竹西寛子のレビュー一覧

  • 神馬/湖 竹西寛子精選作品集

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    昭和の短編集だったかな。その一篇に竹西寛子『人馬』があり、好みだったのでこちらを拝読。

    さすがにすべて同著者だと好みがわかれる作品もありましたが好きな作品は以下のタイトルです。

    『兵隊宿』
    兵隊が戦地へ出兵する前の数日、その将校や兵隊に寝床を提供した宿の話。
    その宿の子ども「ひさし」と「将校」が馬を通じて少し心を通わす。でも決して近付きすぎることはないような。戦時中、敵地へ赴く人間と残る人間の心の機微が伝わるような心持ちで染み入った。

    『虚無僧』
    ひさしは虚無僧が怖い。
    歩いているのはまだまし、じっと立っている虚無僧と歩いていて急に立ち止まった虚無僧がとても怖いと思っているお話。

    同級

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    2024年07月24日
  • 式子内親王・永福門院 現代日本のエッセイ

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    筑摩書房 日本詩人選
    竹西寛子 「 式子内親王 」

    内親王の作品解説の本

    内親王作品の特性を「透明な複雑さ」「静の中の動」「すべては 途中という時間感覚」「夢の歌人」という表現で示している。このイメージでよむと 歌の理解が進む


    内親王の詩境の推移は、人生を幻と見ることから始まり、後白河院の死を契機に、微かに移りゆく自然から秩序を観るに至り、「夢の歌人」として、闇に誘われ 闇に親和する人間への悔いと怖れを 深い夜の夢に託した


    見しことも見ぬ 行末もかりそめの枕に浮かぶ まぼろしの中
    *まぼろし=幻影〜人生を幻と見た
    *見てきた現実も、まだ見てない現実も、かりそめの枕に浮かぶ幻
    *ま

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    2021年12月16日
  • 管絃祭

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    タイトルは宮島で陰暦6月17日に行われる管弦祭からとられているが、それは小説の末尾にのみ現れ、それまでの回想の物語に対する鎮魂歌となっている。小説全体は有紀子を一応の主人公としつつも、彼女の周縁のさまざまな人々の戦中、戦後史が編年体風にではなく、自由な時間軸の中で語られてゆく。特に戦前、被曝前の広島の地名が限りない愛着のもとで語られるが、そこに共感できれば(たとえ広島の地を知らなくても)しみじみとした物語として受け止めることができるだろう。これというプロットがないのだが、そこがまたこの小説の価値なのだ。

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    2013年10月10日
  • 管絃祭

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    ずっと前から気になっていた作品。

    選び抜かれたような日本語が心に響きます。
    最後の章の幻想的な管絃祭の描写が悲しみを一層深くします。

    大切な人と厳島神社、そして管絃祭を一緒に見に行こうと思います。

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    2012年07月22日
  • 管絃祭

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    淡々と綴られる人々のことばやしぐさの連続に心を打たれる。それがあるとき突然、不連続になることの苦しみ。簡単に不連続になる、というより、連続することを閉ざされた、止められた、といってよい。止められた恨み、止められたと思ったら、そうではなくて、続いていかされる生のなかで、生きろ、と無理強いされる苦しみ。「苦しみ」と書いてみるのは簡単だが、その心持ちがわかるためにどうしたらいいのだろうか。ただ毎日が何もなくすぎていくことの重みを考えよう。

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    2011年09月26日
  • 春・花の下

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    何十年と過ごしてきても忘れられない出来事の数々でした。
    心にずっと凝りとして残っていたりするけれど、だからといって簡単に誰かに話せるような事でもなく……生きていく、ってこういうことなんだなと思います。
    「静かな話というのは動きのない話ではない」というような著者の言葉も印象的でした。

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    2024年03月29日
  • 山川登美子 「明星」の歌人 現代日本のエッセイ

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    竹西寛子 「 山川登美子 」 明治時代の女性歌人の評伝


    人生の紆余曲折を歌に変換している感じ。著者は 山川登美子を 死と直接向き合っている挽歌歌人とし、式子内親王の系譜として位置づけている


    人生の紆余曲折
    *上流階級に生まれ、厳格な女学校に通ったお嬢様
    *与謝野鉄幹、与謝野晶子との愛憎
    *結婚、夫の死を経て 女子大入学
    *父の怒りと 女子大退学
    *父の死や自分の死と向き合う日々


    父と死別後、数ヶ月で自身も亡くなったとのこと
    辞世の歌は印象的

    父君に召されていなむとこしへの春あたたかに蓬莱のしま
    *辞世の歌
    *亡き父と蓬莱の島で共生を願う


    名言「求める人に容易に逢えないのも人生

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    2021年12月14日