋭敏さ、夢幻的な存在感
*まぼろし=幻影〜人生を幻と見た
*すでに見てきた現実も、まだ見てない現実も、かりそめの枕に浮かぶ幻
*まぼろしの中のかりそめ=二重の間接法
*この世の事物の定めのなさ、運動の途中でしかない人生
浮雲を風にまかする大空の行方も知らぬ果ぞ悲しき
*前小斎院御百首
*内親王が多用する「まかす」「行方も知らず」が同時に使われている
*形而上的な観念性を重んじている
斧の柄の朽ちし昔は遠けれどありしにもあらぬ世をもふるかな
*新古今集〜後白河院の挽歌
*ありしにもあらぬ世に生きる〜院と死別した自分は、かけはなれてしまった世に、虚しい歳月を数えている
山深み春とも知らぬ松の戸に絶え絶えかかる雪の玉水
*透明な複雑さが、音の波のようにひろがり続ける
*具体的な世界の部分を的確に示そうとする冷たい情熱が、部分を全体に関連づけようとする
*静中の動としての玉水の動きが鮮烈〜徹底的な観照
*絵画的色彩的な叙景歌
*移りゆく自然の姿を見ることに徹すれば、おのずと世界の秩序が見えて来る
しづかなる暁ごとに見渡せばまだ深き夜の夢ぞ悲しき
*新古今集
*深き夜の夢=煩悩の夢、この世の迷い
はかなしや枕さだめぬうたたねにほのかにかよふ夢の通い路
*ほのかにかよふは、動の相特有のもの
*夢幻のはかなさにまとめられているための余情のみずみずしさ
*闇に誘われ、闇に親和する人間への悔いと怖れを 深い夜の夢に託した
窓近き竹の葉すさぶ風の音にいとどみじかきうたたねの夢
*新古今集
我が恋は知る人もなしせく床の涙もらすな黄楊の小枕
忘れてはうち歎かるる夕べかな我のみ知りて過ぐる月日を
*新古今集
玉の緒よ絶えなばたえねながら忍ぶることの弱りもぞする
*新古今集
Posted by ブクログ
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竹西寛子 「 山川登美子 」 明治時代の女性歌人の評伝
人生の紆余曲折を歌に変換している感じ。著者は 山川登美子を 死と直接向き合っている挽歌歌人とし、式子内親王の系譜として位置づけている
人生の紆余曲折
*上流階級に生まれ、厳格な女学校に通ったお嬢様
*与謝野鉄幹、与謝野晶子との愛憎
*結
...続きを読む婚、夫の死を経て 女子大入学
*父の怒りと 女子大退学
*父の死や自分の死と向き合う日々
父と死別後、数ヶ月で自身も亡くなったとのこと
辞世の歌は印象的
父君に召されていなむとこしへの春あたたかに蓬莱のしま
*辞世の歌
*亡き父と蓬莱の島で共生を願う
名言「求める人に容易に逢えないのも人生なら、偶然に近い好機から自分でも思いがけない自己開発に進むのも人生」
君は空にさらば磯回の潮とならむ月に干て往ぬ道もあるべき
*夫と死別した妻の悲しみ
*潮の満干は月の満ち欠けと共にある〜現身で会えないなら磯回の潮となって空への道を辿りたい
引用が多かった歌
あたらしくひらきましたる詩の道に君が名讃え死なむとぞ思う
帰り来む御魂と聞かば凍る夜の千夜も御墓の石いだかまし
鳥籠をしづ枝にかけて永き日を桃の花かずかぞへてぞ見る
待つにあらず待たぬにあらぬ夕かげに人の御車ただなつかしむ
今の我に世なく神なくほとけなし運命(さだめ)するどき斧ふるひ来よ
山うづめ雪ぞ降りくるかがり火を百千(ももち)執らせて御墓まもらむ
Posted by ブクログ
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